(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187035
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】補強フレーム
(51)【国際特許分類】
B62D 25/06 20060101AFI20170821BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
B62D25/06 Z
B60R16/02 620Z
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-176689(P2013-176689)
(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公開番号】特開2015-44482(P2015-44482A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】山倉 浩介
(72)【発明者】
【氏名】井相田 英朗
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭57−061623(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00 − 25/08
B62D 25/14 − 29/04
B62D 31/00 − 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体上部に延設されて車体ルーフ部を構成する補強フレームであって、
その下縁から車体上方に向かって凹設されて、少なくとも配線類を通過させる凹部と、
前記凹部の下側開口を塞いで前記配線類を支持する支持部材と、を備え、
前記補強フレームの下縁に、前記支持部材を着座させるフランジ部が形成される
ことを特徴とする補強フレーム。
【請求項2】
前記支持部材が、前記フランジ部に着座する横板部と、その両端部を前記補強フレームの側面部にボルト締結により固定される縦板部と、を含む縦断面L字状に屈曲して形成される
請求項1に記載の補強フレーム。
【請求項3】
車体上部に延設されて車体ルーフ部を構成する補強フレームであって、
その下縁から車体上方に向かって凹設されて、少なくとも配線類を通過させる凹部と、
前記凹部の下側開口を塞いで前記配線類を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材が、その両端部を前記補強フレームの側面部に固定される縦板部を含む
ことを特徴とする補強フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強フレームに関し、特に、バス等の車体ルーフ部を構成する補強フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なバス等の車体ルーフ部は、車体側部の左右上端に車体前後方向に延設された一対のサイドルーフレールと、サイドルーフレール間に車体幅方向に架設された複数本のルーフアーチ部材と、ルーフアーチ部材間に車体前後方向に架設された複数本の補強フレームとを備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−89755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4に示すように、バス等の車体ルーフ部100は、骨格を構成するルーフアーチ部材120や補強フレーム130の上面部にルーフパネル200が固定されると共に、これら骨格の下面部にトリムパネル210が固定されている。そのため、車体ルーフ部100内に換気扇やスピーカ等に接続される配線類400を車体幅方向に収納する場合は、配線類400を補強フレーム130に形成された貫通穴180に挿通させて、ルーフパネル200やトリムパネル210との干渉を回避させる必要がある。
【0005】
しかしながら、作業者に対して上方に位置する貫通穴180に配線類400を挿通させる作業は手間が掛り、作業効率の悪化を招く課題がある。また、貫通穴180よりも大径のコネクタ等は、配線類400を貫通穴180に挿通させた後に取り付ける必要があり、作業工程が制約を受ける課題もある。さらに、配線類400を束ねて挿通させるべく、貫通穴180の開口幅を拡張すれば、補強フレーム130の剛性を低下させる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、配線類の取り付け作業性を向上させつつ、剛性を効果的に確保することができる補強フレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の補強フレームは、車体上部に車体前後方向に延設されて車体ルーフ部を構成する少なくとも一本以上の補強フレームであって、その下縁から車体上方に向かって凹設されて、少なくとも配線類を車体幅方向に通過させる凹部と、前記凹部の下側開口を塞いで前記配線類を支持する支持部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記補強フレームの下縁に、前記支持部材を着座させるフランジ部が形成されることが好ましい。
【0009】
また、前記支持部材が、前記フランジ部に着座する横板部と、その両端部を前記補強フレームの側面部にボルト締結により固定される縦板部とを含む縦断面L字状に屈曲して形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の補強フレームによれば、配線類の取り付け作業性を向上させつつ、剛性を効果的に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車体ルーフ部を斜め下方から視た模式的な斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る補強フレームの詳細を示す模式的な斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る補強フレームへの配線類の取り付け手順を説明する模式的な分解斜視図である。
【
図4】従来の車体ルーフ部を斜め上方から視た模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る補強フレームを説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0013】
まず、
図1に基づいて、本実施形態に係る車体ルーフ部10の全体構成から説明する。車体ルーフ部10は、車体側部の左右上端に車体前後方向に延設された一対のサイドルーフレール11(右側のみを示す)と、一対のサイドルーフレール11間に車体幅方向に延設された一対のルーフアーチ部材12と、一対のルーフアーチ部材12間に車体前後方向に延設された複数本の補強フレーム13とを備えて構成されている。
【0014】
なお、
図1中において、符号40は、何れも図示しない運転席側からスピーカや換気扇、中扉開閉装置等に接続される配線類、符号50は、運転席近傍の車体前端側に車体上下方向に延設されたAピラー部材、符号51は、運転席後方に車体上下方向に延設されたBピラー部材、符号18は、補強フレーム13を軽量化する貫通穴を示している。
【0015】
次に、
図2,3に基づいて、本実施形態に係る補強フレーム13の詳細構成について説明する。
【0016】
補強フレーム13は、例えば平板状の金属部材を縦断面略U字状に屈曲して形成されており、互いに対向する上下一対のフランジ部13a,13cと、これらフランジ部13a,13c間に介在する側板部13bとを有する。また、補強フレーム13は、下側のフランジ部13aから車体上方に向かって側板部13bを略U字状に切り欠いて形成した凹部14と、凹部14の下側開口を塞ぐ支持部材15とを備えて構成されている。凹部14の開口両端に隣接する側板部13bには、ボルト16aを挿通させるボルト挿通穴13d(
図3にのみ示す)がそれぞれ設けられている。
【0017】
凹部14は、配線類40を車体幅方向に挿通させるもので、その車体上下方向の寸法(開口高さ)を配線類40の外径よりも長く形成されている。また、凹部14は、その車体前後方向の寸法(開口幅)を貫通穴18の内径よりも長く形成されている。
【0018】
支持部材15は、凹部14の開口幅よりも長い長尺平板状の金属部材を断面略L字状に屈曲して形成されている。より詳しくは、支持部材15は、補強フレーム13のフランジ13aに着座する横板部15aと、補強フレーム13の側板部13bに固定される縦板部15bとを備えている。縦板部15bには、その上縁から車体下方に向かって略U字状に切り欠いて形成した配線支持部15cが設けられている。また、縦板部15bの長手方向の両端部には、ボルト16aを挿通させる図示しないボルト挿通穴がそれぞれ形成されると共に、このボルト挿通穴の裏面にナット部材16bを用い、それぞれを固定している。
【0019】
すなわち、
図3に示しように、配線類40を取り付ける際は、ステップ1で配線類40を凹部14に配置し、ステップ2で横板部15aをフランジ部13aに着座させて、配線類40を配線支持部15cで支持させ、ステップ3でボルト16aをナット部材16bと締結するのみで、配線類40を車体ルーフ部10内(
図1参照)に容易に収納できるように構成されている。
【0020】
次に、本実施形態に係る補強フレーム13による作用効果を説明する。
【0021】
従来、バス等の車両では、車体ルーフ部に配線類を収納する際は、ルーフパネルやトリムパネルとの干渉を回避させるために、配線類を補強フレームの貫通穴に挿通させている。しかしながら、補強フレームの貫通穴は作業者に対して上方に位置するため、貫通穴に配線類を挿通させる作業は手間が掛り作業効率の悪化を招く課題がある。また、貫通穴よりも大径のコネクタ等は、配線類を貫通穴に挿通させた後に取り付ける必要があり、作業工程が制約を受ける課題もある。さらに、配線類のメンテナンスを行う際は、貫通穴から配線類を引き抜く必要があり、メンテナンス作業性の悪化を招く課題もある。
【0022】
これに対し、本実施形態の補強フレーム13では、車体下方に向かって開口する凹部14内に配線類40を配置し、この凹部14の下側開口を支持部材15によって塞ぐのみで、配線類40を車体ルーフ部10内に容易に収納できるように構成されている。また、メンテナンス作業時は、トリムパネルを取り外した後、支持部材15を取り外すのみで、配線類40に容易にアクセスできるように構成されている。
【0023】
したがって、本実施形態の補強フレーム13によれば、配線類40の車体ルーフ部10への取り付け作業性及び、メンテナンス作業性を効果的に向上することができる。また、貫通穴18等に挿通させる必要がないため、予めコネクタ等が取り付けられた配線類40であっても容易に収納することができる。
【0024】
また、本実施形態の補強フレーム13では、取り付け作業時に、支持部材15の横板部15aを補強フレーム13のフランジ部13aに着座させ、凹部14内の配線類40を支持部材15の配線支持部15cで支持させた状態で、ボルト締結を行えるように構成されている。
【0025】
したがって、本実施形態の補強フレーム13によれば、作業者が配線類40を下方から支えながらボルト締結等を行う必要がなくなり、配線類40の取り付け作業性を大幅に向上することができる。
【0026】
また、本実施形態の補強フレーム13では、凹部14の開口幅が貫通穴18の内径よりも長く形成されると共に、補強フレーム13にボルト締結で強固に固定する支持部材15によって凹部14の下側開口が完全に塞がれるように構成されている。
【0027】
したがって、本実施形態の補強フレーム13によれば、貫通穴18を利用する場合よりも多くの配線類40を一括して収容することができると共に、凹部14の開口幅を拡張したことによる補強フレーム13の剛性低下を確実に防止することができる。
【0028】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0029】
例えば、補強フレーム13の縦断面形状は、略U字状に限定されず、略Z字状や略L字状に形成されてもよい。また、支持部材15は金属部材に限定されず、凹部14が形成された補強フレーム13の剛性を確保できるものであれば、他の部材で形成されてもよい。また、車体ルーフ部10は、Aピラー部材50とBピラー部材51との間に限定されず、Bピラー部材51よりも車体後方のピラー部材間に適用されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 車体ルーフ部
11 サイドルーフレール
12 ルーフアーチ部材
13 補強フレーム
13a フランジ部
13b 側板部
14 凹部
15 支持部材
15a 横板部
15b 縦板部
16a ボルト
16b ナット部材
40 配線類