特許第6187873号(P6187873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6187873
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   H01R13/42 F
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-68756(P2014-68756)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-191803(P2015-191803A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 義裕
(72)【発明者】
【氏名】松浦 純弥
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−327614(JP,A)
【文献】 特開平09−213398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40−13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子収容室が上下に多段に形成されたハウジングと、
前記端子収容室の下壁面に沿って前方へ片持ち状に延出するランスと、
後方から前記端子収容室内に挿入されて前記ランスの係止により抜止めされる端子金具と、
前記ランスの下面側に左右方向のスリット状に形成され、前記ランスが前記端子金具から解離するように弾性撓みするのを許容する撓み空間と、
前記ハウジングの前端部に組み付けられるフロントリテーナと、
前記フロントリテーナに形成され、前記撓み空間に進入可能な複数の水平な板状機能部と、
前記複数の板状機能部のうち最下端の前記板状機能部の下面に沿うように前方へ片持ち状に延出した形態であり、前記ハウジングの外壁を構成する支持板部と、
前記支持板部に形成され、前記支持板部の曲げ剛性を高める補強リブとを備え、
前記補強リブが、前後方向に延びた形態であり、前記支持板部の上面と下面とに左右方向に間隔を空けて複数ずつ設けられ、
上面側の複数の前記補強リブと下面側の複数の前記補強リブは、左右方向に交互に並ぶように配されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記補強リブが、前記支持板部の上面における左右両端部に配され、且つ、前記ハウジングの左右両側壁部と前記支持板部の左右両端部とを繋ぐ形態であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記フロントリテーナが前記ハウジングに対して前後方向に移動させることによって着脱されるようになっており、
前記補強リブが、前記支持板部の上面に前後方向に延びた形態で形成され、
前記最下端の板状機能部には、その下面を凹ませた形態であって前記補強リブと摺接可能な溝部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記溝部の少なくとも一部は、前記最下端の板状機能部の上下両面のうち下面のみを凹ませた形態であることを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のキャビティが上下に多段に形成されたハウジングと、各キャビティの下壁面に沿って前方へ片持ち状に延出するランスと、後方からキャビティ内に挿入されてランスの係止により抜止めされる端子金具と、ハウジングに対しその前方から組み付けられるフロントリテーナと、フロントリテーナに形成されてランスの撓み空間に進入する複数の水平な規制板とを備えたコネクタが開示されている。規制板がランスの撓み空間に進入すると、ランスが端子金具から解離する方向への撓みを規制され、端子金具が確実に抜止めされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−166608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の規制板のうち最下端に位置する規制板の下面側は、ハウジングの外壁を構成する支持板部で覆われている。この支持板部には、規制板がフロントリテーナの金型成形で湾曲変形した場合に、その規制板の湾曲を矯正する機能が期待される。しかし、この支持板部は、左右のキャビティ間を仕切る側壁部と繋がっていないため、矯正機能の信頼性が低いという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、フロントリテーナの最外端に位置する板状機能部の変形を確実に矯正できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、
複数の端子収容室が上下に多段に形成されたハウジングと、
前記端子収容室の下壁面に沿って前方へ片持ち状に延出するランスと、
後方から前記端子収容室内に挿入されて前記ランスの係止により抜止めされる端子金具と、
前記ランスの下面側に左右方向のスリット状に形成され、前記ランスが前記端子金具から解離するように弾性撓みするのを許容する撓み空間と、
前記ハウジングの前端部に組み付けられるフロントリテーナと、
前記フロントリテーナに形成され、前記撓み空間に進入可能な複数の水平な板状機能部と、
前記複数の板状機能部のうち最下端の前記板状機能部の下面に沿うように前方へ片持ち状に延出した形態であり、前記ハウジングの外壁を構成する支持板部と、
前記支持板部に形成され、前記支持板部の曲げ剛性を高める補強リブとを備え、
前記補強リブが、前後方向に延びた形態であり、前記支持板部の上面と下面とに左右方向に間隔を空けて複数ずつ設けられ、
上面側の複数の前記補強リブと下面側の複数の前記補強リブは、左右方向に交互に並ぶように配されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
支持板部の曲げ剛性が補強リブによって高められているので、板状機能部の湾曲変形を確実に矯正することができる。また、補強リブが前後方向に延びた形態なので、側面視において、支持板部は、その後端部と前端部との間で高低差のない真っ直ぐな形状となる。そして、補強リブは、左右方向に間隔を空けた複数位置に配されているので、支持板部は、その左右方向のほぼ全領域に亘って平板状に保たれる。さらに、支持板部の曲げ剛性をより安定して確実に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のコネクタを構成するハウジングの正面図
図2図1のX−X線断面図
図3図1のY−Y線断面図
図4】フロントリテーナの背面図
図5図4のZ−Z線断面図
図6】ハウジングにフロントリテーナを組み付けた状態を、図1のX−X相当線で切断してあらわした断面図
図7】ハウジングにフロントリテーナを組み付けた状態を、図1のY−Y相当線で切断してあらわした断面図
図8】雌側コネクタと雄側コネクタを嵌合した状態をあらわす側断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)本発明のコネクタは、前記補強リブが、前記支持板部の上面における左右両端部に配され、且つ、前記ハウジングの左右両側壁部と前記支持板部の左右両端部とを繋ぐ形態であってもよい。
この構成によれば、支持板部の左右両端部の曲げ剛性を、より確実に高めることができる。
【0012】
(2)本発明のコネクタは、前記フロントリテーナが前記ハウジングに対して前後方向に移動させることによって着脱されるようになっており、前記補強リブが、前記支持板部の上面に前後方向に延びた形態で形成され、前記最下端の板状機能部には、その下面を凹ませた形態であって前記補強リブと摺接可能な溝部が形成されていてもよい。
この構成によれば、フロントリテーナをハウジングに組み付ける際には、補強リブと溝部との摺接によりフロントリテーナをガイドする機能が発揮される。
【0013】
(3)本発明のコネクタは、(2)において、前記溝部の少なくとも一部は、前記最下端の板状機能部の上下両面のうち下面のみを凹ませた形態であってもよい。
この構成によれば、板状機能部の強度低下を回避できる。
【0014】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図8を参照して説明する。以下の説明において、前後方向については、図3,5,7における右方を前方と定義する。上下方向については、図1,3〜5にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右方向については、図1,4にあらわれる向きを、そのまま左右方向と定義する。
【0015】
本実施例1の雌側コネクタF(請求項に記載のコネクタ)は、合成樹脂製のハウジング10と、合成樹脂製のフロントリテーナ20と、複数の端子金具30とを組み付けて構成されている。
【0016】
ハウジング10の内部には、図1,8に示すように、前後方向に貫通した形態の複数の端子収容室11が、上下方向に多段に形成されている。各段においては、複数の端子収容室11が、左右方向に所定ピッチで並列配置されている。図8に示すように、各端子収容室11には、夫々、その下面壁に沿って前方へ片持ち状に延出した形態のランス12が形成されている。各端子収容室11には、夫々、ハウジング10の後方から端子金具30が挿入される。端子金具30の挿入過程では、ランス12が端子金具30との干渉により下方(端子金具30の挿入経路から退避する方向)へ弾性撓みする。そして、端子金具30が正規の挿入位置に到達すると、ランス12が、上方へ弾性復帰して端子金具30を係止する。この係止作用により、端子収容室11に正規挿入された端子金具30が抜止めされる。
【0017】
図1,8に示すように、ランス12の下方には、ランス12が下方へ弾性撓みするのを許容するための撓み空間13,13Eが形成されている。撓み空間13,13Eは、ハウジング10の前面に開口されていて、各段毎に左右方向(水平方向)に細長くスリット状に延びている。1つの撓み空間13,13Eに対し、その上方から複数のランス12が左右に並列した状態で臨んでいる。そして、これらのランス12は、撓み空間13,13E内に進出するように弾性撓みすることができる。
【0018】
図1,3に示すように、ハウジング10の下端部には、全体として左右方向に延びているとともに、前方へ片持ち状に延出した形態の支持板部14が一体に形成されている。支持板部14は、ハウジング10の前端部に配置され、ハウジング10の外壁(底面壁)における前端部分を構成する。そして、支持板部14は、上下に並ぶ複数の撓み空間13,13Eのうち最下端の撓み空間13Eの下面壁を構成している。支持板部14と最下端の撓み空間13Eとは、左右方向における形成領域が対応(合致)している。
【0019】
フロントリテーナ20は、ハウジング10の前端部に対し前方から接近させるように組み付けられる。フロントリテーナ20は、図4に示すように、左右方向に延びた形態であって、上下方向に間隔を空けて多段に並列配置された複数の板状機能部21,21Eを有している。各板状機能部21,21Eの上面には、端子収容室11に挿入された端子金具30を前止まりさせるための複数の前止まり部22が、各端子収容室11と対応するように形成されている。前止まり部22の上方は、図8に示すように、雌側コネクタFを雄側コネクタMと嵌合したときに雄型端子31を端子収容室11内に挿入させるためのスペースが空いている。
【0020】
複数の板状機能部21,21Eは、多段に形成されている複数の撓み空間13,13Eに個別に進入するように、上下多段に配置されている。板状機能部21,21Eが撓み空間13,13Eに進入すると、ランス12が、端子金具30から解離する方向(つまり、撓み空間13,13E内に進出する方向)への弾性撓みが規制され、端子金具30に係止した状態に保持される。これにより、ランス12の係止作用により端子金具30が確実に抜止めされる。
【0021】
また、端子収容室11内に正しく挿入されない半挿入状態の端子金具30が存在している場合には、半挿入の端子金具30と干渉したランス12が撓み空間13,13E内に進出したままとなる。この状態でフロントリテーナ20をハウジング10に組み付けようとすると、板状機能部21,21Eが撓み空間13,13E内に進出しているランス12に突き当たるので、フロントリテーナ20の組付けができなくなる。このようにフロントリテーナ20の組付けが不能となることにより、半挿入状態の端子金具30の存在を知ることができる。このように板状機能部21,21Eは、端子金具30を確実に抜止めする機能と、半挿入状態の端子金具30の存在を検出する機能とを兼ね備えている。
【0022】
フロントリテーナ20をハウジング10に組み付けた状態では、図7に示すように、複数の板状機能部21,21Eのうち最下端に位置する板状機能部21Eの下面側は、ハウジング10の外壁を構成する支持板部14で覆われている。この支持板部14には、最下端の板状機能部21Eがフロントリテーナ20の金型成形の過程で下方へ膨らむように湾曲変形した場合に、その板状機能部21Eの湾曲を矯正する機能を有している。しかし、この支持板部14は、左右の端子収容室11間を仕切る隔壁部と繋がっていないため、変形を来す虞があり、矯正機能の信頼性に懸念がある。
【0023】
そこで、本実施例1の雌側コネクタFは、支持板部14の曲げ剛性を高める手段として、図1,2に示すように、支持板部14の上面に4つの上面側補強リブ15,15E(請求項に記載の補強リブ)を一体に形成するとともに、支持板部14の下面に3つの下面側補強リブ16(請求項に記載の補強リブ)を一体に形成している。上面側補強リブ15,15Eは、最下端の撓み空間13E内に配置されている。下面側補強リブ16は、ハウジング10の外面に露出している。
【0024】
図2に示すように、4つの上面側補強リブ15,15Eは、前後方向、つまりハウジング10に対するフロントリテーナ20の組付け方向と平行な方向に直線状に延びた形態である。4つの上面側補強リブ15,15Eの前後方向における形成領域は、支持板部14の後端から、支持板部14の前端(延出端)よりも少し後方の位置に至る範囲である。図1,2に示すように、4つの上面側補強リブ15,15Eは、左右方向(つまり、上面側補強リブ15,15Eの長さ方向と直交する方向)にほぼ等間隔を空け、且つ正面視において左右対称に配置されている。そして、4つの上面側補強リブ15,15Eのうち左右両端部の上面側補強リブ15Eは、ハウジング10の左右両側壁部17の下端縁と、その下方に位置する支持板部14の左右両端部とを繋ぐような形態となっている。
【0025】
図2に示すように、3つの下面側補強リブ16も、上面側補強リブ15,15Eと同様、前後方向に直線状に延びた形態である。3つの下面側補強リブ16の前後方向における形成領域は、図3に示すように、支持板部14の後端よりも更に後方の位置(つまり、ハウジング10の後端位置)から、支持板部14の前端(延出端)に至る範囲である。図1,2に示すように、3つの下面側補強リブ16は、左右方向にほぼ等間隔を空け、且つ正面視において左右対称に配置されている。3つの下面側補強リブ16のうち中央に位置する下面側補強リブ16は、支持板部14(ハウジング10)の左右方向中央位置に配置されている。
【0026】
4つの上面側補強リブ15,15Eは、支持板部14を左右方向においてほぼ3等分するように配置され、3つの各下面側補強リブ16は、左右方向において隣り合う上面側補強リブ15,15Eのほぼ中央に位置するように配置されている。したがって、4つの上面側補強リブ15,15Eと3つの下面側補強リブ16は、左右方向において上下交互(互い違い)に並ぶように配置されている。これら上面側補強リブ15,15Eと下面側補強リブ16とにより、支持板部14は、左右方向において異なる7カ所において剛性を高められている。
【0027】
一方、フロントリテーナ20においては、最下端の板状機能部21Eに、上面側補強リブ15,15Eとの干渉を回避するための4つの溝部23,23Eが形成されている。図4〜6に示すように、4つの溝部23,23Eは、最下端の板状機能部21Eの下面を凹ませるように形成され、前後方向に沿って直線状に延びた形態となっている。4つの溝部23,23Eの後端は、板状機能部21Eの後端面(延出端面)において外部に開放されている。
【0028】
4つの溝部23,23Eのうち左右両端に位置する2つの溝部23Eは、支持板部14の左右両端部と側壁部17の下端部とを繋ぐ上面側補強リブ15Eと嵌合する。したがって、この左右両端の2つの溝部23Eは、図4に示すように、板状機能部21Eの下面から上面まで貫通した形態となっている。
【0029】
4つの溝部23,23Eのうち中央寄りの2つの溝部23は、4つの上面側補強リブ15,15Eのうち中央寄りに位置する2つの上面側補強リブ15と嵌合するように形成されている。図5に示すように、この中央寄りの2つの溝部23は、後端部(板状機能部21Eの延出端部と対応する部分)だけが、板状機能部21Eの上面に開放されている。そして、中央寄りの溝部23のうち後端部を除いた大部分の領域は、板状機能部21Eの上面に開放されない非開放領域24となっている。この溝部23の非開放領域24では、溝部23の左右両内側面の上端縁部が、水平な板状補強部25で連結されている。つまり、非開放領域24の上面は板状補強部25によって閉塞されている。
【0030】
上述のように本実施例1の雌側コネクタFは、複数の端子収容室11が上下に多段に形成されたハウジング10と、端子収容室11の下壁面に沿って前方へ片持ち状に延出するランス12と、後方から端子収容室11内に挿入されてランス12の係止により抜止めされる端子金具30と、ランス12の下面側に左右方向のスリット状に形成され、ランス12が端子金具30から解離するように弾性撓みするのを許容する撓み空間13,13Eとを備えている。
【0031】
ハウジング10の前端部にはフロントリテーナ20が組み付けられ、フロントリテーナ20には、撓み空間13,13Eに進入可能な複数の水平な板状機能部21,21Eが形成されている。そして、ハウジング10は、複数の板状機能部21,21Eのうち最下端の板状機能部21Eの下面に沿うように前方へ片持ち状に延出した形態であり、ハウジング10の底壁部(外壁)を構成する支持板部14を有している。
【0032】
この支持板部14は、フロントリテーナ20の金型成形において最下端の板状機能部21Eが下方へ膨らむように湾曲変形していた場合、その湾曲変形を矯正する機能を有する。そこで、この矯正機能ま信頼性を高める手段として、支持板部14には、支持板部14の曲げ剛性を高める上面側補強リブ15,15Eと下面側補強リブ16とを一体に形成している。この上面側補強リブ15,15Eと下面側補強リブ16とにより、支持板部14の曲げ剛性が高められているので、最下端の板状機能部21Eの湾曲変形を確実に矯正することができる。
【0033】
また、上面側補強リブ15,15Eと下面側補強リブ16は、前後方向に延びた形態であり、左右方向に間隔を空けた複数位置に配されている。このように補強リブ15,15E,16を前後方向に延びた形態としたことにより、側面視において、支持板部14は、その後端部と前端部との間で高低差のない真っ直ぐな形状を維持する。そして、補強リブ15,15E,16は、左右方向に間隔を空けた複数位置に配されているので、支持板部14は、その左右方向のほぼ全領域に亘って平板状に保たれる。しかも、4つの上面側補強リブ15,15Eと3つの下面側補強リブ16が、左右方向に交互に並ぶように配されているので、支持板部14の曲げ剛性をより安定して確実に高めることができる。
【0034】
また、4つの上面側補強リブ15,15Eのうち左右両端の2つの上面側補強リブ15Eが、支持板部14の上面における左右両端部に配され、且つ、ハウジング10の左右両側壁部17と支持板部14の左右両端部とを繋ぐ形態となっている。これにより、支持板部14の左右両端部の曲げ剛性を、より確実に高めることが実現されている。
【0035】
また、フロントリテーナ20はハウジング10に対して前後方向に移動させることによって着脱されるようになっており、上面側補強リブ15,15Eは、支持板部14の上面に前後方向に延びた形態で形成されている。そして、最下端の板状機能部21Eには、その下面を凹ませた形態であって上面側補強リブ15,15Eと摺接可能な溝部23,23Eが形成されている。この構成によれば、フロントリテーナ20をハウジング10に組み付ける際には、上面側補強リブ15,15Eと溝部23,23Eとの摺接によりフロントリテーナ20をガイドする機能が発揮される。また、中央寄りの2つの溝部23の少なくとも一部は、最下端の板状機能部21Eの上下両面のうち下面のみを凹ませた形態の非開放領域24となっているので、板状機能部21Eの強度低下が回避されている。
【0036】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1では、支持板部の上面に4つの上面側補強リブを設けたが、上面側補強リブの数は、3つ以下でもよく、5つ以上でもよい。
(2)上記実施例1では、支持板部の下面に3つの下面側補強リブを設けたが、下面側補強リブの数は、2つ以下でもよく、4つ以上でもよい。
(3)上記実施例1では、上面側補強リブと下面側補強リブが、左右方向において交互に並ぶ配置(つまり、左右方向にずれた配置)としたが、上面側の補強リブと下面側の補強リブが、左右方向において互いに同じ位置に配置されていてもよい。
(4)上記実施例1では、上面側補強リブと下面側補強リブとの形成数を異なるようにしたが、上面側補強リブと下面側補強リブとを同じ数だけ形成してもよい。
(5)上記実施例1では、溝部が、最下端の板状機能部の上下両面のうち下面のみを凹ませた形態であるが、溝部は、最下端の板状機能部の上面側に連通した形態であってもよい。
(6)上記実施例1では、最下端の板状機能部に上面側補強リブと摺接する溝部を形成したが、このような溝部を形成しない形態であってもよい。
<参考例>
(1)上記実施例1では、補強リブを支持板部の上面と下面の両方に設けたが、補強リブを、支持板部の上面又は下面のいずれか一方の面だけに設ける形態も考えられる。
(2)上記実施例1では、上面側補強リブを前後方向に延びた形態としたが、上面側補強リブを左右方向に延びた形態とすることも考えられる。
(3)上記実施例1では、下面側補強リブを前後方向に延びた形態としたが、下面側補強リブを左右方向に延びた形態とすることも考えられる。
【符号の説明】
【0037】
F…雌側コネクタ(コネクタ)
10…ハウジング
11…端子収容室
12…ランス
13,13E…撓み空間
14…支持板部
15,15E…上面側補強リブ(補強リブ)
16…下面側補強リブ(補強リブ)
17…側壁部
20…フロントリテーナ
21…板状機能部
21E…最下端の板状機能部
23,23E…溝部
30…端子金具
31…雄型端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8