【実施例】
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
(実施例1:ポリフェノールを用いた米飯の製造と臭気の測定)
精白米20gを計量し、特に研ぐことなく開閉可能な容器に入れた。次いで、0.45重量%のグルコン酸水溶液28gを添加し、かつ試験薬剤として小豆抽出物(主成分:ルチン)を添加したグルコン酸水溶液の重量を基準として0.001w/w%となるように添加し、容器の口を閉じて当該水溶液に精白米を1時間浸漬した。その後、容器の口を開き、当該容器の上にさらしを被せ、100℃にて20分間、蒸し加熱を行った。
【0038】
なお、上記試験薬剤の抽出物は、対象の乾燥植物体を所定の大きさにまで粉砕し、その粉砕物にその重量の10倍に相当する量の水を添加し、80℃にて2時間加熱かつ撹拌し、濾過により得られた濾液を減圧下で濃縮した後、凍結乾燥することにより得られたものであった(この抽出操作は、後述する焙煎米糠抽出物を除く、本明細書における各実施例で使用した試験薬剤の植物抽出物のすべてについて同様に行って、所定の植物抽出物を得た)。
【0039】
次いで、室温で放冷した後、容器を再び密封し、当該容器を35℃で1カ月間保管した。
【0040】
(GC−MSによる不快臭の分析)
保管期間の経過後、直ちに容器を開封し、保管した米飯8gをバイアルにサンプリングし、ヘッドスペース(HS)をトラップサンプラー(PerkinElmaer社製HSトラップサンプラー:Turbo Matrix Trap40)で濃縮した後、GC−MS装置(PerkinElmer社製ガスクロマトグラフ質量分析装置Clarus SQ 8 GC/MS)に供し、得られたクロマトグラムよりヘキサナールのピーク面積値を指標として測定した。当該ピーク面積値は、後述する比較例1で得られた面積値を100%とした際の%として算出した。
【0041】
なお、このGC−MS装置におけるその他分析条件は以下の通りであった:
<トラップ条件>
温度: オーブン60℃、ニードル120℃、トランスファー105℃、トラップ(high)240℃、トラップ(low)40℃
時間: 加熱20分間、サイクル4回、脱着1分間、ホールド7分間
<カラム>
TC−WAX(ジーエルサイエンス株式会社製)60mm×0.25mm×0.25μm
<カラム昇温条件>
40℃(2分間)、毎分5℃で230℃まで昇温し、その後230℃(10分間)
【0042】
(不快臭の官能評価)
上記35℃にて1カ月間保管した米飯を、容器に入れたまま電子レンジ(1500W)で15秒加熱した後、食品試験における専門家1名により容器内の米飯の臭気について以下の4段階の評価基準に則して評価した:
A:不快臭をほとんど感じず、米飯製品として良好であると判断した。
B:不快臭をわずかに感じたが、米飯製品として懸念すべきものではないと判断した。
C:不快臭を少々感じ、米飯製品として幾分懸念すべきものと判断した。
D:不快臭を強く感じ、米飯製品としては明らかに懸念すべきものと判断した。
【0043】
得られた結果を表1に示す。
【0044】
(比較例1)
試験薬剤を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして米飯を作製し、35℃にて1カ月保管後の米飯のGC−MS分析および官能評価を行った。他の結果との比較のため、得られた結果を表1〜5に重複して示す。
【0045】
(参考例1および2)
実施例1の試験薬剤に代えて、表1に記載のR−EX(奥野製薬工業株式会社製焙煎米糠抽出物)を試験薬剤として用い、表1に記載の各含有量にて使用したこと以外は、実施例1と同様にして米飯を作製し、35℃にて1カ月保管後の米飯のGC−MS分析および官能評価を行った。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
【0046】
(実施例2〜10)
実施例1の試験薬剤に代えて、表1のそれぞれに記載の試験薬剤を当該表1に記載の含有量にて使用したこと以外は、実施例1と同様にして米飯を作製し、35℃にて1カ月保管後の米飯のGC−MS分析および官能評価を行った。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示すように、実施例1〜10のそれぞれで得られた米飯は、比較例1の米飯と比較して不快臭が低減されていた。特に、フラボノイド系ポリフェノールで構成される実施例1〜8の結果では、GC−MSおよび官能評価のいずれにおいても比較例1の結果を比較して、著しく不快臭の発生が抑制されており、米飯の長期保存性が高められていたことがわかる。また、試験薬剤の濃度を高くするほど、不快臭の発生が有効に抑えられていた。さらに、試験薬剤として焙煎米糠抽出物単独を使用した場合(参考例1および2)についても、GC−MSおよび官能評価の結果は、比較例1のものと比較して、不快臭の発生が抑制されており、このような場合においても米飯の長期保存性が高められていたことがわかる。
【0049】
(実施例11〜14:小豆抽出物および焙煎米糠抽出物を用いた米飯の製造と臭気の測定)
実施例1の試験薬剤に代えて、小豆抽出物(上記実施例で調製したもの)およびR−EX(奥野製薬工業株式会社製焙煎米糠抽出物)をそれぞれ表2に記載の含有量にて使用したこと以外は、実施例1と同様にして米飯を作製し、35℃にて1カ月保管後の米飯のGC−MS分析および官能評価を行った。得られた結果を表2にそれぞれ示す。
【0050】
(実施例15:小豆抽出物を用いた米飯の製造と臭気の測定)
上記実施例11〜14との比較のために、実施例1の試験薬剤に代えて、小豆抽出物(上記実施例で調製したもの)を表2に記載の含有量にて使用したこと以外は、実施例1と同様にして米飯を作製し、35℃にて1カ月保管後の米飯のGC−MS分析および官能評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0051】
(参考例3:焙煎米糠抽出物を用いた米飯の製造と臭気の測定)
実施例1の試験薬剤に代えて、R−EX(奥野製薬工業株式会社製焙煎米糠抽出物)を表2〜6に記載の含有量にて使用したこと以外は、実施例1と同様にして米飯を作製し、35℃にて1カ月保管後の米飯のGC−MS分析および官能評価を行った。得られた結果を表2〜6に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
表2に示すように、実施例11〜14のそれぞれで得られた米飯は、比較例1の米飯と比較して不快臭が低減され、試験薬剤として小豆抽出物単独を用いた実施例15および焙煎米糠抽出物を用いた参考例3の結果と比較しても不快臭がさらに低減されていた。すなわち、小豆抽出物と焙煎米糠抽出物との併用によって、小豆抽出物または焙煎米糠抽出物のいずれか単独を用いた場合より、米飯の長期保管に伴う不快臭の発生がさらに抑制されることがわかる。
【0054】
(実施例16〜19:ルイボス茶抽出物および焙煎米糠抽出物を用いた米飯の製造と臭気の測定)
実施例1の試験薬剤に代えて、ルイボス茶抽出物(上記実施例で調製したもの)およびR−EX(奥野製薬工業株式会社製焙煎米糠抽出物)をそれぞれ表3に記載の含有量にて使用したこと以外は、実施例1と同様にして米飯を作製し、35℃にて1カ月保管後の米飯のGC−MS分析および官能評価を行った。得られた結果を表3にそれぞれ示す。
【0055】
(実施例20:ルイボス茶抽出物を用いた米飯の製造と臭気の測定)
上記実施例16〜19との比較のために、実施例1の試験薬剤に代えて、ルイボス茶抽出物(上記実施例で調製したもの)を表3に記載の含有量にて使用したこと以外は、実施例1と同様にして米飯を作製し、35℃にて1カ月保管後の米飯のGC−MS分析および官能評価を行った。得られた結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
表3に示すように、実施例16〜19のそれぞれで得られた米飯は、比較例1の米飯と比較して不快臭が低減され、試験薬剤としてルイボス茶抽出物単独を用いた実施例20および焙煎米糠抽出物を用いた参考例3の結果と比較しても不快臭がさらに低減されていた。すなわち、ルイボス茶抽出物と焙煎米糠抽出物との併用によって、ルイボス茶抽出物または焙煎米糠抽出物のいずれか単独を用いた場合より、米飯の長期保管に伴う不快臭の発生がさらに抑制されることがわかる。
【0058】
(実施例21〜24:タマネギ外皮および焙煎米糠抽出物を用いた米飯の製造と臭気の測定)
実施例1の試験薬剤に代えて、タマネギ外皮抽出物(上記実施例で調製したもの)およびR−EX(奥野製薬工業株式会社製焙煎米糠抽出物)をそれぞれ表4に記載の含有量にて使用したこと以外は、実施例1と同様にして米飯を作製し、35℃にて1カ月保管後の米飯のGC−MS分析および官能評価を行った。得られた結果を表4にそれぞれ示す。
【0059】
(実施例25:タマネギ外皮抽出物を用いた米飯の製造と臭気の測定)
上記実施例21〜24との比較のために、実施例1の試験薬剤に代えて、タマネギ外皮抽出物(上記実施例で調製したもの)を表4に記載の含有量にて使用したこと以外は、実施例1と同様にして米飯を作製し、35℃にて1カ月保管後の米飯のGC−MS分析および官能評価を行った。得られた結果を表4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】
表4に示すように、実施例21〜24のそれぞれで得られた米飯は、比較例1の米飯と比較して不快臭が低減され、試験薬剤としてタマネギ外皮抽出物単独を用いた実施例25および焙煎米糠抽出物を用いた参考例3の結果と比較しても不快臭がさらに低減されていた。すなわち、タマネギ外皮抽出物と焙煎米糠抽出物との併用によって、タマネギ外皮抽出物または焙煎米糠抽出物のいずれか単独を用いた場合より、米飯の長期保管に伴う不快臭の発生がさらに抑制されることがわかる。
【0062】
(実施例26〜29:シソ葉抽出物および焙煎米糠抽出物を用いた米飯の製造と臭気の測定)
実施例1の試験薬剤に代えて、シソ葉抽出物(上記実施例で調製したもの)およびR−EX(奥野製薬工業株式会社製焙煎米糠抽出物)をそれぞれ表5に記載の含有量にて使用したこと以外は、実施例1と同様にして米飯を作製し、35℃にて1カ月保管後の米飯のGC−MS分析および官能評価を行った。得られた結果を表5にそれぞれ示す。
【0063】
(実施例30:シソ葉抽出物を用いた米飯の製造と臭気の測定)
上記実施例26〜29との比較のために、実施例1の試験薬剤に代えて、タマネギ外皮抽出物(上記実施例で調製したもの)を表5に記載の含有量にて使用したこと以外は、実施例1と同様にして米飯を作製し、35℃にて1カ月保管後の米飯のGC−MS分析および官能評価を行った。得られた結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
【0065】
表5に示すように、実施例26〜29のそれぞれで得られた米飯は、比較例1の米飯と比較して不快臭が低減され、試験薬剤としてシソ葉抽出物単独を用いた実施例30および焙煎米糠抽出物を用いた参考例3の結果と比較しても不快臭がさらに低減されていた。すなわち、シソ葉抽出物と焙煎米糠抽出物との併用によって、シソ葉抽出物または焙煎米糠抽出物のいずれか単独を用いた場合より、米飯の長期保管に伴う不快臭の発生がさらに抑制されることがわかる。