特許第6187592号(P6187592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6187592センサ設置位置特定支援システム、及びセンサ設置位置特定支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187592
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】センサ設置位置特定支援システム、及びセンサ設置位置特定支援方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20170821BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20170821BHJP
   H04W 4/04 20090101ALI20170821BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20170821BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20170821BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H04M11/00 302
   H04M1/00 R
   H04W4/04 190
   H04W64/00 120
   H04W84/10 110
   H04Q9/00 311H
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-537578(P2015-537578)
(86)(22)【出願日】2014年6月17日
(86)【国際出願番号】JP2014065961
(87)【国際公開番号】WO2015040905
(87)【国際公開日】20150326
【審査請求日】2016年2月12日
(31)【優先権主張番号】特願2013-191308(P2013-191308)
(32)【優先日】2013年9月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100117260
【弁理士】
【氏名又は名称】福永 正也
(72)【発明者】
【氏名】中井 隆平
(72)【発明者】
【氏名】堀邉 隆之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】茨木 健
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/065007(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M11/00
H04M1/00
H04Q9/00
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の特性情報を検出するセンサと、
該センサとデータ通信することが可能な携帯端末と、
情報を収集するサーバと
を備えるセンサ設置位置特定支援システムにおいて、
前記携帯端末は、
自己の位置に関する位置情報を取得する位置情報取得手段と、
取得した位置情報を、前記センサを識別する識別情報に対応付けて前記サーバへ送信する位置情報送信手段と
を備え、
前記サーバは、
前記携帯端末から前記位置情報及び前記識別情報を受信する位置情報受信手段と、
受信した前記位置情報に基づいて、前記センサの設置位置が適切であるか否かを判断する判断手段と、
該判断手段による判断結果を前記携帯端末へ送信する結果送信手段と
を備え
前記サーバは、各センサの検出可能範囲に関する情報を記憶してあり、
前記判断手段は、受信した位置情報に基づいて、既に設置されているセンサの位置情報と新たに設置しようとするセンサの位置情報とを対比して設置位置が適切であるか否かを判断することを特徴とするセンサ設置位置特定支援システム。
【請求項2】
前記位置情報取得手段は、GPSを用いて経度情報及び緯度情報を位置情報として取得することを特徴とする請求項1に記載のセンサ設置位置特定支援システム。
【請求項3】
前記位置情報送信手段は、非接触の近距離通信により前記センサとデータ通信して前記センサの前記識別情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサ設置位置特定支援システム。
【請求項4】
対象物の特性情報を検出するセンサと、
該センサとデータ通信することが可能な携帯端末と、
情報を収集するサーバと
を備えるセンサ設置位置特定支援システムで実行することが可能なセンサ設置位置特定支援方法において、
前記携帯端末は、
自己の位置に関する位置情報を取得する工程と、
取得した位置情報を、前記センサを識別する識別情報に対応付けて前記サーバへ送信する工程と
を含み、
前記サーバは、
前記携帯端末から前記位置情報及び前記識別情報を受信する工程と、
受信した前記位置情報に基づいて、前記センサの設置位置が適切であるか否かを判断する工程と、
判断結果を前記携帯端末へ送信する工程と
を含み、
前記サーバは、各センサの検出可能範囲に関する情報を記憶し、
受信した位置情報に基づいて、既に設置されているセンサの位置情報と新たに設置しようとするセンサの位置情報とを対比して設置位置が適切であるか否かを判断することを特徴とするセンサ設置位置特定支援方法
【請求項5】
GPSを用いて経度情報及び緯度情報を位置情報として取得することを特徴とする請求項4に記載のセンサ設置位置特定支援方法。
【請求項6】
非接触の近距離通信により前記センサとデータ通信して前記センサの前記識別情報を取得することを特徴とする請求項4又は5に記載のセンサ設置位置特定支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種センサを効率良く設置する位置を特定することを支援するセンサ設置位置特定支援システム、及びセンサ設置位置特定支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のセンサで検出された情報を収集して、各種のアプリケーションとして便利な機能を提供するセンサネットワークシステムが多々開発されている。各種のセンサは、センサ機能と通信機能とを備えており、検出したセンサ情報を、例えば無線通信によりサーバへ収集し、各種の情報処理を実行している。
【0003】
特許文献1には、無線センサノード自身が、自分の位置を特定する自己位置特定手段(例えばGPSアンテナを有するGPS位置検出装置)を備えており、センサで検出したセンサ情報及び位置情報を監視サーバへ送信するセンサネットワークが開示されている。特許文献1では、監視サーバがすべてのセンサの位置情報を収集して、無線センサノードの相対位置を示すマップを作成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−328230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されたセンサネットワークでは、無線センサノードの1つ1つに、比較的高価であるGPSアンテナを備えたGPS位置検出装置を備える必要がある。したがって、センサ自体は小型で安価であるにもかかわらず、GPS機能を追加することで小型化することができず、コストを低減することが困難になるという問題点があった。センサノードの数が少ない場合は目立たないが、センサノードの数が増加すればするほど、GPS機能の追加によるコスト高は無視できないオーダとなる。
【0006】
一方、センサの検出範囲は、センサを設置する位置の周囲環境にも影響を受けやすい。したがって、検出状態を確認しながらセンサの設置位置を特定する必要があり、センサの設置位置を把握するためには、より正確で安価な自己位置特定手段が求められる。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、設置するセンサがGPS機能を有していない場合であっても、正確にセンサの位置情報を特定することができるセンサ設置位置特定支援システム、及びセンサ設置位置特定支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係るセンサ設置位置特定支援システムは、対象物の特性情報を検出するセンサと、該センサとデータ通信することが可能な携帯端末と、情報を収集するサーバとを備えるセンサ設置位置特定支援システムにおいて、前記携帯端末は、自己の位置に関する位置情報を取得する位置情報取得手段と、取得した位置情報を、前記センサを識別する識別情報に対応付けて前記サーバへ送信する位置情報送信手段とを備え、前記サーバは、前記携帯端末から前記位置情報及び前記識別情報を受信する位置情報受信手段と、受信した前記位置情報に基づいて、前記センサの設置位置が適切であるか否かを判断する判断手段と、該判断手段による判断結果を前記携帯端末へ送信する結果送信手段とを備え、前記サーバは、各センサの検出可能範囲に関する情報を記憶してあり、前記判断手段は、受信した位置情報に基づいて、既に設置されているセンサの位置情報と新たに設置しようとするセンサの位置情報とを対比して設置位置が適切であるか否かを判断することを特徴とする。
【0009】
上記構成では、携帯端末は、自己の位置に関する位置情報を取得し、取得した位置情報を、センサを識別する識別情報に対応付けてサーバへ送信する。サーバは、携帯端末から位置情報及び識別情報を受信し、受信した位置情報に基づいて、センサの設置位置が適切であるか否かを判断し、判断結果を携帯端末へ送信する。これにより、センサ自体に位置情報を取得する手段、例えば高価なGPSチップ等を備えることなく、センサを設置する位置の位置情報を確実にサーバへ収集することができる。また、センサ間の相対的な位置関係に応じて、新たに設置しようとするセンサの設置位置が適切であるか否かの判断結果を携帯端末で確認することができるので、判断結果を確認しながらセンサの設置位置を適切な位置に変更することができ、センサを最適な位置に設置することができるよう、設置作業を支援することが可能となる。
さらに、センサの設置位置を示す位置情報に基づいて、既に設置されているセンサの位置情報と新たに設置しようとするセンサの位置情報とを対比して設置位置が適切であるか否かを判断するので、センサによる検出漏れが生じる領域を最小限にすることができ、しかも設置するセンサの数を最小限に抑えることが可能となる。
【0010】
また、本発明に係るセンサ設置位置特定支援システムは、前記位置情報取得手段は、GPSを用いて経度情報及び緯度情報を位置情報として取得することが好ましい。
【0011】
上記構成では、携帯端末が、GPSを用いて経度情報及び緯度情報を位置情報として取得するので、センサ自体に位置情報を取得するために高価なGPSチップを設ける必要がなく、設置するセンサの数が膨大であっても、システム全体としてコストアップの要因とはならない。
【0012】
また、本発明に係るセンサ設置位置特定支援システムは、前記位置情報送信手段は、非接触の近距離通信により前記センサとデータ通信して前記センサの前記識別情報を取得することが好ましい。
【0013】
上記構成では、携帯端末がセンサと、非接触の近距離通信によりセンサとデータ通信してセンサの識別情報を取得するので、どのセンサの位置情報であるかをサーバが容易に判断することができ、既に設置されているセンサの位置情報と新たに設置しようとするセンサの位置情報とを対比することにより、新たに設置しようとしているセンサの設置位置が適切であるか否かを判断することができる。
【0016】
次に、上記目的を達成するために本発明に係るセンサ設置位置特定支援方法は、対象物の特性情報を検出するセンサと、該センサとデータ通信することが可能な携帯端末と、情報を収集するサーバとを備えるセンサ設置位置特定支援システムで実行することが可能なセンサ設置位置特定支援方法において、前記携帯端末は、自己の位置に関する位置情報を取得する工程と、取得した位置情報を、前記センサを識別する識別情報に対応付けて前記サーバへ送信する工程とを含み、前記サーバは、前記携帯端末から前記位置情報及び前記識別情報を受信する工程と、受信した前記位置情報に基づいて、前記センサの設置位置が適切であるか否かを判断する工程と、判断結果を前記携帯端末へ送信する工程とを含み、前記サーバは、各センサの検出可能範囲に関する情報を記憶し、受信した位置情報に基づいて、既に設置されているセンサの位置情報と新たに設置しようとするセンサの位置情報とを対比して設置位置が適切であるか否かを判断することを特徴とする。
【0017】
上記構成では、携帯端末は、自己の位置に関する位置情報を取得し、取得した位置情報を、センサを識別する識別情報に対応付けてサーバへ送信する。サーバは、携帯端末から位置情報及び識別情報を受信し、受信した位置情報に基づいて、センサの設置位置が適切であるか否かを判断し、判断結果を携帯端末へ送信する。これにより、センサ自体に位置情報を取得する手段、例えば高価なGPSチップ等を備えることなく、センサを設置する位置の位置情報を確実にサーバへ収集することができる。また、センサ間の相対的な位置関係に応じて、新たに設置しようとするセンサの設置位置が適切であるか否かの判断結果を携帯端末で確認することができるので、判断結果を確認しながらセンサの設置位置を適切な位置に変更することができ、センサを最適な位置に設置することができるよう、設置作業を支援することが可能となる。
さらに、センサの設置位置を示す位置情報に基づいて、既に設置されているセンサの位置情報と新たに設置しようとするセンサの位置情報とを対比して設置位置が適切であるか否かを判断するので、センサによる検出漏れが生じる領域を最小限にすることができ、しかも設置するセンサの数を最小限に抑えることが可能となる。
【0018】
また、本発明に係るセンサ設置位置特定支援方法は、GPSを用いて経度情報及び緯度情報を位置情報として取得することが好ましい。
【0019】
上記構成では、携帯端末が、GPSを用いて経度情報及び緯度情報を位置情報として取得するので、センサ自体に位置情報を取得するために高価なGPSチップを設ける必要がなく、設置するセンサの数が膨大であっても、システム全体としてコストアップの要因とはならない。
【0020】
また、本発明に係るセンサ設置位置特定支援方法は、非接触の近距離通信により前記センサとデータ通信して前記センサの前記識別情報を取得することが好ましい。
【0021】
上記構成では、携帯端末がセンサと、非接触の近距離通信によりセンサとデータ通信してセンサの識別情報を取得するので、どのセンサの位置情報であるかをサーバが容易に判断することができ、他のセンサの位置情報と対比することにより、設置する位置が適切であるか否かを判断することができる。
【発明の効果】
【0024】
上記構成によれば、センサ自体に位置情報を取得する手段、例えば高価なGPSチップ等を備えることなく、センサを設置する位置の位置情報を確実にサーバへ収集することができる。また、センサ間の相対的な位置関係に応じて、新たに設置しようとするセンサの設置位置が適切であるか否かの判断結果を携帯端末で確認することができるので、判断結果を確認しながらセンサの設置位置を適切な位置に変更することができ、センサを最適な位置に設置することができるよう、設置作業を支援することが可能となる。
さらに、センサの設置位置を示す位置情報に基づいて、既に設置されているセンサの位置情報と新たに設置しようとするセンサの位置情報とを対比して設置位置が適切であるか否かを判断するので、センサによる検出漏れが生じる領域を最小限にすることができ、しかも設置するセンサの数を最小限に抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムの携帯端末の構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムのサーバの構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムの携帯端末及びサーバの機能ブロック図である。
図5】本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムのサーバのセンサ情報記憶部に記憶されるデータのデータ構成の例示図である。
図6】本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムのサーバの判断部における判断のイメージ図である。
図7】本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムの携帯端末における判断結果表示の例示図である。
図8】本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムの携帯端末のCPU及びサーバのCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施の形態では、携帯端末としてスマートフォンを用いる例について説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように本実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムは、対象物の特性情報を検出する複数のセンサノード1を順次設置していく。そして、携帯端末2をセンサノード1に近接させた時点で、センサノード1との間で非接触の近距離通信、例えばNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)により、携帯端末2は、センサノード1で検出された対象物の特性情報を、センサノード1を識別する識別情報に対応付けて受信する。
【0028】
対象物の特性情報を受信した携帯端末2は衛星4と通信するGPSを搭載している。したがって、携帯端末2の経度情報及び緯度情報を位置情報として取得することができる。
【0029】
携帯端末2は、サーバ3との間でデータ通信することが可能に接続されている。携帯端末2は、センサノード1の識別情報、特性情報、及び携帯端末2の位置情報をサーバ3へ送信する。サーバ3へは、携帯端末2が各センサノード1と非接触の近距離通信を行い、特性情報及び識別情報を取得した時点で送信することが好ましい。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムの携帯端末2の構成例を示すブロック図である。本発明の実施の形態に係る携帯端末2は、少なくともCPU(中央演算装置)21、メモリ22、記憶装置23、入力手段24、表示手段25、GPS通信手段26、通信インタフェース27及び上述したハードウェアを接続する内部バス28で構成されている。
【0031】
CPU21は、内部バス28を介して携帯端末2の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置23に記憶されているコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。メモリ22は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラムの実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0032】
記憶装置23は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、SRAM等の揮発性メモリ、ROM等の不揮発性メモリ等で構成されている。記憶装置23に記憶されているコンピュータプログラムは、プログラム及びデータ等の情報として通信インタフェース27を介してダウンロードされ、実行時には記憶装置23からメモリ22へ展開して実行される。
【0033】
また記憶装置23は、各センサノード1から取得した識別情報に対応付けて、位置情報を記憶する位置情報記憶部231を備えている。位置情報記憶部231には、非接触の近距離通信によりセンサノード1とデータ通信してセンサノード1の識別情報を取得した時点における携帯端末2の位置情報をセンサノード1の位置情報として、識別情報に対応付けて記憶している。
【0034】
GPS通信手段26は内部バス28に接続されており、地球上空を周回する複数の衛星4から発せられた電波を、GPS通信手段26に備えられたアンテナを通して受信することにより、携帯端末2の位置情報(座標位置)を演算して、経度情報と緯度情報とで示すことができる。座標位置を演算するのは、携帯端末2がセンサノード1と非接触の近距離通信を行った時点であることが好ましい。常時、GPS通信をする必要がないので、CPU21の演算処理負荷を低減することができるからである。
【0035】
通信インタフェース27は内部バス28に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網に接続されることにより、サーバ3とデータ送受信を行うことが可能となっている。
【0036】
入力手段24は、タッチディスプレイ、ボタンキー等のデータ入力装置であって、データの入力を受け付ける。また、表示手段25は、タッチディスプレイと一体化されたLCD等の表示装置であって、操作に必要な画像を表示する。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムのサーバ3の構成例を示すブロック図である。本発明の実施の形態に係るサーバ3は、少なくともCPU(中央演算装置)31、メモリ32、記憶装置33、I/Oインタフェース34、ビデオインタフェース35、可搬型ディスクドライブ36、通信インタフェース37及び上述したハードウェアを接続する内部バス38で構成されている。
【0038】
CPU31は、内部バス38を介してサーバ3の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置33に記憶されているコンピュータプログラム101に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。メモリ32は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラム101の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム101の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0039】
記憶装置33は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、SRAM等の揮発性メモリ、ROM等の不揮発性メモリ等で構成されている。記憶装置33に記憶されているコンピュータプログラム101は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体90から、可搬型ディスクドライブ36によりダウンロードされ、実行時には記憶装置33からメモリ32へ展開して実行される。もちろん、通信インタフェース37を介してネットワーク網に接続されている外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0040】
また記憶装置33は、センサ情報記憶部331を備えている。センサ情報記憶部331は、設置が完了したセンサノード1を識別する識別情報に対応付けて、各センサノード1を設置した位置情報、及び各センサノード1が対象物の特性情報を検出することができる範囲である検出可能範囲等の検出条件に関する情報を記憶している。
【0041】
通信インタフェース37は内部バス38に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網に接続されることにより、複数のセンサノード1及び携帯端末2とデータ送受信を行うことが可能となっている。携帯端末2からは、センサノード1の識別情報及び位置情報を受信し、新たに設置しようとするセンサノード1の設置位置が適切であるか否かの判断結果を携帯端末2へ送信する。また、センサノード1からは、検出した特性情報及び識別情報を受信する。
【0042】
I/Oインタフェース34は、キーボード341、マウス342等のデータ入力媒体と接続され、データの入力を受け付ける。また、ビデオインタフェース35は、CRTモニタ、LCD等の表示装置351と接続され、所定の画像を表示する。
【0043】
図4は、本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムの携帯端末2及びサーバ3の機能ブロック図である。携帯端末2の識別情報取得部201は、センサノード1に近接させることで、非接触の近距離通信を行い、センサノード1を識別する識別情報を取得する。
【0044】
携帯端末2の位置情報取得部202は、GPS通信手段26を介して複数の衛星4からの電波を受信し、経度情報及び緯度情報を位置情報として取得する。なお、携帯端末2がスマートフォンである場合、アシストGPS(AGPS)を用いることができる。アシストGPSでは、携帯電話の通信網を併用して、位置情報の精度を高めるとともに位置を特定する時間を短縮することができる。また、基地局からの信号を利用することにより、屋内であっても位置情報を取得することができる。
【0045】
携帯端末2の位置情報送信部203は、取得した位置情報を、センサノード1を識別する識別情報に対応付けてサーバ3へ送信する。サーバ3の位置情報受信部301は、携帯端末2から位置情報及び識別情報を受信する。
【0046】
サーバ3の判断部302は、受信した位置情報に基づいて、新たに設置しようとしているセンサノード1の設置位置が適切であるか否かを判断する。サーバ3のセンサ情報記憶部331には、既に設置されているセンサノード1の情報が記憶されている。図5は、本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムのサーバ3のセンサ情報記憶部331に記憶されるデータのデータ構成の例示図である。
【0047】
図5に示すように、センサ情報記憶部331には、設置されているセンサノード1の識別情報及び位置情報(経度情報及び緯度情報)とともに、センサとして機能することができる範囲、すなわち対象物の特性情報を検出することができる範囲である検出可能範囲(以下、センシング領域)に関する情報を記憶している。図5の例では、センシング領域が円形領域であると仮定し、その半径を記憶している。もちろん、これに限定されるものではなく、センサノード1を中心として、中心角θと限界距離rとの関係として複数のプロット点を記憶しておいても良い(r−θ座標系)。
【0048】
図4に戻って、判断部302は、既に設置されているセンサノード1のセンシング領域と新たに設置しようとするセンサノード1のセンシング領域との重なり合う領域の割合がセンシング領域の所定の割合の範囲内、例えばセンシング領域全体の5%以上10%以下であるか否かを判断する。重なり合う領域の割合が5%より小さい場合には、センシング領域が重なり合うことがなく特性情報を検出することができない範囲が過大であるため、センサノード1の設置位置としては不適切であると判断する。また、重なり合う領域の割合が10%より大きい場合には、センシング領域が重なり合いすぎているため、設置するべきセンサノード1の全体数が大きくなり、コスト高となるおそれがあるため、センサノード1の設置領域としては不適切であると判断する。
【0049】
図6は、本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムのサーバ3の判断部302における判断のイメージ図である。図6(a)に示すように、新たに設置しようとするセンサノード1のセンシング領域6aと既に設置されているセンサノード1のセンシング領域6bとが重なり合わない場合、判断部302はセンサノード1の設置位置が不適切である旨を示す情報(適否情報)を判断結果として、携帯端末2へ送信する。
【0050】
携帯端末2で判断結果を受信した場合、ユーザは、センサノード1の設置位置を変更して同様の処理を繰り返すことで、センサノード1の設置位置が適切である旨を示す情報(適否情報)を判断結果として受信するまで試行錯誤する。少しでも効率を高めるために、判断結果には、センサノード1をどの方向へ移動させればよいのかを示す方角情報が含まれていることが好ましい。
【0051】
例えば図6(a)では、新たに設置しようとするセンサノード1の位置情報6pと既に設置されているセンサノード1の位置情報6qとを取得しているので、位置情報6pと位置情報6qとを結んだ直線上を、矢印方向へ移動させればよいことがわかる。サーバ3は、移動させるべき方角情報を算出して、判断結果とともに携帯端末2へ送信する。これにより、携帯端末2で判断結果を受信したユーザは、受信した方角情報に従って、適切な位置に短時間でセンサノード1を移動させることができる。
【0052】
また、図6(b)に示すように、新たに設置しようとするセンサノード1のセンシング領域6aと既に設置されているセンサノード1のセンシング領域6bとが大きく重なり合っている場合、例えば重なり合う領域60の割合がセンシング領域6a又は6bの10%を大きく超えている場合、センサノード1の設置位置としては、もう少し互いに距離をおいて設置することが好ましい。したがって、判断部302はセンサノード1の設置位置が不適切である旨を示す情報(適否情報)を判断結果として、携帯端末2へ送信する。
【0053】
携帯端末2で判断結果を受信した場合、ユーザは、センサノード1の設置位置を変更して同様の処理を繰り返すことで、設置位置が適切である旨を示す情報(適否情報)を判断結果として受信するまで試行錯誤する。ただし、判断結果に、センサノード1をどの方向へ移動させればよいのかを示す方角情報が含まれていれば、より効率的に移動させることができる。
【0054】
例えば図6(b)では、新たに設置しようとするセンサノード1の位置情報6pと既に設置されているセンサノード1の位置情報6qとを取得しているので、位置情報6pと位置情報6qとを結んだ直線上を、矢印方向へ互いに離れるように移動させればよいことがわかる。サーバ3は、移動させるべき方角情報を算出して、判断結果とともに携帯端末2へ送信する。これにより、携帯端末2で判断結果を受信したユーザは、受信した方角情報に従って、適切な位置に短時間でセンサノード1を移動させることができる。
【0055】
そして、図6(c)に示すように、重なり合う領域60の割合がセンシング領域6a又は6bの5%以上10%以下の範囲内である場合、判断部302はセンサノード1の設置位置が適切である旨を示す情報(適否情報)を判断結果として、携帯端末2へ送信する。同時に、センサノード1の識別情報と位置情報とをセンサ情報記憶部331に記憶する。
【0056】
図4に戻って、結果送信部303は、判断部302での判断結果を携帯端末2へ送信する。送信する判断結果に、上述した方角情報が含まれていても良いことは言うまでもない。
【0057】
携帯端末2の結果受信部204は、サーバ3からの判断結果を受信する。結果表示部205は、受信した判断結果を、例えば地図情報とともに表示手段25に表示する。図7は、本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムの携帯端末2における判断結果表示の例示図である。
【0058】
図7では、●印は既に設置されているセンサノード1bを、○印は新たに設置しようとしているセンサノード1aを、それぞれ表示している。図7(a)の例では、新たに設置しようとするセンサノード1aと既に設置されているセンサノード1bとの距離が離れており、設置位置が不適切であることを示す「NG」サインが表示されている。この場合、新たに設置しようとするセンサノード1aのセンシング領域と既に設置されているセンサノード1bのセンシング領域とが重なり合っていないので、新たに設置しようとするセンサノード1aをセンサノード1bに近づける必要がある。
【0059】
そこで、図7(a)では、センサノード1aを近づける方向を、矢印で表示している。矢印の方向は、センサノードの位置情報から算出したベクトル情報に基づいて表示される。携帯端末2においてジャイロスコープを併用することにより、実際に移動させる方向の絶対方向が表示されるので、ユーザが画面表示を見ながらセンサノード1aを移動させることができる。
【0060】
また、図7(b)の例では、新たに設置しようとするセンサノード1aと既に設置されているセンサノード1bとの距離が近すぎるので、設置位置が不適切であることを示す「NG」サインが表示されている。この場合、新たに設置しようとするセンサノード1aのセンシング領域と既に設置されているセンサノード1bのセンシング領域との重なり合う領域の割合が所定の割合以上、例えば10%より大きいので、新たに設置しようとするセンサノード1aをセンサノード1bから遠ざける必要がある。
【0061】
そこで、図7(b)では、センサノード1aを遠ざける方向を、矢印で表示している。矢印の方向は、センサノードの位置情報から算出したベクトル情報に基づいて表示される。携帯端末2においてジャイロスコープを併用することにより、実際に移動させる方向の絶対方向が表示されるので、ユーザが画面表示を見ながらセンサノード1aを移動させることができる。
【0062】
図7(c)の例では、新たに設置しようとするセンサノード1aと既に設置されているセンサノード1bとの距離が適切である旨を示す「OK」サインが表示されている。この場合、新たに設置しようとするセンサノード1aのセンシング領域と既に設置されているセンサノード1bのセンシング領域との重なり合う領域の割合が適切であり、新たに設置しようとするセンサノード1aの設置位置が適切であることを示している。
【0063】
図8は、本発明の実施の形態に係るセンサ設置位置特定支援システムの携帯端末2のCPU21及びサーバ3のCPU31の処理手順を示すフローチャートである。携帯端末2のCPU21は、センサノード1に近接させることで、非接触の近距離通信を行い、センサノード1を識別する識別情報を取得する(ステップS801)。
【0064】
CPU21は、GPS通信手段26を介して複数の衛星4からの電波を受信し、経度情報及び緯度情報を位置情報として取得する(ステップS802)。なお、携帯端末2がスマートフォンである場合、アシストGPS(AGPS)を用いて位置情報の精度を高めても良い。
【0065】
CPU21は、取得した位置情報を、センサノード1を識別する識別情報に対応付けてサーバ3へ送信する(ステップS803)。
【0066】
サーバ3のCPU31は、位置情報を携帯端末2から受信したか否かを判断する(ステップS811)。CPU31が、位置情報を受信していないと判断した場合(ステップS811:NO)、CPU31は、受信待ち状態となる。CPU31が、位置情報を受信したと判断した場合(ステップS811:YES)、CPU31は、受信した位置情報に基づいて、既に設置されているセンサノード1に関する識別情報及び位置情報が記憶されているセンサ情報記憶部331を照会して、設置位置が適切であるか否かを判断する(ステップS812)。
【0067】
センサ情報記憶部331には、既に設置されているセンサノード1の識別情報及び位置情報(経度情報及び緯度情報)とともに、センサとして機能することができる範囲、すなわち対象物の特性情報を検出することができる範囲である検出可能範囲(以下、センシング領域)に関する情報が記憶されている。したがって、携帯端末2の位置を、新たに設置しようとするセンサノード1の位置として、センシング領域に検出漏れが出ないか、あるいは重なり合いすぎて設置するセンサノード1の数が過剰にならないか、等を考慮して、設置位置が適切であるか否かを判断する。
【0068】
具体的には、既に設置されているセンサノード1のセンシング領域と新たに設置しようとするセンサノード1のセンシング領域との重なり合う領域の割合がセンシング領域の所定の割合の範囲内、例えばセンシング領域全体の5%以上10%以下であるか否かを判断する。重なり合う領域の割合が5%より小さい場合には、センシング領域が重なり合うことがなく特性情報を検出することができない範囲が過大であるため、センサノード1の設置位置としては不適切であると判断する。また、重なり合う領域の割合が10%より大きい場合には、センシング領域が重なり合いすぎているため、設置するべきセンサノード1の全体数が大きくなり、コスト高となるおそれがあるため、センサノード1の設置位置としては不適切であると判断する。
【0069】
CPU31が、設置位置が不適切であると判断した場合(ステップS812:NO)、CPU31は、センサノード1を移動するべき方向に関する情報である方角情報を算出する(ステップS813)。CPU31が、設置位置が適切であると判断した場合(ステップS812:YES)、CPU31は、センサ情報記憶部331に位置情報等を記憶する(ステップS814)。
【0070】
CPU31は、方角情報を含む判断結果を携帯端末2へ送信する(ステップS815)。携帯端末2のCPU21は、判断結果を受信したか否かを判断する(ステップS804)。
【0071】
CPU21が、判断結果を受信していないと判断した場合(ステップS804:NO)、CPU21は、受信待ち状態となる。CPU21が、判断結果を受信したと判断した場合(ステップS804:YES)、CPU21は、受信した判断結果を表示する(ステップS805)。これにより、ユーザは、センサノード1の設置位置の適否を確認しながら、最適な位置へ移動させることができる。
【0072】
以上のように、本実施の形態によれば、センサノード1自体に位置情報を取得する手段、例えばGPS通信装置等を備えることなく、センサノード1を設置する位置の位置情報を確実にサーバ3へ収集することができる。また、センサノード1間の相対的な位置関係に応じて、新たに設置しようとするセンサノード1の設置位置が適切であるか否かの判断結果を携帯端末2で確認することができるので、判断結果を確認しながらセンサノード1の設置位置を適切な位置に変更することができ、センサノード1を最適な位置に設置することができるよう、設置作業を支援することが可能となる。
【0073】
その他、上述した実施の形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができることは言うまでもない。例えば携帯端末2とセンサノード1との間は、NFCによるデータ通信に限定されるものではなく、携帯端末2の位置がセンサノード1の位置であるとみなすことが可能な程度に近接した位置でデータ通信できる手段であれば何でも良い。
【0074】
また、本発明は、例えば膨大な広さを有する農地への小型動物の侵入を検出する赤外線センサの設置、震災の被災地における放射能分布の検知センサの設置、海洋における温度分布の検出センサの設置等、比較的設置するセンサの数が相当数になるシステムであるほど、大きな効果を奏することが期待できる。
【符号の説明】
【0075】
1 センサノード(センサ)
2 携帯端末
3 サーバ
4 衛星
21、31 CPU
22、32 メモリ
23、33 記憶装置
26 GPS通信手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8