(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上下動機構(29、82、83、97)は、駆動側に配置された入力アーム(101)と、前記植付具(28)に連結した出力アーム(104)と、前記入力アーム(101)および前記出力アーム(104)を連結する連結ロッド(103)とが設けられ、前記入力アーム(101)の回動に伴って前記出力アーム(104)が回動することにより前記植付具(28)を開閉する開閉機構(100、101、103、104)を有することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一つに記載の移植機。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて、本発明の移植機の一実施の形態について説明する。
【0020】
(実施の形態)
先ず、
図1、
図2を用いて、本実施の形態のたばこ苗移植機の構成及び動作について説明する。
【0021】
図1は、本発明の移植機の一例としての、たばこの苗を移植するたばこ苗移植機10の側面図であり、
図2は、たばこ苗移植機10の平面図である。
図2では、固定予備苗台300L、300Rと可動予備苗台350L、350Rを二点鎖線で示した。
【0022】
尚、以下の説明では、たばこ苗移植機10の前部とは、エンジン11を配置した側のことであり、又、後部とは、操縦ハンドル16を配置した側のことであるものとする。又、操縦ハンドル16側からエンジン11側を見た作業者の右手側をたばこ苗移植機10の右側とし、左手側を左側とする。
【0023】
図1、
図2に示す通り、本実施の形態のたばこ苗移植機10は、機体を前進走行可能とする走行車体1と、走行車体1の後部に設けられた歩行操縦用の操縦ハンドル16と、走行車体1の後部であって操縦ハンドル16の前側に設けられた、圃場にたばこ苗を植え付ける植付装置19と、植付装置19の上方に設けられ、植付装置19にたばこ苗を供給する苗供給装置31とを備えている。更に、植付装置19は、軌跡17で上下動する植付具28を備えており、植付具28の後方には、鎮圧輪15が配置されている。また、植付具28による苗の植付深さについては、植付深さレバー49を作動させることにより下死点の高さを調整することで、変更出来る構成である。
【0024】
又、苗供給装置31の前側であって、走行車体1の左右両側には、たばこ苗を載置する左右一対の長方形状の固定予備苗台300L、300R(
図2では、二点鎖線で示した)が固定配置されている。
【0025】
又、不使用時には、左右一対の固定予備苗台300L、300Rの下方に、平面視で固定予備苗台300L、300Rの長手方向に沿って収納可能であり、かつ、使用時には、左右一対の固定予備苗台300L、300Rと平面視で重複しない位置に展開可能に構成された、たばこ苗を載置する左右一対の長方形状の可動予備苗台350L、350R(
図2では、二点鎖線で示した)が回動可能に配置されている。
【0026】
又、本実施の形態のたばこ苗移植機10は、左右前輪13及び左右後輪14が跨いで走行する畝Uに植付具28にて苗株を植え付けて苗移植作業を行うが、畝案内機構160が機体の前部に設けられており、畝Uの左右の斜面にそれぞれ左右の畝案内ローラー250が接触して、機体が畝Uに沿って走行する構成で案内する。
【0027】
又、
図2に示す通り、主伝動ケース12の左右端には該主伝動ケース12を基準として回動可能な走行エクステンションケース40を左右それぞれ設け、左右の走行エクステンションケース40のそれぞれの端部に走行チェーンケース20を取り付けている。したがって、エンジン11から入力される主伝動ケース12内の動力を走行チェーンケース20内に伝達する構成となっている。
【0028】
走行チェーンケース20の回動先端部の左右外側には、走行車輪である左右一対の後輪14をそれぞれ取り付け、この左右一対の後輪14の駆動により機体が走行する構成となっている。したがって、主伝動ケース12は、走行車輪としての後輪14に伝動する伝動装置となっている。
【0029】
又、
図2に示す通り、主伝動ケース12の後端には左右方向に延びる後フレーム21を固着して設け、後フレーム21の後端面の右端部には、機体の右寄りの位置で前後方向に延びる主フレーム22を設けている。主フレーム22の後端部には操縦ハンドル16を設け、この操縦ハンドル16が主フレーム22及び後フレーム21を介して主伝動ケース12に支持された構成となっている。後フレーム21の左右一方寄り(右寄り)の位置の上面には、植付伝動ケース26の前下端部を載せて該植付伝動ケース26を固着して設けている。
【0030】
又、主伝動ケース12の後部で左右方向の中央には、油圧昇降シリンダ23を設けている。この油圧昇降シリンダ23は、主伝動ケース12に取り付けられた油圧切替バルブ部24(
図1参照)に固着して設けられ、主伝動ケース12に取り付けられた油圧ポンプからの油路を油圧切替バルブ部24で切り替えることにより作動する。
【0031】
又、油圧昇降シリンダ23のシリンダロッドの後端には左右に延びる横杆43を設け、この横杆43の左右端部にそれぞれロッドとなる左側後輪昇降ロッド44及び右側後輪昇降ロッド45を連結し、左側後輪昇降ロッド44及び右側後輪昇降ロッド45の他端をそれぞれの走行エクステンションケース40に取り付けられた上側アーム40aに枢着して、横杆43と走行エクステンションケース40とが連結された構成となっている。
【0032】
したがって、油圧昇降シリンダ23の伸縮により横杆43、左側後輪昇降ロッド44及び右側後輪昇降ロッド45を介して主伝動ケース12の左右の出力軸回りに走行チェーンケース20を回動し、該走行チェーンケース20の回動により後輪14が上下して走行車体1が昇降する構成となっている。
【0033】
又、左側後輪昇降ロッド44が伸縮するべく該左側後輪昇降ロッド44の中途部に油圧ポンプからの油圧により作動する左右傾斜用油圧シリンダ25を設けており、該左右傾斜用油圧シリンダ25の伸縮により右側の後輪14の上下位置を基準として左側の後輪14を上下させて、畝Uの谷部の凹凸に関係なく走行車体1を所望の左右傾斜姿勢に制御する構成となっている。
【0034】
尚、主伝動ケース12の右側には振り子式の左右傾斜センサー42が設けられて、この左右傾斜センサー42の検出により油圧切替バルブ部24に備えられた左右傾斜用切替バルブを介して左右傾斜用油圧シリンダ25を作動させ、走行車体1を所望の左右傾斜姿勢に制御する構成となっている。
【0035】
本実施の形態の植付装置19は、苗を1個ずつ圃場の畝に植え付けるべく、主伝動ケース12内からの動力が主伝動ケース12の後側に設けた植付伝動ケース26と、その植付伝動ケース26に取り付けられた植付装置駆動ケース27を介して伝達され作動する構成になっている。
【0036】
植付装置19は、先端が尖った嘴状の植付具28と該植付具28を昇降させるべく作動する昇降リンク機構29とで構成される。植付具28の先端は、植付具28の昇降動作によって、
図1に示す通り、前側で下降し後側で上昇するとともに、前後方向の幅が上部よりも下部の方が大きい形状の軌跡17を描いて図中の矢印方向に繰り返し作動する。
【0037】
以上の構成のもとで、本実施の形態のたばこ苗移植機10を使用しようとする作業者は、左右一対の固定予備苗台300L、300Rの下方に収納されている左右一対の可動予備苗台350L、350Rを、
図2に示す通り展開して、固定ピン(図示省略)等で一時的に固定する。そして、それら予備苗台の上に、たばこ苗を載せて、移植作業の準備を行う。
【0038】
そして、走行車体1の走行と共に歩行する作業者が、作業位置S(
図2参照)において、可動予備苗台350L(350R)、固定予備苗台300L(300R)に予め準備された苗を一つずつ手で掴んで、機体の走行に合わせて矢印A方向(
図2参照)に回転している供給カップ33に、それぞれ入れていく。
【0039】
後述する供給カップ33の開閉蓋34(
図3参照)が、所定位置P(
図2参照)で開くと、供給カップ33内の苗が自重で落下し、下方の植付具28に供給される。植付具28は、
図1に示す作動の軌跡17の下死点に来た時に土中に所定深さまで突入して植付穴を形成した後、上昇し植付具28の先端が土中から完全に抜け出てから鳥の嘴の如く左右方向に開く。これにより、植付具28の内部に保持されていた苗は、自重により植付穴に落下し、鎮圧輪15で植付穴が塞がれて、苗の植え付けが完了する。尚、植付具28の動作については、
図10等を用いて更に後述する。
【0040】
尚、その植え付け位置の前方と後方にそれぞれ配置された前ホース421Lと後ホース421Rから、左右一対の肥料繰り出し部420L、420Rにてそれぞれ計量された施肥料が所定のタイミングで播かれる。
【0041】
次に、苗供給装置31の構成、及び苗供給装置31から植付具28への苗の供給動作について、図面を参照しながら更に具体的に説明する。
【0042】
図3(a)は、苗供給装置31を下から見た底面図であり、
図3(b)は、苗供給装置31を上から見た一部透視上面図である。
【0043】
図4は、苗供給装置31の取り付け構造を説明する側断面図であり、供給回転台32の回転中心を通る断面を示している。
【0044】
図2に示す通り、苗供給装置31は、回転台駆動ケース38からの動力が回転力伝達部材77によって伝達され、作動する。
【0045】
苗供給装置31は、植付装置19の上方に設けられた、上端と下端に開口を有する供給カップ33を8つ貫通させてループ状に固定配置した回転可能な供給回転台32と、略C字型の供給カップ開閉ガイド35と、供給回転台32を反時計回りに回転させる回転駆動機構78等を備えている。
【0046】
供給回転台32は、
図4に示す通り、外周縁部が下方に曲げられた盆状部材であって、その円形平面部の外周寄りに等間隔に開けられた8つの孔に、両端が開放された略筒状の供給カップ33がそれぞれ貫通固定されている。又、供給回転台32の中央部には、回転駆動機構78からの回転力により供給回転台32を反時計回りに回転させる回転軸が固定配置されている。
【0047】
回転駆動機構78は、機体に固定された支柱39に固定されるとともに、補助プレート79に固定されている。補助プレート79は、主フレーム22に固定された補助プレート支持板132を介して主フレーム22に固定されている。
【0048】
そして、
図3(a)に示す通り、各供給カップ33の底部には、上下方向に可動する開閉蓋34が、それぞれ1つずつ設けられている。
【0049】
又、
図3(a)に示す通り、各供給カップ33の下方には、供給回転台32の矢印A方向への回転により供給カップ33が、植付具28の上方の位置である所定位置Pに来たときにのみ供給カップ33の底部の開閉蓋34が開くべく、環状の一部を切り欠いた略C字型の供給カップ開閉ガイド35が、支柱39に固定されている。尚、供給カップ開閉ガイド35は、前記所定位置P以外の位置で、開閉蓋34を下側から接触して支えて開閉蓋34が開くことを規制する。
【0050】
本実施の形態のたばこ苗移植機10は、その機体の走行と共に歩行する作業者が、可動予備苗台350L(350R)、固定予備苗台300L(300R)にある苗株を一つずつ手で掴んで、機体の走行に合わせて矢印A方向に回転している供給カップ33に、それぞれ入れていく。
【0051】
供給カップ33の開閉蓋34が、所定位置Pで開くと、供給カップ33内の苗株が下方の植付具28に供給される。植付具28は、
図1に示す作動の軌跡17の下死点に来た時に土中に所定深さまで突入し、上昇する途中で鳥の嘴の如く左右に開いて、内部に保持されていた苗株を落下して植え付ける。
【0052】
次に、
図1に示したたばこ苗移植機10の植付装置19の詳細な構成及び動作について説明する。
【0053】
図5及び
図6に、それぞれ植付装置19の、左前方から見た斜視図及び右後方から見た斜視図を示す。又、
図7に、植付装置19の左側面図を示す。
【0054】
植付装置19は、
図5〜
図7に示す通り、上部に形成した開口から苗株を受けて左右に開閉可能な先端が尖ったカップ状の植付具28と、この植付具28を昇降駆動する、植付装置駆動ケース27に設けられた昇降リンク機構29とから構成される。
【0055】
本実施の形態の植付具28は、上端側の寸胴部28aと、下端側の尖り部28bとを有し(
図7参照)、先端が尖った尖り部28bが閉じた状態で内部に苗株を保持して、植付け軌跡17の最下端(下死点)から上昇し尖り部28bの先端が土中から完全に抜け出た後、左右に開いて畝内に形成された植付穴に苗株を落下させて、苗を植付ける構成である。供給回転台32から落下してくる苗株が確実に植付具28内に入るべく、植付具28上部には、苗ガイド108が取り付けられている。
【0056】
本実施の形態の昇降リンク機構29は、植付装置駆動ケース27の左側において、上端が揺動カム駆動軸88に回動自在に枢支され、下端が下前軸91にて回動自在に連結支持板94に連結された前揺動アーム80と、植付装置駆動ケース27を基準として回動自在な上後軸90に上端が固定され、下端が下後軸93にて回動自在に連結支持板94に連結されて、前揺動アーム80と前後に平行に設けられた左後揺動アーム81を備える。又、上後軸90は、他端が植付装置駆動ケース27の右側へ突出しており、植付装置駆動ケース27の右側において、右後揺動アーム99の上端が固定されている。
【0057】
植付装置駆動ケース27は、植付伝動ケース26から出力される動力を伝達し、左側に突出して設けた揺動カム駆動軸88、及び植付装置駆動ケース27を貫通して左右両側に突出して設けたクランクアーム駆動軸89を駆動する。
【0058】
又、連結支持板94の上軸92と下後軸93に前端がそれぞれ回動自在に枢支され、後端がそれぞれ植付具28の回動上軸95と回動下軸96に回動自在に連結された平行な上アーム82及び左下アーム83を備える。植付装置駆動ケース27の右側には、右後揺動アーム99の下端部分に前端が回動自在に枢支され、後端が植付具28の右側に回動自在に連結された右下アーム97を備える。
【0059】
右下アーム97は、左下アーム83と平行に配置され、左下アーム83及び右下アーム97に両端がそれぞれ回動自在に枢支された左右連結棒98によって、左下アーム83と連結されている。
【0060】
植付装置駆動ケース27から右側に突出して設けたクランクアーム駆動軸89に基部が固着されて回転するクランクアーム85と、クランクアーム85の先端に設けた回動連結軸106に回動自在に一端が枢支され、他端が左右連結棒98の途中部分に連結された連結アーム86を備える。左右連結棒98は、連結アーム86を基準として回動自在に連結されている。
【0061】
又、植付装置駆動ケース27から左側に突出して設けた揺動カム駆動軸88に固定されて回転する揺動駆動カム84を備え、揺動駆動カム84の周縁部に接触する構成で、左後揺動アーム81の上後軸90寄りの途中部分に回動自在に回動ローラー87が設けられている。
【0062】
又、植付伝動ケース26に設けられた支持ピンと左後揺動アーム81の下端部との間に設けられて、前揺動アーム80及び左後揺動アーム81を機体前方に向けて付勢し、揺動駆動カム84と回動ローラー87を接触させる引張バネ167(
図8(a)参照)を備えている。
【0063】
又、植付具28の開閉動作に使用するカウンターアーム104が、上アーム82の一端が連結されている回動上軸95に、回動自在に軸支されている。
【0064】
又、開閉アーム101が、上アーム82の他端が連結されている上軸92に、回動自在に軸支されており、開閉アーム101とカウンターアーム104が、連結ロッド103により連結されている。カウンターアーム104には、ピン105が立設しており、植付具28のホルダー部分に連結する開閉ロッド231に設けられた孔が遊嵌している。
【0065】
又、揺動駆動カム84とともに揺動カム駆動軸88に固定されて回転する開閉駆動カム100が設けられており、開閉駆動カム100の周縁部に接触する構成で、開閉アーム101上に開閉用ローラー102が設けられている。揺動カム駆動軸88の回転にしたがって開閉駆動カム100が回転することにより、開閉用ローラー102を介して開閉アーム101に所定のタイミングで作用させる。
【0066】
この構成により、本実施の形態の植付装置19は、植付動作時において、先端が静軌跡17(たばこ苗移植機10が停止しているとしたときに描く植付具28の先端の軌跡)を描く構成で動作する。
【0067】
次に、本実施の形態の植付装置19の動作について説明する。
【0068】
図8(a)〜
図8(d)は、植付動作中の各位置における植付装置19の側面図を示している。
図8(a)は、上死点における側面図を示し、
図8(c)は、下死点における側面図を示している。
図8(b)は、上死点から下死点に向けて下降している際の側面図を示し、
図8(d)は、下死点から上死点に向けて上昇している途中の側面図を示している。
【0069】
揺動カム駆動軸88が回転することにより、揺動カム駆動軸88に固定されている揺動駆動カム84は揺動カム駆動軸88とともに回動し、揺動駆動カム84と接触する回動ローラー87(
図5参照)を介して左後揺動アーム81及び前揺動アーム80が前後に揺動する。このとき、上後軸90によって左後揺動アーム81と連結している右後揺動アーム99も、左後揺動アーム81とともに前後に揺動する。
【0070】
一方、クランクアーム駆動軸89が回転することにより、クランクアーム駆動軸89に固定されているクランクアーム85がクランクアーム駆動軸89とともに回動し、連結アーム86及び左右連結棒98を介して左下アーム83及び右下アーム97が上下に揺動し、左下アーム83とともに上アーム82も上下に揺動する。
【0071】
したがって、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99と、上アーム82、左下アーム83及び右下アーム97は、いずれも平行リンク機構であるから、植付具28は垂直方向を向いた姿勢を維持してその下端が植付け軌跡17を描いて作動し、植付具28内に受け入れられた苗株を適正な姿勢で畝Uに植付けることができる。
【0072】
尚、本実施の形態の植付装置19は、
図7に示す通り、植付具28において、左下アーム83が連結する回動下軸96の位置を、上アーム82が連結する回動上軸95よりも前方に配置している。
【0073】
回動下軸96を回動上軸95よりも前方に配置したことにより、植付具28が下降した際に、上アーム82と左下アーム83との間隔が狭まることを抑制できる。
【0074】
この構成としたことにより、植付具28が下死点付近にあるとき、上アーム82と左下アーム83との間隔を広く維持できるので、植付状態においてガタつきがなく安定した植え付けが行なえる。
【0075】
苗が植付具28に供給される位置、すなわち植付具28が作動する軌跡17の上死点付近にあるときの、揺動駆動カム84が回動ローラー87と接触している位置における揺動駆動カム84の径の変化は小さく為るべく、又、植付具28が下死点付近にあるときの、揺動駆動カム84が回動ローラー87と接触している位置における揺動駆動カム84の径の変化は大きく為るべく、揺動駆動カム84の形状及び揺動駆動カム84が揺動カム駆動軸88に固定される向きが設定されている。
【0076】
揺動駆動カム84の形状及び揺動カム駆動軸88に固定される向きをこの通りに構成することにより、植付具28の先端の移動速度を、苗を植え付けるときよりも、苗を供給するときを極めて遅くすることができる。
【0077】
又、上死点及び下死点では、クランクアーム85と連結アーム86が、鉛直方向で直線状に重なる位置となり、かつ、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99と平行になる構成としている。従って、苗が植付具28に供給されるとき、すなわち植付具28が上死点付近にあるときと、苗を植え付ける位置、すなわち植付具28が下死点付近にあるときの、クランクアーム85の回転による連結アーム86の上下方向の位置の変化は小さく為るべく、クランクアーム85の向きが設定されている。この構成により、植え付け動作時に、植付具28の先端によって、ループ状の軌跡17を描かせる構成で動作させ、上死点付近(苗が供給される位置)における植付具28の移動速度が、下死点(苗が植え付けられる位置)における移動速度よりも遅くなる構成としている。したがって、移植対象物を、より確実に植付具28に供給させることができる。
【0078】
又、植付具28の先端が下死点の位置に存在するときでは、クランクアーム85及び連結アーム86は、直線状に重なるので、クランクアーム85による上下動と、連結アーム86の傾きによる上下動が一致し、植付具28の動きを速くできる。又、植付具28の先端が下死点の位置に存在するときでは、クランクアーム85が、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99と互いに平行となるので、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99の上下動が少なくなり、クランクアーム85及び連結アーム86による上下動で、植付具28をより速く移動させることができる。
【0079】
さらに、植付具28の先端によって描かれる軌跡17が、下死点での前後の幅が最大と為るべく、すなわち植付具28の上下動する幅の中心よりも下部で前後の幅が最大となる構成としている。植付具28の先端の上下動する幅の中心位置よりも下方の位置で、静軌跡17の前後幅が最大となるので、移植機走行時の動軌跡は、直線的に上下する軌跡となり、移植対象物を植え付けるための深くて径の小さい植付穴を確実に形成することが出来る。
【0080】
又、植付装置19の上アーム82、左下アーム83及び右下アーム97からなる平行状のリンク機構を、1つのクランクアーム85により動作させている。一軸のクランクアーム85で駆動するべく、伝動系のガタによる植付不具合を抑制することができる。
【0081】
又、上記昇降リンク機構29を、揺動駆動カム84によって前後移動させている。揺動駆動カム84を用いる構成なので、植付具28の先端が描く軌跡17の前後幅を自由に設定することができる。
【0082】
又、揺動駆動カム84に接触する回動ローラー87を、左後揺動アーム81の長手方向の中央位置よりも上後軸90に近い位置、すなわち前揺動アーム80の支点である揺動カム駆動軸88に近い位置に配置しているので、揺動駆動カム84の支点との距離を短くでき、揺動駆動カム84を小さくできる。揺動駆動カム84を小さくできるので、植付装置19の小型化を図ることができる。
【0083】
又、植付具28の先端が描く静軌跡となる軌跡17は、下死点付近で円形状となっているので、たばこ苗移植機10の走行を加味した動軌跡は、下死点付近では直線的に上下する軌跡となり、苗株等の移植対象物を植え付けるための深くて径の小さい植付穴を確実に形成することが出来る。さらに、植付具28の先端が描く軌跡17を、植え付け深さの範囲で円形状と為るべく、調整するのが望ましい。植付具28が土中に突入する範囲で円形状の静軌跡とすることにより、植穴を小さくすることができる。
【0084】
又、植付具28の先端が描く軌跡17を、植え付け深さよりも上方では前後幅が小さくなる形状としたことにより、植付具28が上昇するときの前側への移動量を大きくでき、植付具28の先端が、植え付けた苗株等を引っ掛けない構成にできる。
【0085】
又、引張バネ167により左後揺動アーム81へ斜め前上方への引き上げ力を与えているので、植付具28が植付位置へ向けて下降するときに、植付具28の自重により植付具28が急激に降下して軌跡17上での植付具28の作動速度が不適正となることを防止できる。又、引張バネ167による前記引き上げ力は、植付具28の自重に抗して下死点から植付具28が上昇することをアシストするので、植付具28を安定して動作させることができる。
【0086】
又、クランクアーム85を、右側方から見た
図6において反時計回りに回動させることにより、植付具28が作動するループ状の軌跡17を基準としてクランクアーム85が逆方向に回転することになるので、軌跡17の上死点付近における植付具28の移動速度を遅くさせ易く構成できる。上死点付近における植付具28の移動速度を遅くすることで、より確実に苗を植付具28へ供給させることができる。
【0087】
下死点付近では、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99が、前方から後方へ向けて動作するのに対応して、クランクアーム85の先端の回動連結軸106は、後方から前方へ向けて回動する。前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99が、クランクアーム85と対向して動作するので、植付具28の上下動の速度が速くなる構成にでき、植え付けの株間が変化しても機体の走行を加味した土中における植付具28先端の動軌跡の変化は小さい。
【0088】
又、下死点付近において、クランクアーム85と連結アーム86が鉛直方向又は鉛直方向に近い方向で一直線上になるので、クランクアーム85による上下動と連結アーム86の傾きによる上下動が一致するので、植付具28の上昇速度を速くできる。
【0089】
さらに、下死点付近において、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99が、クランクアーム85及び連結アーム86と平行にさせることで、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99の上下動が少なくなり、クランクアーム85及び連結アーム86による上下動により、植付具28をより速く上昇させることができる。
【0090】
図9は、植付装置駆動ケース27における各駆動軸の配置位置を説明する図であり、機体の左側方から見た図を示している。
【0091】
図9に示す通り、本実施の形態の植付装置19では、揺動カム駆動軸88とクランクアーム駆動軸89が、略同じ高さの位置に配置されている。そして、植付装置駆動ケース27を左右に貫通している上後軸90は、揺動カム駆動軸88及びクランクアーム駆動軸89の中心位置同士を結ぶ直線よりも下方の位置に配置されている。
【0092】
植付伝動ケース26から植付装置駆動ケース27へ伝達される駆動力は、揺動カム駆動軸88へ伝達される。そして、植付装置駆動ケース27内において、伝動チェーン107を介して、揺動カム駆動軸88の駆動力がクランクアーム駆動軸89へも伝達される。
【0093】
伝動チェーン107は、植付装置駆動ケース27内において、上後軸90の軸周りを周回するが、上後軸90は、揺動カム駆動軸88及びクランクアーム駆動軸89の中心位置同士を結ぶ直線よりも下方の位置に配置されているので、伝動チェーン107が緩んでも上後軸90に当たることが無く、駆動力を安定してクランクアーム駆動軸89へ伝達できる。又、この通りに配置したことにより、揺動カム駆動軸88、クランクアーム駆動軸89及び上後軸90を、コンパクトに配置することができる。
【0094】
次に、植付具28を左右方向に開閉させる開閉機構とその動作について説明する。
【0095】
植付具28の開閉動作に使用するカウンターアーム104を、上アーム82の一端(後端)に設けた回動上軸95に、回動自在に設けている。又、上アーム82の他端(前端)に設けた上軸92に、開閉アーム101を回動自在に設けており、開閉アーム101とカウンターアーム104を連結ロッド103により連結している。又、カウンターアーム104には、ピン105を設けている。
【0096】
又、揺動駆動カム84とともに揺動カム駆動軸88に固定されて回転する開閉駆動カム100を設けており、開閉駆動カム100の周縁部に接触する開閉用ローラー102を、開閉アーム101に回動自在に設けている。揺動カム駆動軸88の回転に伴って開閉駆動カム100が回転することにより、開閉用ローラー102を介して開閉アーム101を作動させる。
【0097】
植付具28の開閉動作については、カウンターアーム104が連結ロッド103を介して開閉アーム101と並行して動作し、開閉アーム101は、開閉用ローラー102を介して開閉駆動カム100によって動作する。よって、簡易な形状の開閉駆動カム100によって開閉タイミングと開閉量を高精度で設定できる。
【0098】
図10(a)は、機体の後方から植付具28を見た時の、植付具28の先端部が移動する軌跡を説明する図である。
図10(a)では、植付具28の左側部材109Lの先端部の軌跡を破線で示し、右側部材109Rの先端部の軌跡を二点差線で示している。また、
図10(b)は、
図10(a)に示した右側部材109Rの先端が、位置Y10〜Y14にあるときにおける植付具28の動作状況を示す模式図である。ここで、符号2はたばこ苗を模式的に示し、符号3は畝の断面を模式的に示している。
【0099】
尚、植付具28の苗を一時的に保持し、土中に植付穴を形成する先端が尖った筒状の部分は、左右一対で対称形状の左側部材109Lと、右側部材109Rから構成されており、
図11(a)〜
図11(c)では、左側部材109Lを示した。
図11(a)は平面図であり、
図11(b)は左側面図であり、
図11(c)は機体の後方から左側部材109Lを見た時の背面図である。
【0100】
図10(a)に示す通り、植付具28に備えるホルダー291を、左ホルダー291L及び右ホルダー291Rで構成し、左ホルダー291Lを左側部材109Lに一体で固着し、右ホルダー291Rを右側部材109Rに一体で固着している。左ホルダー291Lは前後方向の左支点軸225回りに回動し、右ホルダー291Rは前後方向の右支点軸226回りに回動する構成であり、植付具28の左右方向中央位置に設けた連動用軸227により、左ホルダー291Lと右ホルダー291Rを連結している。又、左ホルダー291Lと一体で設けた回動操作アーム228に、上下方向に延びる開閉ロッド231を連結し、カウンターアーム104のピン105を開閉ロッド231に連結している。尚、左ホルダー291Lと右ホルダー291Rの間には開閉用スプリング230を設けており、該開閉用スプリング230のスプリング力により、左側部材109Lと右側部材109Rが互いに左右方向内側に押圧され、植付具28の下部が閉じる構成となっている。又、開閉用スプリング230のスプリング力により、開閉用ローラー102ひいては開閉アーム101が開閉駆動カム100側(上側)に押し付けられる。
【0101】
揺動カム駆動軸88(
図5参照)の回転と共に開閉駆動カム100が回転すると、開閉用ローラー102が開閉駆動カム100の周縁形状にしたがって移動し、開閉アーム101が揺動する。開閉アーム101の揺動に伴って、連結ロッド103が前後方向に作動し、カウンターアーム104が回動し、開閉ロッド231が上下方向に作動し、回動操作アーム228を介して左ホルダー291Lを回動するとともに連動用軸227を介して右ホルダー291Rを回動し、左ホルダー291Lと右ホルダー291Rを背反的に互いに左右対称位置へ回動させて植付具28の下部を開閉する。具体的には、連結ロッド103の前側への作動に伴って、開閉ロッド231を上側へ作動し、植付具28の下部を開く。尚、植付具28の上昇時、開閉駆動カム100の外周の局所的な突起部により、植付具28の下部を一時的に大きく開く構成としている。
【0102】
尚、本実施の形態の開閉アーム101が本発明の入力アームの一例にあたり、本実施の形態のカウンターアーム104が本発明の出力アームの一例にあたる。また、本実施の形態の開閉駆動カム100、開閉アーム101、連結ロッド103、カウンターアーム104、ピン105、回動操作アーム228、及び開閉ロッド231等を包括する構成部分が、本発明の開閉機構の一例にあたる。また、本実施の形態の昇降リンク機構29、上アーム82、下アーム83、右下アーム97、及び開閉機構(開閉駆動カム100、開閉アーム101、連結ロッド103、カウンターアーム104、ピン105、回動操作アーム228、及び開閉ロッド231等)等を包括する構成部分が、本発明の上下動機構の一例にあたる。
【0103】
図8(a)〜
図8(c)に示す位置では、開閉用ローラー102には開閉駆動カム100が接触していないので、上死点及び上死点から下死点まで下降して(
図10(b)のY10〜Y11参照)、その後、上昇して植付具28の先端が完全に土中から抜け出すまでは(
図10(b)のY12参照)、植付具28の下部が閉じた状態が維持されている。
【0104】
その後、
図8(d)に示す通り、下死点の位置から上昇して植付具28の先端が完全に土中から抜け出した後、開閉用ローラー102に開閉駆動カム100が接触し始めることにより、植付具28の下部が開き始め、たばこ苗2が自重で落下する(
図10(b)のY13参照)。即ち、
図10(a)に示す通り、下死点αから上昇して、植付具28の先端が土中から完全に抜け出た位置βから開閉用ローラー102に開閉駆動カム100が接触し続ける状態となり、植付具28の下部が開いた状態のまま上昇する(
図10(b)のY14参照)。
【0105】
したがって、植付具28は、下降して下死点αに至り、その後、上昇して先端が土中から完全に抜け出る位置βまでは、植付具28の下部が閉じた状態が維持される。すなわち、軌跡17の上死点付近から下死点αまで下降し、その後、上昇して先端が土中から完全に抜け出る位置βまでは、植付具28の下部が閉じた状態となり、植付具28の先端が土中から完全に抜け出た位置βで植付具28の下部が開き、そのまま上死点近傍までは植付具28の下部が開いた状態で上昇し、供給回転台32から苗株が供給される前に閉じて、次の苗株が植付具28内に供給される。
【0106】
これにより、植付穴を小さく形成できて、例えば、脆い土壌等で、植付具28の左側部材109Lの先端や右側部材109Rの先端が開くことにより、植付穴の内壁面を接触して内壁面の一部が崩れることを防止することが出来る。
【0107】
また、上記の通り、上アーム82が連結されている回動上軸95に軸支したカウンターアーム104が、上アーム82及び左下アーム83の昇降位置によることなく、連結ロッド103を介して開閉アーム101と並行動作し、この開閉アーム101は、開閉用ローラー102を介して開閉駆動カム100によって動作制御される。したがって、簡易な形状の開閉駆動カム100によって開閉タイミングと開閉量の高精度の制御が可能となる。
【0108】
また、本実施の形態では、植付深さレバー49を手動で調整して、植付具28の下死点が最も低く設定されたとき(即ち、植付深さが最も深くなる状態)でも、植付具28の先端が土中から所定寸法だけ上方に抜け出した位置で植付具28の下部が左右に開くべく、開閉駆動カム100の形状が予め調整されているものとする。
【0109】
尚、開閉駆動カム100の形状は、これに限らず例えば、異なる形状の開閉駆動カムを予め準備しておいて、植付深さレバー49の調整に対応して、開閉駆動カム100を交換する構成であっても良いし、或いは、植え付ける苗の種類に対応して、開閉駆動カム100を交換することにより、植付具28が開くタイミングを調整する構成であってもよい。これにより、植付具28の下部が開くことにより、植付穴が崩れることをより確実に防止出来る。
【0110】
尚、開閉駆動カム100を、クランクアーム85を駆動するクランクアーム駆動軸89に固定し、クランクアーム85と一体に回転する構成としてもよい。
【0111】
又、本実施の形態では、上アーム82の連結支点軸である上軸92に開閉アーム101を取り付けているので、簡単な構成となっている。尚、連結ロッド103が、昇降リンク機構29の昇降位置に拘らず、上アーム82及び左下アーム83と平行であるので、開閉駆動カム100により植付具28の開き量を高精度で設定できる。又、開閉アーム101及びカウンターアーム104を何れも上アーム82の回動支点軸に連結した構成としているので、連結ロッド103が上アーム82に沿って配置され、コンパクトな構成となっている。又、開閉駆動カム100を、揺動駆動カム84とともに前揺動アーム80の回動支点軸である揺動カム駆動軸88に取り付けているので、簡単な構造となっている。
【0112】
又、連結ロッド103の、カウンターアーム104との連結部分にターンバックル等の調節ネジを設けて、その調節ネジにより、開閉アーム101とカウンターアーム104間の連結ロッド103の長さを調節できる構成としてもよい。この位置に調節ネジを設けることにより、植付具28の後方から、植付具28の開き量を調節することができる。
【0113】
図7に示す通り、本実施の形態の植付装置19では、植付具28側の開閉用出力アーム(カウンターアーム104)の回動半径L
1を、植付装置駆動ケース27側の開閉用入力アーム(開閉アーム101)の回動半径L
2よりも小さくしている。
【0114】
カウンターアーム104の回動半径L
1を開閉アーム101の回動半径L
2よりも小さくしたことで、開閉アーム101の上軸92回りの回動角度よりも大きな回動角度で、カウンターアーム104が回動上軸95回りに回動する。
【0115】
したがって、従来よりも小さな開閉アーム101の回動角度で、植付具28を開閉させることができる。
【0116】
又、植付具28を開閉させる開閉アーム101の回動変位量を小さくできるので、開閉用ローラー102を移動させる開閉駆動カム100の周囲形状を、半径の変化量が小さな形状にでき、開閉駆動カム100を小型にすることができる。
【0117】
又、カウンターアーム104を短くできるので、苗ガイド108を低くして、供給回転台32の位置を低くすることができる。又、昇降リンク機構29のストロークを長くして植付具28の上下動の幅を大きくすることができる。
【0118】
植付装置19は、開閉駆動カム100の周囲形状を変化させることにより、植付具28の開閉タイミング及び開閉速度を自由に調節することができる。
【0119】
左側部材109L及び右側部材109Rが開く際、それらの先端部には、左右方向への速度成分とともに上向きの速度成分が生じる。一方、植付具28全体には、昇降リンク機構29によって、下死点に至るまでは下向きの速度成分が生じている。
【0120】
次に、
図12、
図13を用いて、植付具28の変形例の構成と動作について説明する。
【0121】
図12は、植付具28に水まき用ノズルを備えた構成を模式的に示した左側面図である。また、
図13(a)は、植付具28に畝面鎮圧板を備えた構成を模式的に示す左側面図であり、
図13(b)は、畝面鎮圧板の動作を説明する図である。
【0122】
図12に示す通り、植付具28の上部には、一方が灌水ポンプ(図示省略)側に連結され、他方が複数に枝分かれして植付具28の上部の全周に配置され、それぞれの先端部に水まき用ノズル51が取り付けられた水まき用チューブ50が取り付けられている。
【0123】
そして、乾いた畝面に植付穴を形成する場合、植付部28の下部先端が土中に刺さる時に、水まき用ノズル51が、左側部材109Lと右側部材109Rの外周表面に水をまく構成である。
【0124】
これにより、乾いた畝面が水で濡れて、土が固まり易くなる。
【0125】
また、
図13(a)に示す構成では、植付具28の尖り部28bの上部近傍の全周を取り囲む位置に、平面視でリング状の畝面鎮圧板55が、前後に配置された圧縮バネ56を介して上下動可能に取り付けられている。また、畝面鎮圧板55の可動範囲の最大幅を規制するストッパーワイヤ57が、圧縮バネ56の取付位置の外側において、畝面鎮圧板55と植付部上端フレーム28cとを繋いでいる。
【0126】
上記構成において、
図13(b)に示す通り、上死点から降下してきた植付具28は(STEP10参照)、植付具28の下部を閉じたまま尖り部28bの先端を畝面3に突き刺して(STEP11参照)、更に降下して下死点の手前までくると畝面鎮圧板55の下面が畝面3に当たると、圧縮バネ56は圧縮されながら下死点まで降下を続けた後(STEP12参照)、依然として植付具28の下部を閉じた上昇を開始し(STEP13参照)、畝面3の土中から完全に抜け出した後、植付具28の下部を開き、苗2を植付穴に落下させる(STEP14参照)。
【0127】
STEP12において、畝面鎮圧板55の下面が、圧縮バネ56の反発力により畝面3に形成された植付穴の周囲58を押し固めることで、植付穴が崩れにくくなる。
【0128】
次に、
図14を用いて、機械式のマルチシートカッターについて説明する。
【0129】
図14は、マルチシートカッター400の概略斜視図である。
【0130】
図14に示す通り、マルチシートカッター400は、畝面3を覆うマルチシートに穴を開けるための装置であり、植付具28の前方に上下動可能に配置されている。また、マルチシートカッター400の先端部401は刃物形状になっており、マルチシートをカットする構成である。また、カットしたマルチシートは、前側に埋めるべく、先端部401を側面視で滑らかなR形状を有した船底形状を成している。また、マルチシートカッター400は、平面視で先端部から後端部に向けてYの字状に広がっており、広がった後端部の幅Wは、植付具28の土中に入る尖り部28bの直径と同じ幅に設定されている。また、マルチシートカッター400の下端部402は、外側に湾曲しており、先端部401の刃物でカットされたマルチシートを押し広げながら土中に巻き込んで埋めることが出来る構成である。
【0131】
次に、
図15(a)〜
図15(c)を用いて、熱電体式マルチシートカッター410について説明する。
【0132】
尚、本実施の形態の熱電体式マルチシートカッター410が、本発明の孔開け具の一例にあたる。
【0133】
図15(a)は、熱電体式マルチシートカッター410を備えた植付具28の概略背面図であり、
図15(b)は、熱電体式マルチシートカッター410を備えた植付具28の概略左側面図であり、
図15(c)は、熱電体式マルチシートカッター410を備えた植付具28の概略平面図である。
【0134】
同図に示す通り、熱電体式マルチシートカッター410は、平面視で略楕円状の帯状部材であって、植付具28の寸胴部28aの外周に所定の隙間をあけて配置されており、熱電体式マルチシートカッター410からの熱により、植付具28の内部に保持された苗を焼かない構成となっている。また、熱電体式マルチシートカッター410と寸胴部28aとの間の隙間411は、左側部材109Lと右側部材109Rが最大限開いた時に、寸胴部28aと接触しない幅に設定されている。また、熱電体式マルチシートカッター410のカット面410aの高さは、植付具28の下部が土中に最も深く入った時に、畝面3の表土に接触する高さに設定されている。これにより、カットされたマルチシートは土中に埋まる。
【0135】
次に、
図16(a)〜
図16(c)を用いて、マルチシートカッターの別の例を説明する。
【0136】
図16(a)は、マルチシートカッター本体450の斜視図であり、
図16(b)は、マルチシートカッター本体450の概略横断面図であり、
図16(c)は、マルチシートカッター本体450の内側に配置された電熱部453を模式的に示した平面図である。
【0137】
図16(a)に示す通り、マルチシートカッター本体450は、植付具28の駆動軸の内の一つであるクランクアーム駆動軸89から、上下動の駆動力を得る構成である。
【0138】
即ち、マルチシートカッター本体450の上面中央部に一端部が固定された作用アーム451は、垂直に立ち上がった立ち上がり部から右方向に直角に折れ曲がる他端部を有し、背面視で略L字状の形状を有するアームであり、その他端部が、右下アーム97の途中で、アーム回動連結軸452を介して回動自在に支持されている。また、マルチシートカッター本体450と植付具28との間隔Mは、1株間に設定されている。
【0139】
上記の通り、マルチシートカッター本体450は、その駆動軸が、植付具28のクランクアーム駆動軸89と共通化されており、植付具28の上下動と同期して上下動する構成である。また、マルチシートカッター本体450と植付具28との間隔Mは、1株間に設定されているので、マルチシートカット動作は、1株間分先行して行うことになる。
【0140】
尚、マルチシートカッター本体450と植付具28との間隔Mは、1株間に設定された構成について説明したが、これに限らず例えば、1株間より短い間隔に設定しても良い。その際、植付具28の上下動の位相と、マルチシートカット本体450の上下動の位相とをずらして設定する。このときは、クランクアーム駆動軸89により駆動するマルチシートカッター用クランクアーム及びマルチシートカッター用連結アーム及びマルチシートカッター用昇降アームからなるマルチシートカッター用上下動機構を設け、マルチシートカッター用クランクアームの位相をクランクアーム85の位相と異ならせ(クランクアーム駆動軸89への取付角度をマルチシートカッター用クランクアームとクランクアームとで異ならせ)、マルチシートカッター本体450及び作用アーム451を上下動させる構成とすればよい。尚、マルチシートカッター用クランクアームとクランクアーム85とを、植付装置駆動ケース27の左右に振り分けて配置することが望ましい。
【0141】
また、
図16(b)に示す通り、マルチシートカッター本体450は、平面視で外形が円形状であり、その外縁部が下方に向けて突き出したマルチカット部452と、マルチカット部452の内面側に配置された電熱部453とを有しており、外縁部の突き出した部位の先端がマルチシートをカットするカッター部454である。
【0142】
また、
図16(c)に示す通り、電熱部453は同心円状に電熱ヒータ453aが配置されている。
【0143】
これにより、マルチカット部452の内面側に配置された電熱部453は、その外周部分が、カッター部454により囲まれており、横風が電熱部453に直接当たりにくい構造となっている為、電熱部453が冷えにくく、作業効率が向上する。
【0144】
尚、電熱部453のマルチカット面を渦状にしてマルチシートに当たる面積を小さくした構成としても良い。これにより、電熱部453のマルチカット面を平面状にした場合と比較して、マルチカット面を渦状にした電熱部453は、マルチシートへの接触面積が小さくなるので冷えにくくなる。
【0145】
次に、
図1に示したたばこ苗移植機10の押さえ具110の上下動機構の詳細な構成及び動作について、
図17を用いて説明する。
【0146】
尚、押さえ具110を備えた構成では、上述したマルチシートへの穴開け装置は、
図15(a)〜
図15(c)に示した熱電体式マルチシートカッター410を用いるのが好ましい。ただし、
図16(a)〜
図16(c)に示した電熱部453を用いる場合は、例えば押さえ具110と電熱部453及び作用アーム451とが干渉しない構成とする等、押さえ具110と電熱部453との互いの構成部材が干渉しない構成とすればよい。
【0147】
本実施の形態のたばこ苗移植機10は、圃場に敷かれているマルチシートが浮き上がらなくするべく押さえる押さえ具110を備えている。
【0148】
図17に、本実施の形態の押さえ具上下動機構部分の側面図を示す。又、
図18(a)に、押さえ具110の平面図を示し、
図18(b)に、押さえ具110と左右の接地位置検出体36、37との位置関係を説明する平面図を示す。
図17、
図18(a)及び
図18(b)は、押さえ具上下動機構に関連する部分のみを示し、それ以外の部分の図示は省略している。
図17では、機体の側面側から見た位置関係をわかり易く説明するべく、植付深さロッド53の部分を破線で示している。
【0149】
本実施の形態の押さえ具110は、植付具28の上下動に同期して上下動する。押さえ具110は、植付具28によって苗株を圃場に植え付ける際に下降して、苗株が植え付けられるときにマルチシートを畝側に押さえ付ける。
【0150】
押さえ具110は、2本の棒状の押さえ部材119と、それらの押さえ部材119の前端を共通に固定する押さえ具支持アーム111を備える。押さえ具支持アーム111は、リフトロッド連結部118で、押さえ具リフトロッド112の下端部に連結している。
【0151】
尚、押さえ具支持アーム111が、本発明の上下回動アームの一例にあたる。
【0152】
後端に2本の押さえ部材119が固定された押さえ具支持アーム111は、平面視で左側接地位置検出体36と右側接地位置検出体37の間に配置され、押さえ部材119が上下に可動するべく、前端が機体フレームに回動自在に取り付けられている。そして、棒状の押さえ具支持アーム111の後端に固定支持された2本の押さえ部材119は、左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37の後方に配置されている。
【0153】
又、2本の押さえ部材119は、
図18(b)に示す通り、平面視で植付具28の左右に配置されており、それらの後端は、植付具28側、すなわち内側に向いている。
【0154】
又、2本の押さえ部材119は、
図17に示す通り、それらの後端はR形状で上方を向いている。
【0155】
この構成により、押さえ部材119が圃場に敷かれたマルチシートを押さえる際に、押さえ部材119の先端がマルチシートに突き刺さることを防止でき、マルチシートを破りにくくできる。
【0156】
又、押さえ部材119を樹脂でコーティングすることにより、さらにマルチシートを破りにくくすることができる。
【0157】
押さえ具支持アーム111は、押さえ具支持アーム111の途中部分に設けられているリフトロッド連結部118で、上方に向けて設けた押さえ具リフトロッド112の基部が回動自在に連結されている。
【0158】
押さえ具リフトロッド112は、その上方に押さえ具リフトピン120が立設しており、押さえ具リフトピン120が、押さえ具リフトアーム113の先端部の上面部分に係り合っている。押さえ具リフトアーム113の他端は、植付装置駆動ケース27の側面に突出した押さえ具リフトアーム支持軸114に回動自在に枢着されている。
【0159】
又、植付装置駆動ケース27から左側に突出したクランクアーム駆動軸89に固定されて回転する押さえ具駆動カム115を備えている。押さえ具リフトアーム113のアームの途中部分に回動自在に設けられている押さえ具回動ローラー116が押さえ具駆動カム115の周縁部に接触する構成で配置されており、押さえ具リフトピン120によって押さえ具リフトアーム113に係り合っている押さえ具リフトロッド112は、押さえ具回動ローラー116が押さえ具駆動カム115に接触する位置に対応して上方に引き上げられる。
【0160】
押さえ具駆動カム115は、
図5に示す通り、左下アーム83と右下アーム97の間に配置されている。押さえ具駆動カム115を、左下アーム83と右下アーム97の間に配置することで、押さえ具上下動機構の構成を小型にすることができる。
【0161】
植付装置駆動ケース27に、押さえ具リフトロッド112を通す丸孔が設けられたストッパー117が固定されている。
【0162】
又、押さえ具リフトロッド112の上部には、押さえ部材119の最下位置を規定する下動ストッパーピン121が取り付けられている。下動ストッパーピン121がストッパー117の上面に接触することにより、その位置よりも押さえ具リフトロッド112が下降しなくするべく規制され、そのときの押さえ部材119の位置が、上下動する押さえ部材119の最下位置となる。これにより、押さえ部材119が下がり過ぎて圃場に敷かれたマルチシートを破ってしまうことを防止することができる。
【0163】
押さえ具リフトロッド112の、下動ストッパーピン121を取り付ける位置を変更することにより、押さえ部材119の上下動の下限の位置を調節することができる。
【0164】
又、取り付け位置を変更できる下動ストッパーピン121をストッパー117の上面に設けたことにより、押さえ部材119の下限位置の調節の際に、無理な作業姿勢を強いられることなく、押さえ具リフトロッド112の上端側の高さ位置で容易に操作することができる。
【0165】
尚、押さえ具リフトロッド112及び下動ストッパーピン121を合わせた構成が、本発明の下限位置調節部材の一例にあたる。
【0166】
又、植付深さロッド53によって、左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37の回動中心軸である連結ステー丸軸部61の上下位置を変更するが、
図17及び
図18(b)に示す通り、押さえ具支持アーム111を、この植付深さロッド53の回動支点であるフレーム支持軸73の下側に配置している。
【0167】
押さえ部材119が、畝上の硬い土塊などに当たったときには、押さえ部材119が上方へ押し上げられる。その際、押さえ具支持アーム111が押し上げられるが、押さえ具支持アーム111がフレーム支持軸73に接触することにより、押さえ具110の上方への移動が、その位置で規制される。したがって、押さえ具支持アーム111がフレーム支持軸73に接触する位置が、押さえ部材119が移動できる上限の位置となり、押さえ部材119の上方への移動が規制される。すなわち、フレーム支持軸73が、押さえ部材119の上方への移動を規制するストッパーの機能を兼ねている。
【0168】
押さえ部材119の上方への移動が規制されることにより、押さえ具110が極端に上方へ移動することを防止し、安定して圃場に敷かれたマルチシートを押さえることができる。
【0169】
次に、この通りに構成された押さえ具上下動機構の動作について説明する。
【0170】
クランクアーム駆動軸89の回転とともに、押さえ具駆動カム115が回転し、押さえ具駆動カム115の周縁部の形状の変化に対応して、押さえ具リフトアーム113が押さえ具リフトアーム支持軸114を中心として回動する。
【0171】
押さえ具リフトアーム113の回動に伴い、押さえ具リフトアーム113の先端に係り合う押さえ具リフトロッド112が上下動する。そして、押さえ具リフトロッド112の上下動に対応して、押さえ具支持アーム111を介して押さえ部材119が上下動する。
【0172】
押さえ具駆動カム115は、植付具28を昇降させる昇降リンク機構29の上下動を制御するクランクアーム85を駆動するクランクアーム駆動軸89とともに回転するので、押さえ具110は、植付具28の昇降動作に同期して上下動する。
【0173】
植付具28の昇降動作に対する押さえ具110の上下動のタイミングは、押さえ具駆動カム115の周囲形状により自由に設定することができる。
【0174】
植付具28が上昇位置にあるとき、すなわち苗株が供給カップ33から植付具28へ供給されるときは、押さえ具110も上方へ持ち上げる構成とし、植付具28が下降して植え付け位置にあるときは、押さえ具110を圃場面に敷かれたマルチシートを押さえる位置まで下降する位置と為らせる。
【0175】
この通り、植付具28を上下動させる駆動軸であるクランクアーム駆動軸89によって押さえ具上下動機構を作動させる構成としたので、植付具28と押さえ具110が同じ駆動軸で駆動されて両者に駆動タイミングの誤差が生じることが少なくなり、苗株を植え付ける適切なタイミングでマルチシートを畝側に押さえ付けることができる。
【0176】
尚、
図18(a)及び
図18(b)に示す2本の押さえ部材119の押さえ具支持アーム113への取り付け角度を調節可能とし、植付具28の開き量に対応して2本の押さえ部材119がなす角度を変更できる構成としてもよい。
【0177】
次に、
図19(a)、
図19(b)、
図20(a)〜
図20(d)を用いて、本発明の植付具に関連する発明の一実施の形態である、土寄せ板付き植付具430の構成と動作について説明する。
【0178】
図19(a)は、左右一対の土寄せ板431の先端にローラー432を備えていないタイプの動作を模式的に表した動作説明図であり、
図19(b)は、左右一対の土寄せ板431の先端にローラー432を備えたタイプの動作を模式的に表した動作説明図である。双方の図では、土寄せ板付き植付具430を機体の後方から視た状態を示している。
【0179】
図19(a)に示す通り、土寄せ板付き植付具430は、左側部材109L、及び右側部材109Rのそれぞれの先端部に、長板状の土寄せ板431が蝶番431aを介して回動可能に取り付けられている。
【0180】
また、
図19(b)に示す土寄せ板付き植付具430は、左右一対の土寄せ板431の先端に、ローラー432を回動自在に備えている。
【0181】
双方の動作は、ローラー432の有無を除き、基本的に同じであるので、
図19(a)と
図19(b)を参照しながら同時に説明する。
【0182】
即ち、土寄せ板付き植付具430が上死点から下降中は(STEP20、STEP30参照)、土寄せ板431は自重で垂れ下がっているが、更に下降を続けて、土寄せ板431の先端が畝面3に当たると、それぞれの先端部が互いに遠ざかる方向(
図19(a)、
図19(b)の矢印A参照)に回動して(
図19(b)のSTEP31参照)、左側部材109L、及び右側部材109Rの表面に沿いながら、植付具先端と共に土中に突き刺さる(STEP21、STEP32参照)。
【0183】
土寄せ板付き植付具430が下死点まで下降すると植付具の下部が土中において左右方向に開き、苗2を自重で落下させる(STEP22、STEP33参照)。
【0184】
その後、土寄せ板付き植付具430が上昇する際に、土中から出てきた左右一対の土寄せ板431は、自重によって矢印B方向に移動を始める(STEP23、STEP34参照)。その時、土寄せ板431の移動にともない、植付穴の周囲の土も同時に植付穴に向けてかき寄せられるので、苗2の根元部に土が寄せられる。
【0185】
これにより、苗2の根元にまで土を寄せることが出来る。また、自重で落下した苗2と植付穴との隙間を、左右方向からほぼ均等に、且つすぐに塞ぐことが出来るので、苗姿勢が良くなる。
【0186】
尚、
図19(b)に示す通り、土寄せ板431の先端にローラー432を取り付けることにより、土寄せ板付き植付具430が下降時に(STEP20、STEP30参照)、土寄せ板431の先端が土中に突き刺さることを防止し、土寄せ板431を確実に矢印A方向に移動させることが出来る。
【0187】
次に、
図20(a)〜
図20(d)を用いて、更に、土寄せ板431の変形例を説明する。
【0188】
図20(a)は、左右一対の土寄せ板431のそれぞれに、土寄せ板の閉じ幅を調整出来る調節ボルト433を回動可能に、且つ、その先端同士が対向する位置に取り付けた構成を模式的に示す図である。
【0189】
同図に示す通り、調節ボルト433を回動することで、土寄せ板431からの調節ボルト433の先端部の飛び出し寸法が調節できる構成である。これにより、双方の調節ボルト433の先端部の飛び出し寸法を長くすれば、土寄せ板431同士の閉じ幅を広く設定でき、逆に先端部の飛び出し寸法を短くすれば、土寄せ板431同士の閉じ幅を狭く設定出来る。
【0190】
また、
図20(b)は、左右一対の土寄せ板431のそれぞれに、土寄せ板自体の自重を調節できるドーナツ型の錘440を着脱自在に保持する錘ステー441を取り付けた構成を模式的に示す図である。
【0191】
同図に示す通り、錘ステー441に取り付ける錘440の数を調節することにより、土寄せ板431が土をかき寄せるときの(
図19(a)のSTEP23、
図19(b)のSTEP34参照)、土寄せ板431が土に与える荷重を調節することが出来る。
【0192】
また、
図20(c)は、左右一対の土寄せ板431の内側にそれぞれ、長板状の苗ガイド板431bを3つ垂直に取り付けた構成を模式的に示す図であり、
図20(d)は、その土寄せ板431を内側から見た概略斜視図である。
【0193】
同図に示す通り、苗ガイド板431bが土寄せ板431の内側に設けられていることにより、土寄せ板431が閉じた際、垂直に配置された苗ガイド板431bに沿って、苗2が立たされるので、苗2の姿勢を矯正出来る。
【0194】
次に、
図21(a)〜
図21(c)、
図22を用いて、噛み合い伝達式無段変速機構について説明する。
【0195】
尚、ここで説明する噛み合い伝達式無段変速機構は、上記実施の形態で説明した苗移植機10の走行系等に適用可能である。
【0196】
図21(a)は、噛み合い伝達式無段変速機構500を説明する概略模式図であり、
図21(b)は、
図21(a)の第1スプロケット510の概略平面図であり、
図21(c)は、
図21(a)の第2スプロケット520の概略平面図である。また、
図22は、
図21(a)の直径可変駆動軸530の概略平面図である。
【0197】
図22に示す通り、直径可変駆動軸530は、円柱状の胴部531の両端に、所定の厚みを有する鍔部532a、532bが固定された、外観が略鼓状を呈した駆動軸部材であって、鍔部532a、532bは、その厚み部分を胴部531の中心軸と直交する平面で切断した際に、その切断面が円形であり、且つ、胴部531から遠ざかるに従って、その円形の直径が滑らかに大きくなる傾斜面を有する構成である。また、鍔部532a、532bの傾斜面には、胴部531の軸方向に沿って、互いに同期してスライド移動可能な歯533a、533bが一つずつ配置されている。
【0198】
また、
図21(a)〜
図21(c)に示す通り直径可変駆動軸530と第1スプロケット510とは、歯533aを介して第1チェーン550により連結されており、また、直径可変駆動軸530と第2スプロケット520とは、歯533bを介して第2チェーン555により連結されている。
【0199】
また、第1スプロケット510は、第1ギヤ511と第2ギヤ512が、軸513に固定されて、回動可能に支持されている。また、軸513の両端は、バネ514で引っ張られて、直径可変駆動軸530との間の第1チェーン550のたるみを自動調節する構成である。
【0200】
また、第2スプロケット520は、第3ギヤ521と第4ギヤ522が、軸523に固定されて、回動可能に支持されている。また、軸523の両端は、バネ524で引っ張られて、直径可変駆動軸530との間の第2チェーン555のたるみを自動調節する構成である。
【0201】
また、第2ギヤ512は、従動軸540の両端の内の一方端にワンウェイクラッチを介して取り付けられた第5ギヤ541と、第3チェーン560により連結されている。
【0202】
また、第4ギヤ522は、従動軸540の両端の内の他方端にワンウェイクラッチを介して取り付けられた第6ギヤ542と、第4チェーン565により連結されている。
【0203】
即ち、第3チェーン560が
図21(a)の矢印方向に動くことにより、第5ギヤ541が矢印D方向に回動して、従動軸本体540aは矢印D方向に回動するが、第6ギヤ542はワンウェイクラッチの働きにより空回りするので、第4チェーン565は動かない。
【0204】
一方、第4チェーン565が
図21(a)の矢印方向に動くことにより、第6ギヤ542が矢印E方向に回動して、従動軸本体540aは矢印E方向に回動するが、第5ギヤ541はワンウェイクラッチの働きにより空回りするので、第3チェーン560は動かない。
【0205】
また、直径可変駆動軸530が矢印F方向に回動して、歯533aが第1チェーン550から外れる位置まで移動すると、常時、第1チェーン550に付勢されている第1バネ鋼551によって、第1チェーン550が、予め定められた位置に戻される構成である。ここで、予め定められた位置とは、歯533aが再び第1チェーン550に掛かるときに、スムーズに掛かることが出来る位置である。
【0206】
また、直径可変駆動軸530が矢印F方向に回動して、歯533bが第2チェーン555から外れる位置まで移動すると、常時、第2チェーン555に付勢されている第2バネ鋼556によって、第2チェーン555が、予め定められた位置に戻される構成である。ここで、予め定められた位置とは、歯533bが再び第2チェーン555と噛み合うときに、スムーズに噛み合うことが出来る位置である。
【0207】
以上の構成により、直径可変駆動軸530の歯533a、533bが
図21(a)に示した直径可変駆動軸530の右半分の領域に位置している時は、歯533aが第1チェーン550と噛み合うので、第1スプロケット510が回動して、第3チェーン560が回されて、従動軸本体540aが第5ギヤ541を介して矢印D方向に回動する。
【0208】
その後、直径可変駆動軸530の歯533a、533bが
図21(a)に示した直径可変駆動軸530の左半分の領域に移動すると、歯533aと第1チェーン550との噛み合いが外れるので、第1スプロケット510は回動を停止するが、それと同時に、歯533bが第2チェーン555と噛み合うので、第2スプロケット520が回動して、第4チェーン565が回されて、従動軸本体540aが第6ギヤ542を介して矢印E方向に回動を開始する。
【0209】
以上の動作を繰り返すことにより、直径可変駆動軸530が回動することにより、常に、第1チェーン550、又は第2チェーン555の何れか一方が回るので、従動軸本体540aは常に一定方向に回動する。
【0210】
また、
図22に示した通り、歯533a、533bが、鍔部532a、532bの傾斜面において、胴部531の軸方向に沿って、互いに同期してスライド移動することで、鍔部532aにおける第1チェーン550と歯533aとの噛み合い直径が変わると共に、鍔部532bにおける第2チェーン555と歯533bとの噛み合い直径がリニアに変わるので、チェーン送り速度がリニアに変わり、無段変速が可能となる。
【0211】
また、噛み合い伝達式なので、滑りが生じることが無く、大トルクの変速が可能となる。
【0212】
尚、上記実施の形態では、植付具28の先端部分の構成例として、
図11(a)〜
図11(c)で示した例により説明したが、これに限らず例えば、
図23(a)、
図23(b)に示す通り、寸胴部28aと尖り部28bの長さがほぼ同じタイプ、
図24(a)、
図24(b)に示す通り、寸胴部28aが尖り部28bの長さより長いタイプ、或いは、
図25(a)、
図25(b)に示す通り、寸胴部28aが尖り部28bの長さより長く、且つ、寸胴部28aの内径が
図24(a)、
図24(b)に示した植付具の寸胴部の内径より大きいタイプであっても良い。例えば、
図24(a)、(b)に示す植付具の構成によれば、寸胴部が細くて長いので、深くて細長い筒状の植付穴が形成出来、また、
図25(a)、(b)に示す植付具の構成によれば、寸胴部が太くて長いので、深くて径の大きい筒状の植付穴が形成出来る。
【0213】
また、上記実施の形態では、本発明の植付具を、移植対象物を収容する複数の供給カップ33を周回経路に沿ってリング状に移動可能に配置した苗供給装置31を備えた苗移植機に適用した構成について説明したが、これに限らず例えば、走行車体に、縦横に多数のポットを備えた苗トレイを載置する苗供給装置と、畝に苗を植え付ける苗植付装置と、苗供給装置の苗トレイから苗を1つずつ取り出して苗植付装置へと供給する苗取出装置とを備えた移植機に適用する構成であっても良い。
【0214】
また、上記実施の形態では、噛み合い伝達式無段変速機構500を本発明の移植機の一例であるたばこ苗移植機に用いた構成について説明したが、これに限らず例えば、従来の移植機に用いても良い。
【0215】
また、上記実施の形態では、本発明の移植対象物の一例としてたばこ苗を用いて説明したが、これに限らず例えば、玉葱、レタス等の苗株や種芋等、移植対象物はどのような種類でも良い。