特許第6187084号(P6187084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187084
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】電子部品および送受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/38 20150101AFI20170821BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20170821BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20170821BHJP
   H03B 15/00 20060101ALI20170821BHJP
   H01Q 23/00 20060101ALI20170821BHJP
   H01Q 9/30 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H04B1/38
   H01L29/82 Z
   H01L43/08 U
   H03B15/00
   H01Q23/00
   H01Q9/30
【請求項の数】6
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-195817(P2013-195817)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-61286(P2015-61286A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健司
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−295908(JP,A)
【文献】 特開2007−124340(JP,A)
【文献】 特開2000−236216(JP,A)
【文献】 特開2002−330025(JP,A)
【文献】 特開2008−160314(JP,A)
【文献】 特開平11−261324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/38
H01L 29/82
H01L 43/08
H01Q 9/30
H01Q 23/00
H03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自励発振機能または整流機能を有する素子と前記素子に接続された電極部とを有するユニットを複数備え、
前記複数のユニットは直流的に互いに絶縁され、
前記複数のユニットの電極部が、前記複数のユニットのいずれかの素子が発振する発振出力を電磁エネルギーとして発振するアンテナの少なくとも一部、または前記複数のユニットのいずれかの素子が整流する電磁エネルギーを受けるアンテナの少なくとも一部を形成していることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
自励発振機能または整流機能を有する第1の素子と、前記第1の素子に直流的に接続された第1の電極部とを有する第1のユニットと、
自励発振機能または整流機能を有する第2の素子と、前記第2の素子に直流的に接続された第2の電極部とを有する第2のユニットとを備え、
前記第1のユニットと前記第2のユニットとは直流的に互いに絶縁され、
前記第1の素子と前記第2の素子とのうちの少なくとも一方が発生する発振出力または前記第1の素子と前記第2の素子とのうちの少なくとも一方が整流する電磁エネルギーが前記第1の電極部と前記第2の電極部との間を伝播するように前記第1の電極部と前記第2の電極部とが配置され、
前記第1の電極部と前記第2の電極部とが、前記発振出力を電磁エネルギーとして発振するか、または前記第1の素子と前記第2の素子とのうちの少なくとも一方が整流する電磁エネルギーを受けるアンテナまたはアンテナの一部であるアンテナ要素を形成していることを特徴とする電子部品。
【請求項3】
自励発振機能または整流機能を有する第1の素子と、前記第1の素子にそれぞれ直流的に接続された第1の電極部と第2の電極部とを有する第1のユニットと、
自励発振機能または整流機能を有する第2の素子と、前記第2の素子にそれぞれ直流的に接続された第3の電極部と第4の電極部とを有する第2のユニットとを備え、
前記第1のユニットと前記第2のユニットとは直流的に互いに絶縁され、
前記第1の素子と前記第2の素子とのうちの少なくとも一方が発生する発振出力または前記第1の素子と前記第2の素子とのうちの少なくとも一方が整流する電磁エネルギーが前記第1の電極部と前記第4の電極部との間を伝播するように前記第1の電極部と前記第4の電極部とが配置され、
前記発振出力または前記電磁エネルギーが前記第2の電極部と前記第3の電極部との間を伝播するように、前記第2の電極部と前記第3の電極部とが配置され、
前記第1の素子と前記第1の電極部と前記第2の電極部と前記第2の素子と前記第3の電極部と前記第4の電極部とが、前記発振出力を電磁エネルギーとして発振するか、または前記第1の素子と前記第2の素子とのうちの少なくとも一方が整流する電磁エネルギーを受けるアンテナを形成していることを特徴とする電子部品。
【請求項4】
自励発振機能または整流機能を有する第1の素子と、前記第1の素子にそれぞれ直流的に接続された第1の電極部と第2の電極部とを有する第1のユニットと、
自励発振機能または整流機能を有する第2の素子と、前記第2の素子にそれぞれ直流的に接続された第3の電極部と第4の電極部とを有する第2のユニットと、
自励発振機能または整流機能を有する第3の素子と、前記第3の素子にそれぞれ直流的に接続された第5の電極部と第6の電極部とを有する第3のユニットとを備え、
前記第1のユニットと前記第2のユニットと前記第3のユニットとは直流的に互いに絶縁され、
前記第1の素子と前記第2の素子と前記第3の素子とのうちの少なくとも1つが発生する発振出力または前記第1の素子と前記第2の素子と前記第3の素子とのうちの少なくとも1つが整流する電磁エネルギーが前記第2の電極部と前記第3の電極部との間を伝播するように、前記第2の電極部と前記第3の電極部とが配置され、
前記発振出力または前記電磁エネルギーが前記第4の電極部と前記第5の電極部との間を伝播するように、前記第4の電極部と前記第5の電極部とが配置され、
前記第2の電極部と前記第3の電極部と前記第2の素子と前記第4の電極部と前記第5の電極部とが、前記発振出力を電磁エネルギーとして発振するか、または前記第1の素子と前記第2の素子と前記第3の素子とのうちの少なくとも1つが整流する電磁エネルギーを受けるアンテナまたはアンテナの一部であるアンテナ要素を形成していることを特徴とする電子部品。
【請求項5】
複数の前記アンテナ要素を有し、
前記発振出力または前記素子のうちの少なくとも1つが整流する電磁エネルギーが前記複数のアンテナ要素間を伝搬するように前記複数のアンテナ要素が環状に配置されたアンテナを備えていることを特徴とする、請求項2または4に記載の電子部品。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の電子部品を少なくとも1対有し、
前記1対のうちの一方の電子部品のアンテナまたはアンテナ要素から送信された電磁エネルギーを前記1対のうちの他方の電子部品のアンテナまたはアンテナ要素で受信することを特徴とする送受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品および送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気抵抗効果素子によるマイクロ波発振と受信が研究されている。例えば、特許文献1においては、CCP―CPP(Current Confined Path−Current Perpendicular to Plane)発振素子に直流電流を印加すると、CCP―CPP発振素子は発振することが開示されている。
【0003】
発振部としたCCP−CPP発振素子にアンテナを接続して発振器を構成すれば、それを無線通信などへ応用することができる。多チャンネルでの発振が必要な場合は、発振器をチャンネル数と同じ数だけ用意する。あるいは、1つのアンテナと複数の発振部とを切り替えスイッチによって接続することで、多チャンネルで発振が可能な発振器を構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−124340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来技術においては、小型高密度実装が進むモバイル端末内において多チャンネルでの発振が必要な場合に、磁気抵抗効果素子とアンテナを接続して構成した発振器をチャンネル数と同じ数だけ用意する必要があるため、省面積化の要求に応えることが困難であった。多チャンネルで小型化を実現するために、1つのアンテナに複数の磁気抵抗効果素子を接続した場合、磁気抵抗効果素子を駆動するための直流電流が、他の磁気抵抗効果素子に流入してしまい、他の磁気抵抗効果素子も発振させてしまうといった課題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の磁気抵抗効果素子を用いた多チャンネルな発振器でありながら、1つの磁気抵抗効果素子を駆動する電流が他の磁気抵抗効果素子に流入せずに、所望の磁気抵抗効果素子を独立に駆動可能な電子部品を提供することを目的とする。また、そのような電子部品を備えることによって、多チャンネルでありながら、1つの磁気抵抗効果素子を駆動する電流が他の磁気抵抗効果素子に流入せずに、所望の磁気抵抗効果素子を独立に駆動可能な送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る電子部品は、自励発振機能または整流機能を有する素子と前記素子に接続された電極部とを有するユニットを複数備え、前記複数のユニットは直流的に互いに絶縁され、前記複数のユニットの電極部が、前記複数のユニットのいずれかの素子が発振する発振出力を電磁エネルギーとして発振するアンテナまたは前記複数のユニットのいずれかの素子が整流する電磁エネルギーを受けるアンテナを形成していることを特徴とする。この第1の態様に係る電子部品により、多チャンネルの発振または整流または発振と受信が可能な電子部品の小型化が可能となる。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第2の態様に係る電子部品は、自励発振機能または整流機能を有する第1の素子と前記第1の素子に直流的に接続された第1の電極部とを有する第1のユニットと、自励発振機能または整流機能を有する第2の素子と前記第2の素子に直流的に接続された第2の電極部とを有する第2のユニットとを備え、前記第1のユニットと前記第2のユニットとは直流的に互いに絶縁され、前記第1の素子と前記第2の素子とのうちの少なくとも一方が発生する発振出力または前記第1の素子と前記第2の素子とのうちの少なくとも一方が整流する電磁エネルギーが前記第1の電極部と前記第2の電極部との間を伝播するように前記第1の電極部と前記第2の電極部とが配置され、前記第1の電極部と前記第2の電極部とが、前記発振出力を電磁エネルギーとして発振するか、または前記電磁エネルギーを受けるアンテナまたはアンテナの一部であるアンテナ要素を形成していることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の態様に係る電子部品は、自励発振機能または整流機能を有する第1の素子と前記第1の素子にそれぞれ直流的に接続された第1の電極部と第2の電極部とを有する第1のユニットと、自励発振機能または整流機能を有する第2の素子と前記第2の素子にそれぞれ直流的に接続された第3の電極部と第4の電極部とを有する第2のユニットとを備え、前記第1のユニットと前記第2のユニットとは直流的に互いに絶縁され、前記第1の素子と前記第2の素子とのうちの少なくとも一方が発生する発振出力または前記第1の素子と前記第2の素子とのうちの少なくとも一方が整流する電磁エネルギーが前記第1の電極部と前記第4の電極部との間を伝播するように前記第1の電極部と前記第4の電極部とが配置され、前記発振出力または前記電磁エネルギーが前記第2の電極部と前記第3の電極部との間を伝播するように、前記第2の電極部と前記第3の電極部とが配置され、前記第1の素子と前記第1の電極部と前記第2の電極部と前記第2の素子と前記第3の電極部と前記第4の電極部とが、前記発振出力を電磁エネルギーとして発振するか、または前記電磁エネルギーを受けるアンテナを形成していることを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の態様に係る電子部品は、自励発振機能または整流機能を有する第1の素子と前記第1の素子にそれぞれ直流的に接続された第1の電極部と第2の電極部とを有する第1のユニットと、自励発振機能または整流機能を有する第2の素子と前記第2の素子にそれぞれ直流的に接続された第3の電極部と第4の電極部とを有する第2のユニットと、自励発振機能または整流機能を有する第3の素子と前記第3の素子にそれぞれ直流的に接続された第5の電極部と第6の電極部とを有する第3のユニットとを備え、前記第1のユニットと前記第2のユニットと前記第3のユニットとは直流的に互いに絶縁され、前記第1の素子と前記第2の素子と前記第3の素子とのうちの少なくとも1つが発生する発振出力または前記第1の素子と前記第2の素子と前記第3の素子とのうちの少なくとも1つが整流する電磁エネルギーが前記第2の電極部と前記第3の電極部との間を伝播するように、前記第2の電極部と前記第3の電極部とが配置され、前記発振出力または前記電磁エネルギーが前記第4の電極部と前記第5の電極部との間を伝播するように、前記第4の電極部と前記第5の電極部とが配置され、前記第2の電極部と前記第3の電極部と前記第2の素子と前記第4の電極部と前記第5の電極部とが、前記発振出力を電磁エネルギーとして発振するか、または前記電磁エネルギーを受けるアンテナまたはアンテナの一部であるアンテナ要素を形成していることを特徴とする。
【0011】
本発明の第5の態様に係る電子部品は、第2の態様または第4の態様に係る電子部品において、複数の前記アンテナ要素を有し、前記発振出力または前記電磁エネルギーが前記複数のアンテナ要素間を伝搬するように前記複数のアンテナ要素が環状に配置されたアンテナを備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第6の態様に係る送受信装置は、第1の態様から第5の態様までのいずれか1態様に記載の電子部品を少なくとも1対有し、前記1対のうちの一方の電子部品のアンテナまたはアンテナ要素から送信された電磁エネルギーを前記1対のうちの他方の電子部品のアンテナまたはアンテナ要素で受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多チャンネルでありながら従来技術より小型化が可能な電子部品を提供することができる。また、そのような電子部品を備えることによって、多チャンネルでありながら、従来技術より小型化が可能な送受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係る電子部品である発振器の構成例を示す図である。
図2a】本発明の実施形態に係る結合部の形状例を示す図である。
図2b】本発明の実施形態に係る結合部の形状例を示す図である。
図2c】本発明の実施形態に係る結合部の形状例を示す図である。
図2d】本発明の実施形態に係る結合部の形状例を示す図である。
図2e】本発明の実施形態に係る結合部の形状例を示す図である。
図2f】本発明の実施形態に係る結合部の形状例を示す図である。
図2g】本発明の実施形態に係る結合部の形状例を示す図である。
図2h】本発明の実施形態に係る結合部の形状例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の構成例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る周辺回路を示す回路図である。
図5】本発明の実施形態1に係るアンテナの計算モデルを示す図である。
図6】本発明の実施形態1に係るアンテナに発生する電流分布の計算結果を示す図である。
図7】本発明の実施形態1に係るアンテナの計算モデルを示す図である。
図8】本発明の実施形態1に係るアンテナに発生する電流分布の計算結果を示す図である。
図9】本発明の実施形態1に係るアンテナの反射特性の計算結果を示す図である。
図10】本発明の実施形態2に係る電子部品である発振器の構成例を示す図である。
図11】本発明の実施形態3に係る電子部品である発振器の構成例を示す図である。
図12】本発明の実施形態3に係るアンテナの計算モデルを示す図である。
図13】本発明の実施形態3に係るアンテナに発生する電流分布の計算結果を示す図である。
図14】本発明の実施形態4に係る電子部品である発振器の構成例を示す図である。
図15】本発明の実施形態5に係る電子部品である発振器の構成例を示す図である。
図16】本発明の実施形態6に係る電子部品である発振器の構成例を示す図である。
図17】本発明の実施形態7に係る電子部品である発振器の構成例を示す図である。
図18】本発明の実施形態8に係る電子部品である整流器の構成例を示す図である。
図19】本発明の実施形態に係る周辺回路を示す回路図である。
図20】本発明の実施形態10に係る送受信装置の構成例を示す図である。
図21】本発明の実施形態11に係る電子部品である送受信器の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明における好ましい実施形態を示す。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、形態が本発明の技術的思想を有するものである限り、本発明の範囲に含まれる。各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせなどは一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0016】
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る電子部品である発振器100を示す図である。実施形態1の発振器100は、第1の発振ユニットである発振ユニット100aと第2の発振ユニットである発振ユニット100bとを有する。発振ユニット100aは、第1の自励発振部である自励発振部101aと、自励発振部101aに直流電流を供給する第1の電極部である、上部電極102aと下部電極103aとを有する。ここで自励発振とは、振動的でない直流電流により電気的振動が誘起される現象である。さらに「供給する」とは電流を流入させることだけではなく、電流を流出させることも意味し、たとえば上部電極102aを介して電流を自励発振部101aに流入させ、下部電極103aを介して電流を自励発振部101aから流出させることを意味する。上部電極102aの形状は特に限定されないが、本実施態様においては、上部電極102aは自励発振部101aと接する部分から半円形状に延在した主面を有する。発振ユニット100bは、第2の自励発振部である自励発振部101bと、自励発振部101bに直流電流を供給する第2の電極部である、上部電極102bと下部電極103bとを有する。上部電極102bの形状は特に限定されないが、本実施態様においては、上部電極102bは自励発振部101bと接する部分から半円形状に延在した主面を有する。
【0017】
上部電極102aと上部電極102bとは、第1の結合部106と第2の結合部107において交流的に接続されるように、各結合部における上部電極の間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離となるように配置する。この配置によって、発振出力は上部電極102aと上部電極102bとの間を伝播することができる。第1の結合部106と第2の結合部107において、結合部の主面は矩形の形状を有している。本実施形態において、各自励発振部は半円形状の中央付近に配置しているが、自励発振部の位置は特に限定されず、半円形状の片側付近などに配置することができる。
【0018】
上部電極102aから直流電流Iaを自励発振部101aに供給すると、自励発振部101aを通過した直流電流Iaは、下部電極103aを流れる。発振ユニット100aは結合部106と結合部107により、発振ユニット100bとは直流的に絶縁されているので、直流電流Iaは自励発振部101bには流入しない。つまり、直流電流Iaは自励発振部101aのみを発振させ、他の自励発振部101bを発振させない。
【0019】
同様に、上部電極102bから直流電流Ibを自励発振部101bに供給すると、自励発振部101bを通過した直流電流Ibは、下部電極103bを流れる。発振ユニット100bは結合部106と結合部107により、発振ユニット100aとは直流的に絶縁されているので、直流電流Ibは自励発振部101aには流入しない。つまり、直流電流Ibは自励発振部101bのみを発振させ、他の自励発振部101aを発振させない。
【0020】
したがって本実施形態は、結合部106と結合部107の直流的な絶縁性により、自励発振部を駆動するための直流電流は他方の自励発振部に流入しないため、自励発振部を独立に駆動することが可能である。つまり本発明は、1つのアンテナに複数の磁気抵抗効果素子を接続した場合、磁気抵抗効果素子を駆動するための直流電流が、他の磁気抵抗効果素子に流入してしまい、他の磁気抵抗効果素子も発振させてしまうといった課題を解決できる。
【0021】
直流電流Iaにより自励発振部101aが発振すると、発振出力は振動的なので、発振出力は上部電極102aから結合部106と結合部107を介して上部電極102bへ伝播する。つまり、発振出力については、上部電極102aと上部電極102bと結合部106と結合部107とを共有して構成される1つの環状のアンテナ108により、発振器100は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。ここで環状とは、輪のような円い形状だけでなく、外形が正方形または長方形のような円くない形状でもよく、交流的に閉じた形状であれば外形は任意の形状を用いることができる。また、ここでアンテナとは、波長より十分大きい距離へ電磁波を伝送させるためのアンテナだけでなく、波長と同程度、または波長より小さい距離へ電磁信号や電磁エネルギーを伝送させるアンテナや共振器やコイルなどを意味する。さらに、電磁エネルギーとは、波長に比較して大きい距離へ電磁波が伝送する電磁エネルギーの形態だけでなく、波長に比較して小さい距離へ電磁場が伝送する電磁エネルギーの形態も意味する。
【0022】
同様に、直流電流Ibにより自励発振部101bが発振した場合も、上部電極102aと上部電極102bと結合部106と結合部107とを共有して構成される1つのアンテナ108により、発振器100は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。
【0023】
したがって本実施形態は、結合部106と結合部107の交流的な結合により、自励発振部の発振出力については上部電極102aと上部電極102bと結合部106と結合部107とを共有して構成される1つのアンテナ108により、電磁エネルギーを外部へ発振することができる。つまり本発明は、1つのアンテナに複数の磁気抵抗効果素子を接続した場合、磁気抵抗効果素子を駆動するための直流電流が、他の磁気抵抗効果素子に流入してしまい、他の磁気抵抗効果素子も発振させてしまうといった課題を解決し、自励発振部は独立に電磁エネルギーを外部へ発振する発振器を構成できる。
【0024】
本実施形態において、自励発振部101aと自励発振部101bとに、それぞれ同時に直流電流を供給してもよく、どちらか一方だけに供給してもよい。また、自励発振部101aと自励発振部101bとは、それぞれ同じ周波数で発振してもよいし、異なる周波数で発振してもよい。
【0025】
図1における結合部106と結合部107において、結合部は矩形の形状を有しているが、その結合部の形状は1例であって、この形状に限らない。結合部106と結合部107において、結合強度を調整するために、例えば図2aのように結合部を拡げた形状や、図2bのように結合部を狭めた形状や、図2cのように結合部に凹部を有した形状や、図2dのように結合部を曲線状にした形状や、図2eのように結合部を半円状にした形状や、図2fのように結合部を斜めにした形状や、図2gのように主面に段差を設けて結合部を重ねた形状や、図2hのように主面の高さを変えて結合部を重ねた形状を用いることができる。
【0026】
上部電極102aと上部電極102bと結合部106と結合部107とを共有して構成されるアンテナ108は、等価回路としては、上部電極102aと上部電極102bとによって環状となった部分については主にインダクタLで表現でき、結合部106と結合部107は主にキャパシタCで表現でき、アンテナ108はLC直列回路として表現できる。上部電極と結合部の形状を調整することで、LC共振周波数を自励発振部101aまたは自励発振部101bの発振周波数と一致させれば、より効率的な発振ができる。あるいは、上部電極と結合部の形状を調整することで、たとえばLC共振の半値幅以内に、自励発振部101aと自励発振部101bの発振周波数が存在するようにすれば、異なる周波数の2チャンネルを効率良く発振できる。
【0027】
従来技術では、2チャンネルの発振を実施する場合、発振部とアンテナで構成する発振器が2つ必要であった。つまり、2チャンネルの場合は1チャンネルの場合に比較して、2倍の面積が必要であった。この従来技術に対して本実施形態では、上部電極102aと上部電極102bと結合部106と結合部107とを共有して1つのアンテナ108を構成し、自励発振部101aと自励発振部101bによる2チャンネル発振を1つのアンテナで実現する。つまり、従来技術で必要であったアンテナ面積に比較して、本実施形態では約1/2の面積で2チャンネルの発振を実現できる。
【0028】
あるいは従来技術では、2チャンネルの発振を実施する場合、1つのアンテナと2つの発振部とを切り替えスイッチによって接続する構成を用いることができる。しかしその構成では、スイッチによる切り替えで発振部を選択する必要があるため、同時に2チャンネルの発振を行うことはできなかった。この従来技術に対して本実施形態では、自励発振部101aと自励発振部101bを発振させるために必要な直流電流Iaと直流電流Ibは、結合部により他方の自励発振部に流入しないため、発振部を選択する切り替えスイッチを使用せずに、自励発振部101aと自励発振部101bは独立かつ同時に発振させることができる。したがって、本実施形態は2チャンネルの発振を、独立かつ同時に実施できる。
【0029】
自励発振部は、特に限定されないが、例えば磁気抵抗効果素子や、ジョセフソン素子を用いることができる。
【0030】
図3は磁気抵抗効果素子の構成例である。磁気抵抗効果素子205は磁性層であるピン層206aと、磁性層であるフリー層206bと、その間に配置されたスペーサ層207とを有する。ここでのピン層206aの磁化方向は固定されており、矢印209aはピン層206aの磁化の固定方向を示す。フリー層206bの磁化方向は、電流を印加する前の状態では、有効磁場の方向を向いており、矢印209bは有効磁場の方向を示す。有効磁場は、フリー層206b内で生じる異方性磁場、交換磁場、外部磁場、反磁場の和である。図3では、ピン層206aの磁化の方向と、フリー層206bの有効磁場の方向が、互いに反対方向を向いているが、互いの方向はこれに限らない。
【0031】
磁気抵抗効果素子205は特に限定されないが、例えばGMR素子、またはTMR素子、またはスペーサ層207の絶縁層中に電流狭窄パスが存在する磁気抵抗効果素子などを用いることができる。
【0032】
磁気抵抗効果素子205にGMR素子を用いる場合、スペーサ層207は、例えば、銅など非磁性金属を用いることができる。GMR素子のフリー層206bおよびピン層206aの材料は、例えば、コバルト、鉄、ニッケル、クロムなどの磁性金属とその合金、又は、磁性合金にボロンを混入した合金を用いることができる。ピン層206aの磁化を固定するには、イリジウム、鉄、白金、マンガンなどの合金による反強磁性層との交換結合や、磁性金属多層膜(例えばコバルト鉄−ルテニウム−コバルト鉄の多層膜)による反強磁性結合を用いることができる。そして各層の厚さは0.1〜50nm程度が好ましい。GMR素子は、スペーサ層207が金属からなるため、他の磁気抵抗効果素子に比較して抵抗値が低い。このため、磁気抵抗効果素子205を低インピーダンスの回路に接続する際に、インピーダンス整合の観点で好ましい。
【0033】
磁気抵抗効果素子205にTMR素子を用いる場合、スペーサ層207は、例えば、酸化アルミニウムや酸化マグネシウム(MgO)の絶縁層を用いることができる。TMR素子のフリー層206bおよびピン層206aの材料は、例えば、コバルト、鉄、ニッケル、クロムなどの磁性金属とその合金、又は、磁性合金としてボロンを混入した合金を用いることができる。ピン層206aの磁化を固定するには、イリジウム、鉄、白金、マンガンなどの合金による反強磁性層との交換結合や、磁性金属多層膜(例えばコバルト鉄−ルテニウム−コバルト鉄の多層膜)による反強磁性結合を用いることができる。そして各層の厚さは0.1〜50nm程度が好ましい。TMR素子はスペーサ層207が絶縁層からなるため、他の磁気抵抗効果素子に比較して抵抗値が高い。このため、磁気抵抗効果素子205を高インピーダンスの回路に接続する際に、インピーダンス整合の観点で好ましい。
【0034】
さらに磁気抵抗効果素子205に、スペーサ層207の絶縁層中に電流狭窄パスを有する磁気抵抗効果素子を用いる場合、そのスペーサ層207の絶縁層は酸化アルミニウム等からなる。スペーサ層207の電流狭窄パスは、例えば銅などの非磁性金属や、コバルト、鉄、ニッケル、クロムなどの磁性金属とその合金、又は、磁性合金にボロンを混入した磁性金属を用いることができる。この磁気抵抗効果素子205の磁化自由層および磁化固定層には、例えば、コバルト、鉄、ニッケル、クロムなどの磁性金属とその合金、又は、磁性合金にボロンを混入した合金を用いることができる。ピン層206aの磁化を固定するには、イリジウム、鉄、白金、マンガンなどの合金による反強磁性層との交換結合や、磁性金属多層膜(例えばコバルト鉄−ルテニウム−コバルト鉄の多層膜)による反強磁性結合を用いることができる。そして、各層の厚さは0.1〜50nm程度が好ましい。この磁気抵抗効果素子205は、電流狭窄パスを有し、その電流狭窄パスによって電流密度を上げられる。このため、素子への投入電流を他の磁気抵抗効果素子に比較して小さくすることができる。この磁気抵抗効果素子205を発振部101に使用することによって、消費電力を抑えた回路とすることができる。
【0035】
本実施形態に係る磁気抵抗効果素子205の自励発振について説明する。ここで自励発振とは、振動的でない直流電流により電気的振動が誘起される現象である。磁気抵抗効果素子205に直流電流Iを流すと、伝導電子208が直流電流Iとその逆方向、すなわちピン層206aからスペーサ層207を介してフリー層206bに流れる。矢印209aの方向に磁化したピン層206aにおいて、伝導電子208のスピンは矢印209aの方向に偏極する。矢印209cは伝導電子208のスピンの方向を表す。スピン偏極した電子208はスペーサ層207を介してフリー層206bに流れこむことで、フリー層206bの磁化と角運動量の受け渡しを行う。これによって、フリー層206bの磁化の方向を、有効磁場の方向を示す矢印209bの方向から傾かせようとする作用が働く。一方で、フリー層206bの磁化の方向を、有効磁場の方向を示す矢印209bの方向に安定させようとするダンピングの作用がはたらく。したがって、これら2つの作用がつりあって、フリー層の磁化方向は有効磁場の方向の周りを歳差運動する。この歳差運動を、フリー層の磁化方向を示す矢印209dの、有効磁場の方向を示す矢印209bのまわりの運動として表わし、一点鎖線209eによって矢印209dの歳差運動の軌跡を示す。フリー層の磁化方向がピン層の磁化方向に対して高周波で変化するため、フリー層の磁化方向とピン層の磁化方向の相対角度に依存して抵抗が変化する磁気抵抗効果によって、抵抗値も高周波で変化する。直流電流Iに対して抵抗値が高周波で変化するので、およそ100MHzから1THzの高周波数で振動する電圧が発生する。有効磁場の方向は、ピン層206aの磁化方向に対して反対方向である180度の角度を有するだけでなく、同じ方向である0度や、45度、90度、または135度のような角度を有することができる。
【0036】
印加磁場と発振周波数は、おおよそ比例関係にある。したがって、高周波の発振を生じさせるためには、外部磁場は大きい方が望ましい。
【0037】
自励発振部に、交流ジョセフソン効果を用いた発振素子を用いることもできる。交流ジョセフソン効果は、2つの超伝導体を接続したジョセフソン接合部に閾値以上の直流電流を供給すると、接合部に交流電流が流れる効果である。さらに、外部磁場をジョセフソン接合部に印加することで、交流の周波数を変化できることが知られている。
【0038】
図4は実施形態1に係る発振ユニット100aを使用するための周辺回路の一例を示す図である。周辺回路300は、直流電流源301と、インダクタL1とを有する。直流電流源301から直流電流を発振ユニット100aに供給すると、発振ユニット100aは発振する。インダクタL1は発振ユニット100aの発振出力の直流電流源301への流入を防ぐことができる。発振ユニット100bにも周辺回路300と同様の周辺回路を使用することができる。以後の実施形態の説明においては、周辺回路は省略する。
【0039】
本実施形態のアンテナが一つのアンテナとして機能する様子を、電磁界シミュレーションの結果を用いて説明する。電磁界シミュレータは、アジレント・テクノロジー株式会社のEMProを用いた。電磁界シミュレーションは、図5に示す寸法のアンテナ108Mについて実施した。各電極の半円状の主面の外形は6mmで内径は4mmであり、1mm×1mmの矩形部を有する。結合部106Mと結合部107Mは、図2hのように主面の高さを変えて結合部を重ねている。高さの差は0.01mmである。アンテナ108Mの位置Aに設定した励振源により、アンテナ108Mを励振した。図6は、約10GHzでのアンテナ108M上の電流分布の計算結果を示す図である。アンテナ108Mを一つのアンテナとして、電流強度の大きい部分と小さい部分とが存在し、共振状態になっていることがわかる。これはアンテナ108Mが一つのアンテナとして機能することを意味している。
【0040】
次に、励振源の位置を変えた場合のアンテナ108Mの特性を、電磁界シミュレーションの結果を用いて説明する。図7に示したように、励振源の位置Bは、アンテナ108Mに接続した3mm×1mmの導体の先端とした。図8は、約9GHzでのアンテナ108M上の電流分布の計算結果を示す図である。アンテナ108Mを一つのアンテナとして、電流強度の大きい部分と小さい部分とが存在し、共振状態になっていることがわかる。これはアンテナ108Mが一つのアンテナとして機能することを意味している。
【0041】
図9は、励振源の位置によるアンテナ108Mの反射特性S11の計算結果を示す図である。S11曲線の谷状の部分は反射量が少ないことを示し、アンテナ108Mが外部へ電磁エネルギーを放射していることを示す。励振源をアンテナ108Mの位置Aに配置した場合は、位置Bに配置した場合に比較して反射量を減少させることができるため、強い放射を得たい場合に好ましい形態である。一方で、励振源をアンテナ108Mから離して位置Bに配置した場合は、位置Aに配置した場合に比較して発振周波数の帯域をひろくすることができるため、多くのチャンネルを使用する場合に好ましい形態である。
【0042】
(実施形態2)
実施形態1では、各自励発振部に接続した電極と結合部とで構成する1つのアンテナを環状に形成したが、アンテナ形状は環状に限定されない。実施形態2では、矩形状のアンテナを形成する。
【0043】
図10は実施形態2に係る電子部品である発振器400を示す図である。実施形態2に係る発振器400は、第1の発振ユニットである発振ユニット400aと第2の発振ユニットである発振ユニット400bとを有する。発振ユニット400aは、第1の自励発振部である自励発振部401aと、自励発振部401aに直流電流を供給する第1の電極部である、上部電極402aと下部電極403aとを有する。さらに上部電極402aは、自励発振部401aと接する部分から矩形状に延在した主面を有する矩形部404aを有する。発振ユニット400bは、第2の自励発振部である自励発振部401bと、自励発振部401bに直流電流を供給する第2の電極部である、上部電極402bと下部電極403bとを有する。さらに上部電極402bは、自励発振部401bと接する部分から矩形状に延在した主面を有する矩形部404bを有する。
【0044】
上部電極402aと上部電極402bとは、結合部406において交流的に結合するように、結合部における上部電極の間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離となるように配置されている。この配置によって、発振出力は上部電極402aと上部電極402bとの間を伝播することができる。本実施形態において、自励発振部の位置は特に限定されず、矩形状の四隅のどれか1つの付近や、または中央付近などに配置することができる。
【0045】
上部電極402aから直流電流Iaを自励発振部401aに供給すると、自励発振部401aを通過した直流電流Iaは、下部電極403aを流れる。発振ユニット400aは結合部406により発振ユニット400bと直流的に絶縁されているので、直流電流Iaは自励発振部401bには流入しない。つまり、直流電流Iaは自励発振部401aのみを発振させ、他の自励発振部401bを発振させない。同様に、上部電極402bから直流電流Ibを自励発振部401bに供給すると、自励発振部401bを通過した直流電流Ibは、下部電極403bを流れる。発振ユニット400bは結合部406により発振ユニット400aと直流的に絶縁されているので、直流電流Ibは自励発振部401aには流入しない。つまり、直流電流Ibは自励発振部401bのみを発振させ、他の自励発振部401aを発振させない。
【0046】
直流電流Iaにより自励発振部401aが発振すると、発振出力は振動的なので、矩形部404aから結合部406を介して矩形部404bへ伝播する。つまり、発振出力については、矩形部404aを有した上部電極402aと矩形部404bを有した上部電極402bと結合部406とを共有して構成される1つの矩形状のアンテナ407により、発振器400は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。同様に、直流電流Ibにより自励発振部401bが発振した場合も、アンテナ407を共有して、発振器400は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。
【0047】
本実施形態において、自励発振部401aと自励発振部401bとに、それぞれ同時に直流電流を供給してもよく、どちらか一方だけに供給してもよい。また、自励発振部401aと自励発振部401bとは、それぞれ同じ周波数で発振してもよいし、異なる周波数で発振してもよい。
【0048】
本実施形態において、結合部406により形成された矩形状のアンテナ407を例示したが、結合部やアンテナの形状はこれに限らない。たとえば、図2で示したような結合部を有するアンテナ形状を用いることができる。
【0049】
矩形状のアンテナは熱を迅速に拡散することができるため、自励発振部が発熱する場合に、より好ましい形態である。
【0050】
(実施形態3)
実施形態1と2では、アンテナを上部電極のみで構成したが、下部電極も用いてアンテナを構成することができる。実施形態3では、上部電極と下部電極とを用いてアンテナを構成する。
【0051】
図11は実施形態3に係る電子部品である発振器500を示す図である。実施形態3に係る発振器500は、第1の発振ユニットである発振ユニット500aと第2の発振ユニットである発振ユニット500bとを有する。発振ユニット500aは、第1の自励発振部である自励発振部501aと、自励発振部501aに直流電流を供給する第1の電極部である、上部電極502aと下部電極503aとを有する。上部電極502aの形状は特に限定されないが、本実施態様においては、上部電極502aは自励発振部501aと接する部分からコの字形状に延在した主面部分を有する。上部電極502aは、コの字型の端部の主面に第1の結合部504aと第2の結合部505aを有する。発振ユニット500bは、第2の自励発振部である自励発振部501bと、自励発振部501bに直流電流を供給する第2の電極部である、上部電極502bと下部電極503bとを有する。下部電極503bの形状は特に限定されないが、本実施態様においては、下部電極503bは自励発振部501bと接する部分からコの字型の形状部分を有する。下部電極503bは、コの字型の端部の主面に第1の結合部504bと第2の結合部505bとを有する。
【0052】
上部電極502aと下部電極503bとは、それぞれの結合部504aと504bとが交流的に結合するように、結合部の間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置して形成された第1の結合部506と、それぞれの結合部505aと505bとが交流的に結合するように、結合部の間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置して形成された第2の結合部507において、交流的に結合するように配置されている。この配置によって発振出力は、上部電極502aと下部電極503bとの間を伝播することができる。本実施形態において、各自励発振部はコの字型の中央付近に配置しているが、自励発振部の位置は特に限定されず、コの字型の片側付近などに配置することができる。
【0053】
上部電極502aから直流電流Iaを自励発振部501aに供給すると、自励発振部501aを通過した直流電流Iaは、下部電極503aを流れる。発振ユニット500aは結合部506と結合部507により発振ユニット500bと直流的に絶縁されているので、直流電流Iaは自励発振部501bには流入しない。つまり、直流電流Iaは自励発振部501aのみを発振させ、他の自励発振部501bを発振させない。同様に、上部電極502bから直流電流Ibを自励発振部501bに供給すると、自励発振部501bを通過した直流電流Ibは、下部電極503bを流れる。発振ユニット500bは結合部506と結合部507により発振ユニット500aと直流的に絶縁されているので、直流電流Ibは自励発振部501aには流入しない。つまり、直流電流Ibは自励発振部501bのみを発振させ、他の自励発振部501aを発振させない。
【0054】
直流電流Iaにより自励発振部501aが発振すると、発振出力は振動的なので、上部電極502aから結合部506と結合部507を介して下部電極503bへ伝播する。つまり、発振出力については、上部電極502aと下部電極503bと結合部506と結合部507とを共有して構成する1つの環状のアンテナ508により、発振器500は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。同様に、直流電流Ibにより自励発振部501bが発振した場合もアンテナ508により、発振器500は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。
【0055】
本実施形態は、結合部の容量を容易に変化できる構成なため、共振周波数を大きく変化させたい場合に、より好ましい形態である。
【0056】
本実施形態において、自励発振部501aと自励発振部501bとに、それぞれ同時に直流電流を供給してもよく、どちらか一方だけに供給してもよい。また、自励発振部501aと自励発振部501bとは、それぞれ同じ周波数で発振してもよいし、異なる周波数で発振してもよい。
【0057】
上部電極502aと下部電極503bと結合部506と結合部507とを共有して構成するアンテナ508は、等価回路としては、上部電極502aと下部電極503bとによって環状となった部分については主にインダクタLで表現でき、結合部506と結合部507は主にキャパシタCで表現でき、LC直列回路として表現できる。電極部と結合部の形状を調整することで、LC共振周波数を自励発振部501aまたは自励発振部501bの発振周波数と一致させれば、より効率的な発振ができる。あるいは、電極部と結合部の形状を調整することで、たとえばLC共振の半値幅以内に、自励発振部501aと自励発振部501bの発振周波数が存在するようにすれば、異なる周波数の2チャンネルを効率良く発振できる。
【0058】
本実施形態のアンテナが一つのアンテナとして機能する様子を、電磁界シミュレーションの結果を用いて説明する。図12に示す寸法のアンテナ508Mについて、電磁界シミュレーションを実施した。各電極のコの字状の主面は、外形は2.8mm×6.0mmでパターン幅は1.0mmであり、電極間の距離は0.01mmとした。図12に示したように、励振源の位置Cはアンテナ508Mに接続した3mm×1mmの導体の先端とした。図13は、約10GHzでのアンテナ508M上の電流分布の計算結果を示す図である。アンテナ508Mを一つのアンテナとして、電流強度の大きい部分と小さい部分とが存在し、共振状態になっていることがわかる。これはアンテナ508Mが一つのアンテナとして機能することを意味している。
【0059】
(実施形態4)
実施形態4では、上部電極と下部電極を用いてアンテナを構成する形態において、多チャンネルでの発振により好ましい構成を説明する。
【0060】
図14は実施形態4に係る電子部品である発振器600を示す図である。実施形態4に係る発振器600は、第1の発振ユニットである発振ユニット600aと第2の発振ユニットである発振ユニット600bとを有する。発振ユニット600aは、第1の自励発振部である自励発振部601aと、自励発振部601aに直流電流を供給する第1の電極部である上部電極602aと第2の電極部である下部電極603aとを有する。上部電極602aと下部電極603aとは、自励発振部601aと接する部分から延在した主面をそれぞれ有する。上部電極602aは、主面の端部に結合部604aを有する。下部電極603aは、主面の端部に結合部605aを有する。発振ユニット600bは、第2の自励発振部である自励発振部601bと、自励発振部601bに直流電流を供給する第3の電極部である上部電極602bと第4の電極部である下部電極603bとを有する。上部電極602bと下部電極603bは、自励発振部601bと接する部分から延在した主面をそれぞれ有する。上部電極602bは、主面の端部に結合部604bを有する。下部電極603bは、主面の端部に結合部605bを有する。
【0061】
上部電極602aの結合部604aと下部電極603bの結合部605bは、第1の結合部606において交流的に結合するように、結合部604aと結合部605bとの間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置され、下部電極603aの結合部605aと上部電極602bの結合部604bは第2の結合部607において交流的に結合するように、結合部605aと結合部604bとの間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置されている。この配置によって発振出力は、上部電極602aと下部電極603bと上部電極602bと下部電極603aとの間を伝播することができる。
【0062】
上部電極602aから直流電流Iaを自励発振部601aに供給すると、自励発振部601aを通過した直流電流Iaは、下部電極603aを流れる。発振ユニット600aは結合部606と結合部607により発振ユニット600bとは直流的に絶縁されているので、直流電流Iaは発振ユニット600bには流入しない。つまり、直流電流Iaは自励発振部601aのみを発振させ、発振ユニット600bを発振させない。同様に、発振ユニット600bも独立に発振させることができる。
【0063】
直流電流Iaにより自励発振部601aが発振すると、発振出力は振動的なので、上部電極602aと下部電極603aとから結合部606と結合部607を介して上部電極602bと下部電極603bへ伝播する。つまり、発振出力については、上部電極602aと下部電極603aと上部電極602bと下部電極603bと結合部606と結合部607と自励発振部601aと自励発振部601bとを共有して構成される1つの環状のアンテナ608により、発振器600は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。同様に、直流電流Ibにより自励発振部601bが発振した場合もアンテナ608を共有して、発振器600は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。
【0064】
本実施形態において、自励発振部601aと自励発振部601bとに、それぞれ同時に直流電流を供給してもよく、どちらか一方だけに供給してもよい。また、自励発振部601aと自励発振部601bとは、それぞれ同じ周波数で発振してもよいし、異なる周波数で発振してもよい。
【0065】
結合部606と結合部607と上部電極602aと下部電極603aと上部電極602bと下部電極603bと自励発振部601aと自励発振部601bとで構成されたアンテナ608は、等価回路としてはRLC直列回路として表現できる。電極部と結合部の形状を調整することで、LC共振周波数を自励発振部601aまたは自励発振部601bの発振周波数と一致させれば、より効率的な発振ができる。あるいは、電極部と結合部の形状と自励発振部の抵抗値を調整することで、たとえば共振の半値幅以内に、自励発振部601aと自励発振部601bの発振周波数が存在するようにすれば、異なる周波数の2チャンネルを効率良く発振できる。
【0066】
自励発振部の抵抗値を調整するなどしてR成分を調整すれば、アンテナの共振における半値幅を大きくできる。したがって、発振周波数が異なる多数の発振部で多チャンネル発振を行う場合に、大きくした半値幅に多くの周波数を含めることができる。本実施形態は、発振周波数が異なる多数の自励発振部で多チャンネル発振を行う場合に、より好ましい実施形態である。
【0067】
(実施形態5)
実施形態5では、上部電極と下部電極を用いてアンテナを構成する形態において、アンテナを環状にしない構成を説明する。
【0068】
図15は実施形態5に係る電子部品である発振器700を示す図である。実施形態5に係る発振器700は、第1の発振ユニットである発振ユニット700aと第2の発振ユニットである発振ユニット700bと第3の発振ユニットである発振ユニット700cとを有する。発振ユニット700aは、第1の自励発振部である自励発振部701aと、自励発振部701aに直流電流を供給する第1の電極部である上部電極702aと第2の電極部である下部電極703aとを有する。電極部の形状は特に限定されないが、上部電極702aと下部電極703aとは、自励発振部701aと接する部分から延在した主面をそれぞれ有する。下部電極703aは、主面の端部に結合部704aを有する。発振ユニット700bは、第2の自励発振部である自励発振部701bと、自励発振部701bに直流電流を供給する第3の電極部である上部電極702bと第4の電極部である下部電極703bとを有する。電極部の形状は特に限定されないが、上部電極702bと下部電極703bとは、自励発振部701bと接する部分から延在した主面をそれぞれ有する。上部電極702bは主面の端部に結合部704bを有し、下部電極703bは主面の端部に結合部705bを有る。発振ユニット700cは、第3の自励発振部である自励発振部701cと、自励発振部701cに直流電流を供給する第5の電極部である上部電極702cと第6の電極部である下部電極703cとを有する。電極部の形状は特に限定されないが、上部電極702cと下部電極703cとは、自励発振部701cと接する部分から延在した主面をそれぞれ有する。上部電極702cは、主面の端部に結合部704cを有する。
【0069】
下部電極703aと上部電極702bとは、それぞれの結合部704aと704bとが第1の結合部706において交流的に結合するように、結合部704aと704bとの間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置して形成された第1の結合部706において、交流的に結合するように配置されている。下部電極703bと上部電極702cとは、それぞれの結合部705bと704cとが第2の結合部707において交流的に結合するように、結合部705bと704cとの間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置して形成された第2の結合部707において、交流的に結合するように配置されている。この配置によって発振出力は、下部電極703aと上部電極702bと下部電極703bと上部電極702cとの間を伝播することができる。
【0070】
上部電極702aから直流電流Iaを自励発振部701aに供給すると、自励発振部701aを通過した直流電流Iaは、下部電極703aを流れる。発振ユニット700aは結合部706により発振ユニット700bと直流的に絶縁されているので、直流電流Iaは自励発振部701bと自励発振部701cには流入しない。つまり、直流電流Iaは自励発振部701aのみを発振させ、他の自励発振部を発振させない。同様に、上部電極702bから直流電流Ibを自励発振部701bに供給すると、自励発振部701bを通過した直流電流Ibは、下部電極703bを流れる。発振ユニット700bは結合部706と結合部707とにより発振ユニット700aと発振ユニット700cと直流的に絶縁されているので、直流電流Ibは自励発振部701aと自励発振部701cには流入しない。つまり、直流電流Ibは自励発振部701bのみを発振させ、他の自励発振部を発振させない。さらに同様に、上部電極702cから直流電流Icを自励発振部701cに供給すると、自励発振部701cを通過した直流電流Icは、下部電極703cを流れる。発振ユニット700cは結合部706と結合部707とにより発振ユニット700aと発振ユニット700bと直流的に絶縁されているので、直流電流Icは自励発振部701aと自励発振部701bには流入しない。つまり、直流電流Icは自励発振部701cのみを発振させ、他の自励発振部を発振させない。
【0071】
直流電流Iaにより自励発振部701aが発振すると、発振出力は振動的なので、下部電極703aから結合部706と結合部707を介して伝播する。つまり、発振出力については、下部電極703aと結合部706と上部電極702bと自励発振部701bと下部電極703bと結合部707と上部電極702cを共有して構成する1つのアンテナ708により、発振器700は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。同様に、自励発振部701bや自励発振部701cが発振した場合もアンテナ708により、発振器700は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。
【0072】
本実施形態はアンテナを直線状に形成しているため、近傍の電場を強くして電磁エネルギーを外部に発振させたい場合に、より好ましい形態である。
【0073】
本実施形態において、自励発振部701aと自励発振部701bと自励発振部701cに、それぞれ同時に直流電流を供給してもよく、どれか一方だけに供給してもよい。また各自励発振部は、全て同じ周波数で発振してもよいし、異なる周波数で発振してもよい。
【0074】
(実施形態6)
実施形態1から5では2チャンネルまたは3チャンネルの場合を説明したが、より多くのチャンネルを有した発振器を構成することもできる。実施形態6では、4チャンネルの場合を例示する。
【0075】
図16は実施形態6に係る電子部品である発振器800を示す図である。発振器800は、複数の発振ユニット800a、800b、800c、800dを有する。発振ユニット800aは、自励発振部801aと、自励発振部801aに直流電流Iaを供給する第1の電極部である、上部電極802aと下部電極803aとを有する。上部電極802aは自励発振部801aと接する部分から延在した主面を有する。発振ユニット800bは、自励発振部801bと、自励発振部801bに直流電流Ibを供給する第2の電極部である、上部電極802bと下部電極803bとを有する。上部電極802bは自励発振部801bと接する部分から延在した主面を有する。発振ユニット800cは、自励発振部801cと、自励発振部801cに直流電流Icを供給する第3の電極部である、上部電極802cと下部電極803cとを有する。上部電極802cは自励発振部801cと接する部分から延在した主面を有する。発振ユニット800dは、自励発振部801dと、自励発振部801dに直流電流Idを供給する第4の電極部である、上部電極802dと下部電極803dとを有する。上部電極802dは自励発振部801dと接する部分から延在した主面を有する。
【0076】
上部電極802aと上部電極802dとは、第1の結合部806において交流的に結合するように、結合部806における上部電極の間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置されている。上部電極802aと上部電極802bとは、第2の結合部807において交流的に結合するように、結合部807における上部電極の間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置されている。上部電極802bと上部電極802cとは、第3の結合部808において交流的に結合するように、結合部808における上部電極の間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置されている。上部電極802cと上部電極802dとは、第4の結合部809において交流的に結合するように、結合部809における上部電極の間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置されている。この配置によって、発振出力は上部電極802aと上部電極802bと上部電極802cと上部電極802dとの間を伝播することができる。
【0077】
複数の電極部を結合部を介して交流的に結合するように配置することで、アンテナ800eの一部であるアンテナ要素が形成されている。ここでアンテナ要素とは、例えば、上部電極802aと上部電極802bとが結合部807を介して交流的に結合することにより、アンテナ800eの一部を形成した部分を意味する。本実施形態において、各自励発振部は電極の片側に配置されているが、自励発振部の位置は特に限定されず、電極の中央付近などに配置することができる。
【0078】
上部電極802aから直流電流Iaを自励発振部801aに供給すると、自励発振部801aを通過した直流電流Iaは、下部電極803aを流れる。発振ユニット800aは結合部806と結合部807により、他の発振ユニットである発振ユニット800bと発振ユニット800cと発振ユニット800dとは直流的に絶縁されているので、直流電流Iaは他の発振ユニットには流入しない。つまり、直流電流Iaは自励発振部101aのみを発振させ、他の自励発振部を発振させない。同様に、他の自励発振部も独立に発振させることができる。
【0079】
直流電流Iaにより自励発振部801aが発振すると、発振出力は振動的なので、上部電極802aから結合部806と結合部807と結合部808と結合部809を介して他の発振ユニットの電極部である、上部電極802bと上部電極802cと上部電極802dとへ伝播する。つまり、発振出力については、上部電極802aと上部電極802bと上部電極802cと上部電極802dと結合部806と結合部807と結合部808と結合部809とを共有して構成される1つの環状のアンテナ800eにより、発振器800は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。同様に、他の自励発振部が発振した場合も、発振器800はアンテナ800eを共有することで、電磁エネルギーを外部へ発振することができる。
【0080】
本実施形態において、自励発振部801aと自励発振部801bと自励発振部801cと自励発振部801dには、それぞれ同時に直流電流を供給してもよく、あるいはまた、同時でなくてもよい。さらに、自励発振部801aと自励発振部801bと自励発振部801cと自励発振部801dとは、それぞれ同じ周波数で発振してもよいし、それぞれ異なる周波数で発振してもよい。
【0081】
結合部806と結合部807と結合部808と結合部809とで交流的に結合した上部電極802aと上部電極802bと上部電極802cと上部電極802dとで構成されるアンテナ800eは、等価回路としては、上部電極802aと上部電極802bと上部電極802cと上部電極802dとによって環状となった部分については主にインダクタLで表現でき、結合部806と結合部807と結合部808と結合部809は主にキャパシタCで表現でき、アンテナ800eはLC直列回路として表現できる。上部電極と結合部の形状を調整することで、LC共振周波数を自励発振部801aまたは自励発振部801bまたは自励発振部801cまたは自励発振部801dの発振周波数と一致させれば、より効率的な発振ができる。あるいは、上部電極と結合部の形状を調整することで、たとえばLC共振の半値幅以内に、自励発振部801aと自励発振部801bと自励発振部801cと自励発振部801dの発振周波数が存在するようにすれば、異なる周波数の4チャンネルを効率良く発振できる。
【0082】
従来技術では、4チャンネルの発振をする場合、発振部とアンテナで構成する発振器が4つ必要であった。あるいは、1つのアンテナと4つの発振部とを接続する場合は、切り替えスイッチが必要であり、切り替えのため同時に発振はできなかった。一方で本実施形態では、各自励発振部に接続した電極と結合部とで共有するアンテナを1つ構成し、4チャンネル発振を1つのアンテナで実現する。さらに、発振に必要な電流は、結合部により他の自励発振部に流入しない。したがって、本実施形態は複数のチャンネルの発振を、小型で省面積な構成で、独立かつ同時に実施できる。
【0083】
(実施形態7)
実施形態6では上部電極により環状のアンテナを構成する4チャンネルの発振器の例を示した。実施形態7では、上部電極と下部電極と自励発振部により環状のアンテナを構成する4チャンネルの発振器を例示する。
【0084】
図17は実施形態7に係る電子部品である発振器900を示す図である。発振器900は、複数の発振ユニット900a、900b、900c、900dを有する。発振ユニット900aは、自励発振部901aと、自励発振部901aに直流電流Iaを供給する第1の電極部である上部電極902aと第2の電極部である下部電極903aとを有する。上部電極902aと下部電極903aは自励発振部901aと接する部分から延在した主面を有する。発振ユニット900bは、自励発振部901bと、自励発振部901bに直流電流Ibを供給する第3の電極部である上部電極902bと第4の電極部である下部電極903bとを有する。上部電極902bと下部電極903bは自励発振部901bと接する部分から延在した主面を有する。発振ユニット900cは、自励発振部901cと、自励発振部901cに直流電流Icを供給する第5の電極部である上部電極902cと第6の電極部である下部電極903cとを有する。上部電極902cと下部電極903cは自励発振部901cと接する部分から延在した主面を有する。発振ユニット900dは、自励発振部901dと、自励発振部901dに直流電流Idを供給する第7の電極部である上部電極902dと第8の電極部である下部電極903dとを有する。上部電極902dと下部電極903dは自励発振部901dと接する部分から延在した主面を有する。
【0085】
下部電極903aと上部電極902dとは、第1の結合部906において交流的に結合するように、結合部906における電極の間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置されている。上部電極902aと下部電極903bとは、第2の結合部907において交流的に結合するように、結合部907における電極の間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置されている。上部電極902bと下部電極903cとは、第3の結合部908において交流的に結合するように、結合部908における電極の間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置されている。上部電極902cと下部電極903dとは、第4の結合部909において交流的に結合するように、結合部909における電極の間隔が自励発振部の発振周波数の波長より近い距離になるように配置されている。この配置によって、発振出力は上部電極902aと下部電極903bと自励発振部901b上部電極902bと下部電極903cと自励発振部901cと上部電極902cと下部電極903dと自励発振部901dと上部電極902dと下部電極903aと自励発振部901aの間を伝播することができる。
【0086】
複数の電極部を結合部を介して交流的に結合するように配置することで、アンテナ900eの一部であるアンテナ要素が形成されている。ここでアンテナ要素とは、例えば、上部電極902dと下部電極903aと自励発振部901aと上部電極902aと下部電極903bとが結合部906と結合部907とを介して交流的に結合することにより、アンテナ900eの一部を形成した部分を意味する。
【0087】
上部電極902aから直流電流Iaを自励発振部901aに供給すると、自励発振部901aを通過した直流電流Iaは、下部電極903aを流れる。発振ユニット900aは結合部906と結合部907により、他の発振ユニットである発振ユニット900bと発振ユニット900cと発振ユニット900dとは直流的に絶縁されているので、直流電流Iaは他の発振ユニットには流入しない。つまり、直流電流Iaは自励発振部91aのみを発振させ、他の自励発振部を発振させない。同様に、他の自励発振部も独立に発振させることができる。
【0088】
直流電流Iaにより自励発振部901aが発振すると、発振出力は振動的なので、上部電極902aと下部電極903aから、結合部906と結合部907と結合部908と結合部909と自励発振部901bと自励発振部901cと自励発振部901dとを介して他の発振ユニットの電極部である、上部電極902bと下部電極903bと上部電極902cと下部電極903cと上部電極902dと下部電極903dへ伝播する。つまり、発振出力については、上部電極902aと下部電極903aと上部電極902bと下部電極903bと上部電極902cと下部電極903cと上部電極902dと下部電極903dと結合部906と結合部907と結合部908と結合部909と自励発振部901aと自励発振部901bと自励発振部901cと自励発振部901dとを共有して構成される1つの環状のアンテナ900eにより、発振器900は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。同様に、自励発振部901a以外の他の自励発振部が発振した場合も、発振器900はアンテナ900eを共有することで、電磁エネルギーを外部へ発振することができる。
【0089】
本実施形態において、各自励発振部は上部電極と下部電極に対して対称的な位置に配置されているが、自励発振部の位置は特に限定されない。
【0090】
本実施形態において、自励発振部901aと自励発振部901bと自励発振部901cと自励発振部901dには、それぞれ同時に直流電流を供給してもよく、あるいはまた、同時でなくてもよい。さらに、自励発振部901aと自励発振部901bと自励発振部901cと自励発振部901dとは、それぞれ同じ周波数で発振してもよいし、それぞれ異なる周波数で発振してもよい。
【0091】
実施形態1から実施形態7の電子部品において、電極部と結合部とで環状のアンテナや矩形状のアンテナや直線状のアンテナを構成する例を示したが、アンテナ形状はこれらに限定されない。たとえば、電極部と結合部とで半円状のアンテナを構成する配置なども用いることができる。
【0092】
実施形態1から実施形態7の電子部品において、チャンネル数が2つ、3つまたは4つの場合を説明したが、チャンネル数はこれに限定されるものではない。
【0093】
実施形態1から実施形態7の電子部品において、直流電流を上部電極から自励発振部に供給しているが、直流電流を下部電極から自励発振部に供給することもできる。
【0094】
(実施形態8)
図18は、実施形態8に係る電子部品である整流器1000を示す図である。図18は、図1における自励発振部を整流部に置き換えた構成である。整流器1000は、第1の整流ユニットである整流ユニット1000aと第2の整流ユニットである整流ユニット1000bとを有する。整流ユニット1000aは、第1の整流部である整流部1001aと、整流部1001aと直流的に接続された第1の電極部である、上部電極1002aと下部電極1003aとを有する。上部電極1002aは、整流部1001aから直流電圧を取り出す信号線である。下部電極1003aはグランド線である。上部電極1002aの形状は特に限定されないが、本実施態様においては、上部電極1002aは整流部1001aと接する部分から半円形状に延在した主面を有する。
【0095】
整流ユニット1000bは、第2の整流部である整流部1001bと、整流部1001bと直流的に接続された第2の電極部である、上部電極1002bと下部電極1003bとを有する。上部電極1002bは、整流部1001bから直流電圧を取り出す信号線である。下部電極1003bはグランド線である。上部電極1002bの形状は特に限定されないが、本実施態様においては、上部電極1002bは整流部1001bと接する部分から半円形状に延在した主面を有する。
【0096】
上部電極1002aと上部電極1002bとは、第1の結合部1006と第2の結合部1007において交流的に結合するように、各結合部において上部電極の間隔が整流部が整流する整流周波数の波長より近い距離となるように配置されている。この配置によって発振出力は、上部電極1002aと上部電極1002bとの間を伝播することができる。本実施形態において、各整流部は半円形状の中央付近に配置しているが、整流部の位置は特に限定されず、半円形状の片側付近などに配置することができる。
【0097】
電磁エネルギーを整流器1000に印加すると、上部電極1002aと上部電極1002bと結合部1006と結合部1007とを共有して構成されるアンテナ1008は、電磁エネルギーを受信する。ここで、電磁エネルギーとは、波長に比較して大きい距離に位置する電磁波源から伝送されてきた電磁エネルギーの形態だけでなく、波長に比較して小さい距離に位置する電磁波源から伝送されてきた電磁エネルギーの形態も意味する。電磁場の周波数と整流部が整流作用を示す周波数とが等しい場合、整流部は直流を出力する。発生した直流電流は、結合部1006と結合部1007を介して他方の整流部には流入しない。つまり、各整流部は独立に出力することができる。
【0098】
整流部1001aと整流部1001bがそれぞれ整流する2つの異なる周波数の電磁エネルギーを、同時に整流器1000に印加してもよく、どちらか一方の周波数の電磁エネルギーだけを印加してもよい。
【0099】
整流部1001aと整流部1001bが整流する周波数は異なっている場合を説明したが、整流による出力を2箇所から取り出したい場合は、整流する周波数が同じ整流部を使用してもよい。
【0100】
上部電極1002aと上部電極1002bと結合部1006と結合部1007とを共有して構成されるアンテナ1008は、等価回路としてはLC直列回路として表現できる。電極部の形状と結合部の容量を調整することで、LC共振周波数を整流部1001aまたは整流部1001bの整流周波数と一致させれば、より効率的に整流することができる。あるいは、電極部の形状と結合部の容量を調整することで、たとえばLC共振の半値幅以内に、整流部1001aと整流部1001bの整流周波数が存在するように調整すれば、異なる周波数の2チャンネルを効率良く整流できる。
【0101】
従来技術では、2チャンネルの受信をする場合、整流部とアンテナで構成する整流器が2つ必要であった。あるいは、1つのアンテナと2つの整流部とを接続する場合は、切り替えスイッチが必要であり、切り替えのため同時に受信することはできなかった。一方で本実施形態では、各整流部に接続した電極部と結合部とで共有するアンテナを1つ構成し、2チャンネルの受信を1つのアンテナで実現する。さらに、整流した直流出力は、結合部により他の整流部から出力されない。したがって、本実施形態は2チャンネルの受信を、小型で省面積な構成で、独立かつ同時に実施できる。
【0102】
整流部は、特に限定されないが、例えば磁気抵抗効果素子や、ジョセフソン素子を用いることができる。
【0103】
整流器1000に外部から電磁エネルギーを印加すると、整流部には振動電流が供給される。整流部がたとえば磁気抵抗効果素子205の場合、磁気抵抗効果素子205は交流電流を供給されると、後述するスピントルクFMR(Ferromagnetic Resonance)効果によって、交流電流を直流に変換する。
【0104】
ここでスピントルクFMR効果について説明する。図3における磁気抵抗効果素子205に、各層の面直方向に交流電流を印加する場合を考える。交流の半周期で電子208がピン層206aからフリー層206bへ注入される場合は、フリー層206bとピン層206aの磁化が平行になるようにフリー層206bの磁化方向が回転し、磁気抵抗効果素子205の抵抗値が下がる。逆にフリー層206bからピン層206aへ電子208が注入される半周期では、フリー層206bとピン層206aの磁化方向は互いに反平行になるようにフリー層の磁化方向が回転し、抵抗値が上がる。交流電流により、この抵抗変化の現象が交互に起きて、振動電圧とともに直流電圧成分が発生する。すなわち交流を直流に変換する整流作用を示す。これをスピントルクFMR効果とよぶ。スピントルクFMR効果が発生する周波数、つまり整流周波数は印加磁場によるため、所望の周波数でスピントルクFMR効果を発生させるのに十分な磁場を印加する必要がある。
【0105】
図19は実施形態8に係る整流ユニット1000aを使用するための周辺回路の一例を示す図である。周辺回路1050は、負荷1051と、インダクタL2とからなる。整流器1000が外部から電磁エネルギーを受信すると、整流ユニット1000aは整流した直流を出力する。負荷1051で直流出力を検出でき、インダクタL2で電磁エネルギーによる交流の負荷1051への流入を防ぐことができる。以後の実施形態の説明において、周辺回路は省略する。
【0106】
(実施形態9)
実施形態9は、実施形態2から7において、自励発振部を磁気抵抗効果素子205を用いた整流部と置き換えた、多チャンネルの電子部品である整流器である。実施形態9の整流器も、実施形態8と同じ理由により、多チャンネルの整流を小型で省面積な構成で、独立かつ同時に実施できる。
【0107】
(実施形態10)
実施形態10では、以上で説明した電子部品の1対を対向させて、電磁エネルギーを発振そして整流し、通信または電磁エネルギーの授受を実施する。
【0108】
図20は、実施形態10に係る送受信装置2000を示す図である。送受信装置2000は、発振器100と整流器1000とからなる。整流器1000は、発振器100が発振した電磁エネルギーEMがおよぶ範囲に配置されている。電磁エネルギーEMは、波長に比較して大きい距離へ電磁波が伝送する電磁エネルギーの形態だけでなく、波長に比較して小さい距離へ電磁場が伝送する電磁エネルギーの形態も意味する。発振器100と整流器1000との距離は、発振部が発振する周波数の波長に対して十分大きい距離でもよく、あるいは、波長に対して小さい距離でもよい。
【0109】
発振器100の自励発振部101aと自励発振部101bの発振周波数をそれぞれFa、Fbとし、整流器1000の整流部1001aと整流部1001bの整流周波数をそれぞれFa、Fbとする。
【0110】
発振器100が自励発振部101aと自励発振部101bにより同時に発振周波数FaとFbとで発振した場合、電磁エネルギーEMにより整流器1000は、整流部1001aと整流部1001bによりそれぞれFa、Fbの電磁エネルギーを整流する。
【0111】
本実施形態において、自励発振部101aと自励発振部101bが同時に発振した場合を説明したが、どちらか一方だけを発振させてもよい。また、発振周波数FaとFbとは、それぞれ同じ周波数でもよいし、異なる周波数でもよい。
【0112】
本実施形態においては、発振器100と整流器1000を用いて送受信装置を構成する例を説明したが、他の実施形態による電子部品を用いて送受信装置を構成することもできる。
【0113】
従来技術では、2チャンネルの送受信をする場合、発振部とアンテナで構成する発振器が2つと、整流部とアンテナで構成する整流器が2つ必要であり、合計4つのアンテナが必要であった。あるいは、1つのアンテナと2つの発振部または整流部とを接続する場合は、切り替えスイッチが必要であり、切り替えのため同時に送受信はできなかった。一方で本実施形態では、発振器において各自励発振部に接続した電極と結合部とで共有するアンテナを1つ構成し、整流器においては各整流部に接続した電極と結合部とで共有するアンテナを1つ構成することで、2チャンネルの送受信を合計2つだけのアンテナで実現できる。したがって、本実施形態は小型で省面積な構成で、2チャンネルの送受信を実現できる。本実施形態は、異なる電子機器間の送受信に用いることができるが、同一の電子機器内において小面積で近距離通信をする場合に、より好ましい形態である。
【0114】
送受信装置2000の通信動作について説明する。説明においては、通信符号化方式にNRZ(Non−Return−to−Zero)を用いる。NRZは信号が「1」の時に電圧はゼロでなく、信号が「0」の時に電圧をゼロとする符号化方式である。但し、本発明で用いることができる符号化方式はこれに限ったものではない。
【0115】
信号値が「1」の時は、自励発振部に「1」の時間間隔だけ電流を流す。その電流により自励発振部は発振し、発振器100は電磁エネルギーEMを整流器1000に伝送する。整流器1000において受信された電磁エネルギーEMは、整流部において整流され、信号値「1」が伝達される。
【0116】
信号値が「0」の時は、自励発振部に電流を流さないので、電磁エネルギーEMは整流器1000に伝送されない。つまり、信号値「0」が伝送される。
【0117】
また、信号値が「0」の時は自励発振部に電流が流れないため、通信に不要な電磁エネルギーが発生しない。つまり本実施形態は、省電力化、低ノイズ化の効果も期待できる。
【0118】
また、本実施形態は無線給電に応用することが可能である。入力を常に信号値が「1」の状態とすれば、常に発振信号すなわちエネルギーが整流器1000に供給されるので、無線電力供給が可能である。
【0119】
(実施形態11)
図21は、実施形態11に係る電子部品である送受信器1100を示す図である。図11は、図1における1つの自励発振部を整流部に置き換えた構成である。送受信器1100は、発振ユニットである発振ユニット1100aと整流ユニットである整流ユニット1100bとを有する。発振ユニット1100aは、自励発振部である自励発振部1101aと、自励発振部1101aと直流的に接続された第1の電極部である、上部電極1102aと下部電極1103aとを有する。上部電極1102aの形状は特に限定されないが、本実施態様においては、上部電極1102aは整流部1101aと接する部分から半円形状に延在した主面を有する。
【0120】
整流ユニット1100bは、整流部である整流部1101bと、整流部1101bと直流的に接続された第2の電極部である、上部電極1102bと下部電極1103bとを有する。上部電極1102bは、整流部1101bから直流電圧を取り出す信号線である。下部電極1103bはグランド線である。上部電極1102bの形状は特に限定されないが、本実施態様においては、上部電極1102bは整流部1101bと接する部分から半円形状に延在した主面を有する。
【0121】
上部電極1102aと上部電極1102bとは、第1の結合部1106と第2の結合部1107において交流的に結合するように、各結合部において上部電極の間隔が自励発振部の発振周波数の波長と整流部の整流周波数の波長より近い距離となるように配置されている。この配置によって発振出力は、上部電極1102aと上部電極1102bとの間を伝播することができる。本実施形態において、自励発振部と整流部は半円形状の中央付近に配置しているが、自励発振部と整流部の位置は特に限定されず、半円形状の片側付近などに配置することができる。
【0122】
上部電極1102aから直流電流Iaを自励発振部1101aに供給すると、自励発振部1101aを通過した直流電流Iaは、下部電極1103aを流れる。発振ユニット1100aは結合部1106と結合部1107により、整流ユニット1100bとは直流的に絶縁されているので、直流電流Iaは整流部1101bには流入しない。つまり、直流電流Iaは自励発振部1101aのみを発振させ、整流部1101bの出力と干渉しない。
【0123】
直流電流Iaにより自励発振部1101aが発振すると、発振出力は振動的なので、発振出力は上部電極1102aから結合部1106と結合部1107を介して上部電極1102bへ伝播する。つまり、発振出力については、上部電極1102aと上部電極1102bと結合部1106と結合部1107とを共有して構成される1つの環状のアンテナ1108により、送受信器1100は電磁エネルギーを外部へ発振することができる。
【0124】
ここで環状とは、輪のような円い形状だけでなく、外形が正方形または長方形のような円くない形状でもよく、閉じた形状であれば外形は任意の形状を用いることができる。また、ここでアンテナとは、波長より十分大きい距離へ電磁波を伝送させるためのアンテナだけでなく、波長と同程度、または波長より小さい距離へ電磁信号や電磁エネルギーを伝送させるアンテナや共振器やコイルなどを意味する。
【0125】
一方、電磁エネルギーを送受信器1100に印加すると、上部電極1102aと上部電極1102bと結合部1106と結合部1107とを共有して構成されるアンテナ1108は、電磁エネルギーを受信する。電磁場の周波数と整流部が整流作用を示す周波数とが等しい場合、整流部は直流を出力する。発生した直流電流は、結合部1106と結合部1107により自励発振部には流入しない。つまり、整流部1101bが発生した直流電流は、自励発振部1101aを発振させることなく、出力として取出すことができる。
【0126】
自励発振部1101aの発振周波数と整流部1101bが整流する整流周波数は、同じ周波数でもよく、あるいは異なる周波数でもよい。同じ周波数の形態では、送受信器1100はアンテナ1108により自励発振部1101aが発振した発振出力を電磁エネルギーとして外部へ発振するとともに、それと同じ周波数の電磁エネルギーをアンテナ1108で受信して整流部1101bで整流することができる。互いに異なる周波数の形態では、送受信器1100はアンテナ1108により自励発振部1101aが発振した発振出力を電磁エネルギーとして外部へ発振するとともに、それと異なる周波数の電磁エネルギーをアンテナ1108で受信して整流部1101bで整流することができる。
【0127】
従来技術で送信と受信を実施するには、発振部とアンテナで構成した発振器と、整流部とアンテナで構成した整流器が必要であり、アンテナを2つ用いる。本実施形態は共有アンテナ1つで送受信を実現するため、本実施形態は従来技術に比較して約1/2の面積で送信と受信を実現できる。
【0128】
(実施形態12)
実施形態12は、実施形態2から7において、自励発振部を1つ以上残して他の自励発振部を整流部に置き換えた、多チャンネルの電子部品である送受信器である。本実施形態の送受信器も、実施形態11と同じ理由により、多チャンネルで送信または受信を小型で省面積な構成で実現できる。本実施形態では、自励発振部と整流部を合わせて最大4個となる構成例を示したが、自励発振部と整流部の個数はこれに限ったものではない。自励発振部と整流部のそれぞれの個数は、他の個数でも同様に小型化の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
以上のように、本発明に係る電子部品および送受信装置は、無線通信や無線電力給電などに利用可能である。
【符号の説明】
【0130】
100・・・発振器、100a、100b・・・発振ユニット、101a、101b・・・自励発振部、102a、102b・・・上部電極、103a、103b・・・下部電極、106、107・・・結合部、205・・・磁気抵抗効果素子、1000・・・整流器、1000a、1000b・・・整流ユニット、1001a、1001b・・・整流部、2000・・・送受信装置
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21