(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187134
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】フロントアクスル用のハブ取付治具
(51)【国際特許分類】
B60B 29/00 20060101AFI20170821BHJP
B23P 21/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
B60B29/00 G
B60B29/00 E
B23P21/00 303B
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-217646(P2013-217646)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2015-77938(P2015-77938A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】山口 知之
【審査官】
三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−061835(JP,A)
【文献】
特開昭51−129001(JP,A)
【文献】
実開昭52−167703(JP,U)
【文献】
実開昭54−103455(JP,U)
【文献】
米国特許第05408732(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 29/00
B23P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のフロントアクスルのナックル部に、ハブが装着されたタイヤホイール組立体の前記ハブを外嵌させて組み付けるためのハブ取付治具であって、
前記ナックル部の先端に同軸で取付可能であって、かつ雄ネジ部を有する棒状のアタッチメントと、前記アタッチメントの雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有し、かつ外径が前記ハブの内径よりも太径である太径部を有する円筒状の本体と、前記本体の外面に固定された略径方向へ延びるハンドルとを備えるとともに、前記太径部を樹脂材料から形成し、
前記アタッチメントにおける前記ナックル部に取り付ける側と反対側の端部を細径にするとともに、その細径にした部分に径方向に延びる貫通孔を形成したことを特徴とするフロントアクスル用のハブ取付治具。
【請求項2】
前記太径部の端縁部にテーパを形成した請求項1に記載のフロントアクスル用のハブ取付治具。
【請求項3】
前記タイヤホイール組立体にブレーキドラムを装着した請求項1又は2に記載のフロントアクスル用のハブ取付治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフロントアクスル用のハブ取付治具に関し、更に詳しくは、自動車のフロントアクスルにタイヤホイール組立体を容易かつ正確に組み付けることができるフロントアクスル用のハブ取付治具に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックなどの自動車は、
図9に示すように、荷重分担及び操舵などを目的とするフロントアクスル20を備えている(例えば、特許文献1を参照)。このフロントアクスル20においては、固定車軸の役目を有するナックル部21に、ホイール22にタイヤ23を取り付けてなるタイヤホイール組立体24に装着されたハブ25を外挿させて組み付けるようになっている。
【0003】
従来、このタイヤホイール組立体24の具体的な組付作業は、タイヤ23側面の2箇所(
図9中の矢印を参照)を大型ハンマーで交互に打撃して、ナックル部21にハブ25を中間ばめすることにより行われていた。
【0004】
このナックル部21は、
図10に示すように、根元の中間ばめ部26から細径の先端部27へかけてテーパ部28が形成された形状を有している。そのため、上記のような組付作業では、タイヤホイール組立体24とナックル部21との中心軸が合いにくくなるため、ハブ25がテーパ部28に引っかかってタイヤホイール組立体24の組み付けが困難になるという問題があった。また、タイヤホイール組立体24に加わる圧力が不均等かつ不連続になるため、タイヤホイール組立体24を正確に組み付けることが難しいという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−175103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、自動車のフロントアクスルに、ハブが装着されたタイヤホイール組立体を容易かつ正確に組み付けることができるフロントアクスル用のハブ取付治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明のフロントアクスル用のハブ取付治具は、自動車のフロントアクスルのナックル部に、ハブが装着されたタイヤホイール組立体の前記ハブを外嵌させて組み付けるためのハブ取付治具であって、前記ナックル部の先端に同軸で取付可能であって、かつ雄ネジ部を有する棒状のアタッチメントと、前記アタッチメントの雄ネジ部に螺合する雌ネジ部を有し、かつ外径が前記ハブの内径よりも太径である太径部を有する円筒状の本体と、前記本体の外面に固定された略径方向へ延びるハンドルとを備えるとともに、前記太径部を樹脂材料から形成し
、前記アタッチメントにおける前記ナックル部に
取り付ける側と反対側の端部を細径にするとともに、その細径にした部分に径方向に延びる貫通孔を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のフロントアクスル用のハブ取付治具によれば、フロントアクスルのナックル部の先端に同軸に取り付けられた棒状のアタッチメントをハブに通過させ、そのアタッチメントに螺合する円筒状の本体を介してタイヤホイール組立体を押し込むようにしたので、ハブが装着されたタイヤホイール組立体をフロントアクスルに容易かつ正確に組み付けることができる。
【0009】
また、ハブに当接する太径部を樹脂材料から形成したので、ハブの損傷を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態からなるフロントアクスル用のハブ取付治具を示す斜視図である。
【
図4】タイヤホイール組立体の例を示す軸方向の断面図である。
【
図5】フロントアクスルへのタイヤホイール組立体の組付作業の最初の作業工程を説明する断面図である。
【
図6】
図5の次の作業工程を説明する断面図である。
【
図7】
図6の次の作業工程を説明する断面図である。
【
図8】
図7の次の作業工程を説明する断面図である。
【
図9】従来のフロントアクスルへのタイヤホイール組立体の取付作業を説明する斜視図である。
【
図10】フロントアクスルのナックル部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1〜3は、本発明の実施形態からなるフロントアクスル用のハブ取付治具を示す。
【0012】
このフロントアクスル用のハブ取付治具(以下、単に「ハブ取付治具」という。)は、
図1に示すように、アタッチメント1と、略径方向に延びるハンドル2が外面に固定された本体3とを組み合わせたものである。
【0013】
アタッチメント1は金属製であり、
図2に示すように、雄ネジ4が表面に形成された円柱状のシャフト部5と、そのシャフト部5の一端に外嵌固定された円筒状のソケット部6とから構成される。ソケット部6には、フロントアスクル20のナックル部21の先端部27(
図10を参照)に予め形成される雄ネジに螺合可能な雌ネジ7が形成されている。また、シャフト部5の他端は、軸方向に沿って一対の平面8を形成することで細径になっており、更にそれらの平面8間を貫通する小孔9が設けられている。
【0014】
本体3は略円筒状の形状を有しており、
図3に示すように、アタッチメント1のシャフト部5に形成された雄ネジ4に螺合する雌ネジ10が形成された金属製の頭部11と、その頭部11の端部に固定された金属製の押圧部12とを有している。
【0015】
頭部11の表面には、上述した一対のハンドル2が固定されている。また、押圧部12には、アタッチメント1のソケット部6が嵌合する嵌合孔13が形成されている。更に、押圧部12の開口部14側には、タイヤホイール組立体24のハブ25の内径よりも太径であるMCナイロン等の樹脂製の太径部15が外嵌しているとともに、その端縁部にはテーパ16が形成されている。
【0016】
このようなハブ取付治具を用いたフロントアクスル20へのタイヤホイール組立体24の組付作業を以下に説明する。なお、フロントアクスル20に組み付けられるタイヤホイール組立体24は、
図4の例に示すように、一般的にハブ25及びブレーキドラム29が装着されたホイール22にタイヤ23が取り付けられた構造を有するが、この組付作業に関係するのはハブ25のみであるため、以下の
図5〜8においては、ホイール22及びタイヤ23を省略している。
【0017】
最初に、
図5に示すように、ナックル部21の先端部27に予め形成された雄ネジに、ソケット部6の雌ネジ7を螺合させることで、アタッチメント1をナックル部21に同軸になるように取り付ける。このとき、シャフト部5の他端の小孔9にドライバー等の棒状の工具を挿入してトルクをかけることで、アタッチメント1とナックル部21との取付状態を確実にすることができる。
【0018】
次に、
図6に示すように、ハブ25にナックル部21を通過させて、アタッチメント1のシャフト部5の先端部分を外側へ突出させる。
【0019】
そして、
図7に示すように、外側へ突出したアタッチメント1に本体3を押圧部12側から取り付けて、シャフト部5の雄ネジ4に頭部11の雌ネジ10を螺合させつつハンドル2を介して本体3を回転させる。このとき、シャフト部5の他端が細径になっているため、雄ネジ4と雌ネジ10の螺合の開始が容易になる。
【0020】
本体3を回転させていくと、太径部15のテーパ16がハブ25の端部に当接して、ハブ25とともにタイヤホイール組立体24が本体3によりフロントアクスル20へ向けて押し込まれる。タイヤホイール組立体24が押し込まれる際には、ナックル部21とタイヤホイール組立体24とは同軸状態になるため、ハブ25がナックル部21のテーパ部28に引っかかることはない。また、太径部15がMCナイロン等の軟らかい樹脂製であるため、ハブ25の損傷を防止することができる。
【0021】
最後に、
図8に示すように、本体3の押圧部12の嵌合孔13に、アタッチメント1のソケット部6を嵌合させつつ、ハブ25をナックル部21の中間ばめ部26に嵌め合わせる。このとき、タイヤホイール組立体24には、本体3によりテーパ16を介して径方向に均等に圧力が加わるため、タイヤホイール組立体24をナックル部21に正確に中間ばめすることができる。
【0022】
以上のようにして、本発明のハブ取付治具を用いることで、自動車のフロントアクスル20に、ハブ25が装着されたタイヤホイール組立体24を容易かつ正確に組み付けることができるのである。
【符号の説明】
【0023】
1 アタッチメンチ
2 ハンドル
3 本体
4 (アタッチメントの)雄ネジ
10 (本体の)雌ネジ
11 頭部
12 押圧部
13 嵌合孔
15 太径部
16 テーパ
20 フロントアクスル
21 ナックル部
24 タイヤホイール組立体
25 ハブ
26 中間ばめ部
28 テーパ部
29 ブレーキドラム