特許第6187060号(P6187060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187060
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】光学式タッチパネル装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/042 20060101AFI20170821BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   G06F3/042 484
   G06F3/041 400
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-186039(P2013-186039)
(22)【出願日】2013年9月9日
(65)【公開番号】特開2015-52967(P2015-52967A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089093
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 健治
(72)【発明者】
【氏名】武藤 晃治
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−253842(JP,A)
【文献】 特開平05−189124(JP,A)
【文献】 実開平03−070646(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03−3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、前記発光素子からの光線を受光する受光素子と、前記発光素子から前記受光素子までの間に設けられた導光路とを備え、前記導光路がディスプレイの表面に光軸を形成することにより前記光軸の遮光を検出する光学式タッチパネル装置において、
一列に配列した複数の前記発光素子と、前記複数の発光素子と同じ配列方向に一列に配列した複数の前記受光素子を基板に実装し、
前記複数の発光素子及び前記複数の受光素子の向き及び位置を入れ替えることにより、前記複数の発光素子の発光方向及び前記複数の受光素子の受光方向を入れ替えるようにしたことを特徴とする光学式タッチパネル装置。
【請求項2】
発光素子と、前記発光素子からの光線を受光する受光素子と、前記発光素子から前記受光素子までの間に設けられた導光路とを備え、前記導光路がディスプレイの表面に光軸を形成することにより前記光軸の遮光を検出する光学式タッチパネル装置において、
前記発光素子及び前記受光素子とは向きが逆で位置が所定の間隔ずれている他の発光素子及び他の受光素子を設け、
前記他の発光素子及び前記他の受光素子を前記発光素子及び前記受光素子に置き換えることにより、前記受光素子の受光方向と前記他の発光素子の発光方向を入れ替えるようにしたことを特徴とする光学式タッチパネル装置。
【請求項3】
前記向き及び位置を入れ替える発光素子及び受光素子は、装置裏面の略中央に備えた前記基板に実装したことを特徴とする請求項1記載の光学式タッチパネル装置。
【請求項4】
前記発光素子及び前記受光素子並びに前記他の発光素子及び前記他の受光素子は、装置裏面の略中央に備えた基板に実装したことを特徴とする請求項2記載の光学式タッチパネル装置。
【請求項5】
前記向き及び位置を入れ替える発光素子及び受光素子は、背中合わせに実装したことを特徴とする請求項1又は3記載の光学式タッチパネル装置。
【請求項6】
前記発光素子及び前記受光素子並びに前記他の発光素子及び前記他の受光素子は、背中合わせに実装したことを特徴とする請求項4記載の光学式タッチパネル装置。
【請求項7】
前記基板は、X方向支軸又はY方向支軸を支軸として180度回転させて前記発光素子及び前記受光素子の向き及び位置を入れ替えるようにしたことを特徴とする請求項5記載の光学式タッチパネル装置。
【請求項8】
前記発光素子及び前記受光素子並びに前記他の発光素子及び前記他の受光素子の位置の前記所定の間隔ずれとは、一素子分であり、
前記基板は、X方向及びY方向に前記一素子分スライドさせて、前記他の発光素子及び前記他の受光素子を前記発光素子及び前記受光素子に置き換えるようにしたことを特徴とする請求項6記載の光学式タッチパネル装置。
【請求項9】
前記基板の両側に光線を遮光する遮光部と光線を通過する通過部を交互に備えた遮蔽板を設け、前記遮蔽板の前記遮光部によって前記発光素子及び前記受光素子の光線を遮蔽し、前記遮蔽板の前記通過部によって前記他の発光素子及び前記他の受光素子の光線を通過させることにより、前記受光素子の受光方向と前記他の発光素子の発光方向を入れ替えるようにしたことを特徴とする請求項8記載の光学式タッチパネル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指等で遮光された位置を検出する光学式タッチパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10図12に従来の光学式タッチパネル装置300の構成を示す。図10は従来の光学式タッチパネル装置300の上面から見た構成図であり、図11は従来の光学式タッチパネル装置300の下面から見た構成図あり、図12は従来の光学式タッチパネル装置の図11のA−A断面図である。
【0003】
従来の光学式タッチパネル装置300は、液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という)であるLCD21と、LCD21の周囲を覆い導光路として機能するベゼル22と、赤外線26を発光する発光素子23と、その赤外線26を受光する受光素子24と、発光素子23の列及び受光素子24の列を実装する基板29から構成される。LCD21は表示面側を指等で触れられるため、通常、保護のためのガラスなどのカバー25が取り付けられている。
【0004】
図11及び図12に示したように、X方向には、複数の発光素子23を直線状に配列した基板29と、同じく複数の受光素子24を直線状に配列した基板29とをLCD21を介して発光素子23と受光素子24とが互いに向き合うように設ける。また、Y方向にも、複数の発光素子23を直線状に配列した基板29と、同じく複数の受光素子24を直線状に配列した基板29とをLCD21を介して発光素子23と受光素子24とが互いに向き合うように設ける。
【0005】
そして、従来の光学式タッチパネル装置300は、図12の破線矢印で示したように、左側の発光素子23から発光した赤外線26は左側のベゼル22内で反射し、LCD21の表面を通過し、再び右側のベゼル22内に入射し反射して右側の受光素子24で受光される。
【0006】
すべての発光素子23を発光させると、図10の破線矢印で示したように、赤外線26がLCD21表面にマトリクス状に配置される。そして、LCD21の表面、即ちカバー25が指等で触れられると、その位置の赤外線26が指等で遮光されるので、図示しない制御部にてこの遮光された受光素子24を検出し遮光位置を検出できるようになっている。
【0007】
ところが、実際の装置には図12に示したように外光27が存在する場合がある。この際、右側のベゼル22の入射部22−1には、LCD21表面を通過した赤外線26と、LCD21表面を通過しないで浅い角度で入射された外光27が存在することになる。LCD21表面を通過しない外光27は、常に右側のベゼル22を介して右側の受光素子24に入射することとなり、図示しない制御部は遮光されたことを判断できずに誤動作してしまうことがあった。
【0008】
ここで、図13は従来の他の光学式タッチパネル装置の上面から見た構成図であり、図14は同じく他の光学式タッチパネル装置の下面から見た構成図である。特開2003−99201号公報(特許文献1)は、図13図14に示すように従来の光学式タッチパネル装置400において、X方向及びY方向に配置した受光素子及び発光素子を交互に配置する技術が開示されている。特許文献1によると、外光が入射する側を受光量や時刻により判断して、外光が入射しない側の受光素子のみにて遮光を検知するように制御し、誤動作を防止しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−99201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1記載の従来の光学式タッチパネル装置400では、外光が入射する場合、外光が入射しない側の受光素子のみにて遮光を検知するために、解像度が半減してしまい、解像度を維持しようとすると素子数が増え、コストアップになり制御回路も複雑になるという問題があった。
また、外光が入射しない側の受光素子のみで遮光を検出するため、たとえば外光のX方向の位置が変わって外光が入射しない側が変わると、遮光を検出するY方向の位置にずれが発生してしまうという問題もあった。これを補正するためには、更に複雑な制御回路が必要であった。
【0011】
本発明の課題は、外光による影響を受けず、かつ指等の位置を解像度を落とさず精度よく検出する光学式タッチパネル装置を提供することにある。同時に、遮光検出のための位置ずれを起さず複雑な制御回路を必要としない光学式タッチパネル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明に関する光学式タッチパネル装置は、発光素子と、前記発光素子からの光線を受光する受光素子と、前記発光素子から前記受光素子までの間に設けられた導光路とを備え、前記導光路がディスプレイの表面に光軸を形成することにより前記光軸の遮光を検出する光学式タッチパネル装置において、一列に配列した複数の前記発光素子と、前記複数の発光素子と同じ配列方向に一列に配列した複数の前記受光素子を基板に実装し、前記複数の発光素子及び前記複数の受光素子の向き及び位置を入れ替えることにより、前記複数の発光素子の発光方向及び前記複数の受光素子の受光方向を入れ替えるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外光が前記受光素子に入射するときは、前記発光素子及び前記受光素子の向き及び位置を入れ替えて、発光素子の発光方向と受光素子の受光方向を入れ替えるようにしたので、簡単な制御により、外光による影響を受けず指等の位置を精度よく検出することができる光学式タッチパネル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の上面から見た構成図である。
図2】第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の下面から見た構成図である。
図3】第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の図2のA−A断面図である。
図4】第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の動作説明図である。
図5】第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の動作説明図である。
図6】第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の下面から見た構成図である。
図7】第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の図6のA−A断面図である。
図8】第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の基板の構成及び動作を示す説明図である。
図9】第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の変形例を示す説明図である。
図10】従来の光学式タッチパネル装置の上面から見た構成図である。
図11】従来の光学式タッチパネル装置の下面から見た構成図である。
図12】従来の光学式タッチパネル装置の図11のA−A断面図である。
図13】従来の他の光学式タッチパネル装置の上面から見た構成図である。
図14】従来の他の光学式タッチパネル装置の下面から見た構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
以下に本発明を実施するための最良の形態である第1の実施の形態を説明する。各図面に共通な要素には同一の符号を付す。図1は第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の上面から見た構成図であり、図2は第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の下面から見た構成図であり、図3は第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の図2のA−A断面図である。
【0016】
図1図3に示したように、第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置100は、ディスプレイとしてのLCD11と、LCD11の周囲を覆い導光路として機能することによりLCD11の表面に光軸16−1を形成するベゼル12x及び12yと、光線としての赤外線16を発光する発光素子13x及び13yと、その発光素子13x及び13yからの赤外線16を受光する受光素子14x及び14yと、複数の発光素子13xの列及び受光素子14xの列をX方向に実装するX方向基板19x及び複数の発光素子13yの列及び受光素子14yの列をY方向に実装するY方向基板19yから構成される。導光路としてのベゼル12x及び12yは、発光素子13x及び13yから受光素子14x及び14yまでの間に設けられる。ベゼル12x及び12yがLCD11の表面に光軸16−1を形成することにより、受光素子14x及び14yが光軸16−1の遮光を検出する。LCD11は、表示面側を指等で触れられるため、保護のためのガラスなどのカバー15が取り付けられている。
【0017】
そして、Y方向基板19yは、図2に示すように光学式タッチパネル装置100の下面のY方向に沿って装置略中央に設けられる。Y方向基板19yには、複数の発光素子13yの列及び受光素子14yの列を互いに等間隔に、かつ発光素子13yの発光方向及び受光素子14yの受光方向が逆方向になるように配置している。即ち、発光素子13及び受光素子14が互いに背中合わせになるように隣接して配置している。
【0018】
また、X方向基板19xは、図2に示すように光学式タッチパネル装置100の下面のX方向に沿って装置略中央に設けられる。X方向基板19xには、複数の発光素子13xの列及び受光素子14xの列を互いに等間隔に、かつ発光素子13xの発光方向及び受光素子14xの受光方向が逆方向になるように配置している。即ち、発光素子13x及び受光素子14xが互いに背中合わせになるように隣接して配置している。なお、指等による遮光の有無のみを検出する場合では発光素子13及び受光素子14をそれぞれ1個とし背中合わせに配置してもよい。
【0019】
更に、第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置100において、Y方向基板19yの長手方向には、幅方向略中央にY方向支軸19ycが設けられる。このY方向支軸19ycを支軸として、Y方向基板19yを矢印B方向に回転させて発光素子13及び受光素子14の向き及び位置を容易に入れ替えることができる構成となっている。
【0020】
また、X方向基板19xも同様に長手方向に、幅方向略中央にX方向支軸19xcが設けられる。このX方向支軸19xcを支軸として、X方向基板19xを矢印C方向に回転させて発光素子13及び受光素子14の向き及び位置を容易に入れ替えることができる構成となっている。なお、Y方向基板19y及びX方向基板19xを矢印C方向に回転させる構成であればよく、基板19を保持するブラケット等を設けてブラケット等を回転させるなどの構成としてもよい。
【0021】
そして、図3の破線矢印で示したように、発光素子13yから発光した赤外線16は左側のベゼル12y内で反射し、LCD11の表面に光軸16−1を形成する。そして再び右側のベゼル12yに入射し、ベゼル12y内で反射して受光素子14yに入射するようになっている。
【0022】
そして、すべての発光素子13x及び13yから赤外線16を発光させると、図1の破線矢印で示したようにディスプレイとしてのLCD11の表面に、赤外線16によって光軸16−1がマトリクス状に形成される。LCD11表面の光軸16−1が指等で遮光されると、遮光された受光素子14から図示しない制御部によりその位置を検出できるようになっている。
【0023】
第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置100は、外光17の影響を防止するために、図4及び図5に示すように動作する。図4及び図5は第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の動作説明図である。まず、図4に示したように外部にX方向に外光17が存在する場合、外光17が右側のベゼル12yの入射部12−1に入射し、右側のベゼル12yを経由して受光素子14yに入射する。そのため、発光素子13yから発光された赤外線16の光軸16−1が遮光されても、発光素子13yからの赤外線16の光軸16−1が遮光されたと認識できず、指等の位置が検出できない。
【0024】
このように外光17が受光素子14yに入射する場合、第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置100は、図4矢印Bに示すように、Y方向支軸19ycを支軸としてY方向基板19yを180度回転させる。こうして複数の発光素子13y及び受光素子14yの向き及び位置を一括して入れ替える。
【0025】
即ち、Y方向支軸19ycを支軸としてY方向基板19yを180度回転させると、図5に示すように発光素子13y及び受光素子14yの向き及び位置が入れ替わる。こうして発光素子13yの発光方向及び受光素子14yの受光方向が入れ替わる。即ち、赤外線16は、破線矢印のように向きが逆になり、受光素子14y及び外光17の位置関係が変わる。このとき、受光素子14yのY方向の位置に変化はなく、検出位置のずれは発生しない。その結果、受光素子14yに外光17が入射しなくなるので、発光素子13yから発光された赤外線16の光軸16−1の遮光を検出できるようになり、指等の位置を精度よく検出することができる。
【0026】
同様に、図示していないが、Y方向に外光17が存在する場合は、外光17が受光素子14xに入射しなくなるように、X方向支軸19xcを支軸としてX方向基板19xを180度回転させる。こうして発光素子13x及び受光素子14xの向き及び位置が入れ替わることにより、発光素子13xの発光方向及び受光素子14xの受光方向が入れ替わる。なお、Y方向基板19y及びX方向基板19xを180度回転させる動作は、駆動部を設けて自動的に回転させるようにしてもよいし、手動で回転させるようにしてもよい。
【0027】
以上詳細に述べたように第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置によれば、長手方向を回転軸として回転可能な基板19に、複数の受光素子14の列及び発光素子13の列を実装し、外光17の入射位置に応じて基板19を回転させて発光素子13及び受光素子14の向き及び位置を一括して入れ替えることにより、発光素子13の発光方向及び受光素子14の受光方向を入れ替えるようにしたので、簡単な制御により、外光17による影響を受けず指等の位置を精度よく検出することができる。
【0028】
(第2の実施の形態)
前記第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置100では、発光素子13の列及び受光素子14の列を実装した基板19を、長手方向を回転軸として180度回転させた。こうして発光素子13及び受光素子14の向き及び位置を入れ替え、発光素子13の発光方向及び受光素子14の受光方向を入れ替えることにより、受光素子14に入射される外光17の影響を除去するようにした。しかしながら第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置100では、基板19を回転させるためそのスペースが必要となる。第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置200では、発光素子13a及び受光素子14aとは向きが逆で位置が所定の間隔ずれている他の発光素子13b及び他の受光素子14bを設ける。これにより簡単な制御で、特に基板19の回転による厚さ方向のスペースを必要としない構成で、受光素子14aに入射される外光17の影響を除去するようにしたものである。
【0029】
図6は第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の下面から見た構成図であり、図7は第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の図6のA−A断面図である。図8は第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の基板の構成及び動作を示す説明図である。なお、第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置200の上面から見た構成図は、第1の実施の形態の図1と同様であるので、図面及びその説明を省略する。
【0030】
図6に示したように、第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置200では、第1の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置100に比べ、発光素子13、受光素子14の個数を2倍にし、後述する基板に二列に配列し、各列は発光素子13及び受光素子14を交互に配置した構成となっている。Y方向基板19yには、まず発光素子13a及び受光素子14aが設けられる。そして、その下には発光素子13a及び受光素子14aとは向きが逆で位置が所定の間隔ずれている他の発光素子13b及び他の受光素子14bが設けられる。
【0031】
即ち、図8に示す破線a部のように、発光素子13a及び受光素子14a並びに発光素子13b及び受光素子14bを一単位として、これをY方向基板19yに複数単位実装している。各単位内において、発光素子13a及び受光素子14aは、その発光方向及び受光方向がそれぞれ逆方向になるように、背中合わせに実装している。また発光素子13b及び受光素子14bも同様に、その発光方向及び受光方向がそれぞれ逆方向になるように、背中合わせに実装している。そして発光素子13a及び発光素子13bは、その発光方向が逆方向になるように、かつ位置が所定の間隔、即ち一素子分の間隔ずれて実装している。同様に受光素子14a及び受光素子14bも、その受光方向が逆方向になるように、かつ位置が所定の間隔、即ち一素子分の間隔ずれて実装している。更に各単位は、Y方向基板19yの長手方向に沿って実装し、各単位の長手方向の長さは、発光素子13a及び発光素子13bの二素子分となる。
【0032】
また、Y方向基板19yの両側近傍には、Y方向基板19yの長手方向に沿って2枚のY方向遮光板18yが配置される。Y方向遮光板18yは、赤外線16を遮光する遮光部18−1と、赤外線16を通過させる通過部18−2を交互に備える。Y方向基板19yは長手方向に沿って、半単位分、即ち一素子分、図示しない駆動手段により移動可能に設けられる。Y方向基板19yは、まずY方向基板19yの発光素子13a及び受光素子14aがY方向遮光板18yの遮光部18−1に対応する位置にあり、そして、発光素子13b及び受光素子14bが通過部18−2に対応する位置にある。その後、Y方向基板19yの移動により、Y方向基板19yの発光素子13a及び受光素子14aがY方向遮光板18yの通過部18−1に対応する位置に移動し、そして、発光素子13b及び受光素子14bが遮光部18−1に対応する位置に移動する。
【0033】
即ち、Y方向遮光板18yの通過部18−2は受光素子14a又は受光素子14bへの赤外線16のいずれか一方を通過させるようになっている。同様に、X方向基板19xの両側近傍にもX方向遮光板18xを配置する。図8(a)は、受光素子14bへの赤外線16を通過部18−2にて通過させ、受光素子14aへの赤外線16を遮光部18−1にて遮光する位置にY方向遮光板18yが配置された状態を示している。図8(b)は、受光素子14aへの赤外線16を通過部18−2にて通過させ、受光素子14bへの赤外線16を遮光部18−1にて遮光する位置にY方向遮光板18yが配置された状態を示している。
【0034】
更に、第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置200は、Y方向基板19yにはY方向に沿ってY方向スライド軸19ysを備え、長手方向にY方向基板19yをスライドできる構成となっている。一方、X方向基板19xにもX方向に沿ってX方向スライド軸19xsを備え、長手方向にX方向基板19xをスライドできる構成となっている。なお、Y方向基板19y、X方向基板19xをそれぞれY方向、X方向にスライドできる構成であればよく、基板19を保持するブラケット等を設けてブラケット等をスライドさせる構成としてもよい。
【0035】
本発明の第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置200は、図7に示した外光17の影響を除去するために、図8に示すように動作する。即ち、図7に示すように、外光17が存在する場合、外光17が左側のベゼル12yの入射部12−2に入射する。そして、外光17は左側のベゼル12yを経由して受光素子14yに入射する。そのため、発光素子13yから発光された赤外線16の光軸16−1が遮光されても、光軸16−1が遮光されたことを認識できず、指等の位置を検出できない。このことを図8(b)により再度説明すると、外光17が左側のベゼル12yを経由して、Y方向遮光板18yの通過部18−2を通過して、例えば受光素子14aに入射してしまう。そのため、発光素子13aから発光された赤外線16の光軸16−1が遮光されても、光軸16−1が遮光されたことを認識できず、指等の位置を検出できないことになる。
【0036】
このように外光17が受光素子14aに入射する場合、第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置200は、Y方向基板19yをY方向スライド軸19ysに沿ってD方向にスライドさせる。そうすると図8(a)に示すように、発光素子13a及び受光素子14aは、他の発光素子13b及び他の受光素子14bに置き換えられることになる。こうして発光素子13の発光方向及び受光素子14の受光方向を入れ替える。このとき、受光素子14aにはY方向遮光板18yの遮光部18−1が位置し、外光17も発光素子13aからの赤外線16の光軸16−1も遮光され、受光素子14aにはいずれの光も入射されない。
【0037】
そして、受光素子14bには、Y方向遮光板18yの通過部18−2が位置するが、外光17は入射せず、発光素子13bからの赤外線16のみがベゼル12yを介して受光素子14bに入射される。これにより指等により赤外線16の光軸16−1が遮光されれば、指等の位置を検出することができる。なお、その後、外光17が図7の例とは反対側、即ち左側に移動したことにより外光17が入射部12−1から入射した場合は、図8(b)に示すようにY方向基板19yをE方向にスライドさせることにより、発光素子13の発光方向及び受光素子14の受光方向を入れ替える。
【0038】
第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置200は、更に、一単位としての受光素子14a、14bのうち、いずれも受光していないときに赤外線16が遮光されたと判定する。そして、一単位としての受光素子14a、14bのうち、いずれかが受光していれば、赤外線16の光軸16−1が遮光されていないと判定する。これにより1つの受光素子で遮光を検出した場合と同様の作用となる。
【0039】
図8(c)は第2の実施の形態に関する遮光判定回路を示す説明図である。例えば、受光素子14a、14bの出力が、赤外線16が遮光された場合にHレベルとなり、赤外線16を受光した場合にLレベルになるとする。そのとき受光素子14a、14bの出力を入力としたAND回路とし、その出力がHレベルのときのみ赤外線16が遮光されたと判定するようにすればよい。図8(a)の場合では、外光17が存在しても、外光17はY方向遮光板18yの遮光部18−1で遮光され、受光素子14aの出力はHレベルになる。そして、発光素子13bからの赤外線16は受光素子14bに入射するが、光軸16−1の遮光を検知すると、受光素子14bの出力はHレベルになる。こうして、AND回路の出力はHレベルとなる。
【0040】
このように判定することにより、いずれの受光素子14a、14bの受光により検出するかを切り替えるような複雑な回路や制御を必要としない。また、遮光を検出する位置も、図8(a)の場合では受光素子14bで検出し、図8(b)の場合では受光素子14aで検出し、その結果Y方向の位置は同一であるので、精度よく遮光位置を検出することができる。
【0041】
なお、図7に示すように外光17がX方向から入射する場合に、図8(a)及び(b)により、Y方向基板19yをY方向にスライドさせる例を説明した。これに対し、外光17がY方向から入射する場合では、X方向基板19xをX方向にスライドさせることにより、外光17による誤動作を防止することができる。また、外光17が、斜め方向から入射する場合では、X方向基板19x及びY方向基板19yを同時にスライドさせるようにすればよい。
【0042】
以上詳細に述べたように第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置200によれば、発光素子13a及び受光素子14aとは向きが逆で位置が所定の間隔ずれている他の発光素子13b及び他の受光素子14bを設ける。発光素子13及び受光素子14を交互に向きを替えて二列に基板19に配置し、交互に配置したうちの受光素子14bへの赤外線16を通過させ、受光素子14aへの赤外線16を遮光する遮光板18を設ける。外光17の入射位置に応じて1素子分基板19をスライドさせて、発光素子13b及び受光素子14bを発光素子13a及び受光素子14aに置き換えることにより、受光素子14aの受光方向と発光素子13bの発光方向を入れ替えるようにした。そして、交互に配置した受光素子14a及び14bのいずれも遮光したときに赤外線16の光軸16−1が遮光されたと判定するようにしたので、複雑な制御もスペースも要することなく、外光17による影響を受けず指等の位置を精度よく検出することができる。
【0043】
(変形例)
図9は第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置の変形例を示す説明図である。第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置200では、発光素子13a及び受光素子14aとは向きが逆で位置が所定の間隔ずれている他の発光素子13b及び他の受光素子14bを設け、Y方向基板19yをY方向にスライドさせ、発光素子13b及び受光素子14bを発光素子13a及び受光素子14aに置き換える例を説明した。これに対し、図9に示したように、発光素子13a及び受光素子14a並びにこれらとは向きが逆で位置が所定の間隔ずれている発光素子13b及び受光素子14bを、それぞれ背中合わせにして垂直方向にずらして実装してもよい。即ち、これらをZ方向に所定の間隔としての間隔Lずらして実装し、外光17の位置に応じてZ方向基板19zをZ方向に間隔L分スライドさせて、発光素子13b及び受光素子14bを発光素子13a及び受光素子14aに置き換えるようにしてもよい。Z方向基板19zは両面の面実装基板にするとなおよい。
【0044】
また、第1及び第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置100及び200において、発光素子13の列及び受光素子14の列を一つの基板19に配置して基板19を回転又はスライドさせるように説明したが、複数の基板に分けて配置してそれぞれの基板を回転又はスライドさせるようにしてもよい。また、発光素子13の列及び受光素子14の列を基板19ではなく固定部材に固定し回転又はスライドするようにしてもよい。
【0045】
また、第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置200では、遮光板18を設け、遮光部18−1により一方の受光素子14a又は14bに入射する光を遮光して、他方の受光素子14b又は14aを使用しない素子とする例を説明した。これに対し、電気回路で切替スイッチを持ち、使用しない側の受光素子14の出力信号を無効にするようにしてもよい。このようにすれば、更に確実に外光17による影響を防止することができる。
【0046】
また、第2の実施の形態に関する光学式タッチパネル装置200では、Y方向基板19y及びX方向基板19xを1素子分スライドさせるように説明した。これに対しY方向基板19y及びX方向基板19xを固定し、Y方向遮光板18y及びX方向遮光板18xの両方を1素子分スライドさせるようにしてもよい。この場合は、遮光を検出する位置の誤差が1素子分発生することになる。或いは、Y方向基板19y、X方向基板19x及びY方向遮光板18y、X方向遮光板18xの両方を逆方向に1/2素子分ずつスライドさせるようにしてもよい。
【0047】
以上述べたように、本発明は、指等で遮光された位置を検出する光学式タッチパネル装置に、更にはこれを入力手段とする情報処理装置や自動取引装置などにも広く用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
11 LCD
12 ベゼル
13 発光素子
14 受光素子
16 赤外線
16−1 光軸
17 外光
18x X方向遮光板
18y Y方向遮光板
19x X方向基板
19y Y方向基板
100 光学式タッチパネル装置
図1
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