特許第6187124号(P6187124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6187124銅膜形成用組成物、銅膜形成方法、銅膜、配線基板および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187124
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】銅膜形成用組成物、銅膜形成方法、銅膜、配線基板および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/20 20060101AFI20170821BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20170821BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20170821BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20170821BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20170821BHJP
   H01L 21/288 20060101ALI20170821BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20170821BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20170821BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20170821BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H01B1/20 A
   H01L21/88 M
   H01L21/28 301R
   H01L21/288 Z
   H01B13/00 503D
   H01B5/14 Z
   H05K1/09 A
   H05K1/09 D
   G06F3/041 420
   G06F3/041 400
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-214204(P2013-214204)
(22)【出願日】2013年10月11日
(65)【公開番号】特開2014-143172(P2014-143172A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2016年7月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-284028(P2012-284028)
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(74)【代理人】
【識別番号】100120569
【弁理士】
【氏名又は名称】大阿久 敦子
(72)【発明者】
【氏名】有留 功
(72)【発明者】
【氏名】桑田 博昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 健朗
(72)【発明者】
【氏名】大喜多 健三
【審査官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−053993(JP,A)
【文献】 特開2009−168937(JP,A)
【文献】 特開2014−044907(JP,A)
【文献】 特開2005−307335(JP,A)
【文献】 特開2010−121206(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/046666(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/00〜1/24、5/14
C09D 5/24、11/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅膜の形成に用いる銅膜形成用組成物であって、
(A)水酸化銅および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種の銅化合物、
(B)ハロゲン化合物、並びに
(C)還元剤、
を含み、
該(B)成分のハロゲン化合物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、金および白金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属のハロゲン化物と、ハロゲン化水素と、ハロゲン化アンモニウム類と、アミン類のハロゲン化水素酸塩とからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする銅膜形成用組成物。
【請求項2】
(C)成分の還元剤は、アミン、還元性カルボン酸およびその塩およびそのエステル、多価アルコール並びにアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の銅膜形成用組成物。
【請求項3】
(B)成分のハロゲン化合物の含有量は、全成分の0.00001質量%〜20質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の銅膜形成用組成物。
【請求項4】
(1)請求項1に記載の銅膜形成用組成物の塗膜を基板上に形成する工程と、
(2)前記塗膜を加熱する工程と
を有することを特徴とする銅膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅膜形成用組成物、銅膜形成方法、銅膜、配線基板および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板は、プリント配線基板等とも称され、電子機器の分野において、電子部品を固定して配線するための主要な部品となっている。この配線基板は、パターニングされた金属膜が基板上に形成され、配線、電極および端子等を構成している。電子機器の分野において、プリント配線基板と同様に、パターニングされた金属膜を基板上に形成して有し、それらを配線等として用いるものとしては、タッチパネルや液晶表示素子や有機EL素子等がある。
【0003】
配線基板を製造するにあたり、基板上に金属膜である配線等のパターンを形成する方法としては、例えば、フォトリソグラフィ技術を利用する方法が知られている。この方法では、まず均質なベタ状の金属膜を基板上に形成する。金属膜の形成方法としては、メッキ法が好適に用いられる。また、蒸着法やスパッタ法等の利用も可能である。そして、形成された金属膜の上にレジスト液を塗布してレジスト層を形成する。次に、このレジスト層を、フォトマスクを用いて紫外線照射し、その後、現像することによりレジスト層のパターニングを行う。次いで、レジスト層で被覆されていない金属膜をエッチングして除去し、さらに残存するレジスト部分を剥離することでパターニングされた金属膜を得る。フォトリソグラフィ技術を利用する方法は、形成される配線パターンの線幅をサブミクロンオーダーにすることも可能とされ、有効な金属膜のパターンの形成方法となる。
【0004】
こうしたフォトリソグラフィ技術を利用する方法においては、上述したようにパターニングされる金属膜の形成に、メッキ法が好適に用いられるが、メッキ法においては、通常、スパッタ法によるシード層の形成とメッキ処理が必要となる。スパッタ法は、真空中で行う必要があるので、装置や操作上の制約が大きい。また、処理に長時間を要して製造効率が低い。そして、メッキ処理は、メッキ液の廃液処理が環境上大きな問題となる。
同様に、金属膜の形成に蒸着法やスパッタ法等を用いる場合においても、真空中で金属膜の形成を行う必要があるので、装置や操作上の制約が大きく、処理に長時間を要して効率良く金属膜を形成することができない。
【0005】
そこで、装置等および環境上の制約が少なく、簡便に低抵抗の金属膜を形成できる金属膜の形成技術が求められている。そして、その金属膜の形成技術は、基板上に一様なベタ状の金属膜を形成することが可能な技術であるとともに、パターニングされた金属膜を直に形成することも可能な技術であることが好ましい。
【0006】
近年、有機溶剤等に金属微粒子を分散させて得られた分散体を用い、パターニングされた金属膜を直接描画する技術が注目されている。例えば、金属微粒子の分散体を用い、インクジェット印刷法や、スクリーン印刷法により所望のパターンを形成する。金属微粒子の平均粒子径が数nmから数10nm程度である場合、バルクの金属よりも融点が降下し、300℃程度の比較的低温の加熱で粒子同士の融着が起こる。上述の技術はこうした現象を利用し、金属微粒子を比較的低温で焼結させてパターニングされた金属膜を得る技術である。
【0007】
このような金属膜を形成するための分散組成物としては、金属微粒子に貴金属微粒子である銀ナノ粒子等を含有するものが知られている。
【0008】
また、金属微粒子に代えて、金属の原料に金属塩等を用いる方法が、新たな金属膜の形成技術として注目されている。例えば、入手の容易な銅塩と還元剤とを組み合わせて組成物を調製し、この組成物を用いて銅膜を形成する方法が知られている。
【0009】
具体的には、特許文献1および特許文献2で開示される技術において、原料となるギ酸銅とアミンとを組み合わせ、微粒径銅粒子の製造を実現する。そして、製造された微粒径銅粒子を分散してインクを調製する。次いで、その微粒径銅粒子を含むインクを塗布し、塗膜をアルゴン雰囲気下、300℃で加熱し、ライン状の銅配線を形成している。
【0010】
また、特許文献3では、銅膜形成を、銅塩とアミンを組み合わせた組成物により実現している。特許文献4では、銅膜形成を、ギ酸銅とアミンを組み合わせた組成物により実現している。特許文献5では、ギ酸銅とアルカノールアミンを組み合わせた組成物により実現している。
【0011】
そして、特許文献6および特許文献7では、銅膜形成を、貴金属微粒子、銅塩、還元剤、およびモノアミンを含有する組成物により実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−13466号公報
【特許文献2】特開2008−31104号公報
【特許文献3】特開2004−162110号公報
【特許文献4】特開2005−2471号公報
【特許文献5】特開2010−242118号公報
【特許文献6】特開2011−34749号公報
【特許文献7】特開2011−34750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上のように、例えば、配線基板の提供に好適となるように、低抵抗の金属膜を簡便に提供できる金属膜の形成技術が求められている。そして、その金属膜の形成技術は、基板上の一面に一様な金属膜を形成することができる技術であるとともに、所望の形状にパターニングされた金属膜を直接に形成することも可能な技術であることが好ましい。そのため、上述したように、金属微粒子や金属塩を含有する組成物等について、検討が盛んに行われている。しかしながら、それぞれの技術が解決すべき課題を有している。
【0014】
具体的には、金属微粒子を含む組成物を用いて金属膜を形成する技術の場合、簡便な低温での焼結によって金属微粒子を完全に融合させることは困難であった。そのため、焼結後に得られる金属膜において、バルク金属と比較した場合の電気抵抗特性、すなわち、低抵抗化を実現できないという問題があった。
【0015】
加えて、上述した銀ナノ粒子等を含有する分散組成物を用いる技術の場合、銀がエレクトロマイグレーション(electromigration)を起こしやすいという問題を有する。また、銀は貴金属であり、入手の容易な銅等に比べて高価な材料となる。そのため、銀ナノ粒子自体が高価であって金属膜の形成工程の高コスト化を招くといった問題がある。尚、エレクトロマイグレーションとは、電界の影響で、金属成分(例えば、配線や電極に使用した銀等の金属。)が非金属媒体(例えば、絶縁物、特に基板等。)の上や中を横切って移動する現象である。
【0016】
そこで、金属微粒子に代えて、上述したように、原料として金属塩等を用いて金属膜を形成する技術が注目されている。特に、入手の容易でエレクトロマイグレーションの懸念の少ない銅塩等の銅化合物を原料に用いる技術が期待されている。しかしながら、こうした入手容易な銅塩を原料に用いる方法も、簡便な低温での加熱によって低抵抗の銅膜を形成することは容易ではなかった。
【0017】
例えば、上述した特許文献1および特許文献2には、ギ酸銅とアミンとを用いた銅配線の形成が記載されているが、形成された銅配線がどの程度の低抵抗化を実現しているか記載されていない。
【0018】
また、上述した特許文献3では、銅塩とアミンを組み合わせた組成物による銅膜の形成が記載される一方で、形成される銅膜が低抵抗を示すことを記載していない。同様に、特許文献4では、ギ酸銅とアミンを組み合わせた組成物による銅膜の形成を記載しているが、形成される銅膜が低抵抗を示すことを記載していない。
【0019】
また、特許文献6および特許文献7では、貴金属微粒子と銅塩とを組み合わせ、さらに還元剤およびモノアミンを含有する組成物により銅膜の形成を実現するが、高価な貴金属微粒子または貴金属化合物を必須の成分としており、原料コストの上昇を招いて、高い生産性で簡便に銅膜を形成することはできない。
【0020】
さらに、上述した金属微粒子を用いた分散組成物の技術や、金属塩を用いた組成物の技術においては、それらの塗膜を形成した後に、例えば、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガスまたはヘリウムガス等を利用した非酸化性雰囲気下での加熱が必要となる場合が多かった。そのため、簡便に高い生産性で銅膜等の金属膜を形成することができない場合が多かった。
【0021】
例えば、上述した特許文献7では、有機酸銅とアミンとを組み合わせた組成物について、実施例では銅膜形成時に非酸化性雰囲気下での加熱が必要とされており、大気下等で行う加熱のような簡便な方法によって銅膜を形成することはできない。
【0022】
以上のように、例えば、配線基板の提供に好適となるように、金属膜の形成技術は、簡便さと、形成される金属膜の低抵抗化が求められているが、従来の技術では、それらを両立して満足するのは困難であった。
【0023】
そのため、非酸化性雰囲気下を不要とし、比較的低温の加熱により、簡便に、低抵抗の金属膜を形成することができる金属膜形成方法が求められている。すなわち、入手の容易な銅塩等の銅化合物の原料を用いることが可能で、加熱時における非酸化性雰囲気下を不要として、簡便に低温で低抵抗の銅膜を形成することができる銅膜形成方法が求められている。
【0024】
そして、その銅膜形成方法に好適となる銅膜形成用組成物が求められている。
【0025】
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、簡便に低抵抗の銅膜を形成することができる銅膜形成用組成物を提供することにある。
【0026】
また、本発明の目的は、上述の銅膜形成用組成物を用い、簡便に低抵抗の銅膜を形成することができる銅膜形成方法を提供することにある。
【0027】
さらに、本発明の目的は、上述の銅膜形成方法を用いて低抵抗の銅膜を提供するとともに、その銅膜を有する配線基板を提供することにある。
【0028】
そして、本発明の目的は、上述の銅膜形成方法を用いて形成された低抵抗の銅膜を有するタッチパネルを備えた電子機器を提供することにある。
【0029】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の第1の態様は、銅膜の形成に用いる銅膜形成用組成物であって、
(A)水酸化銅および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種の銅化合物、
(B)ハロゲン化合物、並びに
(C)還元剤
を含むことを特徴とする銅膜形成用組成物に関する。
【0031】
本発明の第1の態様において、(B)成分のハロゲン化合物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、金および白金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属のハロゲン化物と、ハロゲン化水素と、ハロゲン化アンモニウム類と、アミン類のハロゲン化水素酸塩とからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0032】
本発明の第1の態様において、(C)成分の還元剤は、アミン、還元性カルボン酸およびその塩およびそのエステル、多価アルコール並びにアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0033】
本発明の第1の態様において、(B)成分のハロゲン化合物の含有量は、全成分の0.00001質量%〜20質量%であることが好ましい。
【0034】
本発明の第2の態様は、
(1)本発明の第1の態様の銅膜形成用組成物の塗膜を基板上に形成する工程と、
(2)その塗膜を加熱する工程と
を有することを特徴とする銅膜形成方法に関する。
【0035】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様の銅膜形成方法により形成されることを特徴とする銅膜に関する。
【0036】
本発明の第3の態様において、ハロゲン原子を含有することが好ましい。
【0037】
本発明の第3の態様において、膜中の銅原子を100とした時のハロゲン原子の含有比率が0.001〜10であることが好ましい。
【0038】
本発明の第4の態様は、本発明の第3の態様の銅膜を有することを特徴とする配線基板に関する。
【0039】
本発明の第5の態様は、本発明の第3の態様の銅膜を有するタッチパネルを備えることを特徴とする電子機器に関する。
【発明の効果】
【0040】
本発明の第1の態様によれば、簡便に低抵抗の銅膜を形成することができる銅膜形成用組成物が提供される。
【0041】
本発明の第2の態様によれば、簡便に低抵抗の銅膜を形成することができる銅膜形成方法が提供される。
【0042】
本発明の第3の態様によれば、簡便に形成されて低抵抗の銅膜が提供される。
【0043】
本発明の第4の態様によれば、簡便に形成されて低抵抗の銅膜を有する配線基板が提供される。
【0044】
本発明の第5の態様によれば、簡便に形成されて低抵抗の銅膜を有するタッチパネルを備えた電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の実施形態のタッチパネルを示す平面図である。
図2図1のB−B’線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明では、銅膜の原料として、入手の容易な銅化合物である水酸化銅および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種を用い、ハロゲン化合物、および、銅膜形成のための還元を起こさせる還元剤とともに銅膜形成用組成物を調製する。そして、その銅膜形成用組成物を、例えば、基板上に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を加熱して銅膜を形成する。
【0047】
このとき、本発明の銅膜形成用組成物は、基板上に一様なベタ状の金属膜を形成することが可能であるとともに、適当な塗布法と組み合わせることにより、配線や電極や端子等となる、パターニングされた銅膜を直に基板上へ形成することも可能である。したがって、本発明において、「銅膜」とは、銅からなるベタ状の膜とともに、パターニングされた銅膜を含む概念である。すなわち、銅配線や銅電極等のパターンについても本発明の「銅膜」の中に含まれる。同様に、「膜」についても、パターンを含む概念として使用されることがある。
【0048】
そして、本発明において、「配線基板」は、上述した、所謂プリント配線基板として知られた配線基板のみに限られるわけではない。本発明において、「配線基板」には、パターニングされた金属膜が基板上に形成されて、配線、電極および端子等を構成している基板が全て含まれる。例えば、本発明において、「配線基板」には、上述したプリント配線基板のほかに、タッチパネル、液晶表示素子および有機EL素子等を構成するための基板であって、パターニングされた金属膜が基板上に形成されて、配線、電極および端子等を構成している基板が含まれる。
また、本発明においては、配線基板の有する配線、電極および端子等と称される導電性の電気的導通部材を、便宜上、配線と総称する。
【0049】
以下で、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物について、より詳しく説明する。そして、その後、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物の調製と、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物を用いた本発明の実施形態の銅膜形成方法について説明する。
【0050】
<銅膜形成用組成物>
本発明の実施形態の銅膜形成用組成物は、銅化合物として水酸化銅および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、さらにハロゲン化合物と、銅膜形成のための還元を起こさせる還元剤とを含む組成物であり、還元反応型の組成物である。また、本実施形態の銅膜形成用組成物は、さらに溶剤を含有することができる。また、本実施形態の銅膜形成用組成物は、さらに、金属微粒子のほか、その他任意成分を含有することができる。そして、本実施形態の銅膜形成用組成物は、公知の多様な塗布法によるパターニングされた塗膜の形成が可能であり、またその塗膜は、加熱されて銅膜を形成することができる。
【0051】
このとき、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物は、上述した、水酸化銅および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ハロゲン化合物と、還元剤とを含む組成を有することにより、適当な基板上に塗布されて塗膜を形成した後、簡便な、大気下(以下、酸化性雰囲気下とも言う。)での加熱により、基板上に本発明の実施形態の銅膜を容易に形成することができる。そして、加熱の温度としては、従来技術に比べて低温となる200℃以下とすることが可能である。
【0052】
したがって、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物では、非酸化性雰囲気下を形成する必要はなく、簡便で、安全な状態での比較的低温の加熱によって優れた抵抗特性の銅膜を形成することができる。
以下、本実施形態の銅膜形成用組成物の各成分について以下で説明する。
【0053】
[水酸化銅]
本実施形態の銅膜形成用組成物に含有される水酸化銅は、Cu(OH)で表される2価の銅の水酸化物である。水酸化銅は、加熱されて酸化銅となり、その酸化銅が還元されて金属銅、すなわち、銅膜を形成する。水酸化銅は入手が容易であり、例えば、市販品の使用が可能である。しかし、本発明の実施形態において、水酸化銅の入手方法等については特に限定されない。
【0054】
また、水酸化銅の純度については特に限定するものではない。しかし、低純度であると、導電性の低抵抗の膜として銅膜を形成する際に、導電性を低下させる懸念がある。したがって、水酸化銅の純度は85%以上が好ましく、90%以上がさらに好ましい。
【0055】
本実施形態の銅膜形成用組成物中の水酸化銅の含有量としては、本実施形態の銅膜形成用組成物が含有する全成分の100質量%に対し、1質量%〜40質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。水酸化銅の含有量を1質量%〜40質量%とすることによって、優れた導電性を有する銅膜を形成できる。水酸化銅の含有量を5質量%〜20質量%とすることによって、より低い抵抗値の銅膜を形成することができる。
【0056】
[酸化銅]
本実施形態の銅膜形成用組成物に含有される酸化銅は、CuOで表される1価の銅の酸化物またはCuOで表される2価の銅の酸化物である。酸化銅が還元されて金属銅、すなわち、銅膜を形成する。酸化銅は入手が容易であり、例えば、市販品の使用が可能である。しかし、本発明の実施形態において、酸化銅の入手方法等については特に限定されない。
【0057】
また、酸化銅の純度については特に限定するものではない。しかし、低純度であると、導電性の低抵抗の膜として銅膜を形成する際に、導電性を低下させる懸念がある。したがって、酸化銅の純度は85%以上が好ましく、90%以上がさらに好ましい。
【0058】
本実施形態の銅膜形成用組成物中の酸化銅の含有量としては、本実施形態の銅膜形成用組成物が含有する全成分の100質量%に対し、1質量%〜40質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。酸化銅の含有量を1質量%〜40質量%とすることによって、優れた導電性を有する銅膜を形成できる。酸化銅の含有量を5質量%〜20質量%とすることによって、より低い抵抗値の銅膜を形成することができる。
【0059】
[ハロゲン化合物]
本実施形態の銅膜形成用組成物に含有されるハロゲン化合物は、形成される銅膜の抵抗値を低下させる効果を示す成分であり、低温で簡便に低抵抗の銅膜を形成する、本実施形態の銅膜形成用組成物の特徴的な成分となる。ハロゲン化合物の作用については、本実施形態の銅膜形成用組成物に含有された水酸化銅が加熱されて酸化銅となり、その酸化銅が還元されて金属銅を形成するに際し、銅微粒子の融着を促進し、緻密な銅膜の形成を促進するものと考えることができる。
【0060】
尚、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物を用いて形成された銅膜は、後述するように、それは銅を主成分とするが、ハロゲン化合物に由来するハロゲンを含有することができる。
【0061】
ハロゲン化合物としては、ハロゲン化水素、金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム類、および、アミン類のハロゲン化水素酸塩等を挙げることができる。
【0062】
ハロゲン化水素としては、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸を挙げることができる。
【0063】
金属ハロゲン化物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、金および白金のハロゲン化物を挙げることができる。
【0064】
ハロゲン化アンモニウム類としては、4級アンモニウムカチオンのハロゲン化物を挙げることができる。
【0065】
アミン類のハロゲン化水素酸塩としては、アンモニアのハロゲン化水素酸塩、有機モノアミン化合物、有機ジアミン化合物、有機トリアミン化合物のハロゲン化水素酸塩が挙げられる。
【0066】
より具体的には、本実施形態の銅膜形成用組成物に含有される金属ハロゲン化物として、以下の化合物を挙げることができる。
【0067】
例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化ラジウム、フッ化クロム、フッ化マンガン、フッ化第1鉄、フッ化第2鉄、フッ化コバルト、フッ化ニッケル、フッ化第1銅、フッ化第2銅、フッ化亜鉛、フッ化ルテニウム、フッ化ロジウム、フッ化パラジウム、フッ化銀、フッ化金、フッ化白金、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化ラジウム、塩化クロム、塩化マンガン、塩化第1鉄、塩化第2鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化第1銅、塩化第2銅、塩化亜鉛、塩化ルテニウム、塩化ロジウム、塩化パラジウム、塩化銀、塩化金、塩化白金、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ルビジウム、臭化セシウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化ストロンチウム、臭化バリウム、臭化ラジウム、臭化クロム、臭化マンガン、臭化第1鉄、臭化第2鉄、臭化コバルト、臭化ニッケル、臭化第1銅、臭化第2銅、臭化亜鉛、臭化ルテニウム、臭化ロジウム、臭化パラジウム、臭化銀、臭化金、臭化白金、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ルビジウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化ストロンチウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化ラジウム、ヨウ化クロム、ヨウ化マンガン、ヨウ化第1鉄、ヨウ化第2鉄、ヨウ化コバルト、ヨウ化ニッケル、ヨウ化第1銅、ヨウ化第2銅、ヨウ化亜鉛、ヨウ化ルテニウム、ヨウ化ロジウム、ヨウ化パラジウム、ヨウ化銀、ヨウ化金、ヨウ化白金が挙げられる。
【0068】
上記金属ハロゲン化物は無水物であっても水和物であっても良い。
【0069】
ハロゲン化4級アンモニウム塩としては、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
【0070】
例えば、フッ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラn−ブチルアンモニウム、塩化テトラn−ブチルアンモニウム、臭化テトラn−ブチルアンモニウム、ヨウ化テトラn−ブチルアンモニウム、フッ化テトラsec−ブチルアンモニウム、塩化テトラsec−ブチルアンモニウム、臭化テトラsec−ブチルアンモニウム、ヨウ化テトラsec−ブチルアンモニウム、フッ化テトラt−ブチルアンモニウム、塩化テトラt−ブチルアンモニウム、臭化テトラt−ブチルアンモニウム、ヨウ化テトラt−ブチルアンモニウムが挙げられる。
【0071】
アンモニアのハロゲン化水素酸塩として、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
【0072】
例えば、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウムを挙げられる。
【0073】
モノアミン化合物のハロゲン化水素酸塩として、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
【0074】
例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、2−エチルヘキシルプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、ベンジルアミン、アミノアセトアルデヒドジエチルアセタール等のフッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩が挙げられる。
【0075】
ジアミン化合物のハロゲン化水素酸塩として、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
【0076】
例えば、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等のフッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩が挙げられる。
【0077】
トリアミン化合物のハロゲン化水素酸塩として、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
【0078】
例えば、ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−(アミノエチル)ピペラジン、N−(アミノプロピル)ピペラジン等のフッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩が挙げられる。
【0079】
これらの中では、銅膜の形成の促進に特に有効な含塩素化合物が好ましく、塩酸、金属塩化物およびその水和物、アミン類の塩酸塩がより好ましい。具体的には、塩酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ニッケル、塩化第1銅、塩化第2銅、塩化第2鉄、塩化第3鉄、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラn−ブチルアンモニウム、n−プロピルアミン塩酸塩、n−ヘキシルアミン塩酸塩、n−ヘプチルアミン塩酸塩、n−オクチルアミン塩酸塩、2−エチルヘキシルアミン塩酸塩、アミノアセトアルデヒドジエチルアセタール塩酸塩が好ましい。
【0080】
これらのハロゲン化合物は、上述したハロゲン化合物からなる群より選ばれる1種、または2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。そして、ハロゲン化合物は、市販品の使用が可能であり、入手方法等については特に限定はされない。
【0081】
本実施形態の銅膜形成用組成物に含有されるハロゲン化合物の純度については特に限定するものではない。しかし、低純度であると、導電性薄膜として銅膜を形成する際に、導電性を低下させる懸念がある。したがって、ハロゲン化合物の純度は90%以上が好ましく、95%以上がさらに好ましい。
【0082】
本実施形態の銅膜形成用組成物中のハロゲン化合物の含有量としては、本実施形態の銅膜形成用組成物が含有する全成分の100質量%に対し、0.00001質量%〜20質量%であり、好ましくは0.00005質量%〜10質量%、さらに好ましくは0.0001質量%〜5質量%である。ハロゲン化合物の含有量を上述の範囲とすることによって、優れた導電性を有する低抵抗の銅膜を形成できる。
【0083】
[還元剤]
本実施形態の銅膜形成用組成物に含有される還元剤は、銅膜形成のための還元を起こさせる成分である。
【0084】
還元剤としては、アミン、還元性カルボン酸、その還元性カルボン酸の塩、その還元性カルボン酸のエステル、多価アルコール、および、アルデヒドを挙げることができる。
【0085】
具体的には、アミンとして、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、2−エチルヘキシルプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、ベンジルアミン、アミノアセトアルデヒドジエチルアセタール等のモノアミン化合物、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン化合物、ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−(アミノエチル)ピペラジン、N−(アミノプロピル)ピペラジン等のトリアミン化合物等が挙げられる。
【0086】
また、本実施形態の銅膜形成用組成物に含有可能な還元性カルボン酸とは、酸化銅に対して還元性を有することで、水酸化銅に対し還元性を示すことができるカルボン酸である。還元性カルボン酸としては、水酸化銅に対し還元性を示すことができるものであれば特に限定するものではないが、例えば、ギ酸、ヒドロキシ酢酸、グリオキシル酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、およびクエン酸等を挙げることができる。
【0087】
また、多価アルコールとしては、例えば、ジオール類を挙げることができ、より具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,3−ヘプタンジオール、3,4−ヘキサンジオール、3,4−ヘプタンジオール、3,4−オクタンジオール、3,4−ノナンジオール、3,4−デカンジオール、4,5−オクタンジオール、4,5−ノナンジオール、4,5−デカンジオール、5,6−デカンジオール、3−N,N−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−N,N−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−N,N−ジ−n−プロピルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−N,N−ジ−i−プロピルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−N,N−ジ−n−ブチルアミノ−1,2−プロパンジオール、3−N,N−ジ−i−ブチルアミノ−1,2−プロパンジオールおよび3−N,N−ジ−t−ブチルアミノ−1,2−プロパンジオールを挙げることができる。
【0088】
さらに、多価アルコールとしては、上述したジオール類の他、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、およびグリセリン等を挙げることができる。特に好ましい多価アルコールとしては、グリセリンを挙げることができる。
【0089】
また、アルデヒド類としては、パラアルデヒド、パラ−トルアルデヒド、グリオキシル酸、n−ペンタナール、i−ペンタナール、t−ペンタナール、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、シクロヘキサンカルボアルデヒド、n−オクタナール、2−エチルヘキサナール、n−ノナナール、グルタルアルデヒド、シンナムアルデヒド、ペリルアルデヒド、2,6−ジメチルベンズアルデヒド、パラ−アセトキシベンズアルデヒド、4−ピリジンカルボキシアルデヒド、ベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、アジピンアルデヒド、ピメリンアルデヒド、スベリンアルデヒド、アゼラインアルデヒド、セバシンアルデヒド、イソフタルアルデヒドおよびテレフタルアルデヒド等が挙げられる。
【0090】
本実施形態の銅膜形成用組成物においては、上記の還元剤からなる群より選ばれる1種、または互いに相溶性のある2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。これらの還元剤は、市販品の使用が可能であり、入手方法等については特に限定はされない。
【0091】
還元剤の純度については特に限定するものではないが、本実施形態の銅膜形成用組成物が電子材料分野で使用されることを考慮し、不純な含有物を低減するように、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
【0092】
本実施形態の銅膜形成用組成物における還元剤の含有量としては、本実施形態の銅膜形成用組成物が含有する全成分の100質量%に対し、40質量%〜99質量%が好ましく、60質量%〜95質量%がより好ましい。還元剤の含有量を40質量%〜99質量%とすることによって、優れた導電性を有する銅膜を形成できる。還元剤の含有量を60質量%〜95質量%とすることによって、より低い抵抗値の銅膜を形成することができる。
【0093】
[溶剤]
本実施の形態の銅膜形成用組成物において、溶剤を成分として添加することが可能である。溶剤を添加して銅膜形成用組成物中に含有させることにより、塗布方法に対応した銅膜形成用組成物の粘度調整が容易となり、また、安定した均一な物性の銅膜を形成することが可能となる。
【0094】
添加する溶剤としては、銅膜形成用組成物中の各成分を溶解または分散することができるものであり、酸化銅の還元反応ひいては水酸化銅の還元反応に関与しないものであれば、特に限定するものではない。例えば、水、アルコール類、エーテル類、エステル類、脂肪族炭化水素類および芳香族炭化水素類から選ばれる1種の液体、または、相溶性のある2種以上の液体が挙げられる。
【0095】
溶剤の具体例について、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール(1−プロパノール)、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール(1−ブタノール)、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール等が挙げられる。
【0096】
エーテル類としては、例えば、ヘキシルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
【0097】
エステル類としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0098】
脂肪族炭化水素類としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、テトラデカン、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられる。
【0099】
芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0100】
これら有機溶剤のうち、特に組成物の粘度の調整のし易さの観点から、アルコール類およびエーテル類が好ましい。
【0101】
本実施形態の銅膜形成用組成物に含有される溶剤は任意成分であり、その含有量は本実施形態の銅膜形成用組成物の全量に対して0質量%〜95質量%の範囲であり、1質量%〜70質量%の範囲であることが好ましく、1質量%〜50質量%の範囲であることがより好ましい。
【0102】
[金属微粒子およびその他任意成分]
本実施形態の銅膜形成用組成物は、上述した水酸化銅および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種、ハロゲン化合物並びに還元剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、金属微粒子を含有することができる。また、本実施形態の銅膜形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他任意成分として、分散剤、酸化防止剤、濃度調整剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、塗膜形成補助剤を含有することが可能である。
【0103】
本実施形態の銅膜形成用組成物において含有可能な金属微粒子としては、特に限定するものではないが、例えば、金、銀、銅、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウムおよびパラジウムからなる群より選ばれる1種または2種以上の金属種を含有するものであることが好ましい。これらの金属種は、単体であってもその他の金属との合金であっても差し支えない。これらの金属種が単体である場合、好ましい金属微粒子としては、金微粒子、銀微粒子、銅微粒子、白金微粒子、ルテニウム、ロジウム、オスミウムおよびパラジウム微粒子からなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の組み合わせとなる。
【0104】
これらの中でもコスト面、入手の容易さ、および銅膜を形成するときの触媒能から、銀、銅およびパラジウムからなる群より選ばれる1種または2種以上の金属種を含有することが好ましい。これら以外の金属微粒子を使用しても差し支えないが、銅膜形成中に、銅イオンにより金属微粒子が酸化を受けたり、触媒能が低下または発現せず、水酸化銅から金属銅への還元析出速度が低下するおそれがあるため、上述した金属微粒子を使用することがより好ましい。
【0105】
本実施形態の銅膜形成用組成物において、金属微粒子の平均粒子径は、0.005μm〜5μmの範囲であることが好ましい。金属微粒子の粒子径が0.005μm未満になると、金属表面の活性が非常に高くなり、酸化反応を生じるほか、溶解するおそれがある。また、5μmを超えると、長期保存した場合に金属微粒子が沈降することがある。よって、金属微粒子の平均粒子径は、上述の範囲内であることが好ましい。
【0106】
本発明の実施形態において、金属微粒子の粒子径の測定方法としては、一般的な微粒子に適用される測定方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等を適宜使用することができる。平均粒子径の値は、上述した顕微鏡を用いて観測し、観測された視野の中から、粒子径が比較的そろっている箇所を3箇所選択し、粒径測定に最も適した倍率で撮影する。得られた各々の写真から、一番多数存在すると思われる粒子を100個選択し、その直径をものさし等の測長機で測定し、測定倍率を除して粒子径を算出し、これらの値を算術平均することにより、求めることができる。また、標準偏差については、上述の観察時に個々の金属微粒子の粒子径と数により求めることができる。そして、変動係数は、上述した平均粒子径およびその標準偏差に基づいて、下記式により算出することができる。
【0107】
変動係数=標準偏差/体積平均粒子径×100(%)
【0108】
本実施形態の銅膜形成用組成物において、金属微粒子は市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよく、特に限定されない。公知の合成方法としては、例えば、スパッタリング法やガス中蒸着法等、物理的な手法で合成反応を行う気相法(乾式法)や、金属化合物溶液を表面保護剤の存在下、還元して金属微粒子を析出させる等の液相法(湿式法)等が一般的に知られている。
【0109】
本発明の銅膜形成用組成物において、金属微粒子の純度については特に限定するものではないが、低純度であると導電性薄膜とした際に、導電性に悪影響を与えるおそれがあるため、95%以上が好ましく、99%以上がより好ましい。
【0110】
本実施形態の銅膜形成用組成物における金属微粒子の含有量は特に制限はないが、任意の成分であり、本実施形態の銅膜形成用組成物が含有する全成分の100質量%に対し、0質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、0質量%〜20質量%の範囲とすることがより好ましい。金属微粒子の含有量を上述の範囲とすることで、水酸化銅から金属銅への還元析出速度の向上が期待できるが、金属微粒子の含有量が50質量%を超えるように添加された場合、所望とする抵抗特性の銅膜を形成できないおそれがある。
【0111】
次に、本実施形態の銅膜形成用組成物において含有可能な、その他任意成分については、所望とする特性を備え、且つ水酸化銅による銅膜の形成反応を阻害しないものであれば、特に制限するものではない。例えば、上述した各成分が溶解して反応をしない有機溶剤の中から選択し、その他任意成分として含有させることも可能である。そして、その有機溶剤を添加することにより、銅膜形成用組成物を所望の濃度、表面張力、粘度となるよう調製することができる。
【0112】
本実施形態の銅膜形成用組成物におけるその他任意成分の含有量は特に制限はないが、それらは任意の成分であり、本実施形態の銅膜形成用組成物が含有する全成分の100質量%に対し、0質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、0質量%〜30質量%の範囲とするのがより好ましい。その他任意成分の含有量が50質量%を超えるように添加されても、含有量に対応するような、その他任意成分による効果は得られない。さらに、銅膜形成用組成物の単位重量当たりの金属銅の形成量が低下し、所望とする特性の銅膜を高い製造効率で形成できないおそれがある。
【0113】
<銅膜形成用組成物の調製>
[調製方法]
本実施形態の銅膜形成用組成物は、上述した水酸化銅および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種、ハロゲン化合物並びに還元剤を混合することで、簡便に調製し、製造することができる。混合する順序は特に限定するものではない。
【0114】
本実施形態の銅膜形成用組成物の調製において、上述したように溶剤を添加することが可能である。溶剤の添加は、例えば、上述した水酸化銅および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種、ハロゲン化合物並びに還元剤を混合した後に行うことができる。添加する溶剤としては、上述したように、水酸化銅および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種、ハロゲン化合物並びに還元剤を溶解または分散し、それらと反応しないものであれば特に限定はされない。
【0115】
本実施形態の銅膜形成用組成物の調製において、その他任意成分として、上述した金属微粒子のほか、上述した分散剤、酸化防止剤、濃度調整剤、表面張力調整剤、粘度調整剤等を添加することができる。金属微粒子およびその他任意成分は、例えば、水酸化銅および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種、ハロゲン化合物並びに還元剤を混合した後に添加することができる。そして、その他任意成分は、水酸化銅等の必須成分とともに用いられ、本実施形態の銅膜形成用組成物が所望の成分濃度、表面張力、粘度等を有するように調整することができる。
【0116】
[混合方法]
本実施形態の銅膜形成用組成物の調製における混合方法としては、特に限定するものではないが、例えば、攪拌羽による攪拌、スターラーおよび攪拌子による攪拌、沸盪器による攪拌、超音波ホモジナイザー、ビーズミル、ペイントシェーカーまたは攪拌脱泡装置等を使用した方法等が挙げられる。混合の条件としては、例えば、攪拌羽による攪拌の場合、攪拌羽の回転速度が、通常1rpm〜4000rpmの範囲、好ましくは100rpm〜2000rpmの範囲である。
【0117】
<銅膜形成方法および銅膜>
以上で説明した本発明の実施形態の銅膜形成用組成物は、所望とする適当な基板上に塗布され、本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を形成する。そして、その本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜が加熱されて基板上に銅膜を形成する。すなわち、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物を用い、本発明の実施形態の銅膜を形成する。その結果、本発明の実施形態の銅膜を用い、本発明の実施形態の配線基板を製造することができる。
【0118】
このとき、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、本実施形態の銅膜形成用組成物を用いることで、酸化性雰囲気下での加熱によって銅膜を形成することができる。すなわち、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、非酸化性雰囲気下を形成する必要はなく、簡便に、安全な状態で、銅膜形成のための加熱を行い、銅膜を形成することができる。
【0119】
本発明の実施形態の銅膜形成方法においては、基板上に塗布された本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を加熱することによって、その組成物に含有される水酸化銅等を還元剤により還元させて金属銅を形成する。同時に、塗膜中に含有される有機物は分解、揮発することにより除去される。このとき、本実施形態の銅膜形成用組成物に含有されるハロゲン化合物は銅膜形成反応を促進する。
【0120】
そして、形成される本発明の実施形態の銅膜は、銅成分とともに、ハロゲン(ハロゲン原子)を含有して構成されることが好ましい。本実施形態の銅膜において、膜中の銅原子を100とした時のハロゲン原子の含有比率は、0.001〜10であり、好ましくは、0.001〜8、さらに好ましくは0.001〜5である。本実施形態の銅膜は、このような比率でハロゲン原子を含有する。そして、本実施形態の銅膜は、優れた抵抗特性を示すことができる。
【0121】
したがって、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、(1)水酸化銅および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種、ハロゲン化合物並びに還元剤を含む組成物である、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を基板上に形成する工程と、(2)その基板上の塗膜を加熱する工程とを含んで構成することが好ましい。
以下、本発明の実施形態の銅膜形成方法について、さらに詳しく説明する。
【0122】
[基板]
本発明の実施形態の銅膜形成方法において、本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を形成する基板としては、公知のものを用いることができ、特に限定するものではない。
【0123】
基板を構成する材料としては、例えば、樹脂、紙、金属、ガラス等が挙げられ、より具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂)、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート)、ポリアセタール樹脂、セルロース誘導体等の樹脂基材、非塗工印刷用紙、微塗工印刷用紙、塗工印刷用紙(アート紙、コート紙)、特殊印刷用紙、コピー用紙(PPC用紙)、未晒包装紙(重袋用両更クラフト紙、両更クラフト紙)、晒包装紙(晒クラフト紙、純白ロール紙)、コートボール、チップボール段ボール等の紙基材、銅板、鉄板、アルミ板等の金属基材、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、石英ガラス等のガラス基材、アルミナ、サファイア、ジルコニア、チタニア、酸化イットリウム、ITO(インジウム錫オキサイド)等が挙げられる。
【0124】
[塗布方法]
本発明の実施形態の銅膜形成方法における、本実施形態の銅膜形成用組成物の塗布方法としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、(シルク)スクリーン印刷、凸版印刷等の印刷方法が挙げられ、また、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、キャスト法、ディップコート法、および、ロールコータ法等の塗布方法が挙げられる。本実施形態の銅膜形成用組成物を基板に塗布する塗布量としては、所望する銅膜の膜厚に応じて適宜調整することができる。
【0125】
本実施形態の銅膜形成用組成物は、上述した塗布方法への適用が可能である。そのため、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、本実施形態の銅膜形成用組成物を用い、基板上に一様なベタ状の塗膜を形成して本実施形態の銅膜を形成することが可能である。さらに、適当な塗布方法と組み合わせることにより、所望の形状にパターニングされた塗膜を形成し、配線や電極や端子等となる、パターニングされた銅膜を直接に基板上に形成することも可能である。また、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、リバースオフセット印刷法、フレキソ印刷法、(シルク)スクリーン印刷法、凸版印刷等を利用した直接描画により、塗膜形成とそれに続く銅膜形成を行うことも可能である。その結果、適当な基板上に形成された、本発明の実施形態のパターニングされた銅膜を用い、本発明の実施形態の配線基板を製造することができる。
【0126】
尚、その場合、選択される塗布方法に対応して、本実施形態の銅膜形成用組成物は、還元剤や溶剤等について、その種類と量を調整し、用いる塗布方法に好適となるように銅膜形成用組成物の粘度を調整することが好ましい。
【0127】
[加熱条件]
本発明の実施形態の銅膜形成方法において、本実施形態の銅膜形成用組成物から銅膜を形成するための加熱は、上述したように、非酸化性雰囲気下が不要となる。本発明の実施形態の銅膜形成方法において、銅膜を形成するための加熱は、例えば、酸化性雰囲気下で行うことができる。すなわち、本実施形態の銅膜形成方法は、基板上に形成された本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を大気下で加熱して、その基板上に銅膜を形成することができる。
【0128】
尚、基板上に形成された本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を、窒素下または大気・窒素混合雰囲気下で加熱することによっても、その基板上に銅膜を形成することができる。すなわち、本実施形態の銅膜形成方法は、基板上に形成された本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を、大気若しくは酸素ガス等を利用した酸化性雰囲気下、水素ガス等の還元性ガスを利用した非酸化性雰囲気下または窒素ガスの不活性ガス、アルゴンガスの不活性ガス若しくはヘリウムガス等の不活性ガスを利用した非酸化性雰囲気下で加熱することにより、本発明の実施形態の銅膜を形成することができる。
【0129】
また、本実施形態の銅膜形成方法は、基板上に形成された本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を、非酸化性雰囲気下で加熱して、その基板上に銅膜を形成することも可能である。
【0130】
本実施形態の銅膜形成方法において、加熱温度は、本実施形態の銅膜形成用組成物の水酸化銅が酸化銅となって還元剤により還元され、有機物が分解、揮発する温度であればよく、特に限定するものではない。例えば、加熱温度は、50℃〜300℃の範囲が好ましく、50℃〜200℃の範囲がより好ましい。加熱温度が50℃未満であると、水酸化銅の還元が完全に進行せず、また有機物の残存が顕著になる場合があり、300℃を超えると、有機材料からなる基板を利用できなくなる恐れがある。200℃以下であれば、有機材料からなる基板を含む上述の多様な基板の群から所望の基板を選択して使用することができる。
【0131】
ただし、加熱温度が200℃以下である場合、従来の技術では、所謂、加熱不足による銅膜の特性低下が懸念される。しかしながら、本実施形態の銅膜形成方法は、本実施形態の銅膜形成用組成物を用いて銅膜の形成を行っており、200℃以下の加熱条件であっても所望とする特性の銅膜、特に、所望とする優れた抵抗特性の銅膜を形成することができる。したがって、簡便さの観点からも、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、上述したように、加熱温度が200℃以下であることが好ましい。
【0132】
また、加熱時間は、還元剤の種類や、所望する銅膜の導電性(抵抗値)を考慮して適宜選択すればよく、特に限定するものではない。そして、200℃程度またはそれ以下の比較的低温の加熱温度を選択した場合には、加熱時間は、10分間〜120分間程度とすることが好ましい。
【0133】
以上のように、本発明の実施形態の銅膜形成方法は、本実施形態の銅膜形成用組成物を用い、非酸化性雰囲気下を特に必要とせず、例えば、酸化性雰囲気下での低温の加熱により、簡便に、低抵抗の銅膜を形成することができる。そして、得られた基板上の本発明の実施形態の銅膜を用い、本発明の実施形態の配線基板を提供することができる。
【0134】
<電子機器>
上述した本発明の実施形態の銅膜形成方法は、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物を用い、本発明の実施形態の銅膜を形成する。そして、本発明の実施形態の銅膜を用い、それを配線として使用する本発明の実施形態の電子機器を提供することができる。
【0135】
本発明の電子機器としては、例えば、タッチパネル、液晶表示素子および有機EL素子等を挙げることができる。また、入力装置としてタッチパネルを備えたタッチパネル付の電子機器を挙げることができる。
以下、本発明の実施形態の電子機器として例示した本発明の実施形態のタッチパネルについて説明する。
【0136】
[タッチパネル]
本発明の実施形態のタッチパネルは、例えば、検知電極およびそれを引き出すための引き出し配線が設けられた基板上に、当該検知電極を覆うように形成された光透過性の絶縁膜を有するタッチパネルである。このタッチパネルは、例えば、静電容量方式のタッチパネルとすることができる。
尚、本発明の実施形態のタッチパネルにおいては、上述の絶縁膜を設けない構造とすることも可能である。
【0137】
図1は、本発明の実施形態のタッチパネルを示す平面図である。
【0138】
図2は、図1のB−B’線に沿う断面図である。
【0139】
図1に示すように、本実施形態のタッチパネル21は、透明基板22の表面に、X方向に延在する第1検知電極23と、X方向に直交するY方向に延在する第2検知電極24を有する。
【0140】
透明基板22はガラス基板とすることができる。また、透明基板22は、樹脂基板とすることもでき、その場合、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、環状オレフィンの開環重合体フィルムおよびその水素添加物からなるフィルム等を用いることができる。透明基板22の厚みとしては、ガラス基板の場合、0.1mm〜3mmとすることができる。樹脂基板の場合、10μm〜3000μmとすることができる。
【0141】
第1検知電極23と第2検知電極24は、それぞれ複数が配置される。そして、第1検知電極23と第2検知電極24は、タッチパネル21の操作領域でマトリクス状に配置されている。第1検知電極23は、操作者によるタッチ位置のY方向の座標を検出するために用いられる。第2検知電極24は、操作者によるタッチ位置のX方向の座標を検出するために用いられる。第1検知電極23と第2検知電極24は、透明基板22の同一面の同一層に設けられている。尚、第1検知電極23および第2検知電極24の数は図1の例に限られるものではなく、操作領域の大きさと必要とされるタッチ位置の検出精度に応じて決定されることが好ましい。すなわち、より多い数や少ない数の第1検知電極23および第2検知電極24を用い、タッチパネル21を構成することができる。
【0142】
図1に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24はそれぞれ、菱形形状の複数の電極パッド30から構成されている。第1検知電極23と第2検知電極24は、第1検知電極23の電極パッド30がそれと隣接する第2検知電極24の電極パッド30と離間するように配置される。このとき、それら電極パッド30間の隙間は、絶縁性が確保できる程度のごく小さなものとされる。
【0143】
そして、第1検知電極23と第2検知電極24とは、互いに交差する部分をできる限り小さくできるように配置される。そして、第1検知電極23および第2検知電極24を構成する電極パッド30がタッチパネル21の操作領域全体に配置されるようにする。
図1に示すように、電極パッド30は菱形形状とすることができるが、こうした形状に限られず、例えば、六角形等の多角形形状とすることができる。
【0144】
第1検知電極23および第2検知電極24はそれぞれ、透明電極であることが好ましい。ここで、透明電極とは、可視光に対して高い透過性を備える電極である。第1検知電極23および第2検知電極24としては、ITOからなる電極や、酸化インジウムと酸化亜鉛からなる電極等、透明導電材料からなる電極を用いることができる。第1検知電極23および第2検知電極24がそれぞれITOからなる場合、十分な導電性を確保できるよう、それらの厚さを10nm〜100nmとすることが好ましい。
【0145】
第1検知電極23および第2検知電極24の形成は、公知の方法を用いて行うことができ、例えば、ITO等の透明導電材料からなる膜をスパッタリング法等を用いて成膜し、フォトリソグラフィ法等を利用してパターニングすることで行うことができる。
【0146】
図1および図2に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24は、透明基板22の同一面上に形成されており、同一層をなしている。そのため、第1検知電極23と第2検知電極24とは、操作領域において、複数の箇所で交差しており、交差部28を形成している。
【0147】
本実施形態のタッチパネル21では、図2に示すように、交差部28において、第1検知電極23および第2検知電極24のいずれか一方が他方と接触しないように分断される。すなわち、交差部28において、第1検知電極23は繋がっているが、図2の左右方向に伸びる第2検知電極24は分断されて形成されている。そして、第2検知電極24の途切れた箇所を電気的に接続させるために、ブリッジ電極32が設けられている。ブリッジ電極32と第1検知電極23との間には、絶縁性物質からなる層間絶縁膜29が設けられている。
【0148】
図2に示すように、交差部28で、第1検知電極23の上に設けられた層間絶縁膜29は、光透過性に優れた材料から形成されている。層間絶縁膜29は、ポリシロキサン、アクリル系樹脂、およびアクリルモノマー等を用いて印刷法で塗布し、必要な場合にパターニングを行った後、それを加熱硬化させて形成することができる。ポリシロキサンを用いて形成した場合には、層間絶縁膜29はシリコン酸化物(SiO)からなる無機絶縁層となる。また、アクリル系樹脂、およびアクリルモノマーを用いた場合には、層間絶縁膜29は樹脂からなる有機絶縁層となる。層間絶縁膜29にSiOを用いる場合には、例えば、マスクを用いたスパッタリング法によって、交差部28における第1検知電極23の上にのみSiO膜を形成して、層間絶縁膜29を構成することもできる。
【0149】
層間絶縁膜29の上層には、ブリッジ電極32が設けられている。ブリッジ電極32は、上述したように、交差部28で途切れた第2検知電極24同士を電気的に接続する機能を果たす。ブリッジ電極32は、ITO等の光透過性に優れた材料によって形成されることが好ましい。ブリッジ電極32を設けることにより、第2検知電極24をY方向に電気的に接続することができる。
【0150】
図2に示すように、第1検知電極23と第2検知電極24は、上述したように、菱形の電極パッド30を縦または横に複数並べた形状を有する。第1検知電極23において、交差部28に位置する接続部分は、第1検知電極23の菱形の電極パッド30より幅の狭い形状とされる。また、ブリッジ電極32も、菱形の電極パッド30より幅の狭い形状であって、短冊状に形成されている。
【0151】
タッチパネル21の第1検知電極23と第2検知電極24の端部には、それぞれ端子(図示されない)が設けられており、その端子からそれぞれ引き出し配線31が引き出される。引き出し配線31は、上述した本発明の実施形態の銅膜を使用した金属配線とすることができる。同様に、端子も、本発明の実施形態の銅膜を用いて形成することができる。
【0152】
すなわち、タッチパネル21の引き出し配線31等は、上述した本発明の実施形態の銅膜形成用組成物を用い、上述した本発明の実施形態の銅膜形成方法に従って形成することができる。
【0153】
例えば、本発明の実施形態の銅膜形成方法で例示した塗布方法により、本実施形態の銅膜形成用組成物の塗膜を第1検知電極23および第2検知電極24等の形成された透明基板22上に形成し、配線パターンを形成する。例えば、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、リバースオフセット印刷法、フレキソ印刷法、(シルク)スクリーン印刷法、凸版印刷等を利用した直接描画により、塗膜を形成し、配線パターンを形成することができる。
【0154】
そして、上述したように、例えば、酸化性雰囲気下で加熱硬化させ、引き出し配線31等を形成することができる。
【0155】
尚、塗膜の加熱硬化は、上述したように、非酸化性雰囲気下で加熱することによっても行うことができる
【0156】
引き出し配線31は、その端部の接続端子(図示されない)を用いて、第1検知電極23および第2検知電極24への電圧印加やタッチ操作の位置を検出する外部の制御回路(図示されない)に電気的に接続される。
【0157】
図1および図2に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24の配置された透明基板22の表面には、第1検知電極23および第2検知電極24を覆うように、光透過性の絶縁膜25が配置されている。
【0158】
絶縁膜25は、タッチパネル21の操作領域で、第1検知電極23および第2検知電極24を被覆して保護するようにパターニングされて形成される。併せて、絶縁膜25は、第1検知電極23および第2検知電極24から引き出される引き出し配線31の端部の接続端子(図示されない)が露出するようにパターニングされて形成される。
【0159】
絶縁膜25の形成には、感放射線性の樹脂組成物を用いることができ、所定のパターニングを行って第1検知電極23および第2検知電極24上に配置することができる。
【0160】
タッチパネル21は、透明基板22の第1検知電極23および第2検知電極24の形成面に、例えば、アクリル系の透明接着剤からなる接着層(図示されない)を用いて透明な樹脂からなるカバーフィルム(図示されない)を設けることが可能である。
【0161】
以上の構成を有するタッチパネル21は、第1検知電極23と第2検知電極24がマトリクス状に配置された操作領域において静電容量を計測し、操作者の指等のタッチ操作があった場合に生じる静電容量の変化から、指等の接触位置を検知することができる。そして、液晶表示素子や有機EL素子等のディスプレイの上に載置し、電子機器のディスプレイの入力装置として好適に使用することが可能である。
【0162】
したがって、本発明の実施形態の銅膜形成用組成物を用いて、上述した本発明の実施形態の銅膜形成方法に従って形成された本発明の実施形態の銅膜を用い、引き出し配線を構成することができる。そして、その本発明の実施形態の銅膜からなる引き出し配線を用いてタッチパネルを構成することができ、そのタッチパネルを備えた液晶表示素子や有機EL素子等の本発明の実施形態の電子機器を提供することができる。
【実施例】
【0163】
以下、実施例に基づいて本発明の実施形態をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0164】
<実施例1〜38および比較例1〜4>
実施例1〜実施例38および比較例1〜比較例4では、以下に示す方法で実施例1〜実施例38および比較例1〜比較例4の銅膜形成用組成物を調製し、それを用いて実施例1〜実施例35および比較例1〜比較例4の銅膜を形成した。そして、それら銅膜の評価として、抵抗特性である比抵抗値(体積抵抗値)を評価し、さらにハロゲン含有量(ハロゲン含有比率)を評価した。
【0165】
[銅膜形成用組成物の調製]
表1に示す種類と配合量のハロゲン化合物と、表1に示す配合量の水酸化銅および酸化銅と、表1に示す配合量の還元剤であるグリセリンおよびアミンと、必要に応じて添加される溶剤とを混合し、ビーズミルを使用して、室温で回転数2000rpm、60分間のビーズミル分散を行い、銅膜形成用組成物を調製した。
【0166】
尚、比較例3においては、ハロゲン化合物に代えて、硝酸ナトリウム(NaNO)を表1に示す配合量で含有する。比較例4においては、ハロゲン化合物に代えて、硫酸銅(II)五水和物(CuSO・5HO)を表1に示す配合量で含有する。また、表1の欄中の「−」は該当する成分を使用しなかったことを表し、あるいは、該当する評価を行わなかったことを表す。そして、表中に示された溶剤名であるブタノールは、n−ブチルアルコールを示す。
【0167】
実施例1〜実施例38および比較例1〜比較例4の各銅膜形成用組成物の調製に用いた水酸化銅、ハロゲン化合物、グリセリンおよび溶剤は、全て市販品を用いた。
【0168】
[銅膜の形成]
実施例1〜実施例38および比較例1〜比較例4の銅膜形成用組成物を用い、縦150mm、横150mmの正方形状の無アルカリガラス基板上に、バーコーターを用いて塗布し、縦50mm、横100mmの長方形状にパターニングされ、膜厚が90μmである塗膜を形成した。次に、大気下で、ホットプレートを用い、前述の塗膜の形成されたガラス基板を200℃で90分間加熱処理し、膜厚が10μm〜20μm程度の上記形状にパターニングされた薄膜として実施例1〜実施例38および比較例1〜比較例4の銅膜を得た。
【0169】
[評価]
(体積抵抗値の測定)
実施例1〜実施例38および比較例1〜比較例4の銅膜形成用組成物を用い、上述した銅膜の形成方法によりそれぞれ形成された実施例1〜実施例38および比較例1〜比較例4の銅膜を用い、それらの比抵抗値(体積抵抗値)を、四探針抵抗測定機(商品名:Model sigma−5、NPS社)を用いて測定した。測定結果は、表1にまとめて示す。
【0170】
表1に示すように、実施例1〜実施例38の各銅膜形成用組成物により得られた銅膜の体積抵抗値は、比較対象となる比較例1〜比較例4の銅膜形成用組成物により得られた銅膜の体積抵抗値より低い。水酸化銅および還元剤とともにハロゲン化合物を含有する実施
例1〜実施例38の各銅膜形成用組成物は、低抵抗の銅膜を形成できることがわかった。すなわち、実施例1〜実施例38の銅膜の評価結果に示されるように、銅膜形成用組成物におけるハロゲン化合物の含有は、形成される銅膜の低抵抗化に有効であることがわかった。そして、ハロゲン化合物の含有量を0.00001質量%〜20質量%の範囲内とすることで、形成される銅膜の体積抵抗値を格段に低下させることができることがわかった。
【0171】
(ハロゲン含有比率の測定)
実施例1〜実施例38および比較例1〜比較例4の銅膜形成用組成物を用いて、上述した銅膜の形成方法により形成された実施例1〜実施例38および比較例1〜比較例4の各銅膜を用い、ハロゲン原子の含有比率を測定した。
測定の方法は、2次イオン質量分析(SIMS)(商品名:PHI ADEPT1010、アルバック・ファイ社製)を用いる方法とし、一次イオン種:Cs、一次加速電圧:5.0kV、検出領域:42μm×42μmの条件で、実施例1〜実施例38および比較例1〜比較例4の銅膜を測定した。そして、実施例1〜実施例38および比較例1〜比較例4の各銅膜において、市販の高純度銅(純度99.9999%)を参照試料として定量し、膜中の銅原子を100とした時のハロゲン原子の含有比率を評価した。測定結果は、表1にまとめて示す。尚、表1中に示された「ND」の表記は、ハロゲン原子が検出されなかったことを示す。
【0172】
表1に示すように、低い体積抵抗値を有する実施例1〜実施例38の各銅膜は、ハロゲン原子を含有し、そのハロゲン原子の含有比率が膜中の銅原子を100とした時に、0.001〜10であることがわかった。
【0173】
【表1】
【0174】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明の銅膜形成用組成物は、エレクトロニクス分野における回路基板の導電パターンの形成用の組成物として好適に使用できる。そして、本発明の銅膜および本発明の銅膜形成方法は、エレクトロニクス分野等における電子部品等の製造に用いることができる。例えば、本発明の銅膜および本発明の銅膜形成方法は、配線、回路基板、アンテナ、センサー、演算素子および表示素子の製造に用いることができる。さらに、本発明の銅膜形成用組成物は、導電性インクとしてインクジェット印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、リバースオフセット印刷法、フレキソ印刷法、(シルク)スクリーン印刷法、凸版印刷等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0176】
21 タッチパネル
22 透明基板
23 第1検知電極
24 第2検知電極
25 絶縁膜
28 交差部
29 層間絶縁膜
30 電極パッド
31 引き出し配線
32 ブリッジ電極
図1
図2