特許第6187792号(P6187792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6187792-靴下 図000002
  • 特許6187792-靴下 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6187792
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】靴下
(51)【国際特許分類】
   A41B 11/00 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   A41B11/00 D
   A41B11/00 G
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-166520(P2016-166520)
(22)【出願日】2016年8月29日
【審査請求日】2016年9月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513220388
【氏名又は名称】有限会社みらいサポート
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】今井一彰
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−76175(JP,A)
【文献】 実開平5−22504(JP,U)
【文献】 特開2010−246601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 11/00 − 11/14
A61F 13/06
A61F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FTYと綿糸の組み合わせで形成され、前記FTYを引き延ばした状態で編み込まれていることにより着用者の第2指〜第5指の足指のPIP関節を伸ばす方向に12.5cN以上の圧力を加える先縫い部を備えることを特徴とする靴下。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の靴下が知られている。例えば、横編機により無縫製で筒状に編成された指
【0003】
袋を有する靴下であって、指袋の少なくとも親指を挿入する第一指指袋または人差指を挿入する第二指指袋は、指の長さ方向への伸縮率が大きい編組織で編成された部分を有し、指の長さ方向への伸縮率が大きい編組織の部分がガーター編、または、リンクス編で形成され、指袋の指股部近くにおいて、帯状に全周に亘って形成されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−63699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
足指を伸展させることで、足指の変形に対する矯正効果が期待できることに着目した。
足指が矯正できると、足裏のバランスが向上し、姿勢を良くする等、理想姿勢に近づけることができる。
1つの側面では、本発明は、足指を伸展させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、開示の靴下が提供される。この靴下は、伸縮性のある糸で形成され、糸が引き延ばした状態で編み込まれていることにより着用者の足指を伸ばす方向に圧力を加える先縫い部を有している。
【発明の効果】
【0007】
1態様では、足指を伸展させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態の靴下を示す図である。
図2】圧力の測定結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態の靴下を、図面を参照して詳細に説明する。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の靴下を示す図である。
第1の実施の形態の靴下1は、口ゴム部1aと、レッグ部1bと、インステップ部1cと、フット部1dと、先縫い部1eとを備えている。
靴下1は、プレーン編みで作成されている。
【0010】
靴下1の糸の種類は、例えば綿糸40/2、FTY(フィラメント・ツイストヤーン)70/70号、およびゴム糸6900番を用いている。但し、先縫い部1e1はゴム糸を用いず、FTYと綿糸の組み合わせで作成されている。
【0011】
この靴下1は、伸縮性のある糸で先縫い部1eが編み込まれている。また、ある程度の糸を引き延ばした状態で先縫い部1eを編み込んでいくことで、糸の戻りが強く、その戻りの強さにおいて靴下1は、着用者の足指の関節(DIP(Distal InterPhalangeal joint)関節(第1関節)、およびPIP(Proximal InterPhalangeal joint)関節(第2関節))を伸展させる方向に圧力をかけることができる。これにより、屈み指等の足指の変形に対する矯正効果が期待できる。
靴下1のサイズは特に限定されないが、例えば以下の通りである。
<Sサイズの靴下>
【0012】
1コース(編み目)〜20コースは、口ゴム部1aである。すなわち、口ゴム部1aのコース数は20であり、ゴム糸の張力は25gである。21〜168コースは、レッグ部1bである。すなわち、レッグ部1bのコース数は148であり、ゴム糸の張力はインステップ部1cに近づくにつれて段階的に張力が弱くなる。具体的には21コース目の張力は25gであり、168コース目の張力は12gである。
【0013】
169〜190コースは、インステップ部1cである。すなわち、インステップ部1cのコース数は22であり、ゴム糸の張力は14gである。フット部1dのコース数は50であり、ゴム糸の張力は25gである。
先縫い部1eの形状は5本指が収納できるようになっている。
【0014】
親指部1e1のコース数は40であり、人差し指部1e2のコース数は36であり、中指部1e3のコース数は32であり、薬指部1e4のコース数は28であり、小指部1e5のコース数は30である。
【0015】
小指部1e5のコース数が薬指部1e4のコース数よりも大きく(長く)なっているが、靴下1を編む順番が親指部1e1、人差し指部1e2、中指部1e3、薬指部1e4、フット部1d、小指部1e5となっている。小指部1e1は、他の4つの指部よりも1段下から編み込みを開始する。このため、小指部1e1のコース数が薬指部1e4のコース数よりも大きくなる。
<Lサイズの靴下>
【0016】
1コース(編み目)〜20コースは、口ゴム部1aである。すなわち、口ゴム部1aのコース数は20であり、ゴム糸の張力は25gである。21〜189コースは、レッグ部1bである。すなわち、レッグ部1bのコース数は169であり、ゴム糸の張力はインステップ部1cに近づくにつれて段階的に張力が弱くなる。具体的には21コース目の張力は25gであり、168コース目の張力は12gである。
【0017】
190〜210コースは、インステップ部1cである。すなわち、インステップ部1cのコース数は21であり、ゴム糸の張力は14gである。フット部1dのコース数は66であり、ゴム糸の張力は25gである。
【0018】
親指部1e1のコース数は44であり、人差し指部1e2のコース数は40であり、中指部1e3のコース数は36であり、薬指部1e4のコース数は32であり、小指部1e5のコース数は34である。
<具体例>
次に、靴下1の足指の測定方法を、具体例を用いて説明する。
【0019】
被験者12名を対象に足指のPIP関節を固定し、テンションゲージにて親指を除く第2指〜第5指の足指の先端を押しながら、PIP関節が動き始める圧力を測定した。
図2は、圧力の測定結果を説明する図である。
平均値(AVG)は小数点以下1桁を切り捨てている。
第2指〜第5指は平均12.5cN(センチニュートン)にてPIP関節が動き始めた。ここで、1cN/m=0.01N/m=0.001kgf/cmである。


【0020】
つまり、DIP関節やPIP関節には、平均で12.5gf/cmの圧力を加えることにより、足指を伸ばすことができるということが結論づけられる。なお、加える圧力の上限については特に限定されないが、例えば19gf/cmである。好ましくは、14gf/cm〜16gf/cmである。
以上を踏まえて、測定を行った。
足指の測定には圧測定器を使用した。足指のPIP関節の周囲計を計測し、その周囲計に合わせた足指のモデル型を作成した。
被験者のPIP関節の周囲計の平均は、第2指4.74cm、第3指4.44cm、第4指4.34cm、第5指4.5cmであった。
【0021】
市販されている5本指の機能性靴下3種と、上記製法にて作成した靴下1をモデル型にそれぞれ履かせて、足指の第2指〜5指(人差し指〜小指)のDIP関節とPIP関節を伸展させる圧力を測定し比較した。
<測定結果>
比較例1:4gf/cm
比較例2:3gf/cm
比較例3:4gf/cm
靴下1:19gf/cm
ここで、比較例1〜比較例3は、市販されている機能性靴下である。
<考察>
【0022】
測定結果に示すように、市販されている機能性5本指靴下では足指のPIP関節を伸展させる力は非常に弱く、ハンマートゥなどの変形に対しての矯正効果は期待できない。それに対し靴下1は、足指のPIP関節を伸展させる力を持ち合わせており、屈み指等の足指の変形に対する矯正効果が期待できる。
【0023】
以上、本発明の靴下を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1a 口ゴム部
1b レッグ部
1c インステップ部
1d フット部
1e 先縫い部
1e1 親指部
1e2 人差し指部
1e3 中指部
1e4 薬指部
1e5 小指部
【要約】
【課題】足指を伸展させること。
【解決手段】靴下1は、伸縮性のある糸で形成され、糸が引き延ばした状態で編み込まれていることにより着用者の足指を伸ばす方向に圧力を加える先縫い部1eを備える。
【選択図】図1
図1
図2