特許第6187838号(P6187838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187838
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】7重切断用のクランプシステム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20170821BHJP
   B25B 1/24 20060101ALI20170821BHJP
   B23D 47/04 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B23Q3/06 304C
   B25B1/24 A
   B23D47/04 F
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-505762(P2016-505762)
(86)(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公表番号】特表2016-520437(P2016-520437A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】EP2014056005
(87)【国際公開番号】WO2014166737
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2016年1月8日
(31)【優先権主張番号】102013103486.1
(32)【優先日】2013年4月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509197346
【氏名又は名称】ラットゥーンド アンド シーオー ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ラットゥーンド,ウルリッヒ
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−225819(JP,A)
【文献】 実開平06−024863(JP,U)
【文献】 米国特許第4475607(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0318300(EP,A2)
【文献】 米国特許第03877690(US,A)
【文献】 米国特許第6128976(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06,
B25B 1/24,
B23D 45/00−59/04,21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向(L)に揃えられ、長手方向(L)に対して垂直な断面が束の形に並置されており、長手方向(L)に対して垂直な断面が全て円形であり、長手方向(L)に対して垂直な断面のそれぞれの直径の差が0.2mm以内である7本の縦長異形材(1、2、3、4、5、6、7)を回転しないように固定するクランプ装置であり、一方のクランピングジョー(11)と他方のクランピングジョー(12)とを備え、これらのクランピングジョーは互いに移動して開閉動作を行うことができ、前記一方のクランピングジョー(11)には、前記長手方向(L)に対し横方向へ少なくとも部分的に前記一方のクランピングジョー(11)に対して移動可能な底面側の接触面(13c)を有する一方の固定部(13)が、7本のうち2本の前記縦長異形材(2、3)のために設けられており、前記他方のクランピングジョー(12)には、7本のうち他の4本の前記縦長異形材(1、4、5、6)に接触する他方の固定部(14)が設けられている、クランプ装置。
【請求項2】
前記一方の固定部(13)及び前記他方の固定部(14)は、前記長手方向(L)に対して垂直な断面が、それぞれの前記クランピングジョー(11、12)の中に窪み状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記一方の固定部(13)及び/又は前記他方の固定部(14)は、断面が角柱に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記移動可能な接触面(13c)が、前記一方の固定部(13)の中に少なくとも1つのスプリングエレメント(40、41)を有していることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載のクランプ装置。
【請求項5】
前記一方のクランピングジョー(11)の中に2つの弾性エレメント(40、41)が設けられており、前記弾性エレメント(40、41)の間には、前記一方の残りのクランピングジョー(11)に対する、前記底面側の接触面(13c)の位置固定領域(42)が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載のクランプ装置。
【請求項6】
長手方向(L)に配置された回転軸(D)を中心に回転可能に支持されているとともに、傾斜可能な接触面(13c)を有している補正ピース(30)を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のクランプ装置。
【請求項7】
前記他方の固定部(14)が、60°よりも大きい角度で互いに接近する2つの他方の側面の接触面(14a、14b)を有していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のクランプ装置。
【請求項8】
7本の縦長異形材(1、2、3、4、5、6、7)が前記クランプ装置(10)の中に配置され、中心の縦長異形材(7)が6本の縦長異形材(1、2、3、4、5、6)によって環状に取り囲まれており、前記傾斜可能な底面側の接触面(13c)に接している2本の縦長異形材(2、3)は、前記クランプ装置(10)が締付け状態にあっても互いに接触していないことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のクランプ装置。
【請求項9】
締付け状態において、前記中心の縦長異形材(7)が、前記傾斜可能な底面側の接触面(13c)に接する前記2つの縦長異形材(2、3)に接触し、前記他方の底面側の接触面(14c)に隣り合う前記2本の縦長異形材(5、6)に接触し、締め付け状態の前記クランピングジョー(11、12)の間にある空隙(15)に沿って通る前記2つの縦長異形材(1、4)には接触していないことを特徴とする、請求項8に記載のクランプ装置。
【請求項10】
前記一方の固定部(13)が前記補正ピース(30)を備えており、前記一方の固定部(13)が、締付け状態において前記縦長異形材(1、2、3、4、5、6、7)のいずれとも接触しない側面の接触面(13a、13b)を有していることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のクランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に揃えて並置した7本の縦長異形材用のクランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縦長異形材、詳細には金属製縦長異形材又は金属パイプの長さ指定切断を行うには、高精度の切断を実現するために、縦長異形材を切断プロセス中に固定する必要がある。4重切断の場合、同時に4本のパイプをクランプシステムを用いて固定することが知られている。最新のパイプ加工機械は、1時間に約11,000本のパイプを4重切断によって切断することが可能である。
【0003】
左右対称の固定部を持つ周知のクランプ装置における問題点は、7重切断用に拡張することが容易にはできないことである。なぜなら、パイプには必ず0.1〜0.2mmの範囲で直径に変動があり、また正確な円形から逸脱しているため、単純な六角締め、すなわち断面が正確に六角形の固定部では、7本のうちの一本又は複数のパイプが固定されずに、切断時に一緒に回転するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、長さ指定切断を行うために長手方向に並置された7本の縦長異形材を回転しないように固定できる、冒頭に述べたクランプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、一方のクランピングジョーと他方のクランピングジョーとを備える、冒頭に述べたクランプ装置によって解決され、これらのクランピングジョーは互いに移動して開閉動作を行うことができ、一方のクランピングジョーには、長手方向に対し横方向へ少なくとも部分的に一方のクランピングジョーに対して移動可能な底面側の接触面を有する一方の固定部が、7本のうち2本の縦長異形材のために設けられており、他方のクランピングジョーには、7本のうち他の4本の縦長異形材に接触する他方の固定部が設けられている。
【0006】
移動可能な接触面は、さまざまなやり方で実施されていてよい。移動可能な接触面は、その全体が一方のクランピングジョーに対して可動であってよいが、接触面の1つ、2つ又は多数の領域ないし部分が一方のクランピングジョーに対して可動であってもよい。また、この接触面は、長手方向に対して横方向に、好ましくは垂直に作用する少なくとも1つの弾性エレメントを有していてもよい。もう1つの実施形態では、接触面が長手方向に対し横方向に傾斜又は回転することができる。この接触面は、本発明に基づき、一方の固定部の移動可能な底面側の接触面領域から、好ましくはそれに直接向かい合う他方の固定部の底面側の接触面領域までの距離が変更可能であることによって、好ましくは断面が円形の縦長異形材部分の外径変動を補正するように形成されている。
【0007】
一方のクランピングジョーに配置された、長手方向に対し横方向に少なくとも部分的に移動可能な接触面が、7本のうち2本の縦長異形材のために設けられており、他方のクランピングジョーに設けられた他方の固定部は、7本のうち他の4本の縦長異形材に接触するために設けられている。7本の縦長異形材は長手方向に揃えられ、長手方向に対して垂直な断面が束の形に並置されている。いくつかの縦長異形材同士は接触し、その他は接触していない。
【0008】
縦長異形材とは、詳細には金属製の縦長異形材であり、とくに金属パイプを意味している。
【0009】
本発明に基づき、7本の縦長異形材用の固定部は、正確で剛性の高い角柱の六角形とは異なっているため、同時に7本の縦長異形材を回転しないように固定することが可能となる。
【0010】
縦長異形材は、好ましくは長手方向に対して垂直な断面が全て円形である。断面が円形の異形材は、とくに一般に流通している。この場合、円形とは、約0.2mmの範囲で僅かな偏差があることも意味している。
【0011】
他方のクランピングジョーは、有利には7本のうち4本の縦長異形材に接触する他方の固定部を有し、これらの4本の縦長異形材は、締付け動作中に他方の固定部の他方の側面の接触面と接触している。
【0012】
好ましくは、一方の固定部及び有利には他方の固定部も、ほぼ角柱に形成されている。これにより、回転しない固定が改善される。
【0013】
本発明のとくに好ましい発展形態では、長手方向の回転軸を中心に回転可能に支持されている補正ピースが設けられており、この補正ピースは傾斜可能な接触面を有している。この傾斜可能な接触面は、同時に、好ましくはほぼ角柱の固定部の底面側の接触面も形成している。
【0014】
有利には、他方の固定部が、他方のクランピングジョーの締付け方向とは逆方向に60°よりも大きい角度で互いに接近する2つの他方の側面の接触面を有している。これにより、7本のパイプの直径変動が小さい場合でも、4本の縦長異形材は、常に、他方の側面の接触面に接している。
【0015】
好ましくは、7本の縦長異形材がクランプ装置の中に配置され、中心の縦長異形材が6本の縦長異形材によって環状に取り囲まれており、傾斜可能な接触面に接している2本の縦長異形材は、クランプ装置が締付け状態にあっても互いに接触していない。これにより、長手方向に対して垂直に配置されている横方向の断面において、閉じられた力の流れは形成されない。
【0016】
好ましくは、締付け状態において、中心の縦長異形材が、傾斜可能な底面側の接触面に接する2つの縦長異形材に接触し、他方の底面側の接触面に隣り合う2本の縦長異形材に接触し、締付け状態のクランピングジョーの間にある空隙に沿って通る2つの縦長異形材には接触していない。
【0017】
とくに有利には、一方の固定部が補正ピースを備えており、この一方の固定部が、締付け状態において縦長異形材のいずれとも接触しない側面の接触面を有している。
【0018】
本発明に基づく縦長異形材の配置により、縦長異形材を回転しないように固定することが可能になる。
【0019】
次に、14の図に示した2つの実施例に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1a】鋸刃を備えた、従来技術による4本パイプ用クランプ装置の斜視図である。
図1b図1aのクランプ装置の側面図である。
図2a】鋸刃を備えた、本発明に基づく第1の実施形態による7本パイプ用クランプ装置の斜視図である。
図2b図2aのクランプ装置の側面図である。
図3】7本のパイプとともに、パイプ1〜7が同じ直径を持つ場合の締付け力の方向が示された図2bの側面の詳細図である。
図4】パイプ1がパイプ2〜7よりも小さな直径を持つ場合の、図3に基づく図である。
図5】パイプ2がパイプ1及びパイプ3〜7よりも小さな直径を持つ場合の、図3に基づく図である。
図6】パイプ3がパイプ1、パイプ2、パイプ4〜7よりも小さな直径を持つ場合の、図3に基づく図である。
図7】パイプ4がパイプ1〜3及びパイプ5〜7よりも小さな直径を持つ場合の、図3に基づく図である。
図8】パイプ5がパイプ1〜4及びパイプ6、パイプ7よりも小さな直径を持つ場合の、図3に基づく図である。
図9】パイプ6がパイプ1〜5及びパイプ7よりも小さな直径を持つ場合の、図3に基づく図である。
図10】パイプ7がパイプ1〜6よりも小さな直径を持つ場合の、図3に基づく図である。
図11】本発明に基づくクランプ装置の第2の実施形態の斜視図である。
図12図11のクランプ装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1回の切断プロセスで同時に複数のパイプ1、2、3、4、5、6、7を切断すれば、パイプ切断機の生産性能を大幅に向上させることができる。
【0022】
図 1a及び1bは周知のクランプ装置10を示し、このクランプ装置を使って、長手方向Lに揃えて並置した4本のパイプ1、2、3、4を回転しないように同時に固定することが可能である。このクランプ装置は、それぞれ1つの漏斗型固定部13、14を備える2つのクランピングジョー11、12を有している。2つのクランピングジョー11、12は、互いに移動して開閉動作を行うことができる。パイプ1、2、3、4は、2つのクランピングジョー11、12にパイプ1、2、3、4の長手方向Lに対して垂直に形成された溝16の中に、鋸刃20を挿入することによって切断される。
【0023】
通常、4本のパイプ1、2、3、4は互いが正確に同じ直径を有しているわけではなく、また、パイプ1、2、3、4はそれぞれが正確に円形に形成されているわけでもない。図1a及び1bのクランプ装置10によって4本のパイプ1、2、3、4を回転しないように固定する場合、これらの2つの偏差は重要ではない。直径に差異がある場合又は長手方向Lに対して垂直な断面が正確な円形から逸脱している場合でも、4本のパイプ1、2、3、4は、互いに鏡面対称に形成された2つの漏斗型固定部13、14によって、常に、回転しないように同時に固定することができる。
【0024】
難しいのは、図2a、2bによる7本のパイプ1、2、3、4、5、6、7用のクランプ装置10に拡張した場合である。互いに左右対称に形成された固定部13、14を有するクランプ装置を7本のパイプ1、2、3、4、5、6、7に用いると、通常、パイプ1、2、3、4、5、6、7のいずれか1本(多くは中央のパイプ7)は、回転しないように固定されなくなってしまう。
【0025】
図2a、2bは、長手方向Lに対して垂直に設けられている締付け方向Sにそれぞれ往復移動可能な2つのクランピングジョー11、12を備える、7本のパイプ1、2、3、4、5、6、7用の第1の実施形態における本発明に基づくクランプ装置10を示しており、一方のクランピングジョー11は一方の固定部13を有し、他方のクランピングジョー12は他方の固定部14を有しており、両方の固定部13、14は正確に鏡面対称に設計されていない。一方のクランピングジョー11は、長手方向Lに配置された回転軸Dを中心に回転可能に支持されている補正ピース30を有している。
【0026】
図3は、一方のクランピングジョー11と他方のクランピングジョー12を備える、図2bで示した本発明に基づくクランプ装置10の側面拡大図である。両方のクランピングジョー11、12の間にある空隙15は、図3の締付け状態においても形成されている。両方のクランピングジョー11、12は接触するのではなく、空隙15によって完全に分離されている。
【0027】
図3に示されている7本のパイプは、正確に同じ直径の断面を相互に有している。第1のパイプ1と第4のパイプ4は直接空隙15に配置されており、第2のパイプ2と第3のパイプ3は移動可能な底面側の接触面13cに接触し、第5のパイプ5と第6のパイプ6は底面側の接触面14cに隣り合って配置されている。
【0028】
パイプ1、2、3、4、5、6、7は、この場合、全て正確な円形に形成されている。本発明に基づき、中心のパイプ7を環状に取り囲む6本のパイプ1、2、3、4、5、6に沿って、円形に閉じていない締付け力の流れが形成される。図3では、第2のパイプ2と第3のパイプ3は接触していない。図3及び以下の図でも、第1のパイプ1と第7のパイプ7、ならびに第4のパイプ4と第7のパイプは互いに接触していないため、それらの間で力の伝達は発生しない。
【0029】
他方の固定部14は、長手方向Lに対して垂直な断面が角柱形に形成されており、締付け力方向Qとは逆の方向に60°よりも大きい角度で互いに接近する2つの側面の接触面14a、14b、及びこの2つの他方の側面の接触面14a、14bの間に配置されている他方の底面側の接触面14cが設けられている。
【0030】
一方の固定部13は、その両側の接触面13a、13bの間に、クランピングジョー11に対して移動可能な底面の接触面13cを有している。一方の固定部13は、同様にほぼ角柱形に形成されており、間隙15から見て間隔が同じ場合、側面の接触面13a、13bの間隔は、2つの他方の側面の接触面14a、14bの間隔よりも大きい。
【0031】
移動可能な底面の接触面13cは、補正ピース30の回転軸Dに従って移動する。回転軸Dに対して垂直な断面において、移動可能な底面の接触面13cは、円形の補正ピース30から切り離されたセグメントピースの切断線と一致する。
【0032】
締付け方向Sに沿った、他方の側面の接触面14a、14bの高さは、第2及び第3のパイプ2、3に補正ピース30から加えられる締付け力Fが、第1のパイプ1又は第4のパイプ4を介して垂直に、他方の固定部14の他方の側面の接触面14a、14bのそれぞれに送られるように寸法が決められている。しかし、第1のパイプ1と第2のパイプ2ならびに第3のパイプ3と第4のパイプ4は、一方の固定部13の側面の接触面13a、13bには接触していない。従って、一方の固定部13の側面の接触面13a、13bは、実際の締付け動作には重要ではないが、締付けの直前と直後には、中心のパイプ7と共にほぼ環状に配置されている7本のパイプ1、2、3、4、5、6、7を保持する。締付け力Fが増加すると、パイプ1、2、3、4、5、6、7は、この配置から図3に示されている位置に自然に移動する。
【0033】
さらに、第5のパイプ5と第6のパイプ6は他方の固定部14の他方の底面側の接触面14cに接触しておらず、また第7のパイプ7と第1のパイプ1との間に接触はなく、同じく第7のパイプ7と第4のパイプ4との間にも接触はない。図3の矢印は、締め付けられた状態にある7本のパイプ1、2、3、4、5、6、7にかかる締付け力を示している。
【0034】
その他の図4〜10は、図3に示された7本のパイプ1、2、3、4、5、6、7の配置を示しているが、それぞれの図でパイプ1、2、3、4、5、6、7のうち1本を選択して、そのパイプの直径がその他のパイプ1、2、3、4、5、6、7よりも小さくなっており、その他のパイプは各図において互いに同じ直径を有している。
【0035】
図4図3のパイプ配置を示しているが、間隙15に隣接している第1のパイプ1は、パイプ2〜7よりも小さい直径を有している。この場合もパイプ1、2、3、4、5、6、7にかかる締付け力の流れが矢印によって示されており、移動可能な底面側の接触面13cに接触するパイプ2及び3は互いに接触していないため、相互の力の伝達は不可能であることが明らかである。さらに、他方の固定部14の他方の底面側の接触面14cに隣り合う第5のパイプ5と第6のパイプ6は、他方の底面側の接触面14cから少し離されている。図4は、7本のパイプ1、2、3、4、5、6、7のそれぞれが強く固定されていることを示している。
【0036】
図5は、第2のパイプ2の直径が小さい、7本のパイプ1、2、3、4、5、6、7の配置を示している。
【0037】
図4及び図5では、補正ピース30が、回転軸Dを中心に反時計回りにわずかな角度だけ傾斜している。
【0038】
同様に図6では、第3のパイプ3の直径が小さくなっている。図6では、補正ピース30が回転軸Dを中心に時計回りに多少傾斜しているのが分かる。
【0039】
全てのケースにおいて、補正ピース30の傾斜により、締付け力Fが、第2のパイプ2にも、第3のパイプ3にも確実に加えられる。
【0040】
図7は、第4のパイプ4の直径が小さい場合の配置を示している。ここでも、補正ピース30が回転軸Dを中心に時計回りに少し回転しており、このことは、補正ピース30が反時計回りに回転している図4の、いわば逆配置に相当する。
【0041】
図8及び9は、第5のパイプ5又は第6のパイプ6の直径が小さい場合の配置を示している。ここでも、補正ピース30がそれぞれ相応に傾斜しており、両方のケースにおいて、パイプ5、6のいずれも他方の固定部14の他方の底面側の接触面14cには直接接触していない。
【0042】
全てのケースにおいて、他方の固定部14の他方の側面の2つの接触面14a、14bの間の相対角度が60°よりも大きいことにより、中心のパイプ7は、空隙15に隣り合う2つのパイプ1及び4と接触しないことが保証されている。
【0043】
図10は、第7のパイプ7の直径が小さい場合の配置を示している。ここでも、第2のパイプ2と第3のパイプ3は接触していない。
【0044】
図11には、互いに並行に束の形に配置された7本の縦長異形材部分であり、好ましくは断面が円形の金属パイプ1、2、3、4、5、6、7に用いる本発明に基づくクランプ装置10の第2の実施形態を示している。図12によれば、第2の実施形態は、移動可能な接触面13cが、2つの弾性エレメント40、41を有している点が第1の実施形態とは異なっている。弾性エレメント40、41は、ワイヤーカット加工によってクランピングジョー11に一体形成されているスプリングトングの端部である。2つのスプリングトング40、41の端部は互いに向き合っており、底面側の接触面13cの位置固定領域42によって相互に離されている。スプリングエレメント40、41ならびに底面側の接触面13cの位置固定領域42が一緒になって、移動可能な底面側の接触面13cを形成している。固定部13の反対側を向くスプリングトング40、41の側面は、それぞれ、固定部13から突き出た突出部43の形でストロークリミッターを有している。突出部43とクランピングジョー11の壁との間には、この図では確認できない空隙15がある。2つのスプリングトング40、41は、回転可能に支持されている補正ピース30とは異なり、互いに独立して作用する従って、7本の縦長異形材部分1、2、3、4、5、6、7を回転しないように正確に固定することが可能となる。これら2つのスプリングエレメントは、一体形成でクランピングジョー11からワイヤーカットされた弾性トングの端部である。
【符号の説明】
【0045】
1 パイプ
2 パイプ
3 パイプ
4 パイプ
5 パイプ
6 パイプ
7 パイプ
10 クランプ装置
11 クランピングジョー
12 クランピングジョー
13 固定部
13a側面の接触面
13b側面の接触面
13c移動可能な/傾斜可能な底面側の接触面
14 固定部
14a側面の接触面
14b側面の接触面
14c底面側の接触面
15 空隙
16 溝
20 鋸刃
30 補正ピース
40 弾性/スプリングエレメント
41 弾性/スプリングエレメント
42 位置固定領域
43 突出部
D 回転軸
F 締付け力
L 長手方向
Q 締付け力の方向
S 締付け方向
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12