(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抜去規制部は、前記一対の腕部の少なくとも一方の腕部に設けられた係合部と、前記筐体側に設けられ前記係合部が係合する被係合部と、を有することを特徴とする請求項4記載のウインドスクリーンの取り付け構造。
前記筐体は、前記一方の腕部を外部からの力で撓ませて前記係合を解除可能とするよう前記一方の腕部の一部を露出させる開口部を有することを特徴とする請求項5記載のウインドスクリーンの取り付け構造。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係るウインドスクリーン及びウインドスクリーンの取り付け構造の実施例であるウインドスクリーン51及びその取り付け構造TKについて、
図1〜
図7を参照して説明する。説明の便宜上、左右上下前後の各方向を、
図1の矢印の方向で規定する。
【0011】
図1に示されるように、ウインドスクリーン51は、電子機器52の筐体52aに取り付けられる。電子機器52は、筐体52a内にマイクユニットMを内蔵する例えば角柱状のICレコーダあるいはPTT(Push to talk)スイッチ付のマイクロフォンであり、
図1にはその上部側が示されている。
ウインドスクリーン51は、スポンジ状弾性材で形成されたウインドスクリーン本体1(以下、スクリーン本体1と称する)と、樹脂材で形成されスクリーン本体1に挿通されたホルダ2と、を有する。
スポンジ状弾性材は、例えば発泡ポリウレタンである。樹脂材は、例えばPOM(ポリアセタール)樹脂である。
【0012】
図2は、
図1からウインドスクリーン51を除いた筐体52aのみを示した図である。
図2に示されるように、筐体52aの上側壁52a1は、上方側が凸となるU字形状に湾曲した周面を有して形成されている。
上側壁52a1の左右方向中央部には、左右方向に延在する凹部52bが、前後方向に複数(この例で三つ)並設されている。
各凹部52bには、筐体52aの内外を連通する貫通孔である音孔52cが形成されている。
音孔52cは、筐体52aの内部に収められたマイクユニットMの収音面Maと対応する位置に設けられている。
この複数の音孔52cが形成された範囲を、以下、音孔形成部52dと称する。
【0013】
外部から電子機器52に到達した音の一部が、音孔形成部52dの複数の音孔52cを通過してマイクユニットMの収音面Maに入来することでマイクユニットMにより電気信号に変換される。
【0014】
筐体52aには、上側壁52a1における音孔形成部52dの左側及び右側に開口し、下方に向け延びる穴として左取り付け穴52e1及び右取り付け穴52e2が形成されている(
図6も参照)。
左取り付け穴52e1及び右取り付け穴52e2の開口形状は、前後方向に長く、後述するホルダ2の左腕部2b及び右腕部2c(
図4参照)の横断面形状に対応している。
左取り付け穴52e1及び右取り付け穴52e2は、それぞれ後述する左腕部2b及び右腕部2cが所定距離進入可能とされている。
筐体52aの右側壁52a3には、貫通孔であるリリース孔52fが開口部として設けられている。
【0015】
スクリーン本体1は、
図3に示されるように、横断面(上下前後延在面)形状が上方側を上底(上面J)とする略台形形状を呈し、長手方向(左右方向)の両端側が下方に湾曲する弧状柱体として形成されている。
スクリーン本体1の下面となる底面1aは略周面状に形成され、その湾曲具合は、電子機器52の上側壁52a1の湾曲具合に対応している。
スクリーン本体1は、左端面1b及び右端面1cに開口し、底面1aに沿って湾曲形成された貫通孔1dを有している。貫通孔1dの横断面形状は、前後方向に長い扁平形状とされている。ここで、その横断面形状における貫通孔1dの開口高さを距離Waとし、前後方向距離を距離Daとする。
貫通孔1dは、底面1aとの間の距離taが、左端面1bと右端面1cとの間の延在範囲でほぼ一定となるように湾曲形成されている。
この底面1aにおける貫通孔1dに対応した部分(厚さが距離taの部分)を孔壁部1a1と称する。
【0016】
ホルダ2は、
図4に示されるように、左右方向に延在し、左右方向両端側が下方に向け湾曲してなる基部2aと、基部2aの左端部2a1から下方に向け短冊状に延出した左腕部2bと、基部2aの右端部2a2から下方に向け短冊状に延出した右腕部2cと、を有している。
この一対の腕部である左腕部2bと右腕部2cとは、基部2aの延在方向と交わる方向に延出している。例えば、
図4に示されるように、同方向に延出し、互いに対向し、かつ概ね平行に形成されている。
【0017】
基部2aの幅である前後方向の距離Dbは、スクリーン本体1の貫通孔1dの距離Daと同じに、又は少し大きく設定形成されている。
基部2aの厚さである距離Wbは、スクリーン本体1の貫通孔1dの開口高さである距離Waと同じに、又は少し大きく設定形成されている。
【0018】
基部2aの湾曲形状は、電子機器52の上側壁52a1の湾曲形状に対応して形成されている。すなわち、スクリーン本体1の貫通孔1dの湾曲形状に対応して形成されている。
基部2aの左右方向の延在長さは、スクリーン本体1の貫通孔1dの左右方向の延在長さよりも長く設定形成されている。
基部2aの中央部には、左右方向に長い貫通孔として長孔2a3が形成されている。長孔2a3の形成位置及び形状は、ウインドスクリーン51が電子機器52に装着された状態で、音孔形成部52dの位置に対応し、音孔形成部52dを包含するようになっている。
【0019】
右腕部2cは、左腕部2bよりも長く形成されている。
右腕部2c及び左腕部2bの先端の前後角部には、それぞれR付がされている(
図4における符号R)。
左腕部2bの内面2b1と右腕部2cの内面2c1との基部2aに近い部位には、それぞれ他方の腕部に向けて内方に突出する突起2b2及び突起2c2(
図6も参照)が形成されている。
【0020】
右腕部2cの外面2c3における先端側には、前後方向に長い略直方体状を呈して外方に突出する係合部2c4が形成されている。
係合部2c4における基部2aから遠い側の側面は、右腕部2cの先端側から基部2aに向かうに従って外面2c3から徐々に高くなる傾斜面2c4aとされている。
また、係合部2c4における基部2aに近い側の側面は、外面2c3からほぼ直交して立ち上がる立壁面2c4bとされている。
左腕部2b及び右腕部2cは、基部2aに対し、左右方向(
図4:矢印Ya参照)に撓めるようになっている。
【0021】
ウインドスクリーン51は、スクリーン本体1にホルダ2を取り付けたアッセンブリであり、外観が
図5に示される。
スクリーン本体1へのホルダ2の取り付けは、スクリーン本体1における貫通孔1dの例えば右端面1c側から、ホルダ2の左腕部2bを挿入し、次いでホルダ2の基部2aを貫通孔1d内に収めるようにして行う。スクリーン本体1は、ある程度の弾性を有しているので、この手順での装着が可能である。
【0022】
上述のように、貫通孔1dの横断面形状と基部2aの横断面形状とは、寸法及び形状がほぼ一致しているので、基部2aに対しスクリーン本体1は、嵌合上でほぼ隙間なく取り付けられる。
また、貫通孔1dの開口形状に対して基部2a側の形状を少し大きく形成した場合は、嵌合上で隙間なく密着して装着されるので、風防効果がより良好に発揮される。
また、基部2aの左右両端からそれぞれ左腕部2b及び右腕部2cが延出していることから、スクリーン本体1が意図せず自然にホルダ2から離脱することはない。すなわち、スクリーン本体1は、ホルダ2に対し人手により装脱が可能となっている。
【0023】
図2及び
図4において、筐体52aの左取り付け穴52e1及び右取り付け穴52e2の開口形状は、左腕部2b及び右腕部2cの横断面形状と同じか僅かに大きく形成されている。
また、左取り付け穴52e1と右取り付け穴52e2との間隔(ピッチ)は、左腕部2bと右腕部2cとの間隔(ピッチ)と同じに設定形成されている。
これにより、左腕部2b及び右腕部2cは、それぞれ筐体52aの左取り付け穴52e1及び右取り付け穴52e2に上方から下方に向け同時に挿入することができる。
【0024】
実施例では、左腕部2bよりも右腕部2cの方が長いので、ウインドスクリーン51を筐体52aの上方側から、まず右取り付け穴52e2に右腕部2cを挿入する。そしてそのまま押し込めば、自ずと左腕部2bが左取り付け穴52e1に挿入される。
右腕部2cが右取り付け穴52e2内に所定距離進入すると、右腕部2cが抜去規制部Ksにおける係合により筐体52aに係止される。抜去規制部Ksは、係合部2c4と、係合部2c4の被係合部となる突起部52g(
図6及び
図7参照:後述)とを含み構成される。
この係止位置に達することでウインドスクリーン51の装着が完了し、ウインドスクリーン51は使用状態となる。
この使用状態を説明するための縦断面図が
図6である。
【0025】
図6は、ウインドスクリーン51が筐体52aに装着された使用状態での、
図1におけるS6−S6断面図である。
図6に示されるように、右取り付け穴52e2の右外壁面52e4には、上側壁52a1の開口位置から所定距離隔てた奥側(下方側)において左方に突出する突起部52gが設けられている。突起部52gは、係合部2c4との係止対応を考慮した前後位置に、前後方向に延びる扁平の略直方体として形成されている。
突起部52gの下方側の側面は、右外壁面52e4からほぼ直交して立ち上がる立壁面52g1とされ、上方側の側面は、上方から下方に向かうに従って徐々に高くなる傾斜面52g2とされている。
【0026】
ホルダ2を筐体52aへ挿入する過程で、ホルダ2の右腕部2cに設けられた係合部2c4が、傾斜面2c4aと傾斜面52g2との摺接案内によって右腕部2cの内側へ撓んで突起部52gを乗り越える。この乗り越えにより撓みが解消し係合部2c4は突起部52gの下方側に係合する。
この係合位置が、
図6に示されるウインドスクリーン51の使用位置である。
このように、係合部2c4と突起部52gとの係合で、ホルダ2の抜去、すなわちウインドスクリーン51の抜去が規制され、係合部2c4と突起部52gはで抜去規制部として機能する。
【0027】
この使用位置で、スクリーン本体1の貫通孔1dに挿通されたホルダ2の基部2aは、筐体52aの上側壁52a1との間に、スクリーン本体1の孔壁部1a1を押しつぶすようになっている。
これにより、スクリーン本体1は、上側壁52a1における音孔形成部52d1の周囲に密着付勢される。
また、スクリーン本体1の孔壁部1a1の弾性反発力によって、ホルダ2は上方(ホルダ2が抜去される方向)に付勢される。
この付勢力により、突起部52gの立壁面52g1にホルダ2の立壁面2c4bが常に当接する。これにより、ホルダ2は筐体52aから上方に意図せず自然に抜けることはなく、筐体52aに対し、上下方向へのずれがなく強固に装着される。
【0028】
また、左腕部2bの突起2b2及び右腕部2cの突起2c2が、それぞれ左取り付け穴52e1の左内壁面52e5及び右取り付け穴52e2の右内壁面52e6に当接し、それぞれ内方に僅かに付勢するようになっている。
これにより、ホルダ2は筐体52aに対し左右方向に隙間なく装着されてずれることがない。従って、ウインドスクリーン51は、筐体52aにより強固に装着される。
【0029】
図6に示されるように、ウインドスクリーン51の使用位置において、右腕部2cの先端は、リリース孔52fを越えた位置にある。すなわち、リリース孔52fにおいて右腕部2cの一部が外部に露出している。
これにより、必要な場合、意図的にウインドスクリーン51を電子機器52から取り外すことができる。
具体的には、
図7に示されるように、リリース孔52fにピン状部材PNを挿入し(矢印Yb)、右腕部2cを押して内側(左方側)へ撓ませる(矢印Yc)。
この撓みで係合部2c4が突起部52gを乗り越え可能な位置に移動したら、ホルダ2を上方に引っ張る(矢印Yd)。
これにより、左腕部2b、次いで右腕部2cがそれぞれ左取り付け穴52e1、次いで右取り付け穴52e2から抜け出て、ウインドスクリーン51を筐体52aから取り外すことができる。
【0030】
スクリーン本体1は、ホルダ2と固着されていないので、スクリーン本体1を洗浄や交換のために取り外すことができる。この場合、ホルダ2をスクリーン本体1の貫通孔1dから抜き取ればよい。
【0031】
以上詳述したウインドスクリーン51とその取り付け構造TKによれば、ウインドスクリーン51をスクリーン本体1とホルダ2とを有するものとし、スクリーン本体1に設けられたホルダ2の基部2aに対応した形状の貫通孔1dを設け、その貫通孔1dにホルダ2を挿通することで両部材が一体化される。
特に、上述のように、貫通孔1dの開口形状に対して基部2aの断面形状を少し大きく設定形成することで、両部材は隙間なく密着して一体化される。
これにより、接着剤と接着工程は不要となり、製造コストの上昇は抑制され安価となる。
また、スクリーン本体1とホルダ2とを一体化する工程は、スクリーン本体1とホルダ2との位置合わせ、及び接着剤の誤塗布等の配慮が不要で、単に貫通孔1dにホルダ2を挿入するだけであるから、大変容易である。
【0032】
ウインドスクリーン51の取り付け構造TKは、右腕部2cの係合部2c4と被装着体である筐体52aにおける突起部52gとの当接係止で、ウインドスクリーン51の抜去方向の移動が規制される。
これにより、ウインドスクリーン51は筐体52aに強固に装着される。
【0033】
筐体52aに装着されたウインドスクリーン51の使用位置で、スクリーン本体1の一部である孔壁部1a1を圧縮させることで、ウインドスクリーン51の抜去方向への弾性反発力が生じて抜去規制部Ksの係合部2c4と突起部52gとが常に当接して隙間なく係止されるようになっている。
これにより、ウインドスクリーン51は、装着において挿抜方向にいわゆるがたつきが生じることがなく、より強固に装着される。
また、筐体52aの音孔52cを覆う孔壁部1a1を圧縮させた場合には、音孔形成部52dと孔壁部1a1と長孔2a3の側面2a3a(
図6参照)とで囲まれる空間Vaの閉塞度が向上する。
すなわち、空間Vaへ孔壁部1a1以外を通って進入する音が良好に遮断され、空間Vaへ進入する音は、スクリーン本体1の孔壁部1a1を通過した音となる。
これにより、スクリーン本体1に風が当たった場合でも、風の影響を良好に抑制し、風切音をより低減させることができる。
【0034】
スクリーン本体1は、ホルダ2に対して固定されず着脱自在(挿抜自在)に一体化されている。これにより、スクリーン本体1を、経時劣化での劣化や破損が生じて交換する場合、洗浄をする場合、意匠目的での色替えをする場合、などにおいて、スクリーン本体1のみを簡単に取り外すことができる。
これにより、ホルダ2は長期使用が可能になるので、使用者の維持費用負担が低減する。
【0035】
取り付け構造TKにおいて、ウインドスクリーン51の筐体52aからの離脱防止は、係合部2c4と突起部52gとの係止に委ねられており、スクリーン本体1の摩擦力には依存していない。
これにより、従来のように、摩擦力を増加させるためにスクリーン本体1と被装着体との間の接触面積が大きい突出形状(例えば細長の円筒形状)とする必要がない。
そのため、被装着体の外形デザインの自由度が高く、ウインドスクリーン51を外した状態での外観品位を向上させることができる。
【0036】
本発明の各実施例及びその変形例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0037】
電子機器52の形状は限定されない。例えば、筐体52aの上側壁52a1が湾曲してなく平面状であってもよい。すなわち、スクリーン本体1は、その形状が限定されず、例えば、高さが低い扁平の台形体或いは直方体であってもよい。
電子機器52は上述のICレコーダやPTT(Push to talk)スイッチ付のマイクロフォンに限定されるものではない。マイクユニットを備えて音を収音可能なものであればよい。
【0038】
一対の腕部である左腕部2bと右腕部2cとは、延出方向が異なっていてもよい。延出方向を基部2aの延在方向と交わる方向とすることで、基部2aに装着したスクリーン本体1が自然に抜けにくくなる。
【0039】
左腕部2b及び右腕部2cは、左右方向に撓むものに限定されない。
例えば、いずれかの腕部を、前後方向に並んで下方に延出する一対の腕部とし、先端側部位に前方又は後方に突出する突起を設けてもよい。
そして、この一対の腕部を、前後方向において互いに接近する方向又は離れる方向に可撓性を有するものとし、筐体52a側の突起に離脱可能に係止させるように構成してもよい。