特許第6187791号(P6187791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三浦工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6187791-殺菌装置および殺菌システム 図000002
  • 特許6187791-殺菌装置および殺菌システム 図000003
  • 特許6187791-殺菌装置および殺菌システム 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187791
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】殺菌装置および殺菌システム
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/12 20060101AFI20170821BHJP
   A61L 2/24 20060101ALI20170821BHJP
   A61L 2/07 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   A23L3/12
   A61L2/24
   A61L2/07
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-78064(P2016-78064)
(22)【出願日】2016年4月8日
(62)【分割の表示】特願2012-86817(P2012-86817)の分割
【原出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2016-154557(P2016-154557A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2016年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】金澤 健司
(72)【発明者】
【氏名】若狭 暁
(72)【発明者】
【氏名】松川 泰三
(72)【発明者】
【氏名】松藤 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 康
【審査官】 伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−234658(JP,A)
【文献】 特開2006−306407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/00−3/3598
A61L 2/00−2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物が収容される処理槽と、この処理槽内への給水手段と、前記処理槽内からの排水手段と、前記処理槽内の貯留水または前記処理槽との間の循環水を加熱する加熱手段と、前記処理槽内の加圧手段と、前記処理槽内からの排気手段と、前記各手段を制御する制御手段としての制御器とを備え、
前記制御器は、カードの情報を読み取るカードリーダの他、設定器に接続されており、
前記カードリーダおよび前記設定器は、前記処理槽外に設けられており、
運転パターンごとに作成された前記カードの内、選択されたカードの情報を前記カードリーダで読み出すことで運転パターンが設定されると共に、前記設定器でも運転パターンが設定され、
前記制御器は、前記設定器と前記カードリーダとによる設定内容に基づき、両設定内容が合致する場合に、その合致した設定内容で運転する
ことを特徴とする殺菌装置。
【請求項2】
複数種の運転パターンそれぞれについて、運転パターンの識別情報と運転内容とを対応づけて記憶した情報記憶手段をさらに備え、
前記カードには、運転パターンの識別情報が記録されており、
前記制御器は、運転パターンの識別情報に基づき前記情報記憶手段から対応する運転パターンの運転内容を取得して、その運転内容に基づき運転する
ことを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置。
【請求項3】
請求項2に記載の殺菌装置を複数台備え、
運転パターンごとの前記カードをそれぞれ前記殺菌装置の台数分だけ備える
ことを特徴とする殺菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト食品などの加熱殺菌に用いられる殺菌装置と、そのような殺菌装置を複数台備えた殺菌システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の殺菌装置が知られており、たとえば下記特許文献1に記載の殺菌装置では、処理槽(1)内に被処理物(2)を収容すると共に水を貯留し、この貯留水を熱交換器(3)との間で循環させ、この循環水を熱交換器(3)において蒸気により加熱するか、クーリングタワー(8)からの冷却水で冷却するかを切り替えて、被処理物(2)の加熱殺菌とその後の冷却を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4229420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
殺菌装置を用いて被処理物を殺菌しようとする場合、被処理物の内容や大きさなどに応じて、最適な殺菌装置が選択されるが、さらにその具体的な運転パターンの設定も必要となる。この設定は、従来、その都度、装置に付属の制御パネル(タッチスクリーンなど)で行っているが、設定は面倒であるし、操作ミスや入力ミスを起こすおそれもある。また、複数台の殺菌装置を同一の運転パターンで運転したい場合もあるが、その場合においても、装置ごとに運転パターンを設定する必要があり、やはり煩雑であるだけでなく、設定ミスを起こすおそれもあった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、容易に且つ正確に運転パターンを設定できる殺菌装置および殺菌システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被処理物が収容される処理槽と、この処理槽内への給水手段と、前記処理槽内からの排水手段と、前記処理槽内の貯留水または前記処理槽との間の循環水を加熱する加熱手段と、前記処理槽内の加圧手段と、前記処理槽内からの排気手段と、前記各手段を制御する制御手段としての制御器とを備え、前記制御器は、カードの情報を読み取るカードリーダの他、設定器に接続されており、前記カードリーダおよび前記設定器は、前記処理槽外に設けられており、運転パターンごとに作成された前記カードの内、選択されたカードの情報を前記カードリーダで読み出すことで運転パターンが設定されると共に、前記設定器でも運転パターンが設定され、前記制御器は、前記設定器と前記カードリーダとによる設定内容に基づき、両設定内容が合致する場合に、その合致した設定内容で運転することを特徴とする殺菌装置である。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、設定器による設定内容と、カードリーダによる設定内容とが合致する場合にのみ、その合致した設定内容で運転するので、設定間違いを起こすおそれがなく、所期の運転パターンで運転することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、複数種の運転パターンそれぞれについて、運転パターンの識別情報と運転内容とを対応づけて記憶した情報記憶手段をさらに備え、前記カードには、運転パターンの識別情報が記録されており、前記制御器は、運転パターンの識別情報に基づき前記情報記憶手段から対応する運転パターンの運転内容を取得して、その運転内容に基づき運転することを特徴とする請求項1に記載の殺菌装置である。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の殺菌装置を複数台備え、運転パターンごとの前記カードをそれぞれ前記殺菌装置の台数分だけ備えることを特徴とする殺菌システムである。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、殺菌装置が複数台あっても、個々の殺菌装置への運転パターンの設定を、容易に且つ正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容易に且つ正確に運転パターンを設定できる殺菌装置および殺菌システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の殺菌装置の一実施例を示す概略図である。
図2図1の殺菌装置に用いられるカードの一例を示す概略図である。
図3】本発明の殺菌システムの一実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の殺菌装置1の一実施例を示す概略図である。本実施例の殺菌装置1は、被処理物を加熱殺菌後に冷却する装置である。被処理物は、特に問わないが、典型的にはレトルト食品である。
【0014】
本実施例の殺菌装置1は、被処理物が収容される処理槽2と、この処理槽2内への給水手段3と、処理槽2内からの排水手段4と、処理槽2内の加圧手段5と、処理槽2内からの排気手段6と、処理槽2と熱交換器7との間で水を循環させる循環手段8と、循環手段8による循環水を加熱するために熱交換器7に蒸気を供給する給蒸手段9と、循環手段8による循環水を冷却するために熱交換器7に冷却水を供給する冷却手段10と、給蒸手段9による蒸気の凝縮水(ドレン)を排出するドレン排出手段11と、これら各手段を制御する制御手段12とを備える。
【0015】
処理槽2は、被処理物を収容する中空容器であり、扉で開閉可能とされている。扉を開けることで、処理槽2に対し被処理物を出し入れすることができ、扉を閉じることで、処理槽2の開口部を気密に閉じることができる。処理槽2には、処理槽2内の温度を検出する温度センサ(図示省略)が設けられると共に、処理槽2内の水位を検出する水位検出器(図示省略)が設けられている。
【0016】
給水手段3は、給水路13を介して処理槽2内へ水を供給する。給水路13は、処理槽2の底部に接続され、給水弁14が設けられている。給水弁14を開くことで、給水源からの水を処理槽2内に供給して、処理槽2内に水を貯留することができる。前記水位検出器を用いて、処理槽2内に所望量の水を貯留することができる。
【0017】
排水手段4は、排水路15を介して処理槽2内から水を排出する。排水路15は、処理槽2の底部に接続され、排水弁16が設けられている。排水弁16を開くことで、処理槽2内の水を外部へ排出することができる。
【0018】
加圧手段5は、加圧路17を介して処理槽2内へ加圧空気を供給する。加圧路17に設けた加圧弁18を開くことで、加圧空気源からの加圧空気を処理槽2内に供給して、大気圧を超える圧力に処理槽2内を加圧することができる。
【0019】
排気手段6は、大気圧を超える圧力下の処理槽2内から排気路19を介して気体を排出する。排気路19は、処理槽2の上部に接続され、処理槽2の側から順に、排気弁20と逆止弁21とが設けられている。処理槽2内が大気圧を超える圧力にある状態で、排気弁20を開くと、処理槽2内の気体は排気路19を介して外部へ排出され、処理槽2内の圧力を下げることができる。
【0020】
循環手段8は、処理槽2と熱交換器7との間で水を循環する。循環手段8は、循環路22と循環ポンプ23とを備える。循環ポンプ23を作動させると、処理槽2内の貯留水は、熱交換器7を介して、再び処理槽2内へ戻される。循環ポンプ23からの水は、処理槽2内へ戻される際、処理槽2内において、ノズルから被処理物へ向けて噴射される。
【0021】
給蒸手段9は、熱交換器7に蒸気を供給して、循環手段8による循環水を加熱する。給蒸手段9は、ボイラからの蒸気を熱交換器7へ供給する給蒸路24を備え、この給蒸路24には給蒸弁25が設けられている。給蒸弁25を開けることで、熱交換器7に蒸気を供給して、循環水を加熱することができる。前記温度センサの検出温度に基づき給蒸弁25を制御することで、処理槽2内の温度を調整することができる。
【0022】
冷却手段10は、熱交換器7に冷却水を供給して、循環手段8による循環水を冷却する。冷却手段10は、クーリングタワーからの冷却水を熱交換器7へ供給する冷却水送り路26と、熱交換器7を通過後の冷却水をクーリングタワーへ戻す冷却水戻し路27とを備える。冷却水送り路26には冷却水送り弁28が設けられ、冷却水戻し路27には冷却水戻し弁29が設けられている。
【0023】
ドレン排出手段11は、給蒸手段9により熱交換器7に供給された蒸気の凝縮水を外部へ排出する。ドレン排出手段11は、冷却水戻し路27から分岐するドレン排出路30に、ドレン排出弁31、スチームトラップ32および逆止弁33が順に設けられて構成される。
【0024】
循環手段8による循環水を加熱するために、熱交換器7に蒸気を供給する際、冷却水送り弁28および冷却水戻し弁29を閉じる一方、給蒸弁25およびドレン排出弁31を開けばよい。逆に、循環手段8による循環水を冷却するために、熱交換器7に冷却水を通す際、給蒸弁25およびドレン排出弁31を閉じる一方、冷却水送り弁28および冷却水戻し弁29を開けて、クーリングタワーと熱交換器7との間で冷却水を循環させればよい。
【0025】
制御手段12は、温度センサや水位検出器の検出信号や、経過時間などに基づき、前記各手段を制御する制御器34である。具体的には、給水弁14、排水弁16、加圧弁18、排気弁20、循環ポンプ23、給蒸弁25、冷却水送り弁28、冷却水戻し弁29、ドレン排出弁31の他、温度センサや水位検出器などは、制御器34に接続されている。そして、制御器34は、以下に述べるように、所定の手順(プログラム)に従い、処理槽2内の被処理物の加熱殺菌やその後の冷却などを行う。
【0026】
典型的には、処理槽2内に被処理物を収容した状態で、処理槽2内への給水工程、処理槽2内を殺菌温度まで昇温する移行工程、被処理物を加熱殺菌する殺菌工程、加熱殺菌後の被処理物を冷却する冷却工程、処理槽2内からの排水工程を順次に実行する。
【0027】
給水工程では、給水手段3により処理槽2内に給水して、処理槽2内に所望量の水を貯留する。処理槽2内に所望量の水が貯留されたことは、水位検出器により検出できる。
【0028】
移行工程では、循環手段8により処理槽2と熱交換器7との間で水を循環させながら、その循環水を熱交換器7において給蒸手段9により加熱して、処理槽2内の温度を上昇させる。移行工程の開始から移行時間経過するか、処理槽2内が殺菌温度まで上昇すると、移行工程を終了する。
【0029】
殺菌工程では、循環手段8により処理槽2と熱交換器7との間で水を循環させながら、給蒸手段9による熱交換器7への蒸気供給を制御して、処理槽2内を殺菌温度に維持し、これにより処理槽2内の被処理物を加熱して殺菌する。処理槽2内が殺菌温度以上で殺菌時間経過すると、給蒸手段9による熱交換器7への蒸気供給を停止して、殺菌工程を終了する。
【0030】
ところで、被処理物が加熱により膨張して包装(レトルトパウチなど)が破裂するのを防止するために、移行工程では処理槽2内が徐々に加圧され、殺菌工程では、処理槽2内が設定圧力(図2でいう処理槽内圧力)に保持される。つまり、殺菌工程では、加圧手段5と排気手段6とを制御して、処理槽2内を、大気圧を超える設定圧力(処理槽内温度相当の飽和蒸気圧力よりもやや高圧)に維持される。
【0031】
冷却工程では、循環手段8により処理槽2と熱交換器7との間で水を循環させながら、冷却手段10により熱交換器7に冷却水を通水して循環水を冷却し、これにより処理槽2内の被処理物を冷却する。冷却工程の開始から冷却時間経過するか、処理槽2内の温度が冷却温度よりも下がるか、冷却温度よりも下がってから所定時間経過すると、冷却手段10による熱交換器7への冷却水供給を停止して、冷却工程を終了する。
【0032】
排水工程では、排水手段4により処理槽2内からの排水を図る。その後、排気手段6により処理槽2内を大気圧に戻した後、処理槽2の扉を開けて、処理槽2内から被処理物を取り出すことができる。
【0033】
ところで、殺菌装置1は、被処理物などにより運転パターンが異なる。たとえば、上述の運転例において、移行時間、殺菌温度、殺菌時間、処理槽内圧力、冷却時間および冷却温度などは、被処理物などにより異なる場合がある。
【0034】
そこで、本実施例の殺菌装置1では、運転パターンの設定や運転指示などを行うための制御パネル35を備える。この制御パネル35は、タッチスクリーン36、操作ボタン37およびカードリーダ38などを備える。
【0035】
タッチスクリーン36は、本実施例では、運転パターンを設定するための設定器39として機能する。また、操作ボタン37は、運転の開始や停止を指示する。カードリーダ38は、後述するカード40の情報を読み取る。
【0036】
設定器39やカードリーダ38などは、制御器34に接続されており、制御器34は、設定器39および/またはカードリーダ38による設定内容に基づき前記各手段を制御して、被処理物の加熱殺菌やその後の冷却などを実行する。なお、タッチスクリーン36の表示画面のデータや、殺菌装置1の動作用プログラムなどは、情報記憶部41に記憶されている。
【0037】
図2は、本実施例の殺菌装置1に用いられるカード40の一例を示す概略図である。この図に示すように、カード40は、運転パターンごとに作成され、運転パターンに関する情報が記録されている。カード40は、本実施例では、磁気ストライプに情報を記録できる磁気カードであるが、磁気カードに限らず、たとえばICカードなどでもよい。
【0038】
カード40には、運転パターンに関する情報、より具体的には、ここでは運転内容が記録されている。運転内容としては、たとえば、殺菌工程や冷却工程における制御パラメータが含まれる。通常、殺菌条件および/または冷却条件に関する情報であり、典型的には、殺菌温度、殺菌時間および冷却時間の情報が含まれる。本実施例では、図2に示すように、移行時間、殺菌温度、殺菌時間、処理槽内圧力および冷却時間の情報が、磁気カードの磁気ストライプに記録されている。但し、これは一例であり、一部の情報を削除したり、逆に、他の情報(たとえば冷却温度の情報)を追加したりしてもよい。
【0039】
このような構成の場合、ユーザは、運転したい運転パターンが記録されたカード40を選択して、そのカード40をカードリーダ38に挿入するなどすればよい。これにより、カードリーダ38において、カード40に記録された運転パターンが読み出され、制御器34は、その読み出した運転パターンで殺菌装置1を運転する。
【0040】
あるいは、カード40だけでなく、設定器39でも運転パターンを設定して、ダブルチェックを行ってもよい。つまり、タッチスクリーン36などの設定器39を操作して、運転パターンの設定を受け付けると共に、そのようにして設定器39により設定された運転パターンと、カードリーダ38により読み出された運転パターンとが合致する場合にのみ、その運転パターンで運転してもよい。なお、設定器39における運転パターンの設定は、ユーザが、たとえばタッチスクリーン36上で、殺菌温度、殺菌時間および冷却時間などの運転内容を入力または選択してなされる。
【0041】
ところで、カード40には、運転パターンとして、運転内容ではなくその識別情報だけを記録しておいてもよい。その場合、情報記憶部41には、複数種の運転パターンそれぞれについて、運転パターンの識別情報(図2のパターン名などのID)と運転内容とを対応づけて、予め記憶されている。そして、制御器34は、カードリーダ38でカード40から識別情報を読み取り、その識別情報に基づき情報記憶部41から対応する運転パターンの運転内容を取得して、その運転内容に基づき運転する。この場合も、設定器39による設定とのダブルチェック後に運転可能としてもよい。
【0042】
また、図2では、実際にはカード40の情報記録部に記録された内容を、説明の便宜上、カード表面に記載しているが、カード40には、運転パターンをカードリーダ38で読取可能に記録する他、カード表面に運転内容を視認可能に記載しておいてもよい。たとえば、図2で表示されたとおり、殺菌温度、殺菌時間、処理槽内圧力および冷却時間などの運転内容を、カード表面に記載しておけばよい。このように構成すれば、そのカード40で設定される運転内容を容易に把握することができる。この際、運転内容は、カード40の表面に直接に記載するのではなく、運転内容を記載したシールを貼ってもよい。その他、運転内容に応じて、カード40を色分けしてもよい。
【0043】
図3は、本発明の殺菌システム42の一実施例を示す概略図である。この殺菌システム42は、前記実施例の殺菌装置1を複数台備える。各殺菌装置1の構成は、前記実施例(変形例を含む)と同一であるため、説明は省略する。
【0044】
このような殺菌システム42の場合、運転パターンごとのカード40は、それぞれ殺菌装置1の台数分だけ用意される。これにより、殺菌装置1が複数台あっても、個々の殺菌装置1への運転パターンの設定を、容易に且つ正確に行うことができる。また、複数の殺菌装置1で同一の運転パターンを走らせることも、容易に且つ正確に行うことができる。
【0045】
本発明の殺菌装置1および殺菌システム42は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。特に、殺菌装置1の具体的構成は、図1に示した構成に限らない。たとえば、図1の殺菌装置1では、処理槽2内の貯留水を熱交換器7との間で循環させて、その循環水を熱交換器7において加熱または冷却したが、熱交換器7による加熱や冷却に代えて(つまり熱交換器7の設置を省略して)、循環手段8による循環路22や処理槽2内に直接に蒸気を吹き込んで、被処理物を殺菌する構成の殺菌装置1にも適用できる。また、前記実施例では、被処理物が浸漬されない程度まで処理槽2内に水を貯留するが、被処理物を水没させて被処理物を殺菌する殺菌装置にも適用できる。これらの殺菌装置1の場合、殺菌後の冷却工程では、処理槽2内の熱水を冷却水(給水手段3による給水)に入れ替えて行われる。
【0046】
いずれにしても、殺菌装置1は、典型的には、処理槽2内への給水手段3と、処理槽2内からの排水手段4と、被処理物または処理槽2内の貯留水もしくは循環水の加熱手段(前記実施例では給蒸手段9)と、処理槽2内の加圧手段5と、処理槽2内からの排気手段6を備え、処理槽2内に被処理物を収容して加熱殺菌する殺菌工程と、被処理物を冷却する冷却工程とを実行する。そして、運転パターンとして、たとえば、殺菌工程における殺菌温度と殺菌時間、および冷却工程における冷却時間などの情報が含まれる。なお、加熱手段は、前記実施例のように給蒸手段9でもよいし、電気ヒータなどでもよい。
【0047】
また、前記実施例では、カード40は、磁気カードから構成したが、カード40の種類は特に問わず、たとえばICカードとしてもよい。あるいは、バーコードまたはQRコード(登録商標)が印刷されたカードでもよい。その場合、カードリーダ38は、バーコードリーダとされる。
【0048】
さらに、前記実施例において、カードリーダ38をカードリーダライタとするなど、制御パネル35はカードライタを備えてもよい。そして、運転パターンが記録されていないカード(ブランクカード)に、ユーザが設定器39で入力した内容をカードライタにて書き込みできるようにしておく。これにより、ユーザは、オリジナルの運転パターンのカード40を容易に作成することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 殺菌装置
2 処理槽
3 給水手段
4 排水手段
5 加圧手段
6 排気手段
7 熱交換器
8 循環手段
9 給蒸手段
10 冷却手段
11 ドレン排出手段
12 制御手段
34 制御器
35 制御パネル
36 タッチスクリーン
38 カードリーダ
39 設定器
40 カード
41 情報記憶部(情報記憶手段)
42 殺菌システム
図1
図2
図3