(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
<実施の形態1>
<表示装置の構成>
図1は、変形可能な表示装置1の外観構成を示す図である。本実施の形態における表示装置1の変形には、例えば任意の位置での折り曲げ、予め定めた位置で折り曲げが含まれる。
図1は、変形前における表示装置1の外観を示している。平坦な板面上に置いた表示装置1は、
図1に示すように、平面形状となる。本実施の形態では、平面形状にある表示装置1を変形前の状態という。
【0011】
表示装置1は、プラスチックなどで形成された柔軟性を有する薄膜基板に、画像の表示に用いられる表示部2や装置全体を制御する制御部3などを実装して構成される。表示装置1は、いわゆるフレキシブルディスプレイとも呼ばれる。なお、本実施の形態では、表示を専らの機能とする表示装置1について説明するが、本実施の形態における表示装置には、変形可能である限り、表示機能を有する各種の電子機器も含まれる。例えば表示装置1には、携帯型の端末装置も含まれる。
【0012】
表示部2は、発光素子として、有機EL(Electro Luminescence)素子や液晶素子などを使用する。表示部2は、不図示の駆動回路によって駆動される。なお、発光素子を液晶素子とする場合には、不図示の光源も配置される。
【0013】
本実施の形態における表示装置1には、音の出力に用いられるスピーカ4や不図示のデバイスも搭載される。
図1の場合、左右一対のスピーカ4が、表示装置1の下辺の両端付近に配置されている。もっとも、スピーカ4の搭載は必須でなく、スピーカ4の代わりに又は一緒に、オーディオポートやイヤホンジャックを搭載してもよい。音データは、表示装置1と外部機器の間で無線通信により伝送してもよい。
【0014】
表示装置1の表示面(表示部2が配置される面)は、矩形形状を有している。本実施の形態においては、表示装置1の短辺に沿った方向を縦方向Vと呼び、長辺に沿った方向を横方向Hと呼ぶ。従って、本実施の形態における表示装置1は、横方向Hに長い形状を有している。勿論、表示装置1は、縦方向Vに長い形状を有していてもよい。
【0015】
図2は、表示装置1のハードウェア構成例を説明する図である。表示装置1は、前述したデバイスに加え、各種のデータを記憶する記憶部14と、利用者の操作を受け付ける操作受付部15と、表示部2の変形の検知に用いられる複数の変形検知部16と、外部機器との通信に用いる通信部17と、各部に電力を供給する電源部18とを有している。なお、前述した各部はバス19に接続され、各部のデータはバス19を介して受け渡しされる。
【0016】
制御部3は、いわゆるコンピュータであり、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)11と、BIOS(Basic Input / Output System)やファームウェアなどのプログラムやデータを記憶するROM(Read Only Memory)12と、プログラムに作業エリアを与えるRAM(Random Access Memory)13とにより構成される。本実施の形態における制御部3は,画像処理装置の一例として機能する。
【0017】
記憶部14は、印刷技術を用いて形成される変形可能な記憶装置や半導体メモリで構成される。本実施の形態における操作受付部15は、利用者の指が触れた位置を検知するタッチパネルセンサで構成される。従って、操作受付部15は、表示部2の表面側に重ねて配置される。
【0018】
変形検知部16は、いわゆる歪センサで構成される。歪センサは、折り曲げ量(角度)に応じた大きさのセンサ出力を出力する。このように、歪センサは、付着された部材の変形を検知できるデバイスである。従って、変形検知部16は、折り畳み状態に至る前の湾曲による変形も検知する。
図3は、変形検知部16の配置位置の例を説明する図である。
図3における変形検知部16は、表示部2の各辺に沿って複数個ずつ配置される。変形検知部16の配置箇所や配置間隔(配置密度)は、歪センサのサイズや仕様に応じて決まる。なお、変形検知部16は、表示部2と重なるように配置してもよい。
【0019】
詳細については後述するが、制御部3は、変形検知部16によって折り曲げが検知された位置の関係に基づいて、表示部2の折り曲げ位置(すなわち折り位置)を推定する。また、本実施の形態では、変形検知部16は、表示部2の片面側(例えば表示面側)に配置する。もっとも、変形検知部16を薄膜基板の両面に配置してもよい。通信部17は、通信インターフェースで構成される。電源部18は、電源用の集積回路により構成される。
【0020】
<制御部の機能構成>
次に、制御部3の機能構成について説明する。
図4は、表示部2の変形に応じて表示内容を変化させる処理機能に関する制御部3の機能構成例を説明するブロック図である。
図4に示す処理機能は、CPU11によるプログラムの実行を通じて実現される。
【0021】
制御部3は、複数の変形検知部16のそれぞれからセンサ出力を取得し、変形の発生を検知する変形情報取得部21と、変形が検知された位置の関係から表示部2の折り曲げ位置を特定する曲げ位置特定部22と、特定された曲げ位置に応じて表示内容に変化を加える描画部23と、音声や音楽をスピーカ4から出力させる音再生部24と、利用者による表示部2の折り曲げ操作を案内する案内部25とを有している。
【0022】
本実施の形態の場合、変形情報取得部21は、予め定めた閾値を超える変化がセンサ出力に現れた場合、センサ出力に対応する変形検知部16の位置で変形が発生したと判定する。一方、変形情報取得部21は、予め定めた閾値以下に戻る変化がセンサ出力に現れた場合、センサ出力に対応する変形検知部16の位置での変形状態が解除されたと判定する。
【0023】
なお、センササイズが小さい変形検知部16が密に配置されている場合にあって、変形を検知した変形検知部16の配置が連続する場合、変形情報取得部21は、連続する複数個の変形検知部16の中で最も大きいセンサ出力が得られる位置を変形位置として用いてもよい。
【0024】
曲げ位置特定部22は、変形を検知した変形検知部16の位置関係に基づいて、表示部2の曲げ位置を特定する。
図5及び
図6は、変形の検出位置と対応する曲げ位置との関係を説明する図である。ここでの曲げ位置特定部22と前述した変形情報取得部21は、取得手段の一例を構成する。
【0025】
図5(a)は、表示装置1の各短辺の中点付近に位置する2つの変形検知部16で変形が検知された場合に、曲げ位置特定部22が特定する曲げ位置を説明する図である。
図5(a)の場合、曲げ位置特定部22は、表示装置1の長辺と平行な線L1が折り目となるように表示部2が2つ折り(横折り)されていると判定する。
【0026】
図5(b)は、表示装置1の各長辺の中点付近に位置する2つの変形検知部16からのセンサ出力に変形が検知された場合に、曲げ位置特定部22が特定する曲げ位置を説明する図である。
図5(b)の場合、曲げ位置特定部22は、表示装置1の短辺と平行な線L2が折り目となるように表示部2が2つ折り(縦折り)されていると判定する。
【0027】
図5(c)は、表示装置1の右上隅と左下隅に位置する2つの変形検知部16からのセンサ出力に変形が検知された場合に、曲げ位置特定部22が特定する曲げ位置を説明する図である。
図5(c)の場合、曲げ位置特定部22は、右上がりの対角線方向の線L3が折り目となるように表示部2が2つ折り(斜め折り)されていると判定する。
【0028】
図5(d)は、表示装置1の右上隅と左上隅から2番目に位置する2つの変形検知部16からのセンサ出力に変形が検知された場合に、曲げ位置特定部22が特定する曲げ位置を説明する図である。
図5(d)の場合、曲げ位置特定部22は、左上隅を直角とする三角形の斜辺を形成する線L4が折り目となるように、表示部2が2つ折り(斜め折り)されていると判定する。
【0029】
図5(e)は、上辺(長辺)の3か所と下辺(長辺)の3か所に位置する6つの変形検知部16からのセンサ出力に変形が検知された場合に、曲げ位置特定部22が特定する曲げ位置を説明する図である。
図5(e)の場合、曲げ位置特定部22は、左側から右側の方向に、谷折りを形成する線L5、山折りを形成する線L6、谷折りを形成する線L7が並ぶように、表示部2が3つ折りされていると判定する。
【0030】
図6は、曲げ位置をより正確に入力するための手法を説明する図である。変形が検知された変形検知部16の位置のみを用いて曲げ位置を特定する場合、変形検知部16の配置数が少ないと(密度が疎である)と、特定された曲げ位置と実際の曲げ位置との間にずれが生じる可能性がある。そこで、
図6に示すように、操作受付部15の一例であるタッチパネルセンサのセンサ出力を曲げ位置の入力に使用する。曲げ位置特定部22は、変形検知部16の変形が検知されている状態で、タッチパネルセンサからのセンサ入力があった場合、尾根線をなぞるように移動する指30の移動軌跡を曲げ位置として特定する。
【0031】
図4の説明に戻る。描画部23は、曲げ位置特定部22において特定された曲げ位置に応じて変化を加えた画像を表示部2に表示する。例えば描画部23は、特定された曲げ位置を境とする複数の小画面に表示面を分割し、各画面にそれぞれ異なる画像を表示する。また例えば描画部23は、表示部2に表示されている画像のうち、特定された曲げ位置の部位に編集を加えた画像を表示部2に表示する。ここでの曲げ位置には、実時間で特定された曲げ位置だけでなく、記憶されている曲げ位置(変形の履歴)も含む。いずれの曲げ位置も、変形に関する情報の一例である。処理動作の詳細については後述する。
【0032】
音再生部24は、表示部2に表示されている画像に応じた音をスピーカ4に与える機能である。案内部25は、利用者が望む表示形態を実現するために必要となる曲げ状態を得るためには、表示部2をどのように折り曲げ操作したらよいかを案内する機能である。案内の手法には、画像による方法や音による方法がある。
【0033】
<制御部の制御動作>
続いて、本実施の形態に係る制御部3が実行する処理動作について説明する。
図7は、制御部3で実行される処理手順の概要を説明するフローチャートである。まず、制御部3は、表示部2に配置されている変形検知部16からのセンサ出力を監視し、表示部2が変形したか否かを判定する(ステップ101)。ここでの監視には、変形情報取得部21の機能が使用される。否定結果が継続している間、変形情報取得部21は、ステップ101の判定動作を繰り返す。一方、閾値を超える変化がセンサ出力に現れた場合、変形情報取得部21は、肯定結果を得てステップ102に進む。
【0034】
次に、制御部3は、変化が検知された変形検知部16の位置情報を使用し、表示部2の曲げ位置を特定する(ステップ102)。ここでの特定には、曲げ位置特定部22の機能が使用される。続いて、制御部3は、特定された曲げ位置を画面分割処理に使用するか否かを判定する(ステップ103)。ここでの判定には、描画部23の機能が用いられる。なお、特定された曲げ位置をどのような処理に使用するかは、利用者が予め入力していることが望ましい。
【0035】
肯定結果が得られた場合、描画部23は、特定された曲げ位置により定まる画面の分割数に応じた個数の画像を各小画面に出力する(ステップ104)。この際、描画部23は、特定された曲げ位置を境とする小画面のサイズや形状、画像のアスペクト比や画素数等のパラメータに基づいて、各小画面に出力する画像の内容を決定する。
【0036】
なお、描画部23による画像の切り替えは、例えば以下の期間に実行される。
(1)曲げ状態の検出中だけ
(2)曲げ状態の検出中と次の曲げ状態の検出まで(変形の履歴情報も用いる)
(3)曲げ状態の検出終了から次の曲げ状態の検出まで(変形の履歴情報のみを用いる)
【0037】
ここで、画像の切り替えの終了は、次の曲げ状態の検出に限らない。例えば利用者が予め定めた表示時間の経過や利用者による表示の終了指示を待って、画像の切り替えを終了してもよい。
【0038】
図8は、曲げ状態が検出されている間だけ、表示部2の表示内容を変化させる表示モードが選択されている場合の表示内容の推移を説明する図である。
図8の場合、表示部2が変形前の時点T1において、表示部2に、リンゴの絵の画像(以下「A画像」という。)が表示されている。
【0039】
図8の場合、時点T2において、短辺に対して平行に2つの折り目が形成されるように表示部2が折り曲げられる。表示部2がその長辺上の2か所で内側に折り曲げられると、表示部2の画面が3つの小画面に分割される。描画部23は、形成された小画面のサイズや形状等に応じて各小画面に表示する画像を決定する。
図8の例では、真ん中の小画面にA画像が表示され、左側の小画面に四角形の画像(以下、「B画像」という。)が表示され、右側の小画面に三角形の画像(以下、「C画像」という。)が表示されている。
【0040】
時点T3以降は、表示部2が元の平面状態に戻る。この状態で、描画部23は、表示部2を1つの画面として扱い、A画像のみを表示する。この表示手法の場合、利用者による折り曲げ期間と表示内容の変化期間とが一致する。
【0041】
図9は、曲げ状態の検出中と次の曲げ状態の検出まで、表示部2の表示内容を変化させる表示モードが選択されている場合の表示内容の推移を説明する図である。変化前の時点T1において、表示部2にはA画像のみが表示されている。この状態で、表示部2が
図8と同様に折り曲げられた場合を考える。すなわち、時点T2において、表示部2の画面が3つの小画面に分割される場合を考える。このとき、描画部23は、
図8の例と同じく、真ん中の小画面にA画像を表示し、左側の小画面にB画像を表示し、右側の小画面にC画像を表示する。
【0042】
ただし、
図9の場合、表示部2が平面状態に戻った時点T3以降の場合にも、描画部23は、直前までの表示内容をそのまま維持する。すなわち、曲げ状態が検知されなくなった後も、変形が検知されていたときの情報(履歴情報)を使用し、真ん中の小画面にA画像を表示し、左側の小画面にB画像を表示し、右側の小画面にC画像を表示する。この表示手法は、利用者が表示部2を折り曲げている期間中だけでなく、折り曲げの終了後も履歴情報を使用して折り曲げ中と同じ表示内容が継続する点に特徴がある。
【0043】
図10は、曲げ状態の検出終了から次の曲げ状態の検出までの間だけ、表示部2の表示内容を変化させる表示モードが選択されている場合の表示内容の推移を説明する図である。
図10の場合も時点T1における表示内容は同じである。ただし、
図10の場合には、表示部2が折り曲げられた後も、表示部2の表示面は小画面に分割されず、A画像だけが表示される。
【0044】
そして、表示部2が曲げ状態から元の平面状態に戻った時点T3以降に初めて、表示部2の画面が3つの小画面に分割され、それぞれに応じた画像の表示が開始される。すなわち、描画部23は、真ん中の小画面にA画像を表示し、左側の小画面にB画像を表示し、右側の小画面にC画像を表示する。
図10の場合、利用者による表示部2の折り曲げは、小画面の境界位置の入力のためだけに用いられ、画像の視認は、表示部2を平面状態に戻した後に行われる。
【0045】
図7の説明に戻る。ステップ103で否定結果が得られた場合、描画部23は、特定された曲げ位置を画像編集で使用するモードに移行する(ステップ105)。すなわち、描画部23は、特定された曲げ位置を使用して表示中の画像に編集を加えるモードに移行する。
図11は、特定された曲げ位置を画像編集に使用する例を説明する図である。
図11では、表示部2が変形される前の時点T1において、表示部2にA画像だけが表示されている。次の時点T2において、表示部2は、画面中央に対してやや右側の位置で内側に折り曲げられる。この時点では、A画像の表示に変化はない。
【0046】
続く時点T3において、表示部2は元の平面状態に戻っているが、A画像には時点T2の曲げ位置(折り目の位置)に相当するリンゴの画像部分に線分41が追加されている。
図11の場合、曲げ位置の入力は、線分41追加するための操作として使用される。なお、
図11では、線分41の表示が曲げ状態の検出が終了した以降に開始されているが、
図8の時点T2のように曲げ状態の検出中にのみ線分41が表示されてもよいし、
図9の時点T2及びT3のように曲げ状態の検出中と曲げ状態の検出終了後に線分41が表示されてもよい。
【0047】
図12は、特定された曲げ位置を他の画像編集に使用する例を説明する図である。
図12の場合も、時点T1、T2及びT3の順番で、
図11と同様の折り曲げが表示部2に対して加えられる。ただし、
図12の場合には、時点T3において、特定された曲げ位置でリンゴを切断した画像が表示されている。すなわち、
図12の場合には、利用者による表示部2の折り曲げ操作が、特殊効果処理(切断処理)を加える部位の入力に使用される。
【0048】
図12においては、切断処理後の画像のみが表示されているが、切断開始から切断後に至るまでの過程が動画として表示されてもよい。
図12においては切断面が表示されていないが、切断面が表示されてもよい。切断面が表示されることで、画像処理の臨場感が高まる。本実施の形態の場合、実行される特殊効果処理の内容は、予め利用者によって指定される。また、本実施の形態では、特殊効果処理の一例として切断処理を示しているが、表示部2が手で丸めるように変形され、この際の変形箇所を変形検知部16のセンサ出力を通じて曲げ位置特定部22が検知できる場合には、表示されているリンゴを握りつぶしたように画像処理を加えた結果を表示してもよい。
【0049】
ところで、画像編集の実行時には、画像編集の内容に応じた効果音を付加してもよい。例えば
図12の例であれば、スピーカ4を通じてリンゴが切断される音(例えば「ザクッ」)という効果音を付加してもよい。効果音の付加により、画像処理の臨場感が高まる。
【0050】
<実施の形態1の効果>
以上説明したように、本実施の形態によれば、表示部2の変形操作を通じ、複数の小画面に異なる画像を表示させたり、表示中の画像に特殊効果を付与させたりでき、変形可能な表示部2を有する表示装置1の利便性が向上される。また、特殊効果の内容に応じた音を表示の際に付加することにより、特殊効果を施した画像を表示する際の臨場感が向上する。
【0051】
<実施の形態2>
本実施の形態では、
図13〜
図15を使用し、利用者の眼球位置(観察位置)に応じた画像の出力位置の切り替え技術について説明する。なお、
図13〜
図15の場合、変形可能な表示装置1は、収納容器50に収容された状態から引き出されて使用されるものとする。ここで、
図13〜
図15は、XYZ座標系で表している。すなわち、Z軸は高さ方向であり、X軸とY軸は水平面を与える2方向である。また、
図13〜
図15においては、形成される3つの小画面を、収納容器50から遠い方から順番に第1(#1)、第2(#2)、第3(#3)で表す。
【0052】
図13は、収納容器50から引き出される表示部2を、引き出し方向の2か所で同じ方向に折り曲げた場合(上方から見ると、3つの小画面51、52、53がコ字状に形成される場合)に、利用者が薄膜基板の同一面に配置される3つの小画面51、52、53を観察する場合の表示形態を示す図である。
図13では、利用者の観察位置54を眼球の表記により示す。
図13では、表示部2をその引き出し方向について2回直角に折り曲げているが、折り曲げ位置で隣り合う2つの面が形成する角度は直角に限らない。例えば鈍角でもよい。
【0053】
図13の場合には、表示部2が折り曲げられている間中、小画面51、52、53にそれぞれ異なる画像が表示される。例えば利用者の正面に位置する小画面52には正面の風景が、右側に位置する小画面51には右側の風景が、左側に位置する小画面53には左側の風景が表示される。
図13に示す観察位置54は、表示装置1を構成する薄膜基板の片面に表示部2が搭載される場合にも、両面に搭載される場合に可能である。本実施の形態の場合、観察位置54は、利用者により予め表示装置1に設定されている。なお、収納容器50や表示装置1の一部に利用者の視線方向を検知する視線検知センサが配置されている場合には、その検知結果を使用して観察位置54を特定してもよい。
【0054】
図14は、収納容器50から引き出される表示部2を、引き出し方向の2か所で同じ方向に折り曲げた場合(上方から見ると、3つの小画面51、52、53がコ字状に形成される場合)に、利用者が収納容器50から遠い側の折り曲げ位置の外側斜め上方位置から観察する場合の表示形態を示す図である。
【0055】
図14に示す観察位置54は、表示装置1を構成する薄膜基板の両面に表示部2が搭載される場合に可能である。
図14の場合、折り曲げられた薄膜基板の外側に配置された表示部2のうち2つの小画面(小画面51、52)と、薄膜基板の内側に配置された表示部2のうちの1つの小画面(小画面53)とが観察される。
図14でも、表示部2をその引き出し方向について2回直角に折り曲げているが、折り曲げ位置で隣り合う2つの面が形成する角度は直角に限らない。
【0056】
図14の場合も、観察位置54は、利用者により予め表示装置1に設定されている。なお、収納容器50や表示装置1の一部に利用者の視線方向を検知する視線検知センサが配置されている場合には、その検知結果を使用して観察位置54を特定してもよい。
図14の場合も、表示部2が折り曲げられている間中、小画面51、52、53にそれぞれ異なる画像が表示される。
【0057】
図15は、収納容器50から引き出される表示部2を、引き出し方向の2か所で同じ方向に折り曲げた場合(上方から見ると、3つの小画面51、52、53がコ字状に形成される場合)に、3人の利用者が3方向から観察する場合の表示形態を示す図である。
【0058】
図15に示す観察位置54は、表示装置1を構成する薄膜基板の片面に表示部2が搭載される場合にも両面に搭載される場合にも可能である。
図15の場合、薄膜基板の同一面(折り曲げられた状態で外側に位置する面)に配置された表示部2を分割する3つの小画面51、52、53が観察される。
図15の場合も、表示部2をその引き出し方向について2回直角に折り曲げているが、折り曲げ位置で隣り合う2つの面が形成する角度は直角に限らない。
【0059】
図15の場合、3つの小画面51、52、53には、各観察位置54に対応する利用者に専用の画像が表示されてもよい。例えば観察位置54Aに対応する小画面51にはチャンネルAのテレビジョン画像が表示され、観察位置54Bに対応する小画面52にはパソコンの操作画面が表示され、観察位置54Cに対応する小画面53にはチャンネルCのテレビジョン画像が表示されてもよい。
【0060】
図15の場合も、観察位置54は、利用者により予め表示装置1に設定されている。また、収納容器50や表示装置1の一部に利用者の視線方向を検知する視線検知センサが配置されている場合には、その検知結果を使用して観察位置54を特定してもよい。
図15の場合も、表示部2が折り曲げられている間中、小画面51、52、53にそれぞれ異なる画像が表示される。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態の場合には、表示部2の変形操作によって出現する3つの小画面51、52、53に対する画像の出力が、各小画面と観察位置54との位置関係に応じて変更されるため、変形可能な表示部2を有する表示装置1の利便性が向上される。
【0062】
<実施の形態3>
本実施の形態では、表示部2の変形を、小画面間における表示内容の入れ替えに使用する場合について説明する。
図16は、表示中の小画面とは異なる位置に新たな曲げ位置が検知された場合に実行される表示内容の切り替え制御を説明する図である。
図16の上段では、左側の小画面にA画像が表示され、右側の小画面にB画像が表示されている。この場合、2つの画面の境界を与える線L11は、表示部2の短辺と平行である。一方、
図16の下段は、線L11とは異なる位置に、新たな曲げ位置に対応する線L12が検知された場合の表示内容を示している。下段では、左側の小画面にB画像が表示され、右側の小画面にA画像が表示されている。このように、新たな曲げ位置の検知の前後で表示内容が左右で入れ替わっている。
【0063】
図17は、表示位置の入れ替え制御を実現する制御部3の処理動作の概要を説明するフローチャートである。まず、制御部3は、表示部2に配置されている変形検知部16からのセンサ出力を監視し、表示部2が変形したか否かを判定する(ステップ201)。ここでの監視には、変形情報取得部21の機能が使用される。否定結果が継続している間、変形情報取得部21は、ステップ201の判定動作を繰り返す。一方、閾値を超える変化がセンサ出力に現れた場合、変形情報取得部21は、肯定結果を得てステップ202に進む。
【0064】
次に、制御部3は、変形が検知された変形検知部16の位置情報を使用し、表示部2の曲げ位置を特定する(ステップ202)。ここでの特定には、曲げ位置特定部22の機能が使用される。続いて、制御部3は、特定された曲げ位置が直前の曲げ位置と異なるか否かを判定する(ステップ203)。ここでの判定には描画部23の機能が使用される。肯定結果が得られた場合、描画部23は、新たな曲げ位置を境とする小画面の間で、画像の表示位置を入れ替える(ステップ204)。一方、否定結果が得られた場合、描画部23は、現在の表示を継続する。
【0065】
このように、本実施の形態によれば、表示部2の変形という分かり易い操作で、表示部2に表示されている画像の表示位置を入れ替えることができ、利用者にとっての表示装置1の利便性が向上される。
【0066】
<実施の形態4>
本実施の形態では、利用者の望む表示形態(例えば画像の表示に用いる小画面の数や配置)や利用者が選択した画像に適した表示を実現するために求められる表示部2の変形操作を案内する機能について説明する。
図18は、利用者が指定した表示形態に適した表示部2の形状を利用者に案内するための画面例を示す図である。
【0067】
図18に示す画面例は、表示部2の上下に異なる画像を表示させたい場合の操作例である。本実施の形態の場合、表示部2の中央付近に長辺と平行に延びる点線61が表示されると共に、利用者の作業内容を指示する案内文62が表示される。
図18の例では、山折りとするか谷折りとするかは記載されていない。なお、案内文62を表示する際に、案内文62の内容が音声出力されることが望ましい。
【0068】
図19は、制御部3が利用者の操作を案内する場合に実行する処理動作の概要を説明するフローチャートである。この機能は、案内部25の機能を通じて実行される。まず、案内部25は、折り曲げ位置の案内が要求されているか否かを判定する(ステップ301)。否定結果が継続している間、案内部25は、ステップ301の判定動作を繰り返す。
【0069】
一方、肯定結果が得られた場合、案内部25は、案内する表示形態を特定する(ステップ302)。例えば案内部25は、表示部2に表示された複数種類の表示形態の中から利用者が指定した表示形態を特定する。次に、案内部25は、特定された表示形態に応じた折り曲げ位置を示す案内画面(
図18参照)を表示部2に表示する(ステップ303)。
【0070】
以上の案内画面は、直感的にもわかり易い例であったが、表示する画像の内容等に適した曲げ位置が案内されることで、利用者は短時間のうちに画像の観察に適した形状に表示部2を変形することができる。
【0071】
<他の実施の形態>
前述の実施の形態においては、表示部2の変形操作を通じて、表示部2に表示される画像を変化させる場合について説明したが、特定位置の小画面に表示されている画像についてのみ付属音を再生してもよい。また、個々の小画面の対応位置にスピーカ4が配置されている場合、各小画面に表示されている画像の付属音を各小画面に対応する位置のスピーカ4を通じて再生してもよい。すなわち、小画面ごとに異なる付属音を再生してもよい。
【0072】
前述の実施の形態においては、表示画像の出力形態についてのみ説明しているが、表示部2の変形によって形成される複数の小画面のうち特定の位置(例えば左、真ん中、右の3つの小画面のうちの真ん中)の小画面についてのみ表示画像の再生速度を変更してもよい。例えば真ん中の小画面に表示される画像についてのみ再生速度を倍速としてもよいし、スローモーションやコマ送りとしてもよい。
【0073】
前述の実施の形態においては、表示部2と制御部3が
図1に示すように一体に構成されているが、表示部2(通信部を含む)が制御部3から分離されたプロジェクタ型の装置構成でもよい。この形態における表示部2は、いわゆるプロジェクタスクリーンとして構成される例と、いわゆる空中ディスプレイとして構成される例を含む。
【0074】
表示部2がプロジェクタスクリーンとして構成される場合、表示部2は、複数の変形検知部16と通信部とがシート状のスクリーン面に実装される。表示部2の通信部は、例えば変形検知部16のセンサ出力を制御部3に対して送信するために使用される。一方、表示部2が空中ディスプレイとして構成される場合、表示部2は鏡映像として実現される。すなわち、空中ディスプレイとしての表示部2は知覚上の存在であり、物理的な存在ではない。従って、空中ディスプレイとしての表示部2に用いられる変形検知部16は、利用者が表示面を折り曲げるジェスチャを撮像する撮像カメラやジェスチャに伴う空間の揺らぎ(例えば空気や風の変化)などを検知するセンサとして表示部2の周囲に配置される。変形検知部16のセンサ出力は通信部を通じて制御部3に出力される。
【0075】
この形態の場合、制御部3は、独立した筐体として構成される画像処理装置に含まれる。前述した実施の形態における描画部23は、同じく画像処理装置に含まれる投光部(光源と光学系で構成される)を制御して、表示部2の表面(投影面)に投影する画像の内容を変化させる。このような装置構成の場合にも、前述した実施例と同じ効果が実現される。
【0076】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【解決手段】表示装置は、変形可能な表示部と、表示部の変形又は当該変形の履歴の情報を取得する取得手段と、取得された情報に基づいて、表示部の表示内容を変化させる描画部とを有する。