(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料ガスを圧縮し、その圧縮した燃料ガスを負荷機器に供給する圧縮機と、前記圧縮機に対する前記燃料ガスの流入量を調整する流入量調整手段と、前記圧縮機から吐出される燃料ガスを前記圧縮機の入口側に戻すためのアンチサージ弁と、を備えた燃料ガス供給システムを制御する制御方法であって、
前記負荷機器の負荷と所定の変換処理とに基づいて生成したフィードフォワード制御値と、前記圧縮機の吐出圧力の設定値と前記圧縮機の吐出圧力の計測値との偏差に基づいて生成したフィードバック制御値と、に基づいて前記流入量調整手段及び前記アンチサージ弁を制御する第1のステップと、
前記フィードフォワード制御値に基づいて算出される、前記アンチサージ弁を制御するアンチサージ弁制御値に対し、予め規定されたバイアス値を加算したバイアス加算制御値を算出し、所定値以上の負荷変動の発生に基づいて、前記アンチサージ弁制御値を前記バイアス加算制御値に切り替えて前記アンチサージ弁を制御する第2のステップと、
を有し、
前記第2のステップは、前記フィードフォワード制御値が前記アンチサージ弁を閉塞状態とする値である場合には前記バイアス加算制御値を前記バイアス値とし、また、前記フィードフォワード制御値が前記アンチサージ弁を開放する値である場合には、当該フィードフォワード制御値が大きいほど前記バイアス加算制御値を小さい値とする
制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下、
図1〜
図6を参照しながら第1の実施形態に係る燃料ガス供給システムについて詳細に説明する。
【0016】
図1は、第1の実施形態に係る燃料ガス供給システムの機能構成を示す図である。
図1に示すように、燃料ガス供給システム100は、圧縮機1(コンプレッサ)と、流入量調整手段である入口ガイド弁(以下、IGV5)と、アンチサージ弁(以下、ASV7)と、ヘッダタンク13と、制御装置101と、を備えている。
燃料ガス供給システム100は、圧縮した燃料ガスの供給先であるガスタービン15(負荷機器)に当該燃料ガスを供給する。燃料ガスの供給量は、負荷司令部17が出力する要求信号DEMによって定められる。負荷司令部17が出力する要求信号DEMは、ガスタービン15の負荷の目標値を規定しており、後述する制御装置101が当該要求信号DEMを受け付けることで、ガスタービン15の負荷の目標値に応じた量の燃料ガスが燃料ガス供給システム100より供給される。
【0017】
圧縮機1は、IGV5を通じて供給される燃料ガスを圧縮し、当該圧縮した燃料ガスを、ヘッダタンク13を介してガスタービン15に供給する。
IGV5は、上流から供給される燃料ガスの、圧縮機1に対する流入量を調整する弁である。なお、IGV5の上流側には、図示しないPCV(Pressure Control Valve)が設置されており、当該IGV5の上流側における圧力が一定に保たれるように逐次燃料ガスが供給されている。
ASV7は、圧縮機1から吐出される圧縮された燃料ガスを当該圧縮機1の入口側(上記PCVと圧縮機1とを接続する配管であってIGV5の上流側)に戻す燃料ガスの流量を調整する弁である。
制御装置101は、主圧力調整部101aと、非常時圧力調整部101bと、を有している。
なお、
図1に示す例では、ヘッダタンク13から単一のガスタービン15に接続される態様を示しているが、これに限定されず、ヘッダタンク13から複数のガスタービン15に接続される態様であってもよい。
【0018】
図2、
図3及び
図4は、それぞれ、第1の実施形態に係る主圧力調整部の機能を説明する第1の図、第2の図及び第3の図である。
以下、
図1に加え、
図2〜
図4を参照しながら主圧力調整部101aの機能について説明する。
【0019】
図1に示すように、主圧力調整部101aは、関数発生器19、27、29と、加算器21と、圧力調整器23(PC:Pressure Controller)と、流量調整器35(FC:Flow Controller)と、高位選択部31と、を有している。
【0020】
ガスタービン15の運転時には、負荷司令部17が関数発生器19に要求信号DEMを与える。この要求信号DEMは、ガスタービン15の最大負荷を100%とした場合の負荷率として与えられる。
関数発生器19は、
図2に例示する関数に基づいて、負荷司令部17が出力する上記要求信号DEMを入力してフィードフォワード制御値MV0に変換する変換処理を実行し、フィードフォワード制御値MV0を示す制御信号を出力する。関数発生器19が出力する制御信号が示すフィードフォワード制御値MV0は、加算器21に入力される。
【0021】
圧力調整器23は、圧縮機1がガスタービン15に向けて吐出する燃料ガスの圧力であって圧力計25によって検出される実際の圧力(実吐出圧力PV1)を示す信号を入力し、当該実吐出圧力PV1を予め規定された吐出圧力の設定値(設定圧力SV1)に一致させるための第1フィードバック制御値MV1を示す制御信号を出力する。具体的には、圧力調整器23は、設定圧力SV1と検出された実吐出圧力PV1の偏差にPI(比例、積分)処理を施した第1フィードバック制御値MV1を演算し、この第1フィードバック制御値MV1に対応する制御信号を加算器21に向けて出力する。
【0022】
加算器21は、フィードフォワード制御値MV0と第1フィードバック制御値MV1とを加算する演算を実行して中間制御値MV2を求め、この中間制御値MV2に対応する信号を関数発生器27及び関数発生器29に向けて出力する。
【0023】
関数発生器27は、
図3に例示する関数に基づく弁制御信号をIGV5に出力する。例えば、関数発生器27は、フィードフォワード制御値MV0が50%になるまではIGV開度(IGV5の弁の開きの度合い)を20%(最小開度に対応)に保持させ、フィードフォワード制御値MV0が50%から増大するに伴って、IGV開度を20%から100%(最大開度に対応)まで直線的に増加させる弁制御信号を形成し、この弁制御信号をIGV5に出力する。
【0024】
関数発生器29は、
図4に例示する関数に基づく弁制御信号を高位選択部31に出力する。例えば、関数発生器29は、フィードフォワード制御値MV0が50%になるまではASV開度(ASV7の弁の開きの度合い)を100%(最大開度に対応)から0%(最小開度に対応)まで直線的に減少させ、フィードフォワード制御値MV0が50%以上の時にASV開度を0%に保持させるアンチサージ弁制御値MV3を設定し、このアンチサージ弁制御値MV3に対応する信号を、後述する加算器41を介して、高位選択部31に出力する。
【0025】
流量調整器35は、圧縮機1からヘッダタンク13へ供給される燃料ガスの流量であって予め規定された吐出流量の設定値(設定流量SV2)と、流量計37で検出される実際の吐出流量(実吐出流量PV2)と、の偏差に対応する第2フィードバック制御値MV4を演算し、この第2フィードバック制御値MV4に対応する信号を上記高位選択部31に出力する。
高位選択部31は、関数発生器29から出力されるアンチサージ弁制御値MV3を示す信号と、流量調整器35が出力する第2フィードバック制御値MV4を示す信号とを比較し、それらの内の大きい方の信号を弁制御信号としてASV7に出力する。
【0026】
以上の構成により、主圧力調整部101aは、ガスタービン15の負荷(要求信号DEMが示す負荷)と、関数発生器19による上記変換処理と、に基づいて生成したフィードフォワード制御値MV0と、圧縮機1の吐出圧力の設定値(設定圧力SV1)と当該圧縮機1の吐出圧力の計測値(実吐出圧力PV1)との偏差に基づいて生成した第1フィードバック制御値MV1と、を用いてIGV5及びASV7を制御する。
【0027】
主圧力調整部101aの構成による具体的な作用は、引用文献1に記載されているものと同様であるため、詳細な説明を省略する。主圧力調整部101aの、以上のような機能構成によれば、フィードフォワード制御とフィードバック制御の組合せによって吐出圧力が制御されるので、即応性の高い圧力制御が可能となり、そのため、ガスタービン15に急激な負荷の要求がなされた場合でも、吐出圧力の変動を抑制することができる。
【0028】
図5、
図6は、それぞれ、第1の実施形態に係る非常時圧力調整部の機能を説明する第1の図、第2の図である。
以下、
図1に加え、
図5、
図6を参照しながら非常時圧力調整部101bの機能について説明する。
図1に示すように、非常時圧力調整部101bは、バイアス出力部39と、加算器41と、を備えている。
【0029】
バイアス出力部39は、単位時間当たりの負荷変動が所定の変動幅以上であることを示す通知信号TRPを受け付けた場合に、直ちに予め規定されたバイアス値BIAS(BIAS>0)を出力する。通知信号TRPは、例えば、ガスタービン15において負荷遮断やトリップ等が発生した際に生じる急激な負荷変動を通知する信号である。なお、バイアス出力部39は、通常時(通知信号TRPを受け付ける前)は、常に、バイアス信号をゼロ(BIAS=0)としている。
バイアス出力部39が出力するバイアス信号BIASは、加算器41に出力される。これにより、ASV開度を決定するためのアンチサージ弁制御値MV3に所定のバイアス値BIAS(>0)が加算される。加算器41は、加算して得られたバイアス加算制御値MV3’(MV3’=MV3+BIAS)を高位選択部31に向けて出力する。
【0030】
以上のような構成により、非常時圧力調整部101bは、アンチサージ弁制御値MV3に予め規定されたバイアス値BIASを加算したバイアス加算制御値MV3’を算出し、所定値以上の負荷変動の発生に基づいて(即ち、通知信号TRPを受け付けた場合に)、アンチサージ弁制御値MV3をバイアス加算制御値MV3’に切り替えてASV7を制御する。
【0031】
具体的には、バイアス出力部39は、
図5に示すように、通知信号TRPを受け付けた時刻t0から、予め規定された値であってゼロより大きい一定値(例えば、5%)を出力する。バイアス出力部39は、時刻t0から一定時間(例えば、5sec)経過後の時刻t1(t1>t0)まで上記一定値の出力を維持し、時刻t1から時刻t2(t2>t1)にかけて一定のレートで徐々にゼロまで低減させていく。
このように、バイアス出力部39は、負荷遮断の発生時(時刻t0)から予め規定された所定時間経過後(時刻t2)に、バイアス加算制御値MV3’をアンチサージ弁制御値MV3に戻してASV7を制御する。
【0032】
バイアス出力部39が
図5に示すようなバイアス値BIASを出力することで、非常時圧力調整部101bは、負荷遮断等の急激な負荷変動が発生した瞬間から、アンチサージ弁制御値MV3を上述したバイアス加算制御値MV3’に切り替えてASV7を制御する。ここで、バイアス加算制御値MV3’は、
図6に示すように、アンチサージ弁制御値MV3よりも常にバイアス値BIAS(BIAS=5%)だけ大きい制御値である。即ち、フィードフォワード制御値MV0が50%から100%であった場合であっても、ASV7の制御に用いられるアンチサージ弁制御値MV3は、ゼロより大きいバイアス値BIAS(例えば5%)の出力を所定時間(例えば、5sec)維持する。
【0033】
次に、上述した第1の実施形態に係る燃料ガス供給システムの作用効果について、非常時圧力調整部101bを具備しない対比例と対比しながら説明する。
当該対比例に係る燃料ガス供給システムの場合であっても、負荷遮断等の急激な負荷変動が発生した場合には、予め用意された各種関数(
図2〜
図4参照)によるフィードフォワード制御に基づいてIGV5が閉塞方向に遷移するとともにASV7が開放方向に遷移することで、ヘッダタンク13の圧力(実吐出圧力PV1)が一定となるように作用する。しかしながら、例えば、発生した負荷変動の特性によっては、フィードフォワード制御値MV0が50%以上の範囲で推移する場合がある。ここで、
図4に示すようなアンチサージ弁制御値MV3によれば、フィードフォワード制御値MV0が50%〜100%の範囲では常にASV7を閉塞する状態(開度0%の状態)を維持するように規定されている。そうすると、例えば、フィードフォワード制御値MV0が100%から50%まで低下するような負荷遮断が発生した場合、IGV5のみの開度の制御がなされることでヘッダタンク13の圧力(実吐出圧力PV1)が一定に保たれ、ASV7は閉塞状態(ASV開度0%)を維持したままである。
【0034】
IGV5は、自らが閉塞方向に遷移することで燃料ガスの圧縮機1への流入を制限して実吐出圧力PV1を一定に保とうとするのに対し、ASV7は自らが開放方向に遷移して圧力が高まりつつある燃料ガスを入口側に逃がすことで実吐出圧力PV1を一定に保つように作用する。一般にIGVの応答性は、制御弁(ASV)に比べ低く、フィードフォワード制御値MV0が100%から50%の範囲内で変化するような負荷遮断に対しては、IGV5の閉塞方向への制御のみで圧力調整がなされるため、高い応答特性が得られない。
【0035】
一方、第1の実施形態に係る燃料ガス供給システム100によれば、
図6で示したように、負荷遮断の発生に応じて算出されたアンチサージ制御値MV3に対し、バイアス値BIASが加算されたバイアス加算制御値MV3’に基づいてASV7の開度が決定される。したがって、フィードフォワード制御値MV0が100%から50%の範囲内で変化するような負荷遮断が発生したとしても、最低でもバイアス値BIAS(例えば5%)の開度でASV7が開放される。
以上より、第1の実施形態に係る燃料ガス供給システム100によれば、急激な負荷変動が発生した場合に、当該負荷変動がいかなる特性であったとしても、常にASV7が開放される。したがって、圧縮機1の吐出圧力が一定に保たれるような制御の応答特性を高めることができる。
【0036】
また、第1の実施形態に係る燃料ガス供給システム100によれば、バイアス出力部39は、負荷遮断等の発生時から予め規定された所定時間経過後に、バイアス加算制御値MV3’をアンチサージ弁制御値MV3に戻してASV7を制御する。このようにすることで、負荷遮断の発生に応じてASV7が即座に開放されることで高い応答特性をもって吐出圧力の急上昇が回避された後、自動的に通常時の制御(フィードフォワード制御値MV0及びフィードバック制御値MV1に基づく制御)に復帰することで、直ちに吐出圧力の定常化がなされる。したがって、負荷遮断等の急激な負荷変動の発生後において一層精度よく吐出圧力を一定に維持することができる。
【0037】
また、第1の実施形態に係る燃料ガス供給システム100によれば、バイアス出力部39は、負荷変動の発生時(時刻t0)からバイアス値BIAS(BIAS>0)の出力を一定時間維持した後、更に一定時間をかけて一定の度合い(レート)で徐々にゼロまで低減させる(
図5参照)。このようにすることで、燃料ガス供給システム100は、通常のフィードバック制御に復帰する際に、吐出圧力の推移に継ぎ目を生じさせないように連続的に遷移させることができる。
【0038】
なお、第1の実施形態に係る燃料ガス供給システム100の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。例えば、上述の第1の実施形態に係る燃料ガス供給システム100は、単一の圧縮機1を有するものとして説明したが、他の実施形態に係る燃料ガス供給システムは、この態様に限定されない。例えば、燃料ガス供給システム100は、複数の圧縮機1を具備するとともに、当該複数の圧縮機1の各々に対応するように、複数のIGV5及びASV7が設置された態様であってもよい。また、この場合において、非常時圧力調整部101bは、稼働中の複数の圧縮機1に対応する複数のアンチサージ弁制御値MV3の各々に対し、バイアス値BIASを加算した複数のバイアス加算制御値MV3’を算出し、当該バイアス加算制御値MV3’の各々に基づいて、各圧縮機1に対応するASV7を制御してもよい。このようにすることで、負荷遮断等が生じた場合に、稼働中の全ての圧縮機1に対応する全てのASV7が急開するので、圧縮機1の吐出圧力の均一化のための制御の応答特性を一層高めることができる。
【0039】
また、上述の第1の実施形態に係る燃料ガス供給システム100は、急激な負荷変動が生じた際にバイアス出力部39が出力するバイアス値BIASが、例えば5%等の一定値であるものとして説明したが、他の実施形態に係る燃料ガス供給システムは、この態様に限定されない。例えば、複数のガスタービン15が設置されている場合において、バイアス出力部39は、負荷が急激に変化するガスタービン15の数を検知するとともに、当該ガスタービン15の数に比例するようにバイアス値BIASの値を変化させてもよい。このようにすることで、負荷変動の度合いが大きいほどASV7の開度が大きくなるように制御されるので、負荷遮断等の発生時における制御の応答特性を一層高めることができる。
【0040】
<第2の実施形態>
以下、
図7を参照しながら第2の実施形態に係る燃料ガス供給システムについて詳細に説明する。
【0041】
図7は、第2の実施形態に係る燃料ガス供給システムの機能構成を示す図である。
図7に示す第2の実施形態に係る燃料ガス供給システム100の機能構成のうち、第1の実施形態と同一の機能構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
なお、第2の実施形態に係るバイアス出力部39は、第1の実施形態と同様に、通知信号TRPの入力を受け付けた場合に、直ちに、一定のバイアス値BIAS(BIAS>0)を一定時間t1(例えば、t1=5sec)だけ出力する。しかし、本実施形態に係るバイアス出力部39は、一定時間t1経過後、即座に(ステップ状に)バイアス値BIASの出力を停止する点で第1の実施形態と異なる。
【0042】
図7に示すように、第2の実施形態に係る非常時圧力調整部101bは、更に、加算器43と、スイッチ素子45を備えている。
加算器43は、バイアス出力部39が出力するバイアス値BIASと、圧力調整器23が出力する第1フィードバック制御値MV1と、を入力して加算する。
スイッチ素子45は、急激な負荷変動の発生を通知する通知信号TRPを受け付けた際に起動して第1フィードバック制御値MV1を取り込んでこれをそのままトラッキング値TRKとして圧力調整器23に戻す。これにより、主圧力調整部101aは、第1フィードバック制御値MV1に基づくフィードバック制御を停止するとともに、圧力計25を通じてヘッダタンク13の圧力(実吐出圧力PV1)を取得し、当該実吐出圧力PV1に応じた第1フィードバック制御値MV1をトラッキングし続ける。
【0043】
また、スイッチ素子45は、バイアス出力部39が一定のバイアス値BIAS(>0)を出力する期間の経過後、第1フィードバック制御値MV1のトラッキングを終了し、圧力調整器23に基づくフィードバック制御を再開する。その際、スイッチ素子45は、加算器43で算出された算出値、即ち、トラッキング中であった第1フィードバック制御値MV1とバイアス値BIASとの合計値を圧力調整器23に伝送し、その直後にフィードバック制御を再開する。これにより、主圧力調整部101aは、圧力調整器23によるフィードバック制御を再開する際に、バイアス値BIASに相当する開度だけ開放方向に推移するようにIGV5及びASV7の開度を調整した段階からフィードバック制御を再開する。
【0044】
このように、非常時圧力調整部101bは、通知信号TRPの入力を受け付けた時刻から一定時間の経過後、バイアス加算制御値MV3’をアンチサージ弁制御値MV3に戻すと同時に、バイアス値BIASを第1フィードバック制御値MV1に加算する処理を行う。また、主圧力調整部101aは、上記一定時間の経過後、フィードフォワード制御値MV0と、バイアス値BIASが加算されたフィードバック制御値MV1と、に基づいてIGV5及びASV7のフィードバック制御を再開する。
【0045】
ここで、第2の実施形態の場合、上述したように、バイアス出力部39は、急激な負荷変動が発生してから一定時間t1が経過してフィードバック制御を再開する際に、ステップ状にバイアス値BIASをゼロに設定する。しかし、フィードバック制御値MV1に何らの手当てを施さない場合、バイアス値BIASがゼロとなったタイミングで、バイアス値BIAS(BIAS>0)に従って強制的に開かれていたASV7が急閉し、実吐出圧力PV1がステップ状に上昇してしまうことが想定される。そうすると、主圧力調整部101aがフィードバック制御に遷移したタイミングで、吐出圧力の推移に継ぎ目(オーバーシュート、アンダーシュート等の変動)が発生し、完全に安定するまでに時間を要する。
そこで、第2の実施形態に係る燃料ガス供給システム100は、フィードバック制御を再開する直前において、非常時圧力調整部101bが、圧力調整器23に向けて、バイアス値BIAS(>0)と、第1フィードバック制御値MV1と、の合計値(MV1+BIAS)を受け渡す。そして、圧力調整器23は、フィードバック制御の開始時において、受け渡された合計値(MV1+BIAS)に基づいて、IGV5及びASV7の開度を調整する。
このようにすることで、IGV5及びASV7は、フィードバック制御の再開時において、バイアス値BIAS(>0)に相当する分だけ開度が大きくなるように制御される。したがって、ASV7を強制的に開放していたバイアス値BIASがゼロに遷移した場合であっても、当該遷移と同時に再開されるフィードバック制御において、バイアス値BIASに相当する分だけ開度が大きくなるため、吐出圧力に与える影響が互いに相殺されて、結果として吐出圧力を継ぎ目なく遷移させることができる。
【0046】
以上より、燃料ガス供給システム100は、通常のフィードバック制御に復帰する際に、吐出圧力の推移に継ぎ目を生じさせないように連続的に遷移させることができる。また、バイアス出力部39がバイアス値BIASを一定のレートで徐々に低減させる必要がなくなるため、バイアス出力部39の制御を簡素化することができる。
【0047】
<第3の実施形態>
以下、
図8を参照しながら第3の実施形態に係る燃料ガス供給システムについて詳細に説明する。
図8は、第3の実施形態に係る燃料ガス供給システムの機能構成を示す図である。
図8に示す第3の実施形態に係る燃料ガス供給システム100の機能構成のうち、第1の実施形態と同一の機能構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0048】
図8に示すように、第3の実施形態に係る燃料ガス供給システム100の非常時圧力調整部101bは、強制開制御部47を備えている。
強制開制御部47は、流量調整器35に向けて所定の強制開制御値MV5を流量調整器35に出力する。強制開制御値MV5は、ASV7を強制的に一定以上の開度(例えば、ASV開度5%)にさせる制御値である。本実施形態に係る強制開制御値MV5は、ASV7を強制的に開状態としながら、更にフィードフォワード制御値MV0を取り込んで、当該フィードフォワード制御値MV0(即ち、負荷変動時の負荷の目標値)に応じた適切な開度に設定する。ここで、強制開制御部47は、例えば、関数発生器29が規定する関数(
図4参照)に基づいてASV7を制御してもよい。ただし、強制開制御部47は、上述したように、フィードフォワード制御値MV0が如何なる値であったとしても、常に、ASV7がゼロより大きい最低限の開度に設定される制御値を出力する。
【0049】
本実施形態に係る流量調整器35は、通常時(負荷が安定している状態)においては、第1、第2の実施形態と同様に、流量計37を通じて計測される圧縮機1の吐出流量(実吐出流量PV2)と設定流量SV2との偏差に基づき演算した第2フィードバック制御値MV4に基づいてASV7の開度を調整する。しかし、本実施形態に係る流量調整器35は、急激な負荷変動が生じたことを通知する通知信号TRPの入力を受け付けた場合に、第2フィードバック制御値MV4の出力を停止して、代わりに、強制開制御部47から受け付ける強制開制御値MV5を高位選択部31に出力する。高位選択部31は、強制開制御値MV5及びアンチサージ弁制御値MV3のうちいずれか高い方を選択してASV7の開度を調整する。したがって、仮に、アンチサージ弁制御値MV3が閉塞状態(開度0%)であったとしても、その場合は、開度0%より大きい値を有する強制開制御値MV5が選択される。
【0050】
また、流量調整器35は、予め規定された所定時間(例えば、5sec)だけ強制開制御値MV5を出力した後、再度、第2フィードバック制御値MV4の出力に切り替える。このとき、流量調整器35は、強制開制御値MV5から第2フィードバック制御値MV4まで、所定時間内に一定のレートで徐々に近づくように推移させてもよい。
【0051】
以上、第3の実施形態に係る燃料ガス供給システム100によれば、非常時圧力調整部101bは、急激な負荷変動が生じた場合には、強制開制御部47が出力する強制開制御値MV5に基づいてASV7の開度を制御する。したがって、当該負荷変動がいかなる特性であったとしても、常にASV7が開放されるので、圧縮機1の吐出圧力が一定に保たれるような制御の応答特性を高めることができる。
【0052】
また、第3の実施形態に係る燃料ガス供給システム100によれば、非常時圧力調整部101bは、強制開制御部47を通じて直接的にASV7を開放させるので、確実かつ迅速にASV7を開放させることができ、より高い応答特性で圧力調整を行うことができる。
【0053】
なお、第3の実施形態においては、第2フィードバック制御値MV4がアンチサージ弁を制御するアンチサージ弁制御値に相当し、強制開制御値MV5がフィードフォワード制御値MV0にゼロより大きいバイアス値BIASが加算されたバイアス加算制御値に相当する。
【0054】
なお、第3の実施形態に係る燃料ガス供給システム100の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。例えば、強制開制御部47は、フィードフォワード制御値MV0ではなく、中間制御値MV2の入力を受け付けて、当該中間制御値MV2に基づいてASV7の開度を決定してもよいし、単に予め規定されたゼロ以上の固定の開度となるように制御してもよい。
【0055】
以上、上述の各実施形態及び変形例に係る制御装置101によれば、負荷機器における急激な負荷変動が生じた場合における圧力の変動をより早急に安定化させることができる。
【0056】
なお、上述の制御装置101は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した制御装置101の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)または半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0057】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。