特許第6187595号(P6187595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187595
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】車両用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20170821BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20170821BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20170821BHJP
   F04B 53/16 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   F16H57/04 Z
   F04C15/00 L
   B60K17/04 K
   F04C15/00 J
   F04B53/16 A
   F04C15/00 E
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-539468(P2015-539468)
(86)(22)【出願日】2014年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2014076177
(87)【国際公開番号】WO2015046592
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年2月17日
(31)【優先権主張番号】特願2013-204926(P2013-204926)
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 昌士
(72)【発明者】
【氏名】福井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】村井 修
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0108469(US,A1)
【文献】 特開2002−195377(JP,A)
【文献】 特開2011−259590(JP,A)
【文献】 特開平06−174055(JP,A)
【文献】 特開平09−126157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/40
B60K 6/54
B60K 17/04
F04B 53/16
F04C 15/00
F16H 57/02
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪の駆動力源により駆動される機械式オイルポンプと、補助油圧源と、前記駆動力源と車輪との間で駆動力の伝達を行う駆動力伝達機構と、少なくとも前記駆動力伝達機構を収容するケースと、を備える車両用駆動装置であって、
前記機械式オイルポンプは、機械式ポンプロータと、当該機械式ポンプロータを収容するポンプ室を形成する機械式ポンプハウジングとを備え、
前記補助油圧源は、補助油圧を生じる補助油圧生成機構と、当該補助油圧生成機構を収容して油圧室を形成する補助油圧源ハウジングとを備え、
前記機械式ポンプハウジングは、前記ケース内の壁に取り付けられ、
前記補助油圧源ハウジングが、前記機械式ポンプハウジングに取り付けられている車両用駆動装置
【請求項2】
車輪の駆動力源により駆動される機械式オイルポンプと、補助油圧源と、前記駆動力源と車輪との間で駆動力の伝達を行う駆動力伝達機構と、少なくとも前記駆動力伝達機構を収容するケースと、を備える車両用駆動装置であって、
前記機械式オイルポンプは、機械式ポンプロータと、当該機械式ポンプロータを収容するポンプ室を形成する機械式ポンプハウジングとを備え、
前記補助油圧源は、補助油圧を生じる補助油圧生成機構と、当該補助油圧生成機構を収容する補助油圧源ハウジングとを備え、
前記機械式ポンプハウジングは、前記ケース内の壁に取り付けられ、
前記補助油圧源ハウジングが、前記機械式ポンプハウジングに取り付けられ
前記機械式ポンプハウジングは、前記機械式ポンプロータの回転軸心である機械式ポンプ軸心の軸方向一方側である軸第一方向側を向く第一取付面と、前記軸第一方向とは反対方向である軸第二方向側を向く第二取付面とを備え、
前記第一取付面が前記壁に当接した状態で前記機械式ポンプハウジングが前記ケースに取り付けられ、前記第二取付面に前記補助油圧源ハウジングが当接した状態で前記補助油圧源ハウジングが前記機械式ポンプハウジングに取り付けられている車両用駆動装置。
【請求項3】
車輪の駆動力源により駆動される機械式オイルポンプと、補助油圧源と、前記駆動力源と車輪との間で駆動力の伝達を行う駆動力伝達機構と、少なくとも前記駆動力伝達機構を収容するケースと、を備える車両用駆動装置であって、
前記機械式オイルポンプは、機械式ポンプロータと、当該機械式ポンプロータを収容するポンプ室を形成する機械式ポンプハウジングとを備え、
前記補助油圧源は、補助油圧を生じる補助油圧生成機構と、当該補助油圧生成機構を収容する補助油圧源ハウジングとを備え、
前記機械式ポンプハウジングは、前記ケース内の壁に取り付けられ、
前記補助油圧源ハウジングが、前記機械式ポンプハウジングに取り付けられ
前記補助油圧源は、ポンプ用回転電機により駆動される電動オイルポンプであり、
前記電動オイルポンプは、前記補助油圧生成機構としての電動ポンプロータと、当該電動ポンプロータを収容するポンプ室を形成する前記補助油圧源ハウジングとしての電動ポンプハウジングとを備え、
前記電動ポンプロータの回転軸心である電動ポンプ軸心が、前記機械式ポンプロータの回転軸心である機械式ポンプ軸心と平行状に配置されている車両用駆動装置。
【請求項4】
前記機械式ポンプハウジングは、前記第一取付面側から前記軸第二方向側に向かって順に積み重ねられた、第一ハウジング部材と第二ハウジング部材とを有し、
前記第一ハウジング部材と前記第二ハウジング部材とが、前記軸第一方向側から前記軸第二方向側へ向けて、前記第一ハウジング部材及び前記第二ハウジング部材に挿入された第一締結ボルトにより互いに締結固定され、
前記補助油圧源ハウジングと前記第二ハウジング部材とが、前記軸第二方向側から前記軸第一方向側へ向けて、前記補助油圧源ハウジング及び前記第二ハウジング部材に挿入された第二締結ボルトにより互いに締結固定されている請求項2に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記第一締結ボルトが複数備えられていると共に、前記第二締結ボルトが複数備えられ、
前記第二ハウジング部材は、軸方向に貫通する共通締結孔を有し、
複数の前記第一締結ボルトの少なくとも一部と、複数の前記第二締結ボルトの少なくとも一部とが同軸上に配置され、
当該同軸上に配置された前記第一締結ボルトと前記第二締結ボルトとが、前記共通締結孔に締結されている請求項に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記補助油圧源は、ポンプ用回転電機により駆動される電動オイルポンプ、電磁アクチュエータにより駆動される電磁ポンプ、又はアキュムレータである請求項1からのいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項7】
前記補助油圧源は、ポンプ用回転電機により駆動される電動オイルポンプであり、
前記電動オイルポンプは、前記補助油圧生成機構としての電動ポンプロータと、当該電動ポンプロータを収容するポンプ室を形成する前記補助油圧源ハウジングとしての電動ポンプハウジングとを備え、
前記第二ハウジング部材に、前記機械式オイルポンプの吸入ポートとストレーナとを接続する第一吸入油路と、前記電動オイルポンプの吸入ポートと前記ストレーナとを接続する第二吸入油路と、が形成されている請求項又はに記載の車両用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の駆動力源により駆動される機械式オイルポンプと、補助油圧源と、前記駆動力源と車輪との間で駆動力の伝達を行う駆動力伝達機構と、少なくとも前記駆動力伝達機構を収容するケースと、を備える車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料消費量の低減や排出ガスの低減を図るため、近年、車両の停止時に内燃機関を停止させるアイドリングストップ機能を備えた車両が増加している。また、内燃機関及び回転電機の両方を駆動力源とするハイブリッド車両においては、車両の停止時に加え、減速時にも内燃機関を停止させる機能を備えることが一般的である。しかし、油圧駆動式の変速装置を備えた車両では、内燃機関を停止させることにより、当該内燃機関により駆動される機械式オイルポンプも停止する。この場合、他の油圧供給手段がなければ、変速装置に油が供給されなくなり、変速装置を適切に動作できなくなる場合がある。そこで、機械式オイルポンプとは別に、補助油圧源として電動オイルポンプを設け、内燃機関の停止時に、電動オイルポンプから吐出される油を変速装置へ供給する構成が提案されている。
【0003】
例えば、特開2010−236581号公報(特許文献1)に、そのような構成の車両用駆動装置が開示されている。この特許文献1にも開示されているように、電動オイルポンプは、車両用駆動装置のケースの外部に取り付けられることが一般的である。しかし、電動オイルポンプを車両用駆動装置のケースの外部に取り付けた場合には、電動オイルポンプに油を供給する為の吸入接続油路及び電動オイルポンプから吐出された油を変速装置等(変速機構)に供給する為の吐出接続油路のようにケースを跨いでケース外に延びる電動オイルポンプ専用の油路を設ける必要があり、車両用駆動装置全体における油路の構成が複雑化してしまう。
【0004】
そこで、電動オイルポンプを車両用駆動装置のケースの内部に収容して、車両用駆動装置全体の油路の構成を簡略化することが考えられる。しかし、通常、車両用駆動装置のケースの内部空間は大きさが限られている為、車両用駆動装置のケース内における電動オイルポンプの配置箇所を考慮せずに、当該電動オイルポンプを無理に車両用駆動装置のケース内に配置しようとすれば、装置全体の大型化に繋がる恐れがある。
特開2010−158975号公報(特許文献2)には、電動オイルポンプ及び機械式オイルポンプの油路を簡略化する技術の一例として、機械式オイルポンプと電動オイルポンプとを、共通の吸入口及び吐出口を有する油路形成ブロック部材により連結して一体化し、油路を共通化する技術が開示されている。しかし、特許文献2には、電動オイルポンプの車両用駆動装置のケース内における配置箇所に関しては考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−236581号公報
【特許文献2】特開2010−158975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、補助油圧源を機械式オイルポンプと共に車両用駆動装置のケース内に効率的に配置することができる車両用駆動装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る、車輪の駆動力源により駆動される機械式オイルポンプと、補助油圧源と、前記駆動力源と車輪との間で駆動力の伝達を行う駆動力伝達機構と、少なくとも前記駆動力伝達機構を収容するケースと、を備える車両用駆動装置の特徴構成は、前記機械式オイルポンプは、機械式ポンプロータと、当該機械式ポンプロータを収容するポンプ室を形成する機械式ポンプハウジングとを備え、前記補助油圧源は、補助油圧を生じる補助油圧生成機構と、当該補助油圧生成機構を収容して油圧室を形成する補助油圧源ハウジングとを備え、前記機械式ポンプハウジングは、前記ケース内の壁に取り付けられ、前記補助油圧源ハウジングが、前記機械式ポンプハウジングに取り付けられている点にある。
【0008】
この特徴構成によれば、ケース内の壁に取り付けられている機械式ポンプハウジングに補助油圧源ハウジングが取り付けられている。すなわち、補助油圧源は、機械式オイルポンプを介して、ケース内の壁に取り付けられている。そのため、補助油圧源を取り付けるための取り付け部をケース内の壁に設ける必要がなく、ケース及びケース内の構造が複雑化することを抑制できる。
【0009】
また、本発明に係る車両用駆動装置は、車輪の駆動力源により駆動される機械式オイルポンプと、補助油圧源と、前記駆動力源と車輪との間で駆動力の伝達を行う駆動力伝達機構と、少なくとも前記駆動力伝達機構を収容するケースと、を備える車両用駆動装置であって、前記機械式オイルポンプは、機械式ポンプロータと、当該機械式ポンプロータを収容するポンプ室を形成する機械式ポンプハウジングとを備え、前記補助油圧源は、補助油圧を生じる補助油圧生成機構と、当該補助油圧生成機構を収容する補助油圧源ハウジングとを備え、前記機械式ポンプハウジングは、前記ケース内の壁に取り付けられ、前記補助油圧源ハウジングが、前記機械式ポンプハウジングに取り付けられ、前記機械式ポンプハウジングは、前記機械式ポンプロータの回転軸心である機械式ポンプ軸心の軸方向一方側である軸第一方向側を向く第一取付面と、前記軸第一方向とは反対方向である軸第二方向側を向く第二取付面とを備え、前記第一取付面が前記壁に当接した状態で前記機械式ポンプハウジングが前記ケースに取り付けられ、前記第二取付面に前記補助油圧源ハウジングが当接した状態で前記補助油圧源ハウジングが前記機械式ポンプハウジングに取り付けられていても良い
【0010】
この構成によれば、補助油圧源は、機械式オイルポンプを介して、ケース内の壁に取り付けられている。また、軸方向において、軸第一方向側から軸第二方向側に向かって、ケース、機械式ポンプハウジング、補助油圧源ハウジングの順に配置されている。よって、軸方向視で機械式ポンプハウジングの配置領域と補助油圧源ハウジングの配置領域とを重複させて、機械式ポンプハウジングに補助油圧源ハウジングを取り付けることが容易となる。その結果、ケース内の壁に沿って補助油圧源と機械式オイルポンプとを並べて配置する構成に比べて、ケース内の特に機械式オイルポンプに軸方向に隣接する空間を有効活用することが可能となり、ケースが軸方向と直交する方向に拡大することを抑制できる。
【0011】
また、本発明に係る車両用駆動装置は、車輪の駆動力源により駆動される機械式オイルポンプと、補助油圧源と、前記駆動力源と車輪との間で駆動力の伝達を行う駆動力伝達機構と、少なくとも前記駆動力伝達機構を収容するケースと、を備える車両用駆動装置であって、前記機械式オイルポンプは、機械式ポンプロータと、当該機械式ポンプロータを収容するポンプ室を形成する機械式ポンプハウジングとを備え、前記補助油圧源は、補助油圧を生じる補助油圧生成機構と、当該補助油圧生成機構を収容する補助油圧源ハウジングとを備え、前記機械式ポンプハウジングは、前記ケース内の壁に取り付けられ、前記補助油圧源ハウジングが、前記機械式ポンプハウジングに取り付けられ、前記補助油圧源は、ポンプ用回転電機により駆動される電動オイルポンプであり、前記電動オイルポンプは、前記補助油圧生成機構としての電動ポンプロータと、当該電動ポンプロータを収容するポンプ室を形成する前記補助油圧源ハウジングとしての電動ポンプハウジングとを備え、前記電動ポンプロータの回転軸心である電動ポンプ軸心が、前記機械式ポンプロータの回転軸心である機械式ポンプ軸心と平行状に配置されていても良い
【0012】
この構成によれば、電動ポンプロータのポンプ室を形成する電動ポンプハウジングが、機械式ポンプロータのポンプ室を形成する機械ポンプハウジングに取り付けられる。そのため、電動ポンプロータのポンプ室と機械式ポンプロータのポンプ室とを近接して配置することができ、これらのポンプ室に接続される油路の配置構成を簡単化したりコンパクトにまとめたりすることができる。更には、電動オイルポンプから機械式オイルポンプ側に接続される油路のシールを簡単且つ確実に行うことができる。電動ポンプ軸心が機械式ポンプ軸心と平行状に配置されているので、機械式オイルポンプに軸方向に隣接する空間を有効活用して、電動オイルポンプを配置することができる。
【0013】
また、前記機械式ポンプハウジングは、前記第一取付面側から前記軸第二方向側に向かって順に積み重ねられた、第一ハウジング部材と第二ハウジング部材とを有し、前記第一ハウジング部材と前記第二ハウジング部材とが、前記軸第一方向側から前記軸第二方向側へ向けて、前記第一ハウジング部材及び前記第二ハウジング部材に挿入された第一締結ボルトにより互いに締結固定され、前記補助油圧源ハウジングと前記第二ハウジング部材とが、前記軸第二方向側から前記軸第一方向側へ向けて、前記補助油圧源ハウジング及び前記第二ハウジング部材に挿入された第二締結ボルトにより互いに締結固定されていると好適である。
【0014】
この構成によれば、補助油圧源は、機械式オイルポンプを介して、ケース内に取り付けられている。また、軸方向において、軸第一方向側から軸第二方向側に向かって、ケース、機械式ポンプハウジング、補助油圧源ハウジングの順に配置されている。さらに、機械式オイルポンプの第一ハウジング部材と補助油圧源ハウジングとが、第二ハウジング部材に対して互いに逆方向から挿入される締結ボルトにより締結固定されている。よって、機械式ポンプハウジング及び補助油圧源ハウジングの組み付けの容易性を確保しつつ、軸方向視で機械式ポンプハウジングの配置領域と補助油圧源ハウジングの配置領域とを重複させて、機械式ポンプハウジングに補助油圧源ハウジングを取り付けることが容易となる。その結果、ケース内の壁に沿って補助油圧源と機械式オイルポンプとを並べて配置する構成に比べて、ケース内の特に機械式オイルポンプに軸方向に隣接する空間を有効活用することが可能となり、ケースが軸方向と直交する方向に拡大することを抑制できる。
【0015】
また、前記第一締結ボルトが複数備えられていると共に、前記第二締結ボルトが複数備えられ、前記第二ハウジング部材は、軸方向に貫通する共通締結孔を有し、複数の前記第一締結ボルトの少なくとも一部と、複数の前記第二締結ボルトの少なくとも一部とが同軸上に配置され、当該同軸上に配置された前記第一締結ボルトと前記第二締結ボルトとが、前記共通締結孔に締結されていると好適である。
【0016】
この構成によれば、同軸上に配置された第一締結ボルト及び第二締結ボルトの双方を共通締結孔に挿入することができる。よって、第一ハウジング部材を第二ハウジング部材に締結するための第一締結ボルトを挿入する締結孔と、電動ポンプハウジングを第二ハウジング部材に締結するための第二締結ボルトを挿入する締結孔との総数を少なく抑えることができる。従って、これらの締結孔をそれぞれ独立に設ける場合に比べて、機械式ポンプハウジング及び電動ポンプハウジングの小型化を図ることができる。
【0017】
ここで、前記補助油圧源は、ポンプ用回転電機により駆動される電動オイルポンプ、電磁アクチュエータにより駆動される電磁ポンプ、又はアキュムレータであると好適である。
【0018】
なお、用途に限らず「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
【0019】
上記の構成によれば、電動オイルポンプ、電磁ポンプ、又はアキュムレータを補助油圧源として、上記のようにケース内に効率的に配置することができる。
【0020】
また、前記補助油圧源は、ポンプ用回転電機により駆動される電動オイルポンプであり、前記電動オイルポンプは、前記補助油圧生成機構としての電動ポンプロータと、当該電動ポンプロータを収容するポンプ室を形成する前記補助油圧源ハウジングとしての電動ポンプハウジングとを備え、前記第二ハウジング部材に、前記機械式オイルポンプの吸入ポートとストレーナとを接続する第一吸入油路と、前記電動オイルポンプの吸入ポートと前記ストレーナとを接続する第二吸入油路と、が形成されていると好適である。
【0021】
この構成によれば、第一吸入油路と第二吸入油路との双方が同一の部材である第二ハウジング部材に形成されている。よって、第一吸入油路と第二吸入油路とを近接して配置することができ、車両駆動装置内における吸入油路の構成を比較的簡素化することができる。その結果、前記機械式オイルポンプ及び前記電動オイルポンプの吸入油路が離れて配置されることにより吸入油路が複雑な構成となる場合に比べて、車両用駆動装置の油圧回路内の圧力損失を低減することができる。また、機械式オイルポンプ及び電動オイルポンプの配置領域を軸方向に小型化することもできる。更には、第二吸入油路と電動ポンプロータの位置合わせと、第二吸入油路と電動オイルポンプのシールと、を簡単且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る車両用駆動装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る機械式オイルポンプ及び電動オイルポンプの軸方向断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る隔壁部材の斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る隔壁部材、機械式オイルポンプ及び電動オイルポンプの斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る車両用駆動装置の軸方向視での配置位置を示す概略図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る機械式オイルポンプ及び電動オイルポンプの軸方向断面図である。
図7】本発明のその他の実施形態に係る機械式オイルポンプ及び補助油圧源の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る車両用駆動装置の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る車両用駆動装置1は、車両の車輪Wの唯一の駆動力源として内燃機関Eを備えた車両(いわゆるエンジン車両)を駆動するための車両用駆動装置(エンジン車両用駆動装置)である。本実施形態では、車両用駆動装置1は、車両の停止時に内燃機関Eを停止させるアイドリングストップ機能を備えた車両(アイドリングストップ車両)を駆動するための車両用駆動装置(アイドリングストップ車両用駆動装置)として構成されている。アイドリングストップ車両では、燃料消費量の低減や排出ガスの低減を図ることができる。
【0024】
1.車両用駆動装置の全体の構成
図1に示すように、車両用駆動装置1は、内燃機関Eに駆動連結される入力軸31と、複数(本例では2つ)の車輪Wにそれぞれ駆動連結される複数(本例では2つ)の出力軸36とを備えている。また、車両用駆動装置1は、変速装置33と、カウンタギヤ機構34と、差動歯車装置35とを備えている。変速装置33、カウンタギヤ機構34、及び差動歯車装置35は、入力軸31と出力軸36とを結ぶ動力伝達経路に、入力軸31の側から記載の順に設けられている。すなわち、変速装置33、カウンタギヤ機構34、及び差動歯車装置35が、駆動力源である内燃機関Eと車輪Wとの間で駆動力の伝達を行う本発明の「駆動力伝達機構」に相当する。また、車両用駆動装置1は、これらを収容するケースCSと、機械式オイルポンプMOPと、補助油圧源としての電動オイルポンプEOPと、油圧制御装置81とを備えている。
【0025】
内燃機関Eは、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等)である。本実施形態では、内燃機関Eの出力軸である内燃機関出力軸(クランクシャフト等)が、入力軸31に駆動連結されている。なお、内燃機関出力軸が、ダンパ等を介して入力軸31に駆動連結されても良い。
【0026】
入力軸31には、変速装置33が駆動連結されている。変速装置33は、本実施形態では、複数の変速用係合装置を備え、変速比の異なる複数の変速段を切替可能に備えた自動有段変速機構である。なお、変速装置33として、プーリに接続された可動シーブを備え、変速比を無段階に変更可能な自動無段変速機構等を用いても良い。いずれの場合においても、変速装置33は油圧によって駆動されるように構成されている。変速装置33は、本実施形態における入力軸31に入力される回転及びトルクを、その時点における変速比に応じて変速するとともにトルク変換して、変速出力ギヤ33gに伝達する。
【0027】
変速出力ギヤ33gは、カウンタギヤ機構34を介して差動歯車装置35に駆動連結されている。差動歯車装置35は、左右2つの出力軸36を介して、左右2つの車輪Wにそれぞれ駆動連結されている。差動歯車装置35は、変速出力ギヤ33gからカウンタギヤ機構34を介して伝達される回転及びトルクを、左右2つの車輪Wに分配する。これにより、車両用駆動装置1は内燃機関Eのトルクを車輪Wに伝達させて、車両を走行させることができる。
【0028】
また、本実施形態では、変速装置33が入力軸31と同軸に配置されるとともに、差動歯車装置35及び出力軸36が入力軸31とは別軸に配置されている。また、カウンタギヤ機構34が、入力軸31及び出力軸36の両方と別軸に配置されている。そして、変速装置33の回転軸心である第一軸心A1と、カウンタギヤ機構34の回転軸心である第二軸心A2と、差動歯車装置35の回転軸心である第三軸心A3とが、互いに平行状に配置されている。これらは、図5に示すように、各回転軸心A1〜A3に平行な軸方向に見て、三角形(本例では中心角が約90°〜110°程度の鈍角三角形)の頂点に位置するように配置されている。
【0029】
また、本実施形態では、各回転軸心A1〜A3は、機械式オイルポンプMOPが備える機械式ポンプロータR1(図2参照)の回転軸心である機械式ポンプ軸心A4及び電動オイルポンプEOPが備える電動ポンプロータR2の回転軸心である電動ポンプ軸心A5とも別軸に配置されている。そして、機械式ポンプ軸心A4及び電動ポンプ軸心A5は、各軸心A1〜A3と互いに平行状に配置されている。また、機械式ポンプ軸心A4と電動ポンプ軸心A5とも互いに平行状に配置されている。よって、軸方向は、これらの5つの回転軸心A1〜A5で共通した軸方向となる。本実施形態では、軸方向において変速装置33から内燃機関Eに向かう方向(図1における右側)を軸第一方向X1と規定し、その反対方向である内燃機関Eから変速装置33へ向かう方向(図1における左側)を軸第二方向X2と規定している。なお、本実施形態において「平行状」とは、製造誤差などによる多少の傾きがある状態も含む実質的に平行な状態を意味する。また、説明の便宜上、以下では、車両用駆動装置1を車両に搭載した状態での上下方向(図3及び図5の上下方向)を単に上下方向とする。また、当該上下方向及び軸方向と直交する方向を水平方向(図5の左右方向)とし、軸第一方向X1視で変速装置33から差動歯車装置35に向かう方向(図5における左方向)を第一水平方向S1と称し、変速装置33から油圧制御装置81に向かう方向(図5における右方向)を第二水平方向S2と称する。
【0030】
2.車両用駆動装置のケース
ケースCSは、少なくとも駆動力伝達機構を収容するものである。本実施形態では、図1に示すように、ケースCSは、変速装置33と、カウンタギヤ機構34と、差動歯車装置35とを収容すると共に、ポンプ駆動機構40と、機械式オイルポンプMOPと、電動オイルポンプEOPと、ストレーナ80と、油圧制御装置81とを収容している。また、ケースCSは、内部に収容している部材の外側を覆うように形成された外壁と、当該内部に収容している部材を支持するため又は隔離するために部分的又は全体的に覆った隔壁とを備えている。ケースCSは、図1〜3に示すように、複数の部材から構成されており、本実施形態では、第1ケース部材CS1〜第5ケース部材CS5から構成されている。なお、図3は、軸第一方向X1側であって第二水平方向S2側からの第4ケース部材CS4の斜視図であり、第2ケース部材CS2を一点鎖線で示している。図4は、軸第二方向X2側であって第一水平方向S1側からの第4ケース部材CS4の斜視図である。
【0031】
具体的には、第1ケース部材CS1は、ケースCSを構成する部材のうち、最も軸第二方向X2側に設けられ、変速装置33及びカウンタギヤ機構34の軸第二方向X2側の端部を軸第二方向X2側から覆うように形成されている。なお、第1ケース部材CS1には、出力軸36が貫通する貫通孔が形成されている。第1ケース部材CS1は、変速装置33及びカウンタギヤ機構34の一部と差動歯車装置35の主要部とを収容している。第2ケース部材CS2は、第1ケース部材CS1の軸第一方向X1側に連結される異形筒状のケース部材である。第2ケース部材CS2は、変速装置33及びカウンタギヤ機構34の主要部と、機械式オイルポンプMOPと、電動オイルポンプEOPと、ストレーナ80と、油圧制御装置81の一部と、差動歯車装置35の一部とを収容している。
【0032】
また、第2ケース部材CS2の周壁には、図3及び図5で示すように、第二水平方向S2側に向かって開口する開口部20が形成されている。この開口部20の位置に油圧制御装置81が配置されている。そして、当該開口部20の位置に配置された油圧制御装置81を第二水平方向S2側から覆うように、第2ケース部材CS2に対して第5ケース部材CS5がシールされた状態で固定されている。すなわち、第5ケース部材CS5は、油圧制御装置81のカバー部材として機能する。さらに、第2ケース部材CS2の周壁の内周面には、図1及び図2に示すように、第2ケース部材CS2の周壁から径方向内側に突出する径方向突出部21が形成されており、当該径方向突出部21には、第4ケース部材CS4が固定されている。本実施形態では、図2に示すように、第2ケース部材CS2と第3ケース部材CS3との連結部付近の周壁の内周面から径方向内側へ突出するように径方向突出部21が形成されている。また、当該径方向突出部21の軸第一方向X1側を向く面が第4ケース部材CS4の径方向外側の端部の軸第二方向X2側を向く面に当接した状態で複数のケース用締結ボルト22により固定されている。本実施形態では、径方向とは、機械式ポンプ軸心A4と直交する方向をいう。
【0033】
また、油を濾過する為のストレーナ80は、オイルパン等の油溜まり内に配置されている。本実施形態では、第2ケース部材CS2の下側(図3及び図5における下側)の内周面が油溜まりを形成しており、ストレーナ80は当該油溜まり内に浸かるように配置されている。なお、第2ケース部材CS2にも、出力軸36が貫通する貫通孔が形成されている。第3ケース部材CS3は、第2ケース部材CS2の軸第一方向X1側に連結され、ポンプ駆動機構40を軸第一方向X1側から覆うように収容している。なお、第3ケース部材CS3には、軸方向に貫通する貫通孔(図示せず)が設けられており、入力軸31が当該貫通孔を貫通して、内燃機関Eに連結される。
【0034】
第4ケース部材CS4は、ケースCS内の複数の部材を支持する支持部材である。本実施形態では、図3及び図4に示すように、第4ケース部材CS4は、変速入力軸でもある入力軸31を支持すると共に機械式オイルポンプMOPを軸第一方向X1側から支持する。また、第4ケース部材CS4は、当該機械式オイルポンプMOPを介して電動オイルポンプEOPを間接的に支持する。なお、ストレーナ80も、機械式ポンプハウジング61に固定されていてもよく、その場合は、第4ケース部材CS4は、ストレーナ80も間接的に支持する。また、第4ケース部材CS4は、第2ケース部材CS2に固定されている。
【0035】
第4ケース部材CS4は板状部材であり、本実施形態では、軸方向視の形状が異形の板状に形成されている。また、第4ケース部材CS4は、図3及び図4に示すように、入力軸31を支持する変速軸支持部50と、機械式オイルポンプMOP(電動オイルポンプEOP)を支持するオイルポンプ支持部51とを備える。本実施形態では、変速軸支持部50とオイルポンプ支持部51とは一体的に形成されている。また、変速軸支持部50には、軸方向に貫通する第一貫通孔56が設けられており、入力軸31が第一貫通孔56に挿入されて回転可能に支持される。また、第4ケース部材CS4は、図5で示すように、軸方向視で、差動歯車装置35と重複しない位置に配置されている。
【0036】
図2に示すように、オイルポンプ支持部51は、軸方向における一方側の面に、機械式オイルポンプMOPの第一取付面F1と当接する第一面FE1を有している。本実施形態では、オイルポンプ支持部51は、軸第二方向X2側を向く面に第一面FE1を有している。また、オイルポンプ支持部51は、軸方向における一方側の面に第2ケース部材CS2と連結される第二面FE2を有する。本実施形態では、オイルポンプ支持部51は、図2に示すように、径方向外側の端部の軸第二方向X2側を向く面に、第2ケース部材CS2の径方向突出部21の軸第一方向X1側を向く面と当接する第二面FE2を有している。すなわち、第二面FE2の方が第一面FE1よりも径方向外側に位置する。
【0037】
そして、オイルポンプ支持部51の第二面FE2と第2ケース部材CS2の軸第一方向X1側を向く面とが当接した状態で、第2ケース部材CS2とオイルポンプ支持部51とがケース用締結ボルト22により締結固定されている。また、本実施形態では、変速軸支持部50の一部がオイルポンプ支持部51の上側に配置されており(図3参照)、変速軸支持部50の径方向外側の端部の軸第二方向X2側を向く面と第2ケース部材CS2の径方向突出部21の軸第一方向X1側を向く面とが当接した状態で、第2ケース部材CS2と変速軸支持部50とがケース用締結ボルト22により締結固定されている。これにより、本実施形態では、第4ケース部材CS4は、第2ケース部材CS2に固定されている。
【0038】
また、オイルポンプ支持部51には、軸方向に貫通する第二貫通孔57が設けられている。第二貫通孔57には、機械式オイルポンプMOPの機械式ポンプ軸44が挿入され、機械式ポンプ軸44はオイルポンプ支持部51に回転可能に支持される。また、オイルポンプ支持部51には、ケース用締結ボルト22が挿入される軸方向に貫通する締結孔が形成されている。さらに、オイルポンプ支持部51には、オイルポンプ支持部51と機械式ポンプハウジング61とを締結固定する第一締結ボルト67が挿入される第一締結ボルト孔70が軸方向に貫通する貫通孔として形成されている。
【0039】
上述のように、本実施形態では、変速入力軸である入力軸31を支持する第4ケース部材CS4に、機械式オイルポンプMOP(電動オイルポンプEOP)を取り付け、当該機械式オイルポンプMOPに電動オイルポンプEOPを取り付けている。これにより、機械式オイルポンプMOPや電動オイルポンプEOPを支持する為の専用の支持部材を別途設ける必要がない。従って、部品点数を減らすことができ、コストを低減することが可能となる。
【0040】
3.機械式オイルポンプ
機械式オイルポンプMOPは、車輪Wの駆動力源により駆動されるオイルポンプであり、入力軸31に駆動連結されている。本実施形態では、図1及び図2に示すように、機械式オイルポンプMOPは、ポンプ駆動機構40を介して入力軸31に駆動連結されている。ポンプ駆動機構40は、図1に示すように、駆動要素としての第一スプロケット41と、被駆動要素としての第二スプロケット42と、連結要素としてのチェーン43とを含む。第一スプロケット41は、入力軸31に固定されており、入力軸31と一体回転する。第二スプロケット42は、図2に示すように、機械式オイルポンプMOPの機械式ポンプロータR1に駆動連結された機械式ポンプ軸44に固定されており、機械式ポンプ軸44と一体回転する。チェーン43は、第一スプロケット41と第二スプロケット42とに巻きかけられている。なお、本実施形態では、ポンプ駆動機構40は、軸方向において、第4ケース部材CS4の軸第一方向X1側を向く面と第3ケース部材CS3の内周面とに囲まれた空間に収容されている。
【0041】
機械式オイルポンプMOPは、機械式ポンプロータR1と、当該機械式ポンプロータR1を収容するポンプ室60を形成する機械式ポンプハウジング61とを備えている。機械式オイルポンプMOPは、機械式ポンプロータR1が回転することにより、油を第一吸入ポート85(後述)から吸入し、第一吐出ポート89(後述)に吐出するオイルポンプである。本実施形態では、図2に示すように、機械式オイルポンプMOPは、機械式ポンプロータR1として、内側に歯車を有する第一アウターロータR1oと、その内側に収まり、外側に歯車を有する第一インナーロータR1iとを有する内接型ギヤポンプである。また、第一アウターロータR1oと第一インナーロータR1iとは、中心が偏心されて噛み合わされている。但し、機械式オイルポンプMOPは、このような構成に限定されるものではなく、例えば、外接型ギヤポンプやベーンポンプ等であってもよい。
【0042】
機械式ポンプハウジング61は、車両用駆動装置1のケースCS内の壁に取り付けられる。本実施形態では、機械式ポンプハウジング61は、第4ケース部材CS4に取り付けられる。具体的には、図2に示すように、機械式ポンプハウジング61は、機械式ポンプ軸心A4の軸方向一方側である軸第一方向X1側を向く第一取付面F1を備え、当該第一取付面F1がオイルポンプ支持部51の軸第二方向X2側を向く第一面FE1に当接した状態で第4ケース部材CS4に取り付けられる。また、機械式ポンプハウジング61は、軸第一方向X1とは反対方向である軸第二方向X2側を向く第二取付面F2を備え、当該第二取付面F2が電動ポンプハウジング75(後述)の軸第一方向X1側を向く面である第三面FE3に当接した状態で、機械式ポンプハウジング61に電動ポンプハウジング75が取り付けられている。
【0043】
また、機械式ポンプハウジング61は、複数のハウジング部材から構成されていてもよい。本実施形態では、図2に示すように機械式ポンプハウジング61は、第一取付面F1側から軸第二方向X2側に向かって順に積み重ねられた、第一ハウジング部材62と第二ハウジング部材63とを有している。第一ハウジング部材62は、第4ケース部材CS4への取付面である第一取付面F1と、当該第一取付面F1と軸方向において反対側の面であり軸第二方向X2側を向く第一連結面P1とを備えている。一方、第二ハウジング部材63は、電動ポンプハウジング75の取付面である第二取付面F2と、当該第二取付面F2と軸方向において反対側の面であり軸第一方向X1側を向く第二連結面P2とを備えている。そして、第一ハウジング部材62は、第一取付面F1が第一面FE1に当接した状態で、オイルポンプ支持部51に取り付けられている。また、第一連結面P1と第二連結面P2とが当接した状態で、第一ハウジング部材62と第二ハウジング部材63とが取り付けられている。その際、第一ハウジング部材62と第二ハウジング部材63とは、軸第一方向X1側から軸第二方向X2側へ向けて、第一ハウジング部材62及び第二ハウジング部材63に挿入された第一締結ボルト67により互いに締結固定されている。また、本実施形態では、当該第一締結ボルト67は、オイルポンプ支持部51の第一締結ボルト孔70にも挿入されている。すなわち、第一締結ボルト67は、オイルポンプ支持部51の軸第一方向X1側の面から軸第二方向X2側に向けて、オイルポンプ支持部51と第一ハウジング部材62と第二ハウジング部材63とを共締めするように挿入されている。
【0044】
また、第二ハウジング部材63には、電動ポンプハウジング75のロータ収容部材77が取り付けられている。具体的には、第二ハウジング部材63とロータ収容部材77とは、第二取付面F2が、ロータ収容部材77の軸第一方向X1側を向く面である第三面FE3に当接した状態で、軸第二方向X2側から軸第一方向X1側へ向けて、電動ポンプハウジング75及び第二ハウジング部材63に挿入された第二締結ボルト68により互いに締結固定されている。このように、本実施形態では、軸第二方向X2側に向かって、オイルポンプ支持部51、第一ハウジング部材62、第二ハウジング部材63、電動ポンプハウジング75の順に取り付けられている。すなわち、軸第二方向X2側に向かって、第4ケース部材CS4、機械式ポンプハウジング61、電動ポンプハウジング75の順に取り付けられている。よって、変速装置33を配置する為に必要な軸方向のスペースを有効活用して、電動オイルポンプEOPを配置することができる。
【0045】
本実施形態では、図2に示すように、ポンプ室60は、第一ハウジング部材62に形成されている。具体的には、ポンプ室60は、第一ハウジング部材62が円柱状に刳り貫かれて形成された軸方向に貫通する孔部であり、内部に機械式ポンプロータR1を収容している。本実施形態では、第一ハウジング部材62の軸方向の長さが、機械式ポンプロータR1の軸方向の長さ及びポンプ室60の軸方向の長さと合致するように構成されており、ポンプ室60の軸第二方向X2側の端面は、第二ハウジング部材63の第二連結面P2によって覆われている。また、ポンプ室60の軸第一方向X1側の端面はオイルポンプ支持部51の第一面FE1によって覆われている。第一インナーロータR1iの中心部には、図2に示すように、軸方向に貫通する第三貫通孔64が形成されており、機械式ポンプ軸44が当該第三貫通孔64に挿入されている。よって、第一インナーロータR1iと機械式ポンプ軸44とが、一体回転するように連結されている。なお、機械式オイルポンプMOPの回転軸心である機械式ポンプ軸心A4は、機械式ポンプ軸44の回転軸心と一致している。
【0046】
また、機械式ポンプ軸44は、図2に示すように、第三貫通孔64に挿入された状態で、機械式ポンプロータR1に対して軸第二方向X2側に突出している。当該軸第二方向X2側に突出した機械式ポンプ軸44の軸第二方向X2側の端部は、第二ハウジング部材63の第二連結面P2に形成された凹部である軸支持孔65に挿入されて回転可能に支持されている。
【0047】
第一ハウジング部材62は、軸方向に厚みを有する柱状に形成されている。本実施形態では、軸方向視で、第一ハウジング部材62の断面形状の中心部分に、機械式ポンプ軸44が配置されるように取り付けられる。また、第一ハウジング部材62には、軸方向に貫通する締結ボルト孔が複数形成されている。本実施形態では、第一ハウジング部材62は、軸方向視で、他の部分よりも径方向外側に突出した第一径方向突出部69を複数有しており、当該第一径方向突出部69のそれぞれに、第一締結ボルト67が挿入される第一締結ボルト孔70が形成されている。また、これらの複数の第一締結ボルト孔70のそれぞれに、第一締結ボルト67が挿入される。
【0048】
第二ハウジング部材63は、軸方向に厚みを有する柱状に形成されている。本実施形態では、第二ハウジング部材63は、軸方向視の断面の形状の中心位置が機械式ポンプ軸心A4上に位置するように、第二ハウジング部材63は、第一ハウジング部材62に取り付けられる。すなわち、第二ハウジング部材63の断面形状の中心部分において、第二連結面P2側に開口するように軸支持孔65が形成されている。
【0049】
また、第二ハウジング部材63には、第二連結面P2側に開口する複数の締結ボルト孔が形成されている。本実施形態では、第二ハウジング部材63は、軸方向に貫通する共通締結孔95を有しており、第二連結面P2側に開口するように形成された複数の締結ボルト孔の一部が軸方向に貫通する共通締結孔95となっている。また、第二連結面P2側に開口するように形成された複数の締結ボルト孔のうち共通締結孔95を除く締結ボルト孔が第一締結ボルト孔70である。第二ハウジング部材63に形成された第一締結ボルト孔70は、第一ハウジング部材62と第二ハウジング部材63とを取り付けた状態で、第一ハウジング部材62に形成されている第一締結ボルト孔70と同軸上に配置される(図2における上側のボルトを参照)。また、第二ハウジング部材63に形成された共通締結孔95も、第一ハウジング部材62と第二ハウジング部材63とを取り付けた状態で、第一ハウジング部材62に形成されている第一締結ボルト孔70と同軸上に配置される(図2における下側のボルトを参照)。
【0050】
また、本実施形態では、第二ハウジング部材63は、図2及び図4に示すように、軸方向視で、他の部分よりも径方向外側に突出した第二径方向突出部71を複数有している。そして、共通締結孔95及び第一締結ボルト孔70は、当該複数の第二径方向突出部71のうちの一部の第二径方向突出部71に形成されている。
【0051】
また、第二ハウジング部材63の第二連結面P2には、ストレーナ80からの油をポンプ室60へ流入させる第一吸入ポート85と、ポンプ室60内の油を油圧制御装置81に供給する為にポンプ室60外へ吐出する第一吐出ポート89とが形成されている。第一吸入ポート85と第一吐出ポート89とは、軸方向視で、第二連結面P2の周方向の異なる位置に形成されている。本実施形態では、周方向とは、機械式ポンプ軸心A4を基準とした周方向に相当する。
【0052】
また、第二ハウジング部材63には、機械式オイルポンプMOPの第一吸入ポート85とストレーナ80とを接続する吸入油路と、機械式オイルポンプMOPの第一吐出ポート89と油圧制御装置81とを接続する吐出油路とが形成されている。さらに、第二ハウジング部材63には、電動オイルポンプEOPの第二吸入ポート86(後述)とストレーナ80とを接続する吸入油路と、電動オイルポンプEOPの第二吐出ポート90(後述)と油圧制御装置81とを接続する吐出油路とが形成されている。本実施形態では、これらの吸入油路及び吐出油路は、第二ハウジング部材63の内部に形成されている。但し、この構成に限定されるものではなく、これらの吸入油路及び吐出油路は、第二連結面P2や第二取付面F2に溝状に形成される構成であってもよい。本実施形態では、第二ハウジング部材63の内部には、ストレーナ80に接続された共通吸入油路82と、当該共通吸入油路82に接続されて共通吸入油路82から流入する油を機械式オイルポンプMOPの第一吸入ポート85へ導く第一吸入油路83と、共通吸入油路82と第一吸入油路83との接続部から分岐して共通吸入油路82から流入する油を電動オイルポンプEOPの第二吸入ポート86へ導く第二吸入油路84とが形成されている。また、第二ハウジング部材63の内部には、さらに、機械式オイルポンプMOPの第一吐出ポート89と油圧制御装置81とを接続する第一吐出油路87と、電動オイルポンプEOPの第二吐出ポート90と油圧制御装置81とを接続する第二吐出油路88とが形成されている。なお、本発明の第一吸入油路は、本実施形態の共通吸入油路82と第一吸入油路83とから構成されており、本発明の第二吸入油路は、本実施形態の共通吸入油路82と第二吸入油路84とから構成されている。
【0053】
第二ハウジング部材63の第二取付面F2には、ストレーナ80からの油を電動オイルポンプEOPのポンプ室76へ流入させる第二吸入ポート86と、当該ポンプ室76内の油を油圧制御装置81に供給する為にポンプ室72外へ吐出する第二吐出ポート90とが形成されている。第二吸入ポート86と第二吐出ポート90とは、軸方向視で、第二取付面F2の周方向の異なる位置に形成されている。
【0054】
また、第二ハウジング部材63には、第二取付面F2側に開口する複数の締結ボルト孔が形成されている。本実施形態では、第二取付面F2側に開口するように形成された複数の締結ボルト孔の一部が共通締結孔95となっている。また、第二ハウジング部材63の第二取付面F2側に開口するように形成された複数の締結ボルト孔のうち共通締結孔95を除いた締結ボルト孔が第二締結ボルト孔94である(図示せず)。当該第二締結ボルト孔94は、第二ハウジング部材63にロータ収容部材77を取り付けた状態で、ロータ収容部材77に形成されている第二締結ボルト孔94と同軸上に配置される。また、第二ハウジング部材63に形成された共通締結孔95も、第二ハウジング部材63にロータ収容部材77を取り付けた状態で、ロータ収容部材77に形成された第二締結ボルト孔94と同軸上に配置される。
【0055】
また、本実施形態では、第二ハウジング部材63の第二締結ボルト孔94は、複数の第二径方向突出部71のうち共通締結孔95及び第一締結ボルト孔70が形成されていない第二径方向突出部71に形成されている。
【0056】
上述のように、オイルポンプ支持部51に形成された第一締結ボルト孔70と、第一ハウジング部材62に形成された第一締結ボルト孔70と、第二ハウジング部材63に形成された共通締結孔95と、ロータ収容部材77に形成された第二締結ボルト孔94とが同軸上に配置されており、これらが軸方向に連続して、オイルポンプ支持部51と機械式ポンプハウジング61と電動ポンプハウジング75とを貫通する一つのポンプハウジング貫通孔100が形成されている。そして、複数の第一締結ボルト67の少なくとも一部が当該ポンプハウジング貫通孔100を形成する第一締結ボルト孔70に締結され、複数の第二締結ボルト68の少なくとも一部が当該ポンプハウジング貫通孔100を形成する第二締結ボルト孔94に締結され、これらのポンプハウジング貫通孔100に締結される第一締結ボルト67と第二締結ボルト68とが同軸上に配置される。また、当該同軸上に配置された第一締結ボルト67と第二締結ボルト68とは、第二ハウジング部材63において、共通締結孔95に締結されている。これにより、第一ハウジング部材62と第二ハウジング部材63とを締結する為の第一締結ボルト孔70が形成される第一径方向突出部69及び第二径方向突出部71と、第二ハウジング部材63と電動オイルポンプEOPのロータ収容部材77とを締結する為の第二締結ボルト孔94が形成される第二径方向突出部71及び第三径方向突出部93を、機械式ポンプ軸心A4を基準とした周方向の同じ位置に配置することができる。よって、それぞれを機械式ポンプ軸心A4を基準とした周方向の異なる位置に配置する場合に比べて、機械式ポンプハウジング61及び電動ポンプハウジング75の外形を小さくすることができ、車両用駆動装置1の小型化を図ることができる。
【0057】
4.電動オイルポンプ
車両用駆動装置1は、補助油圧源を備えている。補助油圧源は、補助油圧を生じる補助油圧生成機構と、当該補助油圧生成機構を収容する補助油圧源ハウジングとを備えている。そして、補助油圧源ハウジングが、機械式ポンプハウジング61に取り付けられる。
本実施形態では、補助油圧源は、ポンプ用回転電機MGにより駆動される電動オイルポンプEOPとされている。電動オイルポンプEOPは、ポンプ用回転電機MGにより駆動されるオイルポンプである。電動オイルポンプEOPは、入力軸31と出力軸36とを結ぶ動力伝達経路から独立して設けられたポンプ用回転電機MGに駆動連結されている。本実施形態では、電動オイルポンプEOPは、図2に示すように、ポンプ用回転電機MGと一体的に設けられている。電動オイルポンプEOPは、補助油圧生成機構としての電動ポンプロータR2と、電動ポンプロータR2を収容するポンプ室76を形成する補助油圧源ハウジングとしての電動ポンプハウジング75とを備えている。電動オイルポンプEOPは、ポンプ用回転電機MGの駆動力により電動ポンプロータR2が回転し、当該電動ポンプロータR2の回転により第二吸入ポート86から油を吸入し、第二吐出ポート90に吐出するオイルポンプである。本実施形態では、図2に示すように、電動オイルポンプEOPは、電動ポンプロータR2として、内側に歯車を有する第二アウターロータR2oと、その内側に収まり、外側に歯車を有する第二インナーロータR2iとを有する内接型ギヤポンプである。また、第二アウターロータR2oと第二インナーロータR2iとは、中心が偏心されて噛み合わされている。但し、電動オイルポンプEOPは、このような構成に限定されるものではなく、例えば、外接型ギヤポンプやベーンポンプ等であってもよい。
【0058】
電動ポンプハウジング75は、電動ポンプロータR2とポンプ用回転電機MGとを内部に収容する部材である。本実施形態では、電動ポンプハウジング75は、電動ポンプロータR2を収容するロータ収容部材77と、ポンプ用回転電機MGを収容する回転電機収容部材78とを有している。本実施形態では、ロータ収容部材77と回転電機収容部材78とが、第二締結ボルト68により第二ハウジング部材63に共締めされている。電動ポンプハウジング75は、ロータ収容部材77が、回転電機収容部材78よりも軸第一方向X1側に配置されるように、機械式ポンプハウジング61の第二ハウジング部材63に取り付けられる。よって、ロータ収容部材77の軸第一方向X1側を向く面が、第三面FE3となる。
【0059】
本実施形態では、ロータ収容部材77は、軸方向に厚みを有する柱状の部材である。ロータ収容部材77にはポンプ室76が形成されている。具体的には、ポンプ室76は、第三面FE3から円柱状に刳り貫かれて形成された凹部であり、内部に電動ポンプロータR2を収容している。第二インナーロータR2iの中心部には軸方向に貫通する第四貫通孔79が形成されており、当該第四貫通孔79を電動ポンプ軸91が貫通して一体回転するように連結されている。なお、電動オイルポンプEOPの電動ポンプ軸心A5は、電動ポンプ軸91の回転軸心と一致している。
【0060】
また、ロータ収容部材77には、軸方向に貫通する第五貫通孔92が形成されている。具体的には、第五貫通孔92は、ポンプ室76の軸第二方向X2側の面から軸第二方向X2側に向かって貫通する貫通孔である。電動ポンプ軸91は、当該第五貫通孔92に挿入されて、ロータ収容部材77に回転可能に支持されている。
【0061】
回転電機収容部材78は、軸方向一方側の端部が塞がれた円筒状に形成されており、内部の空間にはポンプ用回転電機MGが収容されている。そして、第五貫通孔92に挿入された電動ポンプ軸91に、ポンプ用回転電機MGのロータが一体回転するように連結されている。ポンプ用回転電機MGは、バッテリなどから電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)として機能する。
【0062】
なお、上述のように、機械式ポンプ軸心A4と電動ポンプ軸心A5とは平行状に配置されている。更に、本実施形態では、機械式ポンプ軸心A4と電動ポンプ軸心A5とは同軸上に配置されている。なお、機械式ポンプ軸心A4と電動ポンプ軸心A5とが異なる軸上に配置されていてもよい。
【0063】
また、ロータ収容部材77には、軸方向に貫通する締結ボルト孔が複数形成されている。本実施形態では、ロータ収容部材77は、軸方向視で、回転電機収容部材78の円筒状部分よりも径方向外側に突出した第三径方向突出部93を複数有しており、当該第三径方向突出部93のそれぞれに、軸方向に貫通する第二締結ボルト孔94が形成されている。そして、これらの複数の第二締結ボルト孔94のそれぞれに、第二締結ボルト68が締結される。
【0064】
5.オイルポンプの配置位置
次に、機械式オイルポンプMOP及び電動オイルポンプEOPの車両用駆動装置1内における配置位置及び他の部材との配置関係について図5を用いて説明する。図5に示すように、車両搭載状態で、差動歯車装置35の回転軸心である第三軸心A3は、変速装置33の回転軸心である第一軸心A1に対して、下方かつ各軸心に平行な軸方向に見て一方の側方に配置されており、油圧制御装置81が、軸方向に見て、第一軸心A1に対して第三軸心A3側とは反対側に配置され、機械式ポンプ軸心A4(電動ポンプ軸心A5)が、第一軸心A1よりも下方であって、かつ、軸方向に見て第一軸心A1と油圧制御装置81との間に配置されている。本実施形態では、図5に示すように、第一軸心A1、カウンタギヤ機構34の回転軸心である第二軸心A2、及び第三軸心A3のうち、第二軸心A2が最も上方に位置している。また、各軸心A1〜A3のうち、第三軸心A3が最も下方に位置している。つまり、各軸心A1〜A3は、上下方向に沿って、上方から第二軸心A2、第一軸心A1、第三軸心A3の順に配置されている。また、本実施形態では、第一軸心A1が第二軸心A2に対して油圧制御装置81側となる第二水平方向S2側に配置され、第三軸心A3が第二軸心A2に対して油圧制御装置81側とは反対側となる第一水平方向S1側に配置されている。つまり、各軸心A1〜A3は、第一水平方向S1側から第二水平方向S2側へ向かって、第三軸心A3、第二軸心A2、第一軸心A1の順に配置されている。第一軸心A1よりも第二水平方向S2側に、油圧制御装置81が配置されている。
【0065】
ここで、第一軸心A1と第三軸心A3と油圧制御装置81との配置関係に注目すると、第三軸心A3は、第一軸心A1に対して、下方かつ軸方向視で第一水平方向S1側に配置されている。また、油圧制御装置81は、軸方向視で、第一軸心A1に対して第三軸心A3側とは反対側(本例では第二水平方向S2側)に配置されている。そして、第三軸心A3、第一軸心A1、及び油圧制御装置81は、軸方向に見て、第一水平方向S1側から第二水平方向S2側へ向かって記載の順に配置されている。
【0066】
また、本実施形態では、カウンタギヤ機構34は、軸方向視で、変速装置33及び差動歯車装置35とそれぞれ重複する部分を有する位置に配置されている。一方、変速装置33と差動歯車装置35とは、軸方向視で重複する部分を有することなく配置されている。第一軸心A1と第三軸心A3との離間距離は、変速装置33の半径と差動歯車装置35の半径との合計よりも大きく設定されている。また、差動歯車装置35は、変速装置33に比べて大径に形成されている。さらに、上下方向において、変速装置33の最下点は差動歯車装置35の最下点よりも上方(本例では第三軸心A3と同程度の位置)に位置するように設定されていると共に、油圧制御装置81の最下点よりも上方に位置するように配置されている。
【0067】
このような構成では、ケースCSの内部において、軸方向視で、変速装置33よりも下方であって差動歯車装置35と油圧制御装置81との間にはデッドスペースが生じる(図5を参照)。そこで、本実施形態では、そのようなデッドスペースを有効活用するという観点から、機械式オイルポンプMOP及び電動オイルポンプEOPは、その全体が、軸方向視で第一軸心A1と油圧制御装置81との間に配置されている。また、機械式オイルポンプMOP及び電動オイルポンプEOPは、変速装置33の外周面と油圧制御装置81の第一水平方向S1側の側面との間に形成される、軸方向視でV字状の領域に配置されている。また、機械式オイルポンプMOP及び電動オイルポンプEOPは、上下方向では、その全体が、第三軸心A3よりも下方であって差動歯車装置35の最下点よりも上方に配置されている。このようなレイアウト構成を採用することで、ケースCSの内部スペース(特に、第2ケース部材CS2内の下部スペース)を有効活用できる。よって、車両用駆動装置1の全体の大型化を有効に抑制することができる。
【0068】
6.その他の実施形態
最後に、本発明に係る車両用駆動装置の、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0069】
(1)上記の実施形態では、車輪Wの駆動力源として内燃機関Eのみを備えた車両用の駆動装置に本発明を適用した例について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、車輪Wの駆動力源として内燃機関E及び回転電機(車輪駆動用回転電機)の両方を備えたハイブリッド車両用の駆動装置にも、本発明を適用することができる。ハイブリッド車両用の駆動装置の場合、機械式オイルポンプMOPは、内燃機関E及び回転電機のうちの予め定められたいずれか一方のトルクによって駆動される構成であっても良い。或いは、機械式オイルポンプMOPは、内燃機関E及び回転電機のうちの回転速度の高い方によって選択的に駆動される構成であっても良い。また、車両の車輪Wの唯一の駆動力源として回転電機(車輪駆動用回転電機)を備えた電動車両用の駆動装置にも、本発明を適用することができる。
【0070】
(2)上記の実施形態では、機械式ポンプハウジング61は、第一ハウジング部材62と第二ハウジング部材63の2部材から構成されている例を用いて説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。機械式ポンプハウジング61は、例えば、第4ケース部材CS4と第一ハウジング部材62との間にさらに第三ハウジング部材を備える等の3つ以上の部材から構成されてもよい。
【0071】
(3)上記の実施形態では、機械式オイルポンプMOP及び電動オイルポンプEOPとストレーナ80とを接続する油路として、第一吸入油路83と第二吸入油路84とを備えるとともに、これらの上流側の一部が共有される油路として共通吸入油路82を備える構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、第一吸入油路83と第二吸入油路84とが互いに独立した油路として形成されても良い。また、上記の実施形態では、第一吐出油路87と第二吐出油路88とが、互いに独立した油路として形成されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、第一吐出油路87と第二吐出油路88との下流側の一部が共有されていてもよい。
【0072】
(4)上記実施形態では、第二ハウジング部材63に、機械式オイルポンプMOPの第一吸入ポート85とストレーナ80とを接続する第一吸入油路83と、機械式オイルポンプMOPの第一吐出ポート89と油圧制御装置81とを接続する第一吐出油路87と、電動オイルポンプEOPの第二吸入ポート86とストレーナ80とを接続する第二吸入油路84と、電動オイルポンプEOPの第二吐出ポート90と油圧制御装置81とを接続する第二吐出油路88とが形成されている。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。第二ハウジング部材63には、第一吸入油路83及び第二吸入油路84のみが形成される構成であってもよいし、第一吐出油路87及び第二吐出油路88のみが形成される構成であってもよい。また、第一吸入油路83、第二吸入油路84、第一吐出油路87、第二吐出油路88のうちのいずれか1つのみが形成される構成であってもよいし、これらの油路が全て形成されない構成であってもよい。
【0073】
(5)上記の実施形態では、第4ケース部材CS4は、第2ケース部材CS2の周壁の内周面に形成された径方向突出部21に固定される構成であったが、本発明はこれに限定されない。第4ケース部材CS4は、第2ケース部材CS2と一体的に形成されていてもよい。
【0074】
(6)上記の実施形態では、変速軸支持部50とオイルポンプ支持部51とが一体的に形成されている構成であったが、本発明の実施形態はこれに限定されない。変速軸支持部50とオイルポンプ支持部51とが全く別部材で構成されており、これらが軸方向において異なる位置に配置された構成であってもよい。
【0075】
(7)上記の実施形態では、機械式オイルポンプMOPのポンプ室60は、機械式ポンプハウジング61の第一ハウジング部材62に形成されている構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されず、第一ハウジング部材62と第二ハウジング部材63とに亘って形成されていてもよいし、第二ハウジング部材63に形成されている構成であってもよい。
【0076】
(8)上記の実施形態では、第一締結ボルト67と第二締結ボルト68とが別のボルトであったが、一本の共通締結ボルトを、ポンプハウジング貫通孔100に、軸第一方向X1及び軸第二方向X2のいずれか一方側から挿入し、軸第一方向X1及び軸第二方向X2の他方側においてナットに締結する構成であってもよい。例えば、共通締結ボルトを軸第一方向X1側から軸第二方向X2側に向けて、ポンプハウジング貫通孔100を貫通するように挿入し、ロータ収容部材77の軸第二方向側でナットに締結して、オイルポンプ支持部51と、第一ハウジング部材62と、第二ハウジング部材63と、ロータ収容部材77とを共締めする構成であってもよい。
【0077】
(9)上記の実施形態では、第二ハウジング部材63の第二連結面P2側に開口するように形成された複数の締結ボルト孔及び第二取付面F2側に開口するように形成された複数の締結ボルト孔のうちの一部が軸方向に貫通する共通締結孔95である構成を説明した。すなわち、複数の第一締結ボルト67及び第二締結ボルト68のうち一部の第一締結ボルト67及び第二締結ボルト68が、共通締結孔95に挿入される構成であった。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、第二ハウジング部材63の第二連結面P2側に開口するように形成された複数の締結ボルト孔及び第二取付面F2側に開口するように形成された複数の締結ボルト孔の全てが共通締結孔95であり、第一締結ボルト67及び第二締結ボルト68の全てが共通締結孔95に締結される構成であってもよい。また、第二ハウジング部材63の第二連結面P2側に開口するように形成された複数の締結ボルト孔及び第二取付面F2側に開口するように形成された複数の締結ボルト孔の全てが共通締結孔95ではなく、すなわち、第二ハウジング部材63は共通締結孔95を備えず、第一締結ボルト67及び第二締結ボルト68がそれぞれ別の締結孔に締結される構成であってもよい。
【0078】
(10)上記の実施形態では、ロータ収容部材77が、一つの部材から構成され、第二吸入ポート86と第二吐出ポート90とが機械式ポンプハウジング61の第二ハウジング部材63に形成されている例を用いて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、ロータ収容部材77は、第一ロータ収容部材77aと第二ロータ収容部材77bとの二つの部材から構成されていてもよい。また、その際に、第一ロータ収容部材77aには、ポンプ室76が形成されており、第二ロータ収容部材77bには、第二吸入ポート86と第二吐出ポート90とが形成される構成であってもよい。
【0079】
(11)上記の実施形態では、補助油圧源が、電動オイルポンプEOPとされている例を用いて説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。補助油圧源は、電磁アクチュエータにより駆動される電磁ポンプ、又はアキュムレータであってもよい。この場合でも、図7に示すように、電磁ポンプ又はアキュムレータを収容した補助油圧源ハウジング96が、機械式ポンプハウジング61に取り付けられる。補助油圧源ハウジング96に形成された収容空間98内に、電磁ポンプ又はアキュムレータが収容される(不図示)。電磁ポンプは、電磁アクチュエータの駆動力により、油を吸入口から吸入し、吐出口に吐出するオイルポンプである。このような電磁ポンプには、電磁力によるプランジャー(ピストン)の往復運動により、油の吸入と吐出を繰り返すポンプなどを用いることができる。電磁ポンプの吐出口から吐出された油が流通する吐出油路は、上記の実施形態の電動オイルポンプEOP用の第二吐出油路88と同様に、機械式ポンプハウジング61(第二ハウジング部材63)に形成され、吐出油路から油圧制御装置81に油が供給される(不図示)。電磁ポンプの吸入口に油を供給する吸入油路は、上記の実施形態の電動オイルポンプEOP用の第一吸入油路83と同様に、機械式ポンプハウジング61(第二ハウジング部材63)に形成され、ストレーナ80から吸入油路に油が供給される(不図示)。アキュムレータは、機械式オイルポンプMOPが生成した油圧を内部に蓄えておき、必要に応じて蓄えた油圧を油圧制御装置81側に吐出する蓄圧器である。アキュムレータから吐出された油が流通する吐出油路は、上記の実施形態の電動オイルポンプEOP用の第二吐出油路88と同様に、機械式ポンプハウジング61(第二ハウジング部材63)に形成され、吐出油路から油圧制御装置81に油が供給される(不図示)。アキュムレータに油を供給する吸入油路は、機械式ポンプハウジング61(第二ハウジング部材63)に形成され、機械式オイルポンプMOPの第一吐出油路87から吸入油路に油が供給される(不図示)。
【0080】
この場合、機械式ポンプハウジング61の第一取付面F1がケースCS内の壁に当接した状態で機械式ポンプハウジング61がケースCSに取り付けられ、機械式ポンプハウジング61の第二取付面F2に、補助油圧源ハウジング96の軸第一方向X1側を向く第三面FE3が当接した状態で、補助油圧源ハウジング96が機械式ポンプハウジング61に取り付けられてもよい。図7に示す例では、機械式ポンプハウジング61の第二取付面F2と、補助油圧源ハウジング96の第三面FE3との間に、板状のシール部材97(例えば、ガスケット)が介装されている。また、補助油圧源ハウジング96と第二ハウジング部材63とが、軸第二方向X2側から軸第一方向X1側へ向けて、補助油圧源ハウジング96及び第二ハウジング部材63に挿入された第二締結ボルト68により互いに締結固定されてもよい。また、第二締結ボルト68が複数備えられてもよく、複数の第一締結ボルト67の少なくとも一部と、複数の第二締結ボルト68の少なくとも一部とが同軸上に配置され、当該同軸上に配置された第一締結ボルト67と第二締結ボルト68とが、共通締結孔95に締結されていてもよい。
【0081】
(12)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、車輪の駆動力源により駆動される機械式オイルポンプと、補助油圧源と、前記駆動力源と車輪との間で駆動力の伝達を行う駆動力伝達機構と、少なくとも前記駆動力伝達機構を収容するケースと、を備える車両用駆動装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 :車両用駆動装置
60,76 :ポンプ室
61 :機械式ポンプハウジング
62 :第一ハウジング部材
63 :第二ハウジング部材
67 :第一締結ボルト
68 :第二締結ボルト
75 :電動ポンプハウジング(補助油圧源ハウジング)
83 :第一吸入油路
84 :第二吸入油路
85 :第一吸入ポート(機械式オイルポンプの吸入ポート)
86 :第二吸入ポート(電動オイルポンプの吸入ポート)
80 :ストレーナ
95 :共通締結孔
W :車輪
E :内燃機関(駆動力源)
MOP :機械式オイルポンプ
EOP :電動オイルポンプ(補助油圧源)
MG :ポンプ用回転電機
CS :ケース
R1 :機械式ポンプロータ
R2 :電動ポンプロータ(補助油圧生成機構)
A4 :機械式ポンプ軸心
A5 :電動ポンプ軸心
X1 :軸第一方向
X2 :軸第二方向
F1 :第一取付面
F2 :第二取付面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7