(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定手段は、前記押圧部材と前記可動棒材の間に介在された中間部材と、前記中間部材を案内する案内部材と、を有し、前記押圧部材で前記中間部材を介して前記可動棒材を押圧することを特徴とする請求項2または3に記載の蓄電装置の製造装置。
前記固定手段は、前記押圧部材と前記可動棒材の間に介在され一端が回動可能に支持された中間部材を有し、前記押圧部材で前記中間部材の他端側を回動することにより前記中間部材を介して前記可動棒材を押圧することを特徴とする請求項2に記載の蓄電装置の製造装置。
前記固定手段は、偏心カムと、前記偏心カムと前記可動棒材の間に介在された中間部材と、前記中間部材を案内する案内部材と、を有し、前記偏心カムの回動により前記中間部材を介して前記可動棒材を押圧することを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、端子側を治具などで保持することで、ケース(蓋体)側に大きな負荷が加わることを抑制できる。ところで、一般的な蓄電装置においては、ケースの一面、主には蓋体より正極及び負極の両電極端子が突出しているため為、製造工程においては、所定の間隔をあけて配置された二本の固定具に両電極端子を係合し、供回りを防止した後、ナットを締結し、蓋に固定することが望ましい。しかし、特許文献1のボルト式端子において、ボルト式端子をナットによりケースに固定するまでは、端子は厳密に位置決めされておらず、例えば両電極端子間の間隔にもバラツキがある。この為、供回りを防止する為の固定具を両電極端子に取付けるにあたり、電極端子側にて位置合わせを精度良く行なう必要があり、作業性が悪い。
【0005】
本発明の目的は、電極端子を回り止めできるとともに作業性の良い蓄電装置の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する蓄電装置の製造装置では、
正極端子及び負極端子に係合する回り止め部材を備えた蓄電装置の製造装置において、回り止め部材を成す二本の棒材と、前記二本の棒材を支持するベース部材と、棒材に荷重を加えることができる固定手段と、を備え、
前記二本の棒材のうちの少なくとも一方は、前記ベース部材に
形成された長孔内に遊嵌状態で支持される可動棒材であり、
前記長孔内に遊嵌状態で支持された棒材は、前記固定手段による荷重が加わ
り、前記長孔の壁面に押圧されることで固定されることを要旨とする。
【0007】
これによれば、二本の棒材の内、少なくとも一本は、ベース部材に遊嵌される可動棒材である。よって、この可動棒材を固定しない状態では、両棒材の間の間隔に、調整可能な余裕代が存在する。これにより、例えば、蓄電装置の正極及び負極電極端子に、製造装置の二本の棒材を係合し、回り止めを行う場合、ナットによる固定前の正極電極端子と負極電極端子との間隔にバラツキがあっても、可動棒材を遊嵌状態とすることで、両棒材の間隔を調整し、両棒材を、容易に正極電極端子と負極電極端子に係合することができる。なお、両棒材と電極端子を係合した後に、固定手段により可動棒材を固定する。
【0008】
上記蓄電装置の製造装置において、前記ベース部材には長孔が形成され、前記可動棒材のベース部材側端部は、前記長孔内に遊嵌されるとともに、前記固定手段は前記長孔内を摺動する押圧部材を備え、前記押圧部材が、前記可動棒材のベース部材側端部を、長孔内の一端に押圧することで可動棒材が固定されるとよい。
【0009】
これによれば、可動棒材は、固定手段により固定される場合、長孔内の一端に押圧されることで、固定状態では所定の位置に固定され、位置決めされる。よって、例えば、両棒材を正極及び負極電極端子に係合した後、可動棒材を固定すれば、係合前の正極電極端子と負極電極端子との間隔にバラツキがあったとしても、可動棒材の固定により、正極電極端子と負極電極端子との間の間隔を所定の値に修正することができる。
【0010】
上記蓄電装置の製造装置において、前記押圧部材は、前記可動棒材のベース部材側端部を、前記可動棒材の中心からずらした位置にて押圧するとよい。
上記蓄電装置の製造装置において、前記押圧部材は、前記可動棒材と他方の棒材との間に配置され、他方の棒材の側より可動棒材を押圧するとよい。
【0011】
上記蓄電装置の製造装置において、前記固定手段は、前記押圧部材と前記可動棒材の間に介在された中間部材と、前記中間部材を案内する案内部材と、を有し、前記押圧部材で前記中間部材を介して前記可動棒材を押圧するとよい。
【0012】
上記蓄電装置の製造装置において、前記固定手段は、前記押圧部材と前記可動棒材の間に介在され一端が回動可能に支持された中間部材を有し、前記押圧部材で前記中間部材の他端側を回動することにより前記中間部材を介して前記可動棒材を押圧するとよい。
【0013】
上記蓄電装置の製造装置において、前記固定手段は、偏心カムと、前記偏心カムと前記可動棒材の間に介在された中間部材と、前記中間部材を案内する案内部材と、を有し、前記偏心カムの回動により前記中間部材を介して前記可動棒材を押圧するとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電極端子を回り止めできるとともに作業性が良くなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、蓄電装置を二次電池に具体化した一実施形態を
図1〜
図10にしたがって説明する。
なお、図面において、水平面を、直交するX,Y方向で規定するとともに、上下方向をZ方向で規定している。
【0017】
図1〜
図3に示すように、二次電池10において、金属製のケース11には電極組立体20および電解液(図示せず)が収容されている。また、ケース11は、上面開口部を有する直方体状のケース本体12と、ケース本体12の開口部を閉塞する矩形平板状の蓋体13とを有する。ケース本体12と蓋体13は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)であり、ケース本体12と蓋体13はレーザー溶接によって接合されている。また、本実施形態の二次電池10は、その外周が角型をなす角型電池であり、リチウムイオン電池である。
【0018】
電極組立体20は、正極電極21、負極電極22、および正極電極21と負極電極22とを絶縁するセパレータを有する。正極電極21は、正極金属箔(アルミニウム箔)の両面に正極活物質を備える。負極電極22は、負極金属箔(銅箔)の両面に負極活物質を備える。そして、電極組立体20は、複数の正極電極21と複数の負極電極22が交互に積層されるとともに、両電極の間に多孔質にて樹脂製のセパレータが介在された積層構造である。
【0019】
正極電極21は、一辺(長辺)の一部に正極集電タブ23を有し、負極電極22は、一辺(長辺)の一部に負極集電タブ24を有する。複数の正極電極21は、それぞれの正極集電タブ23が積層方向に沿って列状に配置されるように積層される。同様に、複数の負極電極22は、それぞれの負極集電タブ24が、正極集電タブ23と重ならないように積層方向に沿って列状に配置されるように積層される。電極組立体20は、正極集電タブ23を集めてなる正極タブ群25を備える。この正極タブ群25の少なくとも最外の正極集電タブ23が、正極導電部材26と溶接されており、正極タブ群25が電極組立体20における正極端子30への接続部となる。また、電極組立体20は、負極集電タブ24を集めてなる負極タブ群27を備える。この負極タブ群27の少なくとも最外の負極集電タブ24が負極導電部材28と溶接されており、負極タブ群27が電極組立体20における負極端子31への接続部となる。
【0020】
正極導電部材26には、電極端子としての正極端子30が溶接されるとともに、負極導電部材28には、電極端子としての負極端子31が溶接されている。正極端子30および負極端子31は、全体形状として円柱状をなしている。正極端子30および負極端子31は、それぞれ、円柱状の極柱部40と、四角板状をなす基部41を有する。基部41の中央から極柱部40が立設されている。極柱部40の外周面に雄ねじ部42を有する。
【0021】
図1および
図3に示すように、正極端子30および負極端子31の基部41には、樹脂製の端子カバー50が装着されている。また、基部41の上にはOリング51が極柱部40を取り囲む状態に設けられている。端子カバー50により、ケース11の蓋体13と正極端子30および負極端子31が電気的に絶縁されているとともに、ケース本体12と、正極端子30および負極端子31とが電気的に絶縁されている。さらに、端子カバー50により、電極組立体20と正極端子30および負極端子31とが電気的に絶縁されている。
【0022】
正極端子30および負極端子31の極柱部40は、ケース11の内部から蓋体13の透孔14を貫通して蓋体13の上方に突出(露出)している。透孔14の内周面と、極柱部40の外周面とは、絶縁部材52によって絶縁されている。絶縁部材52は、筒状部53と、この筒状部53の軸方向一端縁に設けられたフランジ部54を有する。筒状部53は、透孔14の内周面と極柱部40の外周面との間に介装されている。フランジ部54は、ケース11の蓋体13の外面に接している。
【0023】
正極端子30の極柱部40の雄ねじ部42にはナット55が螺合されている。同様に、負極端子31の極柱部40の雄ねじ部42にはナット56が螺合されている。ケース11の蓋体13の外面と、ナット55,56との間には、絶縁部材52のフランジ部54が挟圧され、フランジ部54によってナット55,56と蓋体13が絶縁されている。また、ナット55,56と基部41との間に、絶縁部材52のフランジ部54、ケース11の蓋体13、Oリング51および端子カバー50が狭圧されるとともに正極端子30および負極端子31がケース11の蓋体13に固定されている。
【0024】
このようにして、円柱状をなす正極端子30が蓋体13から突出して正極端子30の外周面に形成された雄ねじ部42にナット55が螺入されて蓋体13に締結されるとともに、円柱状をなす負極端子31が蓋体13から突出して負極端子31の外周面に形成された雄ねじ部42にナット56が螺入されて蓋体13に締結されている。
【0025】
正極端子30および負極端子31の極柱部40は、凹部47を有する。凹部47は、ねじ溝が形成された雌ねじ穴43と、その上方にて、ねじ溝が形成されず、雌ねじ穴43より大径の大径孔部48よりなる。
図3,4に示すように、凹部47は、極柱部40の上面中央部において開口し、極柱部40の軸方向に所定の深さとなっている。また、
図3,4に示すように、正極端子30および負極端子31の極柱部40は切欠き44,45を有する。切欠き44,45は、極柱部40の上面において凹部47の外周面からX方向に連続して延びるようにして開口し、本実施形態では、極柱部40の軸方向に大径孔部48とほぼ同じ深さとなっている。大径孔部48と切欠き44,45により嵌合穴46が構成され、
図3に示すように、嵌合穴46は正極端子30および負極端子31の極柱部40における蓋体13から突出する部位の先端に形成されている。そして、
図5に示すように、嵌合穴46に対しシャフト78,79を挿入することにより端子30,31を回り止めすることができる。
【0026】
次に、
図6,7,8,9,10を用いて電極端子の組付のための二次電池の製造装置(治具)について説明する。
図7に示すように、二次電池の製造装置(治具)60は、正極端子30の嵌合穴46に挿入される正極端子用棒材としてのシャフト78と、負極端子31の嵌合穴46に挿入される負極端子用棒材としてのシャフト79を備える。
【0027】
また、製造装置60は、下側構造体61と上側構造体62を備える。下側構造体61は、長方形の板状をなし、水平方向に延びている。そして、Y方向に延びる台座ブロック70を備え、台座ブロック70は、角柱状をなし、下側構造体61の上面におけるX方向での端部に設けられている。さらに、台座ブロック70の両端には、上側構造体62を支持するための支柱部71,72が配置されている。支柱部71,72は、断面略コ字状をなし、コ字状の開口を台座ブロック70側(内側)に向けるように配置され、上下方向(Z軸方向)に延びるように固定されている。下側構造体61の上面には、
図8に示すように、電極組立体20等が配置される。
【0028】
図7に示すように、上側構造体62は、台座ブロック70の上方に位置する可動ブロック73と、可動ブロック73より下方向に延びるシャフト78,79を有している。シャフト78,79は、本発明における棒材をなす。可動ブロック73の両端には、可動ブロック73を上下方向に摺動可能に支持するための摺動部材74,75が設けられている。摺動部材74,75は、断面略四角形にて上下方向に延びる摺動部74a,75aを備える。この摺動部74a,75aが、支柱部71,72のコ字状開口の内側に配置され、上下方向に摺動可能とされている。
【0029】
台座ブロック70の上面には、
図8に示すように、蓋体13、端子30,31、ナット55,56等が配置される。
図7に示すように、上側構造体62は、支柱部71における上面から支柱部72に向かって直線的に延びる摺動部材74が設けられている。可動ブロック73は、摺動部材74に係合する係合部76を有し、摺動部材74と係合部76とは係合した状態で上下方向(Z方向)にスライドできるようになっている。同様に、上側構造体62は、支柱部72における上面から支柱部71に向かって直線的に延びる摺動部材75が設けられている。可動ブロック73は、摺動部材75に係合する係合部77を有し、摺動部材75と係合部77とは係合した状態で上下方向(Z方向)にスライドできるようになっている。よって、可動ブロック73はY方向の両端を支持された状態で上下に移動することができる。
【0030】
可動ブロック73においてY方向に離間した位置に一対のシャフト78,79が下方に延びるように配置されている。シャフト78,79は、同一構成をなし、
図10に示すように棒部80と、棒部80の上端に設けたヘッド81を有している。棒部80は、端子の嵌合穴46と嵌合するように円柱部82と羽根部83,84を有し、円柱部82の外周面から羽根部83,84がX方向に突出する形状となっている。ベース部材側端部としてのヘッド81は、全体形状として角柱状をなし、外周面には平行な平面85,86を有している。
【0031】
図7に示すように、シャフト78は可動ブロック73に移動不能に固着されている。これに対し、シャフト79は可動ブロック73に対してガタがある状態で支持されている。
本実施形態では、上側構造体62により、シャフト78,79を支持するとともに蓋体13を支持するベース部材が構成されている。
【0032】
可動ブロック73の上面におけるシャフト79の配置箇所にはU字ブロック90がねじ止めされている。U字ブロック90にて長孔97が区画形成されている。長孔97内にシャフト79のヘッド81が遊嵌される。
【0033】
製造装置60は、固定手段としての押圧装置91を備えており、具体的には、ベース部材としての上側構造体62に固定手段としての押圧装置91が設けられている。押圧装置91によりシャフト79がY方向での外側に押圧されることにより移動不能にロックされる。
【0034】
押圧装置91を、
図9を用いて説明する。
押圧装置91は、押圧ロッド92と、ロッド支持部材93と、ロッド案内部材94と、円弧型アーム95と、操作レバー96を有している。U字ブロック90で囲まれた空間(長孔97)にシャフト79の上端のヘッド81が位置している。押圧ロッド92の先端側は、U字ブロック90で囲まれた空間(長孔97)に配置されている。ロッド支持部材93は可動ブロック73の上面に固定されている。ロッド案内部材94はロッド支持部材93に固定されており、ロッド案内部材94には押圧ロッド92が貫通する状態で摺動可能に支持されている。押圧ロッド92の基端は円弧型アーム95の一端と回動可能に連結されている。操作レバー96の一端の回動軸96aは可動ブロック73に回動可能に支持されている。円弧型アーム95の他端が操作レバー96に回動可能に連結されている。
【0035】
そして、操作レバー96が
図9および
図6(a)に示すようにX方向に延びる位置においては押圧ロッド92が最も伸長した状態となる。これに対し、
図6(b)に示すように、操作レバー96を斜めにすると、押圧ロッド92が収縮した状態となる。つまり、
図6(b)に示す操作レバー96を斜めにした状態ではシャフト79のヘッド81はU字ブロック90の壁面との間に隙間があることによりガタがある状態となる。このガタがある状態から、
図6(a)に示す操作レバー96をX方向に向くように回動すると、シャフト79のヘッド81はU字ブロック90の壁面90aに押圧されて移動不能に固定され、位置決めされる。
【0036】
このように押圧装置91は、シャフト78,79の一方であるシャフト78を対応する嵌合穴46に挿入した状態で他方であるシャフト79を対応する嵌合穴46に遊挿した状態から、シャフト79を上側構造体62に形成された壁面90aに押圧してシャフト79を位置決めすることができるようになっている。つまり、本実施形態では、シャフト79は、上側構造体62に遊嵌状態で支持される可動棒材であり、押圧装置91による荷重が加わることで固定される。さらに、押圧部材としての押圧ロッド92は、可動棒材(シャフト79)と他方の棒材としてのシャフト78との間に配置され、シャフト78の側より可動棒材(シャフト79)を押圧する。
【0037】
次に、端子30,31の組付工程について説明する。
図1等に示す電極組立体20のタブ23,24が導電部材26,28に溶接されるとともに導電部材26,28に端子30,31が溶接され、さらに、端子30,31には端子カバー50およびOリング51が装着される。また、蓋体13の透孔14には絶縁部材52が装着される。
【0038】
この状態から、
図6(b)に示すように、二次電池の製造装置(治具)60における下側構造体61の上面に、電極組立体20に蓋体13を90度開いた状態で載せるとともに上側構造体62の台座ブロック70に、蓋体13、端子30,31、端子カバー50、ナット55,56を配置する。
【0039】
次に、可動ブロック73を上下動させ、シャフト78,79の棒部80を端子30,31の嵌合穴46に挿入する。このとき、端子30,31の嵌合穴46に2本のシャフト78,79を差し込むが、一方のシャフト79はガタがあるが、以下のようにしてセット後にガタを無くすようにロックされる。
【0040】
引き続き、
図6(b)に示す状態から、
図6(a)に示すように操作レバー96を手前に回動し、押圧ロッド92をシャフト79のヘッド81に押し込む。これにより、シャフト79が外側に押圧されて固定される。つまり、外方向の力が加わり、今までガタがあった状態からガタが無くなり回り止めできるともに端子30,31間の相対位置を確保しつつ位置決めできる。
【0041】
次に、作用について説明する。
二次電池の製造装置(治具)60を用いて2本の端子30,31をナット55,56で締結する時に端子30,31を回り止めすることができる。ここで、一方の端子30を正極用のシャフト78で固定し、他方の端子31については負極用のシャフト79を横方向にスライドできるようになっており、二次電池の製造装置(治具)60の装着時には、端子30,31間に力が作用せず、装着(差し込み)が容易となる。また、ナット55,56の締結作業時は、端子30,31間に力を作用させることで、シャフト78,79と端子30,31との間を密着することができる。
【0042】
より詳しく説明する。
端子30,31に係合する回り止め部材を備えた蓄電装置の製造装置において、回り止め部材を成す二本の棒材としてのシャフト78,79と、二本のシャフト78,79を支持するベース部材としての上側構造体62と、シャフト78,79に荷重を加えることができる固定手段としての押圧装置91と、を備える。少なくとも一本のシャフト(79)は、上側構造体62に遊嵌状態で支持される可動棒材であり、押圧装置91による荷重が加わることで固定される。即ち、二本のシャフト78,79の内、少なくとも一本は、上側構造体62に遊嵌される可動棒材である。よって、この可動棒材(シャフト79)を固定しない状態では、両シャフト78,79の間の間隔に、調整可能な余裕代が存在する。
【0043】
これにより、端子30,31に、製造装置の二本のシャフト78,79を係合し、回り止めを行う場合、ナット55,56による固定前の端子30と端子31との間隔にバラツキがあっても、可動棒材(シャフト79)を遊嵌状態とすることで、両シャフト78,79の間隔を調整し、両シャフト78,79を、容易に端子30と端子31に係合することができる。なお、両シャフト78,79と端子30,31を係合した後に、押圧装置91により可動棒材(シャフト79)を固定する。よって、ナットによる固定の前の両端子間の間隔にバラツキに対し、シャフト78,79の挿入が容易となり、端子30,31を回り止めできるとともに作業性が良い。
【0044】
また、ベース部材としての上側構造体62には長孔97が形成され、可動棒材(シャフト79)のベース部材側端部としてのヘッド81は、長孔97内に遊嵌される。また、固定手段としての押圧装置91は、長孔97内を摺動する押圧部材としての押圧ロッド92を備え、押圧ロッド92が、可動棒材(シャフト79)のベース部材側端部としてのヘッド81を、長孔97内の一端に押圧することで可動棒材(シャフト79)が固定される。
【0045】
これにより、可動棒材(シャフト79)は、押圧装置91により固定される場合、長孔97内の一端に押圧されることで、固定状態では所定の位置に固定され、位置決めされる。よって、例えば、両シャフト78,79を端子30,31に係合した後、可動棒材(シャフト79)を固定すれば、係合前の端子30と端子31との間隔にバラツキがあったとしても、可動棒材(シャフト79)の固定により、端子30と端子31との間の間隔を所定の値に修正することができる。
【0046】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)シャフト78を対応する嵌合穴46に挿入した状態でシャフト79を対応する嵌合穴46に遊挿した状態から、押圧装置91により、シャフト79を上側構造体62に形成された壁面90aに押圧してシャフト79を位置決めする。これにより、正負の端子30,31の位置決めが容易となる。また、正負の端子30,31をケースの蓋体13に締結する際に端子30,31の回り止めができる。
【0047】
(2)端子30,31にシャフト78,79を装着するときの作業性もよい。つまり、端子30,31間の力をオン/オフする、即ち、左側の端子31がガタがある状態からロックされガタが無い状態にすることで、製造装置60の装着時の作業性に優れたものとなる。
【0048】
(3)2つの端子30,31間に力を作用させることで、回り止めだけで無く、端子30,31間について精度の良い位置決めが可能となる。
(4)ナット55,56の締結時においてシャフト79がロック状態となっているで、ケース11の蓋体13に加わる荷重を軽減することができる。
【0049】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・
図10においては押圧ロッド92をシャフト79の中心(ナットの回転軸)Oに向かって押圧する構成としたが、これに代わり、
図11,12,13,14に示す構成としてもよい。
【0050】
図11に示すように、押圧手段としての押圧装置120は、押圧部材としての押圧ロッド121を有し、押圧ロッド121は、シャフト79(正極端子用棒材および正極端子用棒材の他方)を、ナット56の締結力に抗する力を付与すべくシャフト79の中心Oからずらした位置を押圧する。
【0051】
詳しくは、操作レバー96の回動操作により押圧ロッド92でシャフト79のヘッド81を押さえる際に、押圧ロッド121をシャフト79のヘッド81の中心Oから所定の距離ΔL1だけずらして押圧する。よって、トルクをかけるときの「てこの原理」での長さを長くでき、トルクアップを図ることにより押付力が向上する。
【0052】
また、
図10においては押圧ロッド92でシャフト79のヘッド81を押圧するが、ナット56の締結時にトルクをかけると、シャフト79のヘッド81が押圧方向とは逆向きに押し返される。
図11ではシャフト79の中心(ナットの回転軸)Oから押圧ロッド121をずらすことで押付力を増大させて押返力を低減することができる。
【0053】
このように、押圧部材としての押圧ロッド121は、可動棒材(シャフト79)のベース部材側端部としてのヘッド81を、可動棒材(シャフト79)の中心からずらした位置にて押圧する構成としてもよい。
【0054】
図12は、
図11の変形例であり、押圧装置120は、ナット56の締結方向からシャフト79(正極端子用棒材および正極端子用棒材の他方)を押圧するナット締結方向押圧部材としての押圧ロッド122を更に有する。2つの押圧ロッド121,122を用いてシャフト79を2箇所で平行に押圧する。2つの押圧ロッド121,122はシャフト79のヘッド81の中心OからX方向において所定の距離ΔL2,ΔL3だけずれて押圧する。
【0055】
図13に示すように、固定手段としての押圧装置130は、押圧部材としての押圧ロッド121とシャフト79(正極端子用棒材および正極端子用棒材の他方)の間に介在された中間部材131と、中間部材131を案内する案内部材としての案内板132,133と、を有する。そして、押圧ロッド121で中間部材131を介してシャフト79(正極端子用棒材および正極端子用棒材の他方)を押圧する。
【0056】
詳しくは、中間部材131が案内板132,133の壁面に沿ってY方向に移動でき、かつ、中間部材131はX方向にシャフト79のヘッド81の中心Oから所定の距離だけずれて案内される。また、押圧ロッド121はシャフト79のヘッド81の中心Oから所定の距離だけずれて中間部材131を押圧して中間部材131によりシャフト79のヘッド81を押圧する。
【0057】
つまり、固定手段としての押圧装置130は、押圧部材としての押圧ロッド121と可動棒材(シャフト79)の間に介在された中間部材131と、中間部材131を案内する案内部材としての案内板132,133と、を有し、押圧ロッド121で中間部材131を介して可動棒材(シャフト79)を押圧する。
【0058】
このようにシャフト79のヘッド81を押圧する際に、中間部材131を用いてずれ量(オフセット量)を増大させトルクアップを図ることができる。
図14に示すように、固定手段としての押圧装置140は、押圧部材としての押圧ロッド141と可動棒材としてのシャフト79の間に介在され一端が回動可能に支持された中間部材142を有する。押圧ロッド141で中間部材142の他端側を回動することにより中間部材142を介してシャフト79を押圧する。
【0059】
詳しくは、中間部材142の基端が軸143により回動可能に支持され、中間部材142の先端側がシャフト79のヘッド81を押圧可能となっており、押圧ロッド141をY方向に移動させることにより中間部材142を回動させて中間部材142によりシャフト79のヘッド81を押圧する。
【0060】
・
図10においてF1で示すように負極用のシャフト79は外側へ押圧したが、これに代わり、シャフトのヘッド81を支持している部材(上側構造体62)に対しガタがあるので、いずれかの壁面に押さえ付ければよい。例えば
図10のF2で示すように内側へ押圧してもよく、
図10のF3で示すように捩じる方向に力を付与して内壁に押し付けるようにしてもよい。
【0061】
・
図15に示すように、固定手段としての押圧装置150は、偏心カム151と、偏心カム151と可動棒材としてのシャフト79の間に介在された中間部材152と、中間部材152を案内する案内部材としての案内板153,154と、を有する。そして、偏心カム151の回動により中間部材152を介してシャフト79を押圧する。
【0062】
詳しくは、偏心カム151は回転軸155にて回転可能となっている。偏心カム151とシャフト79のヘッド81との間には案内板153,154によりY方向に移動可能に中間部材152が配置されている。そして、端子30,31の回転を止める固定時においては、
図15(a)に示すように、偏心カム151を回動して中間部材152を案内板153,154の壁面に沿って移動して図中左側に移動させる。
【0063】
一方、端子組付後の解放時は、
図15(b)に示すように、偏心カム151を回動して中間部材152をシャフト79のヘッド81から離して中間部材152による拘束を解除してシャフト79を嵌合穴46から抜く。
【0064】
・
図3に代わり
図16に示す構成としてもよい、
図16において、正極端子30および負極端子31の極柱部40は雌ねじ穴43を有し、雌ねじ穴43は、極柱部40の上面中央部において開口し、極柱部40の軸方向に所定の深さとなっている。正極端子30および負極端子31の極柱部40は切欠き44,45を有し、切欠き44,45は、極柱部40の上面において雌ねじ穴43の外周面からX方向に連続して延びるようにして開口し、極柱部40の軸方向に所定の深さとなっている。雌ねじ穴43と切欠き44,45により嵌合穴49が構成され、嵌合穴49は正極端子30および負極端子31の極柱部40における蓋体13から突出する部位の先端に形成されている。嵌合穴49に対しシャフト78,79を挿入することにより端子30,31を回り止めする。
【0065】
・蓄電装置はニッケル水素二次電池や、電気二重層キャパシタとして具体化してもよい。