【実施例】
【0042】
以下、参考例、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0043】
以下の参考例、実施例において、後処理の際の「Phase Separator」とはBiotage社のISOLUTE(商標登録)Phase Separatorである。カラムクロマトグラフィーを使用して精製した際の「SNAP Cartridge KP−NH」にはBiotage社SNAP Cartridge KP−NH、「SNAP Cartridge KP−Sil」にはBiotage社SNAP Cartridge KP−Sil、「SNAP Cartridge HP−Sil」にはBiotage社SNAP Cartridge HP−Sil、「SNAP Cartridge HP−Sphere」にはBiotage社SNAP Cartridge Ultra、「Chromatorex NH」には富士シリシア化学社製クロマトレックス(登録商標)NH、TLCプレートNH(富士シリシア社製)を用いた薄層クロマトグラフィー(TLC)、また、シリカゲル60、シリカゲル60Nとは、関東化学(株)から市販されているシリカゲルを使用した。分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)を使用して精製した際にはメルク社シリカゲル60F
254、20cm×20cmを使用した。精製の際の「逆相カラムクロマトグラフィー」にはWaters Sunfire prep C18 OBD,5.0μm,φ30×50mmまたはYMC−Actus Triart C18,5.0μm,φ30×50mmを用いた。
【0044】
以下の参考例、実施例中記載の各機器データは以下の測定機器で測定した。
NMRスペクトル:日本電子 JNM−ECA600(600MHz)、日本電子 NM−ECA500(500MHz)、Varian UNITYNOVA300(300MHz)、Varian社GEMINI2000/200(200MHz)
MSスペクトル:島津製作所 LCMS−2010EVあるいはmicromass Platform LC
【0045】
以下の参考例、実施例において、高速液体クロマトグラフィーマススペクトル(LCMS)は以下の条件により測定した。
条件1
測定機器:micromass Platform LCおよびAgilent Agilent1100
カラム:Waters SunFire C18, 2.5μm,φ4.6x50mm
溶媒:A液;0.1%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジエント:0分(A液/B液=90/10)、0.5分(A液/B液=90/10)、5.5分(A液/B液=20/80)、6.0分(A液/B液=1/99)、6.3分(A液/B液=1/99)
流速:1mL/min、検出法:254nm
イオン化法:電子衝撃イオン化法Electron Spray Ionization: ESI)
条件2−1
測定機械:Agilent 2900およびAgilent 6150
カラム:Waters Acquity CSH C18,1.7μm,φ2.1x50mm
溶媒:A液;0.1%ギ酸含有水、B液;0.1%ギ酸含有アセトニトリル
グラジエント:0分(A液/B液=80/20)、1.2−1.4分(A液/B液=1/99)
流速:0.8mL/min、検出法:254nm
条件2−2
測定機器、カラム、溶媒は条件2−1と同じ。
グラジエント、流速:0.8mL/min、0min(A液/B液=95/5)、1.20min(A液/B液=50/50)、1.0mL/min、1.38min(A液/B液=3/97)
検出法:254nm
【0046】
以下の実施例において、ラジオHPLCは以下の条件により測定した。
測定機械:LC−20AD(島津製作所)、SCL−10Avp(島津製作所)、SPD−20A(島津製作所)、525TR(PerkinElmer)
カラム:AtlantisT3,3μm,φ4.6x150mm(Waters)
【0047】
移動相は実施例ごとに溶媒の組成を変えて測定した。
実施例A−3の化合物を分析した際の移動相:10mmol/L酢酸アンモニウム(pH7.0)/アセトニトリル(65/35、v/v)
実施例B−2の化合物を分析した際の移動相:10mmol/L酢酸アンモニウム(pH7.0)/アセトニトリル(70/30、v/v)
実施例C−2の化合物を分析した際の移動相:10mmol/L酢酸アンモニウム(pH7.0)/アセトニトリル(75/25、v/v)
流速:1.0mL/min
検出波長:254nm
【0048】
以下の実施例において[
3H]標識体の質量分析は以下の条件により測定した。
測定機械:LTQ XL(サーモフィッシャーサイエンティフィック)
モード:ESI(+)
以下の参考例、実施例において、化合物名はACD/Name (ACD/Labs 12.01, Advanced Chemistry Development Inc.)により命名した。
【0049】
本実施例中、以下の用語及び試薬は下記のように表記した。
AcOK(酢酸カリウム)、BBr
3(三臭化ホウ素)、CHCl
3(クロロホルム)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、EtOAc(酢酸エチル)、EtOH(エタノール)、MeOH(メタノール)、Na
2SO
4(無水硫酸ナトリウム)、NaHCO
3(炭酸水素ナトリウム)、PdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2{[1,1´−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン錯体(1:1)}、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)。
【0050】
・実施例A−1:N−tert−ブチル−2−[2−(3−メトキシフェニル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(A−1)の合成
【0051】
【化8】
【0052】
(1)2−[6−ブロモ−2−(3−メトキシフェニル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−3(2H)−イル]−N−tert−ブチルアセトアミド(A−1−1)の合成
【0053】
【化9】
【0054】
窒素気流下、2−アミノ−5−ブロモ−N−[2−(tert−ブチルアミノ)−2−オキソエチル]ニコチンアミド(25.0g)、3−メトキシベンズアルデヒド(31.0g)、酢酸(22.8g)のEtOH(500mL)懸濁液をディーン・スターク装置で脱水しながら5時間加熱還流した。放冷後、減圧下で反応溶媒を留去し、得られた残渣にEtOAcを加え、生じた固体をろ取、乾燥し表題化合物(33.4g、無色固体)を得た。
MS (ESI neg.) m/z : 445([M-H]
-).
【0055】
(2)2−[6−ブロモ−2−(3−メトキシフェニル)−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]−N−tert−ブチルアセトアミド(A−1−2)の合成
【0056】
【化10】
【0057】
窒素気流下、実施例A−1(1)で得られた化合物A−1−1(33.0g)、MnO
2(32.1g)のTHF(512mL)、CHCl
3(130mL)懸濁液を5時間加熱還流した。熱時セライト(登録商標)を用いてろ過後、THF(600mL)にて洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣にEtOAcを加え、生じた固体をろ取、乾燥し表題化合物(28.7g、無色固体)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 445([M+H]
+).
【0058】
(3)N−tert−ブチル−2−[6−ヒドロキシ−2−(3−メトキシフェニル)−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(A−1−3)の合成
【0059】
【化11】
【0060】
窒素気流下、実施例A−1(2)で得られた化合物A−1−2(4.45g)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(5.08g)、PdCl
2(dppf)・CH
2Cl
2(408mg)及びAcOK(2.94g)のDMSO(45mL)溶液を100℃にて2時間加熱攪拌した。放冷後、水(200mL)を加え、生じた固体をろ取、乾燥し固体(9.91g、茶褐色固体)を得た。得られた固体(9.91g)のTHF(25mL)及びEtOH(25mL)溶液にNaHCO
3水溶液(1.68g/水 15mL)を加えた後に氷冷し、反応液温度8℃以下を保ちながら、30%過酸化水素水(3.40mL)を加えた後、2時間攪拌した。反応液に亜硫酸ナトリウム水溶液(3.78g/水 50mL)を加えた後、15分間攪拌した。CHCl
3(100mL)、飽和食塩水(100mL)を加え分液後、水層をCHCl
3(50mL)で2回抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥後に乾燥剤をろ別し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SNAP Cartridge HP−Sphere、移動相:CHCl
3/MeOH=100/0〜90/10;v/v)にて精製し表題化合物(3.69g、灰色固体)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 383([M+H]
+).
【0061】
(4)N−tert−ブチル−2−[2−(3−メトキシフェニル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(A−1)の合成
【0062】
【化12】
【0063】
実施例A−1(3)で得られた化合物A−1−3(3.65g)、4−(3−クロロプロピル)モルホリン 塩酸塩(2.29g)、炭酸セシウム(15.6g)及びヨウ化カリウム(0.792g)のDMF(36mL)懸濁液を外温85℃で4時間攪拌した。反応液を放冷後、飽和NaHCO
3水溶液(120mL)、EtOAc(120mL)及びトルエン(20mL)を加え分液後、有機層を飽和食塩水(120mL)で洗浄した。水層をEtOAc(120mL)及びトルエン(20mL)で2回抽出し、有機層を合わせてNa
2SO
4で乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SNAP Cartridge HP−Sphere、移動相:CHCl
3/MeOH=99/1〜90/10;v/v)にて精製し表題化合物(4.55g、褐色アモルファス)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 510([M+H]
+).
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ (ppm) ; 1.35 (9 H, s), 2.01 - 2.08 (2 H, m), 2.48 (4 H, br. s.), 2.55 (2 H, t, J=7.0 Hz), 3.73 (4 H, t, J=4.5 Hz), 3.83 (3 H, s), 4.19 (2 H, t, J=6.4 Hz), 4.52 (2 H, s), 5.45 (1 H, s), 7.02 - 7.05 (1 H, m), 7.23 (1 H, d, J=7.4 Hz), 7.25 - 7.26 (1 H, m), 7.37 (1 H, t, J=7.8 Hz), 7.95 (1 H, d, J=3.3 Hz), 8.72 (1 H, d, J=3.3 Hz).
【0064】
・実施例A−2:N−tert−ブチル−2−[2−(3−ヒドロキシフェニル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミドの合成
【0065】
【化13】
【0066】
実施例A−1(4)で得られた化合物A−1(1.00g)をCHCl
3(20mL)に溶解し、氷冷下でBBr
3(1mmol/Lジクロロメタン溶液、9.81mL)を滴下し室温で24時間攪拌した。反応液に氷冷下でMeOHを加えた後に、CHCl
3(80mL)、飽和NaHCO
3水溶液(100mL)を加え分液後、飽和食塩水(100mL)で洗浄した。水層をCHCl
3(100mL)で2回抽出し有機層を合わせてNa
2SO
4で乾燥した。乾燥剤をろ別後、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SNAP Cartridge KP-NH、移動相:CHCl
3/MeOH=100/0〜90/10;v/v)にて精製した。得られた粗精製物にEtOAc(1.5mL)及びn−ヘキサン(1.5mL)を加え、10分間加熱還流後に、室温まで冷却し、12時間攪拌した。固体をろ取、乾燥し、表題化合物(400mg、淡褐色固体)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 496([M+H]
+).
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ (ppm) ; 1.32 (9 H, s), 2.01 - 2.07 (2 H, m), 2.42 - 2.51 (4 H, m), 2.54 (2 H, t, J=6.8 Hz), 3.73 (4 H, t, J=4.3 Hz), 4.15 - 4.20 (2 H, m), 4.51 (2 H, s), 5.48 (1 H, s), 6.89 - 6.93 (1 H, m), 7.06 (1 H, d, J=7.4 Hz), 7.12 - 7.15 (1 H, m), 7.24 (1 H, t, J=7.8 Hz), 7.93 - 7.97 (1 H, m), 8.39 (1 H, br. s.), 8.66 (1 H, d, J=3.3 Hz).
【0067】
・実施例Aa−1:N−tert−ブチル−2−[2−(3−メトキシフェニル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(A−1)の合成
【0068】
【化14】
【0069】
実施例A−2で得られた化合物A−2(30mg)、4−ニトロベンゼンスルホン酸メチル(13.1mg)及び炭酸セシウム(30mg)のDMF(600μL)懸濁液を室温で16時間攪拌した。不溶物をろ別後、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:0.1% TFA MeCN/H
2O=10/90〜90/10;v/v)にて精製した。フラクションを飽和NaHCO
3水溶液にて中和し、CHCl
3にて抽出し、Na
2SO
4乾燥後、乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧下留去し、表題化合物(6.4mg、淡褐色アモルファス)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 510([M+H]
+).
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ (ppm) ; 1.35 (9 H, s), 2.02 - 2.08 (2 H, m), 2.48 (4 H, br. s.), 2.53 - 2.58 (2 H, m), 3.72 - 3.76 (4 H, m), 3.83 (3 H, s), 4.19 (2 H, t, J=6.4 Hz), 4.52 (2 H, s), 5.43 (1 H, s), 7.03 - 7.06 (1 H, m), 7.22 - 7.24 (1 H, m), 7.25 - 7.26 (1 H, m), 7.37 (1 H, t, J=8.1 Hz), 7.95 (1 H, d, J=3.3 Hz), 8.72 (1 H, d, J=3.3 Hz).
【0070】
・実施例A−3:N−tert−ブチル−2−[2−{3−[(
3H
3)メチルオキシ]フェニル}−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(A−3)の合成
【0071】
【化15】
【0072】
実施例Aa−1と同様の手法にて、4−ニトロベンゼンスルホン酸(
3H
3)メチルを用いて、化合物A−2から表題化合物を合成し(合成数量347MBq、比放射能3.17TBq/mmol)、37MBq/mLのエタノール溶液を調製した。
Radio-HPLC 保持時間:9.36min
MS (ESI pos.) m/z : 516([M+H]
+).
【0073】
・実施例B−1:N−tert−ブチル−2−[2−(6−ヒドロキシピリジン−2−イル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(B−1)の合成
【0074】
【化16】
【0075】
(1)2−[6−ブロモ−2−(6−メトキシピリジン−2−イル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−3(2H)−イル]−N−tert−ブチルアセトアミド(B−1−1)の合成
【0076】
【化17】
【0077】
実施例A−1(1)と同様の手法にて、6−メトキシピリジン−2−カルバルデヒド(5.0g)から表題化合物(8.28g)を得た。
【0078】
(2)2−[6−ブロモ−2−(6−メトキシピリジン−2−イル)−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]−N−tert−ブチルアセトアミド(B−1−2)の合成
【0079】
【化18】
【0080】
実施例A−1(2)と同様の手法にて、実施例B−1(1)で得られた化合物B−1−1(8.28g)から表題化合物(6.86g、無色固体)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 446([M+H]
+).
【0081】
(3)N−tert−ブチル−2−[6−ヒドロキシ−2−(6−メトキシピリジン−2−イル)−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(B−1−3)の合成
【0082】
【化19】
【0083】
実施例A−1(3)と同様の手法にて、実施例B−1(2)で得られた化合物B−1−2(6.22g)から表題化合物(3.85g、灰色固体)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 384([M+H]
+).
【0084】
(4)N−tert−ブチル−2−[2−(6−メトキシピリジン−2−イル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(B−1−4)の合成
【0085】
【化20】
【0086】
実施例A−1(4)と同様の手法にて、実施例B−1(3)で得られた化合物B−1−3(1.80g)から表題化合物(1.31g、黄色アモルファス)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 511([M+H]
+).
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ (ppm) ; 1.24 (9 H, s), 2.01 - 2.09 (2 H, m), 2.48 (4 H, br. s.), 2.55 (2 H, t, J=7.0 Hz), 3.70 - 3.77 (4 H, m), 3.94 (3 H, s), 4.20 (2 H, t, J=6.2 Hz), 5.08 (2 H, s), 5.39 (1 H, s), 6.87 (1 H, d, J=8.3 Hz), 7.67 - 7.71 (1 H, m), 7.72 - 7.77 (1 H, m), 7.96 (1 H, d, J=3.3 Hz), 8.73 (1 H, d, J=3.3 Hz).
【0087】
(5)N−tert−ブチル−2−[2−(6−ヒドロキシピリジン−2−イル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(B−1)の合成
【0088】
【化21】
【0089】
実施例B−1(4)で得られた化合物B−1−4(700mg)、ヨウ化ナトリウム(1.44g)をアセトニトリル(20mL)に懸濁し、クロロトリメチルシラン(1.21mL)を加えた。15分間室温で攪拌後、外温85℃で1時間攪拌した。反応液を放冷後、氷冷下で水(20mL)を加えた後、飽和NaHCO
3水溶液(100mL)及びCHCl
3(100mL)を加え分液後、飽和食塩水(100mL)で洗浄した。水層をCHCl
3(100mL)で3回抽出し、有機層を合わせてNa
2SO
4乾燥後、乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SNAP Cartridge HP-Sphere、移動相:CHCl
3/MeOH=98/2〜85/15;v/v)にて精製した。得られた粗精製物にEtOAc(6mL)及びn−ヘキサン(3mL)を加え、析出物をろ取、乾燥し、表題化合物(290mg、淡褐色アモルファス)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 497([M+H]
+).
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ (ppm) ; 1.41 (9 H, s), 1.99 - 2.09 (2 H, m), 2.48 (4 H, br. s.), 2.55 (2 H, t, J=6.8 Hz), 3.69 - 3.76 (4 H, m), 4.20 (2 H, t, J=6.2 Hz), 4.61 (2 H, s), 6.09 (1 H, s), 6.73 (1 H, d, J=8.3 Hz), 6.96 (1 H, d, J=6.6 Hz), 7.48 - 7.54 (1 H, m), 7.87 - 7.93 (1 H, m), 8.74 (1 H, d, J=3.3 Hz), 10.54 - 11.09 (1 H, m).
【0090】
・参考例Ba−1:N−tert−ブチル−2−[2−(6−メトキシピリジン−2−イル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(B−1−4)の合成
【0091】
【化22】
【0092】
実施例B−1で得られた化合物B−1(30mg)、4−ニトロベンゼンスルホン酸メチル(13.1mg)及び炭酸セシウム(30mg)のDMF(600μL)懸濁液を室温で16時間攪拌した。不溶物をろ別後、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:0.1% TFA MeCN/H
2O=10/90〜90/10;v/v)にて精製した。フラクションを飽和NaHCO
3水溶液にて中和し、CHCl
3にて抽出し、Na
2SO
4乾燥後、乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧下留去し、表題化合物(11mg、淡褐色アモルファス)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 511([M+H]
+).
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ (ppm) ; 1.24 (9 H, s), 2.02 - 2.09 (2 H, m), 2.48 (4 H, br. s.), 2.53 - 2.58 (2 H, m), 3.71 - 3.76 (4 H, m), 3.94 (3 H, s), 4.20 (2 H, t, J=6.4 Hz), 5.08 (2 H, s), 5.39 (1 H, s), 6.88 (1 H, dd, J=8.3, 0.8 Hz), 7.69 (1 H, dd, J=7.4, 0.8 Hz), 7.75 (1 H, dd, J=8.3, 7.4 Hz), 7.96 (1 H, d, J=2.9 Hz), 8.73 (1 H, d, J=3.3 Hz).
【0093】
・実施例B−2:N−tert−ブチル−2−[2−{6−[(
3H
3)メチルオキシ]ピリジン−2−イル}−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(B−2)の合成
【0094】
【化23】
【0095】
参考例Ba−1と同様の手法にて、4−ニトロベンゼンスルホン酸(
3H
3)メチルを用いて、化合物B−1から表題化合物を合成し(合成数量235MBq、比放射能3.15TBq/mmol)、11.5MBq/mLのエタノール溶液を調製した。
Radio-HPLC 保持時間:15.81min
MS (ESI pos.) m/z : 517([M+H]
+).
【0096】
・実施例C−1:2−[2−(6−ヒドロキシピリジン−2−イル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]−N−イソプロピルアセトアミド(C−1)の合成
【0097】
【化24】
【0098】
(1)2−[6−ブロモ−2−(6−メトキシピリジン−2−イル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロピリド[2,3−d]ピリミジン−3(2H)−イル]−N−イソプロピルアセトアミド(C−1−1)の合成
【0099】
【化25】
【0100】
実施例A−1(1)と同様の手法にて、2−アミノ−5−ブロモ−N−{2−[(1−メチルエチル)アミノ]−2−オキソエチル}ピリジン−3−カルボキサミド(31.0g)及び6−メトキシピリジン−2−カルバルデヒド(40.5g)から表題化合物(39.4g、淡褐色固体)を得た。
【0101】
(2)2−[6−ブロモ−2−(6−メトキシピリジン−2−イル)−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]−N−イソプロピルアセトアミド(C−1−2)の合成
【0102】
【化26】
【0103】
実施例A−1(2)と同様の手法にて、実施例C−1(1)で得られた化合物C−1−1(39.0g)から表題化合物(31.4g、無色固体)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 432([M+H]
+).
【0104】
(3)2−[6−ヒドロキシ−2−(6−メトキシピリジン−2−イル)−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]−N−イソプロピルアセトアミド(C−1−3)の合成
【0105】
【化27】
【0106】
実施例A−1(3)と同様の手法にて、実施例C−1(2)で得られた化合物C−1−2(30.0g)から表題化合物(31.3g、褐色固体)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 370([M+H]
+).
【0107】
(4)N−イソプロピル−2−[2−(6−メトキシピリジン−2−イル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(C−1−4)の合成
【0108】
【化28】
【0109】
実施例A−1(4)と同様の手法にて、実施例C−1(3)で得られた化合物C−1−3(3.70g)から表題化合物(1.73g、淡褐色固体)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 497([M+H]
+).
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ (ppm) ; 1.09 (6 H, d, J=6.6 Hz), 2.00 - 2.10 (2 H, m), 2.43 - 2.51 (4 H, m), 2.55 (2 H, t, J=7.2 Hz), 3.70 - 3.77 (4 H, m), 3.93 (3 H, s), 3.95 - 4.04 (1 H, m), 4.20 (2 H, t, J=6.4 Hz), 5.06 (2 H, s), 5.45 (1 H, d, J=7.8 Hz), 6.88 (1 H, d, J=8.3 Hz), 7.70 (1 H, d, J=7.4 Hz), 7.73 - 7.77 (1 H, m), 7.97 (1 H, d, J=3.3 Hz), 8.74 (1 H, d, J=2.9 Hz).
【0110】
(4)2−[2−(6−ヒドロキシピリジン−2−イル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]−N−イソプロピルアセトアミド(C−1)の合成
【0111】
【化29】
【0112】
実施例B−1(5)と同様の手法にて、実施例C−1(4)で得られた化合物C−1−4(700mg)を用いて表題化合物(600mg、淡黄色固体)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 483([M+H]
+).
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ (ppm) ; 1.23 (6 H, d, J=6.2 Hz), 2.03 - 2.11 (2 H, m), 2.44 - 2.61 (6 H, m), 3.74 (4 H, br. s.), 4.16 - 4.23 (3 H, m), 4.63 (2 H, s), 6.08 - 6.13 (1 H, m), 6.74 (1 H, d, J=8.7 Hz), 6.99 (1 H, d, J=6.6 Hz), 7.52 (1 H, dd, J=9.1, 7.0 Hz), 7.86 - 7.94 (1 H, m), 8.72 - 8.81 (1 H, m), 10.69 - 11.12 (1 H, m).
【0113】
・参考例Ca−1:N−イソプロピル−2−[2−(6−メトキシピリジン−2−イル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(C−1−4)の合成
【0114】
【化30】
【0115】
実施例C−1で得られた化合物C−1(30mg)、4−ニトロベンゼンスルホン酸メチル(13.5mg)及び炭酸セシウム(30mg)のDMF(600μL)懸濁液を室温で16時間攪拌した。不溶物をろ別後、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:0.1% TFA MeCN/H
2O=10/90〜90/10;v/v)にて精製した。フラクションを飽和NaHCO
3水溶液にて中和し、CHCl
3にて抽出し、Na
2SO
4乾燥後、乾燥剤を濾別し、溶媒を減圧下留去し、表題化合物(11mg、淡褐色固体)を得た。
MS (ESI pos.) m/z : 497([M+H]
+).
1H-NMR (600 MHz, CDCl
3) δ (ppm) ; 1.09 (6 H, d, J=6.6 Hz), 2.00 - 2.11 (2 H, m), 2.48 (4 H, br. s.), 2.55 (2 H, t, J=7.0 Hz), 3.71 - 3.76 (4 H, m), 3.93 (3 H, s), 3.94 - 4.04 (1 H, m), 4.20 (2 H, t, J=6.2 Hz), 5.06 (2 H, s), 5.49 (1 H, d, J=7.4 Hz), 6.88 (1 H, dd, J=8.3, 0.8 Hz), 7.70 (1 H, d, J=7.0 Hz), 7.73 - 7.78 (1 H, m), 7.93 - 7.99 (1 H, m), 8.74 (1 H, d, J=2.9 Hz).
【0116】
・実施例C−2:N−イソプロピル−2−[2−{6−[(
3H
3)メチルオキシ]ピリジン−2−イル}−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]アセトアミド(C−2)の合成
【0117】
【化31】
【0118】
参考例Ca−1と同様の手法にて、4−ニトロベンゼンスルホン酸(
3H
3)メチルを用いて、化合物C−1から表題化合物を合成し(合成数量357MBq、比放射能3.16TBq/mmol)、37.0MBq/mLのエタノール溶液を調製した。
Radio-HPLC 保持時間:15.07min
MS (ESI pos.) m/z : 503([M+H]
+).
【0119】
試験例1
・V1b受容体結合試験
ヒトV1b受容体を一過性に発現させた293FT細胞を回収し、15mmol/L トリス塩酸緩衝液(pH7.4、2mmol/L 塩化マグネシウム、0.3mmol/L エチレンジアミン四酢酸、1mmol/L グリコールエーテルジアミン四酢酸を含む)中でホモジナイズした。得られたホモジネートを50,000×g、4℃で20分間遠心分離し、沈殿物を75mmol/L トリス塩酸緩衝液(pH7.4、12.5mmol/L 塩化マグネシウム、0.3mmol/L エチレンジアミン四酢酸、1mmol/L グリコールエーテルジアミン四酢酸、250mmol/Lショ糖を含む)に再懸濁して粗膜標品とし、結合試験実施前まで−80℃にて保存した。結合試験の際は、この粗膜標品を50mmol/L トリス塩酸緩衝液(pH7.4、10mmol/L 塩化マグネシウム、0.1% ウシ血清アルブミンを含む)にて希釈し、各被検化合物、及び[
3H]AVP(最終濃度0.4〜1nmol/L)と混合し、室温で60分間インキュベーションした。被検化合物はDMSOにて段階的に希釈し、混合時の被検化合物の最終濃度は、0.01nmol/L〜1μmol/Lである。インキュベーション後、混合溶液を0.3% ポリエチレンイミンを浸透させたGF/Cフィルターへと吸引濾過した。このGF/Cフィルターを乾燥させてシンチレーターを加えた後、トップカウント(パーキンエルマー社)を用いてフィルター上に残存する放射能を測定した。10μmol/Lの未標識AVP存在下での放射能を0%とし、未標識AVP非存在下での放射能を100%とした。各濃度の被検化合物存在下での放射能より用量反応曲線を作成し、被検化合物の50%阻害濃度(IC
50値)を算出した。化合物A−1、B−1−4及びC−1−4のIC
50値を表1に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
試験例2
・ラット下垂体前葉膜結合試験(化合物A−3結合試験)
ラット下垂体前葉を摘出し、湿重量に対して10倍量の10mmol/L HEPES緩衝液(pH7.4、1mmol/L エチレンジアミン四酢酸、250mmol/L ショ糖、0.1mmol/L フッ化フェニルメタンスルホニル、プロテアーゼインヒビターを含む)中でホモジナイズした。得られたホモジネートを1,000×g、4℃で10分間遠心分離し、得られた上清をさらに50,000×g、4℃で20分間遠心分離した。得られた沈殿物を10mmol/L HEPES緩衝液に懸濁し、粗膜標品として結合試験実施前まで−80℃にて保存した。結合試験の際は、この粗膜標品を50mmol/L トリス塩酸緩衝液(pH7.4、10mmol/L 塩化マグネシウム、0.1% ウシ血清アルブミンを含む)にて希釈し、化合物A-3(最終濃度0.17〜9.6nmol/L)と混合し、室温で60分間インキュベーションした。インキュベーション後、混合溶液を0.3% ポリエチレンイミンを浸透させたGF/Cフィルターへと吸引濾過し、冷蔵した50mmol/L トリス塩酸緩衝液(pH7.4、10mmol/L 塩化マグネシウムを含む)で洗浄した。このGF/Cフィルターを乾燥させてシンチレーターを加えた後、トップカウントを用いてフィルター上に残存する放射能を測定した。10μmol/LのAVP存在下での放射能を非特異結合とし、AVP非存在下での放射能(総結合)との差分を特異結合とした。化合物A−3の結合試験時の最終放射能濃度と特異結合の関係をプロットした結合飽和曲線より、結合解離定数を算出した。結果を
図1に示す。
【0122】
図1に示した通り、化合物A−3の低濃度側では濃度依存的に特異結合が増加し、高濃度側では特異結合が飽和した。結合解離定数は0.41 nmol/Lであった。
【0123】
試験例3
・in vivoラット下垂体前葉結合試験(化合物A−3結合試験)
ラットに化合物A-3(0.9 nmol/kg、 3.0 MBq/kg)を尾静脈内投与し、投与30分後に下垂体前葉および眼球を摘出した。摘出した組織を1mLの氷冷したトリス塩酸緩衝液(pH7.4、10mmol/L 塩化マグネシウムを含む)中でホモジナイズし、0.3% ポリエチレンイミンを浸透させたGF/Bフィルターへと速やかに吸引濾過し、氷冷したトリス塩酸緩衝液で洗浄した。このGF/Bフィルターを乾燥させてシンチレーターを加えた後、液体シンチレーションカウンターを用いて放射能を測定した。放射能濃度はフィルトレーションした組織ホモジネート中のタンパク質濃度により補正した。結果を
図2に示す。
【0124】
ブロッキング試験として、V1b受容体に結合親和性を有する2−[2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−6−[3−(モルホリン−4−イル)プロポキシ]−4−オキソピリド[2,3−d]ピリミジン−3(4H)−イル]−N−イソプロピルアセトアミド(WO2009/017236記載の実施例A−250)を1 mg/kgにて尾静脈内投与し、5分後に化合物A−3を尾静脈内投与し、上記と同様の操作を行った。結果を
図2に示す。
【0125】
図2に示した通り、V1b受容体が高発現している下垂体前葉では放射能濃度の上昇が認められ、V1b受容体の発現のない眼球では放射能濃度が認められなかった(ブロッキングなし)。また、ブロッキング試験では、下垂体前葉での放射能濃度の上昇が完全に抑制された。