(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非イオン界面活性剤、他の陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤、ポリマー分散剤、ビルダー、酸化剤、殺生物剤、泡調整剤、活性化剤、触媒、増粘剤、芳香剤、汚れ懸濁剤、増白剤、酵素、UV保護剤、塩、水、または不活性成分をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【背景技術】
【0003】
関連技術
洗剤は、様々な家庭用ケア状況において、例えば、洗濯状況において、衣類および他の布地材料を洗浄するために、食器または硬表面を洗浄するために、ならびにパーソナルケア状況において、例えば、ヘアシャンプーおよび身体洗浄剤において、長年にわたって使用されてきた。洗剤は、動物性脂肪由来の石鹸を初めは含有した。最近になって、洗浄性能を高めるために、界面活性剤が洗剤中に含まれるようになった。典型的な界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、ならびにSurface Active Agents, Volumes IおよびII, Schwartz, PerryおよびBerch (New York, Interscience Publishers)(非特許文献1)、Nonionic Surfactants, M. J. Schick編 (New York, M. Dekker, 1967)(非特許文献2)、ならびにMcCutcheon's Emulsifiers & Detergents (1989 Annual, M. C. Publishing Co.)(非特許文献3)に記載されているものが挙げられ、それらの開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0004】
陰イオン界面活性剤は、改善された洗浄性能に起因して、家庭用ケア洗剤についての好ましいタイプの界面活性剤である。しかし、陰イオン界面活性剤の洗浄性能は、水の硬度によって制限され得る。硬水中のカルシウムおよび/またはマグネシウムイオンは、アルキルオレフィンスルホネート、アルキルスルフェート、直鎖アルキルスルホネート、および直鎖アルキルベンゼンスルホネートなどの、一部の陰イオン界面活性剤に干渉する。最近、α-スルホ脂肪酸エステル(以降、「スルホ脂肪酸」とも呼ぶ)への関心が、硬水中におけるそれらの界面活性剤の改善された洗浄特性に起因して高まっている。α-スルホ脂肪酸エステルおよび他の陰イオン界面活性剤は軟水中においては同様の洗浄力を有するが、水の硬度が増加するにつれて、α-スルホ脂肪酸エステルは他の陰イオン界面活性剤と比較してより良い洗浄性能を示す。
【0005】
しかし、そのようなスルホ脂肪酸のいくつかの欠点に起因して、α-スルホ脂肪酸エステルの使用は広くは受け入れられていない。特に、α-スルホ脂肪酸エステルは、製造の間、分解して二塩を形成する傾向がある。α-スルホ脂肪酸エステルの単塩は所望の界面活性剤特性を有するが、二塩は、α-スルホ脂肪酸エステルの性能を低下させるいくつかの望ましくない特性を有する。例えば、C
16メチルエステルスルホネート(「MES」)の単塩形態についての17℃と比較して、C
16 MES二塩のクラフト点は65℃である。(クラフト点は、イオン性界面活性剤の溶解性がその臨界ミセル濃度(CMC)と等しくなる温度であり;クラフト点未満では、界面活性剤はミセルの代わりに沈殿物を形成し、布地洗浄または他の家庭用洗浄用途において極めて効果が低くなる)。従って、クラフト点が高くなるほど、より多くの二塩が組成物中に沈殿する。結果として冷水中においておよび僅かに硬度が高い水中においてさえ二塩の溶解性が不十分であることは、大抵の用途において不利である。従って、他の点では高品質のα-スルホ脂肪酸エステル中の著しい量の二塩は、そのスルホ脂肪酸の性能を低下させる。従って、α-スルホ脂肪酸エステル中の大量の二塩の存在は、低下した性能および減少した用途柔軟性を特徴とする、より低品質のα-スルホ脂肪酸エステル製品をもたらす。
【0006】
二塩はまた、保管の間、洗剤調合物中において、α-スルホ脂肪酸エステルの加水分解から生じる。特に、α-スルホ脂肪酸エステルの単塩は、湿気およびアルカリ含有洗剤成分の存在下で加水分解して二塩を形成する。例えば、MESが水性条件下で高pH成分と十分に混合される調合物中において、MESは二塩形態へほぼ完全に加水分解する。高pH成分としては、ビルダー、例えばシリケートまたはカーボネート、および塩基、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)が挙げられる。この化学的不安定性は、多くの用途におけるα-スルホ脂肪酸エステルの使用を妨げている。
【0007】
α-スルホ脂肪酸エステル含有洗剤組成物に関係する関連問題は、pHドリフトである。濃縮溶液中において、溶液のpHは、酸性(より低い)範囲へドリフトする。そのようなpHドリフトは組成物中の他の洗剤成分に干渉する。pHドリフトを防止するために、緩衝剤またはアルカリ化剤が洗剤へ添加される。しかし、緩衝剤またはアルカリ化剤、例えば、苛性ソーダ(NaOH)はさらなる二塩形成をもたらし、これはα-スルホ脂肪酸エステルの性能を低下させる。
【0008】
α-スルホ脂肪酸エステルはまた、特により低温で保管される場合、濃縮溶液中において限られた溶解性を有する。例えば、スルホ脂肪酸エステルが十分に可溶化されていない場合、C
16またはC
18α-スルホ脂肪酸エステルの濃縮溶液中において相分離が生じる。相分離を防止するために、ヒドロトロープ(水溶液中において可溶性であり、有機化合物の水溶解度を増加させる化合物)がしばしば洗剤組成物へ添加される。一般的なヒドロトロープとしては、尿素、低分子量アルカノール、グリコール、およびトルエン、キシレンもしくはクメンのアンモニウム、カリウムもしくはナトリウム塩、またはベンゼンスルホン酸エチルが挙げられる。後者のヒドロトロープはより高価である傾向にあり、従って、あまり高価でないヒドロトロープ、例えば、尿素((NH
2)
2CO)または尿素-アルカノール混合物が、コスト効率の良い代用品として頻繁に使用される。しかし、より高価なヒドロトロープの安定効果を達成するためには、より大量のこれらのヒドロトロープが必要とされる。
【0009】
しかし、尿素ベースのヒドロトロープの欠点は、尿素中の混入物が不快臭を発することである。特に、尿素は、加水分解してアンモニアを放出するカルバミン酸アンモニウム(NH
4CO
2NH
2)をしばしば含有する。アンモニアが洗浄中に放出されると、消費者を不快にさせることがあり、製品に対する消費者満足は低下する。尿素自体も徐々に加水分解しアンモニアを放出する。高レベルの尿素が存在する場合、そのような加水分解は組成物のpHを増加させる傾向にある。そのような高pH値は、一般的に、α-スルホ脂肪酸エステルの一部の使用および他の洗剤成分と不適合性である。
【0010】
従って、α-スルホ脂肪酸エステルまたはそれらのブレンドなどの、高い洗浄力を有する界面活性剤または界面活性剤ブレンドと、界面活性剤を可溶化するヒドロトロープなどの1種または複数種の追加の成分とを含み、その結果、低温で、高界面活性剤濃度で、および/または硬水条件下でより流動性の液体のままである液体組成物が必要性とされている。驚くべきことに、本発明はこれらの要求を満たす。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
以下の説明は、本発明の完全な理解を提供するために、材料および範囲などの、具体的な詳細を提供する。しかし、当業者は、これらの具体的な詳細を用いずに本発明を実施することができることを理解するだろう。実際に、本発明は、洗剤産業において通常使用される処理、製造または加工技術と共に実施することができる。さらに、下記のプロセスは、本組成物および本発明の組成物を含有する洗剤を製造するための、完全なプロセスフローではなく、ステップを記載するにすぎない。
【0022】
本明細書において使用される用語「約」は、記載される数字±10%を含む。従って、「約10」は9〜11を意味する。
【0023】
ある態様は、α-スルホ脂肪酸エステルとヒドロトロープとを含む組成物に関する。α-スルホ脂肪酸エステルおよびヒドロトロープは、本発明に従う安定化組成物を形成するために組み合わされる。
【0024】
本発明はまた、水溶性容器中に配置された、α-スルホ脂肪酸エステルとヒドロトロープとを含む組成物に関する。
【0025】
α-スルホ脂肪酸エステル
好ましい態様において、本組成物は少なくとも1種のα-スルホ脂肪酸エステルを含む。そのようなスルホ脂肪酸は、典型的には、カルボン酸をアルカノールでエステル化して、次に、得られたエステルのα位をスルホン化することにより形成される。α-スルホ脂肪酸エステルは、典型的には、下記式(I)で表される:
式中、R
1は、直鎖または分岐鎖アルカンであり、R
2は、直鎖または分岐鎖アルカンであり、かつR
3は、水素、ハロゲン、一価もしくは二価の陽イオン、または非置換もしくは置換アンモニウム陽イオンである。R
1は、C
10、C
12、C
14、C
16および/またはC
18アルカンを含むC
4〜C
24アルカンでありうる。R
2は、メチル基を含むC
1〜C
8アルカンでありうる。R
3は、典型的には、一価または二価の陽イオン、例えば、α-スルホ脂肪酸エステルと水溶性の塩(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウムなどのアルカリ金属塩)を形成する陽イオンである。式(I)のα-スルホ脂肪酸エステルは、メチルエステルスルホネート、例えば、C
16メチルエステルスルホネート、C
18メチルエステルスルホネート、またはそれらの混合物でありうる。
【0026】
さらに典型的には、α-スルホ脂肪酸エステルは、一般的に、下記式(II)で表される塩である:
式中、R
1およびR
2は、アルカンであり、かつMは、一価の金属である。例えば、R
1は、4〜24個の炭素原子を含有するアルカンであってもよく、かつ、典型的には、C
8、C
10、C
12、C
14、C
16および/またはC
18アルカンである。R
2は、典型的には、1〜8個の炭素原子を含有するアルカンであり、かつ、さらに典型的には、メチル基である。Mは、典型的には、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属である。式(II)のα-スルホ脂肪酸エステルは、C
8〜C
18メチルエステルスルホン酸ナトリウムなどのメチルエステルスルホン酸ナトリウムでありうる。
【0027】
一つの態様においては、本組成物は、少なくとも1種のα-スルホ脂肪酸エステルを含む。例えば、α-スルホ脂肪酸エステルは、C
10、C
12、C
14、C
16またはC
18α-スルホ脂肪酸エステルでありうる。別の態様においては、α-スルホ脂肪酸エステルは、スルホ脂肪酸の混合物を含む。例えば、本組成物は、C
10、C
12、C
14、C
16およびC
18スルホ脂肪酸などのα-スルホ脂肪酸エステルの混合物を含みうる。混合物中の様々な鎖長の比率は、α-スルホ脂肪酸エステルの特性に従って選択される。例えば、C
16およびC
18スルホ脂肪酸(例えば、獣脂および/またはパームステアリンMES由来)は、一般的に、より良好な界面活性剤特性を与えるが、水溶液にはより低可溶性である。C
10、C
12およびC
14α-スルホ脂肪酸エステル(例えば、パーム核油またはヤシ油由来)は、より水溶性であるが、界面活性剤特性がより低い。適切な混合物には、C
8、C
10、C
12および/またはC
14α-スルホ脂肪酸エステルとC
16および/またはC
18α-スルホ脂肪酸エステルとの混合物が挙げられる。例えば、約1〜約99%のC
8、C
10、C
12および/またはC
14α-スルホ脂肪酸エステルを、約99〜約1重量%のC
16および/またはC
18α-スルホ脂肪酸エステルと組み合わせることができる。別の態様においては、混合物は、約1〜約99重量%のC
16またはC
18α-スルホ脂肪酸エステルと約99〜約1重量%のC
16またはC
18α-スルホ脂肪酸エステルとを含む。さらに別の態様においては、α-スルホ脂肪酸エステルは、約2:1〜約1:3の比を有するC
18メチルエステルスルホネートとC
16メチルエステルスルホネートとの混合物である。特に好ましいのは、約50:50〜約70:30のC16:C18比(例えば、約50:50、約55:45、約60:40、約65:35、約70:30、約75:25、または約80:20、最も特には約70:30のC16:C18比)を有する、C
16メチルエステルスルホネート(MES)とC
18MESとの組み合わせ、特に共融MES(本明細書においてEMESと呼ぶ)である。
【0028】
本組成物は、また、所望の界面活性剤特性を提供するために、同時係属中の米国特許第6,683,039号に開示されるように、特定のα-スルホ脂肪酸エステルを豊富にすることができる。その出願の開示は、参照により本明細書に組み入れられる。例えば、パーム核(ステアリン)油、パーム核(オレイン)油または牛脂などの天然の供給源から調製されるα-スルホ脂肪酸エステルにおいて、精製または半精製α-スルホ脂肪酸エステルをα-スルホ脂肪酸エステルの混合物に添加することにより、C
16および/またはC
18α-スルホ脂肪酸エステルを豊富にする。豊富化の適切な比は、0.5:1超、約1:1、約1.5:1〜2:1超、最大で約5〜約6:1、またはそれ以上の範囲のC
16〜C
18 対 他の鎖長のα-スルホ脂肪酸エステルである。豊富化された混合物はまた、約50〜約60重量%のC
8〜C
18α-スルホ脂肪酸エステルと約40〜約50重量%のC
16α-スルホ脂肪酸エステルとを含みうる。
【0029】
α-スルホ脂肪酸エステルを調製する方法は、当業者に公知である(例えば、米国特許第5,587,500号;第5,384,422号;第5,382,677号;第5,329,030号;第4,816,188号;および第4,671,900号を参照;これらの開示は、参照により本明細書に組み入れられる)。α-スルホ脂肪酸エステルは、牛脂、パーム核油、パーム核(オレイン)油、パーム核(ステアリン)油、ヤシ油、大豆油、キャノーラ油、コフネヤシ油、ココ(coco)バター、パーム油、白色油脂、綿実油、トウモロコシ油、菜種油、大豆油、黄色油脂、それらの混合物またはそれらの画分を含む様々な供給源から調製することができる。α-スルホ脂肪酸エステルを生成するための他の脂肪酸源には、カプリル酸(C
8)、カプリン酸(C
10)、ラウリン酸(C
12)、ミリスチン酸(C
14)、ミリストレイン酸(C
14)、パルミチン酸(C
16)、パルミトレイン酸(C
16)、ステアリン酸(C
18)、オレイン酸(C
18)、リノール酸(C
18)、リノレン酸(C
18)、リシノール酸(C
18)、アラキジン酸(C
20)、ガドレイン酸(C
20)、ベヘン酸(C
22)およびエルカ酸(C
22)の脂肪酸が挙げられる。これらの供給源の1つまたは複数から調製されるα-スルホ脂肪酸エステルは、本発明の範囲内にある。
【0030】
本発明の組成物は、有効量(すなわち、所望の洗浄および界面活性剤特性を示す量)のα-スルホ脂肪酸エステルを含む。一つの態様においては、有効量は、少なくとも約0.5重量%のα-スルホ脂肪酸エステルである。別の態様においては、有効量は、少なくとも約1重量%のα-スルホ脂肪酸エステルである。別の態様においては、有効量は、少なくとも約5重量%のα-スルホ脂肪酸エステルである。さらに別の態様においては、α-スルホ脂肪酸エステルの有効量は、少なくとも約10重量%、少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%である。別の態様においては、有効量は、0.5重量%〜30重量%、好ましくは、0.5重量%〜25重量%、または1重量%〜25重量%、または1重量%〜10重量%、または5重量%〜10重量%のα-スルホ脂肪酸エステルである。これらの重量%は、組成物の総重量に基づいている。本発明に従うEMESを含有する適切な組成物は、例えば、約5%〜約50%(例えば、約5%、約6%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%または約50%)のEMES濃度を含む。例示的な調合物には、本明細書の実施例に記載されているもの、例えば、約25%、30%または35%を含有する調合物が挙げられる。
【0031】
ヒドロトロープ
本組成物は、有効量の少なくとも1種のヒドロトロープを含めることによって安定化される(即ち、低温でおよび長期保管で界面活性剤の溶解性が維持される)。ヒドロトロープは、α-スルホ脂肪酸エステル含有組成物に対して1つまたは複数の安定効果を提供する。ある態様において、ヒドロトロープは、冷水水溶液中にα-スルホ脂肪酸エステルを可溶化するのに役立つ。別の態様において、ヒドロトロープは、冷水水溶液中にα-スルホ脂肪酸エステルを可溶化するのに役立ち、ここで温度は40℃未満である。そのような態様において、ヒドロトロープは、低温保管条件において、冷水洗濯条件での使用において、または両方において、組成物に対してそのような安定効果を提供する。
【0032】
別の態様において、有効量のα-スルホ脂肪酸エステルおよびヒドロトロープは、より酸性の値またはより塩基性の値のいずれかへのpHドリフトを減らすことによって組成物を安定させる。α-スルホ脂肪酸エステルは、非安定化組成物と比較して、所望の範囲内に組成物のpHを安定させるために、有効量のヒドロトロープと組み合わされる。別の態様において、有効量のヒドロトロープは、保管の間、所望のpH範囲外へのpHドリフトを減らす。ヒドロトロープの有効量は、例えば、組成物のpHが保管の間所望のpH範囲内にとどまるように、組成物の意図される保存寿命に従って、決定される。
【0033】
別の態様において、ヒドロトロープはα-スルホ脂肪酸エステルと相溶性であり、その結果、少量しか追加の二塩が組成物中において形成しない。ヒドロトロープは、pHドリフトを減らし、それによってアルカリ化剤についての要件を免れることによって、組成物を安定させることができる。本明細書において使用される場合、用語「少量」は、約30重量パーセント以下の追加の二塩を意味する。より典型的には、少量は、約15重量パーセント以下の追加の二塩、または約7重量パーセント以下の追加の二塩である。当業者によって理解されるように、前述の範囲は追加の二塩形成に当てはまり、製造プロセスの結果としてα-スルホ脂肪酸エステル中に既に存在している二塩を除外する。George Battaglini et al., "Analytical Methods for Alpha Sulfo Methyl Tallowate," JOACS 63: 8 (August, 1986)の方法は、α-スルホ脂肪酸エステルサンプル中の二塩の量、および対照サンプルと比較してのこのようなサンプルにおける増加を測定するために使用することができる。この刊行物の開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0034】
ある態様において、ヒドロトロープは、中鎖(C
4〜C
18)アルキルジメチルアミンオキシド、例えば、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、およびミリスチルジメチルアミンオキシドである。別の態様において、ヒドロトロープは、アルキルジメチルアミンオキシドの混合物を含む中鎖(C
4〜C
18)アルキルジメチルアミンオキシドである。例えば、組成物は、C
4、C
6、C
8、C
10、C
12、C
14、C
16およびC
18アルキルジメチルアミンオキシドなどの、アルキルジメチルアミンオキシドの混合物を含みうる。混合物中の種々の鎖長の割合は、アルキルジメチルアミンオキシドの性質に従って選択される。本発明のこの局面において特に有用であるのは、C
6、C
8およびC
10アルキルジメチルアミンオキシド、より具体的にはC
8アルキルジメチルアミンオキシドである。本発明のこの局面に従って使用されるアミンオキシドは、合成または天然のいずれかであり得、Stepan Company(例えば、Stepan Agent 3785-87または合成C8 3853-01)、Lonza(例えば、Lonza FMB AO-8)、Clariant(例えば、GEMAMINOX(登録商標)OC)、Mason(例えば、MACAT(登録商標)AO-8)、Rhodia(例えば、MACKAMINE(登録商標)C8)、およびThe Sun Products Corporationを含む、様々な供給業者から市販されている。
【0035】
ある態様において、α-スルホ脂肪酸エステルは、冷水溶液中にα-スルホ脂肪酸エステルを可溶化するのに役立つ有効量のヒドロトロープと組み合わされる。ある態様において、有効量は少なくとも約0.5重量パーセントのヒドロトロープである。別の態様において、有効量は少なくとも約1重量パーセントのヒドロトロープである。別の態様において、有効量は少なくとも約5重量パーセントのヒドロトロープである。さらに別の態様において、ヒドロトロープの有効量は、少なくとも約10重量パーセント、少なくとも約25重量パーセント、または少なくとも約30重量パーセントである。別の態様において、有効量は、0.5重量パーセント〜30重量パーセントのヒドロトロープ、好ましくは0.5重量パーセント〜25重量パーセント、または0.5重量パーセント〜10重量パーセント、または1重量パーセント〜25重量パーセント、または1重量パーセント〜10重量パーセント、または1重量パーセント〜5重量パーセント、または1.5重量パーセント〜約3重量パーセント、または2重量パーセント〜約2.5重量パーセント、または5重量パーセント〜10重量パーセント、または約2.5重量パーセント〜約5重量パーセント、または約2重量パーセント〜約4重量パーセント、または約5重量パーセントである。さらなる態様において、C8アミンオキシドヒドロトロープは、約1%〜約10%(例えば、約1%、約2%、約2.5%、約2.75%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%または約10%)の量で、本発明のMES(例えば、EMES)含有調合物中に含まれる。例示的な調合物としては、本明細書の実施例に記載されているもの、例えば、約70:30のC16:C18比を有するEMESを約35%含有し、かつC8アミンオキシドを約7%のレベルで含有する調合物が挙げられる。これらの重量パーセンテージは組成物の総重量に基づく。
【0036】
組成物は、任意で、第2のヒドロトロープをさらに含みうる。そのような第2のヒドロトロープは、より低温でのα-スルホ脂肪酸エステルの沈殿を防止するのを助けるクラフト点降下剤(Kraft point reducer)であり得る。当業者によって理解されるように、沈殿は溶液中の白濁の存在によって一般的に示され、適切なクラフト点降下剤の例としては、ピロリドン、例えば、N-オクチルピロリドン(SURFADONE(登録商標)、International Specialty Products, UK)、米国特許第4,367,169に開示されるピリドン塩などが挙げられるが、これらに限定されず、この開示は参照により本明細書に組み入れられる。ある態様において、組組成物はクラフト点降下剤を約1重量%〜約5重量%(例えば、約2重量%)含むが、より多いおよびより少ない量を使用することができる。適切なそのような第2のヒドロトロープの例は、実施例を含む本明細書中の他の箇所に記載されており、当業者によく知られており、トリエタノールアミン、ベタイン、アルキルグルコシド、ポリアルキルグルコシド、グリセリン、特定の短鎖有機アルコール(例えば、エタノール)、プロピレングリコールおよびさらにより長いアルキル鎖(例えば、C
10〜C
14)アミンオキシドなどの化合物を含む。
【0037】
他の成分
さらなる態様において、本発明の組成物は1種または複数種の追加の成分を含み得る。例えば、液体組成物の流動性が重要なある組成物の生成について(例えば、ハンドポンプを備えたディスペンサー中に組成物をパッケージすることが望ましい場合がある洗剤、食器用またはパーソナルケア用組成物について)、組成物中に1種または複数種の粘度調整剤、例えば、有機アルコール(例えば、エタノール)などの溶媒を含めることが望ましい。例示的なそのような組成物は溶媒を約3%〜約10%、好ましくは約5%〜約8%含む。しかし、そのような溶媒の使用は絶対に必要とされるわけではなく、何故ならば、本明細書に記載される調合物の大部分(特に、約30%〜約40%のMES界面活性剤レベルおよび約2%〜約7%のC8アミンオキシドヒドロトロープレベルを有するもの)は、調合物がポンプ作用によって高剪断応力を受ける(それによって粘度が低下する)条件においてポンプ圧送可能であることが注意されるべきである。適切なそのような調合物は本明細書中の実施例に記載されている。
【0038】
さらなる好ましい態様において、組成物は、1種または複数種の他の成分、例えば、非イオン界面活性剤、他の(第2の)陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤、ポリマー分散剤、ビルダー、酸化剤、殺生物剤、泡調整剤、活性化剤、触媒、増粘剤、他の安定剤、芳香剤、汚れ懸濁剤、増白剤、酵素、UV保護剤、塩、水、不活性成分などを含む。
【0039】
適切な非イオン界面活性剤には、一般的に、下記式(III)で表されるポリアルコキシル化アルカノールアミドが含まれる:
式中、R
4は、アルカンまたはヒドロアルカンであり、R
5およびR
7は、アルカンであり、かつnは、正の整数である。R
4は、典型的には、6〜22個の炭素原子を含有するアルカンである。R
5は、典型的には、1〜8個の炭素原子を含有するアルカンである。R
7は、典型的には、1〜4個の炭素原子を含有するアルカン、さらに典型的には、エチル基である。ポリアルコキシル化度(アルカノールアミド1モル当たりのオキシアルキル基のモル比)は、典型的には、約1〜約100、または約3〜約8、または約5〜約6の範囲である。R
6は、水素、アルカン、ヒドロアルカン基またはポリアルコキシル化アルカンでありうる。ポリアルコキシル化アルカノールアミドは、典型的には、ポリアルコキシル化モノ-またはジ-アルカノールアミド、例えば、C
16および/またはC
18エトキシ化モノアルカノールアミド、またはパーム核油またはヤシ油から調製されるエトキシ化モノアルカノールアミドである。
【0040】
ポリアルコキシル化アルカノールアミドを製造する方法は、当業者に公知である(例えば、米国特許第6,034,257号および第6,034,257号を参照、これらの開示は、参照により本明細書に組み入れられる)。アルカノールアミドを調製するための脂肪酸源には、牛脂、パーム核(ステアリンまたはオレイン)油、ヤシ油、大豆油、キャノーラ油、コフネヤシ油、パーム油、白色油脂、綿実油、それらの混合物およびそれらの画分が挙げられる。他の供給源には、カプリル酸(C
8)、カプリン酸(C
10)、ラウリン酸(C
12)、ミリスチン酸(C
14)、ミリストレイン酸(C
14)、パルミチン酸(C
16)、パルミトレイン酸(C
16)、ステアリン酸(C
18)、オレイン酸(C
18)、リノール酸(C
18)、リノレン酸(C
18)、リシノール酸(C
18)、アラキジン酸(C
20)、ガドレイン酸(C
20)、ベヘン酸(C
22)およびエルカ酸(C
22)の脂肪酸が挙げられる。これらの供給源の1つまたは複数に由来するポリアルコキシル化アルカノールアミドは、本発明の範囲内にある。
【0041】
本組成物は、典型的には、有効量(例えば、所望の界面活性剤特性を示す量)のポリアルコキシル化アルカノールアミドを含む。いくつかの用途において、本組成物は、約1〜約10重量%のポリアルコキシル化アルカノールアミドを含有する。典型的には、本組成物は、少なくとも約1重量%のポリアルコキシル化アルカノールアミドを含む。
【0042】
他の適切な非イオン界面活性剤には、可溶化基(カルボキシレート、ヒドロキシル、アミドまたはアミノ基など)とエチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはその多水和生成物(ポリエチレングリコールなど)などのアルキル化剤との反応生成物である、有機疎水性基および親水性基を含有するものが挙げられる。そのような非イオン界面活性剤には、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、アルキルポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、グリセロール脂肪酸エステル、アルキルグルコサミド、アルキルグルコシド、およびアルキルアミンオキシドが挙げられる。他の適切な界面活性剤には、米国特許第5,945,394号および第6,046,149号に開示されているものが挙げられ、これらの開示は、参照により本明細書に組み入れられる。別の態様においては、本組成物は、ノニルフェノール非イオン界面活性剤を実質的に含有しない。この文脈において、用語「実質的に含有しない」は、約1重量%未満を意味する。
【0043】
ポリマー分散剤、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、およびそれらの水溶性の塩(例えば、アルカリ金属、アンモニウムまたは置換アンモニウム塩)のポリマーおよびコポリマーを、任意で、本組成物中に含めることができる。適切なポリマー分散剤として、さらに、Rohm and Haas社から、ACUSOL(登録商標)445(ポリアクリル酸)、ACUSOL(登録商標)445N(ポリアクリル酸ナトリウム塩)、ACUSOL(登録商標)460N(マレイン酸/オレフィンコポリマーナトリウム塩)およびACUSOL(登録商標)820(アクリルコポリマー)という商品名で販売されているものが挙げられる。
【0044】
一つの態様においては、第2の陰イオン界面活性剤が本組成物中に含まれる。適切な第2の陰イオン界面活性剤には、その分子構造内に長鎖炭化水素疎水性基および親水性基、すなわち、カルボキシレート、スルホネート、サルフェート、またはホスフェート基などの塩を含む水可溶化基を含有する界面活性剤が挙げられる。適切な陰イオン界面活性剤の塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、鉄、アンモニウムおよびアミン塩が挙げられる。他の適切な第2の陰イオン界面活性剤には、その分子構造内に、8〜22個の炭素原子を含有するアルキルまたはアルカリル基、およびスルホン酸または硫酸エステル基を有する有機硫酸反応生成物のアルカリ金属、アンモニウムおよびアルカノールアンモニウム塩が挙げられる。そのような陰イオン界面活性剤の例には、8〜22個の炭素原子のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホネート、8〜22個の炭素原子のアルキル基を有するアルキルエーテルサルフェートの水溶性の塩が挙げられる。他の陰イオン界面活性剤には、ポリエトキシ化硫酸アルコール、例えば、CALFOAM(登録商標)303(Pilot Chemical Company, California)という商品名で販売されているものが挙げられる。他の陰イオン界面活性剤の例は、米国特許第3,976,586号(その開示は、参照により本明細書に組み入れられる)に開示されている。別の態様においては、本組成物は、追加の(第2の)陰イオン界面活性剤を実質的に含有しない。
【0045】
適切な双性イオン界面活性剤は、第二級および第三級アミンの誘導体、複素環式第二級および第三級アミンの誘導体、または第四級アンモニウム、第四級ホスホニウムもしくは第三級スルホニウム化合物の誘導体、例えば、米国特許第3,929,678号(参照により本明細書に組み入れられる)に開示されているものとして、広く記載されている。
【0046】
他の適切な成分には、有機または無機の洗浄性ビルダーが挙げられる。単独で、または互いに組み合わせて、または有機アルカリ捕捉ビルダーの塩と組み合わせて使用することができる水溶性の無機ビルダーの例は、グリシン、コハク酸アルキルおよびアルケニル、炭酸アルカリ金属、重炭酸アルカリ金属、ホスフェート、ポリホスフェートおよびシリケートである。そのような塩の具体例は、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、ピロリン酸ナトリウムおよびピロリン酸カリウムである。単独で、または互いに組み合わせて、または前述の無機アルカリビルダーの塩と組み合わせて使用することができる有機ビルダーの塩の例は、ポリカルボン酸アルカリ金属、水溶性のシトレート、例えば、クエン酸ナトリウムおよびカリウム、酒石酸ナトリウムおよびカリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムおよびカリウム、N(2-ヒドロキシエチル)-ニトリロ三酢酸ナトリウムおよびカリウム、N-(2-ヒドロキシエチル)-ニトリロ二酢酸ナトリウムおよびカリウム、オキシジコハク酸ナトリウムおよびカリウムならびに酒石酸モノ-およびジ-コハク酸ナトリウムおよびカリウム、例えば、米国特許第4,663,071号(その開示は、参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているものである。
【0047】
適切な殺生物剤には、トリクロサン(5-クロロ-2(2,4-ジクロロ-フェノキシ)フェノール))などが挙げられる。適切な蛍光増白剤には、TINOPAL(登録商標)AMSなどのスチルベン、TINOPAL(登録商標)CBS-Xなどのジスチリルビフェニル誘導体、TINOPAL(登録商標)RA-16などのスチルベン/ナフトトリアゾールブレンド(全てCiba Geigyから販売されている)、オキサゾール誘導体およびクマリン増白剤が挙げられる。
【0048】
適切な酵素には、当技術分野において公知の酵素、例えば、アミロース分解、タンパク質分解、セルロース分解または脂肪分解型酵素、および米国特許第5,958,864号(その開示は、参照により本明細書に組み入れられる)に列挙される酵素が挙げられる。Novozymes A/SからSAVINASE(登録商標)という商品名で販売されている好ましい1つのプロテアーゼは、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチラーゼである。他の適切な酵素には、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼおよびセルラーゼ、例えば、Novozymes A/Sから販売されている、ALCALASE(登録商標)(細菌プロテアーゼ)、EVERLASE(登録商標)(SAVINASE(登録商標)のタンパク質改変変異体)、ESPERASE(登録商標)(細菌プロテアーゼ)、LIPOLASE(登録商標)(真菌リパーゼ)、LIPOLASE ULTRA(LIPOLASEのタンパク質改変変異体)、LIPOPRIME(登録商標)(LIPOLASEのタンパク質改変変異体)、TERMAMYL(登録商標)(細菌アミラーゼ)、BAN(細菌アミラーゼNovo)、CELLUZYME(登録商標)(真菌酵素)およびCAREZYME(登録商標)(単一成分セルラーゼ)が挙げられる。本発明に従う使用に適したこれらのクラスのさらなる酵素は、当業者に周知であり、Novozymes A/SおよびGenencor/Daniscoを含むがこれらに限定されない様々な供給業者から入手可能である。
【0049】
適切な泡安定化剤には、ポリアルコキシル化アルカノールアミド、アミド、アミンオキシド、ベタイン、スルタイン、C
8〜C
18脂肪族アルコールおよび米国特許第5,616,781号(その開示は、参照により本明細書に組み入れられる)に開示されているものが挙げられる。泡安定化剤は、例えば、約1〜約20重量%、典型的には、約3〜約5重量%の量で使用される。本組成物は、脂肪酸アミド界面活性剤などの補助泡安定化界面活性剤をさらに含みうる。適切な脂肪酸アミドは、C
8〜C
20アルカノールアミド、モノエタノールアミド、ジエタノールアミド、およびイソプロパノールアミドである。
【0050】
適切な液体担体には、水、水とC
1〜C
4一価アルコール(例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、およびそれらの混合物)との混合物などが挙げられる。一つの態様においては、液体担体は、組成物の、約90重量%〜約25重量%、典型的には、約80重量%〜約50重量%、さらに典型的には、約70重量%〜約60重量%を構成する。他の適切な成分には、希釈剤、染料および香料が挙げられる。希釈剤は、無機塩、例えば、硫酸ナトリウムおよびカリウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウムおよびカリウム、重炭酸ナトリウムなどでありうる。そのような希釈剤は、典型的には、約1重量%〜約10重量%、好ましくは、約2重量%〜約5重量%の濃度で存在する。
【0051】
いくつかの態様において、本発明の組成物は、容器中に収容されてもよく、特定のそのような態様においては、容器は水溶性容器である。そのような態様において、水溶性容器は、水と接触させたとき溶解、破壊、分散または崩壊し、それにより組成物を放出する水溶性材料から作製される。いくつかの態様において、水溶性容器は、ポリビニルアルコール、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド、デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルメチルエーテル-マレイン酸無水物、ポリマレイン酸無水物、スチレンマレイン酸無水物、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、アルジネート、アクリルアミドコポリマー、グアーガム、カゼイン、エチレン-マレイン酸無水物樹脂、ポリエチレンイミン、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、およびそれらの混合物からなる群より選択される水可溶性ポリマーから形成される。一つの態様においては、水溶性容器は、低分子量の水溶性のポリビニルアルコールフィルム形成樹脂から作製される。
【0052】
本発明の組成物での使用に適している単位用量容器およびその製造方法には、例えば、米国特許第3,218,776号;第4,776,455号;第6,727,215号;第6,878,679号;第7,259,134号;第7,282,472号;第7,304,025号;第7,329,441号;第7,439,215号;第7,464,519号;および第7,595,290号;ならびに米国特許出願公開第2012/0108487 A1号に記載されているものが挙げられ;それらの全ての開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。好ましいそのような態様において、容器は、水溶性フィルムから調製された、水溶性単室容器である。本発明の一つのそのような局面によれば、単室容器は、ポリビニルアルコール(PVOH)またはPVOHフィルムなどの水溶性ポリマーまたはフィルムから生成される成形密封ポーチである。
【0053】
ポーチを形成するための好ましい水溶性ポリマーは、MONOSOL(登録商標)(MonoSol LLC, Indiana)という商品名で販売されているポリビニルアルコール(PVOH)樹脂である。好ましいグレードは、約55,000〜65,000の重量平均分子量範囲および約27,000〜33,000の数平均分子量範囲を有するMONOSOL(登録商標)フィルムである。好ましくは、フィルム材料は、約3ミリまたは75マイクロメーターの厚さを有する。あるいは、市販グレードのPVOHフィルム、例えば、Monosol(Merrillville, IN)から市販されているもの(例えば、Monosol film M8630)、またはAicello(Aiichi, Japan; North American subsidiary in North Vancouver, BC, Canada)から市販されているもの(例えば、Aicello fil PT75)が本発明での使用に適している。
【0054】
いくつかの態様においては、水溶性容器は架橋剤をさらに含む。いくつかの態様においては、架橋剤は、ホルムアルデヒド、ポリエステル、エポキシド、イソシアネート、ビニルエステル、ウレタン、ポリイミド、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基または活性化エステル基を有するアクリル、ビス(メタクリルオキシプロピル)テトラメチルシロキサン(スチレン、メチルメタクリレート)、n-ジアゾピルベート、フェニルボロン酸、シスプラチン、ジビニルベンゼン(スチレン、二重結合)、ポリアミド、ジアルデヒド、シアヌル酸トリアリル、N-(2-エタンスルホニルエチル)ピリジニウムハロゲン化物、テトラアルキルチタネート、チタネート、ボレート、ジルコネート、またはそれらの混合物からなる群より選択される。一つの態様においては、架橋剤は、ホウ酸またはホウ酸ナトリウムである。
【0055】
さらなる態様においては、水溶性容器またはそれを作製するフィルムは、1種または複数種の追加の成分、剤または特徴、例えば、1種または複数種の香料または芳香剤、1種または複数種の酵素、1種または複数種の界面活性剤、1種または複数種のすすぎ剤、1種または複数種の染料、1種または複数種の機能的または審美的粒子(aesthetic particle)などを含有することができる。そのような成分、剤または特徴は、フィルム生成分野において公知の方法を使用して、製造時にフィルム内またはフィルム上に組み込んでもよく、または本発明の洗浄組成物の製造プロセスの間にフィルム上に導入することが都合がよい。
【0056】
本発明の組成物に関連して使用される単一区画の水溶性容器(例えば、ポーチ)は、任意の所望の形状およびサイズであってもよく、任意の適切な方法、例えば、成形、鋳造、押し出しまたは吹き込み形成により調製することができ、そして、次に、自動充填プロセスを使用して充填する。本発明での使用に適した水溶性容器を生成および充填するためのプロセスの例は、米国特許第3,218,776号;第3,453,779号;第4,776,455号;第5,699,653号;第5,722,217号;第6,037,319号;第6,727,215号;第6,878,679号;第7,259,134号;第7,282,472号;第7,304,025号;第7,329,441号;第7,439,215号;第7,464,519号;および第7,595,290号(その全ての開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる)に記載されている。好ましい態様においては、米国特許第3,218,776号および第4,776,455号に記載のキャビティ充填アプローチを使用して、STTCおよび/または本発明の洗浄剤組成物をポーチに充填する;このプロセスを実施するために必要な機械は、例えば、Cloud Packaging Solutions(Des Plaines, IL; a division of Ryt-way Industries, LLC, Lakeville, MN)から市販されている。
【0057】
いくつかの態様においては、水溶性容器は、ポーチ中のフィルムポリマーと組成物との間に保護層を含む。いくつかの態様においては、保護層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。
【0058】
ある態様において、液体組成物は、水に添加されると製品を放出するように水溶性または透水性であり得る単位用量サシェ中に入れることができる。
【0059】
本発明の組成物は、当業者に公知の任意の適切な方法によって形成される。典型的には、有効量のα-スルホ脂肪酸エステルおよびヒドロトロープを組み合わせて、組成物を形成する。ある態様において、ヒドロトロープ(例えば、アルキルジメチルアミンオキシド)を、水溶液の形態であってもよいα-スルホ脂肪酸エステルへの添加の前に、液体担体(例えば、水)中に可溶化する。関連する態様において、ヒドロトロープ(例えば、アルキルジメチルアミンオキシド)を、液体担体(例えば、水)中に可溶化し、水溶液の形態であってもよいα-スルホ脂肪酸エステルと混合し、ブレンドを形成し、次いでこのブレンドを、本明細書に記載されているものなどの1種または複数種の他の洗濯洗剤成分を含む調合物(例えば、水性組成物)へ添加する。他の適切な方法としては、Perry's Chemical Engineers' Handbook (6th Ed.), chapter 19 (1984)に記載されているものが挙げられ、この開示は参照により本明細書に組み入れられる。別の態様において、有効量のα-スルホ脂肪酸エステル、ヒドロトロープ、および他の洗剤成分を、最終組成物の所望の性質、または最終組成物中のそれらの所望の個々の割合に従って、組み合わせる。例えば、α-スルホ脂肪酸エステルおよびヒドロトロープをミキサー中で組み合わせ、他の洗剤成分を添加し、次いで成分を混合し、本発明に従う組成物を形成する。
【0060】
本発明の他の態様を以下の実施例において例証し、これらは本発明に従う態様を説明するが、本発明はこれらの実施例によってまたはこれらの実施例へと限定されるようには意図されない。
【実施例】
【0061】
実施例1:界面活性剤の溶解性の分析
メチルエステルスルホネート(MES)は、石鹸および洗剤における広範囲の用途を有する、有効で、コスト効率の良い界面活性剤である。それは、洗濯洗剤(粉末および液体)ならびに食器手洗い用洗剤を含む、多数の家庭用洗浄製品において一般的に使用されおり、再生可能資源に由来し、生分解性である。MESはまた、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)を含むこれらの用途に使用されている伝統的な界面活性剤に対してコスト競争力があり、その硬水耐性(MES含有調合物中のビルダーの必要性を減らす)、その低臭気プロファイル(塩基臭を克服するために必要とされる芳香剤の量を減らす)、皮膚に対するその優しさ(皮膚接触が一般的である洗濯および食器手洗い用途において特に有用である)、およびLASと比べてMESの生成時に廃棄物がほとんど生じないという事実を含む、LASに比べて多数のさらなる利点を有する。最後に、コンパクト粉末製品において、MESは粉末ブレンドによって後で添加することができ、このため、最終コンパクト粉末調合物の嵩密度のより良い制御が可能となる。
【0062】
しかし、これらの明らかな利点にもかかわらず、MESは、いくつかの理由で、洗剤調合物における使用または容認が伝統的に制限されてきた。先ず、多くのグレードのMESが洗浄力に「欠けて」おり、適切な洗浄力を示すものは、限られた水溶性をしばしば有する。さらに、適切な洗浄力を示すMES成分の溶解性でさえ、いわゆる「冷水」洗濯用途において一般的に使用されるような低温(例えば、約50°F未満)で保管または使用される調合物においてさらに一層低下する。さらに、MESが使用されることになっている調合物に対してはpH制約があり;調合物のpHが厳密に制御されない場合、二塩形成が生じ、これはさらに一層MESの溶解性および洗浄力を大幅に低下させる。粉末調合物中のMESのカラープロファイルを制御することもしばしば困難であり得、このため長期保管安定性を示さない調合物が生成され得、調合物の商業的適応性が低下する。最後に、MESの使用は、一貫して高品質の材料を供給するために高性能機器および技術的専門知識をしばしば必要とする。本発明において、本発明者らは、洗濯および食器洗浄などの洗剤用途における使用に適したMESおよびMES含有調合物の最適な形態を決定するために、MESを使用することのこれらの潜在的な欠点の多くに取り組んだ。
【0063】
先ず、本発明者らは、MESが不十分な洗浄力を示し得る成分であると典型的に考えられてきたという事実に取り組んだ。界面活性剤の洗浄性能(即ち、洗浄力)は、その臨界ミセル濃度(CMC、界面活性剤のモノマーが、それらの疎水性尾部が油を閉じ込めることができるように、球状に整列する濃度)の関数としてのその界面張力(IFT)の試験によって直接測定することができる。従って、本発明者らは、様々な界面活性剤濃度に対する表面張力の低下(即ち、洗浄力)における使用についての、様々なタイプのMESを含む、様々な界面活性剤の適応性を調べようと考えた。界面活性剤を0〜250 ppmの濃度(これは家庭用洗濯法における界面活性剤調合物についての「使用時」条件に典型的である)にて水中で滴定し、これらの溶液の界面張力を、Kruss DSA100液滴形状分析器においてペンダントドロップ法を使用して濃度の関数として測定した。この方法は、Young-Laplace方程式
Δp = γ(1/R
x + 1/R
y)
へのコンピューターフィットによる、液滴形状の分析を用いての表面張力の迅速で正確な測定を可能にし、式中、Δpは流体界面を隔てての圧力差であり、γは表面張力であり、R
xおよびR
yは液滴の主曲率半径である。当業者が容易に理解するように、例えばDu Nouyリング、液滴体積、または気泡表面張力計を使用して、界面張力を測定する他の張力学的方法を使用することもでき;このようなアプローチを使用して表面張力を測定するための適切な機器および方法は当技術分野において周知である。このようなアプローチは様々な組成物のCMCを測定するためにも適しており;本研究において、CMCもKrus DSA100機器を使用して測定した。結果を
図1に示す。
【0064】
結果は、家庭用洗浄製品中において一般的に使用されているいくつかの周知の界面活性剤の中で、MES(C16形態またはココ形態)がそのCMCに最も速く達し、さらに、測定した各濃度で最も低いIFTを示すことを示した。これらの結果は、これらの界面活性剤の中で、MESが、比較的低いCMCで、増強された湿潤または洗浄力(即ち、表面張力のより迅速な低下)を示し、このためそれが適切な界面活性剤候補となることを示している。
【0065】
重要なことには、本発明者らはまた、MESスルホ脂肪酸鎖の鎖長が同様に洗浄力に影響を与えることを見出した。具体的には、より長い鎖長で、洗浄力が改善されることがわかった。12個の炭素(C
12)から18個の炭素(C
18)までのアルキル鎖長を有するMESを使用して、上述のIFT研究を繰り返した。結果を
図2に示し、C
16およびC
18 MESがより短い鎖長のMESと比べて優れた洗浄力を示すことが示されている。結果として、C
16およびC
18、またはそれらのブレンドが、比較的低い濃度で優れた洗浄力を提供するための好ましいMES成分および調合物である。
【0066】
本発明者らはまた、洗濯および食器洗浄などの水ベースの家庭用洗浄用途におけるその適応性に影響を与える、MESの溶解性に関する問題に取り組んだ。最善の洗浄力を提供するMES形態(例えば、上述したように、C
16 MESおよびC
18 MES)はまた水溶性の低下を示すことが、当技術分野において公知である。しかし、鎖長をブレンドすることが、純粋な成分の溶解性と比べてより良い溶解性を提供することも当技術分野において公知である。例えば、参照により本明細書に組み入れられるSchambil, F. and Schwuger, M.J., Tenside Surf, Det. 27: 380 (1990)において報告されるように、C
16 MESおよびC
18 MESの特定の混合物は、いずれか単独と比べて、より可溶性であり;最大の溶解性は70:30 (w/w)のC
16:C
18比で観察され、このようなブレンドの溶解性の共融性に起因して、これを本明細書において共融MESまたはEMESと呼ぶ(
図3を参照のこと)。しかし、この参考文献において報告された研究は、総界面活性剤1%の溶液を使用して行われ、これは洗濯および食器洗浄などの家庭用洗浄用途(これは典型的には約5%〜約15%(例えば、約9%)界面活性剤濃度を使用する)において有用である濃度よりも遥かに低い。
【0067】
従って、本発明者らは、様々な界面活性剤濃度に対する表面張力の低下における使用についての、共融メチルエステルスルホネート(EMES)(即ち、70:30の比(w/w)のC
16 MES:C
18 MESのブレンド)を含む、様々な界面活性剤の適応性を調べようと考えた。1% MESを用いた上述の研究を繰り返し、水中約9%の濃度までEMESの濃度を試験した。
図4に示されるこれらの研究の結果は、MESの共融挙動が、液体洗濯洗剤に必要とされる濃度で(即ち、約9% w/vまで)持続することを示している。実際に、これらの研究において、本発明者らは、70:30のC
16 MES:C
18(即ち、EMES)比が、9%までの総界面活性剤濃度であってさえ、最適な溶解性プロファイルをもたらすことを見出した。
【0068】
最後に、他の界面活性剤(他のMES形態を含む)と比較してのEMESの洗浄力を調べるために、本発明者らは、ペンダントドロップ法を再び使用して、広範囲の界面活性剤濃度にわたって上述のIFT/CMC研究を繰り返した。
図5に示されるこれらの実験の結果は、界面活性剤の中でも、EMES(
図5において「SunSoft(商標)」と表示される)が、比較的低いCMCで最も高い洗浄力(即ち、表面張力のより迅速な低下)を示したこと示している。従って、本発明者らは、EMESが、様々な家庭用洗浄用途における、特に洗濯洗剤調合物における、使用について理想的な候補界面活性剤であると結論付けた。
【0069】
実施例2:高濃度ならびに低い保管および使用温度でのEMESの溶解性の改善
EMESが理想的な界面活性剤候補であると決定して、本発明者らは、高濃度および低い保管/使用温度でのMES界面活性剤の比較的低い溶解性を克服する方法に取り組むための方法を次に調べた。この問題を克服することによって、保管および使用時の界面活性剤の沈殿を回避すると同時に、より高濃度のEMES(これは洗浄効果を付随して増加させる)を有する洗濯および食器洗浄調合物の生成が可能となる。
【0070】
HDL(ヘビーデューティー液体)洗濯洗剤調合物の開発の最も重要な局面の1つは、それが物理的に安定でなければならないということである。洗剤のボトルは2年までの間棚の上で未使用のままである場合があり、時には、そのような製品は夏には暑い倉庫の中でまたは冬の間は暖房のないガレージの中で保管される。これらの理由のために、および本発明者らの製品が遭遇し得る多くの他の保管条件に前もって備えておくために、開発され市販されるHDL調合物は、いくつかのタイプの確立した保管安定性基準を満たさなければならない。
【0071】
下記は、必要とされる保管温度、およびサンプルが各温度で試験されなければならない期間である。
【0072】
サンプルを-20℃のフリーザー中に入れ、次いでサンプルを2日毎に室温で融解することによって、凍結融解試験を行った。HDL調合物は、1週間の凍結/融解保管に合格する必要があり、これは3回の凍結/融解サイクルに相当する。
【0073】
サンプルを保管安定性試験の間定期的に点検し、沈殿または分離の形跡がないか視覚的に調べた。HDLについての安定性試験スケジュールはこの手順の終わりにある。「X」が示されるところで、サンプルをチャンバーまたはオーブンから取り出し、調べる。このとき、観察を保管レコードまたは保管シートに記録する。各温度での保管が完了した後、サンプルは処分されるべきである。さらに、HDLについての最小限の合格/不合格安定性要件をこの表の最後の欄に列挙した。
【0074】
芳香剤安定性も最終芳香剤について確認した。
【0075】
サンプル調製:
調合物が完成し、保管安定性試験の準備ができた後、必要数のジャー、キャップおよびラベルを用意し;保管データシートも用意した。注:HDL製品は2-オンスガラスジャーまたは4-オンスプラスチックジャー中に保管することができる;しかし、シリケートビルダーを含有する調合物はガラスジャーを使用するべきではない。各ジャーは少なくとも1/2〜3/4満たされ、かつラベルが付けられるべきである。サンプルを入れた後、ジャーを適切な保管条件へ置き、各サンプルの保管数を保管安定性シート上に記録した。
【0076】
サンプル評価および記録観察:
必要な場合に(下記のスケジュールおよび保管データシートに従って)サンプルをオーブンから取り出し、カウンタートップ上へ置いた。サンプルを約4時間撹拌し、その結果それらは室温に達した。冷却後、サンプルを視覚的に観察し、注意深く調べ、以下のいずれかの存在に注意することによって不安定性の形跡を探した:沈殿、懸濁された材料、相の分離、ゲル形成、変色、もやおよび曇り/不透明。評価の間、サンプルの底部を見るためにまたは沈殿を探すためにサンプルを静かに逆さまにした。観察をサンプルデータシートに記録した;一般的に、製品の正常な外観からのいかなる逸脱にも注意し、上記に列挙される不安定性のいずれかの形跡(即ち、溶液が透明で等方性の液体ではないいずれかの形跡)に注意し、多少詳しく記載した。
【0077】
ヘビーデューティー液体(HDL)
物理的安定性試験設計およびスケジュール
【0078】
液体安定性に対する漸増EMES濃度の影響(即ち、溶液中における所定濃度での界面活性剤の溶解性を調べる)、およびEMES溶解性を改善するヒドロトロープの能力を調べるために、同様のアプローチを行った。具体的には、水中のEMESのサンプルを異なる濃度で調製し、不安定性または不十分な溶解性のいずれかの形跡について上述のように観察した。
【0079】
図6に示されるように、水中25%の濃度で、EMES(SunSolve(商標))は非常に難溶性である(
図6a)。実際に、上述したように、EMESは約10〜15%を超える濃度で難溶性である。しかし、溶液中に僅か約2%のC
8アミンオキシド(C
8 AO)を含めることによって、25%の界面活性剤濃度でEMESのほぼ透明な等方性液体が得られる(
図6b;「SunSoft(商標)」)。実際は、このレベルのC
8 AOは、35%(
図6c)および40%(
図6d)の界面活性剤濃度のEMESの溶液を安定させることがわかった。40%よりもさらに高いEMESの濃度も、C
8 AOを約2%〜約7%含めることによって安定化されることがわかった(データは示さず)。EMESを約35%およびC
8 AOを約2%〜約7%含有する溶液で最適な結果が得られた。これらの結果は、適切なレベルの選択したヒドロトロープを含めることによって、安定な(即ち、等方性液体を形成し等方性液体としてとどまる)高濃度EMES溶液を調製することができることを示している。
【0080】
広範囲の温度にわたって高濃度EMES溶液の安定性を維持するのに有用であり得る他の潜在的に適切なヒドロトロープを決定するために、本発明者らは150個の候補材料を評価した。これらは以下を含んだ。
【0081】
これらまたは他の潜在的なヒドロトロープを約2%含むEMESのサンプルを調製し、上述したように温度安定性試験へ供した。サンプルを「合格/不合格」に基づいて評価した;示された試験温度でそれが透明な等方性液体のままであった場合、サンプルを「合格」とし、一方、それが不安定性または不溶性の上述の形跡のいずれかを示した場合、サンプルを「不合格」とした。所定の候補材料について、「不合格」は、その材料が、示される濃度および温度でEMESの可溶化または安定性に対して利益を与えなかったことを示し、一方「合格」は、その材料が、示される濃度および温度でEMESの可溶化に対する利益を示したことを示している。
【0082】
特に以下で断りのない限り、以下の成分を含有するベース液体洗剤調合物中に含めることによって、材料を各々2%(w/v)で評価した。
【0083】
結果は以下の通りであった。
【0084】
これらの結果は、多数の潜在的にヒドロトロープ性材料が、比較的高い濃度で(例えば、約9.5%で)EMESを可溶化するために使用することができることを示している。しかし、重要なことには、試験した材料の大部分が、より低い温度で(例えば、40°Fで)EMES調合物の安定性を提供せず;これらの温度で、オクチル(即ち、C8)アミンオキシドのみが、調合物を透明な等方性液体として維持する能力を示した。
図7に示されるように、同様の結果が、様々な温度にわたって約9.5%よりも高いEMES濃度を含有する溶液について得られた。さらに、高濃度EMES調合物中にアミンオキシドを含めること(「SunSolve(商標)」)は、
図8に示されるように、他の界面活性剤系と比較した場合またはアミンオキシドを含まないEMES調合物(「SunSoft(商標)」)と比較した場合でさえ、調合物の洗浄力をさらに一層改善することがわかった。まとめると、これらの結果は、低温保管もしくは使用(例えば、冷水洗浄における)のためには、または長期保管のためにさえ、EMES含有調合物には、EMES成分の安定性および洗浄力を維持するために少なくとも約2%のC8アミンオキシドが調合されるべきであることを示している。そのような調合物(「SunSolve(商標)」)はThe Sun Products Corporation, Wilton, CTから入手可能である。
【0085】
実施例3:高濃度EMES調合物の流動性
ある洗浄用途(例えば、パーソナルケア、洗濯物汚れの前処理)について、ポンプ圧送可能な洗剤調合物を有することが望ましい場合がある。従って、本発明者らは、高濃度EMES調合物が、ポンプ送達デバイスまたは容器での使用に適しているように十分に流動性のままであるか否かを調べた。
【0086】
水中35% EMES + 7% C8アミンオキシドの溶液を、前述の実施例に記載したように調製した。この溶液は、非常にゆっくりとはいえ、流動することがわかった。次いで、40mm円板レオメーターを使用して、溶液のレオロジーを試験した。プレートを25℃にするコンディショニング工程を行い、プレ剪断工程を0.7958 Paで30秒間行い、次いで、速度0に達するまでデバイスを平衡化した。次いで、主要な連続ランプ工程を溶液に対して開始し、これを1分間実行し、剪断応力を0.1 Paから250 Paへ増加させた。合計15個のデータポイントを集め、デバイスは全時間の間25℃のままにした。結果を
図9に示す。これらの結果は、35% EMES/7% C8アミンオキシドの溶液が剪断減粘性であり、ポンプ圧送可能であることを実証した。剪断応力の増加に伴って、溶液の粘度は著しく低下することがわかった。175 Paの剪断応力で、溶液の粘度は僅か330cPとなることがわかり、これは溶液のポンプ圧送性の障壁とならなかった。しかし、約40%またはそれ以上のEMESの溶液は、流動的かつポンプ圧送可能のままであるために僅かに高いアミンオキシド含有量を必要とし、しかし必要な剪断応力は極端に高かった。従って、界面活性剤調合物をポンプ圧送することが望ましい場合がある用途については、調合物中において35%以下のEMESを使用することが好ましい。
【0087】
本発明者らはまた、溶液中に1種または複数種の追加の成分を含めることが高濃度EMES調合物のポンプ圧送性を改善するか否かを評価した。具体的には、35% EMES/7% C8アミンオキシドを含有する調合物中に、エタノールまたはグリセリンを約5%〜約8%含めた。これらの研究の結果(示さず)は、調合物中にこれらの剤を含めることは、溶液の流動性/ポンプ圧送性を改善しなかっただけでなく、実際に、これらの剤を含めない場合よりも流動が低かったことを実証した。
【0088】
実施例4:硬水環境中におけるEMES調合物の適応性
ある環境においておよび近隣においてさえ、また井戸水が使用される家庭において、水の高イオン含有量(即ち、硬度)は洗剤調合物の洗浄性能にとって有害であり得る。例えば、硬度イオンの存在は、LAS/SLESベースの洗剤での汚れ除去性能に対して劇的なマイナスの影響を有する。
【0089】
従って、本発明者らは、EMESベースの洗剤調合物の洗浄性能に対する水の硬度の影響を調べようと考えた。
【0090】
EMES調合物を上述のように調製し、標準家庭洗浄条件下で、伝統的なLAS/SLESベースの洗濯洗剤調合物と比較した。48g/ロード用量の調合物を使用する68L洗浄液中において混合バラスト(2.7kg)を使用して標準トップロード洗濯機(US)において試験を行った。試験を温水(32℃)および冷水(15℃)条件で、ならびに0および300ppmの水の硬度レベルで行った。標準試験汚れをASTM標準または他の当技術分野で公知の方法に従って調製し、対照である未洗浄の汚れ布に対する洗浄後の汚れレベルを調べることによって(分光測光法による)、洗浄力を測定した。洗浄力に対する水の硬度の影響を測定するために、0 ppmの水の硬度での所定の汚れに対する所定の温度での所定の調合物での汚れ除去結果を、300ppmの水の硬度でのものと比較し、300ppmでの差を洗浄力の相対的な低下として表した。
【0091】
図10に示されるように、より硬度の高い水はLAS/SLESベースの調合物の洗浄力に劇的に影響を与え、一方、EMES含有調合物の洗浄力に対する影響は著しくより少なかった。所定の調合物における種々の汚れタイプ間で、全体的な洗浄有効性にいくらかの差異があったが、全体ではEMES含有調合物は、伝統的な洗濯洗剤調合物と比べて硬水条件において著しくより高い洗浄力を保持した。この差異は、試験した洗浄温度の両方で真実であることがわかった(データは示さず)。これらの結果は、広範囲の水の硬度にわたる最大の洗浄力および洗浄有効性のためには、本発明のものなどのEMES含有調合物が、伝統的な洗剤調合物よりも好ましいことを実証している。
【0092】
実施例5:界面活性剤調合物よって引き起こされる皮膚刺激の測定
食器手洗い用洗浄調合物における使用などのある用途については、使用される界面活性剤が皮膚に対して刺激性がないことが望ましい。従って、本発明者らは、ゼイン可溶化法(例えば、Zoller, U., CRC Handbook of Detergents, Part E: Applications, Part 2, section 3.2.2.3, pages 47-48 (2008; CRC Press, Boca Raton, FLを参照のこと;これは参照により本明細書に組み入れられる)を使用して、2% MES調合物を含む、様々な界面活性剤調合物の皮膚刺激のレベルを評価した。
【0093】
図11に示されるように、SunSoft(商標)EMESは、SLSおよびLASなどの他の一般的な陰イオン界面活性剤よりも皮膚に対して刺激性が少ないことがわかった。従って、SunSoft(商標)EMES(および、恐らく、一般的にはMES)は、洗濯および食器用途の両方における手洗いでの使用について優れた界面活性剤と考えられるべきであり、パーソナルケアにおけるなどの他の皮膚過敏性調合物における用途も有し得る。
【0094】
これまで本発明の好ましい態様を詳細に記載してきたが、本発明の範囲あるいはその態様に影響を及ぼすことなく、広範で等価な条件、調合物および他のパラメータの範囲内で、本発明を実施することができることが当業者に理解されよう。本明細書において援用される全ての特許、特許出願および刊行物は、参照によりそれらの全体が完全に組み入れられる。