(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザに直接的または間接的に装着されるセンサ装置に伝達された衝撃を検出する第1のセンサの検出値を含む第1の時系列データと、前記第1のセンサよりも高い分解能で前記センサ装置の物理的挙動を検出し、前記第1のセンサにより検出される物理量と同一の物理量を検出する第2のセンサの検出値を含む第2の時系列データとを取得するセンサデータ取得部と、
前記第1の時系列データに基づいて、前記第2の時系列データにおいて前記ユーザのモーションパターンを判定するための解析が実施される解析対象区間を設定する区間設定部と、
前記解析対象区間における前記第2の時系列データに基づいて前記ユーザのモーションパターンを判定する解析部と、
前記ユーザのモーションパターンを示す情報を出力する出力部と、
を備え、
前記区間設定部は、前記第1のセンサの検出値の周波数成分が前記センサ装置の被装着物の固有振動数を含む区間を基準にして前記解析対象区間を設定し、
前記出力部は、前記ユーザのモーションパターンを示す少なくとも二種類以上の画像を表示する、
情報処理装置。
前記ユーザのモーションパターンを示す画像は、ショットタイプを表す画像、前記第1の時系列データに基づいた波形表示画像、前記第2の時系列データに基づいた波形表示画像、打具におけるインパクト位置を表示する画像又は前記ユーザのモーションパターンに関する指標値を示す画像を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
ユーザに直接的または間接的に装着されるセンサ装置と、前記センサ装置から送信された解析対象データを解析することによって前記ユーザのモーションパターンを判定する解析装置とを含み、
前記センサ装置は、
前記センサ装置に伝達された衝撃を検出する第1のセンサと、
前記第1のセンサよりも高い分解能で前記センサ装置の物理的挙動を検出し、前記第1のセンサにより検出される物理量と同一の物理量を検出する第2のセンサと、
前記第1のセンサの検出値を含む第1の時系列データ、および前記第2のセンサの検出値を含む第2の時系列データに基づいて前記解析対象データを生成するセンサデータ前処理部と、
前記解析対象データを前記解析装置に送信する通信部と
を有し、
前記解析装置は、
前記解析対象データを受信する通信部と、
前記第1の時系列データに基づいて、前記第2の時系列データにおいて前記ユーザのモーションパターンを判定するための解析が実施される解析対象区間を設定する区間設定部と、
前記解析対象区間における前記第2の時系列データに基づいて前記ユーザのモーションパターンを判定する解析部と、
前記ユーザのモーションパターンを示す情報を出力する出力部と、
を有し、
前記区間設定部は、前記第1のセンサの検出値の周波数成分が前記センサ装置の被装着物の固有振動数を含む区間を基準にして前記解析対象区間を設定し、
前記出力部は、前記ユーザのモーションパターンを示す少なくとも二種類以上の画像を表示する、
情報処理システム。
ユーザに直接的または間接的に装着されるセンサ装置に伝達された衝撃を検出する第1のセンサの検出値を含む第1の時系列データと、前記第1のセンサよりも高い分解能で前記センサ装置の物理的挙動を検出し、前記第1のセンサにより検出される物理量と同一の物理量を検出する第2のセンサの検出値を含む第2の時系列データとを取得する機能と、
前記第1のセンサの検出値の周波数成分が前記センサ装置の被装着物の固有振動数を含む区間を基準にして、前記第2の時系列データにおいて前記ユーザのモーションパターンを判定するための解析が実施される解析対象区間を設定する機能と、
前記解析対象区間における前記第2の時系列データに基づいて前記ユーザのモーションパターンを判定する機能と、
前記ユーザのモーションパターンを示す少なくとも二種類以上の画像を表示する機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラムが記録された記録媒体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.概要
2.機能構成
3.処理フロー
4.具体例
5.出力される情報の例
6.ハードウェア構成
7.補足
【0018】
(1.概要)
まず、
図1および
図2を参照して、本開示の一実施形態の概要について説明する。概要の説明は、本実施形態に係る情報処理システムの概要の説明と、情報処理システムで実行されるモーション識別処理の概要の説明とを含む。
【0019】
(情報処理システムの概要)
図1は、本開示の一実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図である。
図1を参照すると、情報処理システム10は、センサ装置100と、解析装置200とを含む。
【0020】
センサ装置100は、スポーツをプレーするユーザに直接的または間接的に装着される。センサ装置100がユーザに直接的に装着される場合、例えば、図示しているようにセンサ装置100を腕輪状の形状にするなどして、ユーザの体に直接装着してもよい。また、センサ装置100がユーザに間接的に装着される場合、ユーザが把持または装着しているスポーツ用具(例えばテニスの場合、ラケット、ウェア、シューズ、リストバンドなど)にセンサ装置100を巻きつけたり、縫い付けたり、貼り付けたり、また予め用具に内蔵したりしてもよい。
【0021】
ここで、センサ装置100は、センサ装置100自身の物理的挙動(位置、速度、加速度など)を示すセンサ情報を取得する。このセンサ情報には、ユーザや用具の物理的挙動が反映されうる。本実施形態において、センサ装置100は、こうしたセンサ情報を取得するために、少なくとも2つのセンサを有する。第1のセンサは、センサ装置100がユーザまたは用具から伝達された衝撃を検出する。第1のセンサは、例えばショックセンサとして用いられる1軸の加速度センサを含みうる。一方、第2のセンサは、センサ装置100の挙動を第1のセンサよりも高い分解能で検出する。第2のセンサは、例えばモーションセンサとして用いられる3軸の加速度センサや、ジャイロセンサ、地磁気センサなどを含みうる。センサ装置100は、第1および第2のセンサ以外にも、例えば加速度、角速度、振動、温度、時刻、または位置(例えば緯度経度によって表される地表上の位置、またはコートなどに対する相対的な位置)などを検出する1または複数のセンサを有してもよい。センサ装置100は、これらのセンサから得られる時系列データを解析装置200に送信する。
【0022】
解析装置200は、センサ装置100から送信された時系列データを解析することによって、少なくともユーザのモーションパターンを判定する。解析装置200は、ネットワーク上のサーバとして図示されているが、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを用いた演算によってデータを解析する機能を有する情報処理装置であればどのようなものであってもよい。他の例において、解析装置200は、例えばスマートフォン、タブレット端末、または各種のPC(Personal Computer)のような端末装置でありうる。解析装置200が端末装置として実現される場合、解析装置200は、判定されたユーザのモーションパターンを示す情報を出力してもよい。あるいは、解析装置200がサーバとして実現される場合、解析装置200は、判定されたユーザのモーションパターンを示す情報を、例えばユーザが自宅で使用する端末装置などのクライアント300に送信してもよい。さらに、解析装置200は、モーションパターンの判定結果に基づいて、例えばユーザがどのモーションを何回実行したかといったような統計情報を出力してもよいし、それぞれのモーションにおけるユーザの傾向(例えば球技の場合、用具にボールが当たる位置や、ボールに与えられたパワーまたは回転など)を示す情報を出力してもよい。
【0023】
なお、図示された例のように解析装置200がサーバとして実現される場合、サーバの機能は単一のサーバ装置によって実現されてもよく、ネットワークを介して接続された複数のサーバ装置に分散して実現されてもよい。また、解析装置200の機能は、ネットワークを介して接続されたサーバと端末装置とに分散して実現されてもよい。
【0024】
(モーションパターン判定処理の概要)
図2は、本開示の一実施形態におけるモーションパターン判定処理の概要について説明するための図である。
図2に示されるように、モーションパターン判定処理では、センサ装置100が有する2つのセンサから出力される時系列データ1001,1003が入力として用いられる。
【0025】
図示された例において、時系列データ1001は、第1の加速度センサ(1軸)から出力されるデータを含む。第1の加速度センサは、いわゆるショックセンサであり、ダイナミックレンジが広く、衝撃によって発生する比較的高い周波数の加速度を検出可能である一方で、加速度の分解能はあまり高くない。一方、時系列データ1003は、第2の加速度センサ(3軸)から出力されるデータを含む。第2の加速度センサは、いわゆるモーションセンサであり、重力のような定常成分を含む比較的低い周波数の加速度を検出可能であり、加速度の分解能が高い一方で、ダイナミックレンジは比較的狭い(衝撃によって発生する加速度は検出可能範囲を超える可能性がある)。
【0026】
モーションパターンの判定のための識別演算には、基本的に、分解能が高い時系列データ1003が用いられる。それに加えて、本実施形態では、前処理として時系列データ1001を用いたモーション区間設定処理(インパクト検出処理)が実行される。この処理では、時系列データ1001に基づいて、時系列データ1003における解析対象区間が設定される。つまり、この前処理によって、時系列データ1003における識別演算の対象が、時系列データ1001に基づいて設定された解析対象区間に限られる。
【0027】
多くのスポーツにおいて、モーションパターン判定の対象になるような特徴的なモーションは、例えば用具またはユーザの体でボールを打つことであったり、ユーザが地面を蹴ったり、他のユーザにぶつかったりすることでありうる。こうしたモーションはユーザまたは用具に加えられる衝撃とそれによって生じる振動を伴うため、ショックセンサの時系列データ1001において振動が検出された点の前後をモーションに対応する区間(モーション区間)として特定することが可能である。
【0028】
モーション区間設定処理の後、設定された解析対象区間において、時系列データ1003の特徴が抽出される。ここでは、例えば時系列データ1003について信号処理を実行することによって、信号波形の周波数特性や、平均、分散、最小値および最大値といったような時間波形の統計的な特徴が抽出される。例として
図10にフォアハンドストロークとサーブ時のセンサ出力波形を示す。両者を比較すると、特にω−X,ω−Zなどの時間波形の振幅に異なる特徴が現れている。なお、特徴の抽出に先立って、信号波形の欠落部分を補間されてもよい。また、抽出された特徴には、正規化などの統計的な処理が施されてもよい。
【0029】
続いて、抽出された特徴に対して識別演算が実行される。識別演算は、予め用意された識別辞書(スポーツモデル)を参照して、抽出された特徴に対応するモーションパターンを特定することで、モーションを識別するための演算である。識別辞書は、例えばスポーツの種目ごとに生成され、ユーザ設定によって種目が切り替えられてもよい。識別演算には、例えばニューラルネットワークやSVM(Support Vector Machine)、k近傍識別器、ベイズ分類など、機械学習によってデータから識別パラメータを構成する非ルールベースの手法が用いられうる。
【0030】
なお、時系列データ1003と同様に、時系列データ1001についても特徴が抽出され、その特徴が識別演算に利用されてもよい。つまり、ショックセンサの時系列データ1001は、モーション区間の設定に利用されるだけではなく、モーションセンサの時系列データ1003とともに識別演算に利用されてもよい。
【0031】
識別演算の結果、モーションパターンの判定に成功した場合には、モーションパターン情報2001が出力される。モーションパターン情報2001は、例えば図示されているようにモーションパターン(図示された例ではテニスのショットタイプ=フォアハンドストロークとして示されている)をユーザに通知する情報でありえ、上述のように統計情報やユーザの傾向を示す情報などをさらに含みうる。
【0032】
モーションパターンの定義の一例を以下の表1に示す。このように、モーションパターンはスポーツの種目ごとに定義されてもよく、また種類ごとに定義されてもよい。上記の識別辞書は、こうした種目や種類ごとに生成され、ユーザ設定によって種目や種類が切り替えられてもよい。なお、ここで示されたモーションパターンは一例であり、他にもさまざまなスポーツで、さまざまな種類のモーションパターンが定義されうる。
【0034】
(2.機能構成)
次に、
図3および
図4を参照して、本開示の一実施形態に係る情報処理システムに含まれる装置の機能構成について説明する。
【0035】
図3は、本開示の一実施形態に係る情報処理システムの概略的な機能構成を示すブロック図である。以下、
図3を参照して、それぞれの装置の機能構成について説明する。なお、これらの機能を実現するためのハードウェア構成については後述する。
【0036】
(センサ装置)
センサ装置100は、センサ101と、前処理部107と、通信部109とを含む。
【0037】
センサ101は、ショックセンサ103とモーションセンサ105とを含む。ショックセンサ103は、センサ装置100がユーザまたは用具から伝達された衝撃を検出する第1のセンサであり、本実施形態では1軸の加速度センサを含みうる。モーションセンサ105は、センサ装置100の挙動を第1のセンサよりも高い分解能で検出する第2のセンサであり、本実施形態では3軸の加速度センサ、ジャイロセンサ、または地磁気センサなどを含みうる。センサ101は、ショックセンサ103およびモーションセンサ105に加えて、例えば温度センサ、時計、またはGPS(Global Positioning System)受信機などの他のセンサを含んでもよい。
【0038】
ここで、
図4を参照して、センサ101に含まれるショックセンサ103とモーションセンサ105との相違についてさらに説明する。
図4は、本開示の一実施形態におけるショックセンサおよびモーションセンサについて説明するための図である。なお、以下の説明では、ショックセンサ103とモーションセンサ105とがいずれも加速度センサである場合について説明するが、それ以外の種類のセンサの場合も同様でありうる。
【0039】
図4を参照すると、ショックセンサ103は、加速度の値について、モーションセンサ105よりも大きなダイナミックレンジを有する。例えば、ショックセンサ103は、ユーザまたは用具に加えられた衝撃によって瞬間的に発生する大きな加速度を検出することができる。その一方で、ショックセンサ103の加速度分解能はモーションセンサ105よりも低い。また、ショックセンサ103は低い周波数の加速度変化を検出しない。例えば、ユーザがセンサ装置100の装着された体の部分や用具をスイングしたことによって生じる加速度変化は、周波数が低いためにショックセンサ103によっては検出されない。また、地球の重力による加速度も、振動しない定常成分であるためにショックセンサ103には検出されない。逆に、周波数が高い加速度変化については、ショックセンサ103はモーションセンサ105よりも高い周波数まで検出可能であり、例えばユーザや用具の固有振動数の周波数成分を検出することも可能でありうる。
【0040】
他方、モーションセンサ105は、加速度の値について、ショックセンサ103に比べるとダイナミックレンジが小さい。従って、例えばユーザまたは用具に加えられた衝撃によって瞬間的に発生する大きな加速度は、モーションセンサ105の検出可能範囲を超える可能性がある。また、モーションセンサ105は、加速度変化の周波数についても、ショックセンサ103よりも低い周波数までしか検出しない。その一方で、モーションセンサ105の加速度分解能はショックセンサ103よりも高く、モーションパターン判定に十分な精度で加速度データを出力することができる。また、モーションセンサ105は、ショックセンサ103が検出しない低い周波数の加速度変化を検出することができる。例えば、モーションセンサ105は、ユーザがセンサ装置100の装着された体の部分や用具をスイングしたことによって生じる加速度変化を検出可能である。また、モーションセンサ105は、地球の重力による加速度をも検出することができる。従って、例えば3軸の加速度センサをモーションセンサ105として用いることによって、重力の方向を基準にして発生した加速度の向きを特定することができる。
【0041】
ショックセンサ103とモーションセンサ105とは、例えば同様の原理で動作する加速度センサの感度や軸の数を変更することによって実現することができる。これらのセンサは、例えばピエゾ抵抗型または静電容量型などの加速度センサを用いて実現されうる。ショックセンサ103として用いられる加速度センサの感度は、モーションセンサ105として用いられる加速度センサの感度よりも低く設定されうる。もちろん、ショックセンサ103とモーションセンサ105とを異なる原理で動作する加速度センサによって実現してもよい。また、上述のように、モーションセンサ105は、ジャイロセンサまたは地磁気センサなどをさらに含みうる。
【0042】
再び
図3を参照して、前処理部107は、センサ101によって検出されたデータの前処理を実行する。前処理は、例えば、検出されたデータの増幅や、閾値以下のデータのフィルタリングなどを含みうる。このような処理を経て、前処理部107は、ショックセンサ103の検出値を含む第1の時系列データと、モーションセンサ105の検出値を含む第2の時系列データとに基づいて、解析装置200に送信するための解析対象データを生成する。
【0043】
本実施形態では、センサ装置100の前処理部107、または解析装置200の前処理部203のいずれかが、区間設定部として機能する。区間設定部は、ショックセンサ103の検出値を含む第1の時系列データに基づいて、モーションセンサ105の検出値を含む第2の時系列データにおける解析対象区間を設定する。この処理は、上述したモーション区間設定の処理にあたる(解析対象区間がモーション区間にあたる)。
【0044】
ここで、前処理部107が区間設定部として機能する場合、前処理部107は、設定された解析対象区間での第2の時系列データだけを、解析対象データとして通信部109に提供してもよい。通信部109による送信の対象が解析対象区間のデータに限定されれば、通信量の削減によって電力消費の削減効果が期待できる。あるいは、前処理部107は、検出された解析対象区間を時系列データのタイムスタンプなどで示す別途のデータを生成し、これを第2の時系列データとともに解析対象データとして通信部109に提供してもよい。
【0045】
一方、前処理部107ではなく解析装置200の前処理部203が区間設定部として機能する場合、前処理部107は、上記のような前処理を経た第1の時系列データと第2の時系列データとを、例えばタイムスタンプなどを用いて互いに関連付けたものを、解析対象データとして通信部109に提供する。
【0046】
通信部109は、前処理部107から提供された解析対象データを解析装置200に送信する。解析対象データの送信には、例えば無線通信が用いられてもよい。通信方式は特に限定されないが、例えば解析装置200がネットワーク上のサーバである場合には、インターネットなどが用いられうる。また、解析装置200がセンサ装置100の近くにある場合には、例えばBluetooth(登録商標)や無線LAN(Local Area Network)などが用いられてもよい。なお、解析対象データは必ずしもリアルタイムで解析装置200に送信されなくてもよいため、例えばプレー終了後に有線通信によって解析装置200に送信されてもよい。
【0047】
(解析装置)
解析装置200は、通信部201と、前処理部203と、解析部205とを含む。解析装置200は、さらに、記憶部209と、出力部211とを含んでもよい。なお、これらの機能を実現するためのハードウェア構成については後述する。
【0048】
通信部201は、センサ装置100から送信された解析対象データを受信する。センサ装置100について説明したように、解析対象データの送信には、例えばインターネットなどのネットワーク通信、もしくはBluetooth(登録商標)や無線LANなどの無線通信、または有線通信が用いられうる。通信部201は、受信したセンサ情報を前処理部203に提供する。後述するように前処理部203が設けられない場合には、センサ情報は直接的に解析部205に提供されてもよい。
【0049】
前処理部203は、通信部201が受信したデータの前処理を実行する。前処理部203は、例えば上述した区間設定部として機能しうる。前処理部203が区間設定部として機能する場合、前処理部203は、通信部201が受信した第1の時系列データ(センサ装置100においてショックセンサ103から得られたデータ)に基づいて、同じく通信部201が受信した第2の時系列データ(センサ装置100においてモーションセンサ105から得られたデータ)における解析対象区間(モーション区間)を設定する。前処理部203は、設定された解析対象区間での第2の時系列データだけを解析部205に提供してもよい。あるいは、前処理部203は、設定された解析対象区間を時系列データのタイムスタンプなどで示す別途のデータを生成し、これを第2の時系列データとともに解析部205に提供してもよい。
【0050】
なお、センサ装置100の前処理部107が区間設定部として機能する場合、解析装置200での前処理は必要なくなり、前処理部203が設けられない場合もありうる。あるいは、前処理部203は、区間設定部として機能するのに加えて、センサ装置100の前処理部107に代わってデータの増幅や閾値以下のデータのフィルタリングなどの処理を実行してもよい。
【0051】
解析部205は、区間設定部(前処理部107または前処理部203)によって設定された解析対象区間における第2の時系列データ(センサ装置100においてモーションセンサ105から得られたデータ)に基づいて解析を実行し、ユーザのモーションパターンを判定するモーションパターン判定部207を含む。モーションパターン判定部207は、第2の時系列データに加えて、第1の時系列データ(センサ装置100においてショックセンサ103から得られたデータ)をモーションパターンの判定に利用してもよい。なお、解析部205は、モーション判定部207の他にも、センサ装置100から提供されたデータに基づいてユーザのプレーを解析する機能を含んでもよい。また、解析部205は、解析結果を、記憶部209に格納してもよい。
【0052】
出力部211は、必要に応じて設けられる。
図1に示した例では、解析装置200がサーバとして実現されるため、ユーザのモーションパターンを示す情報を含む解析部205の解析結果は、例えば通信部201から端末装置に送信され、端末装置において出力される。一方、解析装置200の少なくとも一部の機能が例えばスマートフォン、タブレット端末、または各種のPCのような端末装置によって実現されるような場合には、解析装置200には解析結果を出力するための出力部211が設けられ、解析結果が画像や音声として出力されうる。解析結果が画像として表示される場合、画像にはユーザのモーションパターンを示す画像またはテキストが含まれてもよい。なお、出力部211から出力される情報の例については後述する。
【0053】
(3.処理フロー)
次に、
図5〜
図8を参照して、本開示の一実施形態における処理の例について、参考例と比較しながら説明する。
【0054】
図5は、本開示の一実施形態における処理の例を示すフローチャートである。
図5を参照すると、解析装置200の前処理部203(または、センサ装置100の前処理部107。以下では、代表として前処理部203のみ記載する場合があるが、前処理部107と読み替えることも可能である)は、第1の時系列データからショックセンサ103の検出値を取得する(ステップS101)。
【0055】
次に、前処理部203は、ステップS101で取得された検出値が所定の閾値を超えるか否かを判定する(ステップS103)。ここで検出値が閾値を超えていた場合(YES)、前処理部203はこの時点をインパクト点であると推定し(ステップS105)、以下のモーション識別の処理に移行する。一方、ステップS103において検出値が閾値を超えていなかった場合(NO)、前処理部203はそれ以上のモーション識別の処理を実行することなく、次のタイムウインドウでショックセンサ103の検出値を取得する(ステップS101)。
【0056】
ステップS105でインパクト点が推定された場合、前処理部203は、インパクト点を中心にしてモーション区間を設定する。モーション区間のインパクト点前後の長さは、例えば、識別されうる各モーションパターンのうち、最も長いものを基準にして設定されうる。例えば、テニスの例で、インパクト点からみて最も早くから特徴的なモーションが現れるモーションパターンがバックハンドボレーであれば、バックハンドボレーの特徴的なモーションの始点(例えばインパクト点の0.5秒前、など)を始点としてモーション区間が設定される。同様に、インパクト点から見てもっと遅くまで特徴的なモーションが続くモーションパターンがフォアハンドスライスであれば、フォアハンドスライスの特徴的なモーションの終点(例えばインパクト点の1秒後、など)を終点としてモーション区間が設定される。つまり、モーション区間の長さは、各モーションパターンの特徴的なモーションが含まれるように設定される。
【0057】
次に、解析部205が、設定されたモーション区間から特徴量を抽出する(ステップS109)。なお、ステップS101〜ステップS107の処理がセンサ装置100の前処理部107で実行される場合、ステップS107とステップS109との間で、少なくともモーション区間のデータがセンサ装置100から解析装置200に送信される。ステップS109において抽出される特徴は、上述のように、信号波形の周波数特性や、平均、分散、最小値および最大値といったような時間波形の統計的な特徴でありうる。例として
図10にフォアハンドストロークとサーブ時のセンサ出力波形を示す。両者を比較すると、特にω−X,ω−Zなどの時間波形の振幅に異なる特徴が現れている。また、特徴の抽出に先立って、信号波形の欠落部分が補間されてもよい。また、抽出された特徴に、正規化などの統計的な処理が施されてもよい。
【0058】
次に、解析部205は、ステップS109で抽出された特徴量をもとに、識別演算を実行する(ステップS111)。識別演算は、上述のように、予め用意された識別辞書を参照して、例えばニューラルネットワークやSVM、k近傍識別器、ベイズ分類など、機械学習によってデータから識別パラメータを構成する非ルールベースの手法を用いて実行されうる。その後、解析部205は、識別演算の結果を出力する(ステップS113)。識別演算の結果は、記憶部209に格納されうる。その後、解析結果は、通信部を介してユーザが使用する端末装置に送信されてもよく、解析装置200自身の出力部211から出力されてもよい。
【0059】
なお、本実施形態の変形例において、上記のステップS103およびステップS105のインパクト点の推定は、別のステップによって代替されてもよい。例えば、ショックセンサの検出値の時系列データをフーリエ変換し、センサ装置100が装着されたユーザまたは用具の固有振動数を含む周波数特性が検出された場合に、その区間にインパクト点が存在すると推定し、この区間を中心にしてモーション区間を設定してもよい。
【0060】
(参考例)
図6は、
図5の例に対する参考例を示すフローチャートである。
図6に示された例では、ショックセンサ103の検出値が処理に用いられず(センサ装置100はショックセンサ103を有さない)、前処理部203(または前処理部107)におけるモーション区間の設定が実行されない。
【0061】
図示された例では、解析部が、モーションセンサの検出値を取得する(ステップS201)。なお、この参考例では、モーションセンサの検出値が唯一の時系列データとして提供されている。次に、解析部は、モーション区間を設定する(ステップS203)。ここで、
図5の例とは異なり、ショックセンサの検出値が提供されていないため、解析部は、手がかりなしでモーション区間を設定する。例えば、解析部は、モーションセンサから得られる時系列データの始点から順にモーション区間を設定する。モーション区間の長さについては、例えば
図5の例と同様に設定されうる。
【0062】
次に、
図5の例と同様に、解析部はモーション区間から特徴量を抽出し(ステップS109)、さらに識別演算を実行する(ステップS111)。ところが、ステップS203でのモーション区間が手がかりなしで設定されているため、ステップS111の識別演算によってモーションパターンが識別されない場合がある。むしろ、モーション区間が実際の特徴的なモーションに対応しておらず、識別演算ではモーションパターンが識別不能である場合の方が多い。
【0063】
そこで、解析部は、識別演算においてモーションが識別されたか否かを判定する(ステップS205)。モーションが識別された場合(YES)、解析部は
図5の例と同様に識別演算の結果を出力する(ステップS113)。一方、ステップS205においてモーションが識別されなかった場合(NO)、解析部はモーション区間を再設定する(ステップS207)。モーション区間は、例えば、ステップS203(または前回のステップS207)で設定された区間を、所定の時間だけオフセットさせることによって再設定される。再設定されたモーション区間について、再びステップS109およびステップS111の解析処理が実行される。
【0064】
図7および
図8は、上記の
図5および
図6の例におけるモーション区間の設定について説明するための図である。以下、これらの図を参照して、参考例に対する本実施形態の処理の利点について説明する。
【0065】
図7に示されるように、本実施形態では、モーションセンサの時系列データ1003におけるモーション区間1005が、ショックセンサの時系列データ1001に基づいて設定される。従って、例えば用具またはユーザの体でボールを打ったり、ユーザが地面を蹴ったり他のユーザにぶつかったりといった特徴的なモーションが発生した可能性が高い区間を最初からモーション区間1005に設定することができる。
【0066】
その一方で、
図8に示される参考例では、モーションセンサの時系列データ1003においてモーション区間1005を設定するための手がかりがないため、例えば
図6にステップS203として示したようにいわば当て推量で設定されたモーション区間を、ステップS207として示したように再設定することを繰り返して適切なモーション区間に行き当たる。
図8に示された例では、モーション区間1005a,1005b,1005cが順次設定されている。いずれかのモーション区間において特徴量が「モーションらしい」特徴を示し、モーションが識別された場合に、そのモーション区間が適切なモーション区間であったことが事後的に判明する。
【0067】
上記の
図7および
図8のいずれの例でも、モーションパターンの判定自体は可能でありうる。しかしながら、
図8に示した参考例では、統計的に考えると、1つのモーション区間を適切に設定するために、当て推量で設定されたモーション区間での識別演算を何度も繰り返す必要がある。従って、モーションパターンを判定するための計算コストが高くなってしまう。また、計算コストを抑制するためにモーション区間を更新する際のオフセット幅(
図8の例に示す区間1005a→区間1005bおよび区間1005b→区間1005cのオフセット幅)を大きくすると、例えば設定されたモーション区間が適切なモーション区間を時間的に通り過ぎてしまう可能性があり、結果としてモーションパターン判定の精度が低下してしまう。
【0068】
一方、
図7に示した本実施形態の例では、最初から適切なモーション区間を設定することが可能であるために、モーションパターン判定の精度を低下させることなく、計算コストを抑制することができる。ただし、本実施形態の例では、
図7に示したようにショックセンサの時系列データ1003に基づいてモーション区間が設定されるため、ショックセンサに検出される衝撃を伴わないモーション、例えば空スイングには適用することが困難である。このようなモーションを識別する必要がある場合には、
図8に示した参考例のような処理が用いられうる。
【0069】
なお、上述のように、モーションセンサは加速度の値についてのダイナミックレンジが比較的小さいため、ユーザまたは用具に衝撃が加えられた場合は、発生する加速度がダイナミックレンジを超え、正確に検出されないことが多い。それゆえ、同じセンサをショックセンサおよびモーションセンサの両方として用いることは難しい。従って、本実施形態では、別途のセンサであるショックセンサを用いて衝撃を検出し、検出された衝撃をモーション区間の設定に利用している。スポーツの性質上、またはセンサの性能上、衝撃によって発生する加速度がモーションセンサのダイナミックレンジ内であるような場合には、同じセンサをショックセンサおよびモーションセンサの両方として用いてもよい。
【0070】
(4.具体例)
次に、
図9および
図10を参照して、本開示の一実施形態におけるセンサデータの具体的な例について説明する。
【0071】
図9は、本開示の一実施形態におけるセンサデータの具体的な例を示すグラフである。
図9では、ショックセンサの加速度データ(SHOCK)、モーションセンサである3軸加速度センサの加速度データ(a−X,a−Y,a−Z)、および同じくモーションセンサである3軸ジャイロセンサの角速度データ(ω−X,ω−Y,ω−Z)が、それぞれ時系列で示されている。
【0072】
上述のように、本実施形態では、ショックセンサの時系列データに基づいてモーションセンサの時系列データにモーション区間1005が設定される。この例において、ショックセンサはユーザまたは用具に加えられた衝撃によって発生する周波数の高い加速度を検出する一方で、それ以外の低い周波数や定常成分の加速度を検出しない。従って、例えば、ショックセンサの時系列データに何らかの変化が見られた際には、そこが衝撃の発生時点、すなわちインパクト点であるとみなすことが可能である。図示された例では、ショックセンサの時系列データに変化が見られた点の前後が自動的にモーション区間1005に設定されている。
【0073】
一方、モーション区間1005以外の区間においても、モーションセンサの加速度データや角速度データには変動が見られる。例えば、図示された区間1007a,1007b,1007cは、モーション区間ではないものの、加速度または角速度にモーション区間と同程度の振幅の変化が現れている。例えば上記の
図6および
図8に示したような、ショックセンサのデータを用いない参考例のモーションパターン判定処理では、これらの区間が特徴的なモーションが発生したか否かが疑わしい区間となりうる。つまり、実際に特徴的なモーションが発生したのはモーション区間1005であるにも関わらず、区間1007でもモーションが発生したと誤認識される可能性がある。本実施形態の処理では、特徴的なモーションが衝撃を伴うという条件のもとで、こうした疑わしい区間を識別演算の対象から除外することができ、計算コストを抑制するとともにモーションパターン判定の精度を向上させることができる。
【0074】
図10も、本開示の一実施形態におけるセンサデータの具体的な例を示すグラフである。
図10では、
図9と同様に、ショックセンサの加速度データ(SHOCK)、モーションセンサである3軸加速度センサの加速度データ(a−X,a−Y,a−Z)、および同じくモーションセンサである3軸ジャイロセンサの角速度データ(ω−X,ω−Y,ω−Z)が、それぞれ時系列で示されている。
【0075】
図10では、モーションパターンに対応するセンサデータの例として(A)テニスのフォアハンドストロークの場合、および(B)テニスのサーブの場合が示されている。いずれの例でも、モーションセンサの時系列データに特徴的な波形が現れているが、ショックセンサの時系列データに基づいて設定されたモーション区間1005がこの特徴的な波形をカバーしている。この例からも、本実施形態におけるショックセンサのデータに基づくモーション区間の設定が、モーションパターン判定の精度向上と計算コストの抑制に有効であることがわかる。
【0076】
(5.出力される情報の例)
次に、
図11〜
図18を参照して、本開示の一実施形態において出力される情報の例について説明する。本実施形態において出力される情報は、例えば解析装置200の解析部205の解析結果であるモーションパターンを示す情報を含みうるが、その他にもさまざまな情報が付加されうる。こうした付加的な情報は、例えば公知の技術を適宜利用することによって生成可能であるため、以下の説明では出力される情報について説明することとし、その生成方法についての詳細な説明は省略する。
【0077】
なお、以下の説明では、主にディスプレイに表示される画面について説明するが、本開示の実施形態において出力される情報は画面に表示される画像やテキストには限られない。例えば、情報はスピーカから音声として出力されてもよく、ランプなどによって画像以外の視覚的な情報として出力されてもよく、あるいはバイブレーションによって出力されてもよい。上述のように、情報は、例えば解析装置200が端末装置である場合には解析装置200自身の出力部から出力されてもよいし、解析装置200がネットワーク上のサーバである場合にはネットワークでサーバに接続されたクライアントの端末装置の出力部から出力されてもよい。
【0078】
図11は、本開示の一実施形態における第1の画面例を示す図である。
図11を参照すると、画面2100は、モーションパターン表示2101と、波形表示2103と、インパクト位置表示2105と、ショットバリュー表示2107とを含む。
【0079】
モーションパターン表示2101は、解析装置200において判定されたモーションパターン(この画面ではショットタイプと表現されている)を表示する。図示された例では、判定されたモーションパターンが「フォアハンドストローク」であることが表示されている。モーションパターン表示2101は、例えばそのモーションを表すアイコン2102aとテキスト2102bとを含んでもよい。
【0080】
図12は、モーションパターン表示2101の他の例を示す。
図12には、「スマッシュ」のモーションパターン表示2101aと、「バックハンドストローク」のモーションパターン表示2101bと、「フォアハンドストローク」のモーションパターン表示2101cが示されている。もちろん、モーションパターン表示2101はこれらの例には限られない。例えば上記の表1に例示されるように、種目「テニス」の中でも他に数多くのモーションパターンが定義され、さらには他の種目「野球」「サッカー」などについても同様にモーションパターンが定義されうる。モーションパターン表示2101は、このようにして定義されたモーションパターンのそれぞれについて設定されうる。
【0081】
再び
図11を参照して、波形表示2103は、例えばセンサ装置100のセンサ101で検出された時系列データの波形を表示する。波形表示2103は、例えば視覚的なエフェクトの1つとして表示されてもよい。図示された例では、波形表示2103としてショックセンサによる時系列データの波形が表示されているが、同様にしてモーションセンサによる時系列データの波形が表示されてもよく、またこれらが両方とも表示されてもよい。
【0082】
インパクト位置表示2105は、モーションパターン判定とは別途の処理によって特定された、ラケット上でボールが当たった位置(インパクト位置)を表示している。図示された例のように、モーションパターンがボールを打つ動作(ショット)である場合、インパクト位置表示2105が表示されることによって、ユーザはインパクト位置を知り、例えばそれが意図通りであったか否か、模範的な位置から外れているか否かといった情報を得ることができる。
【0083】
図13は、インパクト位置表示2105がモーションパターンに応じて変化する例を示す。
図13には、モーションパターンが「スマッシュ」の場合のインパクト位置表示2105aと、モーションパターンが「バックハンドストローク」の場合のインパクト位置表示2105bと、モーションパターンが「フォアハンドストローク」の場合のインパクト位置表示2105cとが示されている。この例のように、インパクト位置表示2105に表示されるラケットの向き(面方向の回転角度)は、モーションパターンに応じて異なってもよい。それぞれのモーションパターンの場合の実際のラケットの向きに近い向きでインパクト位置表示2105のラケットを表示させることによって、ユーザはボールのインパクト位置をより直感的に把握することができる。また、スライダー2106を操作することによって、ユーザがラケットの向きを自由に変更することが可能であってもよい。
【0084】
図14は、インパクト位置表示2105に含まれる「Turn Over」とラベルされたチェックボックスをチェックした場合の表示例を示す。この場合、インパクト位置表示2105では、ラケットの裏表が反転して表示される。図示された例では、モーションパターンが「スマッシュ」の場合のインパクト位置表示2105dと、モーションパターンが「バックハンドストローク」の場合のインパクト位置表示2105eと、モーションパターンが「フォアハンドストローク」の場合のインパクト位置表示2105fとが示されている。いずれの表示でも、
図13の示されたそれぞれのインパクト位置表示2105と比較して、ラケットがシャフトを軸にして180°回転することによって裏表が逆になっている。
【0085】
再び
図11を参照して、ショットバリュー表示2107は、モーションパターン判定とは別途の処理によって特定された、モーションパターン(ここではショット)に関する様々な指標値を表示している。図示された例では、スウィートスポット命中率、ショットパワー、スピンタイプ、およびスイングスピードが表示されているが、他の指標値が表示されてもよい。
【0086】
図15は、他の表示例として、インパクト位置分布表示2111の例を示す図である。インパクト位置分布表示2111は、ショットのモーションパターン(上記の例ではスマッシュ、バックハンドストローク、フォアハンドストローク、など)とともに特定されたインパクト位置の統計的な分布を示している。集計の対象は、ショットタイプ選択2112で変更可能でありうる。例えば、インパクト位置分布表示2111aでは、ショットタイプ選択2112において「すべて」が選択されており、すべてのショットタイプについて集計されたインパクト位置の分布が表示されている。なお、インパクト位置の分布は、例えば図示されているように頻度ごとの色分けによって表示されてもよい。
【0087】
一方、インパクト位置分布表示2111bでは、ショットタイプ選択2112において「フォアハンドストローク」が選択されており、ショットタイプ(モーションパターンとして判定されうる)が「フォアハンドストローク」である場合について集計されたインパクト位置の分布が表示されている。また、インパクト位置分布表示2111cでは、ショットタイプ選択2112において「バックハンドストローク」が選択されており、ショットタイプが「バックハンドストローク」である場合について集計されたインパクト位置の分布が表示されている。このような表示によって、ユーザは、ショットタイプごとのインパクト位置の分布を直感的に認識することができ、例えばインパクト位置が意図した位置や模範的な位置からずれる傾向が示される場合には、インパクト位置の修正を意識しながらプレーする、といったようなことができる。
【0088】
図16は、本開示の一実施形態における第2の画面例を示す図である。
図16を参照すると、画面2200は、ショットタイプ割合表示2201を含む。本実施形態では、モーションパターン判定によってショットタイプ(スイングの種類)が判定できるため、単純なインパクトカウンタ(ショットまたはスイングの回数をカウントする)だけではなく、ショットまたはスイングの内訳をショットタイプ割合表示2201によって表示することができる。スライダー2203を操作することで、ショットタイプ割合表示2201の対象期間を日、週、月、年、過去すべてなどの中から選択可能であってもよい。
【0089】
図17は、本開示の一実施形態における第3の画面例を示す図である。
図17を参照すると、画面2300は、スコアチャート表示2301を含む。本実施形態ではモーションパターン判定によってショットタイプ(スイングの種類)を判定可能であり、また、
図11の例などに示したようにショットごとにインパクト位置などの情報を取得することも可能でありうるため、ショットタイプごとにスコアを算出してスコアチャート表示2301として表示させることが可能である。上記の
図16の例と同様に、スライダー2303を操作することで、スコアチャート表示2301の対象期間を日、週、月、年、過去すべてなどの中から選択可能であってもよい。
【0090】
また、図示された例では、スコア種類選択2305も表示されている。スコア種類選択2305は、スウィートスポット、スイングスピード、混合の3つのスコア種類の中からスコアチャート表示2301として表示されるスコア種類を選択するための表示である。なお、スウィートスポットスコアは、各ショットにおいて、インパクト位置がいわゆるスウィートスポットにどの程度近かったかを示すスコアである。スコアが高いほど、ユーザはショット時により正確にスウィートスポットにボールを当てられていることになる。
【0091】
図18は、本開示の一実施形態における第4の画面例を示す図である。
図18を参照すると、画面2400は、スイングスピードグラフ表示2401を含む。本実施形態ではモーションパターン判定によってショットタイプ(スイングの種類)を判定可能であり、また、
図11の例などに示したようにショットごとにスイングスピードの情報を取得することも可能でありうるため、ショットタイプごとにスイングスピードを集計して平均値や最大値とともにグラフとして表示させることが可能である。上記の
図16および
図17の例と同様に、スライダー2403を操作することで、スイングスピードグラフ表示2401の対象期間を日、週、月、年、過去すべてなどの中から選択可能であってもよい。
【0092】
(6.ハードウェア構成)
次に、
図19および
図20を参照して、本開示の実施形態に係るセンサ装置および解析装置を実現するためのハードウェア構成の例について説明する。
【0093】
(センサ装置)
図19は、本開示の実施形態に係るセンサ装置のハードウェア構成の例を示す図である。センサ装置800は、例えば上記の一実施形態に係るセンサ装置100を実現しうる。
【0094】
センサ装置800は、CPU(Central Processing Unit)801と、ROM(Read Only Memory)802と、RAM(Random Access Memory)803と、センサ804と、ユーザインターフェース805と、外部記憶装置806と、通信装置807と、出力装置808とを含みうる。これらの要素は、例えばバス809によって相互に接続される。
【0095】
CPU801、ROM802、およびRAM803は、例えば外部記憶装置806に記録されたプログラム命令を読み込んで実行することによって、様々な機能をソフトウェア的に実現する。本開示の実施形態では、CPU801、ROM802、およびRAM803によって、例えば、センサ装置800全体の制御や、上記の例でいう前処理部107の機能が実現されうる。
【0096】
センサ804は、上記の実施形態の機能構成ではセンサ101に対応する。なお、センサ804は、例えば加速度センサ、角速度センサ、振動センサ、温度センサ、またはGPS受信機などを含みうる。
【0097】
ユーザインターフェース805は、センサ装置800へのユーザの操作を受け付ける、例えばボタンやタッチパネルなどの入力装置でありうる。ユーザの操作は、例えば、センサ装置からのセンサ情報の送信の開始や終了を指示するものでありうる。
【0098】
外部記憶装置806は、センサ装置800に関する各種の情報を記憶する。外部記憶装置806には、例えば、CPU801、ROM802、およびRAM803にソフトウェア的に機能を実現させるためのプログラム命令が格納されてもよく、またセンサ804によって取得されたデータが一時的にキャッシュされてもよい。センサ装置800がユーザ自身やスポーツ用具に装着されることを考慮すると、外部記憶装置806としては、例えば半導体メモリなどの衝撃に強いものを使用することが望ましい。
【0099】
通信装置807は、上記の実施形態の機能構成では通信部109に対応する。通信装置807は、有線または無線の各種通信方式によって後述する解析装置900と通信する。また、通信装置807は、機器間通信によって直接的に解析装置900と通信してもよいし、インターネットなどのネットワークを介して解析装置900と通信してもよい。
【0100】
出力装置808は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。出力装置808は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置、またはスピーカやヘッドホンなどの音声出力装置などでありうる。上記の実施形態では示されていないが、例えば他の実施形態において解析装置からセンサ装置に向けてモーションパターンなどの解析結果を示す情報がフィードバックされるような場合には、出力装置808から情報が出力されうる。なお、センサ装置800は、LEDランプなどの点灯部や、ユーザ自身や用具に振動を与えるバイブレータなどを出力部としてさらに有してもよい。
【0101】
(解析装置)
図20は、本開示の実施形態に係る解析装置のハードウェア構成の例を示す図である。解析装置900は、例えば上記の一実施形態に係る解析装置200を実現しうる。
【0102】
解析装置900は、CPU901と、ROM902と、RAM903と、ユーザインターフェース905と、外部記憶装置906と、通信装置907と、出力装置908とを含みうる。これらの要素は、例えばバス909によって相互に接続される。
【0103】
CPU901、ROM902、およびRAM903は、例えば外部記憶装置906に記録されたプログラム命令を読み込んで実行することによって、様々な機能をソフトウェア的に実現する。本開示の実施形態では、CPU901、ROM902、およびRAM903によって、例えば、解析装置900全体の制御や、上記の例でいう前処理部203および解析部205の機能などが実現されうる。
【0104】
ユーザインターフェース905は、解析装置900へのユーザの操作を受け付ける、例えばボタンやタッチパネルなどの入力装置である。
【0105】
外部記憶装置906は、解析装置900に関する各種の情報を記憶する。外部記憶装置906には、例えば、CPU901、ROM902、およびRAM903にソフトウェア的に機能を実現させるためのプログラム命令が格納されてもよく、また通信装置907が受信したセンサ情報が一時的にキャッシュされてもよい。また、外部記憶装置906は上記の例でいう記憶部209として機能し、センサ情報やモーションパターン判定結果などのログを蓄積してもよい。
【0106】
出力装置908は、情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。出力装置908は、例えば、LCDなどの表示装置、またはスピーカやヘッドホンなどの音声出力装置などでありうる。解析装置900がユーザによって使用される端末装置である場合、出力装置908は、解析装置900の処理により得られた結果を、テキストまたは画像として表示装置に表示させたり、音声としてスピーカなどから出力したりする。
【0107】
(7.補足)
上記の実施形態では、センサ装置および解析装置(いずれも情報処理装置でありうる)を含む情報処理システムについて説明したが、本開示の実施形態は、例えば、解析装置の機能の少なくとも一部を実現するネットワーク上のサーバ(複数の装置の機能の集合として実現されるものを含む)、コンピュータにこれらの装置の機能を実現させるためのプログラム、およびかかるプログラムが記録された一時的でない有形の記録媒体などをも含む。
【0108】
また、上記の実施形態では、センサ装置が単一である例について説明したが、本開示の他の実施形態において、センサ装置は複数であってもよい。例えばテニスの場合であれば、ユーザが把持しているラケットにセンサ装置を装着するとともに、ユーザが履いているシューズにも別のセンサ装置を装着し、これらのセンサ装置によって提供されたデータを組み合わせて解析することによって、ダッシュ、ジャンプ、前進しながらスイング、後退しながらスイングなど、より高度なモーションパターンの判定が可能になりうる。なお、この場合においても、各センサ装置から提供されるモーションセンサの時系列データにおけるモーション区間を特定するために、各センサ装置のショックセンサの時系列データが利用されうる。各センサ装置のモーションセンサの時系列データが同期されていれば、いずれかの装置のショックセンサの時系列データを利用して、すべてのセンサ装置のモーションセンサの時系列データにおけるモーション区間を特定してもよい。あるいは、各センサ装置がショックセンサを有する場合には、ショックセンサの時系列データを利用して、各センサ装置のモーションセンサの時系列データが同期されてもよい。
【0109】
また、上記の実施形態では、単一のユーザのモーションパターンが判定される例について説明したが、本開示の他の実施形態において、モーションパターンを判定する対象になるユーザは複数であってもよい。例えば、解析装置は、複数のユーザのセンサ装置からそれぞれセンサ情報を受信して、それぞれのユーザについてモーションパターンの判定を実施してもよい。また、複数のユーザについてそれぞれ別の解析装置において判定されたモーションパターンを含む情報がネットワークを介して共有され、例えば上記の画面の例に示したような情報について各ユーザを比較するような情報が提供されてもよい。
【0110】
また、上記の実施形態では、センサ装置と解析装置とが別体である例について説明したが、本開示の他の実施形態において、センサ装置と解析装置とが一体であってもよい。この場合、センサ装置は、センサからの時系列データを取得するとともに、時系列データにおいてモーション区間を設定し、モーション区間の解析によってモーションパターンを判定し、判定結果を自ら出力するか、ネットワーク上のサーバまたは端末装置に送信しうる。
【0111】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0112】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)スポーツをプレーするユーザに直接的または間接的に装着されるセンサ装置に伝達された衝撃を検出する第1のセンサの検出値を含む第1の時系列データと、前記第1のセンサよりも高い分解能で前記センサ装置の物理的挙動を検出する第2のセンサの検出値を含む第2の時系列データとを取得するセンサデータ取得部と、
前記第1の時系列データに基づいて、前記第2の時系列データにおいて前記ユーザのモーションパターンを判定するための解析が実施される解析対象区間を設定する区間設定部と
を備える情報処理装置。
(2)前記区間設定部は、前記第1のセンサの検出値が所定の閾値を超えた点を基準にして前記解析対象区間を設定する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)前記区間設定部は、前記第1のセンサの検出値の周波数成分が前記センサ装置の被装着物の固有振動数を含む区間を基準にして前記解析対象区間を設定する、前記(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(4)前記解析対象区間における前記第2の時系列データに基づいて前記ユーザのモーションパターンを判定する解析部をさらに備える、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(5)前記ユーザのモーションパターンを示す情報を出力する出力部をさらに備える、前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)前記出力部は、前記ユーザのモーションパターンを示す画像またはテキストを表示する、前記(5)に記載の情報処理装置。
(7)前記解析部は、さらに前記第1の時系列データに基づいて前記ユーザのモーションパターンを判定する、前記(4)〜(6)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(8)前記第2のセンサは、加速度センサ、ジャイロセンサ、または地磁気センサを含む、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(9)前記第1のセンサは1軸加速度センサを含み、前記第2のセンサは3軸加速度センサを含む、前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(10)スポーツをプレーするユーザに直接的または間接的に装着されるセンサ装置であって、
前記センサ装置に伝達された衝撃を検出する第1のセンサと、
前記第1のセンサよりも高い分解能で前記センサ装置の物理的挙動を検出する第2のセンサと、
前記第1のセンサの検出値を含む第1の時系列データ、および前記第2のセンサの検出値を含む第2の時系列データに基づいて、前記ユーザのモーションパターンを判定するための解析に供される解析対象データを出力するセンサデータ前処理部と
を備えるセンサ装置。
(11)前記センサデータ前処理部は、前記第1の時系列データに基づいて、前記第2の時系列データにおいて前記解析が実施される解析対象区間を設定し、前記解析対象区間における前記第2の時系列データを前記解析対象データとして出力する、前記(10)に記載のセンサ装置。
(12)前記解析対象データを解析装置に送信する通信部をさらに備える、前記(10)または(11)に記載のセンサ装置。
(13)スポーツをプレーするユーザに直接的または間接的に装着されるセンサ装置と、前記センサ装置から送信された解析対象データを解析することによって前記ユーザのモーションパターンを判定する解析装置とを含み、
前記センサ装置は、
前記センサ装置に伝達された衝撃を検出する第1のセンサと、
前記第1のセンサよりも高い分解能で前記センサ装置の物理的挙動を検出する第2のセンサと、
前記第1のセンサの検出値を含む第1の時系列データ、および前記第2のセンサの検出値を含む第2の時系列データに基づいて前記解析対象データを生成するセンサデータ前処理部と、
前記解析対象データを前記解析装置に送信する通信部と
を有し、
前記解析装置は、
前記解析対象データを受信する通信部と、
前記解析対象データに基づいて前記ユーザのモーションパターンを判定する解析部と
を有し、
前記センサ装置または前記解析装置のいずれかが、前記解析対象データに含まれる前記第1の時系列データに基づいて、前記第2の時系列データにおける解析対象区間を設定する区間設定部を有し、
前記解析部は、前記解析対象区間における前記第2の時系列データに基づいて前記ユーザのモーションパターンを判定する情報処理システム。
(14)スポーツをプレーするユーザに直接的または間接的に装着されるセンサ装置に伝達された衝撃を検出する第1のセンサの検出値を含む第1の時系列データと、前記第1のセンサよりも高い分解能で前記センサ装置の物理的挙動を検出する第2のセンサの検出値を含む第2の時系列データとを取得する機能と、
前記第1の時系列データに基づいて、前記第2の時系列データにおいて前記ユーザのモーションパターンを判定するための解析が実施される解析対象区間を設定する機能と
をコンピュータに実現させるためのプログラムが記録された記録媒体。
(15)スポーツをプレーするユーザに直接的または間接的に装着されるセンサ装置に含まれるコンピュータに、
前記センサ装置に伝達された衝撃を検出する第1のセンサの検出値を含む第1の時系列データ、および前記第1のセンサよりも高い分解能で前記センサ装置の物理的挙動を検出する第2のセンサの検出値を含む第2の時系列データに基づいて、前記ユーザのモーションパターンを判定するための解析に供される解析対象データを出力する機能を実現させるためのプログラムが記録された記録媒体。