特許第6187080号(P6187080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6187080-電界発光素子 図000064
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187080
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】電界発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20170821BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   H05B33/22 D
   C09K11/06 610
   C09K11/06 635
   C09K11/06 645
   C09K11/06 690
【請求項の数】7
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2013-194102(P2013-194102)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2014-96572(P2014-96572A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年1月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-225759(P2012-225759)
(32)【優先日】2012年10月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 晃
(72)【発明者】
【氏名】大沢 美紀
(72)【発明者】
【氏名】北川 寿美子
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/102740(WO,A1)
【文献】 特開2010−205434(JP,A)
【文献】 特開2007−080906(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/148909(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/059713(WO,A1)
【文献】 特開2008−297535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50−51/56
H05B 33/00−33/28
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極および陰極からなる一対の電極間に、ホスト材料および一般式(I)で表される発光ドーパントを含む少なくとも1層の発光層と、前記発光層に隣接する正孔輸送層を有し、前記正孔輸送層を形成する正孔輸送材料の仕事関数(Wf(HTM))と前記ホスト材料の仕事関数(Wf(host))との関係が、|Wf(host)|−|Wf(HTM)|≦0.2eVとなり、
【化1】
(一般式(I)におけるAは多環芳香族化合物である。Lは多環芳香族化合物とシアノ基を結ぶ連結基であり、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基を示す。m、n、xは価数を表し、1〜10の何れかの整数である。)
一般式(I)で表される発光ドーパントの電子親和力Ea(dopant)とホスト材料の電子親和力Ea(host)との関係が、|Ea(dopant)|−|Ea(host)|≧0.15eVであり、
一般式(I)で表される発光ドーパントが、下記化合物群の何れかを含むことを特徴とする電界発光素子。
【化2A】

【化2B】

【化2C】

【請求項2】
前記発光層の前記ホスト材料と前記正孔輸送層は、下記化合物群の何れかを含むことを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【化3】
【請求項3】
一般式(I)で表される発光ドーパントが、下記化合物群の何れかである請求項1または2に記載の電界発光素子。
【化4】

【請求項4】
前記発光層の前記ホスト材料と前記正孔輸送層とは、下記化合物群の何れかを含む請求項1〜3の何れか一項に記載の電界発光素子。
【化5】
【請求項5】
前記発光層の前記ホスト材料と前記正孔輸送層とを同一材料とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電界発光素子。
【請求項6】
前記発光層の前記ホスト材料と前記正孔輸送層とは、下記化合物である請求項1〜5の何れか一項に記載の電界発光素子。
【化6】
【請求項7】
陽極から正孔輸送層に至るまでの何れかの有機層の少なくとも一部分が、電子アクセプターとして機能する無機化合物、あるいは有機化合物によりドーピングされていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子は、例えば、数Vから数十V程度の低電圧で発光が可能であり、また、蛍光性有機化合物の種類を選択することにより種々の色の発光が可能なことから、様々な発光素子、表示素子等への応用が期待されている。
【0003】
このような電界発光素子には、一般的に発光材料として蛍光強度が非常に強い化合物が用いられる。例えば、こうした材料の一つとして、特許文献1、特許文献2に開示された材料が挙げられるが、発光材料の特性を活かした強い発光強度を得るためには、材料の基本骨格に最も相応しい置換基を選択した構造設計をする必要がある。
【0004】
同時に電界発光素子として高い発光輝度を得るためには、素子を構成する各層の特性を考慮しなければならない。特に、正孔と電子の両キャリアの再結合を促進させるため、発光層におけるキャリアトラップ性を十分に高めることが極めて重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3853042号公報
【特許文献2】特許4041582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、基本骨格に最適な置換基が選定された発光材料と、発光材料の特性を最大限に活かせる素子構成とを組み合わせることで、高い発光輝度を持つ電界発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、陽極および陰極からなる一対の電極間に、ホスト材料および一般式(I)で表される発光ドーパントを含む少なくとも1層の発光層と、前記発光層に隣接する正孔輸送層を有し、前記正孔輸送層を形成する正孔輸送材料の仕事関数(Wf(HTM))と前記ホスト材料の仕事関数(Wf(host))との関係が、|Wf(host)|−|Wf(HTM)|≦0.2eVとなることを特徴とする電界発光素子を提供する。
【化1】
(一般式(I)におけるAは多環芳香族化合物である。Lは多環芳香族化合物とシアノ基を結ぶ連結基であり、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基を示す。m、n、xは価数を表し、1〜10の何れかの整数である。)
【0008】
シアノ基を連結したアリール基、あるいはシアノ基を連結した複素環基は強い電子受容性を示し、多環芳香族化合物を主骨格とする発光ドーパントに強い電子トラップ能力を付与することができる。この結果、十分な電子トラップ準位が形成され、注入された電子は発光ドーパント上にトラップされることとなる。
【0009】
一方で正孔輸送層から発光層への注入障壁を0.2eV以下とすることで、正孔注入をスムーズに行うことが可能となる。この結果、電子をトラップした発光ドーパントへ滞りなく正孔を輸送することが可能となり、発光ドーパント中で効率良く再結合を起こすことが可能となる。正孔輸送層から発光層への正孔注入障壁が大きい場合には、電子は発光ドーパントにより発光層の陰極側に、正孔は正孔輸送層と発光層との界面(発光層の陽極側)にそれぞれ離れてトラップされ、再結合が困難になる。また、シアノ基と多環芳香族化合物との間に連結器を設けることで多環芳香族化合物が元来有する蛍光強度を損なったり、スペクトル形状を大きく変化させるといった悪影響を避けることが可能である。これら一連の結果により、多環芳香族化合物由来の強い蛍光強度を有する、高効率な電界発光素子を得ることが可能となる
【0010】
また本発明の電界発光素子は、一般式(I)で表される発光ドーパントの電子親和力Ea(dopant)とホスト材料の電子親和力Ea(host)との関係が、|Ea(dopant)|−|Ea(host)|≧0.15eVである。
【0011】
一般式(I)の化合物は電子親和力の大きな化合物ではあるが、発光層中での電子トラップ能力はホスト材料との比較で決まるため、組み合わせるホスト材料によっては十分な電子トラップ能力を発揮することができない。十分な発光を得るには、少なくとも0.15eV以上のトラップ準位を形成できるホスト材料の選択が必要である。
【0012】
また本発明の電界発光素子では、一般式(I)における多環芳香族Aが、下記化合物群の何れかである。
【化2】

(構造式A−1〜A−31において、Xnは置換基であり、少なくとも一箇所は連結器Lを介してシアノ基と連結している。残りのXnは水素原子、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、芳香族アミノ基、シリル基、チオール基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子等から選ばれるが、通常は水素原子、あるいは炭素数6〜20の置換または無置換のアリール基である。ただし、XnはX1からX18の何れかである。)
【0013】
これらの多環芳香族化合物は蛍光強度が強く、可視光領域の発光が可能な他、合成が容易な化合物群である。
【0014】
また、本発明の電界発光素子では、陽極から正孔輸送層に至るまでの何れかの有機層の少なくとも一部分が、電子アクセプターとして機能する無機化合物、あるいは有機化合物によりドーピングされている。
【0015】
このような無機化合物、あるいは有機化合物は、接する有機物から電子を引き抜くことで正孔を発生させることができる。この結果、陽極から発光層に正孔を注入するまでの注入障壁を著しく低下することができ、本発明の電子トラップタイプの電界発光素子により好ましい状況とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高い発光強度を持つ電界発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の素子の概略である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態による素子について図1を参照しながら説明する。図1に示すように、電界発光素子1は、基板2上に、陽極3、正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8、陰極9を順次有する。
【0019】
基板2は、透明または半透明の材料から形成されていることが好ましく、例えば、ガラス板、透明プラスチックシート、半透明プラスチックシート、石英、透明セラミックスあるいはこれらを組み合わせた複合シートがある。なお、基板2は、不透明な材料から形成されていてもよい。この場合は、基板2の反対側から光を取り出す素子構造とすればよい。さらに、基板2に、例えば、カラーフィルター膜、色変換膜、誘電体反射膜等を組み合わせることにより、発光色をコントロールしてもよい。
【0020】
陽極3は、比較的仕事関数の大きい金属、合金または電気電導性化合物を電極物質として使用することが好ましい。陽極3に使用する電極物質としては、例えば、金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)、ポリチオフェン、ポリピロールなどがある。これらの電極物質は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。陽極3は、これらの電極物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法等の気相成長法により、基板2の上に形成することができる。また、陽極3は、一層構造であっても、多層構造であってもよい。
【0021】
正孔注入層4および正孔輸送層5は、陽極3からの正孔(ホール)の注入を容易にする機能、注入された正孔を輸送する機能、発光層6に正孔を注入する機能、および電子が発光層6から正孔輸送層5に注入されるのを妨げる機能を有する化合物を含有する層である。正孔注入層4および正孔輸送層5は、フタロシアニン誘導体、トリアリールメタン誘導体、トリアリールアミン誘導体、チオフェンおよびその誘導体、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体などの炭化水素化合物などを少なくとも1種用いて形成することができる。なお、正孔注入層4としての機能と正孔輸送層5としての機能を単体でもつ材料であれば、正孔注入輸送層として1層で2層分の機能を果たすことができる。逆に、正孔注入層4または正孔輸送層5を2層以上の複数層にて形成することもできる。
【0022】
本発明の電界発光素子では、正孔輸送層5から発光層6への正孔注入に特に注意する必要があり、正孔輸送層5を形成する正孔輸送材料の仕事関数(Wf(HTM))と一般式(I)で表される発光ドーパントを含むホスト材料の仕事関数(Wf(host))との関係が、|Wf(host)|−|Wf(HTM)|≦0.2eVである必要がある。正孔輸送層5から発光層6への正孔注入障壁が大きい場合には、電子は発光ドーパントにより発光層の陰極側に、正孔は正孔輸送層5と発光層6との界面(発光層の陽極側)にそれぞれ離れてトラップされ、再結合が困難になる。特に|Ea(dopant)|−|Ea(host)|≧|Wf(host)|−|Wf(HTM)|となる条件が好ましい。このような条件では、発光ドーパントの電子トラップ能力が正孔輸送層5と発光層6との界面の正孔トラップ能力に勝る為、発光層に十分な正孔が供給される事になる。|Wf(host)|−|Wf(HTM)|の値が0eV以下である場合は正孔注入障壁が無い状態であるので、下限値としての制限は本来無い。しかしながら、あまりに小さな値の場合は|Ea(host)|−|Ea(HTM)|の値が負に転じ、正孔輸送層5の機能の一つである発光層6中の電子が正孔輸送層5に注入されるのを防ぐ機能が損なわれることになる。よって実際には−0.6eV≦|Wf(host)|−|Wf(HTM)|≦0.2eVであることが好ましい。
【0023】
正孔輸送層5が複数の材料から形成された混合物である場合は、混合物中で最大の仕事関数を持つ材料の仕事関数(Wf(HTM)max)からの注入について考えればよい。逆に、発光層6が複数のホスト材料から形成された混合物である場合は、混合物中で最小の仕事関数(Wf(host)min)をもつ材料への注入について考えればよい。このような場合は、|(Wf(host)min)|−|(Wf(HTM)max)|≦0.2eVであればよい。
【0024】
このような条件を満たす正孔輸送層5としてはモノアミン誘導体やカルバゾール誘導体、アントラセン誘導体などの炭化水素系の材料が好ましく用いられる。カルバゾール誘導体や炭化水素系の材料など高い仕事関数をもつ材料を正孔輸送層5に用いると、陽極3から正孔注入層4、あるいは正孔輸送層5への正孔注入障壁、あるいは正孔注入層4から正孔輸送層5への正孔注入障壁が高くなるが、電子アクセプターとして機能する無機化合物、あるいは有機材料を正孔注入層4や正孔輸送層5の一部にドーピング、あるいは正孔注入層4や正孔輸送層5の界面に薄膜として使用することで正孔を発生させることができ、実質的なホール注入障壁を下げる事ができる。
【0025】
このような無機化合物としては、塩化アンチモン、酸化バナジウム、酸化ルテニウム、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化モリブデン等を用いることができるが、酸化モリブデンが特に好ましい。また、このような有機材料としてはヘキサシアノアザトリフェニレンやその誘導体を用いることができる。
【0026】
特に、製造プロセスの簡略化や同一材料を使用することによるコストダウンという意味では、発光層6のホスト材料と同一の材料を正孔輸送層5や正孔注入層4に用いることが好ましい。同一材料であるために、正孔輸送層5から発光層6への注入障壁は0eVとなり、電子トラップ性の電界発光素子にとって非常に都合が良い。この場合も、電子アクセプター機能を有する無機化合物、あるいは有機化合物を用いて正孔注入層4等にドーピング等の処理を行うことで、陽極3から正孔輸送層5に至るまでの実質的なホール注入障壁を下げる事ができる。
【0027】
発光層6は、注入された正孔(ホール)および電子の輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する化合物を含有する層である。本発明における下記一般式(I)で表される化合物は発光層6において、発光ドーピング材料として用いるのが好ましい。
【化3】
(一般式(I)におけるAは多環芳香族化合物である。Lは多環芳香族化合物とシアノ基を結ぶ連結基であり、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基を示す。m、n、xは価数を表し、1〜10の何れかである。)
【0028】
多環芳香族化合物は、蛍光強度の非常に強い化合物であり、発光材料の中心骨格として有望な材料である。多環芳香族化合物Aとしては、基本的には全ての多環芳香族化合物を用いることができるが、化4に示した化合物群の何れかが、蛍光強度、可視光領域の発光が可能なこと、合成が容易であることなどの点で好ましい。特に、フルオレンやフルオランテンのような5員環を含む多環芳香族化合物は、5員環の影響により元々若干の電子受容性を持っているため、電子トラップ性の発光材料の母骨格としてより好ましい材料である。また、下記化合物の二量体、三量体等の多量体や、異なる化合物同士でクロスカップリングした化合物もAとして用いることができる。
【0029】
【化4】
【0030】
構造式A−1〜A−31において、Xnの少なくとも一箇所は連結器Lを介してシアノ基と連結している。残りのXnは水素原子、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、芳香族アミノ基、シリル基、チオール基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子等から選ばれるが、通常は水素原子、あるいは炭素数6〜20の置換または無置換のアリール基である。
【0031】
mは多環芳香族化合物Aの価数であり、1〜10の範囲で選択できるが、材料の溶解性等を考慮すれば、通常は1〜4程度である。
【0032】
Lは多環芳香族化合物Aとシアノ基を結ぶ連結基であり、シアノ基の強い電子受容性の影響を調整する機能を有する基で、置換または無置換のアリーレン基、あるいは置換または無置換の複素環基から適宜選択することが出来る。アリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ピレニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基等が挙げられる。通常はフェニレン基が好ましいが、電子受容性が強い場合には、ナフチレン基やビフェニレン基に変更すればよい。複素環基の具体例としては、ピラゾール、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キノキサリン、アクリジン、フェナントロリン、イミダゾピリジン、イミダゾピリミジン、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン等を用いる事が出来る。複素環基の場合も、通常はピリジン、ピリミジンやフラン、チオフェンといった単環の化合物が好ましいが、電子受容性に応じて適宜変更することができる。
【0033】
nは連結基Lに対するシアノ基の価数で、通常は1〜5の範囲であり、合成の容易さという点では1〜3であることが好ましい。
【0034】
xは多環芳香族Aに対するシアノ基で置換された連結基Lの価数であり、通常は1〜6の範囲である。
【0035】
以下に、A−1で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化5】
【0036】
以下に、A−2で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化6】
【0037】
以下に、A−3で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化7】
【0038】
以下に、A−4で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化8】
【0039】
以下に、A−5で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化9】
【0040】
以下に、A−6で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化10】
【0041】
以下に、A−7で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化11】
【0042】
以下に、A−8で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化12】
【0043】
以下に、A−9で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化13】
【0044】
以下に、A−10で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化14】
【0045】
以下に、A−11で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化15】
【0046】
以下に、A−12で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化16】
【0047】
以下に、A−13で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化17】
【0048】
以下に、A−14で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化18】
【0049】
以下に、A−15で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化19】
【0050】
以下に、A−16で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化20】
【0051】
以下に、A−17で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化21】
【0052】
以下に、A−18で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化22】
【0053】
以下に、A−19で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化23】
【0054】
以下に、A−20で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化24】
【0055】
以下に、A−21で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化25】
【0056】
以下に、A−22で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化26】
【0057】
以下に、A−23で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化27】
【0058】
以下に、A−24で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化28】
【0059】
以下に、A−25で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化29】
【0060】
以下に、A−26で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化30】
【0061】
以下に、A−27で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化31】
【0062】
以下に、A−28で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化32】
【0063】
以下に、A−29で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化33】
【0064】
以下に、A−30で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化34】
【0065】
以下に、A−31で表される多環芳香族を用いた、一般式(I)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化35】
【0066】
一般式(I)の化合物を発光ドーパントとして用いる場合、 ホスト化合物に対する含有量は通常0.01〜20wt%、さらには0.1〜15wt%であることが好ましい。
【0067】
発光ドーピング材料である一般式(I)とともに発光層6を形成するホスト材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の有機金属錯体、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ピレン、ペリレン等の炭化水素化合物誘導体の他、カルバゾールやチオフェン、フラン等の複素環誘導体やトリアリールアミン誘導体等を用いる事も出来る。
【0068】
本発明の一般式(I)で表される発光ドーピング材料は、電子受容性に優れており、電子トラップ性ドーピング材料として機能するが、組み合わせるホスト材料によっては十分な電子トラップ性を発揮できない場合がある。この為、発光ドーピング材料である一般式(I)で表される化合物の電子親和力Ea(dopant)とホスト材料の電子親和力Ea(host)との関係が、|Ea(dopant)|−|Ea(host)|≧0.15eVである必要がある。このような条件を満たすホスト材料としては炭化水素化合物や複素環誘導体、トリアリールアミン誘導体等が好ましいが、トリアリールアミン誘導体と一般式(I)で表される化合物とはエキサイプレックスを形成しやすいため、炭化水素化合物や複素環誘導体の使用が特に好ましい。
【0069】
ホスト材料が複数の材料から形成された混合物である場合は、混合物中で最小の電子親和力を持つ材料の電子親和力(Ea(host)min)について考えればよい。逆に、発光ドーパントに複数の材料が用いられている場合は、その中で最大の電子親和力を持つ材料の電子親和力(Ea(dopant)max)について考えればよい。このような場合は、|Ea(dopant)max|−|Ea(host)min|≧0.15eVであればよい。
【0070】
一般式(I)における多環芳香族化合物Aの構造がA−1〜A−12、あるいはA−19〜A−21、あるいはA−27〜A−31の場合は、アントラセン誘導体がホスト材料として特に良好である。アントラセンは、安定である他、青〜緑色の発光素子に適当なエネルギーギャップを持つ為である。以下にアントラセン誘導体の具体例を示す。
【化36】
【0071】
一般式(I)における多環芳香族化合物Aの構造がA−13〜A−15、あるいはA−22〜A−26の場合は、ナフタセン誘導体がホスト材料として特に良好である。ナフタセンでは、緑色よりも長波長の発光材料を用いた素子設計が可能である。また、ナフタセンは仕事関数の値が小さく、一般的な正孔輸送材料であるトリアリールアミン誘導体を正孔輸送層5に用いた場合でも発光層6へのホール注入障壁を 低くする事が出来る。発光層6と正孔輸送層5との界面で正孔をトラップする事が無い為、電子トラップ材料には最良のホスト材料である。以下にナフタセン誘導体の具体例を示す。
【化37】
【0072】
一般式(I)における多環芳香族化合物Aの構造がA−16〜A−18のタイプの場合は、カルバゾール誘導体がホスト材料として特に良好である。以下にカルバゾー誘導体の具体例を示す。
【化38】
【0073】
発光層6には、さらにその他の化合物を含有させても良い。キャリア輸送材量を混ぜる事で発光層のキャリア輸送性を調節できる他、蛍光色素を混ぜる事で発光色を変換して使用することができる。このような化合物としては、例えば、キナクリドン、ルブレン、スチリル系色素等の色素化合物、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体色素などのキノリン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体、フェニルアントラセン誘導体、テトラアリールエテン誘導体、トリフェニルアミン誘導体等が挙げられる。
【0074】
電子輸送層7は、注入された電子を輸送する機能および発光層6から正孔が注入されるのを妨げる機能を有するものである。電子輸送層7は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、イミダゾピリミジン誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素環化合物、アントラセンやナフタセン、フルオランテン、アセナフトフルオランテン等の炭化水素誘導体等を少なくとも1種用いて形成することができる。
【0075】
電子注入層8は、陰極9からの電子の注入を容易にする機能の他、陰極9との密着性を高める機能を有するものである。電子注入層8は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、イミダゾピリミジン誘導体、フェナントロリン誘導体などを少なくとも1種用いて形成することができる。本発明の一般式(I)で表される化合物を発光ドーパントとして用いる場合には、イミダゾピリジン誘導体、イミダゾピリミジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体などのより電子注入能力が高い材料を使用することが特に好ましい。具体的には、特開2001−6877、特開2004−2297などに開示されている材料群が好ましい。電子トラップ型の素子では、より電子注入量が多い条件で、より高効率となる為である。また、電子注入層8と電子輸送層7の機能を併せ持つ材料を用いる事で、電子注入輸送層として単層で二層分の機能を果たす事ができる。素子構成によっては電子注入層8や電子輸送層7を更に機能分離した形態で使用することもできる。
【0076】
また、電子ドナーとして機能する無機化合物を電子注入層8にドーピングする手法も電子注入量の向上に有効である。電子注入層8中の有機化合物が電子ドナーにより還元されることで、電子注入層8中にキャリアが発生し、陰極からの電子注入障壁を無視できるようになるためである。この場合は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の通常の電子注入材料に加えて、アントラセン等の炭化水素材料を用いることもできる。電子ドナーとして機能する無機化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、およびその酸化物やハロゲン化物、あるいはカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土塁金属、およびその酸化物やハロゲン化物等を用いることが好ましい。
【0077】
陰極9は、比較的仕事関数の小さい金属およびその塩、合金、または電気電導性化合物を電極構成物質として使用することができる。例えば、金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、アルミニウム、酸化物として酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、弗化物として、弗化リチウム、弗化ナトリウム、弗化カルシウム、弗化マグネシウム、合金として、リチウム−インジウム合金、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金、電気電導性化合物としてグラファイト薄膜等を挙げることができる。
【0078】
これらの電極構成物質は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。陰極9は、これらの電極物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオン化蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等の方法により、電子注入層8の上に形成することができる。また、陰極9は一層構造であっても、多層構造であってもよい。なお、電界発光素子の発光を効率よく取り出すために、陽極3または陰極9の少なくとも一方の電極が、透明ないし半透明であることが好ましく、一般に、光の透過率が80%以上となるように陽極3または陰極9の材料、厚みを設定することがより好ましい。
【実施例】
【0079】
以下、本発明の具体的な実施例を比較例とともに示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0080】
(実施例1)
ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。このITO透明電極付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、槽内を1×10−4Pa以下まで減圧した。
【0081】
次に、減圧状態を保ったまま、例示化合物B−7と、電子アクセプターとしての三酸化モリブデンとを、膜厚比95:5で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして60nmの厚さに蒸着し、正孔注入層とした。
【0082】
次いで、例示化合物B−7のみを蒸着速度0.1nm/secで50nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
【0083】
さらに、減圧状態を保ったまま、ホスト材料としての例示化合物B−7と、発光ドーパントとしての例示化合物A−1−1とを、体積比97:3で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
【0084】
次に、減圧状態を保ったまま、電子輸送層として例示化合物B−7のみを25nm、続けて電子注入層として下記構造の化39を5nm、蒸着速度0.1nm/secで蒸着した。
【化39】
【0085】
次いで、LiFを蒸着速度0.1nm/secで1.2nmの厚さに蒸着して電子注入電極とし、保護電極としてAlを100nm蒸着し、最後にガラス封止して電界発光素子を得た。
【0086】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.8V、520cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.15eVであった。
【0087】
(実施例2)
発光ドーパントとして、例示化合物A−1−1に変えて例示化合物A−9−2を用いた以外、は実施例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0088】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.9V、1400cd/mの緑色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.33eVであった。
【0089】
(実施例3)
発光ドーパントとして、例示化合物A−1−1に変えて例示化合物A−11−1を用いた以外は、実施例1と同様にして、電界発光素子を得た。
【0090】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.7V、560cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.17eVであった。
【0091】
(実施例4)
発光ドーパントとして、例示化合物A−1−1に変えて例示化合物A−11−2を用いた以外は、実施例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0092】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.7V、720cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.2eVであった。
【0093】
(実施例5)
発光ドーパントとして、例示化合物A−1−1に変えて例示化合物A−11−5を用いた以外は、実施例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0094】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.8V、830cd/mの青緑色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.22eVであった。
【0095】
(実施例6)
発光ドーパントとして、例示化合物A−1−1に変えて例示化合物A−11−6を用いた以外は、実施例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0096】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.9V、820cd/mの青緑色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.24eVであった。
【0097】
(実施例7)
発光ドーパントとして、例示化合物A−1−1に変えて例示化合物A−11−7を用いた以外は、実施例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0098】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が4.0V、870cd/mの青緑色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.26eVであった。
【0099】
(実施例8)
正孔注入層および正孔輸送層で用いた例示化合物B−7に変えて例示化合物B−6を、発光ドーパントとして例示化合物A−1−1に変えて例示化合物A−11−1を用いた以外は、実施例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0100】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.8V、660cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0.07eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.17eVであった。
【0101】
(実施例9)
正孔注入層および正孔輸送層で用いた例示化合物B−7に変えて例示化合物B−9を、発光ドーパントとして例示化合物A−1−1に変えて例示化合物A−11−1を用いた以外は、実施例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0102】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が4.4V、530cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0.2eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.17eVであった。
【0103】
(実施例10)
正孔注入層および正孔輸送層で用いた例示化合物B−7に変えて例示化合物B−11を、発光ドーパントとして例示化合物A−1−1に変えて例示化合物A−11−1を用いた以外は、実施例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0104】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が4.0V、550cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0.16eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.17eVであった。
【0105】
(実施例11)
正孔注入層および正孔輸送層で用いた例示化合物B−7に変えて例示化合物B−10を、発光ドーパントとして例示化合物A−1−1に変えて例示化合物A−11−1を用いた以外は、実施例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0106】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が4.1V、560cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0.18eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.17eVであった。
【0107】
(実施例12)
発光ドーパントとして、例示化合物A−1−1に変えて例示化合物A−12−2を用いた以外は、実施例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0108】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.8V、2000cd/mの緑色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.37eVであった。
【0109】
(実施例13)
発光ドーパントとして、例示化合物A−1−1に変えて例示化合物A−20−2を用いた以外は、実施例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0110】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.7V、480cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.15eVであった。
【0111】
(実施例14)
ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。このITO透明電極付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、槽内を1×10−4Pa以下まで減圧した。
【0112】
次に、減圧状態を保ったまま、下記構造の化40を蒸着速度0.1nm/sec で30nmの膜厚に蒸着し、正孔注入層とした。
【0113】
【化40】
【0114】
次いで、下記構造の化41を蒸着速度0.1nm/secで10nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
【0115】
【化41】
【0116】
さらに、減圧状態を保ったまま、ホスト材料としての例示化合物C−3と、発光ドーパントとしての例示化合物A−4−1とを、体積比97:3で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
【0117】
次に、減圧状態を保ったまま、電子輸送層として例示化合物C−3を50nm、続けて電子注入層としてトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)を4nm、蒸着速度0.1nm/secで蒸着した。
【0118】
次いで、LiFを蒸着速度0.1nm/secで0.5nmの厚さに蒸着して電子注入電極とし、保護電極としてAlを100nm蒸着し、最後にガラス封止して電界発光素子を得た。
【0119】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.9V、1710cd/mの緑色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.19eVであった。
【0120】
(実施例15)
発光ドーパントとして、例示化合物A−4−1に変えて例示化合物A−5−3を用いた以外は、実施例14と同様にして、電界発光素子を得た。
【0121】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が4.0V、1970cd/mの黄色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.23eVであった。
【0122】
(実施例16)
発光ドーパントとして、例示化合物A−4−1に変えて例示化合物A−14−1を用いた以外、は実施例14と同様にして、電界発光素子を得た。
【0123】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が4.0V、1830cd/mの橙色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.4eVであった。
【0124】
(実施例17)
発光ドーパントとして、例示化合物A−4−1に変えて例示化合物A−14−1を、電子輸送層として例示化合物C−3に変えて下記構造の化42を用いた以外は、実施例14と同様にして電界発光素子を得た。
【0125】
【化42】
【0126】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.8V、2190cd/mの橙色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.4eVであった。
【0127】
(実施例18)
発光ドーパントとして、例示化合物A−4−1に変えて例示化合物A−14−1を、電子輸送層として例示化合物C−3に変えて化42を、電子注入層としてAlq3に変えて下記構造の化43を用いた以外は、実施例14と同様にして電界発光素子を得た。
【0128】
【化43】
【0129】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.5V、2330cd/mの橙色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層/発光層界面の注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.4eVであった。
【0130】
(実施例19)
正孔輸送層までを実施例14と同様に成膜した後、減圧状態を保ったまま、ホスト材料としての例示化合物C−3と、発光ドーパントとしての例示化合物A−14−1とを、体積比97:3で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
【0131】
次に、減圧状態を保ったまま、電子輸送層として化42の化合物を50nm、続けて電子注入層としてトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)とLiFの共蒸着膜を重量比で98:2となるように4nm、蒸着速度0.1nm/secで蒸着した。
【0132】
次いで、保護電極としてAlを100nm蒸着し、最後にガラス封止して電界発光素子を得た。
【0133】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.6V、2120cd/mの緑色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.4eVであった。
【0134】
(実施例20)
発光ドーパントとして、例示化合物A−4−1に変えて例示化合物A−22−1を用いた以外は、実施例14と同様にして電界発光素子を得た。
【0135】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が4.0V、1790cd/mの橙色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.42eVであった。
【0136】
(実施例21)
発光ドーパントとして、例示化合物A−4−1に変えて例示化合物A−26−1を用いた以外は、実施例14と同様にして電界発光素子を得た。
【0137】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.9V、1660cd/mの緑色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.25eVであった。
【0138】
(実施例22)
発光ドーパントとして、例示化合物A−4−1に変えて例示化合物A−28−1を用いた以外は、実施例14と同様にして電界発光素子を得た。
【0139】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.8V、1520cd/mの緑色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.22eVであった。
【0140】
(実施例23)
ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。このITO透明電極付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、槽内を1×10−4Pa以下まで減圧した。
【0141】
次に、減圧状態を保ったまま、例示化合物D−5と、電子アクセプターとしての三酸化モリブデンとを、膜厚比95:5で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして60nmの厚さに蒸着し、正孔注入層とした。
【0142】
次いで、例示化合物D−5のみを蒸着速度0.1nm/secで50nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
【0143】
さらに、減圧状態を保ったまま、ホスト材料としての例示化合物D−5と、発光ドーパントとしての例示化合物A−16−7とを、体積比97:3で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
【0144】
次いで、下記構造の化44を蒸着速度0.1nm/secで25nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0145】
【化44】
【0146】
次いで、LiFを蒸着速度0.1nm/secで1.2nmの厚さに蒸着して電子注入電極とし、保護電極としてAlを100nm蒸着し、最後にガラス封止して電界発光素子を得た。
【0147】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が4.3V、2800cd/mの緑色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は1eVであった。
【0148】
(実施例24)
発光ドーパントとして、例示化合物A−16−7に変えて例示化合物A−17−3を用いた以外は、実施例23と同様にして電界発光素子を得た。
【0149】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が4.1V、2050cd/mの緑色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.85eVであった。
【0150】
(比較例1)
正孔輸送層までを実施例14と同様に成膜した後、減圧状態を保ったまま、ホスト材料としての例示化合物B−7と、発光ドーパントとしての例示化合物A−11−1とを、体積比97:3で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
【0151】
次に、減圧状態を保ったまま、電子輸送層として例示化合物B−7を50nm、続けて電子注入層として化39を4nm、蒸着速度0.1nm/secで蒸着した。
【0152】
次いで、LiFを蒸着速度0.1nm/secで1.2nmの厚さに蒸着して電子注入電極とし、保護電極としてAlを100nm蒸着し、最後にガラス封止して電界発光素子を得た。
【0153】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が8.8V、300cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0.5eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.17eVであった。
【0154】
(比較例2)
発光ドーパントとして、例示化合物A−1−1に変えて下記構造の化45を用いた以外は、実施例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0155】
【化45】
【0156】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.4V、210cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層/発光層界面の注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.09eVであった。
【0157】
(比較例3)
発光ドーパントとして、例示化合物A−11−1に変えて化45を用いた以外は、比較例1と同様にして電界発光素子を得た。
【0158】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が8.3V、260cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0.5eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.09eVであった。
【0159】
(比較例4)
発光ドーパントとして、例示化合物A−4−1に変えて下記構造の化46を用いた以外は、実施例14と同様にして電界発光素子を得た。
【0160】
【化46】
【0161】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が3.9V、660cd/mの黄色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.13eVであった。
【0162】
(比較例5)
正孔輸送層までを実施例14と同様に成膜した後、減圧状態を保ったまま、ホスト材料としての例示化合物D−5と、発光ドーパントとしての例示化合物A−16−7とを、体積比97:3で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
【0163】
次いで、化44を蒸着速度0.1nm/secで25nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。
【0164】
次いで、LiFを蒸着速度0.1nm/secで1.2nmの厚さに蒸着して電子注入電極とし、保護電極としてAlを100nm蒸着し、最後にガラス封止して電界発光素子を得た。
【0165】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が7.1V、1900cd/mの緑色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0.7eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は1eVであった。
【0166】
(比較例6)
正孔注入層までを実施例14と同様に成膜した後、減圧状態を保ったまま、下記構造の化47を蒸着速度0.1nm/secで10nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
【0167】
【化47】
【0168】
次に、減圧状態を保ったまま、ホスト材料としての例示化合物B−7と、発光ドーパントとしての例示化合物A−11−1とを、体積比97:3で、全体の蒸着速度0.1nm/secとして40nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
【0169】
次に、減圧状態を保ったまま、電子輸送層として例示化合物B−7を50nm、続けて電子注入層として化39を4nm、蒸着速度0.1nm/secで蒸着した。
【0170】
次いで、LiFを蒸着速度0.1nm/secで1.2nmの厚さに蒸着して電子注入電極とし、保護電極としてAlを100nm蒸着し、最後にガラス封止して電界発光素子を得た。
【0171】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が7.6V、340cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0.3eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.17eVであった。
【0172】
(比較例7)
ホスト材料および電子輸送材量として用いたB−7をB−6に変えた以外は、比較例6と同様にして電界発光素子を得た。
【0173】
この電界発光素子に直流電圧を印加し、初期には10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が6.8V、390cd/mの青色発光が得られた。このデバイスにおける正孔輸送層と発光層との界面の正孔注入障壁は0.23eV、電子トラップ準位(ホスト材料と発光ドーパントとの電子親和力の差)は0.18eVであった。
【0174】
以下に実施例および比較例の一覧を示す。
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0175】
以上のように、本発明に係る電界発光素子は、シアノ基で置換されたアリール基、あるいはシアノ基で置換された複素環基で置換された一般式(I)の化合物を発光ドーパントとして用い、かつ電子トラップ性の発光ドーパントに最適な構造とすることで、芳香族化合物自身が本来もつ高い蛍光強度を電界発光素子中で十分に発揮する事ができた。これらの電界発光素子はディスプレイや照明などの発光デバイスに応用する事が可能である。
【符号の説明】
【0176】
1 電界発光素子
2 基板
3 陽極
4 正孔注入層
5 正孔輸送層
6 発光層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
図1