(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記逆円錐状パッキンは、さらにパッキン土台裏突起を有し、パッキン土台裏突起は前記パッキン土台の裏面に備えられ、筒形で、前記パッキン孔と連通する孔を有することを特徴とする請求項1または2に記載の水受け機能付き鉢台。
前記天板の裏面には、前記天板孔の周囲にリング状突起が設けられ、前記リング状突起は環状で、下側の先端が細くなった形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水受け機能付き鉢台。
【背景技術】
【0002】
一般的に、観葉植物を植えた鉢の下には鉢の植物に水やりをした際鉢底から出る廃水を受けるために皿が敷かれている。しかし、前記皿が廃水を受けることができる容量は基本的に小さく、廃水が前記皿からこぼれてしまう危険があるため植物への水やりが不十分となりやすい。特に大きな鉢においては水やりの水の量が多く、十分な水やりをするために鉢から出る廃水がこぼれてもよい場所(たとえば、屋外や浴室など)へ移動させることもあるが、鉢が重くなるので、前記皿から鉢を持ち上げ移動させることが困難である。また、前記皿の中に溜まった廃水や汚れを処理することが面倒である。
【0003】
また、美的効果の観点からも、前記皿の中に廃水が溜まりっぱなしになるのはみっともなく、また不衛生でもあるので前記皿の中に溜まった廃水を処理する必要があるが、水やりのたびに雑巾などを準備して廃水を処理することは面倒である。よって、往々にして前記皿の中に廃水が溜まったままになっている。
【0004】
そこで、特許文献1は、廃水を受けるための水回収トレーを有する水取付植木鉢置台(以降、鉢置台と称する)を提案している。特許文献1の鉢置台では、鉢を置くための部位(以降、部位Aと称する)が鉢底を覆う形態で、前記部位Aの中央には孔と、前記孔に対応して備えることのできる形態の漏斗型の受け皿が備えられ、水やりをした後に鉢底から出る廃水は漏斗型の受け皿を通って、前記漏斗型の受け皿の下に備えてある水回収トレーへと廃水が流れ落ちるというものである。
【0005】
また、特許文献2では、穴を有する鉢台と、台の下に設けられた防水加工された引き出しを備えた植木鉢台が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された鉢置台によれば、鉢が置かれるための前記部位Aの形態が鉢底の形態に対応したものでなければ漏水の危険があり、美的効果を失うという問題点がある。例えば、前記鉢置台の前記部位Aにおいて、前記部位Aの直径が鉢底の直径より小さければ、漏水する危険があり、逆に前記部位Aが鉢底の直径より大きすぎれば鉢が前記鉢置台に沈んだ形態となり、美的効果を失う。すなわち、使用できる鉢が限定的となってしまうという欠点がある。
【0008】
また、例えば、水回収用トレーに溜まった水を処理するために、前記水回収トレーを鉢置台から引き抜いたとき水受けが無い状態となるという問題点もある。
【0009】
そのため、特許文献1で開示された鉢が置かれる漏斗状となった天板を平の天板にして、前記天板に孔を備え、前記天板の下に水受引き出しを備えることで鉢底から出た廃水が前記天板の前記孔を通過し、そして前記天板下に備えてある前記水受引き出しが廃水を受ける構造に変えた鉢台(以降、この鉢台を鉢台Xと称する)としたとき、使用できる鉢の汎用性は高まるものの、さらに以下の問題が残る。
【0010】
上記鉢台Xの問題点について、
図15を用いて説明する。
図15は、筐体421と天板422からなる水受本体402の天板に天板孔425を設けて、前記天板の表面に鉢を置いた状態を示す断面図である。また廃水Wの流れを示す二点鎖線によって鉢底の鉢廃水孔から出た廃水の流れを図示している。
【0011】
図15が示すように、鉢の植物に水やりをした後に出る廃水は、全てが直下の前記天板孔425を通過して、水受引き出し403の中に落ちるわけではなく、一部は様々な面を伝って各方面に流れる。
【0012】
例えば鉢底裏面を伝って前記天板表面423に流れ出てしまう廃水W1や、前記天板孔425を通って天板裏面424に流れ出た廃水が、前記天板裏面424を伝って放射状に流れ広がり、下に水受けのない時点で滴り落ちて水受本体402内部の底に溜まってしまう廃水W1もある。
【0013】
天板表面423に流れ出た廃水W1や、水受本体内部に流れ落ちて溜まった廃水W1を放置してしまうと、天板が汚れて美的効果を損なってしまい、また水受本体の外に流れ出てきてしまい家具などを汚してしまうこともあるため、前記廃水W1を処理しなければならない手間が発生してしまう。
【0014】
また特許文献2の植木鉢台は、排水処理に対する具体的な方法は開示されておらず、特許文献1の問題点と同様の問題点を有している。
【0015】
そこで、本発明では、様々な形状や大きさの鉢に対応するために、平らな形状の天板を有しながらも、漏水することなく廃水を受けることができ、かつ廃水の管理が簡単である水受け機能付き鉢台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、請求項1記載の発明は、水受本体と上記水受本体の表面に設けられる逆円錐状パッキンを備えた水受け機能付き鉢台であって、前記水受本体は、天板孔を有し鉢を載せるための天板と、前記天板孔の下方に設けられる水受引き出しと、前記水受引き出しを収めるための筐体を備え、前記逆円錐状パッキンは、鉢からの廃水を受けてパッキン孔から下方へ排出する逆円錐形状のパッキン本体と、パッキン本体の下端の周壁外面から外方向に張り出したパッキン土台とを有し、前記天板孔と前記パッキン孔は連通し、前記パッキン本体は、パッキン本体上部に置かれた鉢の重さによって弾性変形することを特徴とする、水受け機能付き鉢台である。
【0017】
この構成によれば、逆円錐状パッキンが鉢から出た廃水を受け、廃水はパッキン孔から天板孔を通過して水受引き出しへと流れ落ち、前記水受引き出しが廃水を受けることが可能となる。一方、鉢を前記逆円錐状パッキンの上に置いたとき、前記パッキン本体が鉢底の裏面と圧着し、同時に鉢の重さによって前記パッキン本体が弾性変形をするため、様々な鉢底の高さに対応できる。また、弾性変形した逆円錐状パッキンによって、廃水が天板の表面へと流水してしまうことを着実に防ぐ。また、前記水受引き出しの廃水受容量を大きくするようにデザインすることで、一般的な廃水を受ける方法として使用される皿より、大幅に廃水を受ける量を増やすことが可能となる。
【0018】
逆円錐状パッキンの弾性変形についての具体例として、鉢底の裏面が平であれば前記パッキン本体は完全に押しつぶされて平となり、鉢底の裏面が底上げされた状態であれば少し押しつぶされる形となるのみにとどまるが、いずれにせよ、鉢底の裏面が前記パッキン本体に重圧をかけることで、鉢底の裏面と前記パッキン本体は圧着状態となり、結果として、鉢底の裏面の鉢廃水孔の周りをパッキングする形となり、逆円錐状パッキンは鉢底の形状に対応して防水機能を果たすことができる。
【0019】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の水受け機能付き鉢台において、さらに前記パッキン土台の厚みが、前記パッキン本体の厚みより大きいことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、鉢が前記逆円錐状パッキンの上に置かれパッキン本体が放射状に広がり弾性変形したとき、パッキン孔の内壁が反りあがることを防ぎ、逆円錐状パッキンの耐久性と逆円錐状パッキンによる防水性を高めることができる。
【0021】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の水受け機能付き鉢台において、前記逆円錐状パッキンがさらにパッキン土台裏突起を有し、パッキン土台裏突起は前記パッキン土台の裏面に備えられ、筒形で、前記パッキン孔と連通する孔を有することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、鉢から出た廃水がパッキン孔とパッキン土台裏突起の前記孔を通過し下へ流れ落ちる際、天板裏面を伝って流れることなく、前記天板孔の下で、かつ前記パッキン土台裏突起の下に備えられている水受引き出しの中へ直接落とすことが可能となる。
【0023】
また、後述する天板裏のリング状突起を必ずしも必要としなくなる。天板裏面を伝って漏水として流れ出てしまう廃水の制御を前記逆円錐状パッキンのみで可能とできる点で、前記パッキン土台裏突起は本体の構造をシンプルにすることができるというメリットがある。
【0024】
また、請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水受け機能付き鉢台において、前記天板の裏面の前記天板孔の周囲にはリング状突起が設けられ、前記リング状突起は環状で、下側の先端が細くなった形状であることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、鉢から出た廃水が天板孔を通過し天板裏面に出てきたとき、天板裏面を伝って流れ、水受けが存在しないところに流れ落ちることを防ぐことが可能となる。つまり、廃水が漏水せずに前記水受引き出しの中へ流し落とされる。
【0026】
また、請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水受け機能付き鉢台において、前記水受本体の内部には、防水性のある素材で形成された防水ケースが備えられたことを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、事故として本体への衝撃や振動が加わった時、水受引き出しから廃水がこぼれてしまうことによる漏水を防ぐ効果を高めることができる。
【0028】
また、請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水受け機能付き鉢台において、さらに前記水受本体の内部には、前記水受引き出しの下方に補助水受トレーが備えられたことを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、前記水受引き出しが廃水を受け、前記廃水を処理するために前記水受引き出しを本体から抜き出した際、一時的に廃水を受けるための器具がない状態になるが、補助水受けトレーが備えられることで、廃水の処理のたびに他の水受け器具を準備する手間を省くことが可能となる。
【0030】
また、請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水受け機能付き鉢台において、環状溝が、前記天板の裏面の前記天板孔の周囲に備えられたことを特徴とする水受け機能付き鉢台である。
【0031】
この構成によれば、前記リング状突起、もしくは、前記パッキン土台裏突起を有する逆円錐状パッキンを天板裏面に備えずとも、前記天板裏面を伝って流れる廃水を制御し、前記廃水を水受引き出しの中へ流し落とすことが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の水受け機能付き鉢台によれば、観葉植物の管理において、美的効果を高めながら、水やりをした後に出る廃水を受けることができる許容量を増やすことができ、漏水防止による安全性を高め、廃水処理を簡易にできる。
【0033】
これより以降、便宜上、逆円錐状パッキンをFPと略して表記する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0036】
まず、本発明の実施の形態に係る水受け機能付き鉢台の概略構成について説明する。
図1は本発明の第一実施形態に係る水受け機能付き鉢台1の外観を示す斜視図である。
【0037】
図1に示すように、筐体21と天板22からなる水受本体2は、天板表面23上に後述されるFP4と、前記天板22の下方で、前記筐体21に差し込まれ、着脱可能な水受引き出し3を備えている。また、前記天板22には後述される天板孔25と、前記天板孔25の周りで、かつ前記天板表面23に前記FP4のパッキン土台43の形状に対応した形状となった後述される孔周り溝26を備えている。
【0038】
前記孔周り溝26の深さは、前記FP4のパッキン土台の厚みと同じか、それよりも大きければ、廃水が前記天板表面へと流れ出ることを防ぐ効果が高くなるので望ましい。前記孔周り溝26の深さとパッキン土台の厚みが同じ場合、前記FP4が前記孔周り溝26に置かれたとき、パッキン土台表面と前記天板表面の高さが同レベルとなり、前記FP4のパッキン本体41のみが前記天板表面23より上に存在する形態になる。また、孔周り溝26の深さをパッキン土台の厚みとパッキン本体41の厚みの和よりも大きくすれば、後述するようにパッキン本体41が完全に押しつぶされた状態の時(
図7(a)の状態)、天板表面からパッキン本体41が出ることを防ぐことができる。
【0039】
(水受引き出しについての説明)
水受引き出し3は水受本体2に差し込まれる形で備えられてあり、天板孔25から落ちてくる廃水を受ける。そのため水受引き出し3の内面は防水素材で形成されているか、あるいは防水加工がなされる必要がある。
【0040】
ここで、前記水受引き出し3の中にさらに水受け用の器を準備し、前記器が廃水を受けるようにしてもよい。そうすれば、前記水受引き出し3が受けた廃水の処理をする際、必ずしも前記水受引き出し3を水受本体2から完全に取り出さなくても、水受引き出しの中の前記器の廃水を処理すればよく、さらに簡単に排水処理ができる。
【0041】
(水受本体の形状について)
ところで、本発明である水受け機能付き鉢台は鉢植えへの水やりの時に出る廃水の処理に対しての利便性だけと考慮したものではなく、外観の美的効果も考慮されなくてはならない。本実施形態においては、水受本体2は立方体であるが、この形状に限られることはなく、例えば、直方体、円柱状、ドーナツ型、幾何学的形状など、多岐にわたる形状の可能性がある。また、キャビネットやブックケースなど、家具デザインの一部としたり、キャスターを備えたりなど、水受本体2の形態は意匠性によって様々である。
【0042】
図2は
図1に示した水受け機能付き鉢台において、一部断面図とし、前記天板孔とパッキン孔が連通していることと、天板裏面にリング状突起を備えたことと、本体内部の防水加工がなされた状態を示す斜視図である。
【0043】
図2が示すように、水受本体2において、天板孔25が天板22に備えられ、FP4は、天板孔25とFP4のパッキン孔44が連通した形態で、かつ孔周り溝26にパッキン土台が嵌るように備えられている。また前記天板22において、天板裏面24で、かつ前記天板孔25の周りを囲う形態で後述されるリング状突起5が備えられている。
【0044】
(水受本体2内部について)
水受本体2内部は、すなわち前記天板裏面24と前記筐体21内面の構成される形態である。前記水受本体2内部に、防水効果のある素材を使用して形成された後述される防水ケース6が内装されている。この時、前記水受引き出し3は、水受本体2と同時に、前記防水ケースにも差し込まれる形態で備えられることになる。
【0045】
(防水ケースについての説明)
前記防水ケース6は、前記水受本体2に衝撃や振動が加わった際、前記水受引き出し3に溜まった廃水が前記水受本体2内部より外に飛び出さないよう、防水性を高めるものである。本実施形態においては、前記防水ケースはアクリル素材で、直方体の形状で形成されているが、耐水性があり前記水受本体2内部に水を留めておくことができる構造であるという条件を満たす限り素材の変更は可能である。1例として、前記水受本体2の内面を防水塗装する手段もある。
【0046】
また、前記防水ケース6の形態は前記水受本体2内面の形態に対応し、前記防水ケース6の肉厚は防水効果が得ることができる範囲で薄いものが望ましい。
【0047】
図3は
図2に示した水受け機能付き鉢台において、水受引き出しを外した状態を示す斜視図であり、水受引き出しの下に補助水受けトレー7が備えられた状態を示す。
【0048】
(補助水受けトレーについての説明)
補助水受けトレー7の設置場所は水受本体2内部で、かつ防水ケース6内部で、かつ、前記水受引き出し3の下である。もし、水受本体2が防水ケース6を備えない場合においては、前記水受本体2内部で、かつ前記水受引き出し3の下となる。
【0049】
補助水受けトレー7は、水受引き出し3が廃水の処理のため、一時的に水受けが存在しなくなった時に、予備として水受けを担うために水受本体2内部に備えられている。
【0050】
基本的に、ほとんどの廃水は水受引き出し3が受けるため、補助水受けトレー7はコンパクトなサイズで備えられると全体の機能性と美的効果を高めることができる。
【0051】
(逆円錐状パッキン(FP)についての説明)
図4(a)は第一実施形態におけるFPの斜視図であり、
図4(b)はその断面図である。
【0052】
図4が示すように、FP4はパッキン本体41とパッキン土台43とFP下部中央にパッキン孔44を備え、パッキン本体の最上部42の外周からパッキン土台43に方向に断面が絞られる形で細くなった逆円錐状の形態となっている。本実施形態における前記パッキン本体41の傾斜は垂直から外側に30度ほど開いた形となっている。
【0053】
本実施形態においては、FP4の材質はシリコーンゴムである。前記FP4を形成させるための材質は、前記パッキン本体41が弾性変形を可能とし、耐水性があり、鉢底の面と圧着(接着)することができる材質であれば、適宜変更が可能である。
【0054】
本実施形態において、前記FP4の前記パッキン土台43と前記パッキン本体41の厚みは共に3mmである。パッキン土台の厚みは3mm〜30mmが好ましく、3mm〜20mmがさらに好ましい。一般的に家具などの天板は30mm以下であるため、パッキン土台の厚みが20mmを超えると天板にフィットしにくくなるためである。パッキン本体の厚みは1mm〜10mmが好ましい。詳しくは後述するが、前記パッキン土台43の厚みや形状を変えることでFPの機能性は向上する。
【0055】
図5は第一実施形態の水受け機能付き鉢台において、鉢と天板とFPが備えられた位置関係を示す斜視図である。また、前記鉢と前記天板と前記FPの関係性を明確にするため、天板の下の図示を省いてある。
【0056】
図5が示すように、前記天板22の前記天板表面23で、かつ前記天板孔25の周りに、FP4のパッキン土台43の形態に対応する形態の孔周り溝26を備え、前記孔周り溝26にパッキン土台が嵌るようにFP4を置き、前記FP4の上に鉢8を置く。そのとき、鉢8は前記FP4のパッキン本体の最上部42の内周が鉢底裏面で、鉢廃水孔81を囲う形態で置かれる。
【0057】
図6は、
図5が示した前記鉢と前記天板と前記FPにおいて、前記FPの上に前記鉢が備えられたとき、FP(破線で図示)が目視できない状態にあることを示した斜視図である。
【0058】
図6が示すように、前記鉢8を前記FP4の上に置いたとき、鉢底から前記FP4のパッキン本体41がはみ出るなどがなく、一見するところ、FP4の存在が分からない形でFP4が備えることで、美的効果を損なうことなく防水できる。
【0059】
図7(a)、(b)は鉢底の形状の違いにおいて、FPが弾性変形をしながら機能することを示す断面図である。
【0060】
図7(a)、(b)が示すように、鉢底の裏の形態は様々である。
図7(a)の様に鉢底の裏が平の物もあれば、
図7(b)の様に底上げされた形状の物もある。鉢は鉢底の中心に排水孔が1つ空いているものが一般的であるが、前記鉢廃水孔の直径は10mmくらいのものや30mmくらいのなど様々にある。おおむね、約10mmから約30mmが一般的である。
【0061】
鉢8はFP4の上に置き、鉢廃水孔の周りに前記FP4のパッキン本体41が接着するが、前記パッキン本体41が弾性変形し、鉢底裏面と圧着する形となる。前記パッキン本体41において、パッキン本体の最上部42の内周の直径が前記鉢廃水孔81より大きければよい。例えば、鉢廃水孔の直径30mmとしたとき、前記パッキン本体の最上部42の内周が30mm以上であれば機能するが、鉢廃水孔の直径よりパッキン本体の最上部42の内周が余裕をもって大きくなることが望ましい。
【0062】
図7(a)のように鉢底裏面82が平であれば前記パッキン本体41は押しつぶされて平となり、
図7(b)の様に鉢底裏面82が底上げされた状態であれば前記パッキン本体41は少し押しつぶされる形となるのみにとどまるが、いずれにせよ、鉢底裏面82が前記パッキン本体41に重圧をかけることとなり、結果として、鉢廃水孔81の周りをパッキングする形となる点でFP4の機能は同じである。つまりFP4が鉢底の高さに対応できる。
【0063】
(リング状突起についての説明)
図8(a)は天板裏面で、かつ天板孔を囲う形でリング状突起5が備えられている状態を示す斜視図であり、
図8(b)はその断面図である。また、この
図8はリング状突起の位置関係を明確にするため、天板より下の図示を省いてある。説明に先立って、
図8の上下関係を明確にする。リング状突起において、天板裏面に接している側を上側、突起先端側を下側とする。
【0064】
図8(a)が示すように、リング状突起5は前記天板22において、前記天板裏面24で、かつ前記天板孔25を囲う形態で備えられている。また、
図8(b)が示すように、上側の突起付け根53から下側の突起先端52に向けて先が細くなっている。これによって、前記突起先端が細くなっていない形態より、廃水を効果的に流し落とすことができる。
【0065】
リング状突起5の有効素材は様々な素材が考えられるが、要点は防水性のあることである。例えば、プラスチックなど素材そのものに防水性があるものや、木を防水加工して取り付けるなど考えられる。
【0066】
図9は、本実施形態における廃水Wの流れを示す断面図である。
図14で示した従来技術の問題点を解決する様子を示す。二点鎖線は鉢から出た廃水Wの流れを示している。また、
図9は水受引き出し3を引き抜こうとしている時点の図であり、前記水受引き出し3が存在しないとき、補助の水受けとなる補助水受けトレー7の作用を図示してある。
【0067】
図9が示すように、鉢廃水孔81から出た廃水は各方面へ流れようとし、天板表面23に出ようとする廃水もあるが、FP4は、前記廃水が前記天板表面23へと流れようとする進路を防ぎ、前記廃水を天板孔25へと流すことを可能とする。
【0068】
前記天板孔を通って、水受本体2内部へ流れてきた廃水は天板裏面24を伝って各方面に流れようとする廃水もあるが、リング状突起5は、前記廃水の進路を下へと導き、天板孔とリング状突起5の真下に位置する水受引き出し3の中へと流し落とすことを可能にする。
【0069】
前記水受引き出し3の中に廃水が溜まり、その前記廃水を処理するために水受本体2から前記水受引き出し3を取り出したとき、前記水受引き出し3の下の備えてある補助水受けトレー7が一時的な水受けを担うことで、前記水受引き出し3が無い状態でも水受本体2内部に前記廃水を留めることができる。また、前記水受本体2内部に前記補助水受けトレーは常備される形態となり、前記水受引き出し3を抜いた際、他の水受け器具を準備する必要はなくなる。
【0070】
前述したように、前記防水ケース6が前記水受本体2内部に内装されるので、事故で生じた衝撃や振動が前記水受本体2に加わったとき、前記水受引き出し3から水が飛び出ることが考えられるが、その時、前記防水ケース6によって、廃水を前記水受本体2内部に留めることができる。
【0071】
第2実施形態は、第1実施形態の水受け機能付き鉢台において、FPの形態を変更したものである。その他の構造は第1実施形態と共通するため説明は援用し、対応する番号を100番台とする。
図10(a)は第2実施形態のFPの形態を示す斜視図であり、
図10(b)はその断面図である。第2実施形態では、FP104のパッキン土台143の厚さがパッキン本体141の厚さより増している。
【0072】
第2実施形態においては、パッキン土台143の厚さがパッキン本体141よりも厚いので、FPの上に鉢が置かれてFPの前記パッキン本体141が放射状に広がったとき、パッキン孔の内壁145が反りあがってくるのを防ぐ効果が増す。
【0073】
図11は
図10で図示した前記FPを水受本体の天板122に設置した様子を示す斜視図である。また一部を断面図にして、前記FPのパッキン土台143が厚くなった状態で前記天板に設置した様子を明確にするため、天板の下の図示を省いてある。
【0074】
図11が示すように、前記パッキン土台143を肉厚にすることに伴って、前記天板122の孔周り溝126の形態は前記パッキン土台143の形状に対応するので、結果として、前記孔周り溝126は、FP104のパッキン土台143とパッキン本体141の厚さが同じであった場合と比べて深くなる。
【0075】
第3実施形態は、第2実施形態の水受け機能付き鉢台において、FPのパッキン土台裏面にパッキン土台裏突起を備えた形態である。その他の構造は第2実施形態と共通するため説明は援用し、対応する番号を200番台とする。
図12(a)は、第3実施形態のFPの斜視図であり、
図12(b)はその断面図で、また
図12(c)はFPを上下反転させた状態の斜視図である。また、説明に先立って、
図12の上下関係を明確にする。
図12において、FPのパッキン本体最上部側が上であり、パッキン土台側が下である。
【0076】
図12(a)、(b)が示すように、FP204において、前記パッキン土台裏面246で、かつパッキン孔244の周りを囲いながら、中央に孔を持ち、前記孔が前記FPの前記パッキン孔244と連通しているパッキン土台裏突起247を有している。
図12(c)に示すように、FP204はパッキン土台裏面246に前記パッキン土台裏突起247を有している。パッキン土台裏突起247が備えられた前記FPを以降、突起付きFPと称して表記する。
【0077】
図13は、前記突起付きFP204を天板に備えたときの状態を示す断面図である。
【0078】
図13が示すように、前記突起付きFP204を前記天板222に備えたとき、前記パッキン土台裏突起247の先端が天板裏面224より下に出ている。この形態であるとき、廃水がパッキン孔244内と前記パッキン土台裏突起247の孔内を通って下へ流れ落ちるが、前記天板裏面224に廃水が流れることがなくなるので、結果として、第1実施形態で設けたリング状突起が必ずしも必要でなくなる。
【0079】
第4実施形態は、第1実施形態における水受け機能付き鉢台において、前記リング状突起5の代わりに、前記リング状突起5が備えられる同じ位置に、すなわち、前記天板裏面324で、かつ前記天板孔325を囲う環状溝を備えた形態である。その他の構造は第1実施形態と共通するため説明は援用し、対応する番号を300番台とする。
図14(a)は本実施形態の環状溝354を示す天板裏面の斜視図であり、
図14(b)はその断面図である。
【0080】
天板裏面に上記環状溝354を設けたことによって、前記リング状突起と同じ効果が得られ、天板裏面324を伝って流れる廃水を、凹状の環状溝354によって制御し、下方に流すことができる。
【0081】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではない。本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改良、変更、追加等を加えることができる。それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれる。
【解決手段】 水受本体2と上記水受本体の表面に設けられる逆円錐状パッキン4を備え、水受本体2は、天板孔25を有し鉢を載せるための天板22と、天板孔25の下方に設けられる水受引き出し3と、水受引き出し3を収めるための筐体21を備え、逆円錐状パッキン4は、鉢からの廃水を受けてパッキン孔44から下方へ排出する逆円錐形状のパッキン本体41と、パッキン本体41の下端の周壁外面から外方向に張り出したパッキン土台43とを有し、天板孔25とパッキン孔44は連通し、パッキン本体41は、パッキン本体上部に置かれた鉢の重さによって弾性変形する。