特許第6187645号(P6187645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6187645
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/00 20060101AFI20170821BHJP
   B41J 29/17 20060101ALI20170821BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20170821BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B65H5/00 B
   B41J29/17
   G03G15/00 411
   G03G21/00 310
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-146336(P2016-146336)
(22)【出願日】2016年7月26日
【審査請求日】2016年8月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 孝
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 尚志
(72)【発明者】
【氏名】森 恵太郎
(72)【発明者】
【氏名】越智 隆
(72)【発明者】
【氏名】横山 優樹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】荒木 光太郎
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−266012(JP,A)
【文献】 特開平2−180666(JP,A)
【文献】 特開2006−315775(JP,A)
【文献】 特開2000−302281(JP,A)
【文献】 特開2006−103816(JP,A)
【文献】 特開平4−166971(JP,A)
【文献】 特開2016−129973(JP,A)
【文献】 特開2016−161852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G15/00、21/00
B41J11/00−15/24、29/17
B65C1/00−11/06
B65H5/00−5/38、29/12−29/24、29/32、29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着層を有し且つ搬送される記録媒体に対して、画像を加熱及び加圧により定着する定着部と、
前記定着部に対する前記記録媒体の搬送方向上流側に配置され、前記記録媒体の両側の側端部を表裏方向に挟んで前記粘着層をはみ出させ、該粘着層が付着され、軸方向両端部で荷重が付与され、軸方向の中央よりも両端側で前記記録媒体との接触圧が高い一対のロールと、
前記ロールに付着した粘着層を除去する除去部と、
を備え、
前記一対のロールは、従動ロールとされている
画像形成装置。
【請求項2】
前記一対のロールは、金属ロールとされている
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記一対のロールの各ロールは、前記記録媒体の幅よりも短いロールを2つ有し、当該短いロールで前記記録媒体の両側の側端部をそれぞれに挟む
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着部に対する前記記録媒体の搬送方向上流側に配置され、前記記録媒体に前記画像を転写する転写部
を備え、
前記一対のロールは、前記転写部に対する前記記録媒体の搬送方向上流側に配置されている
請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記一対のロールは、
前記記録媒体の幅よりも長く、前記記録媒体の両側の側端部を一括して挟む
請求項1又は2を引用する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記除去部は、
前記一対のロールにおける軸方向の一端部及び他端部のそれぞれに配置され、前記一対のロールの前記一端部及び前記他端部に付着した粘着層をそれぞれに除去する
請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記一対のロールを加熱する加熱部を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
搬送される記録媒体に対して画像を加熱及び加圧により定着する定着部と、
前記定着部に対する前記記録媒体の搬送方向上流側に配置され、粘着層を有さない記録媒体が搬送される場合に該記録媒体から離間し、粘着層を有する記録媒体が搬送される場合に該記録媒体の両側の側端部を表裏方向に挟んで前記粘着層をはみ出させ、該粘着層が付着される挟み部材と、
前記挟み部材に付着した粘着層を除去する除去部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラテンローラの周面と摺接してプラテンローラの周面に付着した感熱性粘着剤を転写させる転写用ローラと、該転写用ローラとプラテンローラとの間に挿通されて転写用ローラの周面に付着した感熱性粘着剤をさらに転写させて除去するクリーニング用シートと、を備える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−82545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
定着装置において、粘着層を有する記録媒体に画像を定着する際に、記録媒体が加熱及び加圧されると、粘着層の一部が記録媒体からはみ出して定着装置の構成部品を汚染する場合がある。
【0005】
本発明は、粘着層の一部が除去されずに搬送された記録媒体に画像を定着する構成に比べ、定着装置が汚染されることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、粘着層を有し且つ搬送される記録媒体に対して、画像を加熱及び加圧により定着する定着部と、前記定着部に対する前記記録媒体の搬送方向上流側に配置され、前記記録媒体の両側の側端部を表裏方向に挟んで前記粘着層をはみ出させ、該粘着層が付着され、軸方向両端部で荷重が付与され、軸方向の中央よりも両端側で前記記録媒体との接触圧が高い一対のロールと、前記ロールに付着した粘着層を除去する除去部と、を備える。
【0007】
請求項4の発明は、前記定着部に対する前記記録媒体の搬送方向上流側に配置され、前記記録媒体に前記画像を転写する転写部を備え、前記一対のロールは、前記転写部に対する前記記録媒体の搬送方向上流側に配置されている。
【0008】
請求項5の発明では、前記一対のロールは、前記記録媒体の幅よりも長く、前記記録媒体の両側の側端部を一括して挟む。
【0009】
請求項6の発明では、前記除去部は、前記一対のロールにおける軸方向の一端部及び他端部のそれぞれに配置され、前記一対のロールの前記一端部及び前記他端部に付着した粘着層をそれぞれに除去する。
【0010】
請求項8の発明では、挟み部材は、粘着層を有さない記録媒体が搬送される場合に該記録媒体から離間し、粘着層を有する記録媒体が搬送される場合に該記録媒体の両側の側端部を挟む。
【0011】
請求項7の発明は、前記一対のロールを加熱する加熱部を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1の構成によれば、粘着層の一部が除去されずに搬送された記録媒体に画像を定着する構成に比べ、定着装置が汚染されることを抑制できる。
【0013】
本発明の請求項4の構成によれば、記録媒体の画像領域を含む範囲で一対のロールが記録媒体を挟んでも、一対のロールが転写部に対する記録媒体の搬送方向下流側に配置される構成に比べ、記録媒体の画像の画像不良を抑制できる。
【0014】
本発明の請求項5の構成によれば、記録媒体の幅よりも短いロールで記録媒体の両側の側端部をそれぞれに挟む構成に比べ、記録媒体のしわを抑制できる。
【0015】
本発明の請求項6の構成によれば、一対のロールにおける軸方向の一端部から他端部にわたって配置された除去部で、一対のロールの一端部及び他端部に付着した粘着層を一括して除去する構成に比べ、除去部を小型化できる。
【0016】
本発明の請求項8の構成によれば、粘着層を有さない記録媒体を搬送する場合も挟み部材が記録媒体を挟む構成に比べ、粘着層を有さない記録媒体のしわを抑制できる。
【0017】
本発明の請求項7の構成によれば、一対のロールが常温である構成に比べ、粘着層を除去する除去性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
図2】本実施形態に係るトナー画像形成部の構成を示す概略図である。
図3】本実施形態に係る除去装置の構成を示す概略図である。
図4】本実施形態に係る除去装置において、一対のロールが連帳紙に対して接触及び離間する状態を示す概略図である。
図5】本実施形態に係る除去装置において、連帳紙に対する一対のロールの圧力分布を示すグラフである。
図6】連帳紙の粘着層がはみ出した状態を示す概略図である。
図7】除去装置の第一変形例の構成を示す概略図である。
図8】第一変形例に係る除去装置の画像形成装置への配置例を示す概略図である。
図9】除去装置の第二変形例の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向を示し、矢印Wは水平方向であって装置幅方向を示す。
【0020】
<画像形成装置10>
まず、画像形成装置10の構成について説明する。図1には、画像形成装置10を正面側から見た構成が示されている。
【0021】
画像形成装置10は、連帳紙P(記録媒体の一例)を予め定められた搬送方向(以下、紙搬送方向という)へ搬送し、当該連帳紙Pに画像を形成する装置である。画像形成装置10は、具体的には、図1に示されるように、搬送部50と、画像形成部12と、除去装置60と、定着装置80(定着部の一例)と、制御部70と、を有している。
【0022】
(連帳紙P)
画像形成装置10の画像形成対象である連帳紙Pは、紙搬送方向に沿って長さを有する長尺状の記録媒体である。連帳紙Pとしては、具体的には、例えば、ラベル紙が用いられる。
【0023】
連帳紙Pとしてのラベル紙は、例えば、剥離紙P2と、表面材PB及び粘着層PAを有するラベル紙本体P1と、を有している(図6(A)参照)。連帳紙Pとしてのラベル紙では、粘着層PAにより剥離紙P2に保持されたラベル紙本体P1を、剥離紙P2から剥離して用いられる。
【0024】
ラベル紙本体P1では、表面材PBの表面に画像が形成され、表面材PBの裏面に粘着層PAが設けられている。表面材PBとしては、上質紙、クラフト紙、再生紙、コート紙などが用いられる。粘着層PAを構成する粘着剤としては、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、シリコーン系、天然ゴム系、合成ゴム系の接着剤など、各種の粘着剤が用いられる。
【0025】
剥離紙P2としては、基紙を剥離剤で含浸処理又は表面処理したものが用いられる。基紙としては、上質紙、クラフト紙、ポリラミ紙、再生紙、コート紙などが用いられる。剥離剤としては、シリコーン樹脂系、ワックス類、高級脂肪酸、高級アルコール、高級脂肪酸アミドなどの剥離剤が用いられる。剥離剤の基紙への含浸処理又は表面処理は、公知の方法によって行えばよい。
【0026】
(搬送部50)
搬送部50は、連帳紙Pを搬送する機能を有している。具体的には、搬送部50は、図1に示されるように、巻出ロール51と、巻取ロール53と、駆動部55と、搬送ロール52、54、56と、巻掛ロール57、59と、を有している。
【0027】
巻出ロール51は、連帳紙Pを巻き出すロールである。この巻出ロール51には、連帳紙Pの後端側部分(紙搬送方向の上流側部分)が巻き掛けられている。巻取ロール53は、連帳紙Pを巻き取るロールである。この巻取ロール53には、連帳紙Pの先端側部分(紙搬送方向の下流側部分)が巻き掛けられている。
【0028】
駆動部55は、巻取ロール53が連帳紙Pを巻き取る方向(図1における時計周り方向)に巻取ロール53を回転駆動する。そして、駆動部55の回転駆動によって巻取ロール53が連帳紙Pを巻き取ることで、連帳紙Pが引っ張られて、巻出ロール51が連帳紙Pを巻き出す。このように、駆動部55の回転駆動によって、巻取ロール53が連帳紙Pを巻き取ると共に、巻出ロール51が連帳紙Pを巻き出すことで、連帳紙Pが紙搬送方向に搬送される。
【0029】
搬送ロール52、54、56は、連帳紙Pを挟む一対のロールで構成されており、例えば、巻取ロール53が巻き取る連帳紙Pに従動して回転する。搬送ロール52は、紙搬送方向における巻出ロール51と二次転写位置NTとの間に複数配置されている。搬送ロール54は、紙搬送方向における二次転写位置NTと定着装置80との間に配置されている。搬送ロール56は、紙搬送方向における定着装置80と巻取ロール53との間に配置されている。
【0030】
巻掛ロール57は、紙搬送方向における巻出ロール51と除去装置60との間に配置されている。巻掛ロール59は、紙搬送方向における搬送ロール56と巻取ロール53との間に配置されている。巻掛ロール57、59は、連帳紙Pの非画像面(画像が転写される画像面とは反対側の面)が巻き掛けられており、例えば、搬送される連帳紙Pに従動して回転する。
【0031】
(画像形成部12)
画像形成部12は、電子写真方式により連帳紙Pに画像を形成する機能を有している。具体的には、画像形成部12は、トナー画像を形成するトナー画像形成部20と、トナー画像形成部20で形成されたトナー画像を連帳紙Pに転写する転写装置30と、を有している。
【0032】
トナー画像形成部20は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。この実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、特別色(V)の計5色のトナー画像形成部20が設けられている。図1に示す(V)、(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。また、特別色(V)には、例えば、銀色や金色等の色が用いられる。
【0033】
〔トナー画像形成部20〕
各色のトナー画像形成部20は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されている。具体的には、各色のトナー画像形成部20は、図2に示されるように、図2における時計周り方向に回転する感光体ドラム21と、感光体ドラム21を帯電させる帯電器22と、帯電器22によって帯電された感光体ドラム21を露光して感光体ドラム21に静電潜像を形成する露光装置23と、を有している。さらに、各色のトナー画像形成部20は、露光装置23によって感光体ドラム21に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置24と、後述の転写ベルト31へのトナー画像の転写後に感光体ドラム21の表面に残留したトナーを除去する除去体としてのブレード25と、を有している。
【0034】
帯電器22は、例えば、感光体ドラム21の表面(感光層)を負極性に帯電させる。負極性に帯電した感光体ドラム21の表面は、露光装置23によって露光光Lが照射された部分が正極性を呈し、感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。そして、現像装置24内で負極性に摩擦帯電されたトナーが、正極性を呈する静電潜像に付着して静電潜像が現像される。このように、感光体ドラム21の表面(外周面)にトナー画像が形成される。ブレード25は、感光体ドラム21の表面に接触して、感光体ドラム21の表面に残留したトナーを掻き取る。
【0035】
〔転写装置30〕
転写装置30は、各色の感光体ドラム21のトナー画像を、転写ベルト31(中間転写体)に重畳して一次転写し、該重畳されたトナー画像を二次転写位置NT(ニップ部)で連帳紙Pに二次転写する。具体的には、転写装置30は、図1に示されるように、転写ベルト31と、一次転写ロール33と、二次転写ロール34(転写部の一例)と、を備えている。
【0036】
[転写ベルト31]
転写ベルト31は、図1に示されるように、無端状を成し、複数のロール32に巻き掛けられて姿勢が決められている。この実施形態では、転写ベルト31は、正面視で装置幅方向に長い逆鈍角三角形状の姿勢とされている。複数のロール32のうち、図1に示すロール32Dは、図示しないモータの動力により転写ベルト31を矢印A方向に回転(周回)させる駆動ロールとして機能する。転写ベルト31は、矢印A方向に回転することで、一次転写された画像を二次転写位置NTへ搬送する。
【0037】
また、複数のロール32のうち、図1に示すロール32Tは、転写ベルト31に張力を付与する張力付与ロールとして機能する。複数のロール32のうち、図1に示すロール32Bは、二次転写ロール34の対向ロール32Bとして機能する。対向ロール32Bには、前述の通り逆鈍角三角形状の姿勢とされた転写ベルト31の鈍角を成す下端側の頂部が巻き掛けられている。この転写ベルト31は、前述した姿勢で装置幅方向に延びる上辺部において、各色の感光体ドラム21に下方から接触している。
【0038】
[一次転写ロール33]
一次転写ロール33は、各感光体ドラム21のトナー画像を転写ベルト31に転写させるロールであり、図1に示されるように、転写ベルト31の内側に配置されている。各一次転写ロール33は、転写ベルト31を挟んで対応する色の感光体ドラム21に対して対向配置されている。また、一次転写ロール33には、給電部37(図2参照)によって、トナー極性とは逆極性の一次転写電圧が印加されるようになっている。この一次転写電圧の印加により、感光体ドラム21に形成されたトナー画像が、感光体ドラム21と一次転写ロール33との間の一次転写位置Tで転写ベルト31に転写される。
【0039】
[二次転写ロール34]
二次転写ロール34は、転写ベルト31に重畳されたトナー画像を連帳紙Pに転写するロールである。二次転写ロール34は、図1に示されるように、対向ロール32Bとの間に転写ベルト31を挟むように配置されており、二次転写ロール34と転写ベルト31とは予め定められた荷重にて接触している。このように接触している二次転写ロール34と転写ベルト31の間が二次転写位置NT(ニップ部)とされる。この二次転写位置NTには、巻出ロール51から連帳紙Pが供給されるようになっている。二次転写ロール34は、図1における時計周り方向へ回転駆動される。これにより、二次転写ロール34は、転写ベルト31との間に連帳紙Pを挟んで搬送する。
【0040】
また、二次転写ロール34には、印加部(図示省略)によって、対向ロール32Bに負極性の電圧が印加され、対向ロール32Bと二次転写ロール34との間に電位差が生じる。すなわち、対向ロール32Bに負極性の電圧が印加されることで、対向ロール32Bの対向電極をなす二次転写ロール34にトナー極性と逆極性の二次転写電圧(正極性の電圧)が間接的に印加される。これにより、対向ロール32Bと二次転写ロール34との間に転写電界が形成されて、転写ベルト31のトナー画像に対して静電力が作用し、二次転写位置NTを通過する連帳紙Pに、転写ベルト31からトナー画像が転写される。
【0041】
(定着装置80)
定着装置80は、連帳紙Pに転写されたトナー画像を、連帳紙Pに対して加熱及び加圧により定着する装置である。具体的には、定着装置80は、図1に示されるように、加熱部材としての加熱ロール86と、加圧部材としての加圧ロール88と、を備えている。
【0042】
定着装置80は、二次転写位置NT(二次転写ロール34)に対する紙搬送方向下流側に配置されている。すなわち、二次転写ロール34は、定着装置80に対する紙搬送方向上流側に配置されている。
【0043】
加圧ロール88は、加熱ロール86に対して押し付けられている。これにより、加圧ロール88と加熱ロール86との間には、加圧ロール88と加熱ロール86とで連帳紙Pを挟み込むニップ部N1(挟込部)が形成される。
【0044】
加熱ロール86は、その内部にハロゲンランプ等の加熱源を有しており、この加熱源により加熱される。また、加熱ロール86は、駆動部(図示省略)によって回転駆動される。加圧ロール88は、加熱ロール86に従動して回転する。
【0045】
そして、定着装置80では、ニップ部N1に導入された連帳紙Pを加熱ロール86と加圧ロール88とで挟み込んで加圧しながら搬送し、連帳紙P上のトナー画像を加熱ロール86が加熱して、当該トナー画像を連帳紙Pに定着する。
【0046】
(除去装置60)
除去装置60は、連帳紙Pの粘着層PA(具体的には粘着層PAを構成する粘着剤)の一部を除去する装置である。除去装置60は、図1に示されるように、連帳紙Pの搬送経路における二次転写位置NT(二次転写ロール34)の紙搬送方向上流側に配置されている。具体的には、除去装置60は、連帳紙Pの搬送経路において、紙搬送方向の最上流側に配置された搬送ロール52(連帳紙Pを挟む部材の一例)よりも、紙搬送方向上流側に配置されている。
【0047】
除去装置60は、具体的には、図3に示されるように、一対のロール62(挟み部材の一例)と、一対のバネ64と、除去部材66(除去部の一例)と、離間機構90(図4参照)と、を有している。
【0048】
一対のロール62は、例えば、ステンレス等の金属材料で形成された金属ロールで構成されている。この一対のロール62は、連帳紙Pの搬送経路上に配置されており、一対のロール62の間を連帳紙Pが通過する構成とされている。
【0049】
一対のロール62は、それぞれ、軸部61に回転可能に支持されており、搬送される連帳紙Pに従動して回転する構成とされている。なお、一対のロール62の一方又は両方が回転駆動される構成であってもよい。
【0050】
また、一対のロール62の軸方向長さ62Lは、連帳紙Pの紙幅PWよりも長くされている。この一対のロール62は、その間を連帳紙Pが通過した際に、軸方向両端部が連帳紙Pの両側の側端部から張り出した状態で、当該側端部を連帳紙Pの厚み方向に一括して挟む。
【0051】
また、一対のロール62は、軸方向両端部において、軸部61を介してバネ64により荷重を付与されている。これにより、一対のロール62は、軸方向両端部において軸方向中央部よりも接触圧力が高い状態で互いが接触している。なお、一対のロール62は、軸方向中央部において、連帳紙Pと接しつつも、連帳紙Pに対して圧がほとんど掛かっていない状態となっている。なお、図3では、軸方向両端部において接触圧力が高い状態を示すために、一対のロール62の形状を誇張して図示している。
【0052】
図5には、一対のロール62の間に連帳紙Pを通過させた際の連帳紙Pへ付与される圧力が示されている。図5に示されるように、連帳紙Pの両側の側端部において、中央部よりも圧力が高くなっている。なお、図5の結果は、連帳紙Pとして、Xerox Color Xpression 98(216g/m2)を用いた場合の結果である。
【0053】
すなわち、連帳紙Pの両側の側端部に対する圧力が高い状態で、一対のロール62が連帳紙Pを挟んでいる。このように、一対のロール62が連帳紙Pの側端部を挟むことで、図6に示されるように、連帳紙Pの粘着層PAの一部が連帳紙Pから幅方向の外側へはみ出す。
【0054】
さらに、一対のロール62の表面(外周面)には、少なくとも、鏡面加工や、離型性を向上させる離型層の形成がなされておらず、連帳紙Pからはみ出した粘着層PAが軸方向両端部に付着されるようになっている。なお、一対のロール62の表面を、荒らして粗面としてもよい。
【0055】
除去部材66は、一対のロール62の表面に付着した粘着層PAを除去する機能を有している。この除去部材66は、図3に示されるように、各ロール62の軸方向の一端部及び他端部の各々に配置されている。
【0056】
除去部材66は、例えば、各ロール62の表面に付着した粘着層PAを削り取るスクレーパーで構成されており、図4に示されるように、各ロール62の外周の一部に接触している。そして、一対のロール62が回転することで、各ロール62の表面に付着した粘着層PAが除去部材66に運ばれて、除去部材66によって粘着層PAが除去される。
【0057】
離間機構90は、バネ64の弾性力に対抗して、一対のロール62を連帳紙Pから離間させる機構である。離間機構90は、例えば、カムやリンクなどの機械要素を用いて構成されている。
【0058】
本実施形態では、ラベル紙以外の連帳紙P、すなわち、粘着層PAを有さない連帳紙Pが搬送される場合に、図4(B)に示されるように、制御部70が離間機構90を駆動して一対のロール62を連帳紙Pから離間させる。また、ラベル紙としての連帳紙Pが搬送される場合には、図4(A)に示されるように、制御部70が離間機構90を駆動せず、一対のロール62は連帳紙Pの両側の側端部を挟む。なお、制御部70は、例えば、操作部を通じて操作者により、用紙種類としてラベル紙が選択されるか否かによって、搬送される連帳紙Pが粘着層PAを有するか否かを把握する。
【0059】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0060】
本実施形態に係る画像形成装置によれば、図1に示されるように、連帳紙Pは、巻出ロール51から巻き出されると、除去装置60の一対のロール62の間を通過する。連帳紙Pが一対のロール62の間を通過すると、一対のロール62が連帳紙Pの両側の側端部を挟み、粘着層PAの一部が連帳紙Pからはみ出る(図6(B)参照)。連帳紙Pからはみ出た粘着層PAは、一対のロール62の表面に付着する。一対のロール62の表面に付着した粘着層PAは、一対のロール62が回転することで、除去部材66に運ばれて、除去部材66で除去される。このように、連帳紙Pは、粘着層PAの一部が除去される。
【0061】
粘着層PAの一部が除去された連帳紙Pは、複数の搬送ロール52、54、56で挟まれて搬送されながら、二次転写位置NTで転写ベルト31からトナー画像が転写される。連帳紙Pに転写されたトナー画像は、定着装置80での加熱及び加圧により、連帳紙Pに定着される。
【0062】
以上のように、連帳紙Pは、予め粘着層PAの一部が除去されてから、搬送ロール52、54、56で挟まれて搬送され、転写及び定着が行われる。したがって、本実施形態の構成によれば、粘着層PAの一部が除去されずに搬送された連帳紙Pが、搬送ロール52、54、56で搬送され、該連帳紙Pに対して転写及び定着を行う構成に比べ、搬送ロール52、54、56、転写装置30(転写ベルト31、二次転写ロール34)及び、定着装置80が汚染されることが抑制される。このように、搬送ロール52、54、56、転写装置30(転写ベルト31、二次転写ロール34)及び定着装置80の汚染が抑制されることで、粘着層PAが連帳紙Pに再付着しにくく、連帳紙Pの汚染が抑制される。
【0063】
また、本実施形態では、一対のロール62に付着した粘着層PAが除去部材66で除去されるので、連帳紙Pに再付着しにくく、連帳紙Pの汚染が抑制される。
【0064】
また、本実施形態では、一対のロール62の軸方向両端部が連帳紙Pの両側の側端部を挟む一方で、一対のロール62の軸方向中央部では、連帳紙Pと接しつつも、連帳紙Pに対して圧がほとんど掛かっていない状態となる。これにより、連帳紙Pの幅方向中央部の粘着層PAの粘着剤が過多に出ることがなくなるので、剥離紙P2から剥がしたラベル紙本体P1のシールとしての機能を損なわずに済む。
【0065】
また、本実施形態では、除去装置60は、連帳紙Pの搬送経路における二次転写位置NTの紙搬送方向上流側に配置されている。このため、一対のロール62が、連帳紙Pの搬送経路における二次転写位置NTと定着装置80との間に配置される構成(第一比較例)とは異なり、連帳紙Pに転写された未定着のトナー画像に接触しない。これにより、一対のロール62は、連帳紙Pの画像領域を含む範囲で、連帳紙Pの側端部を挟んでも、前述の第一比較例に比べ、連帳紙Pに形成されるトナー画像の画像不良が抑制される。
【0066】
また、本実施形態では、連帳紙Pの幅よりも長い一対のロール62が、連帳紙Pの両側の側端部を一括して挟む。ここで、連帳紙Pの幅よりも短いロールで連帳紙Pの両側の側端部をそれぞれに挟む構成(第二比較例)では、ロールの軸方向端(エッジ)が連帳紙Pに接触する場合がある。これに対して、本実施形態では、一対のロール62の軸方向端(エッジ)が連帳紙Pに接触せず、前述の第二比較例に比べ、連帳紙Pにおけるニップ痕やしわの発生が抑制される。
【0067】
また、前述の第二比較例では、4つのロールが必要となるのに対して、本実施形態では、一対のロール62で構成されているので、前述の第二比較例に比べ、部品点数が低減される。
【0068】
また、本実施形態では、各ロール62の軸方向の一端部及び他端部の各々に配置された除去部材66で、各ロール62の軸方向の一端部及び他端部に付着した粘着層PAをそれぞれに除去する。
【0069】
このため、各ロール62の軸方向の一端部から他端部にわたって配置された除去部材で、各ロール62の軸方向の一端部及び他端部に付着した粘着層PAを一括して除去する構成(第三比較例)に比べ、除去部材66が小型化になる。また、連帳紙Pの側端部からはみ出した粘着層PAは、各ロール62の軸方向中央部に付着しないため、前述の第三比較例の構成では、除去部材66におけるロール62の軸方向中央部に配置された部分が、粘着層PAの除去に寄与しない。したがって、除去部材66におけるロール62の軸方向中央部に配置された部分において、配置スペースや材料などが無駄になる。
【0070】
また、本実施形態では、粘着層PAを有さない連帳紙Pが搬送される場合に、制御部70が離間機構90を駆動して一対のロール62を連帳紙Pから離間させる。
【0071】
このため、粘着層PAを有さない連帳紙Pを搬送する場合も一対のロール62の連帳紙Pを挟む構成(第四比較例)に比べ、粘着層PAを有さない連帳紙Pのしわや搬送不良が抑制される。
【0072】
(除去装置60の第一変形例)
前述の実施形態では、連帳紙Pの紙幅よりも長い一対のロール62で、連帳紙Pの両側の側端部を一括して挟む構成であったが、これに限られない。例えば、図7に示されるように、連帳紙Pの紙幅よりも短い2つのロール162を2組設け、連帳紙Pの両側の側端部をそれぞれに挟む構成であってもよい。この構成においても、各組の2つのロール162は、それぞれ軸部61に回転可能に支持されており、搬送される連帳紙Pに従動して回転する構成とされている。ロール162は、軸部61を介してバネ64により荷重を付与されており、連帳紙Pの側端部を挟むようになっている。
【0073】
さらに、第一変形例の構成では、連帳紙Pの画像が転写される画像領域に対する幅方向外側で、連帳紙Pの両側の側端部を挟むようにしてもよい。これにより、連帳紙Pに転写された未定着のトナー画像にロール162が接触しないため、図8に示されるように、連帳紙Pの搬送経路において、二次転写位置NTと定着装置80との間に、除去装置60を配置してもよい。
【0074】
(除去装置60の第二変形例)
常温よりも高温において粘度が低下する粘着剤を粘着層PAに用いる場合には、除去装置60は、図9に示されるように、一対のロール62を加熱する加熱部260を備えていてもよい。加熱部260は、例えば、一対のロール62の内部に配置されたハロゲンランプ等の加熱源で構成されている。
【0075】
加熱部260で加熱された一対のロール62で連帳紙Pを挟むことで、連帳紙Pの粘着層PAがあたためられ、粘着層PAの粘度が低下する。これにより、一対のロール62が常温とされた構成(比較例)に比べ、粘着層PAが連帳紙Pからはみ出しやすくなる。これにより、粘着層PAを除去する除去性が向上する。
【0076】
(他の変形例)
本実施形態では、挟み部材の一例として、ロール62を用いたが、これに限られず、挟み部材の一例としては、ベルト、パッドでもあってもよく、連帳紙Pを挟む部材であればよい。
【0077】
本実施形態では、除去部材66がスクレーパーで構成されていたが、これに限られず、除去部の一例としては、ブレードやウェブ(布体)などであってもよい。
【0078】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 画像形成装置
34 二次転写ロール(転写部の一例)
62 ロール(挟み部材の一例)
66 除去部材(除去部の一例)
80 定着装置(定着部の一例)
162 ロール(挟み部材の一例)
260 加熱部
P 連帳紙(記録媒体の一例)
PA 粘着層
【要約】
【課題】定着装置が汚染されることを抑制する。
【解決手段】粘着層を有し且つ搬送される記録媒体に対して、画像を加熱及び加圧により定着する定着部と、前記定着部に対する前記記録媒体の搬送方向上流側に配置され、前記記録媒体の両側の側端部を挟んで前記粘着層をはみ出させ、該粘着層が付着される挟み部材と、前記挟み部材に付着した粘着層を除去する除去部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9