【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題は、請求項1に記載の方法によって解決できる。本発明の有利な実施形態については、従属請求項において開示されている。
【0006】
提案された方法により、デバイスの表面にパターン状のコーティングが形成される。表面には、コーティング領域と非コーティング領域とが存在し、本方法によりコーティング領域上にのみコーティングが形成される。
【0007】
コーティング領域を画定するために、工程a)において、まず、デバイス上にリリースフィルムが形成され、非コーティング領域内の少なくとも一部に固定される。工程b)において、コーティング領域内のリリースフィルムが除去される。その結果、残存したリリースフィルムにより、その後形成されるパターン状のコーティングの擬似的な反転パターンが形成される。
【0008】
反転パターン上及びデバイスの表面上の前面にわたり、工程c)において、コーティングが形成される。
【0009】
コーティング領域を画定するために、工程d)において、非コーティング領域を取り囲む第1の分割線に沿ってコーティングを分割する。
【0010】
非コーティング領域上のコーティングの除去を促進するために、工程e)において、リリースフィルムの少なくとも分割線で囲まれた領域、好ましくは全体の接着を低減する。この接着を低減する工程は、コーティングの形成の直後に行ってもよい。
【0011】
次いで、工程f)において、接着が低減されたリリースフィルムを、その上に形成されたコーティングと共に剥離する。このようにして、所望のパターン状の形状を有するコーティングがコーティング領域内に残存すると共に、非コーティング領域が再び露出する。この方法により、残留物を残さずに非コーティング領域内のコーティングを完全に剥離できる。
【0012】
この方法は、表面への接着力に関わりなく、また、繊細な表面又は構造上に接着されたものであっても、任意のパターン状のコーティングを、繊細な表面に損傷を与えることなく容易に除去できるという利点を有している。この様な表面は、リリースフィルムによって、コーティングの形成及びパターン形成の間も保護されている。強固に接着されたコーティングの剥離も、何の問題もなく行うことができる。
【0013】
この方法で用いられるリリースフィルムは、表面に結合又は積層したものであってもよい。
【0014】
リリースフィルムとして、特に、UVリリーステープ又は熱リリーステープとして知られたものを用いることができる。リリースフィルムの種類に応じて、UV光、レーザー照射又は熱の作用により、表面への接着を低減することができる。この場合、少なくとも、リリースフィルムが表面に接着した界面の領域において、リリースフィルムの化学的又は物理的性質が永久に変化する。そのような作用により、化学結合が切断され、或いは、具体的には接着に寄与する反応性基が、より反応性が低い、具体的には、より極性の低い基に変換されてもよい。例えば、ある層の溶融、発泡又は蒸発により、境界層の物理的な整合性を変更させてもよい。このようなリリースフィルムは、加工工程後にリリースフィルムから再度剥離されなければならない半導体ウェーハの一時的な固定用として既に知られている。
【0015】
リリースフィルムとして、適切な被覆を有し、前述の手段により、その接着力を低減し、或いは完全に剥離させることができるフィルムを用いてもよい。まず、非コーティング表面上に剥離層を形成し、次いで、その上に通常のフィルムを形成してもよい。光又は熱の作用により、剥離層を分解又は剥離させてもよい。
【0016】
しかし、リリース層として、溶融、発泡又は蒸発により、濡れ性を有しない表面から分離される、例えば、堆積スズ層等の中間層を表面に形成してもよい。全ての場合において、リリースフィルムは、複数の層を有していてもよく、特に、前述の手段により、そのリリースシートの最下層の接着又は構造的完全性を、減少又は消失させてもよい。
【0017】
一般に、剥離工程における接着力の減少の前後における比率は、少なくとも5:1、特に、10:1よりも高いことが好ましい。
【0018】
リリースフィルムのための典型的な厚さは、1μm〜200μmの範囲であるが、使用の用途、目的に応じて、それよりも大きくても小さくてもよい。リリースフィルムが、2つのコンポーネント又は表面の凹部との間のギャップ
(Zwischenraum)を架橋するために使用される場合、その厚さは、十分な機械的安定性を維持するために相応に高く選択されるべきである。
【0019】
一実施形態において、パターン化されたコーティングが形成される部品は、デバイス又はモジュールの一部であり、1又は複数のMEMSコンポーネント及び1又は複数のチップコンポーネントを含んでいる。これらのコンポーネントは、基板
(Trager)上に配置されている。コーティングの対象となる部品は、これらのコンポーネントの1つであってもよく、デバイス全体又はモジュール全体であってもよい。
【0020】
提案された方法によるコーティングは、コーティングが、個々のコンポーネント、或いはデバイス又はモジュール全体を基板に対し密封するように形成されていてもよい。この方法により、パターン化されたコーティングは、非コーティング領域に、デバイス、特にMEMSコンポーネントへのメディアアクセスを有するように形成される。
【0021】
メディアアクセスは、機能を発揮するために、環境に直接接触して相互作用する必要があるすべてのそのようなMEMSコンポーネントのために必要である。メディアアクセスは、例えば、サウンドチャネルとして、圧力のバランスのため、或いは媒体のパラメータを最適化するための周囲の媒体の導入のための、膜等のMEMSコンポーネントの微細な機械的構造に向かう自由なチャネルを形成する。
【0022】
コーティングとしてフィルムが好適である。コーティングは、デバイス又はモジュールの上に、コンポーネント間のギャップに架橋するように、形成することができる。フィルムが、コンポーネントとの間に十分な距離をおいて、個々のコンポーネントの周囲又は1又は複数のデバイスのサブセットの周囲から基板の表面まで延び、それにより基板の表面を密封するようにコーティングが形成されていてもよい。
【0023】
コーティングは、一緒に又は連続的に形成することができる複数の副層を含んでいてもよい。副層は金属製であってもよい。
【0024】
一実施形態において、リリースフィルムは、その上に複数のMEMSコンポーネントが並列に加工されたMEMSウェーハ上に、既に形成され、パターン化されていてもよい。具体的には、コーティング領域において、リリースフィルムの表面に対する接着力が低減され、まさにこの領域に接着しているリリースフィルムが除去されてもよい。次いで、まず、MEMSウェーハ上のリリースフィルムがパターン化された後で、個々のMEMSコンポーネントが分離される。
【0025】
個々のMEMSコンポーネントは、必要に応じてチップコンポーネントと共に、これらのコンポーネントを有する個々のデバイスが基板上に取り付けられるよう、基板上にマウントされている。次いで、コーティングを形成し、非コーティング領域における接着力を低減させ、非コーティング領域において、リリースフィルムを、その上に形成されたコーティングと共に剥離することを含むことを含むさらなる工程を実施する。
【0026】
この変形方法は、パターン形成工程を、より少ない時間とコストで、MEMSウェーハレベルで行うことができるという利点を有している。この変形方法は、他の方法、具体的にはUV照射により、その接着力を低減させることができる、熱的に安定なリリースフィルムに好適である。そうでなければ、コンポーネント、特にMEMSコンポーネントを有する構造の基板については、低温で実行できる方法を選択しなければならない。その場合には、熱により接着力を低減できるリリースフィルムを用いることができる。
【0027】
一実施形態において、リリースフィルムのパターン化のために、非コーティング領域の周囲の第1の分割線に沿ってリリースフィルムに切り込みが形成される。その後、分離ラインによって包囲された領域の外側にある、コーティング領域内のリリースフィルムが除去される。この手順では、全体の接着力を低減させることなく、コーティング領域におけるリリースフィルムを剥離することができる。リリースフィルムを除去する際に破損する可能性がある敏感な上部表面上のコーティング領域においてリリースフィルムが接着していない場合、これは常に可能である。また、このような方法により、非コーティング領域を包囲する限られた領域内において表面に固定されたリリースフィルムのみが容易に剥離される。非コーティング領域が、MEMSコンポーネントの表面に設けられており、MEMSコンポーネントが、基板上で最も高い位置にあるデバイスの内部に位置するMEMSコンポーネントである場合、これは特に容易な方法により実施することが可能である。この方法では、工程a)において、主にMEMSコンポーネントの表面上に又はMEMSコンポーネントの表面にのみ接着するように、リリースフィルムを貼付することが可能である。
【0028】
しかし、コーティング領域全体にわたり、表面へのリリースフィルムの接着力を低減し、それにより、コーティング領域全体にわたり、リリースフィルムの除去を容易にしてもよい。
【0029】
リリースフィルムとしてUVリリーステープが貼付された、任意の基板上の選択された領域内リリースフィルムの接着力の低減は、好ましくは、UV照射により行われる。
【0030】
位置選択的又はパターン状の露光は、マスクを用いて行うことができる。UVリリーステープの当該領域上のみを光又はレーザービームでスキャンし、リリースフィルムの接着力の接着力を低減させることもできる。
【0031】
工程d)において、コーティングを形成後、第2の分割線に沿ってコーティングに第2の切り込みを形成する。この第2の分割線は、第1の分割線と一致するように形成されてもよい。しかし、第2の分割線が、第1の分割線によって包囲された面の内部を通り、特に、第1の分割線と平行になるように形成されていてもよい。
【0032】
しかし、第2の分割線は、第1の分割線で包囲された面のわずかに外側に位置していてもよい。例えば、第1の分割線までの距離は、コーティングの厚さの5倍以下、又は約lOOμm以下であってもよい。したがって、多くの場合、後続の工程f)において、コーティングの剥離をより容易にすることができる。
【0033】
次の工程e)において、非コーティング領域のリリースフィルムの粘着力は、適切な手段を使用することによって低減される。
【0034】
続いて、工程f)において、リリースフィルムを、その上に形成されたコーティングの一部の領域、すなわち、基板への接着も、強固な接着をもたらす結合も存在しないコーティング領域内の領域である、非コーティング領域内の第2の分割線の内側と共に剥離する。これは、種々の方法で実施することができ、リリースフィルムが、この領域内でどの程度基板に接着しているかに依存する。
【0035】
特に、熱リリーステープを用いると、基板へのリリースフィルムの接着力を、ほぼ完全に除去することができる。この場合、第2の分離線に沿って分離された領域内のリリースフィルムを、その上に形成されたコーティングと共にエアブローにより除去することも可能である。基板への接着力がまだ残っているため、接着力がより低い粘着フィルムを用いて、分割されたリリースフィルムを剥離してもよい。他の機械的作用又は吸引により剥離を行うことも可能である。
【0036】
一実施形態において、基板上にマウントされたデバイスの内部に組み込まれたMEMSマイクロホンをMEMSコンポーネントとして含むデバイス又はモジュールのカプセル化のための方法が用いられてる。本実施形態において、MEMSコンポーネントのマイクロホン膜上の凹部に非コーティング領域を形成するが、コーティング工程の実施中又は実施後に、機械的なストレスや異物の混入があってはならない。
【0037】
デバイスの周縁上のコーティングが基板と接触しない場合、デバイスを覆うカバーを用いて、カプセル化されたデバイスを収容する空洞を包囲及び密封することができる。このために、平坦な基板を用意し、形成後に、その下側の空間を密封する、機械的に安定なキャップを、カバーとして形成する。或いは、その凹部の内部にデバイスを収容可能なバスタブ状の基板を用意してもよい。その上に平坦なカバーを形成し、凹部を覆うようにそれを基板に固定してもよい。
【0038】
別の可能性は、基板上のデバイスの周囲に、最も高いデバイスの部品よりも高くなるようにフレームを形成することである。その後、カバーとして、平坦なプレートがフレームの上部に設置され、密封された空洞が形成されるように固定される。
【0039】
キャップは、接着剤を用いて取り付けられていてもよい。キャップは、金属製であってもよく、シートメタル成形部品を含んでいてもよく、ガルバノプラスチック製又は金属被膜が形成された樹脂部品を含んでいてもよい。電磁シールド効果を向上させるために、キャップは、基板上で接地電位に接続されてもよい。その後、キャップを半田や導電性接着剤で取り付けることが好ましい。
【0040】
マイクロホン又はMEMSコンポーネントを含む部品の近傍には、少なくとも1つのサウンドホールが、カバー又は基板に形成されている。これは、MEMSコンポーネントが基板上に形成される前、カバーが基板上に固定される前、又はカバー又はキャップが基板上に形成された後に設けられてもよい。それに続くサウンドホールの形成のために、カバーの下の空洞或いはマイクロホン膜へのメディアアクセスが、マイクロホン膜の機能を損なうおそれのある異物が空洞の内部に混入しないように形成される。
【0041】
カバーを設けることにより、膜と基板との間の第1の空間を、コーティングにより、膜又はコーティングとカバーとの間の第2の空間に対し密封することができる。
【0042】
好ましくは、第1の密封された空間は、MEMSコンポーネントとチップコンポーネントとの間に少なくとも1つのギャップを更に有している。他の対応する、或いはそれぞれ相互接続された空間が、コンポーネントの間及び下のギャップを通って形成されていてもよく、特に、コンポーネントが基板と距離をおいて形成されている場合、例えば,バンプ接続により、擬似的なスペーサーとして、基板と、コンポーネントのうち少なくとも1つの間の空間を直立状態に保持している。
【0043】
一実施形態において、コーティングとして、深絞り成形可能なフィルムがデバイスの上に形成される。このようなフィルムは、高温で可塑性を示す。例えば、オートクレーブ内で、圧力と温度を組み合わせて用いることにより、このような深絞り成形可能なフィルムを、デバイス及び基板上にラミネートし、デバイスを構成する部品の上にフィルムが緊密を接触させることが可能である。
【0044】
深絞り成形可能なフィルムは、弾性成分を含んでいてもよく、適用温度で所望の機械的性質、特に適度な可塑性が保証される。好ましくは、深絞り成形可能なフィルムは、硬化により完全な熱硬化性を示すことができる他の成分を更に含んでいる。フィルムは、既にわずかに架橋しており、硬化状態で安定した機械的性質を示すラミネート膜に転換可能なポリマーBステージを含んでいてもよい。コーティングの硬化により、変形性を失い、機械的に安定で、基板及びデバイスの上に強固に固定されたコーティングが得られる。
【0045】
コーティングに適したラミネートフィルムは、10μm〜200μmの厚さを有することが有利である。
【0046】
コーティングは、デバイスの個々の部品の、少なくとも側面及び上面に緊密に接触できるように、形成工程の間に軟化するものであってもよい。デバイスのコンポーネント間のギャップによって形成される空間への、コーティングとして使用されるフィルムの制御不能な侵入を確実に減少させるために、一実施形態において、このようなギャップを機械的に安定に密封するために、リリースフィルムを用いることができる。このために、リリースフィルムは、パターン化の間も、その上に形成されるコーティングの支持機能を発揮させるために、デバイス上のその領域内、特に、2つのコンポーネント間のギャップの上方の架橋領域内に残される。架橋領域内のリリースフィルムは除去されず、好ましくは、接着力も低減しない。したがって、架橋領域内のコーティングを支持することができ、ギャップへのコーティングの形成の際に、コーティングのたるみの発生を回避できる。
【0047】
一実施形態において、リリースフィルムとして熱リリーステープが用いられ、まず、基板上へのコンポーネントの形成後に貼付される。それによって、リリースフィルムを接着中にコンポーネントのはんだ付けを行うことによるリリースフィルムの減少が回避される。工程b)に好適なリリースフィルムのパターン化は、加熱により実施することができ、接着力を低減させるために必要な熱エネルギーは、レーザーを介して供給できる。コーティングの形成後、残ったリリースフィルム全体の接着力は、デバイスのホットプレートへの載置、IR放射、又は熱風送風機を用いた熱の作用により低減させることができる。この熱放出は、第2の分割線の形成前に実施することができる。次いで、非コーティング領域内のコーティングの剥離が実施される。
【0048】
機械的安定性を増大させ、気密性を向上させ、電磁シールド性を向上させるために、コーティングは、形成後に、コーティングの上に形成されるメタライゼーションにより、全体又は一部が強化されてもよい。このような強化は、2段階で実施することができ、第1段階において、例えば、スパッタリング、蒸着又は核形成溶液を用いた処理によって、ベースメタライゼーションが形成される。ベースメタライゼーションは、溶液からの電解又は無電解処理で補強することができる。その後の熱処理により、必要に応じて金属粒子を堆積させることによってベースメタライゼーションの補強を行うことも可能である。金属粒子は、スパッタリングにより或いは、特に、インクジェット印刷法を用いて堆積することができる。低融点金属を用いた金属箔の溶融により、メタライゼーションを強化することもできる。
【0049】
メタライゼーションは、デバイス上のコーティングが十分な機械的安定性を有するのに十分な厚さに形成されていてよい。
【0050】
一実施形態において、基板に直接支持されたコーティングは、デバイスに隣接し、これを完全に包囲する周辺領域の上まで剥離される。周辺領域全体にわたり、コーティングは、基板を、なお強固に密封している。したがって、必要に応じて、その上に形成されたメタライゼーションにより、基板を密封することができ、デバイスを緊密に密封することができる。また、同じく必要に応じて、キャップが、基板のコーティングが剥離された領域に設置され、好ましくは、基板を密封する。
【0051】
一実施形態において、MEMSコンポーネントとして、MEMSマイクロホンが、フリップチップ実装を用いて基板上にマウントされている。この目的のためには、はんだボール、或いは金スタッドバンプが、導電性接着剤の液滴と共に好適である。
【0052】
一実施形態において、デバイスは、サウンドホールを被覆するカバーとして設けられたキャップを有している。サウンドホールは、2つのコンポーネント間のギャップの上方に位置されるように配置されている。サウンドホールと、架橋部の上方の領域内のコーティングとの間の密封材
(Dichtmittel)によって、サウンドホールを介してサウンドチャネルとして機能する、ギャップの領域内のコーティングの下の第1の空間への通路が形成される。同時に、マイクロホン膜の下側の空間と連通したサウンドチャネルも形成される。
【0053】
シールとして、シール手段(Dichtmittel)は、キャップとデバイスを覆って設けられるコーティングとの間に設けられ、少なくともサウンドホールの周りの領域のキャップ及び架橋領域のコーティングと共に内側から密封する。コーティングを経て中間空間(Zwischenraum)へと延びる開口が、シール手段内に設けられる、又は後で設けられる。この場合において、上記の連続するサウンドチャネルは、サウンドホール、シール手段及びコーティングを経て中間空間内へ入り、最終的にそれぞれMEMSコンポーネントの下方又はマイクロホン膜の下方へと下がる。
【0054】
シール手段は、キャップを載置させた後に、粘性塊としてサウンドホールを通じて塗布され、続いて硬化することができる。シール手段は、コーティング上へ載置される前に中間空間上に配置されることもできる。弾性材料から形成されたシールリングも、中間空間の上のコーティング上に、又はキャップ/カバー中の対応する地点に配置されるシール手段として使用することができる。シールリングは、コーティングとカバーとの間に強固に固定されるように寸法決めされ、それにより、キャップ又はカバーを載置する時にそのシーリング作用を展開することができる。
【0055】
すべての構造化工程において、幾何学的データを使用し、構造化を正確に適合するように実施することが可能となるよう、ウェーハ及び装着された又は装着されていないキャリア(Trager)の幾何学的データを得ること及び格納することが有利である。これにより位置及び製造公差を補償することができる。
【0056】
実施例及び関連する図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図面は、単なる概略図であるため、絶対的な寸法及び相対的な寸法のいずれも表していない。個々の部分については拡大されている場合もある。
【0057】
図1〜8は、パターン化されたコーティングの製造方法における簡単な実施形態、異なる処理工程を示す。
【0058】
図9a〜9kは、UVリリーステープを用いたコーティングの製造における種々の処理工程を示す。
【0059】
図10〜14は、パターン化されたコーティングが形成されたデバイスの種々のさらなる実施形態を、パターン化されたコーティングが形成された部品と共に示す。
【0060】
図15a及び15bは、金属で強化されたパターン化されたコーティングを有する部品を示す。
【0061】
図16a〜16iは、熱リリーステープを用いてコーティングを製造する方法の種々の工程を示す。
【0062】
図17は、キャップ状のカバーでカプセル化された装置の更なる変形例を示す。
【0063】
図18は、パターン化されたコーティング、及びバスタブ状基板上に形成された平坦なカバーを有する部品を示す。
【0064】
図19a〜19dは、MEMSマイクロフォンとカプセル化された部品へのサウンドチャネルの製造における種々の処理工程を示す。
【0065】
図1は、その表面上にリリースフィルムRTが形成される部品BEの概略断面図を示す。図示されている例では、リリースフィルムは、部品BEの表面全体に接着している。
【0066】
コーティング領域CAと非コーティング領域UCAは、リリースフィルムRTにおいて画定される。任意に、リリースフィルムRTの部品BEの表面に対する接着性を、コーティング領域CAにおいて低減させることができる。これは、リリースフィルムの種類により、熱の作用又は光/UVの作用により実施することができる。コーティング領域CAにおいてリリースフィルムは、部品BEの表面上で、わずかな接着性を有するだけ、又は接着性を全く有しないが、それでも構造的な結合を有する(図2a参照)。
【0067】
この工程の代わりに又は続いて、第1の切り込みが、リリースフィルムRTが実質的に又は完全に切断及び/又は除去されるところである第1の分割線TL1に沿って形成される。第1の分割線は、非コーティング領域UCAを閉じた線の形で囲むように引かれる。図2bは、コーティング領域においてリリースフィルムRTの接着性が低減されていない状態の、非コーティング領域UCAの周りの第1の分割線TL1を示す。
【0068】
最初にコーティング領域(図2b参照)を画定する第1の切り込みを形成し、その後コーティング領域CAにおける接着性を低減させることも可能である。図3は、この処理段階における構成を示す。
【0069】
次の工程において、リリースフィルムはコーティング領域CAにおいて除去され、リリースフィルムRTSの一部だけが非コーティング領域UCAにおいて、部品BEの表面上に残る。リリースフィルムの除去は、引き剥がすことにより実施される。図4は、この処理段階での構成を示す。
【0070】
図5は、構造化部品の表面全体上、及びリリースフィルムRTの残存構造RTS上に形成されているコーティングLFの形成後の構成を示す。コーティングは、全体の領域上に残り、様々な材料を含むことが好ましい。コーティングは、簿膜プロセスにおいて適用される層、又は層シークエンスを含むことができる。コーティングは、有機層、例えば樹脂層、フィルム、及び、蒸着、スパッタ、又はCVD法によって堆積される無機絶縁層を含むことができる。金属層は、コーティングとして、又はコーティングの部分的な層としても適用されることができる。
【0071】
コーティングLFの構造化のため、第1の分割線TL1に対して基本的に平行に引かれ、非コーティング領域UCAの端の領域に配置される第2の分割線TL2に沿って、コーティングLFは、実質的に又は完全に除去される。切り込みは、残存するリリースフィルム構造RTSが、そこで露出するように引かれる。図6は、この処理段階での構成を示す。しかしながら、それでもリリースフィルムRTSも第2の分割線TL2(図示せず)に沿って除去することも可能である。第2の分割線TL2は、リリースフィルムRTSの残りのすぐ外に引くこともできる。これによりコーティングの構造端におけるビーズの形成を、避けることができる。
【0072】
次の工程において、リリースフィルムの残存する構造RTSは、前に実行された工程に従い、熱的、光又はUVの手段による処理が再び施され、その接着性が完全に低減される。図7において、接着性が低減された残存するリリースフィルム構造RTSは、ハッチングで示されている。
【0073】
最初の工程と、最後の2つの工程の順序を入れ替えて、リリースフィルムのパターンRTSの接着力を低減させ、次いで、第2の分割線TL2に沿って分割を行ってもよい。
【0074】
次の工程において、接着性が低減されたリリースフィルム構造RTSは、その上に設けられたコーティングLFSの領域と一緒にリフトオフされる。使用するリリースフィルムに応じて、及びリリースフィルムの接着性を低減する方法に応じて、この目的にとって異なる強さの力が必要となる。接着性が完全に失われていれば、ブロー又は吸引も十分であり得る。しかしながら、部品の表面上においてリリースフィルムに残存している接着性よりも強い接着性を有する接着性のフィルムを用いて、コーティング及びリリースフィルム構造を引き剥がすこともできる。図8は、この処理段階における構成を示し、それゆえ構造部品は、コーティング領域CAにおいてコーティングLFを有し、コーティングLFは非コーティング領域UCAにおいて除去され、その領域で部品BEの表面を露出する提案されている構造化方法は、例えば、繊細な部品がそこに配置されている等、非コーティング領域が繊細な表面を有する部品にとって特に好適である。提案の方法を用いると、そのような表面上のコーティングを、注意深く除去することができ、それにより構造化することができる。
【0075】
特定の応用において、コーティング方法は、凹部ANを有する部品BEの表面上に使用される。繊細な構造物を、凹部の底に配置することができる。特に、部品BEは、凹部の底に設けられたMEMS構造を有するMEMS部品であり、特にMEMSマイクロホン又は圧力センサに使用されるような膜である。
【0076】
コーティング方法は、ウェーハレベルで有利に実施される。この場合において、複数の部品は、MEMSウェーハ上で並行に処理される。図9aは、凹部AN又はキャビティを有する部品BEのような、複数の凹部ANを有するMEMSウェーハの例を模式的に示す。
【0077】
次の工程において、リリースフィルムRTは、複数のMEMS構造部品を備えるMEMSウェーハBEの表面に適用され、それによりリリースフィルムRTは凹部に広がる。部品BE又はMEMSウェーハの表面へのリリースフィルムの接着性を、圧力及び/又は温度によって、特にラミネート法によって高めることができる。図9bは、この処理段階における構成を示す。
【0078】
次の工程において、リリースフィルムRTの接着性は、コーティング領域CAにおいて低減され、好ましくは本例では、UV照射の作用によって(図9cで、対応する矢印により示されている)実施される。露出されるべき領域だけが光を透過するマスクMAを介した構造化方法で、露光を実施することができる。代わりに、露光は、レーザービームを使用して走査する方法で実施することもできる。露光は、リリースフィルムRTが、各凹部の周囲の領域において接着性が低減するように実施され、露光された領域と凹部の端との間に異なる幅の端領域が残り、この領域においてリリースフィルムは部品BEの表面に良好に接着する。代わりに、リリースフィルムの接着性を照射によって増加させるという逆の原理を適用することもできる。リリースフィルムの接着性が少なくとも全体の方法の部分に渡って維持されるべきである領域が、照射されるべきである。そのような領域は、表面からの分離ひいては表面からの剥離が起こるところである分割線の領域内に位置することができる。
【0079】
1つの工程(図示せず)において、リリースフィルムRTは、コーティング領域と非コーティング領域との間で切断される。続いて、リリースフィルムRTは、接着性が低減されている領域において除去される。図9dは、この処理段階での構成を示す。残存するリリースフィルム構造RTSは、凹部ANを覆い、これらを閉じている。
【0080】
次の工程において、例えばのこぎりにより、個々の構造部品領域間のMEMSウェーハの中に入り貫通して切断することで、部品BEを分離することができる。MEMS構造は、リリースフィルムRTSの残存構造によって切断工程に関して凹部ANの内部に保護される。従って、切断時に生ずる湿気、切削屑、他の液体又は粒子のいずれもが部品BEを汚染することがない。図9eは、この方法で分離されたMEMS部品BEを示す。
【0081】
図9f:リリースフィルム構造RTSを用いて保護されている分離されたMEMS部品BEを、更に個別に処理することができる。この目的のため、これらはキャリアTRの上に載置され、それに電気的に及び機械的に接続される。有機又は無機多層ラミネート(例えば、カテゴリFR4、HTCC、LTCCのグラスファイバ/エポキシ、又は他の材料)がキャリアとして好適である。更に構造部品は、所望のアセンブリに求められているキャリア上に配置されることができる。キャリアTRは、複数のモジュール又はアセンブリを基板上でパラレルに処理することができる複合基板であってもよい。
【0082】
この目的のため、更なるチップコンポーネントCKが、図9fにおいて、アセンブリ又は共にアセンブリを形成する構造部品に隣接するモジュール(ここでは、MEMSコンポーネントMK)に、例示的な方法で設けられる。当然ながら、アセンブリは更なるコンポーネントを備えることもできる。図9gは、マウントされたコンポーネントを有する構成を示す。
【0083】
次の工程において、コーティングLFは、アセンブリ周囲の端領域においてキャリア表面と同一面で終端するように、アセンブリとその間のキャリアTRの露出された表面との上に適用される。コーティングは、好ましくは全てのコンポーネントの表面に密着し、横方向にこれらを囲む。アセンブリに組み込まれたコンポーネント間の狭い中間空間にも、コーティングを施すことができる。
【0084】
そのような粘着性のコーティングを製造するためのコーティング方法は、例えば、ラミネートフィルムをコーティングとして使用するラミネート法である。ラミネート可能なフィルムは、熱可塑性フィルムであり得るが、好適には、後の工程で硬化可能な熱変形接着フィルムである。図9hは、この処理段階での構成を示す。
【0085】
この方法の変形では、凹部上に残存するリリースフィルム構造RTSが使用されているため、コーティングLFが凹部内へ貫通することができず、凹部の底に配置されたMEMS構造へ接触することができず、更には損傷し、機能に干渉することができない。これは、コーティング方法の条件下でコーティングLFよりも高い機械的安定性を有するリリースフィルムによって得られる。
【0086】
MEMSコンポーネントMKの機能にとって、凹部の底のMEMS構造への自由なアクセスを形成するために、凹部AN上のリリースフィルムRTをその上に設けられたコーティングLFと共に除去することが必要である。この目的のため、残存するリリースフィルム構造の接着性は、第1の工程で低減される。図9iにおいて、これは照射の作用により示される。しかしながら、熱の作用によって接着性を低減することも可能である。
【0087】
次の工程において、コーティングLFは、第2の分割線TL2に沿って除去される。この目的のための直接的な構造化方法としては、例えばレーザー構造化法が挙げられる。第2の分割線TL2は、凹部との境界にあるMEMSコンポーネントMKの端に接し、同時に、MEMSコンポーネントの外縁及び凹部ANの外縁から十分な距離を置くように引かれる。第2の分割線TL2は、第1の分割線と一致して引かれ得、非コーティング領域UCAを画定し、その領域において、リリースフィルムがその上に設けられたコーティングRTSと共に除去される。しかしながら、第2の分割線を、第1の分割線に対して凹部ANに向かって内側にオフセットさせることも可能であるが、凹部までの距離は常に維持される。図9jは、この処理段階での構成を示す。第2の分割線TL2は、既に上で説明したように、わずかに更に外側に引かれることもできる。
【0088】
次の工程において、接着性が低減されているリリースフィルムRTSの一部が、非コーティング領域UCAにおいて除去される。この目的のために、残存する接着性の強さに応じて、異なる方法を使用可能である。リリーステープが、MEMSコンポーネントに対してほとんど又は全く接着性を有しない場合、極端な場合では、例えば、ゆるく置かれており、吹き飛ばすことができる。代わりに、接着性フィルムを活用して引き剥がすこともできる。図9kは非コーティング領域においてリリースフィルムRTSの除去の際の構成を示す。凹部ANは、上から自由にアクセスすることができ、一方、残存する領域におけるコーティングは、アセンブリ上に固く置かれており、キャリアTRからそれを密封する。この場合において、チップコンポーネント、MEMSコンポーネント及びキャリアの間の全ての中間空間を備える空間がコーティングLF下に包囲される。凹部の領域において、凹部の底を形成するマイクロホン膜が包囲された空間を包囲する。
【0089】
図10に示すように、この構成は、付加的に更に保護されることができ、つまりキャップKAを、コーティングで覆われたアセンブリを覆うようにキャリア上に載置することで、このキャップが中間空間をアセンブリ上に形成するが、キャリアTRとともに緊密に境をなす。この場合において、キャップKA下の内部は、コーティングLFと膜とによって底において区切られた更なる空間を包囲する。キャップKAは、接続手段、例えば接着剤を使用し、キャリアに固定することができる。金属製のキャップを半田付けすることもできる。
【0090】
MEMSコンポーネントMKが、MEMSマイクロホンとして設計される場合、キャップ下及びコーティング下で互いに離隔されている2つの空間は、前部空間及び後部空間を画定し、異なる役割が実施され得る。
【0091】
サウンドホールSOが基板に設けられた場合、キャップの下の空間が後部空間を形成する。
図10は、このような構成を示す。
【0092】
しかし、基板TRに対し、コーティングLFによって包囲された領域の空間が、後部空間を形成するように、キャップKAにサウンドホールを設けてもよい。
図14は、このような構成を示す。
【0093】
キャップKAがキャリアTR上にアセンブリを覆って適用されると、アセンブリの分離を次の工程で実施することができる。機械的方法、例えば切削が、個々のキャップ間又はキャップに覆われたアセンブリ間のキャリアの切断に好適である。しかしながら、キャリアの材料に応じて、他の方法も使用することができる。図11は分離されたアセンブリを示す。
【0094】
図12は、2つのコンポーネント間のコーティングLFがキャリア表面にまで下がり、そこでキャリアと境をなすアセンブリを示す。コーティングとキャリアとの間に包囲された空間は、コンポーネント間の中間空間によって縮小されることができる。これは、この空間が前部空間として使用され、図11〜13のようにサウンドホールがキャリアに設けられる場合、利点がある。
【0095】
図13:方法の変形例において、ハウジングトラフ(Gehausewanne)をアセンブリのためのキャリアTRとして使用することができ、その底の上にあるMEMS及びチップコンポーネントは、トラフの上端がコンポーネントの上端より上に突き出るように固定されることができる。コンポーネントはハウジングトラフ内の底上に実装され、上述のようにアセンブリをコーティング領域と非コーティング領域とに分離するコーティングが施される。コーティングは、この場合において、側縁を覆うようにハウジングトラフの全体に渡って拡げられる。
【0096】
次の工程において、キャップに代えて、フラットカバーCRがハウジングトラフの端に適用され、それにより、ハウジングトラフの端がフラットカバーとともに一回りに渡る境をなし、従って空間がハウジングトラフ内に包囲される。この場合、ハウジングトラフの端の上にまで引き延ばされたコーティングLFは、特に、コーティングLFが熱により軟化する又は粘着性にさえなる場合、接続手段として使用することができる。この構造部品は、単一のハウジングトラフを使用して製造することができる。しかしながら、複数のハウジングトラフが予め基板上に形成された複合基板を使用することも可能である。コンポーネントのマウンティング及びフラットカバーCRの適用は、表面処理として、又は複数のパネルにおいて可能である。
【0097】
図15a及び15bは、コーティングが少なくとも2つの部分層を含む、更なる変形例を示す。ラミネートフィルムLFは、コーティングの第1の部分層として適用される。金属層MLは、ラミネートフィルムLF上の全体の領域に渡って、コーティングの第2の部分層として積層される。
【0098】
金属層MLは、チタンを含む接着層と、無電解又は電気メッキで積層された銅又はPVD法により積層されたニッケル層から形成される数μmの厚みの補強層とからなることができる。
【0099】
この場合において、構造部品はコーティングにより溶剤、酸又はアルカリによる攻撃から保護されているので、金属層の切断及び構造化のため、レーザーアブレーションに加えて、湿式化学プロセスも挙げられる。
【0100】
コンポーネントは、平坦なキャリア上にマウントすることができるが、図15aに示すように、ハウジングトラフの底で内部にマウントされることもできる。
【0101】
第1の部分層(ラミネートフィルムLF)と第2の部分層(金属層ML)との両方が、ハウジングトラフの側壁上にまで引き延ばされ得る。金属層MLを備えるコーティングのリフトオフは、図9kに基づいて示すように、例えば、MEMSコンポーネント上の凹部の周囲の第2の分割線に沿って切断することによって実施することができる。
【0102】
図15bは、ハウジングトラフがフラットカバーCRで覆われ、接合方法、例えば粘着剤により固く接続された後の構成を示す。
【0103】
図16aから16iは、熱リリースフィルムをリリースフィルムRTとして使用する更なる方法の変形例を示す。好適なリリースフィルムは、例えば、日東電工社のリバアルファ(商標)である。リリースフィルムの熱感受性のため、この方法の変形例は、リリースフィルムが適用される前に、チップ及びMEMSコンポーネントCK、MKが最初にキャリアTR上にマウントされる点で異なる。こうして、コンポーネントをマウントする間の熱処理による早期のリリースが避けられる。キャリアは好適には広い面積を有し、多数のコンポーネントのマウントを可能とするため、多数の構造化部品の同時並行処理を可能とする。マウント後、熱リリースフィルムRTが2つのコンポーネント上に適用される。図16に示すように、コンポーネントが異なる高さである場合、リリースフィルムRTは、キャリア上に最も高く突出するコンポーネントだけに、一般にはMEMSコンポーネントMKだけに適用される。リリースフィルムRTは、チップコンポーネントCK上には置かれない。
【0104】
図16cに示すように、リリースフィルムが、第1の分割線TL1に沿って切断され、まとまったフィルムとして、コーティング領域の分割線の先では引き剥がされる。図16dは、この工程の間の構成を示す。
【0105】
次の工程において、今までのように(図9及びこれに関する続図も参照)、コーティングLFは、図16eに示すように、キャリアTRを用いてアセンブリを周方向に密閉するように、チップとMEMSコンポーネント上の全体の領域に渡って適用される。
【0106】
図16fに示すように、コーティングLFは、続いて、リリースフィルムRTの構造に対応する第2の分割線TL2に沿って切断される。切断後、図16gに示すように、リリースフィルムは、その上に適用されている分離されたコーティングLFと共に、非コーティング領域内で除去される。非コーティング領域においてリリースフィルムの引き剥がしを容易にするため、第2の分割線TL2に沿って切れ目を形成した後、全体の構成が、MEMSコンポーネントMK上のリリースフィルムの接着力を低減するために十分な高温にさらされるという点で、好ましくはリリースフィルムの接着性を全体の領域に渡って低減させる。炉内、及び/又はホットプレート上、及び/又は赤外線放射器下で実施され得る好適な温度/時間プロファイルは、この目的のために設定される。リリース工程は、このようにしてコーティングのために使用されるラミネートフィルムLFの硬化と組み合わせることができる。
【0107】
図16g:熱リリースフィルムを使用することにより、その接着力はほとんど完全に消去され得るため、リリースフィルムRTSをその上に位置するコーティングLFと共にリフトオフすることは、より簡単に実施される。
【0108】
図16h:最終的な構造部品のように、キャリアからコーティングLFで被覆されているチップ及びMEMSコンポーネントが、キャリア上に残る。膜上のMEMSコンポーネント内の凹部、又はMEMSコンポーネントの底上の他の機能層は、非コーティング領域におけるリリースフィルムとコーティングの除去により露出し、それにより機能層又はMEMSコンポーネントMKの膜へのアクセスが、自由に開かれる。
【0109】
続いて、キャップKAがチップコンポーネント及びMEMSコンポーネントを覆って置かれ、キャリアTRに接続され、それにより空間がその下に閉じられる。図16iは、サウンドホールSOがキャリアTR内のMEMSコンポーネントMK下に設けられた最終的な構造部品を示す。
【0110】
図17は、サウンドホールSOがキャップKAに設けられた変形例を示す。
【0111】
図18は、キャップに代え、フラットカバーCRが、ハウジングトラフとして形成されたキャリアTR上に載置され、ハウジングトラフが閉じられる変形例を示す。
【0112】
図19aから19dは、2つの包囲された空間の機能を交換することが可能とする方法の変形例における様々な処理工程を示す。開始点は、チップコンポーネントCKとMEMSコンポーネントMKがキャリアTR上にマウントされ、コーティングLFによりこのキャリアから覆われた構造部品であり、例えば図14から図17で既に説明及び示されている。この変形例において、キャリア上でコンポーネントを覆うキャップKAは、サウンドホールSOを有する。しかしながら、前述の変形例とは対照的に、サウンドホールは、MEMSコンポーネントの凹部上の中心ではなく、むしろ2つのコンポーネントの間の中間空間上、例えばチップコンポーネントとMEMSコンポーネントとの間の中間空間上にある。
【0113】
図19aにおいて、コーティングLFとキャップKAとの間の空間は、前部空間FVである。前部空間を後部空間へと変更するため、サウンドホール開口は以前の前部空間から密閉される必要がある。この目的のため、図19bに示すように、シール手段DMが、キャップKAとコーティングLFとの間に導入され、例えば図示するように液状シール手段LDとして適用される。射出、吐出、注入針、又は同様の方法によって実施することができる。図19cは、この処理工程での構成を示し、サウンドホールは、シール手段で形成されたプラグDMを用いて内側から閉じられており、プラグDMは同時にコーティングLFに対しても密閉する。
【0114】
前述の後部空間へのアクセスは、サウンドホールSO及びプラグ、又はシール手段DMを通じて設けられる。この目的のため、シール手段DMとその下に位置するコーティングLFを通じて、開口が形成される。この目的のため、穴あけ、特にレーザー穴あけが使用される。結果として、図19dに示されるように、MEMSコンポーネントとチップコンポーネントとの間、及びコンポーネントとキャリアTRとの間の空間へのサウンドホールSOを介したアクセスを開くサウンドチャネルSKが形成される。サウンドチャネルは、コーティングとキャップとの間の空間RVから密封されているため、サウンドチャネルは、前部空間FVへのアクセスを開け、一方で他の空間は後部空間として使用される。
【0115】
シール手段は、液体状で適用され、その後硬化することができる。この場合において、キャップを載置する前に、コーティングLFの表面上において液状シール手段の接着性及びプロファイルに影響を与えることが可能である。これは、特にこの領域において、表面特性を変える、粗さを増加させる又はチャネルパターンを適用することにより実施されることができる。設けられたプラグの周囲に流れの障壁を形成すること、硬化前にシール手段が更に流れることを防ぐことも可能である。このようにして、液状シール手段が、所望の程度だけ流れ、過剰な強い流れを回避することを保証することができる。
【0116】
あるいは、キャップを載置する前に、シール手段を、液体状で又はゴム弾性シール手段(リング又はプラグ)として、チップ及びMEMSコンポーネント間の中間空間上のコーティングに適用する、図19cに示す構成を形成することもできる。圧縮可能な発泡材料も使用することができる。キャップKAは、続いて、シール手段に対し十分な力でプレスされ、中間空間上のキャップとコーティング間に良好な気密が生ずるように載置される。後で形成されるサウンドチャネルの領域において、キャップが載置される前に、リング形状のシールが載置され又は固定される図19dに示す構成を形成することも可能である。キャップは好ましくは、シールリングとして形成されたシール手段に対して十分強くプレスされ、サウンドチャネルSKは、ここで、後の後部空間RVから強く気密もされる。
【0117】
キャップの前にシール手段が設けられる前述の最後の二つの方法の変形例において、キャップを載置した後で、サウンドホールをキャップKAに形成することもできる。自己調整されるため、シール手段は、既存のサウンドホールを通じて適用される方法が好ましい。
【0118】
この変形方法においても、
トラフ状の基板を使用し、コーティングと平坦なカバーとの間に密封手段を配置することが可能である。
【0119】
いくつかの例示的な実施形態に基づいて説明されるコーティングを製造し、構造化するための方法は、これらに限定されるものではない。むしろ、本方法を使用し、コーティングが凹部はコーティングにより構造部品内で一時的に拡がっている、又はコーティングが繊細な構造の領域で注意深く除去されるべきである位置である任意の表面又は構造部品上に形成され、構造化されることができる。