特許第6187118号(P6187118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187118
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20170821BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B25J13/08 Z
   H01L21/68 F
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-210738(P2013-210738)
(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公開番号】特開2015-74039(P2015-74039A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】大谷 純一
(72)【発明者】
【氏名】井上 佳佑
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−48443(JP,A)
【文献】 特開2013−197454(JP,A)
【文献】 特開2008−173744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を載置するエンドエフェクタと、当該エンドエフェクタの動作を制御して被搬送物を目標位置に向かって搬送する制御手段と、前記エンドエフェクタの搬送経路上に備えられ、前記エンドエフェクタに載置された前記被搬送物を検知する検知部と、を具備し、
前記制御手段が、前記検知部の出力を基に前記被搬送物と前記エンドエフェクタ上に設けられた基準位置との相対変位を算出する相対変位算出部と、当該相対変位算出部により得られた相対変位を基に被搬送物を目標位置に向かって搬送する際のエンドエフェクタの位置を補正するための補正指令を生成する補正指令生成部と、を備える搬送装置において、
前記制御手段が、
前記エンドエフェクタを予め設定したずらし量分ずらした状態としながら前記目標位置に置かれた被搬送物を受け取らせる第1のステップと、
前記被搬送物を前記検知部に検知させ、前記相対変位算出部に前記被搬送物と前記エンドエフェクタ上に設けられた基準位置との相対変位を算出させて、これを基に前記補正指令に基づいて前記エンドエフェクタの位置補正を行い前記被搬送物を前記目標位置に向かって搬送する第2のステップと、
前記エンドエフェクタ上の基準位置を前記目標位置に重合させて、当該エンドエフェクタに前記被搬送物を受け取らせ、前記被搬送物を前記検知部に検知させ、前記相対変位算出部に前記被搬送物と前記エンドエフェクタ上に設けられた基準位置との相対変位を補正後相対変位として算出させる第3のステップと、
前記補正後相対変位が小さくなるように前記補正指令を修正するための修正パラメータを生成する第4のステップと、
からなる修正パラメータの生成動作を実行して、生成した前記修正パラメータを基に前記補正指令生成部により得られる補正指令を修正し、前記被搬送物を目標位置に向かって搬送するように構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記修正パラメータが、前記ずらし量と前記補正後相対変位との関係により得られる関数を基に生成されることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記制御手段が、前記ずらし量を順次変更して前記第1〜第3のステップを繰り返し実行し、前記第4のステップにおいて各ずらし量とこれに対応する補正後相対変位との値に基づいて前記修正パラメータを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記第1〜第4のステップを組み合わせて実行する修正パラメータの生成を、前記補正後相対変位が所定の値以下になるまで繰り返すことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の搬送装置。
【請求項5】
前記被搬送物が略正円状であり、前記検知部が当該位置における被搬送物を検知して検知信号を出力する光電センサであり、前記相対変位算出部が前記光電センサによる検知信号とこの検知信号が得られる際のエンドエフェクタの位置とに基づいて、前記被搬送物と前記エンドエフェクタ上に設けられた基準位置との相対変位を算出することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記光電センサが被搬送物の搬送経路を幅方向に横切るように複数個取り付けられており、前記相対変位算出部が少なくとも2つの光電センサからの検知信号を用いて前記相対変位を算出するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドエフェクタ上に載置された被搬送物を目標位置へ搬送する際に、被搬送物とエンドエフェクタとの相対変位を基にエンドエフェクタの位置補正を行うことで精度良く被搬送物を搬送することのできる搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンドエフェクタを動作させることで、このエンドエフェクタ上に被搬送物を受け取り、さらにエンドエフェクタを目標位置に向けて動作させて、目標位置に被搬送物を移載させることのできる搬送装置が広く一般に使用されている。
【0003】
こうした搬送装置は、半導体分野などクリーンルームや真空室内での作業を行う場面で有効に利用することができる。例えば、半導体ウェーハなどの被搬送物をFOUP(Front Opening Unified Pod)などの収容器より取り出し、搬送室やロードロック室、半導体処理室の間を搬送させる場合に用いることができる。
【0004】
その際、特にこのような被搬送物に対して精密な処理を施す場合には、エンドエフェクタを精密に位置制御して、被搬送物を目標位置に対して精度良く搬送することが必要となる。
【0005】
また、エンドエフェクタによって被搬送物を受け取る際に、被搬送物とエンドエフェクタに設定する基準位置とのずれ、すなわち相対変位が生じた場合には、エンドエフェクタを正確に移動しても被搬送物は目標位置よりずれることになるため、この相対変位の分エンドエフェクタの位置補正を行って被搬送物の搬送を行うことも必要とされる。
【0006】
こうした要求に応えるため、特許文献1には、移動体(被搬送物)を載置するロボットアーム(エンドエフェクタ)の移動路を幅方向に横切る軸に沿って3つのセンサが設けられており、エンドエフェクタを動作させる際にこれらのセンサにより得られる検出信号を基にして被搬送物とエンドエフェクタとの相対変位を導出し、この相対変位に基づきエンドエフェクタの位置を補正することにより被搬送物を目標位置に正確に搬送するように構成した搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平7−27953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、被搬送物とエンドエフェクタとの相対変位を正確に検出し、検出した相対変位を基に搬送ロボットに補正指令を与えたとしても、減速機やタイミングベルトなどの構成要素における機械的誤差を原因とする搬送ロボットの動作誤差によって補正指令通りの位置補正量を得ることができず、載置時の位置ずれが残るという問題がある。特に、位置補正動作は例えば0.1mm単位の微小動作であるため、個体ごとに異なる機械抵抗やヒステリシス等によって指令値通りに動作しないことが位置補正精度を悪化させる要因となる。
【0009】
上記の問題による補正指令値と実際の位置補正量とのずれを修正し、位置補正精度を向上させるためには、個体毎に位置補正量を修正するための修正パラメータを設定することが考えられる。こうした修正パラメータを生成して適切に設定するためには、CCDカメラ等を用いた画像処理装置を導入することで、搬送後の被搬送物の目標位置からのずれを測定し、このずれがなくなるように修正パラメータを調整することが考えられる。
【0010】
しかしながら、このように被搬送物の目標位置を得る手段として画像処理装置を組み込むと、本来の搬送動作に不要な設備を組み込むこととなって装置構成が大がかりとなってしまい、著しいコストの上昇を招くとともに大きな設置面積が必要となってしまう。一方、画像処理装置を装置本体とは別体として構成し、初期の調整にのみ使用することにした場合、経年による装置特性の変化に対応できず、再び修正パラメータを調整することは困難になる。また、画像処理装置を、メンテナンス時にのみ組み込んで修正パラメータを調整しようとしても、事前の装置の組み替えや調整等が必要になって作業が猥雑になってしまうことから、メンテナンスに長時間を要してランニングコストが増大することに繋がる。
【0011】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、エンドエフェクタの位置補正量を修正し位置補正精度を向上させるための修正パラメータの生成を、搬送動作に必要な設備のみで費用を増大させること無く、簡便に実行することのできる搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、係る目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0013】
すなわち、本発明の搬送装置は、被搬送物を載置するエンドエフェクタと、当該エンドエフェクタの動作を制御して被搬送物を目標位置に向かって搬送する制御手段と、前記エンドエフェクタの搬送経路上に備えられ、前記エンドエフェクタに載置された前記被搬送物を検知する検知部と、を具備し、前記制御手段が、前記検知部の出力を基に前記被搬送物と前記エンドエフェクタ上に設けられた基準位置との相対変位を算出する相対変位算出部と、当該相対変位算出部により得られた相対変位を基に被搬送物を目標位置に向かって搬送する際のエンドエフェクタの位置を補正するための補正指令を生成する補正指令生成部と、を備える搬送装置において、前記制御手段が、前記目標位置に置かれた被搬送物を、前記エンドエフェクタを予め設定したずらし量分ずらした状態で当該エンドエフェクタに受け取らせる第1のステップと、前記被搬送物を前記検知部に検知させ、前記相対変位算出部に前記被搬送物と前記エンドエフェクタ上に設けられた基準位置との相対変位を算出させて、これを基に前記補正指令に基づいて前記エンドエフェクタの位置補正を行い前記被搬送物を前記目標位置に向かって搬送する第2のステップと、前記エンドエフェクタ上の基準位置を前記目標位置に重合させて、当該エンドエフェクタに前記被搬送物を受け取らせ、前記被搬送物を前記検知部に検知させ、前記相対変位算出部に前記被搬送物と前記エンドエフェクタ上に設けられた基準位置との相対変位を補正後相対変位として算出させる第3のステップと、前記補正後相対変位が小さくなるように前記補正指令を修正するための修正パラメータを生成する第4のステップと、からなる修正パラメータの生成動作を実行して、生成した前記修正パラメータを基に前記補正指令生成部により得られる補正指令を修正し、前記被搬送物を目標位置に向かって搬送するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
このように構成すると、搬送装置が検知部及び相対変位算出部を有しているため、前記被搬送物と前記エンドエフェクタ上に設けられた基準位置との相対変位を算出することができ、補正指令生成部により上記相対変位に基づき補正指令を生成し、この補正指令を制御手段に与えることで、被搬送物を目標位置からのずれを補正して位置精度良く搬送することができる。
【0015】
さらに、修正パラメータを基に補正指令を修正することによって、補正指令により補正しようとした量と実際の動作量とのずれを補完することができ、被搬送物を搬送する際の位置精度を一層向上することが可能となる。また、補正指令を得るために用いる検知部及び相対変位算出部を修正パラメータを生成するためにも用いることができるため、被搬送物のずれ量を得るために画像処理装置等を別途設ける必要が無く、搬送動作に必要な装置だけで位置補正精度を向上させることが可能となる。また、エンドエフェクタに、実際の搬送動作に近い動作を行わせることで得られるデータを基にして修正パラメータの生成を実行することができるため、より一層搬送位置精度を向上することも可能となる。
【0016】
なお、本明細書において「搬送する」とは、被搬送物を所定位置まで運び、その所定位置に移載するまでの動作をいうものとする。
【0017】
また、いかなる相対変位に対応する補正指令に対しても各々適切な修正パラメータを与えることを可能とするためには、前記修正パラメータが、前記ずらし量と前記補正後相対変位との関係により得られる関数を基に生成されるよう構成することが好ましい。
【0018】
各ずらし量とこれに対応する補正後相対変位との関係から、より精度よく修正パラメータを生成するには、前記制御手段は、前記ずらし量を順次変更して前記第1〜第3のステップを繰り返し実行し、前記第4のステップにおいて各ずらし量とこれに対応する補正後相対変位との値に基づいて前記修正パラメータを生成するように構成することが効果的である。
【0019】
さらに精度よく修正パラメータを生成するには、前記制御手段は、前記第1〜第4のステップを組み合わせて実行する修正パラメータの生成を、前記補正後相対変位が所定の値以下になるまで繰り返すことように構成することが好ましい。
【0020】
被搬送物が略正円状で半径が既知である場合を前提として、簡便な装置構成で前記被搬送物と前記エンドエフェクタ上に設けられた基準位置との相対変位を判定可能とするためには、前記検知部が当該位置における被搬送物を検知して検知信号を出力する光電センサであり、前記相対変位算出部が前記光電センサによる検知信号とこの検知信号が得られる際のエンドエフェクタの位置とに基づいて、前記被搬送物と前記エンドエフェクタ上に設けられた基準位置との相対変位を算出するように構成することが効果的である。
【0021】
なお、ここでいう略正円状とは、完全な正円状のものを含むとともに、ほぼ全体が正円状をなし一部に切欠きや直線部等の非正円状の部分を形成されたものをも含むものである。ただし、非正円状の部分はセンサが検知する場所から離れていることが好ましい。
【0022】
また、被搬送物が熱膨張して半径が大きくなる場合にも、前記被搬送物と前記エンドエフェクタ上に設けられた基準位置との相対変位を適切に算出可能にするには、前記光電センサが被搬送物の搬送経路を幅方向に横切るように複数個取り付けられており、前記相対変位算出部が少なくとも2つの光電センサからの検知信号を用いて前記相対変位を算出するように構成することが好適である。
【発明の効果】
【0023】
以上説明した本発明によれば、特別な装置を別途設ける必要が無いことから設備費用の増大を抑えることができるとともに、搬送動作に必要な装置だけで簡単かつ高精度に修正パラメータの生成を行うことができ、この修正パラメータによって補正指令を修正することで位置精度良く被搬送物の搬送を行うことのできる搬送装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る搬送装置のブロック図を示す図。
図2】通常モードにおいてウェーハを搬送する際の手順を示すフローチャート。
図3】本発明の実施形態に係る搬送装置が組み込まれた半導体ウェーハ処理装置を模式的に示す平面図。
図4】修正パラメータを生成するときの手順を示すフローチャート。
図5】光電センサが半導体ウェーハを検知することで中心位置を導出する際の幾何学的関係を示す図。
図6】半導体ウェーハに対するエンドエフェクタのずらし量を定めるテーブルを示す図。
図7】R軸方向のずらし量およびウェーハに対するエンドエフェクタ上に設けられた基準位置の相対変位から求まる近似直線の例を示す図。
図8】T軸方向のずらし量およびウェーハに対するエンドエフェクタ上に設けられた基準位置の相対変位から求まる近似直線の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る搬送装置を、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
本実施形態の搬送装置は、図3に示すように、半導体ウェーハ処理装置Mの中心に配置され、その周囲に配置されたロードロック室5、プロセスユニット6間で半導体ウェーハW(以下ウェーハWと称す)を略正円状の被搬送物として搬送するものとして構成されるものである。
【0027】
なお、略正円状とは、完全な正円状のものを含むとともに、ほぼ全体が正円状をなし一部に切欠きや直線部等の非正円状の部分を形成されたものをも含むものである。すなわち、一般の半導体ウェーハと同様、切欠き状のノッチや直線状のオリフラを外周の一部に形成しても差し支えなく、非正円状の部分がセンサが検知する場所から離れていればよい。
【0028】
そして、この搬送装置1は、図1及び図3に示すように、2組のアーム機構2,2を持つ水平多関節ロボットとして構成されており、このアーム機構2,2を動作させるための制御手段3を備えている。
【0029】
2組のアーム機構2,2は同一の構成をしているため、以下においては一方のアーム機構2を例に採ってその具体的な構成について説明する。
【0030】
アーム機構2は、図1に示すように、先端部21aでウェーハWを載置する板状のエンドエフェクタ21と、先端部22aにおいてエンドエフェクタ21の基端部21bに接続され、これを水平面内で回動可能に支持する第1アーム22と、先端部23aにおいて第1アーム22の基端部22bに接続され、これを水平面内で回動可能に支持した第2アーム23と、第2アーム23の基端部23bを水平面内で回動可能に支持する基台20とを有する。
【0031】
エンドエフェクタ21と第1アーム22、第1アーム22と第2アーム23、第2アーム23と基台20との間に構成される関節部24,25,26にはモータ(図示せず)がそれぞれ組み込まれており、これらのモータを上述した制御手段3によって個々に制御することで、エンドエフェクタ21、第1アーム22、第2アーム23及び基台20の間の角度を変更可能に構成されている。こうすることで、制御手段3によってエンドエフェクタ21を所望の位置に移動させて、ウェーハWを搬送することが可能となっている。
【0032】
また、基台20の内部にはアーム機構2を昇降させるための昇降機構(図示せず)が、組み込まれており、上記エンドエフェクタ21、第1アーム22及び第2アーム23の回動によるエンドエフェクタ21の移動と、昇降機構によるエンドエフェクタ21の昇降によって、エンドエフェクタ21によるウェーハWの受け取りや、エンドエフェクタ21より目標位置へのウェーハWの移載を行うことが可能となっている。
【0033】
制御手段3は、ウェーハWに対するエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oの相対変位を算出する相対変位算出部31と、相対変位算出部31により得られた相対変位を基にウェーハWを目標位置に向かって搬送する際のエンドエフェクタ21の位置を補正するための補正指令を生成する補正指令生成部32と、補正指令による補正動作後の位置ずれが小さくなるよう補正指令を修正するための修正パラメータを記憶するパラメータ記憶部33とを有しており、モータに制御信号を出力することでエンドエフェクタ21及び各アーム22,23を動作させる。なお、修正パラメータの生成は、通常の搬送を行う通常モードから修正パラメータを生成するパラメータ生成モードに切り替わったときに行われる。
【0034】
また、図3に示すように搬送先のロードロック室5及びプロセスユニット6の入り口には、それぞれウェーハWを検知する検知部としての光電センサが、より具体的には2つのレーザセンサ4,4が備えられており、各レーザセンサ4,4はエンドエフェクタ21に載置されたウェーハWがロードロック室5又はプロセスユニット6に進入する際にウェーハWを検知し、ウェーハWがその場所に存在するときにはON信号、ウェーハWが存在しないときはOFF信号を検知信号として相対変位算出部31へ出力する。そして、相対変位算出部31は、入力された検知信号を基にウェーハWの中心位置Xに対するエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oの相対変位を算出する。
【0035】
ここで、相対変位算出部31が2つのレーザセンサ4,4の出力信号を基にウェーハWの中心位置Xに対するエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oの相対変位を導出する方法を、図5を用いて説明する。
【0036】
図5(a)〜(d)の矢印に示すように、エンドエフェクタ21及びエンドエフェクタ21上のウェーハWは、アーム機構2(図3参照)の伸長によって、2つのレーザセンサ4L、4Rを横切り、2つのレーザセンサ4L、4Rを結ぶ直線と交わる方向に直進動作を行う。なお、この時の直進方向をR軸方向、水平面内でR軸方向と垂直な方向をT軸方向とする。また、エンドエフェクタ21の座標は、エンドエフェクタ21及び各アーム22,23を回動させるモータのエンコーダ(図示せず)から導出可能である。
【0037】
まず、ウェーハWがレーザセンサ4に検知されない状態で直進動作を開始すると、ウェーハWとエンドエフェクタ21とのT軸方向の相対変位が存在する場合、図5(a)のように、片方のレーザセンサ4LがまずウェーハWを検知し、相対変位算出部31にON信号を出力する。そしてそのまま直進動作を続けて図5(b)のように他方のレーザセンサ4RがウェーハWを検知すると、このレーザセンサ4RよりON信号の出力が開始される。その後、図5(c)のようにレーザセンサ4Rが先にウェーハWの検知を終えると、レーザセンサ4RはOFF信号を出力し、最後に図5(d)のように、いずれのレーザセンサ4L,4RでもウェーハWを検出することのない位置に進むことでレーザセンサ4LもOFF信号を出力するようになる。
【0038】
上記の動作の過程において、レーザセンサ4L,4Rからの出力が、OFF信号よりON信号に、さらには、ON信号よりOFF信号に切り替わるタイミングと、これらのタイミングにおいてモータのエンコーダから検出されるエンドエフェクタ21及び各アーム22,23の角度とから、図5(c)及び(d)に示されるレーザセンサ4L,4R上を通過したウェーハWの弦B1,B2の長さL1,L2を求めることができ、これに基づいて弦B1,B2とエンドエフェクタ21との位置関係を求めることができる。そして、2つの弦B1,B2とエンドエフェクタ21との位置関係が定まると、ウェーハWの半径が未知の場合であっても、ウェーハWの中心位置Xを定めることができ、ウェーハWの中心位置Xに対するエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oの相対変位を算出することができる。
【0039】
なお、本実施形態においては、略正円状のウェーハWの半径が未知であるとして2つのレーザセンサ4L、4Rを用いた上記の算出方法を適用したが、ウェーハWの半径が既知であれば、レーザセンサ4は1つあれば相対変位を算出できる。つまり、図5(c)又は(d)における弦B1,B2の何れかをエンドエフェクタ21に対して定めることができれば、同様に、ウェーハWの中心位置Xに対するエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oの相対変位を算出することができる。
【0040】
次に、上記のように構成した本実施形態の搬送装置1の動作を説明する。
【0041】
まず、通常モードでの動作時にエンドエフェクタ21がウェーハWを取得してから目標位置に載置するまでは、制御手段3は、図2のフローチャートに示すようなステップを順次実行するようになっている。
【0042】
以下、図1を参照しつつ図2を用いて説明を行う。
【0043】
制御手段3は、搬送先であるロードロック室5又はプロセスユニット6(図3参照)のゲートバルブを開いてウェーハWを載置させるポートにアクセス可能となる状態した上で、以下の処理を実行する。
【0044】
まず、制御手段3はステップS1において、エンドエフェクタ21を搬送する被搬送物であるウェーハWよりも下方にした状態として、エンドエフェクタ21の基準位置OがウェーハWの中心位置Xと重合する位置になるようエンドエフェクタ21を移動させる。次にステップS2において、エンドエフェクタ21を上昇させてウェーハWを取得させる。ステップS3において、ウェーハWを載置した状態にあるエンドエフェクタ21をレーザセンサ4に向けて真っ直ぐ通過させるよう、ウェーハWを搬送する目標位置に対応する移動先として設定した設定位置に向けて移動を開始させる。ステップS4において、レーザセンサ4からのウェーハWの検出信号がOFF信号からON信号、ON信号からOFF信号への切り替わるタイミングにおけるエンコーダからの検出値を取得する。ステップS5において、相対変位算出部31において、エンコーダによって得られたON信号出力時のエンドエフェクタ21及び各アーム22,23の関節部24,25,26の角度を基にウェーハWに対するエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oの相対変位(t,r)を算出する。ステップS6において、エンコーダ出力を基に設定位置にエンドエフェクタ21が到達したと判定するまで次のステップには移行せず、到達したと判定することで次のステップS7に移行し、エンドエフェクタ21の搬送動作を一旦停止させる。ステップS8において、補正指令生成部32に相対変位(t,r)を基に位置補正指令を出力させる。ステップS9において、ステップS8で生成した位置補正指令に対し、修正パラメータ記憶部33が記憶する修正パラメータを乗算あるいは加算させることで、位置補正指令を修正する。
【0045】
なお、本実施形態において、修正パラメータとは、補正指令によるR軸方向の位置補正量を修正する「Ra」「Rb」、T軸方向の位置補正量を修正する「Ta」「Tb」の4つのパラメータを表す。これらのうち、Ra,TaはR軸、T軸方向に対する補正指令に対する実際の位置補正量の倍率を修正するパラメータであり、これを調整することでR軸、T軸方向のばらつき全体をそれぞれ圧縮することができる。他方、Rb,TbはR軸、T軸方向に対する補正指令に対する実際の位置補正量の全体に生じたずれを修正するパラメータであり、これを調整することでR軸、T軸方向のばらつき全体をオフセットさせることができる。なお、T軸方向におけるアームの動作量はT軸旋回中心に対する角度[deg]で定義するが、補正動作は微小であるため、Δθ=tan−1Δt/R(tはT軸方向の座標、Rは旋回中心からエンドエフェクタ21の中心までの距離[mm])によって近似される。
【0046】
次に、ステップS10において、修正パラメータによる修正後の位置補正指令を基にエンドエフェクタ21を目標位置に向かって補正動作させる。ステップS11において、エンドエフェクタ21を下降させて、エンドエフェクタ上のウェーハWを目標位置に移載して、搬送動作を終了する。
【0047】
なお、これら一連の動作の中で、ステップS10において実行されるエンドエフェクタ21の位置の補正動作は例えば0.1mm単位の微小動作となる。そのため、機械抵抗やヒステリシス等による機械的な特性が経年で変化して、指令値と実際の移動量との間でずれが生じる場合がある。
【0048】
そこで、本実施形態の搬送装置1における制御手段3は、通常の搬送動作とは異なり、上述した修正パラメータを調整することで新たな修正パラメータを生成する、パラメータ生成モードでの動作を行うことが可能となっている。このパラメータ生成モードへの移行は、図示しない入力部を介して操作者による命令が与えられた場合に行われるようにしているが、プログラムの内部で予め定められたタイミングで自動的に行われるようにしてもよい。
【0049】
パラメータ生成モードにおいて、制御手段3は、図4のフローチャートに示すような手順で、修正パラメータ調整し、新たな修正パラメータを生成する。以下、図1を参照しつつ、図2に基づいて、パラメータ生成モードにおける動作を説明する。
【0050】
制御手段3は、まずステップS101において、位置補正を行う搬送先であるロードロック室5又はプロセスユニット6(図3参照)におけるウェーハWを載置させるポートにウェーハWを準備し、ゲートバルブを開いて当該ポートをアクセス可能状態にする。ステップS102において、エンドエフェクタ21に通常位置(エンドエフェクタ上の基準位置Oと目標位置とがほぼ重合する位置)でウェーハWを受け取らせる。ステップS103において、エンドエフェクタ21をレーザセンサ4に通過させることで、通常搬送時の位置補正動作と同様、レーザセンサ4の出力から相対変位算出部31にウェーハWに対するエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oの相対変位を算出させ、相対変位を取得する。ステップS104において、取得した相対変位を基に補正指令生成部32に位置補正指令を出力させ、修正パラメータ記憶部33に記憶された修正パラメータによって位置補正指令を修正した上で位置補正をしてウェーハWを目標位置に向かって搬送する。この際、ウェーハWは目標位置に対し、その中心位置Xが合致しているとは限らないものの少なくとも目標位置の近くに移載された状態となる。そして、ステップS105において、あらかじめ定められた図7に示すテーブルに基づきずらし量(xt,xr)を設定する。ここで、ずらし量(xt,xr)とは、ウェーハWを受け取る際の通常位置に対してエンドエフェクタ21上の基準位置Oをずらす量を指す。本実施形態において、ずらし量(xt,xr)は、図7に示したテーブルに基づきあらかじめ定められており、具体的には斜線によって示した箇所に対応する(−4,−4),…,(4,4)の32点分のデータが記憶されている。図4に戻って、ステップS106において、ステップS105で設定されたずらし量(xt,xr)分エンドエフェクタ21の位置を前述の通常位置よりも強制的にずらした状態としてウェーハWを受け取らせることで、エンドエフェクタ21に対してウェーハWをオフセットさせる。
【0051】
次に、ステップS107において、ウェーハWがオフセットされた状態でレーザセンサ4に通過させ、通常搬送時の位置補正動作と同様、ウェーハWに対するエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oの相対変位を取得する。そして、ステップS108において、取得した相対変位を基に補正指令生成部32に位置補正指令を出力させ、パラメータ記憶部33に保持された修正パラメータによって位置補正指令を修正した上で位置補正をしてウェーハWを目標位置に向かって搬送する。
【0052】
その後、ステップS109において、エンドエフェクタ21をずらすことなく、前述の通常位置でウェーハWを受け取らせる。ステップS110において、エンドエフェクタ21をレーザセンサ4に通過させることで、レーザセンサ4の出力から相対変位算出部31にウェーハWに対するエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oの相対変位を算出させ、補正後相対変位(yt,yr)を取得する。
【0053】
また、ステップS111において、取得した相対変位を基に補正指令生成部32に位置補正指令を出力させ、パラメータ記憶部33に保持された修正パラメータによって位置補正指令を修正した上で位置補正をしてウェーハWを目標位置に向かって搬送する。
【0054】
ステップS112において、前述したテーブルに設定された全てのずらし量(xt,xr)について、相対変位(補正後相対変位(yt,yr))が取得されたか否かを判定し、未だ全てのデータが得られていないと判定した場合(判定noの場合)には、ステップS105に戻り、予めテーブルに定められた全てのずらし量(xt,xr)に対する補正後相対変位(yt,yr)を取得するまでステップS105〜S112を繰り返す。ステップS112において、全てのずらし量(xt,xr)に対する補正後相対変位(yt,yr)が得られたと判定した場合(判定yesの場合)には、次のステップS113に移行する。
【0055】
ステップS113において、テーブルに設定された各ずらし量(xt,xr)とステップS110で求めた補正後相対変位(yt,yr)との関係を表す近似式を作成する。近似式は、図8図9に示すように、R軸、T軸それぞれのずらし量と補正後相対変位の組(xt,yt),(xr,yr)をプロットし、R軸、T軸それぞれにおいて最小二乗法によって一次方程式に近似することで導出する。なお、近似式を導出することができれば、最小二乗法以外の手法を採用しても差し支えない。
【0056】
そして、ステップS114において、ステップS112で作成された近似式に基づいて新たに修正パラメータを生成する。具体的には、図8のR軸方向におけるグラフから導出された近似式y=ax+bより得られる各係数a,bを基に、「−b」を修正パラメータRbに加え、「−a」を修正パラメータRaに加える。同様に、図9のT軸方向におけるグラフから導出された近似式y=ax+bに対して、「tan−1(−b/R)」をTbに加え、「tan−1(−ax/R)」をTaに加える。この際、近似式によって得られた係数a,bに基づいて、それまで使用していた以前の修正パラメータに乗算や加算による上乗せの修正を行うようにしているが、それまでの修正パラメータに依存すること無く全く新しい修正パラメータを生成するように構成することも可能である。ステップS115において、上記のように得られた修正パラメータを修正パラメータ記憶部33に記憶格納する。
【0057】
制御手段3は上記のステップを順次実行することで新たな修正パラメータを得ることができる。こうすることで、最新の修正パラメータを得て、より精度の高い位置補正を行い、ウェーハWを位置精度良く搬送することが可能となる。
【0058】
上記のステップを再度整理してより特徴的な部分のみを抜き出した場合、このパラメータ生成モードでは、制御手段3が、目標位置に置かれたウェーハWを、エンドエフェクタ21を予め設定したずらし量(xt,xr)分ずらした状態でエンドエフェクタ21に受け取らせる第1のステップSS1と、ウェーハWをレーザセンサ4に検知させ、相対変位算出部31にウェーハWに対するエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oの相対変位を算出させて、これを基に補正指令に基づいてエンドエフェクタ21の位置補正を行いウェーハWを目標位置に向かって搬送する第2のステップSS2と、エンドエフェクタ21上の基準位置Oを目標位置に重合させて、エンドエフェクタ21にウェーハWを受け取らせ、ウェーハWをレーザセンサ4に検知させ、相対変位算出部31にウェーハWに対するエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oの相対変位を補正後相対変位(yt,yr)として算出させる第3のステップSS3と、補正後相対変位(yt,yr)が小さくなるように補正指令を修正するための修正パラメータを生成する第4のステップSS4と、からなる修正パラメータの生成動作を実行させるものと考えることができる。
【0059】
ここでいう第1のステップSS1とは上述したステップS105,S106が、第2のステップSS2とは上述のステップS107,S108が、第3のステップSS3とは上述のステップS109,S110が、第4のステップSS4とは上述のステップS113,S114がそれぞれ該当することになる。
【0060】
ずらし量を変更して補正後相対変位を得、複数のデータより近似式を算出することで修正パラメータを得る場合には、上記第1〜第3のステップSS1〜SS3を繰り返して実行した後に、第4のステップSS4を実行することになる。
【0061】
また、パラメータ生成モードにおける修正パラメータの調整が一度では不十分な場合には、上述の処理を複数回繰り返して実行することも可能であり、これをプログラムによって自動的に実行させることも可能である。具体的には、得られた修正パラメータを用いて、全ての補正後相対変位(yt,yr)が予め定められた範囲内に収まるまで図4に示すステップを繰り返し実行させ、適切な修正パラメータを得るようにすればよい。このように構成した場合には、第1〜第4のステップSS1〜SS4までを含めた全体を、繰り返して実行することになる。
【0062】
以上のように、本実施形態の搬送装置1は、被搬送物であるウェーハWを載置するエンドエフェクタ21と、当該エンドエフェクタ21の動作を制御してウェーハWを目標位置に向かって搬送する制御手段3と、エンドエフェクタ21の搬送経路上に備えられ、エンドエフェクタ21に載置されたウェーハWを検知する検知部である光電センサとしてのレーザセンサ4と、を具備し、制御手段3が、レーザセンサ4の出力を基にウェーハWとエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oとの相対変位を算出する相対変位算出部31と、相対変位算出部31により得られた相対変位を基にウェーハWを目標位置に向かって搬送する際のエンドエフェクタ21の位置を補正するための補正指令を生成する補正指令生成部32と、を備える搬送装置1において、制御手段3が、目標位置に置かれたウェーハWを、エンドエフェクタ21を予め設定したずらし量(xt,xr)分ずらした状態でエンドエフェクタ21に受け取らせる第1のステップSS1と、ウェーハWをレーザセンサ4に検知させ、相対変位算出部31にウェーハWとエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oとの相対変位を算出させて、これを基に補正指令に基づいてエンドエフェクタ21の位置補正を行いウェーハWを目標位置に向かって搬送する第2のステップSS2と、エンドエフェクタ21上の基準位置Oを目標位置に重合させて、エンドエフェクタ21にウェーハWを受け取らせ、ウェーハWをレーザセンサ4に検知させ、相対変位算出部31にウェーハWとエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oとの相対変位を補正後相対変位(yt,yr)として算出させる第3のステップSS3と、補正後相対変位(yt,yr)が小さくなるように補正指令を修正するための修正パラメータを生成する第4のステップSS4と、からなる修正パラメータの生成動作を実行して、生成した修正パラメータを基に補正指令生成部32により得られる補正指令を修正し、ウェーハWを目標位置に向かって搬送するように構成したものである。
【0063】
このように構成しているため、レーザセンサ4からの信号を基に、相対変位算出部31がウェーハWとエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oとの相対変位を算出することができ、補正指令生成部32が、上記相対変位に基づき補正指令を生成し、この補正指令を制御手段3に与えることで、ウェーハWを搬送する際の目標位置からのずれを補正することが可能である。
【0064】
さらに、修正パラメータを基に補正指令を修正することによって、補正指令により補正しようとした量と実際の動作量とのずれを補完することができ、ウェーハWを搬送する際の位置精度を一層向上することが可能である。また、補正指令を得るために用いるレーザセンサ4及び相対変位算出部31を補正指令の修正のためにも用いるようにしていることから、ウェーハWのずれ量を計測する画像処理装置等を別途設ける必要が無く、搬送動作に必要な装置だけで位置補正精度を向上させることが可能である。また、エンドエフェクタ21に、実際の搬送動作に近い動作を行わせることで得られるデータを基にして補正指令の修正に係る処理を実行することができるため、より搬送位置精度を向上することも可能である。
【0065】
また、修正パラメータが、ずらし量(xt,xr)と補正後相対変位(yt,yr)との関係により得られる関数を基に生成されるよう構成されているため、いかなる補正指令に対しても修正パラメータを与えることが可能である。
【0066】
さらに、制御手段3が、ずらし量を順次変更して第1〜第3のステップSS1〜SS3を繰り返し実行し、第4のステップSS4において各ずらし量(xt,xr)とこれに対応する補正後相対変位(yt,yr)との値に基づいて前記修正パラメータを生成するよう構成されているため、各ずらし量(xt,xr)とこれに対応する補正後相対変位との関係から、より精度よく修正パラメータを生成することが可能である。
【0067】
加えて、制御手段3が、第1〜第4のステップSS1〜SS4を組み合わせて実行する修正パラメータの生成を、補正後相対変位(yt,yr)が所定の値以下になるまで繰り返すように構成しているため、さらに精度よく修正パラメータを生成することが可能である。
【0068】
また、被搬送物であるウェーハWが略正円状であり、レーザセンサ4が当該位置におけるウェーハWを検知して検知信号を出力するものであり、相対変位算出部31がレーザセンサ4による検知信号とこの検知信号が得られる際のエンドエフェクタ21の位置とに基づいて、ウェーハWとエンドエフェクタ21上に設けられた基準位置Oとの相対変位を算出するように構成しているため、レーザセンサ4から検知信号を基にして、容易にウェーハWとエンドエフェクタ21との相対変位を判定することが可能である。
【0069】
そして、レーザセンサ4がウェーハWの搬送経路を幅方向に横切るように複数個取り付けられており、相対変位算出部31が少なくとも2つのレーザセンサ4L,4Rからの検知信号を用いて相対変位を算出するように構成しているため、ウェーハWが膨張して半径が変化する場合にも、ウェーハWの相対変位を適切に算出することが可能である。
【0070】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0071】
例えば、上述の実施形態では、ずらし量(xt,xr)や、これに対応する補正後相対変位(yt,yr)を、ウェーハWを受け取る際の通常位置又はウェーハWの中心位置Xを基準とした際のエンドエフェクタ21の基準位置Oの相対位置として設定していたが、これらの関係を逆に、すなわちエンドエフェクタの基準位置Oを基準とした際の相対位置として設定することも可能である。
【0072】
また、テーブルに設定された複数のずらし量(xt,xr)と、これに対応する補正後相対変位(yt,yr)との関係より近似式を得て、これに基づいて修正パラメータの生成を行うようにしていたが、代表的なずらし量(xt,xr)を1点分のみ抽出し、これに対応する補正後相対変位(yt,yr)のみを得て、修正パラメータの生成を行うようにすることも可能である、こうすることで、修正の精度はやや落ちるものの、パラメータ生成モードでの動作時間を大幅に短縮することが可能である。
【0073】
そして、上述の実施形態では、ずらし量(xt,xr)とこれに対応する補正後相対変位(yt,yr)との関係を示す近似式を求め、この近似式に基づいて修正パラメータの調整を行うようにしていたが、ウェーハWを位置補正して載置する直前にレーザセンサ4による検出値に基づいて算出される相対変位と補正後相対変位(yt,yr)との関係を示す近似式を求め、その近似式に基づいて修正パラメータの調整を行うようにしてもよい。
【0074】
さらに、上述の実施形態では、通常動作によりウェーハWの搬送を行う際に、エンドエフェクタ21を設定位置において一旦停止させた後に、相対変位に基づく補正指令を与えることでエンドエフェクタ21に位置補正動作を行わせるようにしていたが、これらの動作を連続して行うように構成することも可能である。
【0075】
また、上述の実施形態では検知部である光電センサとしてレーザを光源とするレーザセンサ4を用いているが、赤外線等のレーザ以外の光源を用いる光電センサを利用することも可能である。さらには、特定の位置におけるウェーハWの存在を検知できるのであれば、光電センサ以外にも、磁気センサや超音波センサなど一般に利用される他の方式のセンサであっても検知部として利用することが可能である。
【0076】
また、上述の実施形態の搬送装置1はエンドエフェクタ21及びアーム22,23よりなる回動要素を組み合わせた水平多関節ロボットとして構成していたが、エンドエフェクタ21を直線状に移動させることができるものであれば、この形式のものに限らない。例えば、R軸方向、T軸方向に動作する直動機構を組み合わせた搬送装置や、回動するアームと直動機構とを組み合わせた搬送装置として構成した場合であっても上記と同様の効果を得ることが可能である。さらに、要素を組み合わせる個数も、上述したものに限らず、水平多関節ロボットとして構成する場合でも、関節部24,25,26を更に増やして、より複雑な動作をさせるものにも適用できる。
【0077】
さらに、上述の実施形態では、アーム機構2の昇降動作によってウェーハWをエンドエフェクタ21に受け取らせるように構成していたが、アーム機構2に昇降動作を行わせることに代えて、ウェーハWを搬送するプロセスユニットやロードロック側に昇降機構を設け、この昇降機構を用いてエンドエフェクタ21との間でウェーハの授受を行わせるようにしても良い。
【0078】
また、上述の実施形態では、被搬送物としてウェーハWを搬送する搬送装置1として構成した例を示したが、被搬送物はウェーハWのみに限らず、種々様々なものを対象として搬送させることができ、特に精密な位置決めを要する被搬送物を搬送させる用途で好適に用いることができる。
【0079】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…搬送装置
3…制御手段
4,4L,4R…レーザセンサ(光電センサ、検知部)
21…エンドエフェクタ
31…相対変位算出部
32…補正指令生成部
O…基準位置
W…半導体ウェーハ(被搬送物)
SS1…第1のステップ
SS2…第2のステップ
SS3…第3のステップ
SS4…第4のステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8