特許第6187025号(P6187025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187025
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】離型用二軸配向ポリエステルフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20170821BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20170821BHJP
   B29C 55/12 20060101ALI20170821BHJP
   B29K 67/00 20060101ALN20170821BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20170821BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20170821BHJP
【FI】
   C08J5/18CFD
   B32B27/36
   B29C55/12
   B29K67:00
   B29L7:00
   B29L9:00
【請求項の数】8
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-170395(P2013-170395)
(22)【出願日】2013年8月20日
(65)【公開番号】特開2015-40220(P2015-40220A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 功
(72)【発明者】
【氏名】荘司 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】高田 育
【審査官】 福井 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−230436(JP,A)
【文献】 特開平04−110147(JP,A)
【文献】 特開2009−235231(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/055225(WO,A1)
【文献】 特開2007−175885(JP,A)
【文献】 特開2009−199023(JP,A)
【文献】 特開2013−141793(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/069742(WO,A1)
【文献】 特開2013−129076(JP,A)
【文献】 特開2013−056438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00−5/02
C08J 5/12−5/22
B32B 1/00−43/00
B29C 55/12
B29K 67/00
B29L 7/00
B29L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子及び/又は有機粒子を、ポリエステルA層全体を100質量%として1〜10質量%以下含有するポリエステルA層を、少なくとも一方の最外層に有し、該最外層のポリエステルA層側から測定した光沢度が30以下、フィルムの任意の一方向(X方向)及び、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値が6.5N/mm以上である離型用二軸配向ポリエステルフィルム。また、前記フィルムのX方向及びY方向の25℃における破断強度の平均値が150〜250MPaである。ポリエステルA層のカルボキシル末端基量が20eq/t以下である。
【請求項2】
フィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の25℃における破断強度の平均値が150MPa以上250MPa以下である、請求項1に記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項3】
180℃×3MPaの条件下で、2時間加熱プレスした後の、フィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値が5N/mm以上である請求項1または2に記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項4】
ポリエステルA層のカルボキシル末端基量が20eq/t以下である請求項1〜3のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項5】
ポリエステルA層よりも無機粒子および/または有機粒子の含有量が少ないポリエステルB層を有する請求項1〜4のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項6】
色調L値が60以上80以下である請求項1〜5のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項7】
最外層のポリエステルA層側から測定した光沢度が30以下でかつ、表面自由エネルギーが25mN/m以上40mN/m以下である請求項1〜6のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項8】
日東電工(株)OPP粘着テープ(ダンプロンテープNo.375)と前記離型用二軸配向ポリエステルフィルムとを前記光沢度が30以下の面にて貼り合わせ、下記の測定方法により求められる剥離強度が、0.02N/10mm以上2N/10mm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリエステルフィルム。
(測定方法)本発明の積層体の離型用二軸配向ポリエステルフィルムと、日東電工(株)OPP粘着テープ(ダンプロンエースNo.375)を貼り合わせ、幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出しサンプルとし、該サンプルを離型用二軸配向ポリエステルフィルムと該OPP粘着テープ層間で、強制的に剥離し、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離100mm、引張速度を20mm/分として、180°剥離試験を行う。剥離長さ130mm(チャック間距離230mm)になるまで測定を行い、剥離長さ25mm〜125mmの荷重の平均値を剥離強度とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離型用二軸配向ポリエステルフィルムに関するものであり、光沢度が低く、引裂伝播抵抗が高いため、マット調が必要な回路用工程フィルムに用いられる耐熱離型フィルムとして特に適している離型用二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレットの拡大に伴う回路の集積化により、プリント配線基板の高精度、高密度化が進んでいる。プリント配線基板の製造工程において、絶縁基材(ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等)表面に回路を設けた上で、絶縁および回路保護を目的として、接着層を有する耐熱樹脂フィルムであるカバーレイを被覆し、離型フィルムを介して、プレスラミネートによる成形を行うが、この際、プリント配線板材料、プレス板との離型性、対形状追従性、均一な成形性、マット調外観等に優れた離型フィルムが求められている。また、回路基板表面に、加熱プレスにより、絶縁層や電磁波シールド層などの機能層を転写させる基材としても、外観、離型性に優れるマット調フィルムのニーズが高まっている。
【0003】
該用途へ適用するフィルムとして、無機粒子または、有機粒子を高濃度に含有するポリエステルフィルムが提案されている(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−312263号公報
【特許文献2】特開2009−215822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたフィルムは、マット調には優れるものの、引裂伝播抵抗が不十分なため、加熱プレス後のフィルム破れが発生し、回路作製工程での工程安定性を保つことが難しい。
【0006】
本発明の課題は上記した従来技術の問題点を解消することにある。すなわち、光沢度が低いマット調外観を示し、高い引裂伝播抵抗とすることで、マット調が必要な回路用工程フィルム用途に用いられる耐熱離型フィルムに適した二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するための本発明の要旨とするところは、
無機粒子および/または有機粒子を、ポリエステルA層全体を100質量%として1質量%以上10質量%以下含有するポリエステルA層を、少なくとも一方の最外層に有し、該最外層のポリエステルA層側から測定した光沢度が30以下、フィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値が6.5N/mm以上である離型用二軸配向ポリエステルフィルム、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の離型二軸配向ポリエステルフィルムは、光沢度が低く、引裂伝播抵抗が高いため、マット調が必要な回路用工程フィルム用途などの耐熱離型フィルムに好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、主鎖における主要な結合をエステル結合とする高分子化合物の総称である。そして、ポリエステル樹脂は、通常ジカルボン酸あるいはその誘導体とグリコールあるいはその誘導体を重縮合反応させることによって得ることができる。
【0010】
本発明では、外観、耐熱性、寸法安定性、経済性の点から、ポリエステルを構成するグリコール単位の60モル%以上がエチレングリコール由来の構造単位であり、ジカルボン酸単位の60モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることが好ましい。なお、ここで、ジカルボン酸単位(構造単位)あるいはジオール単位(構造単位)とは、重縮合によって除去される部分が除かれた2価の有機基を意味し、要すれば、以下の一般式で表される。
【0011】
ジカルボン酸単位(構造単位): −CO−R−CO−
ジオール単位(構造単位): −O−R’―O−
(ここで、R、R’は二価の有機基)
なお、トリメリット酸単位やグリセリン単位など3価以上のカルボン酸あるいはアルコール並びにそれらの誘導体が含まれる場合は、3価以上のカルボン酸あるいはアルコール単位(構造単位)についても、同様に、重縮合によって除去される部分が除かれた3価以上の有機基を意味する。
【0012】
本発明に用いるポリエステルを与える、グリコールあるいはその誘導体としては、エチレングリコール以外に、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体が挙げられる。中でも、成型性、取り扱い性の点で、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく用いられる。
【0013】
また、本発明に用いるポリエステルを与えるジカルボン酸あるいはその誘導体としては、テレフタル酸以外には、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としてはたとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を挙げることができる。中でも、成型性、取り扱い性の点で、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、および、それらのエステル化物が好ましく用いられる。
【0014】
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、光沢度を低くし、マット調外観を達成するため、無機粒子および/または有機粒子を、ポリエステルA層全体を100質量%として1質量%以上10質量%以下含有するポリエステルA層を、少なくとも一方の最外層に有する必要がある。
【0015】
ここで、使用する無機粒子および/または有機粒子としては特に限定されるものではないが、たとえば、無機粒子としては、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミなど、有機粒子としては、スチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。マット外観、経済性の観点からは、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミが特に好ましく用いられる。なお、これらの外部添加粒子は二種以上を併用してもよい。
【0016】
本発明においては、使用される無機粒子、有機粒子については、染料、無機顔料、有機顔料など、着色を目的とする着色剤は含まない。具体的には、ベンガラ、モリブデンレッド、カドミウムレッド、赤口黄鉛、クロムパーミリオン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルーなどの青色顔料、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレット、二酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸亜鉛、カーボンブラック、黒色酸化鉄などの無機顔料、縮合アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、ジオキサジン、イソインドリノン、キノフタロン、アンスラキノン系などの有機顔料は本発明の無機粒子、有機粒子には該当しない。
【0017】
また、本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムに用いられる無機粒子および/または有機粒子の含有量は、マット調外観を達成するために、ポリエステルA層全体を100質量%として1質量%以上10質量%以下含有することが必要であるが、マット調外観、引裂伝播抵抗の観点から、ポリエステルA層全体を100質量%として1.5質量%以上8質量%以下含有することが好ましく、2質量%以上6質量%以下含有することが好ましい。
また、本発明に用いられる無機粒子および/または有機粒子は、マット調外観、引裂伝播抵抗の観点から、平均粒径が、2μm以上10μm以下であれば好ましく、3μm以上9μm以下であればさらに好ましく、4μm以上8μm以下であれば最も好ましい。なお、本発明における平均粒径とは、D=ΣDi /N(Di :粒子の円相当径、N:粒子の個数)で表される数平均径Dのことを指す。
【0018】
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、優れた離型性、マット調外観を達成するため、最外層のポリエステルA層側から測定した光沢度が30以下であることが必要である。最外層のポリエステルA層側から測定した光沢度を30以下とすることで、回路用工程フィルムとしての離型性、マット調外観を達成しやすくなるため好ましい。光沢度が30より大きい場合、離型性の低下、マット調が不十分となる場合がある。より好ましくは、最外層のポリエステルA層側から測定した光沢度は25以下、最も好ましくは20以下である。最外層のポリエステルA層側から測定した光沢度を20以下とすることで、回路基板等に加熱プレスにより、絶縁層や電磁波シールド層などの機能層を転写させる場合においても、機能層の外観も優れたマット外観となるため、非常に好ましい。少なくとも片面の光沢度を30以下とする方法としては特に限定されないが、例えば、粒径が2μm以上10μm以下の無機粒子および/または有機粒子を、ポリエステルA層全体を100質量%として1質量%以上10質量%以下含有するポリエステルA層を有する方法が挙げられる。
【0019】
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、回路用工程フィルム用途として、耐熱離型フィルムに用いられる場合のフィルム剥離時の破れを抑制させる観点からフィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値が6.5N/mm以上であることが必要である。任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値が5N/mm未満の場合、耐熱離型フィルムとして用いた場合、フィルム剥離時にフィルムが破れる場合がある引裂伝播抵抗はフィルム破れ抑制の観点から高ければ高いほどよいが、製膜性、実用特性の観点から、任意の一方向(X方向)および、X方向と直行する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値は20N/mm以下であればさらに好ましく、10N/mm以下であれば最も好ましい。
【0020】
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値を6.5N/mm以上とする方法としては特に限定されないが、例えば、無機粒子および/または有機粒子を、ポリエステルA層全体を100質量%として1質量%以上10質量%以下含有するポリエステルA層よりも無機粒子および/または有機粒子の含有量が少ないポリエステルB層を有する構成とする方法が挙げられる。ポリエステルフィルム中に無機粒子および/または有機粒子を含有すると粒子が起点となり、引裂伝播抵抗が低くなるが、ポリエステルA層よりも無機粒子および/または有機粒子の含有量が少ないポリエステルB層を有することで、ポリエステルA層にて光沢度を30以下と低くすることができ、なおかつポリエステルB層にて引裂伝播抵抗を高く保つことが可能となる。本発明において、ポリエステルA層よりも無機粒子および/または有機粒子の含有量が少ないポリエステルB層中の無機粒子および/または有機粒子の含有量は、ポリエステルA層よりも低くければ特に限定されないが、好ましくは1質量%未満であれば好ましく、0.5質量以下であればさらに好ましく、0.1質量%以下であれば最も好ましい。なお、引裂伝播抵抗の平均値を5N/mm以上と高くするという目的からすれば、ポリエステルB層の無機粒子および/または有機粒子の含有量は、0質量%とすることが好ましい。
【0021】
また、ポリエステルB層を有する構成の場合、最外層のポリエステルA層側から測定した光沢度30以下、任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値が6.5N/mm以上を両立するために、A層とB層の厚み比は、A層厚み/B層厚みとして、0.1以上1以下が好ましく、0.1以上0.5以下であればさらに好ましく、0.15以上0.4以下であれば最も好ましい。
【0022】
また、本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、最外層のポリエステルA層側から測定した光沢度が30以下である必要があるため、ポリエステルB層を有する場合は、A層/B層、A層/B層/A層など、少なくとも片面の表層がA層となることが好ましい。
また、本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値を6.5N/mm以上とする方法としては、ポリエステルA層の固有粘度(dl/g)を0.6以上とすることも好ましい。固有粘度を0.6以上と高くすることで、無機粒子および/または有機粒子を含有していても、引裂伝播抵抗を高く保つことが可能となる。ポリエステルA層の固有粘度は0.62以上であればさらに好ましく、0.65以上であれば最も好ましい。ポリエステルA層の固有粘度を0.6以上とするためには、ポリエステルA層を構成する押出成形前の樹脂の固有粘度は0.68以上が好ましく、さらに好ましくは0.69以上である。
また、粒子が高濃度に含有されている本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値が5N/mm以上とするために、非晶鎖を低配向にしつつ、熱結晶化を抑制させる方法が有効である。具体的には、延伸倍率は低くし、二軸延伸後の熱処理を段階的に昇温、降温させる方法である。好ましい延伸倍率としては、長手方向に、好ましくは、2.8倍以上3.4倍以下、さらに好ましくは2.9倍以上3.3倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また長手方向の延伸温度は、70℃以上90℃以下とすることが好ましい。また、幅方向の延伸倍率としては、好ましくは2.8倍以上3.8倍以下、さらに好ましくは、3倍以上3.6倍以下が採用される。幅方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。幅方向の延伸温度は、90℃以上150℃以下とすることが好ましい。さらに、二軸延伸の後にフィルムの熱処理について、オーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができるが、熱処理前半温度は、180℃以上220℃未満、熱処理中盤温度は、220℃以上235℃以下、熱処理後半温度は、210℃以上220℃以下とすることが好ましい。さらに熱収縮率を低減させるために、熱処理後に、140℃以上180℃未満で徐冷を行うことも好ましい。
【0023】
また、本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、耐熱離型用途へ使用される場合の耐熱性の観点から、180℃×3MPaの条件下で、2時間加熱プレスした後の、フィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値が5N/mm以上であることが好ましい。これは、上金型温度、下金型温度ともに温度180℃に加熱したプレス機を使用し、厚さ0.2mmのアルミニウム板/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レデュポン製カプトン500H/V)/本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルム/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レデュポン製カプトン500H/V)/厚さ0.2mmのアルミニウム板の構成体を3MPaの条件下で2時間加熱プレスを行った後、引き裂き伝播抵抗を測定して得られる値である。耐熱離型用途で使用される場合、フィルム剥離は、加熱後に行われることが一般的であり、加熱前の引裂伝播抵抗が高くても、加熱後に引裂伝播抵抗が低下してしまうと、実際のフィルム剥離工程にて、フィルムが破れてしまう場合がある。180℃×3MPaの条件下で、2時間加熱プレスした後の、フィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値は、5.5N/mm以上であればより好ましく、6N/mm以上であれば最も好ましい。180℃×3MPaの条件下で、2時間加熱プレスした後の、フィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値を5N/mm以上とする方法は特に限定されないが、上記したプレス前のフィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の引裂伝播抵抗の平均値が5N/mm以上とする方法に加え、ポリエステルA層のカルボキシル末端基量を20eq/t以下とする方法が好ましく用いられる。ポリエステルA層のカルボキシル末端基量を20eq/t以下と低く保つことで、加熱時のポリエステルA層の熱分解が抑制され、加熱後も引裂伝播抵抗を高く保つことが可能となる。A層のカルボキシル末端基量を20eq/t以下とする方法は特に限定されないが、ポリエステルA層を構成させる樹脂のカルボキシル末端基量を20eq/t以下とし、さらに溶融押出時の押出機内を流通窒素雰囲気下で、酸素濃度を0.7体積%以下とし、樹脂温度は265℃〜285℃に制御することが好ましい。
【0024】
また、本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、ロール搬送時の強度の観点から、フィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の25℃における破断強度の平均値が150MPa以上250MPa以下であることが好ましい。フィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)の25℃における破断強度の平均値が150MPa以上250MPa以下とすることで、高速でのロール搬送時においてもフィルム切れなどの工程トラブルの発生を抑制することが可能となる。本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、引裂伝播抵抗を高くするために、非晶鎖を低配向にしつつ、熱結晶化を抑制させる方法が有効であるが、粒子が高濃度に含有されているため、高い破断強度を両立させることは単純な製膜方法では困難である。そこで本発明者らは鋭意検討を行った結果、高い引裂伝播抵抗と高い破断強度を両立させる方法として、低配向な非晶鎖をより剛直にすることが有効であることを見出した。具体的には、幅方向の延伸を複数ゾーンに分けて段階的に昇温しながら延伸する方法が好ましく、例えば延伸前半温度を90℃以上120℃以下、延伸中盤温度を100℃以上130℃以下、さらに延伸後半温度を110℃以上150℃以下で、延伸前半温度、延伸中盤温度、延伸後半温度の順に温度を高くしていく方法が挙げられる。
【0025】
また、本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムとしての視認性の観点から、色調L値が60以上80以下であることが好ましい。色調L値を60以上80以下とすることで、適度な視認性を確保することが可能となる。色調L値は62以上78以下であればさらに好ましく、65以上75以下であれば最も好ましい。本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムの色調L値を60以上80以下とする方法として、例えば、層全体を100質量%として、二酸化チタンを0.1質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上4質量%以下含有する層を有することが好ましい。二酸化チタンは、ポリエステルA層中に含有してもよいし、ポリエステルB層を有する場合は、ポリエステルB層中に含有してもよい。
【0026】
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、耐熱性、取扱性、経済性の観点から、フィルム厚みは、15μm以上150μmであることが好ましく、25μm以上100μm以下であればさらに好ましく、30μm以上75μm以下であれば最も好ましい。
【0027】
また、本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、耐熱離型用途に使用される場合、光沢度が30以下の面において、表面自由エネルギーを25mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。最外層のポリエステルA層側から測定した光沢度を30以下にしつつ、表面自由エネルギーを25mN/m以上40mN/m以下とすることで、優れた離型性を達成することが可能となる。本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムの表面自由エネルギーは、適度な密着性と離型性を両立させるために、30mN/m以上38mN/m以下であればさらに好ましく、32mN/m以上37mN/m以下であれば最も好ましい。
【0028】
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面の表面自由エネルギーを25mN/m以上40mN/m以下とする方法としては、特に限定されないがシリコーン化合物、ワックス化合物、フッ素系化合物などの離型剤をポリエステルフィルム中に含有する方法や、離型層として積層する方法が挙げられるが、本発明においては、加熱時の耐熱性の観点から、メラミン樹脂と離型剤を含有する離型層を積層することが好ましい。耐熱性、離型安定性の観点から、離型層中のメラミン樹脂の含有量は50質量%以上であることが好ましい。
【0029】
メラミン樹脂としては、メラミンホルムアルデヒド樹脂やメチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂、ブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂、エーテル化メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ変性メラミンホルムアルデヒド樹脂等のメラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素メラミン樹脂、アクリルメラミン樹脂などが挙げられるが、メラミンホルムアルデヒド樹脂が好ましく、適度な離型性を有することからメチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂が特に好ましく用いられる。また、本発明の離型層は、製膜性、延伸追従性の観点から、バインダー樹脂、離型剤の他にバインダー樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂が好ましく用いられ、特にアクリル系樹脂が好ましく用いられる。アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体または共重合体、側鎖および/または主鎖末端に硬化性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体があげられ、硬化性官能基としては水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基などがあげられる。なかでもアクリルモノマーと側鎖および/または主鎖末端に硬化性官能基を有するアクリル酸エステルが共重合されたアクリルモノマー共重合体が好ましい。また、本発明の離型層に含有する離型剤としては、例えば、フッ素化合物、長鎖アルキル化合物およびワックス化合物などが挙げられる。これらの離型剤は単独で用いてもよいし、複数種使用してもよい。
【0030】
本発明に用いることができるフッ素化合物としては、化合物中にフッ素原子を含有している化合物である。例えば、パーフルオロアルキル基含有化合物、フッ素原子を含有するオレフィン化合物の重合体、フルオロベンゼン等の芳香族フッ素化合物等が挙げられる。本発明の離型フィルムを成形同時転写箔用途などに用いる場合、転写時に高い熱負荷がかかるため、耐熱性、汚染性を考慮すると、フッ素化合物は高分子化合物であることが好ましい。
【0031】
長鎖アルキル化合物とは、炭素数が6以上、特に好ましくは8以上の直鎖または分岐のアルキル基を有する化合物のことである。具体例としては、特に限定されるものではないが、長鎖アルキル基含有ポリビニル樹脂、長鎖アルキル基含有アクリル樹脂、長鎖アルキル基含有ポリエステル樹脂、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有四級アンモニウム塩等が挙げられる。長鎖アルキル化合物は高分子化合物であると、離型フィルム剥離時に貼り合わせている相手方基材表面への離型層由来の成分が転着することを抑制できるため好ましい。
【0032】
本発明に用いることができるワックスとは、天然ワックス、合成ワックス、それらの配合したワックスの中から選ばれたワックスである。天然ワックスとは、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスである。植物系ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油が挙げられる。動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン、鯨ロウが挙げられる。鉱物系ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト、セレシンが挙げられる。石油ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムが挙げられる。合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン、イミド、エステル、ケトンが挙げられる。合成炭化水素としては、フィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾワールワックス)、ポリエチレンワックスが有名であるが、このほかに低分子量の高分子(具体的には粘度平均分子量500から20000の高分子)である以下のポリマーも含まれる。すなわち、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体がある。変性ワックスとしてはモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体が挙げられる。ここでの誘導体とは、精製、酸化、エステル化、ケン化のいずれかの処理、またはそれらの組み合わせによって得られる化合物である。水素化ワックスとしては硬化ひまし油、および硬化ひまし油誘導体が挙げられる。
【0033】
これら離型剤を離型層の表面に均一に分散させることによって、離型層上に積層、剥離する被離型層との密着力、剥離力を適正な範囲とすることができる。離型剤としては、長鎖アルキル化合物を用いると、広範囲に剥離力を調整することが出来る点で、本発明の用途上好ましい。
【0034】
また、本発明の離型層を構成する樹脂は、離型層の固着性、滑り性改良を目的として、不活性粒子を含有してもよい。不活性粒子の具体例としては、シリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、有機粒子等が挙げられる。
【0035】
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、日東電工(株)OPP粘着テープ(ダンプロンテープNo.375)を貼り合わせ、下記の測定方法により求められる剥離強度が、0.02N/10mm以上2N/10mm以下であることが好ましい。(測定方法)本発明の積層体の離型用二軸配向ポリエステルフィルムと、日東電工(株)OPP粘着テープ(ダンプロンエースNo.375)を貼り合わせ、幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出しサンプルとする。該サンプルを二軸配向ポリエステルフィルムと該OPP粘着テープ層間で、強制的に剥離し、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離100mm、引張速度を20mm/分として、180°剥離試験を行う。剥離長さ130mm(チャック間距離230mm)になるまで測定を行い、剥離長さ25mm〜125mmの荷重の平均値を剥離強度とする。
【0036】
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、耐熱離型用途に使用される場合、上記した測定方法により求められる日東電工(株)OPP粘着テープ(ダンプロンテープNo.375)との剥離強度を、0.02N/10mm以上2N/10mm以下にすることで、相手材に依らず、適度な密着性と離型性を両立できる。剥離強度は、0.03N/10mm以上1.5N/10mm以下であればさらに好ましく、0.04N/10mm以上1N/10mm以下であれば最も好ましい。特に軽剥離が求められる用途においては、0.04N/10mm以上0.2N/10mm以下とすることが好ましい。
【0037】
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムの日東電工(株)OPP粘着テープ(ダンプロンテープNo.375)との剥離強度を0.02N/10mm以上2N/10mm以下にする方法は特に限定されないが、例えば、最外層のポリエステルA層側から測定した光沢度を25以下とする方法が挙げられる。光沢度をより低くするということは、表面が粗くなるため、日東電工(株)OPP粘着テープ(ダンプロンテープNo.375)との接触面積が低下し、剥離強度を0.02N/10mm以上2N/10mm以下と低く制御しやすくなる。また、より高精度に剥離強度を制御する方法として、離型層を設ける方法が好ましく用いられる。離型層を設けることで、日東電工(株)OPP粘着テープ(ダンプロンテープNo.375)との剥離強度を高精度に制御することが可能となる。さらに剥離強度を高精度に制御するためには、離型層の厚みを0.02μm以上0.1μm以下とすることが好ましい。離型層の厚みを0.02μm以上0.1μm以下とすることで、離型層による光沢度(表面凹凸形状)の斑を抑制することができるので、安定した離型性を確保することができ、上記剥離強度を達成することができる。離型層の厚みを0.02μm以上0.1μm以下とする方法としては、フィルム製造工程内で離型層を設けるインラインコート法が挙げられる。ここでいうインラインコート法とは、少なくとも一軸延伸を行ったフィルム上に離型層組成物を水に分散させたものをメタリングバーやグラビアロールなどを用いて均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法である。
【0038】
次に本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムの具体的な製造方法の例について記載するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
【0039】
ポリエステルA層とポリエステルB層とを有する積層ポリエステルフィルムとする場合、まず、ポリエステルA層に使用するポリエステルAとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂(a)とポリエチレンテレフタレート樹脂(a)に平均粒径5μmのシリカ粒子を含有させた粒子含有ポリエチレンテレフタレート樹脂(a‘)を所定の割合で計量する。また、ポリエステルB層に使用するポリエステルBとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂(a)と二酸化チタンを含有させた粒子含有ポリエチレンテレフタレート樹脂(a“)を使用する。
【0040】
そして、混合したポリエステル樹脂を単軸押出機に供給し溶融押出する。この際、樹脂温度は265℃〜295℃に制御することが好ましい。ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
【0041】
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、耐熱性、寸法安定性の観点から二軸配向フィルムとすることが必要である。二軸配向フィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
【0042】
かかる延伸方法における延伸倍率としては、長手方向に2.8倍以上3.4倍以下、さらに好ましくは2.9倍以上3.3倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また長手方向の延伸温度は、70℃以上90℃以下とすることが好ましい。また、幅方向の延伸倍率としては、好ましくは2.8倍以上3.8倍以下、さらに好ましくは、3倍以上3.6倍以下が採用される。幅方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また、高い引裂強度と高い破断強度を両立させるために、幅方向の延伸温度は、延伸前半温度を90℃以上120℃以下、延伸中盤温度を100℃以上130℃以下、さらに延伸後半温度を110℃以上150℃以下と延伸前半温度、延伸中盤温度、延伸後半温度の順に温度を高くしていく方法が好ましく採用される。
【0043】
さらに、二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行う。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は120℃以上ポリエステルの結晶融解ピーク温度以下の温度で行われるが、高い引裂強度を達成するためには、熱処理前半温度は、180℃以上220℃未満、熱処理中盤温度は、220℃以上235℃以下、熱処理後半温度は、210℃以上220℃以下とすることが好ましい。さらに熱収縮率を低減させるために、熱処理後に、140℃以上180℃未満で徐冷を行うことも好ましい。
熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うのがよい。さらに、安定した離型性を確保するため、離型層をインラインにてコーティングさせることもできる。コーティング層をフィルム製造工程内のインラインで設ける方法としては、少なくとも一軸延伸を行ったフィルム上にコーティング層組成物を水に分散させたものをメタリングリングバーやグラビアロールなどを用いて均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法が好ましく、その際、離型層の厚みとしては0.02μm以上0.1μm以下とすることが好ましい。また、離型層中に各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料、染料、有機または無機粒子、帯電防止剤、核剤などを添加してもよい。
【0044】
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムは、光沢度が低く、引裂伝播抵抗が高いため、マット調が必要な回路用工程フィルム用途として耐熱離型フィルムに好適に用いることができる。
【実施例】
【0045】
(1)ポリエステルの組成
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
【0046】
(2)ポリエステルの固有粘度
ポリエステル樹脂およびフィルムの極限粘度は、ポリエステルをオルトクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体の固有粘度を評価することができる。
【0047】
(3)フィルム厚み、層厚み
フィルムをエポキシ樹脂に包埋し、フィルム断面をミクロトームで切り出した。該断面を透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で5000倍の倍率で観察し、フィルム厚みおよびポリエステル層の厚みを求めた。
【0048】
(4)粒子の平均粒径
ポリエステルフィルムから、ポリエステルをプラズマ低温灰化処理法(ヤマト科学製PR−503型)で除去し粒子を露出させる。これを透過型電子顕微鏡(日立製作所製TEM H7100)で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(ケンブリッジインストルメント製QTM900)に結び付け、観察箇所を変えて粒子数5000個以上で次の数値処理を行ない、それによって求めた数平均径Dを平均粒径とした。
D=ΣDi /N
ここでDi は粒子の円相当径、Nは粒子の個数である。
【0049】
(5)粒子の含有量
ポリマー1gを1N−KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、ポリマーを溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その質量を量ることで粒子の含有量を算出した。
【0050】
(6)光沢度
JIS−Z−8741(1997年)に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて、フィルム両面(I面/II面)について60°鏡面光沢度を、それぞれの面についてN=3で測定し、それぞれその平均値を採用した。
【0051】
(7)引裂伝播抵抗
荷重引裂試験機(東洋精機製)を用いて、JIS K−7128−2−1998に従って測定した。サンプルは、フィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)にそれぞれ長さ75mm×幅63mmの長方形とし、幅方向中央部に端から20mmの切れ込みを入れ、残り43mmを引裂いたときの指示値を読み取る。引裂伝播抵抗の値としては、指示値より求めた引裂力(N)をフィルム厚み(mm)で除した値とした。なお、測定は各方向10回ずつ行い、その平均値を採用した。
【0052】
(8)破断強度
フィルムをフィルムの任意の一方向(X方向)および、X方向と直交する方向(Y方向)にそれぞれ長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。25℃、63%Rhの条件下で、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いてクロスヘッドスピード300mm/分、幅10mm、試料長50mmとしてフィルムの長手方向、幅方向について、引張試験を行い、破断した際のフィルムにかかる荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(積層体厚み×10mm)で除した値を破断点強度とする。各測定はそれぞれ5回ずつ行い、その平均を用いた。
【0053】
(9)180℃×3MPaの条件下での2時間加熱プレス後の引裂伝播抵抗
上金型温度、下金型温度ともに温度180℃に加熱したプレス機を使用し、厚さ0.2mmのアルミニウム板/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レデュポン製カプトン500H/V)/離型用二軸配向ポリエステルフィルム/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レデュポン製カプトン500H/V)/厚さ0.2mmのアルミニウム板の構成体を3MPaの条件下で2時間加熱プレスを行った。加熱プレス後の二軸配向ポリエステルフィルムを取りだし、(7)と同様にして、引裂伝播抵抗を測定した。
【0054】
(10)カルボキシル末端基量
ポリエステルA層をクレゾール/クロロホルム(重量比7/3)に95℃で溶解し、アルカリで電位差測定して求めた。
【0055】
(11)色調L値
JIS−Z−8722(2000年)に基づき、分光式色差計(日本電色工業製SE−2000、光源 ハロゲンランプ 12V4A、0°〜−45°後分光方式)を用いて、色調L値を反射法により測定した。測定は温度23℃、湿度65%の雰囲気中で行った。フィルムの任意の5ヶ所を選び出して測定を行い、その平均値を採用した
(12)表面自由エネルギー
測定液としては、水、エチレングリコール、ホルムアミドおよびジヨードメタンの4種類を使用し、接触角計(協和界面科学(株)製CA−D型)を用いて各液体のフィルム表面に対する静的接触角を求めた。それぞれの液体について5回測定し、その平均接触角(θ)と測定液(j)の表面張力の各成分を下式にそれぞれ代入し、4つの式からなる連立方程式をγ、γ、γについて解いた。
(γγj1/2+2(γγj1/2+2(γjγ1/2
=(1+cosθ)[γj+2(γjγj1/2]/2
ただし、γ=γ+2(γγ1/2
γj=γj+2(γjγj1/2
ここで、γ、γ、γ、γは、それぞれフィルム表面の表面自由エネルギー、長距離間力項、ルイス酸パラメーター、ルイス塩基パラメーターを、また、γj、γj、γj、γjは、それぞれ用いた測定液の表面自由エネルギー、長距離間力項、ルイス酸パラメーター、ルイス塩基パラメーターを示す。また、ここで用いた各液体の表面張力は、Oss("fundamentals of Adhesion", L. H. Lee (Ed.), p153, Plenum ess, New York (1991).)によって提案された値を使用した。
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムにおいては、フィルム両面の評価を行い、表には表面自由エネルギーが低い面の値を記載した。
【0056】
(13)剥離強度
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムの光沢度が30以下の表面(両面とも光沢度が30以下の場合は、表面自由エネルギーが25mN/m以上40mN/m以下の面を測定、両面とも光沢度が30以下、表面自由エネルギーが25mN以上40mN以下の場合は、表面自由エネルギーが低い方の面について評価する。)に、日東電工(株)OPP粘着テープ(ダンプロンテープNo.375)を貼り合わせ、幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出しサンプルとした。該サンプルを二軸配向ポリエステルフィルムと該OPP粘着テープ層間で、強制的に剥離し、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離100mm、引張速度を20mm/分として、180°剥離試験を行った。剥離長さ130mm(チャック間距離230mm)になるまで測定を行い、剥離長さ25mm〜125mmの荷重の平均値を剥離強度とした。なお、測定はN=3で行い、その平均値を採用した。
【0057】
(14)耐熱剥離性
本発明の離型用二軸配向ポリエステルフィルムの光沢度が30以下の表面(両面とも光沢度が30以下の場合は、表面自由エネルギーが25mN/m以上40mN/m以下の面を測定、両面とも光沢度が30以下、表面自由エネルギーが25mN以上40mN以下の場合は、両面評価し、その平均値を採用する。)に、アプリケーターを用いて、ハードコート層(共栄社化学製UF−TCI−1)を乾燥後厚み40μmとなるように塗工し、80℃で10分間乾燥した。その後、幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出しサンプルとした。該積層体を用いて、(9)と同様にして、上金型温度、下金型温度ともに温度180℃に加熱したプレス機を使用し、厚さ0.2mmのアルミニウム板/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レデュポン製カプトン500H/V)/離型用二軸配向ポリエステルフィルム/HC積層体/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レデュポン製カプトン500H/V)/厚さ0.2mmのアルミニウム板の構成体を3MPaの条件下で2時間加熱プレスを行った。加熱プレス後に、二軸配向ポリエステルフィルム/HC積層体を取り出し、2000mJ/cmの照度の紫外線を照射し、二軸配向ポリエステルフィルムとHC層との離型性について、下記の基準で評価した。
A:10回離型テストを行い、10回ともフィルム破れが発生しなかった。
【0058】
B:10回離型テストを行い、1回以上2回以下フィルム破れが発生した。
C:10回離型テストを行い、3回以上フィルム破れが発生した。
【0059】
(15)離型性
(14)と同様のテストをした際の離型性について、下記の基準で評価した。なお、剥離強度は、(13)の方法と同様に測定を行った。
A:本発明のポリエステルフィルム/ハードコート層の剥離強度が0.01N/10mm以上0.2N/10mm以下であった。
B:本発明のポリエステルフィルム/ハードコート層の剥離強度が0.2N/10mmより高く、1N/10mm以下であった。
C:本発明のポリエステルフィルム/ハードコート層の剥離強度が1N/10mmより高い、もしくは、0.01N/10mm未満であった。
【0060】
(17)高速搬送性
各フィルムについて、150m/minの速度で、巻出張力:上巻出し、張力300N/m、巻取張力:上巻取り、張力200N/mで搬送させ、搬送性を下記の基準で評価した。
A:1000m以上、全く破れが発生せずに搬送できた
B:1000m未満で破れが発生した。
【0061】
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
【0062】
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
【0063】
(ポリエステルB)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.8)。
【0064】
(粒子マスターC)
ポリエステルA中に数平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度10質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
【0065】
(粒子マスターD)
ポリエステルA中に数平均粒子径3.5μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度10質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
【0066】
(粒子マスターE)
ポリエステルA中に数平均粒子径5.5μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度10質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)。
【0067】
(粒子マスターF)
ポリエステルA中に数平均粒子径5.5μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度10質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.7)。
【0068】
(粒子マスターG)
ポリエステルA中に数平均粒子径5.5μmのケイ酸アルミニウム粒子を粒子濃度10質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.7)。
【0069】
(粒子マスターH)
ポリエステルA中に数平均粒子径5.5μmのジビニルベンゼン/スチレン(20/80)架橋粒子を粒子濃度10質量%になるように添加して、粒子を粒子濃度10質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.7)。
【0070】
(二酸化チタンマスター)
ポリエステルA中にアナターゼ型二酸化チタンを50質量%含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.6)。
【0071】
(離型層形成用溶液(水分散体)
以下に示す、架橋剤:バインダー樹脂:離型剤:粒子をそれぞれ、質量比60:23:17で混合し、固形分が1%の質量比となるように純水で希釈して調整した。
・架橋剤:メチル化メラミン/尿素共重合の架橋製樹脂((株)三和ケミカル製“ニカラック” (登録商標)「MW12LF」)
・バインダー樹脂I:アクリルモノマー共重合体(日本カーバイド製)
・離型剤III: ガラス製反応容器中に、パーフルオロアルキル基含有アクリレートであるCF(CFCHCHOCOCH=CH(n=5〜11、nの平均=9)80.0g、アセトアセトキシエチルメタクリレート20.0g、ドデシルメルカプタン0.8g、脱酸素した純水354.7g、アセトン40.0g、C1633N(CHCl1.0gおよびC17O(CHCHO)H(n=8)3.0gを入れ、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩0.5gを加え、窒素雰囲気下で攪拌しつつ60℃で10時間共重合反応させて得られた共重合体エマルション。
・粒子:数平均粒子径170nmのシリカ粒子(日産化学工業(株)製“スノーテックス”(登録商標)MP2040)を固形分濃度が40重量%となるように純水で希釈して得られた水分散体。
【0072】
以下、実施例5、6、14、15、20〜22を参考例1〜7と読み替える。
(実施例1)
組成を表の通りとして、原料をそれぞれ酸素濃度0.2体積%とした別々の単軸押出機に供給し、A層押出機シリンダー温度を270℃、B層押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、A層とB層合流後の短管温度を275℃、口金温度を280℃に設定しで、樹脂温度280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、延伸温度85℃で長手方向に3.1倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。その後、コロナ放電処理を施し、離型層形成用溶液(水分散体)をメタリングバーを用いてウェット厚みが13.5μmとなるように塗布し、次いでテンター式横延伸機にて延伸前半温度95℃、延伸中盤温度110℃、延伸後半温度140℃で幅方向に3.4倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理前半温度200℃、熱処理中盤温度230℃で熱処理を行い、徐冷温度170℃で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、フィルム厚み50μm(積層比は表の通り)、離型層厚み40nmのA層/B層/A層の3層構成の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0073】
(実施例2)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0074】
(実施例3)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0075】
(実施例4)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0076】
(実施例5)
幅方向の延伸後の、熱処理条件を、熱処理前半温度230℃、熱処理中盤温度230℃、徐冷温度170℃で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら行った以外は、実施例4と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0077】
(実施例6)
幅方向の延伸条件を、延伸前半温度95℃、延伸中盤温度110℃、延伸後半温度140℃で幅方向に3.7倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理前半温度230℃、熱処理中盤温度230℃で熱処理を行い、徐冷温度170℃で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら行った以外は、実施例4と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0078】
(実施例7)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0079】
(実施例8)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0080】
(実施例9)
幅方向の延伸条件を、延伸前半温度110℃、延伸中盤温度110℃、延伸後半温度110℃で幅方向に3.4倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理前半温度200℃、熱処理中盤温度230℃で熱処理を行い、徐冷温度170℃で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら行った以外は、実施例8と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0081】
(実施例10)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0082】
(実施例11)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0083】
(実施例12)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0084】
(実施例13)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0085】
(実施例14)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0086】
(実施例15)
A層押出機シリンダー温度を280℃、B層押出機シリンダー温度を280℃で溶融し、A層とB層合流後の短管温度を285℃、口金温度を290℃に設定しで、樹脂温度290℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した以外は、実施例14と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0087】
(実施例16)
長手方向延伸後に、コロナ放電処理、離型層形成用溶液(水分散体)を塗布せず、そのままテンター式横延伸機にて幅方向に延伸した以外は実施例11と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0088】
(実施例17)
長手方向延伸後に、コロナ放電処理、離型層形成用溶液(水分散体)を塗布せず、そのままテンター式横延伸機にて幅方向に延伸した以外は実施例2と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0089】
(実施例18)
長手方向延伸後に、コロナ放電処理、離型層形成用溶液(水分散体)を塗布せず、そのままテンター式横延伸機にて幅方向に延伸した以外は実施例3と同様にしてフィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0090】
(実施例19)
実施例16で得られた二軸配向ポリエステルフィルムに、離型層形成用溶液(水分散体)をメタリングバーを用いてウェット厚みが5μmとなるように塗布し、120℃で1分間乾燥させた。
【0091】
(実施例20)
2層構成のフィルムとし、組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0092】
(実施例21)
単膜構成のフィルムとし、組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0093】
(実施例22)
単膜構成のフィルムとし、組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0094】
(比較例1)
幅方向の延伸条件を、延伸前半温度95℃、延伸中盤温度110℃、延伸後半温度140℃で幅方向に3.7倍延伸し、そのままテンター内にて、熱処理前半温度230℃、熱処理中盤温度230℃で熱処理を行い、徐冷温度170℃で、幅方向に5%のリラックスを掛けながら行った以外は、実施例19と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0095】
(比較例2)
組成を表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、フィルム厚み50μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
【表5】
【0101】
【表6】
【0102】
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】
【表9】
【0105】
【表10】
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、光沢度が低く、引裂伝播抵抗が高いため、マット調が必要な回路用工程フィルム用途として耐熱離型フィルムに好適に用いることができる。