(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成によると、無負荷検出後に、徐々に出力電圧が低減されるため、所定の低電圧状態に到達するまでの時間が長い。従って、この出力電圧の低減期間においてはLED駆動装置の出力端子には高電圧が発生しているため、所望の保護機能が発揮されていない。従って、無負荷検出後は出力電圧を直ちに低出力電圧まで低下させることが望ましい。
【0005】
ところで、入力電源が交流電源である場合に、コンバータ回路の一次側には140V(AC100V時)から280V(AC200V時)程度の電圧が印加される。このような高い一次電圧から抵抗を介して5〜15V程度の制御電圧を直接生成する構成は損失が大きく、また、電圧レギュレータによって上記制御電圧を直接生成する構成は高コストとなってしまう。従って、一般的には、入力電源が交流電源である場合には、コンバータ回路の二次側等に発生する電力が利用されて制御電源が生成される。ここで、特許文献1の構成によると、出力電圧は、所定の低出力電圧に到達した後も減少を続ける。従って、入力電源が交流電源でありかつコンバータ回路の二次側出力に応じて制御電源が生成される構成において出力電圧が低減されると、出力電圧が非常に低くなった時点で制御電源が確保されなくなり、保護状態が維持されなくなる可能性がある。また、出力電圧が停止される場合も同様に保護状態が維持されない。
【0006】
そこで、本発明は、スイッチング電源回路の駆動に応じて制御電圧を生成する構成のLED電源装置において、無負荷時にLED電源装置の出力電圧を直ちに低出力電圧まで低下させ、かつ低出力電圧を保持する構成を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のLED電源装置は、LEDに直流出力電流を供給するスイッチング電源回路と、スイッチング電源回路の駆動に応じて制御電圧を生成する補助電源回路と、制御電圧が供給されてスイッチング電源回路の出力電圧を定電圧制御するための定電圧制御部を有する制御回路と、スイッチング電源回路が無負荷状態であることが検出された場合にスイッチング電源回路の出力電圧を低出力電圧まで低下させるように定電圧制御部を動作させる電圧切換回路を備え、低出力電圧は、安全特別低電圧以下であり、かつスイッチング電源回路が低出力電圧を出力するように駆動される場合に制御電圧が確保されるように設定される。一実施形態として、安全特別低電圧は電気用品安全法に規定される45Vである。
【0008】
このように、電圧切換回路は、スイッチング電源回路が無負荷状態であることが検出された場合に電源出力電圧を低出力電圧まで低下させるように定電圧制御部を動作させ、安全特別低電圧以下でかつ制御電圧が確保される電圧以上となるように低出力電圧が設定される。従って、スイッチング電源回路の出力に応じた制御電圧を生成する構成のLED電源装置において、無負荷時に出力電圧を直ちに安全な低出力電圧まで低下させ、かつ低出力電圧を保持することが可能となる。
【0009】
ここで、定電圧制御部は、出力電圧を検出して電圧検出値を生成する第1の抵抗回路と、出力電圧の目標値に対応する電圧基準値を生成する第2の抵抗回路と、電圧検出値が電圧基準値に一致するようにスイッチング電源回路を動作させるための誤差増幅器とを備え、電圧切換回路は、無負荷状態を検出して無負荷検出信号を生成する無負荷検出回路と、サイリスタと、無負荷検出信号が入力されるとサイリスタを導通させる前段スイッチ回路とを備え、サイリスタが導通すると第1の抵抗回路又は第2の抵抗回路の合成抵抗値が切り換えられるように構成され、無負荷信号の解除後にサイリスタの導通状態が制御電圧からの通電によって保持されるように構成される。これによると、無負荷状態においてもスイッチング電源回路の低出力状態が保持され、保護動作の継続が確実に実現される。
【0010】
本発明のLED照明装置は、上記のLED電源装置と、LED電源装置から給電されるLEDを有するLEDモジュールとを備える。これにより、LEDモジュールの取り外し、取り付け、交換等の安全性が向上したLED照明装置が実現される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、本発明の実施形態に係るLED電源装置1及びそれを用いたLED照明装置3の回路構成図を示す。LED照明装置3はLED電源装置1及びLEDモジュール2を含む。交流電源ACからの入力電圧がLED電源装置1の入力端子T1及びT2に入力され、LED電源装置1の出力端子T3及びT4からの直流出力がLEDモジュール2の端子T5及びT6に供給される。LEDモジュール2は、端子T5と端子T6間に直列接続された複数のLED20を含む。
【0013】
LED電源装置1は入力回路100、スイッチング電源回路200、補助電源回路300、制御回路400及び電圧切換回路500を含む。なお、本明細書における説明において、各回路又は構成要素が上記のどのブロックに属するかは便宜的なものであり、本発明を拘束するものではない。
【0014】
入力回路100は全波整流器101及びコンデンサ102を含む。入力回路100において、全波整流器101はダイオードブリッジからなり、交流電源ACからの入力電圧が全波整流器101によって全波整流され、その全波整流出力がスイッチング電源回路200に入力される。なお、入力電源が直流電源である場合には入力回路100は不要である。
【0015】
スイッチング電源回路200はスイッチング素子201、トランス202、ダイオード203及び平滑コンデンサ204を含む。スイッチング電源回路200は絶縁型フライバックコンバータからなり、力率改善機能を持つ所謂ワンコンバータ方式のフライバック降圧回路を構成する。
【0016】
スイッチング電源回路200において、スイッチング素子201のオン期間にトランス202の一次巻線N1によってエネルギーが蓄積され、スイッチング素子201のオフ期間にそのエネルギーがトランス202の二次巻線N2側からダイオード203を介して平滑コンデンサ204に充電される。降圧比は一次巻線N1に対する二次巻線N2の巻数比によって決まり、出力電流はスイッチング素子201のPWM制御におけるオンデューティ(オン期間幅)によって決まる。なお、以降の説明において、スイッチング電源回路200の出力電流(LEDモジュール2が接続されている場合のLED電流)を電源出力電流といい、スイッチング電源回路200の出力電圧(LEDモジュール2が接続されている場合のLED電圧(Vf))を電源出力電圧というものとする。
【0017】
補助電源回路300は、スイッチング電源回路200のトランス202の補助巻線N3及びN4に発生する電圧から制御回路400及び電圧切換回路500への制御電源(制御電圧ともいう)を生成する。補助電源回路300は補助巻線N3側の第1の補助電源部310及び補助巻線N4側の第2の補助電源部320を有する。
【0018】
補助電源部310は、補助巻線N3に発生する電圧を整流及び平滑するダイオード311及びコンデンサ312と、コンデンサ312の電圧から定電圧を生成するための抵抗313及び定電圧ダイオード314とを含む。この定電圧ダイオード314によって決まる電圧は制御回路400の定電流制御部410及び定電圧制御部420並びに電圧切換回路500の制御電源Vccとなる。なお、定電圧ダイオード314の代わりに電圧レギュレータを用いてもよい。
【0019】
補助電源部320は、補助巻線N4に発生する電圧を整流及び平滑するダイオード321及びコンデンサ322と、スイッチング電源回路200の一次電圧を引き込む起動抵抗323とを含み、制御回路400のPWM制御回路434の制御電源を生成する。PWM制御回路434(ドライバIC)は、起動時には起動抵抗323を介して給電され、起動後は補助巻線N4からの給電により動作する。
【0020】
このようにトランス202の補助巻線から制御電源を生成する構成は、例えばトランス一次側の高電位側の配線から抵抗による電圧降下を利用して制御電源を生成する構成よりも、少ない損失で充分なエネルギーを得ることができるので好適である。また一般に、誤差増幅器415及び425等のオペアンプIC及びその周辺の動作に必要な制御電源とPWM制御回路434を構成するドライバICの動作に必要な制御電源とは、その電圧及び電流容量等において異なる。本実施形態においては、基準電位の異なる回路に制御電源を供給するために第1及び第2の補助電源部が設けられるが、これに付随する利点として、それぞれの回路に対して異なる電圧又は電流の補助電源部を構成することができる。例えば、補助巻線N3及びN4の巻き数によって補助電源部310及び320への電力供給量をそれぞれ設定することができる。
【0021】
制御回路400は定電流制御部410、定電圧制御部420及び駆動制御部430を含む。概略として、定電流制御部410がスイッチング電源回路200の出力を定電流制御するために動作し、定電圧制御部420がスイッチング電源回路200の出力を定電圧制御するために動作し、駆動信号生成部430がいずれか一方の動作を選択してスイッチング素子201をPWM制御する。すなわち、スイッチング素子201は、制御回路400によって、定電流制御又は定電圧制御のいずれか一方を行うようにPWM制御される。
【0022】
定電流制御部410は、電流検出抵抗411、電源出力電流(すなわち、LED電流)の目標値に対応する電圧(以下、「電流基準値」という)を決定する抵抗412及び413並びに誤差増幅器415を含む。電流検出抵抗411はスイッチング電源回路200の平滑コンデンサ204の基準電位側ノードと出力端子T4の間に挿入された低抵抗素子からなる。電源出力電流に比例した電圧(以下、「電流検出値」という)が電流検出抵抗411に発生し、誤差増幅器415の負入力端子に入力される。抵抗412及び413は制御電源Vccとグランド間に接続され、その分圧値が電流基準値として誤差増幅器415の正入力端子に入力される。なお、誤差増幅器415の負入力端子と出力端子間には不図示の帰還素子(抵抗、コンデンサ、又はこれらの直列回路若しくは並列回路)が接続されるものとする。誤差増幅器415は制御電源Vccの給電を受けて動作し、負入力端子に入力される電流検出値と、正入力端子に入力される電流基準値との誤差を増幅して出力する。言い換えると、駆動信号生成部430において定電流制御が選択されている場合には、定電流制御部410は電流検出値が電流基準値に一致するようにスイッチング電源回路200を動作させることになる。
【0023】
定電圧制御部420は、電圧検出用の抵抗421及び422(第1の抵抗回路)、電源出力電圧の目標値に対応する電圧(以下、「電圧基準値」という)を決定する抵抗423及び424(第2の抵抗回路)並びに誤差増幅器425を含む。抵抗421及び422はスイッチング電源回路200の平滑コンデンサ204に並列接続された分圧抵抗回路からなる。電源出力電圧に比例した電圧(以下、「電圧検出値」)が抵抗422に発生し、誤差増幅器425の負入力端子に入力される。抵抗423及び424は制御電源Vccとグランド間に接続され、その分圧値が電圧基準値として誤差増幅器425の正入力端子に入力される。なお、誤差増幅器415と同様に、誤差増幅器425の負入力端子と出力端子間にも不図示の帰還素子(抵抗、コンデンサ、又はこれらの直列回路若しくは並列回路)が接続されるものとする。誤差増幅器425は制御電源Vccの給電を受けて動作し、負入力端子に入力される電圧検出値(VSNS)と、正入力端子に入力される電圧基準値との誤差を増幅して出力する。言い換えると、駆動信号生成部430において定電圧制御が選択されている場合には、定電圧制御部420は電圧検出値が電圧基準値に一致するようにスイッチング電源回路200を動作させることになる。なお、誤差増幅器415及び425は同一のICに内蔵されたオペアンプで構成することができる。
【0024】
駆動信号生成部430は、選択回路431、フォトカプラ432、抵抗433及びPWM制御回路434を含む。選択回路431は、例えばダイオードOR回路からなり、定電流制御部410の誤差増幅器415の出力端子電圧又は定電圧制御部420の誤差増幅器425の出力端子電圧のいずれかを有効にする。フォトカプラ432のフォトダイオードのアノードは制御電源Vccに抵抗433を介して接続される。なお、抵抗433はフォトダイオードのカソード側に挿入されていてもよい。フォトカプラ432のフォトトランジスタには、フォトダイオードに流れる電流(発光)に応じた出力電流が流れる。PWM制御回路434はフォトカプラ432のフォトトランジスタの出力状態に応じたパルス幅のPWM駆動信号を生成し、それをスイッチング素子201のゲート電圧として出力する。
【0025】
LED電源装置1及びLEDモジュール2が正常な場合の動作(以下、「通常点灯動作」という)においては、基本的には、選択回路431によって誤差増幅器415の動作が選択されて、電源出力電流のフィードバックによる定電流制御が行われる。ここで、通常点灯動作時において、定電流制御が行われる場合であってもLED20の電圧降下Vfが大きい場合には、電源出力電圧が設定値を超える可能性がある。このような場合には、選択回路431によって誤差増幅器425の動作が選択されて定電圧制御が行われる。従って、通常点灯動作時においては、電源出力電圧の目標値(すなわち、リミッタ電圧)はLED20が正常に点灯している場合の合計電圧降下Vfよりも高く設定され、電圧基準値もこれに対応して設定されている。
【0026】
また、LEDモジュール2が取り外され、又はLEDモジュール2のLED20のいずれかが断線してLED電源装置1が無負荷状態となった場合の動作(以下、「無負荷用動作」という)では、選択回路431によって誤差増幅器425の動作が選択される。これにより、電源出力電圧がリミッタ電圧となるように定電圧制御が行われる。詳細を後述するように、本発明においては、無負荷動作時のリミッタ電圧は、通常点灯用動作時のリミッタ電圧よりも低く設定され、具体的には、電気用品安全法(J60598−1(H14))における安全特別低電圧(SELV)である45V以下に設定される。
【0027】
電圧切換回路500は、無負荷検出回路510、前段スイッチ回路520、サイリスタ回路530及び後段スイッチ回路540を含む。なお、各回路の抵抗値、ツェナー電圧、トランジスタ特性は以降の説明の動作を実行できるように適宜設定されているものとする。また、各トランジスタをバイポーラトランジスタとして説明するが、各抵抗値等を適切に選定することにより各トランジスタをMOSFET等のFETに置き換えることも可能である。この場合、以降の説明におけるベース端子、コレクタ端子及びエミッタ端子はそれぞれゲート端子、ドレイン端子及びソース端子と読み替えられるものとする。
【0028】
無負荷検出回路510は抵抗511、抵抗512、定電圧ダイオード513及び抵抗514を含み、無負荷状態を検出して無負荷検出信号を生成する。具体的には、抵抗511及び512はスイッチング電源回路200の二次側高電位ライン(Vout)とグランド間に接続され、電源出力電圧を分圧する。その分圧点が定電圧ダイオード513のカソードに接続される。これにより、分圧値が無負荷検出用の設定値を超えると定電圧ダイオード513がオン状態となり、定電圧ダイオード513のアノード側から無負荷検出信号が出力される。
【0029】
前段スイッチ回路520は抵抗521、コンデンサ522、トランジスタ523、トランジスタ524、抵抗525及び抵抗526を含み、無負荷検出信号が入力されるとサイリスタ531を導通させる。具体的には、制御電源Vccから抵抗521を介してコンデンサ522が充電され、充電電圧がトランジスタ523のエミッタ端子に入力される。トランジスタ524のベース端子に入力される無負荷検出信号によってトランジスタ524がオンすると、トランジスタ523のベース端子がグランドに接続され、トランジスタ523がオンする。トランジスタ523がオンすると、コンデンサ522の充電電圧が抵抗525及び526に印加され、抵抗525と抵抗526の接続点の電位が上昇する。
【0030】
サイリスタ回路530はサイリスタ531及び抵抗532を含む。サイリスタ531は、上記の抵抗525と抵抗526の接続点の電位の上昇により導通し、制御電源Vccから抵抗532を介して通電される。
【0031】
後段スイッチ回路540はダイオード541、抵抗542、抵抗543、トランジスタ544、抵抗545、抵抗546、トランジスタ547及び抵抗548を含む。スイッチ回路540は、サイリスタ531の導通に応じて抵抗548を抵抗424に並列接続させて誤差増幅器425の正入力端子とグランド間の合成抵抗値を低下させる。
【0032】
サイリスタ531がオフ状態の場合、ダイオード541はオン状態となっている。従って、トランジスタ544のベース端子には、抵抗532及び542の並列抵抗と抵抗543による制御電源Vccの分圧電圧が印加され、トランジスタ544はオン状態となっている。すなわち、トランジスタ547のベース端子はグランド電位となっているため、トランジスタ547はオフ状態となる。すなわち、誤差増幅器425の正入力端子とグランド間には抵抗424のみが接続される。
【0033】
一方、サイリスタ531がオン状態の場合には、ダイオード541のアノードがグランド電位となり、ダイオード541はオフ状態となる。従って、トランジスタ544のベース端子には、抵抗542と抵抗543による制御電源Vccの分圧電圧(抵抗532及び542の並列抵抗と抵抗543で分圧した電圧より低い電圧)が印加され、トランジスタ544はオフ状態となる。従って、トランジスタ547のベース端子には抵抗542と抵抗543による制御電源Vccの分圧電圧が印加され、トランジスタ547はオン状態となる。すなわち、誤差増幅器425の正入力端子には抵抗424及び548の並列回路が接続される。このように、電圧切換回路500によると、無負荷検出回路510が無負荷検出信号を出力すると抵抗424に対して抵抗548が並列接続され、電圧基準値が低下する。
【0034】
電圧切換回路500が一旦作動した後の動作について説明する。電圧切換回路500が作動した後も負荷電流(すなわち、LED電流)を継続して流すことが重要である。トランス202の1次巻線N1及び2次巻線N2によって低出力電圧及び電流が生成されると、補助巻線N3及びN4にも電圧及び電流が発生する。この補助巻線N3及びN4に発生するエネルギーにより制御電源Vccが確保されるとともにPWM制御回路434の制御電源も確保され、スイッチング電源回路200の発振動作、制御回路400及び電圧切換回路500の制御動作が維持される。このように、スイッチング電源回路200がこの低出力電圧を出力するように駆動される場合に第1及び第2の制御電源が確保されるように低出力電圧が設定される。なお、低出力電圧は制御電源(5V〜15V)よりも高い値に設定される。
【0035】
また、電源出力電圧が低下すると、無負荷検出回路510による無負荷検出信号が解除されるが、サイリスタ531には制御電源Vccから抵抗532を介して電流が流れているため、これが保持電流となりサイリスタ531のオン状態が維持される。これにより、スイッチング電源回路200は低出力電圧の出力を継続することができる。
【0036】
ここで、前述したように、低出力電圧は安全特別低電圧である45V以下に設定される。従って、無負荷時には、LED電源装置1の出力端子T3−T4間は45V以下に維持される。これにより、交流電源が投入されているがLEDモジュール2が取り付けられていないLED電源装置1の取り扱い(メンテナンス、清掃等)、そのようなLED電源装置1へのLEDモジュール2の取り付け、又はLEDモジュール2の交換におけるユーザの安全性が向上する。
【0037】
図3に上記の保護動作のタイミングチャートを示す。時刻t1までは通常点灯動作が行われていたものとする。時刻t1において、LEDモジュール2がLED電源装置1から取り外され、又はLED20のいずれかが断線して、LED電源装置1が無負荷状態となったものとする。無負荷状態の発生により、電源出力電圧が上昇する。
【0038】
時刻t2において、無負荷検出回路510における電源出力電圧の検出値が設定値Vnを超え、無負荷検出信号が出力される。これにより、トランジスタ524がオンし、サイリスタ531がオンし、サイリスタ531の導通により電圧基準値が低下し、電源出力電圧は低下する。このとき、電源出力電圧の低下速度は定電圧制御の応答速度等に依存するが、実質的に瞬時の出力低下が行われる。従って、トランジスタ524のオン状態は一時的なものであるが、上述したようにサイリスタ531のオン状態はラッチされる。その後、定電圧制御部420における低下した電圧基準値による定電圧制御により、電源出力電圧は安全特別低電圧(45V)以下の低出力電圧Vsに維持される。なお、電源出力電圧のグラフにおける点線は、電圧切換回路500がなかったとした場合の電源出力電圧を示すものである。
【0039】
以上のように、本実施形態の電圧切換回路500によると、スイッチング電源回路200が無負荷状態であることが検出された場合に電源出力電圧を低出力電圧まで低下させるように定電圧制御部420を動作させる。そして、低出力電圧は、安全特別低電圧(45V)以下であり、かつスイッチング電源回路200が低出力電圧を出力するように駆動される場合に制御電圧が確保されるように設定される。従って、スイッチング電源回路200の出力に応じた制御電圧を生成する構成のLED電源装置1において、無負荷時に電源出力電圧を直ちに安全な低出力電圧まで低下させ、かつその低出力電圧を保持することが可能となる。
【0040】
また、電圧切換回路500は、無負荷検出回路510からの無負荷検出信号が出力されるとサイリスタ531を導通させ、抵抗424に抵抗548が並列接続されて電圧基準値が低下するように構成される。そして、無負荷検出信号の解除後にサイリスタ531の導通状態が制御電圧からの通電によって保持される。従って、無負荷状態においてもスイッチング電源回路200の低出力状態が保持され、保護動作の継続が確実に実現される。
【0041】
そして、上記のようなLED電源装置1を用いることにより、LED照明装置3において、LEDモジュール2の取り外し、取り付け、交換等における安全性を向上することができる。
【0042】
<変形例>
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は、例えば以下に示すように種々の態様に変形可能である。
【0043】
・スイッチング電源回路200の回路構成の変形
上記実施形態においては、スイッチング電源回路200として、いわゆるワンコンバータ方式の絶縁型フライバックコンバータを示したが、スイッチング電源回路200は他の方式の降圧コンバータであってもよい。例えば、スイッチング電源回路200は力率改善回路及びフライバックコンバータ回路からなる回路であってもよい。この場合、補助電源回路300の補助巻線N3及びN4は、フライバックコンバータ回路を構成するトランス又は力率改善回路を構成するコイルに設けられた補助巻線であればよい。また、スイッチング電源回路200は力率改善回路及び非絶縁型の降圧チョッパ回路からなる回路であってもよい。この場合、補助電源回路300の補助巻線N3及びN4は、降圧チョッパ回路を構成するチョークコイルに設けられた補助巻線であればよい。あるいは、このような非絶縁型のコンバータの場合、制御回路400及び電圧切換回路500の回路は全て同じ基準電位(グランド)となるので、チョークコイルに設けられた1つの補助巻線から全ての制御電源が生成される構成としてもよい。
【0044】
・補助電源回路300の変形
上記実施形態及び変形例においては、スイッチング電源回路200の駆動に応じて制御電圧を生成する構成として、トランス202等のインダクタ素子の補助巻線から制御電源が生成される構成を示したが、補助電源回路300の構成はこれに限られない。例えば、
図4に示すように、駆動信号生成部430側の制御電源が、スイッチング素子201に並列接続されたスナバ回路250から生成される構成としてもよい。スナバ回路250は直列接続されたコンデンサ251及びダイオード252からなり、スイッチング素子201のドレイン端子にコンデンサ251が接続され、ソース端子(基準電位)にダイオード252のアノードが接続される。そして、コンデンサ251とダイオード252の接続点が補助電源部320のダイオード321のアノードに接続される。これにより、スイッチング電源回路200の動作時にコンデンサ251に発生し得るパルス状の電圧を電源電圧の生成に利用することができる。
【0045】
・電圧切換回路500の変形(1)
上記実施形態においては、サイリスタ531と誤差増幅器425の正入力端子との間に後段スイッチ回路540を設ける構成を示したが、サイリスタ回路531と誤差増幅器425の正入力端子とを直接接続する構成としてもよい。例えば、
図5に示すように、サイリスタ回路530をサイリスタ531及び抵抗535で構成し、サイリスタ531を抵抗535とグランド間に接続してもよい。但し、この場合に上記実施形態と同様の効果を得るには、制御電源Vccから抵抗423及び抵抗535を介してサイリスタ531に流れる電流によって、サイリスタ531の保持電流が確保される必要がある。
【0046】
・電圧切換回路500の変形(2)
上記実施形態においては、無負荷時に誤差増幅器425の正入力端子とグランドの間の合成抵抗値を減少させて電圧基準値を低下させる構成を示したが、誤差増幅器425の負入力端子とグランド間の合成抵抗値を増加させて電圧検出値を増加させる構成としてもよい。例えば、
図6に示すように、電圧切換回路500の後段スイッチ回路540において、誤差増幅器425の負入力端子とグランド間に抵抗549とトランジスタ544の直列回路が接続される構成としてもよい。この場合、通常点灯時(サイリスタ531がオフ状態でトランジスタ544がオン状態の場合)には抵抗422に抵抗549が並列接続され、無負荷検出時(サイリスタ531がオン状態でトランジスタ544がオフ状態の場合)には抵抗549は非接続となる。
【0047】
・電圧切換回路500の変形(3)
上記実施形態においては、電圧基準値を低下させる構成として、誤差増幅器425の正入力端子とグランドの間の合成抵抗値を減少させる構成を示したが、誤差増幅器425の正入力端子と制御電源Vccの間の合成抵抗値を増加させる構成としてもよい。
【0048】
・無負荷検出回路510の変形
上記実施形態においては、無負荷検出回路として電源出力電圧の分圧値を検出する分圧回路を示したが、無負荷検出部はこれに限られない。例えば、LED20又はLEDモジュール2の近傍に照度センサを配置し、スイッチング電源回路200が駆動されているにもかかわらず照度の上昇が検出されない場合に、無負荷状態であることが検出されるようにしてもよい。
【0049】
・安全特別低電圧の例示
上記実施形態においては、安全特別低電圧を電気用品安全法(J60598−1(H14))に規定される直流45Vとしたが、他の法律に基づく電圧としてもよい。安全特別低電圧の定義を、IEC60950(J60950)に規定される直流60V、IEC60335−1(J60335−1)に規定される42V(無負荷電圧は50V)等としてもよい。