(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部入力された映像信号を分析すると共に、この分析の結果に基づいて、当該映像信号に画質調整用の変換処理を施した上でこれを映像表示部に向けて送出し、且つこの映像表示部を背面から照らすバックライトにかかる駆動制御信号を生成し送信する映像信号処理回路であって、
前記映像信号の明暗の度合を数値化した特徴値を算出する特徴値算出部と、
この特徴値と当該特徴値により特定される閾値とに基づいて前記映像信号の階調の変換処理を実行する階調変換処理部と、を有し、
前記階調変換処理部は、
前記特徴値と予め設定された変換係数とをもとに構成される閾値算定式に基づいて前記閾値を算定する階調変換閾値算定手段と、
前記映像信号の内で前記閾値以上の階調である領域を対象として、線形的に増加する一次関数に基づく階調変換を施す階調変換手段と、を有し、
前記閾値をXa,前記特徴値をRank,前記変換係数をαとした場合に、
前記閾値算定式は、「Xa =α^( 1 / 2.2 ) ×Rank」なる数式にて表されることを特徴とした映像信号処理回路。
外部入力された映像信号を分析すると共に、この分析の結果に基づいて、当該映像信号に画質調整用の変換処理を施した上でこれを映像表示部に向けて送出する階調変換処理部と、この映像表示部を背面から照らすバックライトにかかる駆動制御信号を生成し送信する輝度制御回路部と、を有する映像信号処理回路にあって、
前記映像信号の明暗の度合を数値化した特徴値を前記輝度制御回路部が算出し、
この特徴値と予め設定された変換係数とをもとに構成される閾値算定式に基づいて前記映像信号の階調の変換にかかる閾値を前記階調変換処理部が算定し、
前記映像信号の階調が前記閾値以上であるか否かを前記階調変換処理部が判定し、
前記閾値以上である旨判定した場合に、線形的に増加する一次関数に基づく階調変換を前記階調変換処理部が当該映像信号に施すようにし、
前記階調変換処理部は、前記閾値の算定に際しては、前記閾値をXa,前記特徴値をRank,前記変換係数をαとした場合に、「Xa =α^( 1 / 2.2 ) ×Rank」なる数式にて表される閾値算定式に基づいて、当該閾値の算定を実行することを特徴とした映像信号処理方法。
外部入力された映像信号を分析すると共に、この分析の結果に基づいて、当該映像信号に画質調整用の変換処理を施した上でこれを映像表示部に向けて送出し、且つこの映像表示部を背面から照らすバックライトにかかる駆動制御信号を生成し送信する映像信号処理回路にあって、
前記映像信号の明暗の度合を数値化した特徴値を算出する特徴値算出手段、
この特徴値と予め設定された変換係数とをもとに構成される閾値算定式に基づいて前記映像信号の階調の変換にかかる閾値を算定する階調変換閾値算定手段、
前記映像信号の階調が前記閾値以上であるか否かを判定する階調判定手段、
この階調判定手段にて前記閾値以上である旨判定した場合に、線形的に増加する一次関数に基づく階調変換を当該映像信号に施す線形的階調変換手段、
を設けると共に、
前記階調変換閾値算定手段による閾値の算定に際しては、前記閾値をXa,前記特徴値をRank,前記変換係数をαとした場合に、「Xa =α^( 1 / 2.2 ) ×Rank」なる数式にて表される閾値算定式に基づいて、当該閾値算定を実行する構成とし、
これら各手段の実行内容をコンピュータに実現させるようにしたことを特徴とする映像信号処理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1実施形態〕
本発明にかかる映像信号処理回路及び映像表示装置の第1実施形態を、
図1乃至
図5に基づいて説明する。
【0030】
(基本的構成)
図3に示すように、外部に向けて映像を表示する液晶パネル等の映像表示部20を備えた映像表示装置100は、DC-DCコンバータ等の電源生成回路11,及び各種信号等の配列変換や水平垂直同期信号の生成・送信等といった映像表示部20への映像表示にかかる信号処理を行う映像信号処理回路12が装備された信号処理基板10と、電源生成回路11に向けて電源を供給する電源供給源13と、映像信号処理回路12に映像信号を供給する映像信号供給源14と、映像信号処理回路12から伝送される各処理後の映像信号を映像表示部20に供給する表示部駆動ドライバ21と、映像信号処理回路12から送信される水平垂直同期信号を映像表示部20に供給する表示部走査用ドライバ22と、を有している。
【0031】
加えて、映像信号処理回路12は、表示部駆動ドライバ21に対しても水平垂直同期信号を送信し、これを表示部駆動ドライバ21が、上記各処理後の映像信号と共に映像表示部20に供給するという構成を採っている。
【0032】
電源生成回路11は、映像信号処理回路12や表示部駆動ドライバ21・表示部走査用ドライバ22といった各種ICを駆動するための電源を生成するという構成を採っている。
すなわち、映像信号処理回路12は、電源生成回路11から供給される電源を使用して、外部入力された映像信号を表示部駆動ドライバ21に伝送するためのデータ配列変換や、各ドライバを駆動させるための同期信号やPWM信号(B/L駆動用PWM信号)等の生成・送信を行うように構成され、同様に、表示部駆動ドライバ21及び表示部走査用ドライバ22も、電源生成回路11から供給される電源をもとに各々の処理内容を実行するように構成されている。
【0033】
また、映像表示装置100は、映像を映す際に必要な光源であるバックライト(B/L)30と、映像信号処理回路12から送信される駆動制御信号に基づいてバックライト30の駆動(点灯等)にかかる制御を行うB/L駆動制御回路31Aを装備したB/L駆動制御用基板31と、このB/L駆動制御回路31Aに電源を供給するB/L用電源供給源32と、を有している。
【0034】
すなわち、映像信号処理回路12は、バックライト30の輝度を有意に低減させるための駆動制御信号であるPWM信号を生成すると共にこれをB/L駆動制御回路31Aに送信し、B/L用電源供給源32から供給された電源により駆動するB/L駆動制御回路31Aが、映像信号処理回路12からのPWM信号に示された輝度量にてバックライト30を点灯させるように構成されている。
【0035】
本第1実施形態にかかる映像表示装置100は、外部入力された映像信号を分析すると共に、この分析の結果に基づいて、当該映像信号に画質調整用の変換処理を施した上でこれを映像表示部20に向けて送出し、且つこの映像表示部20を背面から照らすバックライト30にかかる駆動制御信号を生成し送信する映像信号処理回路12に、特に技術的な特徴が存するため、続いては、
図1及び
図2を参照して、映像信号処理回路12にかかる具体的構成内容を説明する。
【0036】
図2に示すように、映像信号処理回路12は、映像信号供給源14から入力される映像信号の1フレーム中の特徴値及び1フレーム中の階調の最大値を算出する特徴値・最大値算出手段41と、この特徴値・最大値算出手段41にて算出した特徴値を用いてバックライト30の輝度低減量を示すPWM信号を生成し送信する駆動制御信号生成処理手段42と、この駆動制御信号生成処理手段42から受信したPWM信号に従ってB/L駆動制御回路31Aが低減させる輝度(輝度低減量)を補完するためのガンマ変換等を実行する階調変換処理回路部51と、を有している。
【0037】
また、特徴値・最大値算出手段41と駆動制御信号生成処理手段42とを含む構成を輝度制御回路部40と指称する。この輝度制御回路部40では、特に、外部入力された映像信号に基づくバックライト30の輝度制御にかかる各処理が実行されるように構成されている。
【0038】
ここで、前述した特徴値(映像信号の特徴値)とは、映像信号供給源14から入力された1フレーム分の映像信号が「全体的に明るい映像信号であるか・全体的に暗い映像信号であるか」という情報を少なくとも1つ以上の数値で表したものであり、例えば、映像信号の階調の平均値と最大値とを四則演算を用いて多項式化した数式等に基づいて算出される。
【0039】
本第1実施形態における特徴値・最大値算出手段41は、入力された1フレーム分の映像信号の全体的な明るさの度合を示す段階的な数値を特徴値として算出するように構成されている。すなわち、特徴値・最大値算出手段41は、入力された映像信号における1フレーム分全体の明暗の度合を数値化した特徴値を算出するという構成を採っている。
【0040】
この特徴値の大きさは、映像信号の階調の平均値や最大値等に基づく数式等に依拠して決まり、特徴値・最大値算出手段41は、入力された映像信号が明るいほど大きな数値を算出するように構成されている。
【0041】
また、特徴値・最大値算出手段41に、入力された1フレーム分の映像信号が全体的に明るい映像信号であるか否かを判定する明暗判定機能(図示せず)を設けるという構成を採ってもよい。この場合、該明暗判定機能にて全体的に明るい旨又は暗い旨を判定した特徴値・最大値算出手段41は、それぞれの判定結果に応じて、相対的に大きな値又は小さな値を上記特徴値として算出するように構成される。
【0042】
全体的に明るい映像信号であることから大きな値として算出された特徴値を特徴値・最大値算出手段41から取得した場合に、駆動制御信号生成処理手段42は、画像(画質)の視認性を落とさないようにバックライト30の輝度低減量を小さくするように制御するという構成を採っている。すなわち、かかる場合に駆動制御信号生成処理手段42は、B/L駆動制御回路31Aに対してバックライト30の輝度低減量を小さくする旨のPWM信号(駆動制御信号)を伝送するように構成されている。
【0043】
一方で、全体的に暗い映像信号であることから小さな値として算出された特徴値を特徴値・最大値算出手段41から取得した場合に、駆動制御信号生成処理手段42は、バックライト30の輝度低減量を大きくするように制御するという構成を採っている。すなわち、かかる場合に駆動制御信号生成処理手段42は、B/L駆動制御回路31Aに対してバックライト30の輝度低減量を大きくする旨のPWM信号(駆動制御信号)を伝送し、これにより、電力消費を抑えるという構成を採っている。
【0044】
したがって、特徴値・最大値算出手段41にて特徴値が算出されると、これを受けた駆動制御信号生成処理手段42が、バックライト30の輝度の低減量(輝度低減量)を当該特徴値に基づいて決定すると共に当該決定に則したバックライト30の輝度量を示すPWM信号を伝送し、これを受けたB/L駆動制御回路31Aが、該PWM信号に従ってバックライト30の輝度を低減させる制御を行うように構成されている。
【0045】
しかしながら、このようにしてバックライト30の輝度を低減させる制御のみを行ったのでは、単純に映像信号全体を暗くすることに他ならないため、画像の視認性が低下してしまうという問題が生じる。
【0046】
そこで、本第1実施形態では、駆動制御信号生成処理手段42が上記により決定したバックライト30の輝度低減量に対応づけて、階調変換処理回路部51が映像信号の階調を本来の階調よりも上げることにより、パネルの透過率を上昇させる(調整する)という構成を採用した。
【0047】
具体的には、特徴値・最大値算出手段41によって算出された特徴値を、駆動制御信号生成処理手段42と階調変換処理回路部51との双方が共通に用いることにより、バックライト30の輝度低減量と階調変換処理との対応づけを実現するという構成を採っている。また、階調変換処理回路部51は、外部入力された映像信号の階調に応じて階調変換にかかるガンマ特性を変更するように構成されている。
【0048】
ここで、低減させたバックライト30の輝度を、映像信号の階調変換処理により補完する階調変換処理回路部51の具体的構成内容を、
図1を参照して説明する。
【0049】
図1に示すように、特徴値・最大値算出手段41にて算出した特徴値と当該特徴値により特定される閾値とに基づいて前記映像信号の階調の変換処理を実行する階調変換処理回路部51は、上記特徴値と予め設定された変換係数とをもとに構成される閾値算定式に基づいて階調の変換にかかる閾値を算定する階調変換閾値算定手段61と、この階調変換閾値算定手段61にて算定した閾値に基づいて映像信号供給源14から供給される映像信号の階調を変換する階調変換手段71と、この階調変換手段71にて階調変換が施された映像信号(変換後映像信号)に対して有意な円滑化処理(スムージング処理)を施す円滑化処理手段(スムージング処理回路)81と、ガンマ変換後の階調の分解能を確保するための処理を必要に応じて行う多階調化手段(多階調化回路)91と、を有している。
【0050】
階調変換手段71は、外部入力された映像信号の階調が、上記閾値以上である場合に、線形的に増加する一次関数に基づく階調変換を当該映像信号に施し、上記閾値よりも小さい場合、上記特徴値又はバックライト30の輝度低減量をもとに構成された幾何級数的に増加する関数に基づく階調変換を当該映像信号に施すように構成されている。
【0051】
すなわち、階調変換手段71は、外部入力された映像信号の内で上記閾値以上の階調である領域を対象として、線形的に増加する一次関数に基づく階調変換を施し、外部入力された映像信号の内で上記閾値よりも小さい階調である領域を対象として、上記特徴値をもとに構成された幾何級数的に増加する関数に基づく階調変換を施す、という構成を採っている。
【0052】
また、上記幾何級数的に増加する関数と線形的に増加する一次関数とは、上記閾値に位置する境界部にて連続するという構成を採っている。
【0053】
より具体的に階調変換手段71は、入力された映像信号の階調(階調値)と階調変換閾値算定手段61にて算出した閾値とを比較することで、予め設定された複数の階調変換式の内から何れか1つを選定すると共に、この選定結果に従って映像信号を送信する階調変換式選定機能71Aを有し、本第1実施形態では、上記階調変換式として、後述する第1階調変換式(下記式9)と第2階調変換式(下記式11)とを採用した。
【0054】
また、階調変換手段71は、階調変換式選定機能71Aから映像信号を受け取って、第1階調変換式(輝度低減量を補完するための係数を含む階調変換式)に基づく階調変換(輝度低減量に応じた階調変換)を行う第1の階調変換機能71Bと、第2階調変換式に基づく階調変換を行う第2の階調変換機能71Cと、を有している。
【0055】
ここで、階調変換閾値算定手段61は、特徴値・最大値算出手段41から取得した特徴値及び最大値を、階調変換手段71の階調変換式選定機能71Aに受け渡すように構成され、この階調変換式選定機能71Aは、上記映像信号と共に、第1の階調変換機能71Bに対しては該特徴値を、第2の階調変換機能71Cに対しては該最大値を、それぞれ送信するという構成を採っている。
また、階調変換閾値算定手段61は、第2の階調変換機能71Cに対して上記により算定した閾値を送信するように構成されている。
【0056】
すなわち、階調変換手段71は、階調変換式選定機能71Aにて階調変換に用いる階調変換式を選定し、第1の階調変換機能71B又は第2の階調変換機能71Cにて、実際に入力された映像信号の階調を変換するように構成されている。
【0057】
バックライト30の輝度を落とした分を階調変換により補完する場合、本来は、バックライト30の輝度低減量(例えば25%)に相当する補完を、全ての入力された映像信号の階調(以下、入力階調と指称する)に対して、1つの階調変換式等に基づく一律な階調変換を施すことにより実現することが望ましい。
【0058】
しかしながら、例えば、画面の一部にでも高階調領域である254階調や255階調が入力されている場合に、こうした一律な階調変換を実施したならば、254階調については255階調に変換される余地があるものの、255階調については、それ以上の階調値が存在しないため階調変換が不可能であることから、255階調のまま維持されることとなる。
すなわち、このような高階調領域を考慮せずに一律な階調変換を行ったのでは、入力される階調がある階調以上から全て同じ階調になってしまうという、いわゆる階調潰れが生じてしまうため、著しい画質劣化を招くこととなる。
【0059】
そこで、本第1実施形態では、上述したように、バックライト30の輝度低減量を、上記2つの階調変換式に基づく階調変換により階調変換手段71が補完するという構成を採用した。すなわち、階調変換手段71にて行う階調変換に対してある閾値を設けると共に、入力階調が該閾値よりも小さい場合には、輝度低減量に応じた階調変換による補完を実施し、入力階調が該閾値を超えた場合には、階調潰れ等を回避するために、上記補完とは異なる別の階調変換方法を用いた階調変換を実施するという構成を採用した。
【0060】
この階調潰れ等を回避するために用いる階調変換方法として、本第1実施形態では、最大表現階調(例えば8bit入力の場合は255)と階調変換閾値算定手段61が算定した閾値とを結んだ直線又は曲線に基づく階調変換を行うという方法を採り、これにより、階調変換後において、閾値から最大階調までの範囲にある階調が同一階調とならないという階調変換処理(元々の入力階調が同一階調である場合を除く)が可能となった。
【0061】
円滑化処理手段81は、階調変換閾値算定手段61が算定した閾値の近傍に予め設定された円滑化領域に外部入力された映像信号の階調が属するか否かを判定すると共に、当該円滑化領域に属する旨判定した場合に、上記閾値と入力階調との差分に基づいて円滑化係数を算出してこれを当該映像信号の階調から減算し、当該円滑化領域に属しない旨判定した場合に、当該映像信号をそのまま出力するように構成されている。
【0062】
(具体的構成)
上述した通り、本第1実施形態では、特に、映像信号の特徴値に基づいて決定されたバックライト30の輝度低減量を階調変換等により補完する階調変換処理回路部51が有効に機能するため、これにより、低消費電力化を図ると共に画質劣化等を抑制することが可能となる。
【0063】
そこで、以下では、上記階調変換等にかかる階調変換処理回路部51のより詳細な構成内容を、具体的な数値等を例示して説明する。ここでは、入力される映像信号の階調表現数(階調数)が8bit(階調値は0〜255の値)である場合を想定する。
【0064】
バックライト30の輝度低減量は、入力された映像信号における、ある1フレーム中の特徴値(以下Rankとも指称する)と、ある1フレーム中に表示可能な最大階調数(以下f(n)とも指称する)とに基づいて、駆動制御信号生成処理手段42が決定するように構成されている。
本第1実施形態では、低減後の輝度量を示すPWM(PWM値)を、駆動制御信号生成処理手段42が下記式1に基づいて生成するという構成を採っている。
【0065】
〔数1〕PWM = ( Rank / f(n) )^2.2 … (1)
【0066】
Rankとは、前述の通り、映像信号の1フレーム中における特徴値(8bitであれば0〜255の値)のことであり、f(n)は1フレーム中に表示可能な最大階調数(2^n - 1:nは階調表現数)を表す(f(n) = 2^n - 1)。以下においても同様とする。
本第1実施形態のように、予め設定された階調表現数が8bit(n=8)の場合では、最大階調数f(8) = 255となる。
【0067】
ここで、上記式1により直接的に算出されるPWM(PWM値)とは、バックライト30の輝度量の割合を示す値(%)である。例えば、Rank = 224であればPWMは75%と決まるため、この時のバックライト30の輝度低減量は25%となる。
すなわち、輝度量を示すPWMと輝度低減量との間には「輝度低減量(%)= 100 - PWM」なる関係が成立するため、PWM信号は、輝度低減量を示す駆動制御信号であるともいえる。
【0068】
次に、階調変換閾値算定手段61による閾値の算出にかかる具体的構成内容を説明する。
まず、前述した階調の変換にかかる閾値をXaとし、閾値(Xa)の階調における相対輝度値をαとした場合、この係数αは下記式2で表すことができ、この式2に上記式1を代入すると下記式3のように表せる。さらに、この式3を解くことで、閾値(Xa)を算出するための下記式4(閾値算定式)が得られる。
【0069】
〔数2〕α ={( Xa / f(n) )^2.2 }× ( 1 / PWM ) … (2)
【0070】
〔数3〕α ={( Xa / f(n) )^2.2 }× ( f(n) / Rank )^2.2 } … (3)
【0071】
〔数4〕Xa =α^( 1 / 2.2 ) × Rank … (4)
【0072】
本第一実施形態では、この式4に示す係数αが、前述した変換係数として予め設定されるように構成されている。すなわち、階調変換閾値算定手段61は、予め設定された変換係数(α)と特徴値・最大値算出手段41から取得した特徴値(Rank)とをもとに上記式4に基づいて、階調の変換にかかる閾値(Xa)を算出するように構成されている。
【0073】
続いて、本第1実施形態の階調変換方法にかかるグラフを例示した
図4を参照して、階調変換手段71が行う階調変換処理にかかる構成を具体的に説明する。
【0074】
ここに示す各グラフは、横軸にとった入力階調と縦軸にとった映像表示部20の相対輝度(最大輝度を1としたときの相対輝度)との関係を示すものであり、破線で示した曲線は、γ=2.2のときの階調特性を示すガンマ曲線である。
これに対して、本第1実施形態の階調変換方式にかかる入力階調と相対輝度との関係は、原点Oから閾値(Xa)までの領域(第1階調領域)に示す曲線と、閾値(Xa)から最大階調数までの領域(第2階調領域)に示す直線とで表すことができる。この
図4は、PWM=75%の時の階調変換方式を例示したものである。
【0075】
また、入力階調が閾値(Xa)よりも小さい場合(Xa>入力階調)に階調変換手段71が用いる第1階調変換式と、入力階調が閾値(Xa)以上の場合(Xa ≦ 入力階調)に階調変換手段71が用いる第2階調変換式とは、それぞれ下記式5と式6とで表すことができる。この式6におけるMAXとは、映像信号のある1フレーム中における階調の最大値のことある。
【0076】
〔数5〕相対輝度 = ( 1 / PWM ) × ( 入力階調 / f(n) )^2.2 … (5)
【0077】
〔数6〕相対輝度 ={( 1 - α ) / ( MAX - Xa )}× ( 入力階調 - MAX ) + 1 … (6)
【0078】
上記式5(第1階調変換式)は、入力階調と階調表現数(n)とに依拠した値に対してPWMの逆数(輝度低減量を補完するための係数)を積算するという構成を採った幾何級数的に増加する関数であり、すなわち、第1の階調変換機能71Bが第1階調変換式に基づいて行う階調変換により、輝度低減量に相当する分の補完を実現することを意味する。
【0079】
また、上記式6(第2階調変換式)は、高階調側の入力階調を潰さないために(高階調側で階調潰れが起こらないために)、映像信号の1フレーム中における最大階調(最大階調数:ここでは255)から閾値(Xa)までを線形的に繋いだ構成を採っている。
すなわち、線形的に増加する一次関数を示す第2階調変換式(閾値と最大値とをもとに構成された階調変換式)は、閾値(Xa)の階調から予め設定された階調表現数によって定まる最大階調までを真っ直ぐに結んだ直線を表すように構成されている。
【0080】
さらに、各階調変換式は、各々の境界に位置する端部(境界部)において連続するという構成を採っている。すなわち、これらを示したグラフは、
図4に示す通り連続的に接続されており、階調抜けがないように構成されている。この連続したグラフ全体を、便宜上、階調変換曲線と指称する。
【0081】
このように、映像信号の1フレーム中における階調に応じて2つの階調変換式を使い分けるという構成を採用したため、画質劣化を最小限に抑えると共に、バックライト30の輝度を有意に低減させることが可能となる。
【0082】
バックライト30の輝度の低減処理及びこれに対応づけて行う階調変換の原理(輝度制御の原理)は前述の通りである。しかしながら、相対輝度を介して計算を実施する上記式5及び式6に基づいて回路を構成した場合、その回路の規模が大きくなってしまう。
そこで、入力階調に対して出力階調(出力する映像信号の階調)を直接得るための階調変換式を、前述の原理に基づいて導出する。
【0083】
相対輝度(相対輝度値)は、出力階調及び上記f(n)を用いることで下記式7のように表すことができ、これを適用すると、上記式5は下記式8のように表すことができる。
【0084】
〔数7〕相対輝度 = ( 出力階調 / f(n) )^2.2 … (7)
【0085】
〔数8〕( 出力階調 / f(n) )^2.2 = ( 1 / PWM ) × ( 入力階調 / f (n) )^2.2 … (8)
【0086】
さらに、上記式1を用いてこの式8を整理することで、第1階調変換式(Xa>入力階調)を、上記式5に代えて下記式9のように表すことができる。
【0087】
〔数9〕出力階調 = ( f(n) / Rank ) × 入力階調 … (9)
【0088】
第2階調変換式についての相対輝度も、上記同様に「相対輝度 = ( 出力階調 / MAX )^2.2」なる数式で表すことができるが、これと上記式6とを組み合わせた場合、左辺に相当する「( 出力階調 / MAX )^2.2」のみが指数関数となるため、計算が煩雑となる。
【0089】
そこで、本第1実施形態では上記相対輝度を、「( 出力階調 / MAX ) ^ 2.2」ではなく、線形近似式を用いた下記式10により表した。
ここで、X2.2とは、γ=2.2のガンマ曲線上において相対輝度がαの時の階調値(相対輝度αに対応する階調値)である。
【0090】
〔数10〕相対輝度 ={( 1 - α ) / (f(n) - X2.2 )} × ( 出力階調 - f(n) ) + 1 … (10)
【0091】
さらに、上記式6と式10とを用いて上記同様に整理することで、第2階調変換式(Xa≦入力階調)を、式6に代えて下記式11のように表すことができる。
【0092】
〔数11〕出力階調 = f(n) +{( f(n) - X2.2 ) / ( MAX - Xa )} × ( 入力階調 - MAX ) … (11)
【0093】
以上の内容をまとめると、階調変換閾値算定手段61は、階調変換にかかる閾値の算定処理を上記式4に基づいて実行し、階調変換手段71は、「Xa>入力階調」の条件を具備する場合に上記式9に基づく階調変換を実行し、「Xa≦入力階調」の条件を具備する場合に上記式11(閾値と最大値とをもとに構成された階調変換式)に基づく階調変換を実行するように構成されている。
【0094】
この式9及び式11は何れも、指数関数を使わない簡単な数式で構成されている。したがって、これらの数式に基づいて階調変換手段71にかかる回路を構成した本第1実施形態では、極めて小規模な回路構成によって有意な階調変換処理を実現することができる。
【0095】
また、αの値に関しては、後述する画質確認の結果、α=0.6が最適な値であることが分かった。
ここで、α=0.6と決めて固定値とした場合、上記式4は近似的に下記式12で表すことができ、これは下記式13のように書き換えることもできる。
【0096】
〔数12〕Xa = ( 203 / 256 ) × Rank … (12)
【0097】
〔数13〕Xa = ( 203 × Rank ) / 256 … (13)
【0098】
この式13(閾値算定式)によると、閾値(Xa)の値は、Rankと203の乗算1回と、2のn乗(256=2^8)による除算1回とによって生成することができる。また、上記式13に基づいて実際に回路を作成する場合、乗算器は1つで足り、2のn乗による除算については、bitシフトが適用できるため実質除算器は不要となる。
したがって、本第1実施形態では、階調変換閾値算定手段61を、1個の乗算器と1個のレジスタ(シフトレジスタ)とによって構成することができ、すなわち、極めて小規模な回路構成によって有意な閾値(Xa)を算定することができる。
【0099】
ここで、上記式1乃至式13及びこれら各式を導出するに至った過程等を詳述する。
まず、PWM値を求める式である上記式1では、特徴値(画像特徴値:Rank)を最大階調数(f(n))で割った値を輝度情報に基づいて2.2乗することにより、PWM値を算出するように構成されている。
【0100】
次に、上記式4について説明する。
階調変換の実施により輝度を増加させる場合、全階調の輝度倍率(変換倍率)を一律にすると、ある階調以上の領域において階調潰れが発生することとなる(例えば、255階調に1より大きい輝度倍率をかけると、255より大きな数値となり最大階調数を超えてしまうため、階調表現ができなくなるという問題が生じる)。
【0101】
すなわち、ある特定の地点までは一律の輝度倍率で階調変換を行っても問題はないが、その地点を超えた後においては、階調潰れを有効に回避するために、輝度倍率を減少させる方向へと導くための構成が必要となる。
【0102】
したがって、本第1実施形態では、輝度倍率を減少させるための基準となる境界点を決めると共に、この境界点までは一律の輝度倍率による階調変換(輝度低減量に応じた階調変換)を行い、それ以降は、上記輝度低減量に応じた階調変換よりも輝度倍率を減少させる関数に基づく階調変換を行うという構成を採用することとした。
【0103】
上記基準となる境界点(ある特定の地点)が、上記式4に基づいて階調変換閾値算定手段61が算定する閾値(Xa)のことであり、この閾値(Xa)は、特徴値(Rank)と係数α(閾値の地点に相当する相対輝度値)とにより導き出されるという構成を採っている。
【0104】
続いて、上記式5は、外部入力された映像信号の階調が閾値(Xa)より小さい場合に、輝度倍率が一律になるように構成されたものである。
この式5における「1/PWM」の値がその一律の輝度倍率となる。バックライト30の輝度はPWM値に基づいて低減されることから、PWM値の逆数を輝度倍率とした。例えば、PWM=0.75であれば、バックライト30の輝度は100%に対して75%の値となる(この場合の輝度低減量は25%)。すなわち、この逆数である1.33が輝度倍率となる。
【0105】
一方で、閾値(Xa)を超えた場合においては、閾値(Xa)から最大階調数(ここでは255)までを線形に繋いだ構成に基づく上記式6を採用した。この式6は、
図4に示すように、点(MAX,1)を通り、かつ傾きが「( 1 - α ) / ( MAX - Xa )」の1次関数を表す。
【0106】
このように、上記式6が1次関数(線形)となるように構成した理由としては、以下の2つが挙げられる。
1つは、式を構成する計算を極力簡単なものとすることで、回路規模をより小さくするという目的を達成するためであり、もう1つは、閾値(Xa)の階調よりも高階調側にある画素についての階調潰れを極力なくすことで、画質違和感を発生させないようにするためである。
【0107】
ここで、後者の理由についてより詳しく説明する。
例えば全体的に暗い画像においては、上述したように映像信号の特徴値が小さくなるため、閾値(Xa)も小さな値となるが(式4を参照)、部分的には高階調領域が存在する可能性もある。この高階調領域が同じ階調ではなく僅かな階調差を持っているような場合でも、これを正確に階調表現し、階調潰れとならないようにするために、本第1実施形態では1次関数となる上記式6を採用した。
【0108】
仮に、こうした高階調領域における階調の差が微小である場合には、大きな曲率のある曲線等を採用して階調変換を行ったとしてもさほどの問題は生じない。しかし、実際の映像信号は多種多様であるため、その階調値の差も大小様々である。このため、かかる事情を考慮せずに大きな曲率のある曲線等に基づく階調変換を実行してしまうと、必ず傾きが緩やかになる部分が発生し、その部分において階調潰れが起こりやすくなるという問題が生じる。
【0109】
すなわち、本第1実施形態における映像表示装置100は、階調変換手段71が用いる第2階調変換式に一次関数を採用したことにより、全体的に暗い画像内に僅かな階調差を持つ高階調領域が存在するような場合でも、これをより正確に階調変換することができる。
【0110】
ここで、第1階調変換式又は第2階調変換式を選定する際に階調変換式選定機能71Aが用いる閾値(Xa)の大きさは、有意な階調変換を行う上で極めて重要な要素である。すなわち、閾値(Xa)を高階調側にもって行き過ぎると階調変換後の階調潰れが目立ってしまい、閾値(Xa)を低階調側にもって行き過ぎると消費電力の低減効果が小さくなってしまうという不都合が生じ得る。
【0111】
この閾値(Xa)は、係数αを決定することにより求められることを踏まえると(式4を参照)、この係数αには、画質劣化の抑制と消費電力の低減効果とのバランスを考慮した最適な値を予め設定しておく必要がある。
【0112】
そこで、係数αの最適値を選定するために、画像の中の明るい部分(高階調部分)に着目して、階調変換を実施する前の画像の明るい部分と階調変換を実施した後の画像の明るい部分とを見比べることにより、画質違和感(階調潰れ)の極力無いポイントを模索し、これにより得た上記最適値を本第1実施形態における係数αの値として採用した。この係数αの最適値は、前述した通り0.6(α=0.6)であった。
【0113】
上記式7乃至式11は、前述した通り、上記式5及び式6における相対輝度値を階調値に改めて数式化したものである。
【0114】
上記式12及び式13は、α=0.6とした場合に、上記式4が「Xa = 0.6^(1/2.2) × Rank」すなわち「Xa = 0.796 × Rank」となることをもとに導出したものである。
【0115】
この式13の導出は、画質確認の結果をもとに、係数αの最適値である0.6を採用して行ったが、αの値を任意に決めた場合においても、閾値(Xa)を算出するための数式は、上記式13と同様の形に改めることができる。
すなわち、下記式14にて定義されたβを用いることで下記式15のように表すことができる。この式14によるβの算出に際して生じた小数部分は切り捨てるものとする。
【0116】
〔数14〕β = 256 × α^( 1 / 2.2 ) … (14)
【0117】
〔数15〕Xa = ( β × Rank ) / 256 … (15)
【0118】
したがって、本第1実施形態において、係数αの値を任意に決めるという構成を採る場合には、階調変換閾値算定手段61を、上記式14により整数としてβを算出すると共に、これを上記式15に適用して閾値(Xa)を算定するように構成する。
【0119】
この式14及び式15を用いれば、係数αとして如何なる値を設定したとしても、閾値(Xa)の値を、特徴値(Rank)と整数(β)との乗算1回、及び2のn乗(256=2^8)による除算1回によって生成することができるため、実際に、乗算器1個とレジスタ1個とを有する簡易な構成の回路によって閾値(Xa)の値を有意に算出することが可能となる。
以上の内容が、上記式1乃至式13,式14及び式15の導出に至った過程等である。
【0120】
本第1実施形態において、階調変換処理回路部51の回路構成にかかる式13,式9,及び式11は、計算が煩雑となり回路規模が大きくなる指数関数を含むことなく、全て加算・減算・乗算・除算の四則演算のみで構成されている。
また、数式中の各パラメータは、予め決められた固定値、又は入力される映像信号にかかる情報のみから生成された数値である。
【0121】
したがって、式13に基づく簡易な回路を採用した階調変換閾値算定手段61と、2つの簡易な回路にて構成できる階調変換式(式9及び式11)を採用した階調変換手段71と、を有する階調変換処理回路部51によれば、極めて小規模な回路構成によって画質劣化を極力抑えた階調変換を実現することが可能となる。
【0122】
次に、円滑化処理手段81が行うスムージング処理の原理及びその必要性について説明する。
【0123】
第1階調変換式(式9)と第2階調変換式(式11)とが繋がる部分は、これら各式の性質の違いに起因して変曲点となる。
ここでの変曲点とは、ひとつながりのグラフ全体をみた場合に、その前後においてグラフの性質が変化する点をいう。
【0124】
本第1実施形態では、
図4のグラフに示す通り、閾値(Xa)に位置する変曲点P(Xa,α)において、第1階調変換式にかかる曲線の接線の傾きと第2階調変換式にかかる直線の傾きとが異なるため、変曲点Pの周辺部分が、若干ではあるが上方に盛り上がった構成となっている。すなわち、この変曲点Pの周辺部分では、第1階調領域における曲線及び第2階調領域における直線の概形に比して円滑さが損なわれている。
【0125】
こうした変曲点が存在すると、例えばグレイスケール表示(縦方向又は横方向に0階調から始まり1階調づつ増えて最大階調まで表示するような画面表示)をした場合などに、この変曲点の階調近傍の階調差が顕著に見え(例えば境界筋のように見える)、すなわち、画質劣化の原因となり得る。
【0126】
かかる画質劣化を未然に防ぐため、本第1実施形態では、第1階調変換式と第2階調変換式とがより円滑に接続され、上記変曲点の周辺部分をより滑らかにするための構成として、
図1に示す通り、階調変換処理回路部51内に円滑化処理手段81を設けた。
【0127】
ここでのスムージング処理は、入力階調が閾値(Xa)の近傍にある場合に、上記のように起こり得る画質劣化を抑制するための処理である。ここでは、閾値(Xa)から±A階調以内の範囲(Aは任意の係数:減算の強度と減算領域に相応する係数)をXaの近傍(円滑化領域)として説明する。
【0128】
すなわち、入力階調が「Xa - A ≦ 入力階調 ≦ Xa + A」という円滑化領域にあてはまる場合に、円滑化処理手段81が、変曲点近傍を円滑化するためのスムージング処理を行うように構成され、このスムージング処理は、「入力階調の2乗を有する係数」と「MAXとRankとの差分の係数」とを併せ持った係数(以下、円滑化係数と指称する)を入力階調から減算する、という計算方法に基づくという構成を採っている。
【0129】
円滑化係数(スムージング係数)は、下記式16に基づいて算出することができる。
したがって、映像信号の入力階調が、「Xa - A ≦ 入力階調 ≦ Xa + A 」という円滑化領域に属する場合、又は「入力階調 < Xa - A 又は Xa + A < 入力階調」という条件に該当する場合のスムージング処理にかかる具体的な数式は、それぞれ下記式17又は式18のように表すことができる。
【0130】
〔数16〕円滑化係数 ={( A - | Xa -入力階調 | )^2 } × {( MAX - Rank ) / ( 2^n )} … (16)
【0131】
前述の通り、Xaは階調変換にかかる閾値,MAXは映像信号の1フレーム中における階調の最大値,Rankは映像信号の1フレーム中における特徴値,Aは任意の係数(減算の強度と減算領域に相応する係数),nは任意の係数(8bitの場合の推奨値は8)である。
【0132】
〔数17〕出力階調 = 入力階調 - 円滑化係数 … (17)
【0133】
〔数18〕出力階調 = 入力階調 … (18)
【0134】
例えば、入力階調がXa±b(bは「b≦A」を満たす正の数)であった場合に、上記式16の係数である「( A - | Xa -入力階調 | )^2」は「( A - b )^2」となる。したがって、bの値が大きくなれば「( A - b )^2」が小さくなり、bの値が小さくなれば「( A - b )^2」が大きくなるといえる。
【0135】
すなわち、円滑化係数の構成に、ここでの「入力階調の2乗を有する係数」である「( A - | Xa -入力階調 | )^2」を含むことにより、Xa - A又はXa + Aの階調近くでの減算量を小さくし、Xaに近づくにつれて減算量を大きくするという処理が可能となるため、これにより、変曲点近傍を滑らかにすることができる。
【0136】
また、最大値(MAX)と特徴値(Rank)との差分である「MAX - Rank」を係数に含むことで、この差分が小さい場合には減算量を小さくし、この差分が大きい場合には減算量を大きくするという処理が実現可能となる。
【0137】
最大値(MAX)と特徴値(Rank)との差分が小さいという状況としては、例えば1フレーム中のほとんどの画素が同じ階調である場合、すなわち、ベタ画面(ラスタ画面)のような表示の場合が想定できる。かかる状況下では、そもそもガンマ曲線(γカーブ)の変曲点自体が存在しなくなることからスムージング処理を行う必要がなく、このため、上記のように減算量を小さくしたとしても画質劣化の問題は生じない。
【0138】
このスムージング処理は、階調変換後の処理として組み込むことができ、本第1実施形態では、
図1に示す通り、階調変換手段71から取得した階調変換後の映像信号に対して円滑化処理手段81がこれを施すように構成されている。
【0139】
ここで、上記式16乃至式18の導出に至った過程等を詳しく説明する。
【0140】
上述した通り、スムージング処理は、閾値(Xa)に存する変曲点の近傍を滑らかにすることを目的としたものであり、かかる目的を達成するためには、入力階調に対して、閾値(Xa)に近い位置では減算値を大きくし、閾値(Xa)から離れるに従って徐々に減算値を小さくしていくという処理を行う必要がある。
【0141】
閾値(Xa)からの距離が近いほど減算値を大きくし、閾値(Xa)からの距離が遠いほど減算値を小さくするという処理は、閾値(Xa)からの距離を算出すると共に、この算出した距離を一定値から減算して得た値を2乗するという演算式を用いることで実現することができる。
【0142】
したがって、本第1実施形態では、入力階調が、上記一定値として任意の係数Aを用いた「Xa - A ≦ 入力階調 ≦ Xa + A 」という条件式で表される円滑化領域に属する場合に、閾値(Xa)と入力階調との差分である| Xa-入力階調 |を算出し、これを一定値である係数Aから減算して得た値「A - | Xa -入力階調 |」を2乗するという構成を上記式16に組み込んだ。
【0143】
また、特徴値(Rank)が最大値(MAX)に近い場合にあっては、輝度倍率が低いため変曲点が気にならないことから、減算値自体を小さくしても不都合が生じないため、上記式16を、前述した「( A - | Xa -入力階調 | ) ^ 2」による算出値と(MAX-Rank)の値とを掛け合わせる構成とした。
【0144】
前述の通り、上記式17の減算値は、上記式16によって決まる円滑化係数である。すなわち、この式17は、実際に入力階調から円滑化係数を減算する処理を示す演算式であり、これを用いることで、入力階調と閾値(Xa)との距離が近い場合に、変曲点の近傍を滑らかにすることが可能となる。
【0145】
一方で、入力階調と閾値(Xa)との距離が遠ければ、変曲点近傍への影響はなく、減算処理を行う必要がない。このため、「入力階調 < Xa - A 又は Xa + A < 入力階調」なる条件式を満たす場合のスムージング処理を示す上記式18は、階調変換手段71から取得した映像信号を円滑化処理手段81がそのまま出力するという処理を構成する。
【0146】
以上が、上記式16乃至式18を導出するに至った過程であり、これらの各式は、「Xa - A ≦ 入力階調 ≦ Xa + A 」という条件式を満たすか否かの判定、及びスムージング処理にかかる減算処理に際して円滑化処理手段81が用いるように構成されている。
【0147】
すなわち、円滑化処理手段81は、第1の階調変換機能71B又は第2の階調変換機能71Cの何れか一方から受け取った階調変換後の映像信号の階調(変換後階調)が、予め設定された円滑化領域に属するか否かを判定する閾値近傍判定機能(図示せず)を有すると共に、この閾値近傍判定機能にて該円滑化領域に属する旨判定した場合に、式16及び式17に基づいて映像信号のスムージング処理を実行するように構成されている。
【0148】
ここで、上記式16において、nは固定値であり、かつ2乗は乗算に置き換えられることから、上記式16乃至式18は、四則演算のみで構成されているといえる。また、この式16中の各パラメータは、予め決められた固定値、又は入力される映像信号の情報のみから生成されたものである。すなわち、これら各式に基づいて構成された円滑化処理手段81は、非常に簡易な回路構成を採っている。
【0149】
この円滑化処理手段81を階調変換処理回路部51の構成に含むことで、相互に階調の異なる2つの階調変換式がつなぎ合わされる部分に変曲点が生じることを防止でき、このため、画質をより向上させることが可能となる。
なお、式16乃至18における入力階調とは、円滑化処理手段81に入力される映像信号にかかる入力階調であり、すなわち、階調変換手段71にて階調変換が施された後の映像信号にかかる入力階調(変換後入力階調)を示す。
【0150】
ところで、実際の階調変換を想定すると、ガンマ変換後の階調の分解能を確保するためにFRC(Frame rate control)等を用いた多階調化技術が必要となることもある。このFRCとは、液晶ディスプレイ等のフレームレート(frame rate)を高速で切り替えることにより、人間の目の残像効果を利用して擬似的に発色数を増やすという技術である。
【0151】
本第1実施形態では、かかる事情に鑑みて、階調変換処理回路部51の構成中に、上記FRCにかかる多階調化処理を行う多階調化手段(多階調化回路)91を採用した。
【0152】
例えば、mbit(mは任意の自然数)のFRCをかける場合には、出力階調を2^m倍した分解能を持っておく必要があるが、これは、必要となる分解能に応じて設定した係数を、階調変換にかかる数式中に予め組み込んでおくことで実現可能である。
仮に、2bitFRCを用いることを想定した場合には、上記式9や式11の右辺に4の係数をかけることで分解能を確保することができる。
なお、このようにしても、上記各数式の原理自体が変わるものではないため、階調変換処理の精度に影響は及ばない。
【0153】
(動作説明)
図1乃至
図3に開示した映像信号処理回路12及び映像表示装置100にかかる動作を、
図5及び
図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0154】
ここでは、外部入力された映像信号に応じてバックライト30の輝度を制御するために機能する各回路ブロックにかかる動作を、
図5を参照して説明する。
【0155】
映像表示部20に表示させるための映像信号が映像信号供給源14から入力されると(
図5:S501)、これを取得した特徴値・最大値算出手段41が、映像信号の1フレーム中における明暗の度合を数値化した特徴値(Rank)を、1フレーム中における映像信号全体の明るさに基づいて算出する(
図5:S502)。
【0156】
次いで、この特徴値を受け取った駆動制御信号生成処理手段42が、上記式1に基づいて該特徴値に応じたPWM信号を生成すると共に、これをB/L駆動制御用基板31に設けられたB/L駆動制御回路31Aに送信する(
図5:S503)。
【0157】
これを受けたB/L駆動制御回路31Aは、このPWM信号に従ってバックライト30を駆動させる。すなわち、B/L駆動制御回路31Aは、該PWM信号に示された輝度量に基づいてバックライト30の点灯等にかかる制御を実行する(
図5:S504)。
【0158】
次に、バックライト30の輝度低減量を補完するための階調変換処理等にかかる各回路ブロックの動作を、
図6を参照して説明する。
【0159】
映像信号供給源14から映像信号が入力されると(
図6:S601)、これを取得した特徴値・最大値算出手段41が、1フレーム中における映像信号全体の明るさに基づいて、映像信号の1フレーム中における特徴値(Rank)及び最大値(MAX)を算出する(
図6:S602)。
【0160】
次いで、この特徴値及び最大値を取得した階調変換閾値算定手段61は、該特徴値をもとに上記式4又は式13等に基づいて階調の変換にかかる閾値(Xa)を算定する(
図6:S603)。
【0161】
この閾値(Xa)を受け取った階調変換手段71は階調変換式選定機能71Aにて、該閾値(Xa)と入力された映像信号の階調の値とを比較することにより、第1階調変換式(上記式9)又は第2階調変換式(上記式11)の何れかを選定する(
図6:S604)。
【0162】
本第1実施形態において階調変換式選定機能71Aは、閾値(Xa)が「Xa>入力階調」の条件を満たすか否かを判定する(
図6:S604)。
【0163】
ここで、上記条件を満たす旨判定した場合に階調変換式選定機能71Aは、上記式9を選定すると共に、第1の階調変換機能71Bに対して特徴値(Rank)を添えた映像信号(変換指令信号)を送信し(
図6:S604/はい)、これに応じて第1の階調変換機能71Bが該式9に基づく階調変換を実行する(
図6:S605)。
【0164】
一方で、上記条件を満たさない旨判定した場合に階調変換式選定機能71Aは、上記式11を選定すると共に、第2の階調変換機能71Cに対して最大値(MAX)を添えた映像信号(変換指令信号)を送信し(
図6:S604/いいえ)、これに応じて第2の階調変換機能71Cが該式11に基づく階調変換を実行する(
図6:S606)。
【0165】
次いで、第1の階調変換機能71B又は第2の階調変換機能71Cの何れか一方から階調変換後の映像信号を受け取った円滑化処理手段81は、その入力階調(変換後入力階調)が「Xa - A ≦ 入力階調 ≦ Xa + A (Aは任意の正の数)」という円滑化条件を満たすか否かを判定する(
図6:S607)。
【0166】
ここで、上記円滑化条件を満たす旨判定した場合に円滑化処理手段81は(
図6:S607/はい)、入力階調が変曲点(閾値)近傍に位置することから、式16及び式17に基づいて映像信号の円滑化を実行する(
図6:S608)。
【0167】
一方で、上記円滑化条件を満たさない旨判定した場合に円滑化処理手段81は(
図6:S607/いいえ)、式18に基づく処理を実行する。すなわち、かかる場合に円滑化処理手段81は、受け取った映像信号の階調を変更(調整)せずに、そのままの状態で多階調化手段91に受け渡す(
図6:S609)。
【0168】
続いて、円滑化処理手段81から処理後の映像信号を受け取った多階調化手段91は、必要に応じて該映像信号に多階調化処理を施すと共に、これを表示部駆動ドライバ21に対して所定の伝送フォーマットに従って伝送する(
図6:S610)。
【0169】
上記各ステップS501〜S504(
図5)及び各ステップS601〜S610(
図6)における各工程の実行内容の一部又は全部をプログラム化すると共に、当該一連の各制御プログラムをコンピュータによって実現するように構成してもよい。
【0170】
(第1実施形態の効果等)
本実施形態における映像信号処理回路12は、バックライト30の輝度の低減処理に伴う階調変換を小規模な回路構成により有効に行う階調変換処理回路部51を有するため、特に、高階調領域を多く含む映像信号に基づく画像の視認性と画質を保ち、かつ画質劣化(画像の違和感)を有意に抑制した状態で、大きな消費電力の削減を実現することができる。
【0171】
すなわち、映像信号処理回路12を、LUTやメモリ等を用いずに(画素数に対応する入力データを一時保管しておくためのメモリ領域は不要)、映像信号の階調に対応づけた有効な階調変換を縮小した回路構成にて実現する構成としたため、各制御回路にかかる低消費電力化を図ることができ、このことが、バックライト30の輝度低減処理と相まって、映像表示装置100全体の消費電力を大きく低減できる。
【0172】
特に、閾値の階調よりも大きい階調が入力された場合において、本第1実施形態にかかる階調変換手段71は、第2階調変換式に基づく線形的な階調変換を施すため、高階調側(白に近い側)での画質が潰れるといった画質劣化を抑制することができる。
【0173】
加えて、低階調側にかかる映像信号に対して階調変換手段71は、理想的なガンマ曲線に合うように、輝度低減量と階調変換量とのバランスを考慮した階調変換式に基づく階調変換を実施するため、これまでの関連技術と比べても良質な画質を得ることができる。
【0174】
また、上記のように導出した閾値算定式(式13)及び線形的に増加する一次関数(第2階調変換式:式11)等は、四則演算で構成されているため、階調変換閾値算定手段61及び第2の階調変換機能71C等を、これらに基づく極めて小規模な回路構成とすることができる。
【0175】
本第1実施形態におけるバックライト30の輝度の制御方法としては、上述したように、映像信号処理回路12が、特徴値により決まる輝度低減量にかかる情報をPWM信号としてB/L駆動制御用基板31に伝送するといいう構成(PWM制御)を採用した。しかし、このPWM信号による制御に代えて、電流値に基づく制御を実行するように駆動制御信号生成処理手段42を構成するようにしてもよい。
【0176】
本第1実施形態では、入力される映像信号の階調表現数が8bit(階調値は0〜255の値)であることを想定して説明した。しかし、階調表現数はこれに限定するものではなく、すなわち、6bitや10bit等を採用するようにしてもよく、このようにしても、上記同様の原理に基づいて、映像信号の変換処理に際しての画質劣化の抑制及び低消費電力化を、小さな回路規模により有効に実現することができる。
【0177】
〔第2実施形態〕
本発明にかかる映像信号処理回路及び映像表示装置の第2実施形態を、
図7乃至
図9に基づいて説明する。前述した第1実施形態と同一の構成部材については、同一の符号を用いるものとする。
【0178】
(基本的構成)
前述した第1実施形態における階調変換処理回路部51では、1つの閾値を境界として2つに分けた階調変換方式に基づく回路構成を採用し、これにより入力される映像信号の階調に応じた階調変換を実行するという構成を採った。
しかし、本第2実施形態では、階調変換閾値算定手段61に代えて、2つの閾値を算定する機能を有する階調変換閾値算定手段62を採用し、これを内包する階調変換処理回路部52に、上記2つの閾値を境界として3つに分けた階調変換方式に基づく回路構成を採用した点に特徴を有する。
【0179】
図7に示すように、階調変換処理回路部52は、特徴値・最大値算出手段41にて算出した特徴値をもとに階調の変換にかかる複数の閾値を算定する階調変換閾値算定手段62と、この階調変換閾値算定手段62にて算定した閾値に基づいて映像信号供給源14から供給される映像信号の階調を変換する階調変換手段72と、この階調変換手段72にて階調変換が施された映像信号(変換後映像信号)に対して有意なスムージング処理を施す円滑化処理手段(スムージング処理回路)82と、ガンマ変換後の階調の分解能を確保するための処理を必要に応じて行う多階調化手段(多階調化回路)91と、を有している。
【0180】
ここで、本第2実施形態において階調変換閾値算定手段62が算定する閾値のうちで相対的に小さい方(以下、第1閾値とする)は、前述した第1実施形態における閾値(Xa)と同値となるように構成したため、これと同一の符号を用いて第1閾値(Xa)とし、相対的に大きい方については第2閾値(Xb)と表して以下の説明を行う(Xa<Xb)。
【0181】
第1閾値(Xa)及び第2閾値(Xb)は、前述した第1実施形態と同様に、上記式4,又は式14及び15等に基づいて階調変換閾値算定手段62が算定するという構成を採っている。また、第1閾値(Xa)及び第2閾値(Xb)の算定用に予め設定される係数αのうちで、第1閾値(Xa)を算定する際に用いる係数αを変換係数と指称し、第2閾値(Xb)を算定する際に用いる係数αを分割係数と指称する。
【0182】
図8を参照すると、本第2実施形態における階調変換手段72は、全階調を第1閾値(Xa)を境界として分割した2つの領域のうちで、この第1閾値(Xa)以上の階調の領域をさらに2つに分割すると共に、これら各領域のそれぞれに性質の異なる関数を表す3つの階調変換式を対応づけた上で、各々の階調変換式に基づく階調変換を映像信号に施すように構成されている。
【0183】
すなわち、階調変換手段72は、階調変換閾値算定手段61が変換係数をもとに算定した第1閾値(Xa)以上の階調を分割係数に基づいて2つの領域に分割すると共に、これら2つの領域に相互に傾きの異なる2つの階調変換式を対応づける機能を有し、これら2つの階調変換式のうちで、相対的に小さい階調の領域に対応づけた階調変換式は、第1閾値(Xa)の階調から予め設定された階調表現数によって定まる最大階調までを真っ直ぐに結んだ直線よりも小さな傾きを有する一次関数であり、相対的に大きい階調の領域に対応づけた階調変換式は、前記閾値の階調から前記最大階調までを真っ直ぐに結んだ直線よりも大きな傾きを有する一次関数であるという構成を採っている。
【0184】
(具体的構成)
上述した通り、本第2実施形態では、
図8に示すように、第1階調領域では、前述した第1実施形態と同様に、上記式9に基づいて輝度低減量を補完する形での階調変換が行われる。また、第2階調領域では、前述した第1実施形態にて採用した式11に基づく階調変換に比べて階調差を緩やかにし、第3階調領域では、同じく第1実施形態にて採用した式11に基づく階調変換に比べて階調差を急峻にするという構成を採っている。
すなわち、本第2実施形態では、上記式11よりも小さな傾きを有する第2階調変換式と、式11よりも大きな傾きを有する第3階調変換式とを採用した点に特徴を有する。
【0185】
かかる組み合わせによれば、例えば、第2閾値(Xb)以上である高階調領域の階調が、第1閾値(Xa)と第2閾値(Xb)との間の階調よりも多く含まれるような映像信号に対して有意な階調変換を施すことができ、これにより、画質の向上を図ることが可能となる。
【0186】
そこで、以下では、係数αにかかる具体的な数値を例示して、特に、階調変換手段72による階調変換及びその前後の処理にかかる構成内容を説明する。
【0187】
階調変換閾値算定手段62は、係数αの値を0.6に設定した場合の第1閾値(Xa)を算定する第1閾値算定機能62Aと、係数αの値を0.7に設定した場合の第2閾値(Xb)を算定する第2閾値算定機能62Bと、を有している。
第1閾値算定機能62Aと第2閾値算定機能62Bとは、それぞれが算定した閾値(Xa又はXb)を階調変換手段72に送信するように構成されている。
【0188】
階調変換手段72は、入力された映像信号の階調と階調変換閾値算定手段62にて算出した閾値とを比較することで、予め設定された複数の階調変換式の内から何れか1つを選定する(階調変換に際して使用する階調変換式を決定する)と共に、この選定結果に従って映像信号を送信する階調変換式選定機能72Aを有し、本第2実施形態では、上記階調変換式として、第1階調変換式・第2階調変換式・第3階調変換式の3つを採用した。
【0189】
また、階調変換手段72は、階調変換式選定機能72Aから映像信号を受け取って、第1階調変換式に基づく階調変換(輝度低減量に応じた階調変換)を行う第1の階調変換機能72Bと、第2階調変換式に基づく階調変換を行う第2の階調変換機能72Cと、第3階調変換式に基づく階調変換を行う第3の階調変換機能72Dと、を有している。
【0190】
ここで、階調変換閾値算定手段62は、特徴値・最大値算出手段41から取得した特徴値及び最大値を階調変換手段72の階調変換式選定機能72Aに受け渡すように構成され、この階調変換式選定機能72Aは、映像信号と共に、第1の階調変換機能72Bに対しては該特徴値を、第2の階調変換機能72C及び第3の階調変換機能72Dに対しては該最大値を、それぞれ送信するという構成を採っている。
【0191】
また、階調変換閾値算定手段62は、第2の階調変換機能72Cに対して上記により算定した第1閾値(Xa)を送信し、第3の階調変換機能72Dに対して上記により算定した第2閾値(Xb)を送信するように構成されている。
【0192】
すなわち、階調変換手段72は、階調変換式選定機能72Aにて階調変換に用いる階調変換式を選定し、第1の階調変換機能72B,第2の階調変換機能72C,又は第3の階調変換機能72Dにて、実際に入力された映像信号の階調を変換するように構成されている。
したがって、入力階調が、第1階調領域に属する場合には第1階調変換式に基づいて第1の階調変換機能72Bが階調変換を実行し、第2階調領域に属する場合には第2階調変換式に基づいて第2の階調変換機能72Cが階調変換を実行し、第3階調領域に属する場合には第3階調変換式に基づいて第3の階調変換機能72Dが階調変換を実行するように構成されている。
【0193】
かかる構成を採用した本第2実施形態では、
図8に示すように、階調領域を3つに分けることができるため、それぞれの領域に対応づけた上記3つの階調変換式を用いての有意な階調変換を階調変換手段72にて実行することが可能となる。
【0194】
本第2実施形態においても、上記各階調変換式は、各々の境界に位置する端部(境界部)において連続するという構成を採り、すなわち、これらを示したグラフは、
図8に示す通り連続的に接続されており、階調抜けがないように構成されている。
【0195】
この
図8に表した各グラフも、横軸にとった入力階調と縦軸にとった映像表示部20の相対輝度(最大輝度を1としたときの相対輝度)との関係を示すものであり、破線で示した曲線は、γ=2.2のときの階調特性を示すガンマ曲線である。
これに対して、本第2実施形態の階調変換方式にかかる入力階調と相対輝度との関係は、原点Oから第1閾値(Xa)までの領域(第1階調領域)に示す曲線と、閾値(Xa)から閾値(Xb)までの領域(第2階調領域)に示す直線と、閾値(Xb)から最大階調数までの領域(第3階調領域)に示す直線とで表すことができる。
【0196】
この連続的に接続された幾何級数的に増加する関数及び線形的に増加する一次関数から成るグラフ全体を、便宜上、階調変換曲線と指称する。
なお、前述した第1実施形態にかかる階調変換曲線を灰色の実線で示すことにより、本第2実施形態との相違点の明確化を図っている。
【0197】
階調変換式選定機能72Aは、入力階調が「第1閾値(Xa)>入力階調」という第1条件を満たすか否かを判定する第1条件判定機能(図示せず)と、入力階調が「第1閾値(Xa)≦入力階調≦第2閾値(Xb)」という第2条件を満たすか否かを判定する第2条件判定機能(図示せず)と、を有する。
【0198】
すなわち、階調変換式選定機能72Aは、上記第1条件を満たす旨判定した場合に、上記第1階調変換式を選定すると共に第1の階調変換機能72Bに対して特徴値(Rank)を添えた映像信号を送信し、上記第1条件を満たさない旨判定した場合に、入力階調が「第1閾値(Xa)≦入力階調≦第2閾値(Xb)」という第2条件を満たすか否かを判定するように構成されている。
【0199】
また、階調変換式選定機能72Aは、上記第2条件を満たす旨判定した場合に、上記第2階調変換式を選定すると共に第2の階調変換機能72Cに対して最大値を添えた映像信号を送信し、上記第2条件を満たさない旨判定した場合に、上記第3階調変換式を選定すると共に第3の階調変換機能72Dに対して最大値を添えた映像信号を送信するという構成を採っている。
【0200】
円滑化処理手段82は、
図8に示す通り、変曲点P(Xa,0.6)が生じる第1閾値(Xa)の近傍及び変曲点Q(Xb,0.7)が生じる第2閾値(Xb)の近傍の円滑化処理を、前述した第1実施形態における円滑化処理手段81と同様に実行する、という構成を採っている。このため、画質劣化をより有効に抑制することが可能となる。
【0201】
本第2実施形態において、階調変換にかかる閾値が2つになったこと、及びこれに伴って階調変換式が3つになったことに関連する構成を除けば、前述した第1実施形態にかかる回路構成と同じ原理にて構成することができ、すなわち、他の構成内容については、前述した第1実施形態における映像表示装置100の構成部材と同様である。
【0202】
(動作説明)
図7に開示した階調変換処理回路部52にかかる動作を、
図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0203】
映像信号供給源14から映像信号が入力されると(
図9:S901)、これを取得した特徴値・最大値算出手段41が、1フレーム中における映像信号全体の明るさに基づいて、映像信号の1フレーム中における明暗の度合を数値化した特徴値(Rank)及び最大値を算出する(
図9:S902)。
【0204】
次いで、この特徴値及び最大値を取得した階調変換閾値算定手段62は、該特徴値に基づいて階調の変換にかかる第1閾値(Xa)と第2閾値(Xb)とを算定する(
図6:S903)。
【0205】
この算定された第1閾値(Xa)及び第2閾値(Xb)を受け取った階調変換手段72は階調変換式選定機能72Aにて、これら各閾値(Xa及びXb)と入力された映像信号の階調の値とを比較することにより、第1階調変換式・第2階調変換式・第3階調変換式の内の何れを選定する。
【0206】
すなわち、階調変換式選定機能72Aは、まず、入力階調が「第1閾値(Xa)>入力階調」という第1条件を満たすか否かを判定する(
図9:S904)。
【0207】
ここで、上記第1条件を満たす旨判定した場合に階調変換式選定機能72Aは、上記第1階調変換式を選定すると共に、第1の階調変換機能72Bに対して特徴値(Rank)を添えた映像信号を送信し(
図9:S904/はい)、これに応じて第1の階調変換機能72Bが該第1階調変換式に基づく階調変換を実行する(
図9:S905)。
【0208】
一方で、上記第1条件を満たさない旨判定した場合に階調変換式選定機能72Aは(
図9:S904/いいえ)、入力階調が「第1閾値(Xa)≦入力階調≦第2閾値(Xb)」という第2条件を満たすか否かを判定する(
図9:S906)。
【0209】
ここで、上記第2条件を満たす旨判定した場合に階調変換式選定機能72Aは、上記第2階調変換式を選定すると共に、第2の階調変換機能72Cに対して最大値を添えた映像信号を送信し(
図9:S906/はい)、これに応じて第2の階調変換機能72Cが該第2階調変換式に基づく階調変換を実行する(
図9:S907)。
【0210】
一方、上記第2条件を満たさない旨判定した場合に階調変換式選定機能72Aは、上記第3階調変換式を選定すると共に、第3の階調変換機能72Dに対して最大値を添えた映像信号を送信し(
図9:S906/いいえ)、これに応じて第3の階調変換機能72Dが該第3階調変換式に基づく階調変換を実行する(
図9:S908)。
【0211】
次いで、第1の階調変換機能72B,第2の階調変換機能72C,又は第3の階調変換機能72Dの何れか1つから、各々における階調変換後の映像信号を受け取った円滑化処理手段82は、前述した第1実施形態におけるスムージング処理(
図6:S607〜S609)と同様の処理により、映像信号の円滑化を実行する(
図9:S909)。
【0212】
続いて、円滑化処理手段82から円滑化処理後の映像信号を受け取った多階調化手段91は、必要に応じて該映像信号に多階調化処理を施すと共に、これを所定の伝送フォーマットに従って表示部駆動ドライバ21に伝送する(
図9:S910)。
【0213】
上記動作内容は、便宜上、
図9に付した番号の順(S901〜S910)に説明したが、本第2実施形態における動作順序は、必ずしもこれに限定されるものではない。また、上記各ステップS901〜S910(
図9)における各工程の実行内容の一部又は全部をプログラム化すると共に、当該一連の各制御プログラムをコンピュータによって実現するように構成してもよい。
【0215】
本第2実施形態では、前述したように、階調変換閾値算定手段62が2つの閾値を算定し、これを受けた階調変換手段72が、第1閾値(Xa)以上の階調を2つに分けると共にそれぞれの領域に対応づけた各階調変換式を用いて階調変換を実行するという構成を採用したため、例えば高階調側領域において、特に傾きを急峻にしたい領域や傾きを緩やかにしても画質に影響を与えない領域等に対して柔軟に階調変換式を設定することができることから、より自由度の高い階調変換が可能となり、
【0216】
すなわち、映像信号の1フレーム中における階調に応じて3つの階調変換式を使い分けるという構成を採用したため、画質劣化を最小限に抑えると共に、バックライト30の輝度を有意に低減させることが可能となる。
【0217】
また、階調変換にかかる閾値を3つ以上設けるという構成を採用してもよい。
すなわち、階調変換手段72に、第1閾値(Xa)以上の階調を予め設定された複数(n:任意の自然数)の異なる分割係数に基づいて複数(n+1)の領域に分割すると共に、これら各々の領域に対して傾きの異なる複数(n+1)の階調変換式を対応づけるという構成を採用してもよい。
このようにすれば、階調変換式を各階調領域に対してより細かく対応づけることができるため、さらに自由度の高い階調変換が可能となる。
【0218】
本第2実施形態では、階調変換式選定機能72Aが各階調変換式を選定するに際して、まず「第1閾値(Xa)>入力階調:第1条件」にかかる判定を行い、次いで「第1閾値(Xa)≦入力階調≦第2閾値(Xb):第2条件」にかかる判定を行うという構成を採用した。しかし、例えば、まず「第2閾値(Xb)<入力階調」という条件にかかる判定を行い、次いで「第1閾値(Xa)≦入力階調≦第2閾値(Xb)」という条件にかかる判定を行うといった別の手法により階調変換式を選定するように構成してもよい。
【0219】
また、上述した具体的構成にかかる階調変換処理については、閾値の算出にかかる係数αのうち、変換係数を0.6,分割係数を0.7とし、これから導出した第1閾値(Xa),第2閾値(Xb)に基づいて説明を行ったが、特に第2閾値(Xb)にかかる分割係数は、多様な映像信号や動作環境に応じて「0.6<分割係数<1」の範囲内において柔軟に設定するようにしてもよい。もっとも、第1閾値(Xa)にかかる変換係数についても同様である。
【0220】
他の効果等については、前述した第1実施形態と同様であり、すなわち、本第2実施形態にかかる映像信号処理回路及び映像表示装置によれば、映像信号の変換処理に際しての画質劣化の抑制及び低消費電力化を小さな回路規模により有効に実現することができる。
【0221】
なお、上述した各実施形態は、映像信号処理回路,映像表示装置,映像信号処理方法,及びそのプログラムにおける好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もある。しかし、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【0222】
以下は、上述した実施形態についての新規な技術的内容の要点をまとめたものであるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0223】
(付記1)
外部入力された映像信号を分析すると共に、この分析の結果に基づいて、当該映像信号に画質調整用の変換処理を施した上でこれを映像表示部に向けて送出し、且つこの映像表示部を背面から照らすバックライトにかかる駆動制御信号を生成し送信する映像信号処理回路であって、
前記映像信号の明暗の度合を数値化した特徴値を算出する特徴値算出部と、
この特徴値と当該特徴値により特定される閾値とに基づいて前記映像信号の階調の変換処理を実行する階調変換処理部と、を有し、
前記階調変換処理部は、
前記特徴値と予め設定された変換係数とをもとに構成される閾値算定式に基づいて前記閾値を算定する階調変換閾値算定手段と、
前記映像信号の階調が前記閾値以上である場合に、線形的に増加する一次関数に基づく階調変換を当該映像信号に施す階調変換手段と、を有することを特徴とした映像信号処理回路。
【0224】
(付記2)
前記付記1に記載の映像信号処理回路において、
前記閾値算定式が、四則演算のみ(所定の係数は含む)で構成されていることを特徴とした映像信号処理回路。
【0225】
(付記3)
前記付記1に記載の映像信号処理回路において、
前記閾値をXa,前記特徴値をRank,前記変換係数をαとした場合に、
前記閾値算定式は、「Xa =α^( 1 / 2.2 ) × Rank」なる数式にて表されることを特徴とした映像信号処理回路。
【0226】
(付記4)
前記付記1乃至3の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
前記線形的に増加する一次関数が、四則演算のみ(所定の係数は含む)で構成されていることを特徴とした映像信号処理回路。
【0227】
(付記5)
前記付記1乃至4の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
前記映像信号の階調の最大値を算出する階調最大値算出部をさらに有し、
前記線形的に増加する一次関数は、前記閾値と前記最大値とをもとに構成された階調変換式で表されることを特徴とした映像信号処理回路。
【0228】
(付記6)
前記付記5に記載の映像信号処理回路において、
前記最大値をMAX,前記映像信号の階調を入力階調,最大階調( 2^n - 1 :nは予め設定された階調表現数)をf(n),前記変換係数をα,γ=2.2のガンマ曲線上において相対輝度がαの時の階調値をX2.2,前記閾値をXa,前記映像表示部に向けて送出する映像信号の階調を出力階調とした場合に、
前記階調変換式は、「出力階調 = f(n) +{( f(n) - X2.2 ) / ( MAX - Xa )}× ( 入力階調 - MAX )」なる数式にて表されることを特徴とした映像信号処理回路。
【0229】
(付記7)
前記付記1乃至4の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
前記線形的に増加する一次関数は、前記閾値の階調から予め設定された階調数によって定まる最大階調までを真っ直ぐに結んだ直線を表すことを特徴とした映像信号処理回路。
【0230】
(付記8)
前記付記1乃至4の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
前記階調変換手段は、前記閾値以上の階調を予め設定された分割係数に基づいて複数の領域に分割すると共に、これら各々の領域に前記線形的に増加する一次関数として傾きの異なる複数の階調変換式を対応づけることを特徴とした映像信号処理回路。
【0231】
(付記9)
前記付記1乃至4の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
前記階調変換手段は、前記閾値以上の階調を予め設定された分割係数に基づいて2つの領域に分割すると共に、これら2つの領域に前記線形的に増加する一次関数として相互に傾きの異なる2つの階調変換式を対応づける機能を有し、
前記2つの階調変換式のうちで、
相対的に小さい階調の領域に対応づけた階調変換式は、前記閾値の階調から予め設定された階調表現数によって定まる最大階調までを真っ直ぐに結んだ直線よりも小さな傾きを有する一次関数であり、
相対的に大きい階調の領域に対応づけた階調変換式は、前記閾値の階調から前記最大階調までを真っ直ぐに結んだ直線よりも大きな傾きを有する一次関数であることを特徴とした映像信号処理回路。
【0232】
(付記10)
前記付記1乃至9の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
前記階調変換手段は、前記映像信号の内で前記閾値よりも小さい階調である領域を対象として、前記特徴値をもとに構成された幾何級数的に増加する関数に基づく階調変換を施すことを特徴とした映像信号処理回路。
【0233】
(付記11)
前記付記1乃至9の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
前記バックライトの輝度の低減量を示す前記駆動制御信号を前記特徴値に基づいて生成すると共にこれを当該バックライトに向けて送信する制御信号生成処理部をさらに有し、
前記階調変換手段は、前記映像信号の内で前記閾値よりも小さな階調を有する映像信号に対して、前記輝度の低減量をもとに構成された幾何級数的に増加する関数に基づく階調変換を施すことを特徴とした映像信号処理回路。
【0234】
(付記12)
前記付記10又は11に記載の映像信号処理回路において、
前記映像信号の階調を入力階調,最大階調( 2^n - 1 :nは予め設定された階調表現数)をf(n),前記特徴値をRank,前記映像表示部に向けて送出する映像信号の階調を出力階調とした場合に、
前記幾何級数的に増加する関数は、「出力階調 = ( f(n) / Rank ) × 入力階調」なる数式にて表されることを特徴とした映像信号処理回路。
【0235】
(付記13)
前記付記1乃至9の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
前記バックライトの輝度の低減量を前記特徴値に基づいて決定すると共に、この輝度低減量を示す駆動制御信号を生成してこれを当該バックライトに向けて送信する制御信号生成処理部をさらに有し、
前記階調変換手段は、前記映像信号の階調が前記閾値より小さい場合に、前記制御信号生成処理部が決定した輝度低減量分を補完する階調変換を当該映像信号に施すことを特徴とした映像信号処理回路。
【0236】
(付記14)
前記付記10乃至12に記載の映像信号処理回路において、
前記幾何級数的に増加する関数と前記線形的に増加する一次関数とが、前記閾値に位置する境界部にて連続することを特徴とした映像信号処理回路。
【0237】
(付記15)
前記付記1乃至14の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
前記階調変換処理部は、前記映像信号の階調が前記閾値の近傍に予め設定された円滑化領域に属するか否かを判定すると共に、当該円滑化領域に属する旨判定した場合に、前記閾値と前記映像信号の階調との差分に基づいて円滑化係数を算出してこれを当該映像信号の階調から減算する円滑化処理手段をさらに有することを特徴とした映像信号処理回路。
【0238】
(付記16)
前記付記15に記載の映像信号処理回路において、
前記映像信号の階調の最大値をMAX,前記映像信号の階調を入力階調,前記閾値をXa,前記特徴値をRank,Aを任意の正の数,nを予め設定された階調数とした場合に、
前記円滑化領域は、「 Xa - A ≦ 入力階調 ≦ Xa + A 」という条件式で表され、
前記円滑化処理手段は、前記円滑化係数を「{( A - | Xa -入力階調 | )^2 }×{( MAX - Rank ) / ( 2^n )}」なる数式に則して算出することを特徴とした映像信号処理回路。
【0239】
(付記17)
前記付記15又は16に記載の映像信号処理回路において、
前記円滑化処理手段は、前記円滑化領域に属しない旨判定した場合に、前記映像信号をそのまま前記映像表示部に向けて出力することを特徴とした映像信号処理回路。
【0240】
(付記18)
前記付記1乃至17の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
前記階調変換閾値算定手段は、前記閾値を、外部入力された映像信号が内包する情報のみ(所定の係数は含む)に基づいて算定することを特徴とした映像信号処理回路。
【0241】
(付記19)
前記付記1乃至18の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
前記閾値をXa,前記特徴値をRank,前記変換係数をαとした場合に、
前記階調変換閾値算定手段は、「β = 256 × α^( 1 / 2.2 )」なる数式に基づく近似計算により当該βを整数として求めると共に、これを「Xa = ( β × Rank ) / 256」なる数式に適用して前記閾値を算定する近似閾値算定機能を有することを特徴とした映像信号処理回路。
【0242】
(付記20)
前記請求項1乃至19の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
前記変換係数を予め0.6に設定したことを特徴とする映像信号処理回路。
【0243】
(付記21)
前記付記1乃至16の何れか1つに記載の映像信号処理回路において、
階調変換閾値算定手段が、前記変換係数の如何にかかわらず、前記閾値算定式として「 Xa = ( 203 × Rank ) / 256 」なる数式を適用することを特徴とした映像信号処理回路。
【0244】
(付記22)
外部に向けて映像を表示する映像表示部と、
この映像表示部を背面から照らすバックライトと、
外部入力された映像信号を分析すると共に、この分析の結果に基づいて、当該映像信号に画質調整用の変換処理を施した上でこれを前記映像表示部に向けて送出し、且つこの映像表示部を背面から照らすバックライトにかかる駆動制御信号を生成し送信する映像信号処理回路と、を有し、
この映像信号処理回路として、前記付記1乃至21の何れか1つに記載の映像処理回路を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【0245】
(付記23)
外部入力された映像信号を分析すると共に、この分析の結果に基づいて、当該映像信号に画質調整用の変換処理を施した上でこれを映像表示部に向けて送出する階調変換処理部と、この映像表示部を背面から照らすバックライトにかかる駆動制御信号を生成し送信する輝度制御回路部と、を有する映像信号処理回路にあって、
前記映像信号の明暗の度合を数値化した特徴値を前記輝度制御回路部が算出し、
この特徴値と予め設定された変換係数とをもとに構成される閾値算定式に基づいて前記階調の変換にかかる閾値を前記階調変換処理部が算定し、
前記映像信号の階調が前記閾値以上であるか否かを前記階調変換処理部が判定し、
前記閾値以上である旨判定した場合に、線形的に増加する一次関数に基づく階調変換を前記階調変換処理部が当該映像信号に施すことを特徴とした映像信号処理方法。
【0246】
(付記24)
前記付記23に記載の映像信号処理方法において、
前記階調変換手段は、前記閾値以上の階調を予め設定された分割係数に基づいて2つの領域に分割し、
前記外部入力された映像信号の階調が、前記2つの領域の内で相対的に小さい階調の領域に属するか否かを判定し、
属する旨判定した場合には、前記線形的に増加する一次関数として、前記閾値の階調から予め設定された階調表現数によって定まる最大階調までを真っ直ぐに結んだ直線よりも小さな傾きを有する一次関数を適用し、
属しない旨判定した場合には、前記線形的に増加する一次関数として、前記閾値の階調から前記最大階調までを真っ直ぐに結んだ直線よりも大きな傾きを有する一次関数を適用し、
これら一連の各工程内容を前記階調変換処理部が順次実行することを特徴とした映像信号処理方法。
【0247】
(付記25)
前記付記23又は24に記載の映像信号処理方法において、
前記バックライトの輝度の低減量を示す前記駆動制御信号を前記特徴値に基づいて生成し、
この生成した駆動制御信号を前記バックライトに向けて送信し、
これら一連の各工程内容を前記輝度制御回路部が前記特徴値の算出を終えた後に順次実行することを特徴とした映像信号処理方法。
【0248】
(付記26)
前記付記23乃至25の何れか1つに記載の映像信号処理方法において、
前記映像信号の階調が前記閾値以上であるか否かを判定した際に、
前記閾値以上ではない旨判定した場合に、前記特徴値をもとに構成された幾何級数的に増加する関数に基づく階調変換を前記階調変換処理部が当該映像信号に施すことを特徴とした映像信号処理方法。
【0249】
(付記27)
前記付記23乃至26の何れか1つに記載の映像信号処理方法において、
前記外部入力された映像信号の階調が前記閾値の近傍に予め設定された円滑化領域に属するか否かを判定し、
この円滑化領域に属する旨判定した場合に、前記閾値と前記映像信号の階調との差分に基づいて円滑化係数を算出し、
この算出した円滑化係数を前記階調変換後の映像信号の階調から減算し、
これら一連の各工程内容を前記階調変換処理部が順次実行することを特徴とした映像信号処理方法。
【0250】
(付記28)
外部入力された映像信号を分析すると共に、この分析の結果に基づいて、当該映像信号に画質調整用の変換処理を施した上でこれを映像表示部に向けて送出し、且つこの映像表示部を背面から照らすバックライトにかかる駆動制御信号を生成し送信する映像信号処理回路にあって、
前記映像信号の明暗の度合を数値化した特徴値を算出する特徴値算出手段、
この特徴値と予め設定された変換係数とをもとに構成される閾値算定式に基づいて前記階調の変換にかかる閾値を算定する階調変換閾値算定手段、
前記映像信号の階調が前記閾値以上であるか否かを判定する階調判定手段、
この階調判定手段にて前記閾値以上である旨判定した場合に、線形的に増加する一次関数に基づく階調変換を当該映像信号に施す線形的階調変換手段、
として、前記映像信号処理回路に予め設けられたコンピュータを機能させるための映像信号処理プログラム。
【0251】
(付記29)
外部入力された映像信号を分析すると共に、この分析の結果に基づいて、当該映像信号に画質調整用の変換処理を施した上でこれを映像表示部に向けて送出し、且つこの映像表示部を背面から照らすバックライトにかかる駆動制御信号を生成し送信する映像信号処理回路にあって、
前記映像信号の明暗の度合を数値化した特徴値を算出する特徴値算出手段、
この特徴値と予め設定された変換係数とをもとに構成される閾値算定式に基づいて前記階調の変換にかかる閾値を算定する階調変換閾値算定手段、
前記映像信号の階調が前記閾値以上であるか否かを判定する階調判定手段、
前記閾値以上の階調を予め設定された分割係数に基づいて2つの領域に分割する領域分割手段、
前記階調判定手段にて前記映像信号の階調が前記閾値以上である旨判定した場合に、当該映像信号の階調が、前記2つの領域の内で相対的に小さい階調の領域に属するか否かを判定する階調領域判定手段、
この階調領域判定手段にて属する旨判定した場合に、前記閾値の階調から予め設定された階調表現数によって定まる最大階調までを真っ直ぐに結んだ直線よりも小さな傾きを有する一次関数に基づく階調変換を前記映像信号に施す緩傾斜線形階調変換手段、
として、前記映像信号処理回路に予め設けられたコンピュータを機能させるための映像信号処理プログラム。
【0252】
(付記30)
前記付記29に記載の映像信号処理プログラムにおいて、
この階調領域判定手段にて属しない旨判定した場合に、前記閾値の階調から前記最大階調までを真っ直ぐに結んだ直線よりも大きな傾きを有する一次関数に基づく階調変換を前記映像信号に施す急傾斜線形階調変換手段、
として、前記コンピュータを機能させるための映像信号処理プログラム。
【0253】
(付記31)
前記付記28乃至30の何れか1つに記載の映像信号処理プログラムにおいて、
前記バックライトの輝度の低減量を示す前記駆動制御信号を前記特徴値に基づいて生成すると共にこれを当該バックライトに向けて送信する制御信号生成処理手段、
として、前記コンピュータを機能させるための映像信号処理プログラム。
(付記32)
前記付記28乃至31の何れか1つに記載の映像信号処理プログラムにおいて、
前記階調判定手段にて前記映像信号の階調が前記閾値以上ではない旨判定した場合に、前記特徴値をもとに構成された幾何級数的に増加する関数に基づいて当該映像信号に階調変換を施す幾何級数的階調変換手段、
として、前記コンピュータを機能させるための映像信号処理プログラム。
【0254】
(付記33)
前記付記28乃至32の何れか1つに記載の映像信号処理プログラムにおいて、
前記外部入力された映像信号の階調が前記閾値の近傍に予め設定された円滑化領域に属するか否かを判定する閾値近傍判定手段、
前記閾値近傍判定手段にて属する旨判定した場合に、前記閾値と前記映像信号の階調との差分に基づいて円滑化係数を算出すると共に、これを前記階調変換後の映像信号の階調から減算する円滑化処理手段、
として、前記コンピュータを機能させるための映像信号処理プログラム。