【実施例】
【0020】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0021】
実施例1〜13および比較例1〜13
サンプルの調製
表1〜3に示す配合(質量部)において、加硫系(加硫促進剤、硫黄)を除く成分を噛み合い式ミキサーで約5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。その後もう一度噛み合い式ミキサーで2分30秒間リミルを行った。続いて、該組成物をオープンロールで、加硫系を加えて混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃で20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られた加硫ゴム試験片または未加硫ゴム組成物について以下に示す試験法で物性を測定した。
【0022】
硬度(20℃):JIS 6253に準拠して、20℃で測定した。結果は、比較例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど硬度が高く、操縦安定性に優れることを示す。
引張試験:JIS K 6251に準拠して、室温にて引張試験を実施し、破断強度(TB)および破断伸び(EB)を測定した。結果は、比較例1を100として指数で示した。指数が大きいほど強度が高いことを示す。
加工性(ロール巻きつき):前記のサンプルの調製において、噛み合い式ミキサーで約5分間混練した後、ミキサー外に放出させたときのロールへの巻きつき性を目視で確認した。評価は以下の通りである。
○:巻きつきが一切見られず、スムーズに放出される。
△:ミキサーを動かしたままラム上下を何度か繰り返せば放出される。
×:ミキサーを停止させ、手で引っ張り出さないと放出されない。
結果を表1〜3に併せて示す。
なお、実施例3、6、9は参考例である。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
*1:E−SBR(日本ゼオン(株)製乳化重合SBR、Nipol 1502)
*2:BR(日本ゼオン(株)製Nipol BR 1220)
*3:ポリアミドポリエーテルエラストマー(宇部興産(株)製UBESTAXPA P9040X1)
*4:液状SBR(サートマー社製RICON100、重量平均分子量=5000)
*5:シリカ(東ソー・シリカ(株)製Nipsil AQ、BET比表面積=200m
2/g)
*6:カーボンブラック(キャボットジャパン(株)製ショウブラックN339M、N
2SA=81m
2/g)
*7:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製、酸化亜鉛3種)
*8:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸)
*9:老化防止剤(住友化学(株)製アンチゲン6C)
*10:シランカップリング剤(エボニック・デグサ社製Si69)
*11:オイル(昭和シェル石油(株)製エクストラクト4号S)
*12:硫黄(軽井沢精錬所社製油処理硫黄)
*13:含硫黄加硫促進剤(三新化学工業(株)製サンセラーCM−P0)
*14:加硫促進剤(三新化学工業(株)製サンセラーD−G)
【0027】
上記の表1から明らかなように、実施例1〜13で調製されたゴム組成物は、ジエン系ゴムにカーボンブラックおよび/または無機充填剤の特定量、ポリアミドポリエーテルエラストマーの特定量および液状スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの特定量を配合しているので、従来の代表的な比較例1に対し、硬度が上昇し、優れた操縦安定性を提供している。また破断伸びおよび破断強度も向上している。とくに、ポリアミドポリエーテルエラストマーと液状スチレン−ブタジエン共重合体ゴムとの配合量の比が、前者:後者(質量比)として、3:1〜3:2の範囲内にある実施例1、2、4、5、7、8、10、11、12、13は、硬度を維持しつつ、破断伸びおよび破断強度が大幅に向上している。
一方、表2〜3において、実施例1(再掲)と比較例2および3を比較すると、実施例1は、液状SBRを配合していない比較例2に対し、破断伸びおよび破断強度の向上が確認できる。また実施例1は、ポリアミドポリエーテルエラストマーを配合していない比較例3に対し、硬度、破断伸びおよび破断強度のいずれも向上していることが確認できる。
また、実施例4(再掲)と比較例4および5を比較すると、実施例4は、液状SBRを配合していない比較例4に対し、破断伸びが大幅に向上しているとともに、破断強度も改善されていることが確認できる。また実施例4は、ポリアミドポリエーテルエラストマーを配合していない比較例5に対し、破断伸びが大幅に向上しているとともに、硬度および破断強度も改善されていることが確認できる。
また、実施例7(再掲)と比較例6および7を比較すると、実施例7は、液状SBRを配合していない比較例6に対し、破断伸びが大幅に向上しているとともに、破断強度も改善されていることが確認できる。また実施例7は、ポリアミドポリエーテルエラストマーを配合していない比較例7に対し、破断伸びが大幅に向上しているとともに、硬度および破断強度も改善されていることが確認できる。
また、実施例10(再掲)と比較例8および9を比較すると、実施例10は、液状SBRを配合していない比較例8に対し、破断伸びが大幅に向上しているとともに、破断強度も改善されていることが確認できる。また実施例10は、ポリアミドポリエーテルエラストマーを配合していない比較例9に対し、破断伸びが大幅に向上しているとともに、硬度および破断強度も改善されていることが確認できる。
また、実施例12(再掲)と比較例10および11を比較すると、実施例12は、液状SBRを配合していない比較例10に対し、破断伸びが大幅に向上しているとともに、破断強度も改善されていることが確認できる。また実施例12は、ポリアミドポリエーテルエラストマーを配合していない比較例11に対し、破断伸びが大幅に向上しているとともに、硬度および破断強度も改善されていることが確認できる。
なお、比較例12は、ポリアミドポリエーテルエラストマーの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、加工性が悪化し、成形が困難となった。
比較例13は、液状SBRを使用せず、単にE−SBRの配合量を多くした例であるので、破断伸びの大幅な向上が確認されなかった。