(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された先行技術による場合、熱風噴射口から畳に吹き付けられた熱風は、畳間の隙間を上昇してそのまま排気口から排出されるため、熱風の持つ熱量を効率よく利用するという観点において改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、熱風の持つ熱量を効率よく利用することができる乾燥装置及び乾燥方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る乾燥装置は、複数枚の
畳が当該
畳の厚さ方向を上下方向とされて当該上下方向に間隔をあけて配置されていると共に当該複数枚の
畳で単一の連続した流路が形成された状態で当該複数枚の
畳を支持可能な支持部と、熱風を前記流路に送って前記複数枚の
畳を加熱可能な熱風供給部と、を有
し、前記支持部は、パネルバントラックの荷室の内側において当該荷室の車両幅方向一方側を構成する側壁部及び当該荷室の車両幅方向他方側を構成する側壁部のそれぞれに設けられると共に車両後方側から見て配置箇所を結ぶとジグザグ状となるように配置され、長手方向を車両前後方向とされて配置された前記畳の車両幅方向外側の端部を支持可能な複数の外側支持部と、前記外側支持部と組となって配置され、組とされた当該外側支持部が支持する前記畳の車両幅方向内側の端部を支持可能な複数の内側支持部材と、を備え、さらに、前記荷室を前記複数枚の畳が配置される車両前方側の前室部と車両後方側の後室部とに仕切り、当該複数枚の畳を車両後方側から覆うと共に、車両下方側に形成されて前記熱風を当該前室部に供給可能な給気口部と、車両上方側に形成されて前記流路を経由した当該熱風を排出可能な排気口部と、を備えた覆い部を有し、前記流路は、車両幅方向一方側に形成されて車両前後方向に延びる複数の一方側流路部と、車両幅方向他方側に形成されて車両前後方向に延びる複数の他方側流路部と、に前記内側支持部材によって仕切られていると共に、前記荷室の車両前方側を構成する前壁部で一部が構成されて前記畳の下面側と当該畳の上面側とを連通する複数の前側連通部と、前記覆い部で一部が構成されて当該畳の上面側と当該畳の車両上方側に配置された前記畳の上面側とを連通する複数の後側連通部と、を含んで構成されている。
【0007】
請求項1に記載の本発明によれば、支持部によって複数枚の
畳が支持されている。そして、複数枚の
畳は、支持部に支持された状態において、当該
畳の厚さ方向を上下方向とされて当該上下方向に間隔をあけて配置されていると共に当該複数枚の
畳で流路が形成された状態となっている。また、本発明は、熱風供給部を備えており、当該熱風供給部から複数枚の
畳で構成された流路に熱風を送ることで、当該
畳を加熱して乾燥させることが可能となっている。
【0008】
ところで、複数枚の
畳で複数の流路を構成して当該
畳のそれぞれに均一に熱風供給部からの熱風を吹き付ける構成とする場合、当該流路の長さを確保することが困難となり、ひいては当該熱風が
畳に触れる時間が短くなることが考えられる。
【0009】
ここで、本発明では、複数枚の
畳で単一の連続した流路が形成されており、熱風供給部からの熱風が当該流路を構成する全ての
畳の表面に沿って流れるようになっている。このため、熱風の流速が同じであれば、複数枚の
畳で複数の流路を構成する場合と比し、当該熱風が
畳に触れる時間を長くすることができ、ひいては当該熱風の持つ熱量を効率よく
畳に伝えることが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の本発明に係る乾燥装置は、
複数枚の畳が当該畳の厚さ方向を上下方向とされて当該上下方向に間隔をあけて配置されていると共に当該複数枚の畳で単一の連続した流路が形成された状態で当該複数枚の畳を支持可能な支持部と、熱風を前記流路に送って前記複数枚の畳を加熱可能な熱風供給部と、を有し、前記支持部は、パネルバントラックの荷室の内側において当該荷室の車両幅方向一方側
を構成する側壁部及び当該荷室の車両幅方向他方側を構成する側壁部のそれぞれに組とされてかつ当該側壁部に対して車両上下方向を軸方向として回動可能に設けられ
、車両幅方向に延在した状態で長手方向を車両前後方向とされて配置された前記畳の当該長手方向の端部を支持可能な支持姿勢と、車両前後方向に延在する収納姿勢と、をとることが可能な第1回動支持部及び第2回動支持部を含んで構成され、前記第1回動支持部及び前記第2回動支持部が前記支持姿勢をとっている状態において、前記畳は、前記第1回動支持部及び前記第2回動支持部の車両上方側に車両幅方向に複数枚配置可能とされており、さらに、前記荷室を前記複数枚の
畳が配置される車両前方側の前室部と車両後方側の後室部とに仕切り、当該複数枚の
畳を車両後方側から覆うと共に、車両下方側に形成されて前記熱風を当該前室部に供給可能な給気口部と、車両上方側に形成されて前記流路を経由した当該熱風を排出可能な排気口部と、を備えた覆い部を有し、前記流路は、前記荷室の車両前方側を構成する前壁部で一部が構成されて前記
畳の下面側と当該
畳の上面側とを連通する前側連通部と、前記覆い部で一部が構成されて当該
畳の上面側と当該
畳の車両上方側に配置された前記
畳の上面側とを連通する後側連通部と、を含んで構成されている。
【0011】
請求項2に記載の本発明によれば、支持部がパネルバントラックの荷室の内側において当該荷室の車両幅方向一方側又は他方側を構成する側壁部に設けられており、複数枚の
畳は支持部を介してパネルバントラックの側壁部に支持されるようになっている。
【0012】
また、パネルバントラックの荷室は、覆い部によって複数枚の
畳が配置される車両前方側の前室部と車両後方側の後室部とに仕切られており、当該覆い部によって支持部で支持された複数枚の
畳が車両後方側から覆われるようになっている。この覆い部には、その車両下方側に給気口部が形成されており、熱風供給部からの熱風が当該給気口部を介して前室部に供給されるようになっている。一方、覆い部の車両上方側には排気口部が形成されており、複数枚の
畳で形成された流路を経由した熱風が当該排気口部から排出されるようになっている。
【0013】
さらに、複数枚の
畳で構成された流路における車両前方側は、荷室の車両前方側を構成する前壁部でその一部が構成された前側連通部とされており、当該前側連通部によって
畳の下面側と当該
畳の上面側とが連通されるようになっている。一方、上記流路における車両後方側は、覆い部でその一部が構成された後側連通部とされており、当該後側連通部によって
畳の上面側と当該
畳の車両上方側に配置された前記
畳の上面側とが連通されるようになっている。このため、本発明では、給気口部から流路に供給された熱風が、当該給気口部から車両前方側に向かって流れていき、前側連通部を経由することでその向きが変えられて車両後方側に流れていく。そして、前側連通部でその向きが変えられて車両後方側に流れていく熱風は、後側連通部を経由することでその向きが変えられて車両後方側に流れていく。その結果、本発明では、パネルバントラックの荷室の内側に複数枚の
畳で給気口部から排気口部へと繋がる単一の連続した流路を形成して当該複数枚の
畳を乾燥させることができる。
【0018】
請求項
3に記載の本発明に係る乾燥装置は、請求項1
又は請求項2に記載の発明において
、前記支持部は、前記畳を支持可能な金属製の部材で構成されている。
【0019】
請求項
3に記載の本発明によれば
、支持部が
畳を支持可能な金属製の部材で構成されている。このため、複数枚の畳で単一の連続した流路を形成し、熱風供給部からの熱風を当該流路を構成する全ての畳の表面に沿って流すことができる。その結果、熱風の流速が同じであれば、複数枚の畳で複数の流路を構成する場合と比し、当該熱風が畳に触れる時間を長くすることができ、ひいては当該熱風の持つ熱量を効率よく畳に伝えることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る乾燥装置は、熱風の持つ熱量を効率よく利用することができるという優れた効果を有する。
【0025】
請求項2に記載の本発明に係る乾燥装置は、
畳がある場所までパネルバントラックで移動し、
畳を工場等に運ぶことなくパネルバントラックの荷室の中で
畳を乾燥させることができるという優れた効果を有する。
【0027】
請求項
3に記載の本発明に係る乾燥装置は、熱風の持つ熱量を効率よく利用して畳を乾燥させることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
以下、
図1〜
図7を用いて、本発明の第1実施形態に係る「乾燥装置10」の構成について説明する。この乾燥装置10は、一例として、被加熱体としての「畳12」の乾燥用とされており、
図1に示されるように「パネルバントラック14」(以下、車両14と称する)の「荷室16」、「支持部18」、覆い部としての「カバー20」及び熱風供給部としての「ジェットヒーター22」を含んで構成されている。なお、各図に適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
【0031】
荷室16は、
図2にも示されるように、外観が直方体状の箱型に構成されていると共に、その長手方向を車両前後方向とされて配置されている。この荷室16は、基本的にはアルミパネル等の金属製の板材で構成されており、その車両前方側を構成する「前壁部24」、その車両幅方向一方側を構成する「側壁部26」、その車両幅方向他方側を構成する「側壁部28」、その車両上方側を構成する上壁部30、その車両下方側を構成する下壁部32及びテールゲート34を含んで構成されている。なお、テールゲート34は、テールゲートリフター36によって昇降可能とされている。
【0032】
一方、支持部18は、荷室16の内側に設けられていると共に、複数の外側支持部19と複数の内側支持部材38とを含んで構成されており、外側支持部19及び内側支持部材38は、二つの外側支持部19に対して一つの内側支持部材38が組とされて配置されている。具体的には、外側支持部19は、側壁部26、28のそれぞれに配置されており、後述するように配置された一組の外側支持部19で畳12の幅方向一方側(車両幅方向外側)の端部12Aを支持するようになっている。一方、内側支持部材38は、後述するように畳12の幅方向他方側(車両幅方向内側)の端部12Bを支持するようになっている。以下、側壁部26側に配置された外側支持部19及び当該外側支持部19に対応する内側支持部材38を例として挙げて、外側支持部19及び内側支持部材38の構成について、畳12を支持している状態での畳12との相互関係も交えつつ詳細に説明していくこととする。
【0033】
図3〜
図5に示されるように、外側支持部19は、取付ブラケット40と支持ブラケット42とを一つずつ含んで構成されている。取付ブラケット40は、ベース部44と二つのピアスナット46を含んで構成されている。ベース部44は、矩形状の板材が屈曲されて構成されており、その車両前後方向から見た形状が車両幅方向外側に開放されたハット状とされている。詳しくは、ベース部44は、荷室16の側壁部26に沿って延びる延出壁部44Aと、その車両幅方向内側を構成すると共に車両上下方向に延びる取付壁部44Bとを含んで構成されている。また、ベース部44は、側壁部26に溶接可能な金属製(一例としてアルミニウム製)とされており、その延出壁部44Aが当該側壁部26に図示しない溶接等による接合部で接合されている。一方、二つのピアスナット46は、取付壁部44Bの車両幅方向外側の面に車両上下方向に間隔をあけて取り付けられており、当該ピアスナット46を用いて当該取付壁部44Bの車両幅方向内側の面に支持ブラケット42が固定されている。なお、取付ブラケット40は、上記構成に限らず、ベース部44を鋼材等で形成すると共に二つのウエルドナットを設ける構成とすることも可能である。このような構成とする場合には、延出壁部44Aに挿通孔を設けると共に、側壁部26に当該挿通孔に対応するナットサート等を取り付けて、当該挿通孔を通して当該ナットサートにボルト等を締結することで、取付ブラケット40が側壁部26に固定される。
【0034】
支持ブラケット42は、支持板部48と一対の補強板部50とを含んで構成されている。支持板部48は、矩形板状の鋼材が車両前後方向から見てL字状に屈曲されて構成されていると共に、上壁部48Aと側壁部48Bとを含んで構成されている。より詳しくは、上壁部48Aは、板厚方向を車両上下方向とされて車両上下方向から見て車両前後方向の長さの方が車両幅方向の長さよりも長い矩形状とされている。一方、側壁部48Bは、板厚方向を車両幅方向とされて当該上壁部48Aの車両幅方向外側の周縁部から車両下方側に延出されていると共に、車両幅方向から見て車両前後方向の長さの方が車両上下方向の長さよりも長い矩形状とされている。また、側壁部48Bの車両前後方向中央部には、上述したピアスナット46に対応する挿通孔52が車両上下方向に間隔をあけて形成されている。なお、支持板部48の車両前後方向の寸法は、取付ブラケット40のベース部44の車両前後方向の寸法よりも長く設定されている。
【0035】
補強板部50は、鋼材で構成されていると共に、車両前後方向から見て支持板部48の屈曲部(上壁部48Aと側壁部48Bとの境界部)に向かうにしたがって縮幅された台形状とされている。この補強板部50は、支持板部48の車両前後方向両端部のそれぞれに配置されていると共に、上壁部48Aの車両幅方向内側にその一端部が、側壁部48Bの車両下方側にその他端部が、それぞれ図示しない溶接等による接合部で接合されている。
【0036】
上記構成の支持ブラケット42は、支持板部48の側壁部48Bに設けられた挿通孔52のそれぞれにおける車両幅方向内側からボルト54がピアスナット46に螺合されることで取付ブラケット40に取り付けられている。そして、支持板部48の上壁部48Aにおける車両上方側の面の車両幅方向内側の部分には、畳12の端部12Aが載置された状態で支持されている。
【0037】
一方、内側支持部材38は、
図2に示されるように、その長手方向から見た断面形状がコ字状とされたアルミチャンネルで構成されている。より詳しくは、内側支持部材38は、一対のフランジ部38Aと当該フランジ部38A同士を繋ぐウェブ部38Bとを含んで構成されており、車両上方側のフランジ部38Aの車両上方側の面で畳12の端部12Bを支持している。そして、詳しくは後述するが、この内側支持部材38の長手方向の寸法Lは、荷室16の前壁部24から車両後方側に配置された外側支持部19の車両後方側の端部19Aまでの寸法Sに基づいて設定されており、当該寸法Sは、畳12の長手方向の寸法Tに基づいて設定されている(
図1参照)。また、内側支持部材38の車両上下方向の寸法H及び畳12の厚さ寸法Dによって外側支持部19の取付位置が設定されている。
【0038】
ここで、本実施形態では、畳12の乾燥時において、複数枚(10枚)の畳12でジェットヒーター22からの熱風Wが通る「流路56」が形成されている点に特徴がある。以下、流路56を構成する畳12、外側支持部19及び内側支持部材38の配置について詳細に説明する。
【0039】
まず、畳の形状について説明する。畳は、一般的にJIS A 5901に示されるように、その長手方向の寸法が、1910[mm]、1820[mm]及び1760[mm]の三種類に設定されており、その幅方向(短手方向)の寸法が、955[mm]、910[mm]及び880[mm]の三種類に設定されており、その厚さ寸法が、55[mm]及び60[mm]の二種類に設定されている。そして、本実施形態では、上述した全ての畳の寸法に対応可能となるように外側支持部19及び内側支持部材38の寸法及び位置が設定されている。
【0040】
具体的には、
図1に示されるように、外側支持部19は、車両前後方向に間隔をあけて配置された一つずつが組とされており、これらのうち車両前方側に配置された一方は、荷室16の前壁部24にその車両前方側の端部19Bが当接された状態で配置されている。一方、組とされた外側支持部19のうち車両後方側の他方は、その車両後方側の端部19Aと車両前方側に配置された一方の端部19Bとの間隔が上記寸法Sとなるように配置されている。そして、本実施形態では、寸法Sが1910[mm]程度に設定されており、上記一方の端部19Bから上記他方の端部19Aまでの間に全ての寸法の畳が納まるようになっている。なお、
図1には、内側支持部材38等の構成を理解しやすくするため、二つを除いて外側支持部19は図示していない。
【0041】
また、
図2に示されるように、外側支持部19は、車両後方側から見て、その配置箇所を結ぶとジグザグ状となるように配置されている。さらに、外側支持部19の車両上下方向の取付ピッチPは、荷室16の上壁部30と下壁部32間の寸法Aの1/10の長さに設定されている。なお、取付ピッチPは、畳12の厚さ寸法Dと内側支持部材38の車両上下方向の寸法Hとを加えた長さとされており、本実施形態では、厚さ寸法Dは、60[mm]に設定されている。また、最も車両下方側に取り付けられた支持部18を構成する支持ブラケット42の上壁部48Aにおける車両上方側の面の下壁部32からの高さ寸法Vと内側支持部材38の寸法Hとは、同じ寸法に設定されている。
【0042】
さらに、側壁部26に取り付けられた外側支持部19と側壁部28に取り付けられた外側支持部19とは、車両上下方向の取付位置が取付ピッチPだけずれているものの、基本的には、車両14の車両上下方向に延びる中心線CLに対して対称となるように配置されている。
【0043】
一方、内側支持部材38は、車両前後方向から見て、そのウェブ部38B側が同じ畳12を支持する外側支持部19の反対側となるように、すなわち車両幅方向外側に開放されたコ字状となるように配置されている。なお、内側支持部材38は、車両前後方向から見て、その車両上下方向に延びる中心線と車両14の中心線CLとが重なるように配置されている。
【0044】
また、
図1に示されるように、内側支持部材38の長手方向の寸法Lは、上述した寸法Sよりも支持ブラケット42の車両前後方向の長さ分だけ短い寸法に設定されている。さらに、内側支持部材38は、畳12をそれぞれの間に介した状態で車両上下方向に10本連なって配置されている。より詳しくは、これらの内側支持部材38は、最も車両下方側に配置されているものを1番目として最も車両上方側に配置されているものを10番目とすると、奇数番目に配置されているものは、その車両後方側の端部38Cが車両後方側の外側支持部19の端部19Aと揃った状態で配置されている。一方、内側支持部材38のうち偶数番目に配置されているものは、その車両前方側の端部38Dが荷室16の前壁部24に当接された状態で配置されている。
【0045】
そして、
図2及び
図5に示されるように、車両後方側から見て、最も車両下方側でかつ車両幅方向一方側に配置された支持ブラケット42の補強板部50における車両前方側の面と、最も車両上方側でかつ車両幅方向他方側に配置された支持ブラケット42の補強板部50における車両前方側の面とにはウエルドナット58が設けられている。そして、ウエルドナット58を用いて外側支持部19にカバー20が取り付けられることで、荷室16が車両前方側の「前室部60」と車両後方側の「後室部62」とに仕切られている。つまり、上述した畳12、外側支持部19及び内側支持部材38は、全て前室部60の内側に配置されるようになっている。
【0046】
図6(A)に示されるように、カバー20は、車両後方側から見て荷室16内の空間を覆うのに十分な大きさに設定された矩形の板状のカバー部材64と、一対の取っ手部材66とを含んで構成されている。カバー部材64には、上述した支持ブラケット42に設けられたウエルドナット58(
図5参照)にそれぞれ対応する挿通孔52が設けられており、当該挿通孔52の車両後方側から当該ウエルドナット58にボルト54等の締結部材が締結されることでカバー20が外側支持部19に固定されている。なお、カバー部材64の周縁部には、当該周縁部に沿って図示しないウェザーストリップが取り付けられており、当該周縁部と荷室16の内面とが密着されるようになっている。一方、取っ手部材66は、カバー部材64の車両後方側の面の中央部に車両幅方向に所定の間隔をあけて配置されて、図示しない溶接等による接合部によってカバー部材64に接合されている。
【0047】
また、カバー部材64には、その車両下方側でかつ車両幅方向一方側に車両下方側が開放された矩形状の「給気口部68」が形成されていると共に、その車両上方側でかつ車両幅方向一方側に矩形状の「排気口部70」が形成されている。給気口部68は、
図2にも示されるように、車両後方側から見て、最も車両下方側に配置されている畳12、支持ブラケット42及び内側支持部材38を含んで構成された枠の内側に納まる形状とされていると共に、その車両幅方向の周縁部における車両前方側の面には、それぞれ図示しないウエルドナットが設けられている。一方、排気口部70は、車両後方側から見て、車両幅方向一方側に配置されているもののうち最も車両上方側に配置された畳12及び最も車両上方側に配置された内側支持部材38を含んで構成された枠の内側に納まる形状とされていると共に、その車両幅方向の周縁部における車両前方側の面には、それぞれ図示しないウエルドナットが設けられている。そして、給気口部68には、
図1にも示されるように、ジェットヒーター22からの熱風を供給する給気ダクト72の一端部72Aが取り付けられており、排気口部70には、排気ダクト74の一端部74Aが取り付けられている。なお、ジェットヒーター22は、テールゲート34に載置された状態となっている。
【0048】
より詳しくは、給気口部68には、正面視で当該給気口部68の周縁部に沿う矩形枠状の板材で構成された枠部材76が板厚方向を車両前後方向とされて配置されている。この枠部材76には、その車両幅方向両側に給気口部68の周縁部に設けられたウエルドナットに対応する挿通孔78が設けられている。そして、枠部材76とカバー部材64とで給気ダクト72の一端部72Aが挟持された状態で、図示しない締結部材が、挿通孔78の車両後方側から上記ウエルドナットに締結されることで当該一端部72Aが給気口部68に対して固定されている。なお、給気ダクト72の一端部72Aには、挿通孔78等に対応する図示しない挿通孔が設けられている。また、給気ダクト72の他端部72Bは、図示しないワイヤーバンド等によってジェットヒーター22に取り付けられている。
【0049】
一方、排気口部70には、
図6(B)にも示されるように、枠部材76及びフィルタ80が配置されている。フィルタ80は、枠部材76と同様の構成とされた枠部82と、当該枠部82の内側を塞ぐダストキャッチネット84とを含んで構成されており、当該枠部82には枠部材76と同様に排気口部70の周縁部に設けられたウエルドナットに対応する挿通孔86が設けられている。そして、車両後方側から枠部材76、排気ダクト74の一端部74A、フィルタ80の順に重ねられて、当該枠部材76とカバー部材64とで、当該一端部74A及びフィルタ80が挟持された状態とされている。この状態で図示しない締結部材が、挿通孔78の車両後方側から挿通孔86を通って上記ウエルドナットに締結されることで当該一端部74Aが排気口部70に対して固定されている。なお、排気ダクト74の一端部74Aには、挿通孔86等に対応する図示しない挿通孔が設けられている。
【0050】
そして、上記のように畳12、外側支持部19、内側支持部材38及びカバー20が配置されることで、前室部60の内側に給気口部68から排気口部70へと繋がる単一の連続した流路56が形成されている。詳しくは、
図1及び
図2に示されるように、流路56は、前室部60の車両幅方向一方側に形成されて車両前後方向に延びる複数の一方側流路部88と、当該前室部60の車両幅方向他方側に形成されて車両前後方向に延びる複数の他方側流路部90とを含んで構成されている。そして、一方側流路部88と他方側流路部90とは、流路56の車両前方側に形成された複数の「前側連通部92」と、当該流路56の車両後方側に形成された複数の「後側連通部94」とによって連通されている。
【0051】
前側連通部92は、奇数番目に配置された内側支持部材38の車両前方側に配置されており、荷室16の前壁部24、内側支持部材38の端部38D及び畳12を含んで、その周縁部が構成されている。この前側連通部92は、
図2にも示されるように、奇数番目に配置された内側支持部材38の車両前方側において、一方側流路部88と他方側流路部90とを連通し、ひいては当該内側支持部材38に支持された畳12の下面側と上面側とを連通している。
【0052】
一方、後側連通部94は、偶数番目に配置された内側支持部材38の車両後方側に配置されており、カバー20、内側支持部材38の端部38C及び畳12(又は後述する隙詰め部材102)を含んで、その周縁部が構成されている。この後側連通部94は、偶数番目に配置された内側支持部材38の車両後方側において、一方側流路部88と他方側流路部90とを連通し、ひいては当該内側支持部材38に支持された畳12の下面側と上面側とを連通している。なお、奇数番目に配置された内側支持部材38に支持された畳12を中心として見ると、後側連通部94は、当該畳12の上面側と当該畳12の車両上方側に配置された畳12の上面側とを連通していると捉えることもできる。
【0053】
また、本実施形態では、
図3及び
図4に示されるように、畳12の車両幅方向外側に外側フィルタ96が配置されており、当該外側フィルタ96は、フレーム98とダストキャッチネット100とを含んで構成されている。フレーム98は、金属製の線材が車両前後方向から見てL字状、車両幅方向及び車両上下方向のそれぞれから見て矩形状となるように屈曲されて構成されており、ダストキャッチネット100は、当該フレーム98に図示しない接着剤等による接合部で接合されている。そして、外側フィルタ96は、荷室16の側壁部26及び側壁部28の何れか一方と支持ブラケット42の上壁部48Aとに沿うようにして支持されていると共に、図示しないマジックテープ(登録商標)等の取付部を介して当該上壁部48Aに取り付けられている。なお、外側フィルタ96の長手方向の寸法は、寸法Sと同じ寸法に設定されている。
【0054】
また、上述したように、本実施形態では、長手方向の寸法Tが1910[mm]の畳に対応可能となるように外側支持部19等が配置されているが、その他のサイズの畳にも対応することが可能である。具体的には、畳12の長手方向の寸法が1910[mm]よりも短い場合には、ウレタンフォーム等で矩形の板状に形成された隙詰め部材102が畳12の長手方向一方側の端部12Cの車両後方側に配置されるようになっている。なお、畳12の長手方向他方側の端部12Dは、荷室16の前壁部24に当接された状態となっている。また、畳12の厚さが55[mm]の場合には、内側支持部材38と畳12の間に同じくウレタンフォーム等で形成された隙詰め部材を配置するようにしてもよい。
【0055】
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0056】
本実施形態では、支持部18によって複数枚の畳12が支持されている。そして、複数枚の畳12は、支持部18に支持された状態において、当該畳12の厚さ方向を車両上下方向とされて車両上下方向に間隔をあけて配置されていると共に当該複数枚の畳12で流路56が形成された状態となっている。また、本実施形態では、ジェットヒーター22を備えており、当該ジェットヒーター22から複数枚の畳12で構成された流路56に熱風Wを送ることで、当該畳12を加熱して乾燥させることが可能となっている。
【0057】
具体的には、熱風Wを一定時間畳12に当てて当該畳12の内部の温度が60[℃]〜70[℃]になったのを確認したのち、畳12の内部の温度を上記温度に維持しつつ、40[分]〜60[分]の間流路56に熱風Wが供給され続ける。
【0058】
ところで、複数枚の畳12で複数の流路を構成して当該畳12のそれぞれに均一にジェットヒーター22からの熱風Wを吹き付ける場合、当該流路の長さを確保することが困難となり、ひいては当該熱風が畳12に触れる時間が短くなることが考えられる。
【0059】
ここで、本実施形態では、上述したように複数枚の畳12で単一の連続した流路56が形成されており、ジェットヒーター22からの熱風Wが当該流路56を構成する全ての畳12の表面に沿って流れていく。このため、熱風Wの流速が同じであれば、複数枚の畳12で複数の流路を構成する場合と比し、当該熱風Wが畳12に触れる時間を長くすることができ、ひいては当該熱風Wの持つ熱量を効率よく畳12に伝えることが可能となる。したがって、本実施形態では、熱風Wの持つ熱量を効率よく利用することができる。
【0060】
また、本実施形態では、支持部18が車両14の荷室16の内側において当該荷室16の車両幅方向一方側又は他方側を構成する側壁部26、28に設けられており、複数枚の畳12は支持部18を介して車両14の側壁部26、28に支持されるようになっている。
【0061】
さらに、車両14の荷室16は、カバー20によって複数枚の畳12が配置される車両前方側の前室部60と車両後方側の後室部62とに仕切られており、当該カバー20によって支持部18で支持された複数枚の畳12が車両後方側から覆われるようになっている。このカバー20には、その車両下方側に給気口部68が形成されており、ジェットヒーター22からの熱風Wが給気ダクト72及び給気口部68を介して前室部60に供給されるようになっている。一方、カバー20の車両上方側には排気口部70が形成されており、複数枚の畳12で形成された流路56を経由した熱風Wが当該排気口部70から排気ダクト74を介して排出されるようになっている。なお、熱風Wに混じっている埃等はフィルタ80で収集される。
【0062】
そして、複数枚の畳12で構成された流路56における車両前方側は、荷室16の車両前方側を構成する前壁部24でその一部が構成された前側連通部92とされており、当該前側連通部92によって畳12の下面側と当該畳12の上面側とが連通されるようになっている。一方、上記流路56における車両後方側は、カバー20でその一部が構成された後側連通部94とされており、当該後側連通部94によって畳12の上面側と当該畳12の車両上方側に配置された畳12の上面側とが連通されるようになっている。このため、本実施形態では、給気口部68から流路56に供給された熱風Wが、当該給気口部68から車両前方側に向かって流れていき、前側連通部92を経由することでその向きが変えられて車両後方側に流れていく。そして、前側連通部92でその向きが変えられて車両後方側に流れていく熱風Wは、後側連通部94を経由することでその向きが変えられて車両後方側に流れていく。その結果、本実施形態では、車両14の荷室16の内側に複数枚の畳12で給気口部68から排気口部70へと繋がる単一の連続した流路56を形成して当該複数枚の畳12を乾燥させることができる。したがって、本実施形態では、、畳12がある場所まで車両14で移動し、畳12を工場等に運ぶことなく車両14の荷室の中で畳12を乾燥させることができる。
【0063】
しかも、本実施形態では、熱風Wが、一方側流路部88を通って前側連通部92でその向きが変えられると共に、他方側流路部90を通って後側連通部94でその向きが変えられる過程で当該熱風Wが旋回流となる。このため、旋回流となった熱風Wで畳12から出てきた埃等が車両幅方向外側に吹き飛ばされ、吹き飛ばされた埃等が外側フィルタ96で収集されるようになっている。
【0064】
<第2実施形態>
以下、
図7〜
図11を用いて、本発明の第2実施形態に係る「乾燥装置110」の構成について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については、同一の番号を付してその説明を省略する。本実施形態では、これらの図に示されるように、畳12を支持する「支持部112」が、回動可能な第1回動支持部114及び第2回動支持部116を含んで構成されている点に特徴がある。
【0065】
具体的には、
図9〜
図11に示されるように、第1回動支持部114及び第2回動支持部116は、それぞれ二つずつ(合計四つ)で組とされて、車両上下方向に5列配設されている。以下、最も車両上方側の列に配置されている第1回動支持部114及び第2回動支持部116のうち、車両後方側に配置されているものを例として挙げて、第1回動支持部114及び第2回動支持部116の構成について詳細に説明していくこととする。
【0066】
第1回動支持部114は、その長手方向から見た断面形状がコ字状とされたアルミチャンネルで構成された支持部材118、当該支持部材118に取り付けられた溶接蝶番120及びロック部材122を含んで構成されている。支持部材118は、一対のフランジ部118Aと当該フランジ部118A同士を繋ぐウェブ部118Bとを含んで構成されていると共に、当該ウェブ部118B側を車両上方側とされて溶接蝶番120を介して荷室16の側壁部26に取り付けられている。なお、支持部材118の長手方向の寸法Mは、荷室16の側壁部26、28間の寸法Nの半分の長さよりも所定長さ分だけ短い寸法に設定されている。
【0067】
溶接蝶番120は、支持部材118及び側壁部26に溶接可能な金属製(一例としてアルミニウム製)とされていると共に、第1溶接片124と当該第1溶接片124に軸支された第2溶接片126とを含んで構成されている。そして、第1溶接片124は、支持部材118の長手方向一方側の端部118Cにおいてフランジ部118Aに図示しない溶接等による接合部で接合されていると共に、第2溶接片126は、側壁部26に図示しない溶接等による接合部で接合されている。これにより、第1回動支持部114は、側壁部26に対して車両上下方向を軸方向として回動し、車両幅方向に延在して畳12を支持可能な支持姿勢と、車両前後方向に延在する収納姿勢とをとることが可能となっている。なお、畳12は、組とされている第1回動支持部114及び第2回動支持部116が支持姿勢となった状態において、支持部材118の上方側に載置されており、その長手方向を車両前後方向とされると共に、その幅方向に2枚連なって配置されている。
【0068】
ロック部材122は、平面視で矩形の金属製の板材で構成されており、支持部材118の長手方向他方側の端部118Dにおいて第1溶接片124が溶接されているフランジ部118Aにピン部128で軸支されている。なお、第1回動支持部114が、支持姿勢をとっている状態において、ロック部材122は車両前方側に位置するようになっている。
【0069】
一方、第2回動支持部116は、基本的に第1回動支持部114と同様の構成とされており、支持部材118の端部118Cが溶接蝶番120を介して側壁部28に取り付けられて、側壁部28に対して車両上下方向を軸方向として回動可能に支持されている。しかしながら、第2回動支持部116は、ロック部材122の代わりに係止部130が設けられている点で第1回動支持部114と異なっている。この係止部130は、支持部材118に溶接可能な金属製(一例としてアルミニウム製)の板材が屈曲されて構成されており、第2回動支持部116を構成する支持部材118の端部118Dにおいてフランジ部118Aに図示しない溶接等による接合部によって接合されている。また、係止部130は、当該係止部130とフランジ部118Aとの間にロック部材122を係止可能な形状とされており、第1回動支持部114及び第2回動支持部116が支持姿勢とされている状態においてロック部材122が係止部130によって係止されるようになっている。つまり、第1回動支持部114及び第2回動支持部116は、支持姿勢において互いにその回動を規制するようになっている。
【0070】
次に、組とされている第1回動支持部114及び第2回動支持部116のうち車両前方側に配置されているものの配置について説明すると、車両前方側の第1回動支持部114は、車両後方側の第2回動支持部116の車両後方側に位置している。一方、車両前方側の第2回動支持部116は、車両後方側の第1回動支持部114の車両前方側に位置している。つまり、車両前方側に配置された第1回動支持部114及び第2回動支持部116は、車両後方側に配置されたものと同様に、支持姿勢において互いにその回動を規制するようになっている。また、収納姿勢をとっている状態では、車両前後方向に隣接する第1回動支持部114と第2回動支持部116とが互いにその回動を規制するようになっている。なお、
図9では、支持姿勢の状態における第1回動支持部114及び第2回動支持部116を実線で示しており、収納姿勢の状態における第1回動支持部114及び第2回動支持部116を一点鎖線で示している。
【0071】
また、支持姿勢の状態において、車両前後方向に隣接する第1回動支持部114及び第2回動支持部116の最も車両前方側に位置するフランジ部118Aと最も車両後方側に位置するフランジ部118A間の寸法Xは、1910[mm]程度に設定されている。さらに、組とされて配置されている第1回動支持部114及び第2回動支持部116の各列の車両上下方向の間隔は、これらの第1回動支持部114及び第2回動支持部116に畳12が載置された状態において、荷室16の下壁部32の上方側及び畳12の上方側に車両前後方向に延びる空間、すなわち流路部132を形成可能な寸法に設定されている。
【0072】
一方、
図7及び
図8に示されるように、第1回動支持部114及び第2回動支持部116のうち、車両後方側から見て四隅に配置されたものをそれぞれ構成する支持部材118の端部118Cには、図示しないウエルドナットが設けられている。そして、このウエルドナットを用いて、覆い部としての「カバー134」が取り付けられており、当該カバー134によって荷室16が前室部60と後室部62とに仕切られている。
【0073】
このカバー134は、カバー部材136と取っ手部材66とを含んで、上述した第1実施形態に係るカバー20と基本的に同様の構成とされているものの、カバー部材136の構成が異なっている。カバー部材136は、その外形がカバー20を構成しているカバー部材64と同様とされていると共に、上述した支持部材118に設けられているウエルドナットに対応する挿通孔138が設けられている。そして、挿通孔138の車両後方側から支持部材118のウエルドナットに図示しないボルト等の締結部材が締結されることでカバー134が支持部材118に固定されている。
【0074】
また、カバー部材136には、その車両下方側に矩形状の「給気口部140」が形成されていると共に、その車両上方側に同じく矩形状の「排気口部142」が形成されている。給気口部140は、車両後方側から見て、最も車両下方側に配置されている一対の支持部材118、側壁部26、28及び下壁部32を含んで構成された枠の内側に納まる形状とされていると共に、その車両幅方向の周縁部における車両前方側の面には、それぞれ図示しないウエルドナットが設けられている。一方、排気口部142は、車両後方側から見て、最も車両上方側に配置されている2枚の畳12、側壁部26、28及び上壁部30を含んで構成された枠の内側に納まる形状とされていると共に、その車両幅方向の周縁部における車両前方側の面には、それぞれ図示しないウエルドナットが設けられている。
【0075】
そして、給気口部140には、当該給気口部140の周縁部に沿う矩形枠状の板材で構成された枠部材144によって上述した第1実施形態と同様に、給気ダクト72の一端部72Aが固定されている。一方、排気口部142には、枠部材144によって上述した第1実施形態と同様に、フィルタ146及び排気ダクト74の一端部74Aが固定されている。なお、フィルタ146は、枠部材144と同様の構成とされた枠部148と、当該枠部148を塞ぐダストキャッチネット150とを含んで構成されている。
【0076】
また、
図10に示されるように、組とされて配置されている第1回動支持部114及び第2回動支持部116のうち、最も車両下方側に配置されているものを1列目として最も車両上方側に配置されているものを5列目とすると、奇数列目に配置されている車両後方側の支持部材118は、支持姿勢をとっている状態において、その車両後方側のフランジ部118Aがカバー134に当接された状態となっている。一方、奇数列目に配置されている車両前方側の支持部材118は、支持姿勢をとっている状態において、その車両前方側のフランジ部118Aが前壁部24と所定の間隔をあけられた状態となっている。
【0077】
また、偶数列目に配置されている車両後方側の支持部材118は、支持姿勢をとっている状態において、その車両後方側のフランジ部118Aがカバー134と所定の間隔をあけられた状態となっている。一方、偶数列目に配置されている車両前方側の支持部材118は、支持姿勢をとっている状態において、その車両前方側のフランジ部118Aが前壁部24に当接された状態となっている。
【0078】
そして、上記のように畳12、第1回動支持部114、第2回動支持部116及びカバー134が配置されることで、本実施形態においても前室部60の内側に給気口部140から排気口部142へと繋がる単一の連続した「流路152」が形成されている。詳しくは、流路152は、上述した複数の流路部132が、当該流路152の車両前方側に形成された複数の「前側連通部154」と、当該流路152の車両後方側に形成された複数の「後側連通部156」とによって連通されることで構成されている。
【0079】
前側連通部154は、奇数列目に配置された車両前方側の支持部材118の車両前方側に配置されており、荷室16の前壁部24、当該支持部材118及び畳12を含んで、その周縁部が構成されている。この前側連通部154は、奇数列目に配置された支持部材118の車両前方側において、流路部132同士を車両上下方向に連通し、ひいては当該支持部材118に支持された畳12の下面側と上面側とを連通している。
【0080】
一方、後側連通部156は、偶数列目に配置された車両前方側の支持部材118の車両後方側に配置されており、カバー20、支持部材118及び畳12を含んで、その周縁部が構成されている。この後側連通部156は、偶数列目に配置された支持部材118の車両後方側において、流路部132同士を車両上下方向に連通し、ひいては当該支持部材118に支持された畳12の下面側と上面側とを連通している。なお、奇数列目に配置された支持部材118に支持された畳12を中心として見ると、後側連通部156は、当該畳12の上面側と当該畳12の車両上方側に配置された畳12の上面側とを連通していると捉えることもできる。
【0081】
また、本実施形態では、第1回動支持部114及び第2回動支持部116が荷室16の側壁部26、28に直接支持されているが、側壁部26、28の強度が不足している場合には、その他の構成も取り得る。一例として、角パイプを複数組み合わせて構成された支持フレームを側壁部26、28のそれぞれに沿うように配置し、当該支持フレームに第1回動支持部114及び第2回動支持部116を取り付ける構成としてもよい。そして、このような構成を採用する場合には、支持フレーム、第1回動支持部114及び第2回動支持部116等を鋼材やステンレス材で構成することも可能である。
【0082】
なお、本実施形態においても、畳12の長手方向の寸法が1910[mm]よりも短い場合には、ウレタンフォーム等で矩形の板状に形成された隙詰め部材が畳12の車両前方側に配置される。
【0083】
このような構成によれば、給気口部140から流路152に供給された熱風Wが、当該給気口部140から車両前方側に向かって流れていき、前側連通部154を経由することでその向きが変えられて車両後方側に流れていく。そして、前側連通部154でその向きが変えられて車両後方側に流れていく熱風Wは、後側連通部156を経由することでその向きが変えられて車両後方側に流れていく。このため、本実施形態においても、旋回流による作用並びに効果を除き、上述した第1実施形態と同様の作用並びに効果を奏する。
【0084】
また、本実施形態では、畳12を支持する第1回動支持部114及び第2回動支持部116が、回動可能とされて支持姿勢と収納姿勢とをとることが可能となっている。このため、畳12の配置作業を簡略化することができると共に、畳12を回収した後の第1回動支持部114及び第2回動支持部116の収納を容易に行うことができる。
【0085】
以下、
図12〜
図14を用いて、本発明の第3実施形態に係る「乾燥装置160」の構成について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については、同一の番号を付してその説明を省略する。
また、本実施形態は参考例とする。本実施形態では、これらの図に示されるように、畳12が複数の「支持部材162」を含んで構成された「支持部164」で載置面としての「地面166」上に複数枚積み上げられて配置されている点に第1の特徴がある。また、「流路168」が、それぞれ弾性変形可能な平面視で矩形の薄板材で構成された「第1流路構成部材170」、「第2流路構成部材172」及び「第3流路構成部材174」を含んで構成されている点に第2の特徴がある。なお、第1流路構成部材170、第2流路構成部材172及び第3流路構成部材174の板厚は同じ厚さに設定されていると共に、これらの部材の幅は、畳12の幅の2倍程度の寸法に設定されている。
【0086】
図12及び
図13に示されるように、平らな地面166の上には、断熱シート176が敷設されており、当該断熱シート176の上には、上述した内側支持部材38と同様の構成とされた支持部材162が3本平行となるように配置されている。そして、支持部材162の上方側には、2枚の畳12が載置されている。詳しくは、畳12は、その幅方向に連なって平面視で略正方形となるように配置されており、支持部材162は畳12の幅方向一方側の端部12A又は幅方向他方側の端部12Bに沿って配置されている。また、3本の支持部材162のうち中央に配置されているものは、一方の畳12の端部12B及び他方の畳12の端部12Aを支持している。
【0087】
そして、本実施形態では、畳12の厚さ方向を上下方向として当該上下方向に上記のように配置された畳12及び支持部材162が5段配置されている。なお、最も下方側に配置された支持部材162は、載置面側支持部材として機能しており、畳12間に介在している支持部材162は、介在支持部材として機能している。
【0088】
第1流路構成部材170は、その一端部170Aが支持部材162の長手方向一方側の端部162Aと断熱シート176が敷設された地面166とに挟持されており、その他端部170Bが地面166側から2段目に配置された畳12の長手方向一方側の端部12Cに取り付けられた第1板バネクリップ178で当該端部12Cに取り付けられている。
【0089】
この第1板バネクリップ178は、
図14(A)に示されるように、弾性変形可能な金属製の板材が屈曲されて構成されており、畳12を挟持可能な第1挟持部178Aと、当該第1挟持部178Aの開口側と反対側に開口されて第1流路構成部材170、第2流路構成部材172及び第3流路構成部材174を挟持可能な一対の第2挟持部178Bとを備えている。
【0090】
そして、
図12にも示されるように、第1流路構成部材170の他端部170Bは、2段目に配置された畳12の端部12Cに第1挟持部178Aで取り付けられた第1板バネクリップ178の下方側の第2挟持部178Bに挟持されている。なお、第1板バネクリップ178は、2段目に配置された畳12の端部12C以外にも、3段目に配置された畳12の長手方向他方側の端部12D及び4段目に配置された畳12の端部12Cにも取り付けられている。
【0091】
第2流路構成部材172は、2段目の畳12に取り付けられた第1板バネクリップ178の上方側の第2挟持部178Bにその一端部172Aが挟持されていると共に、4段目の畳12に取り付けられた第1板バネクリップ178の下方側の第2挟持部178Bにその他端部172Bが挟持されている。
【0092】
第3流路構成部材174は、畳12の端部12D側に上下方向に二つ連なって配置されており、当該第3流路構成部材174の取り付けには、第1板バネクリップ178の他に第2板バネクリップ180も用いられている。第2板バネクリップ180は、第1挟持部180Aと第2挟持部180Bとを含んで、基本的に第1板バネクリップ178と同様の構成とされているものの、第2挟持部180Bが一つしか設けられていない点で異なっている。この第2板バネクリップ180は、1段目に配置された畳12の端部12Dにその第2挟持部180Bが上方側に位置するように第1挟持部180Aで取り付けられている。また、第2板バネクリップ180は、5段目の畳12の端部12C及び端部12Dにもその第2挟持部180Bが下方側に位置するように取り付けられている。
【0093】
そして、下方側の第3流路構成部材174は、その一端部174Aが、1段目に配置された畳12に取り付けられた第2板バネクリップ180の第2挟持部180Bで挟持されていると共に、その他端部174Bが3段目の畳12に取り付けられた第1板バネクリップ178の下方側の第2挟持部178Bに挟持されている。また、上方側の第3流路構成部材174は、その一端部174Aが3段目に配置された畳12に取り付けられた第1板バネクリップ178の上方側の第2挟持部178Bに挟持されていると共に、その他端部174Bが5段目に配置された畳12の端部12Dに取り付けられた第2板バネクリップ180の第2挟持部180Bに挟持されている。
【0094】
一方、4段目に配置された畳12の端部12Cと5段目に配置された畳12の端部12Cとの間には、フィルタ182が配置されている。このフィルタ182は、
図14(B)に示されるように、ベース部材184とダストキャッチネット186とを含んで構成されている。ベース部材184は、矩形薄板状の鋼材が屈曲されてその長手方向から見た断面形状がコ字状とされていると共に、一対のフランジ部184Aと当該フランジ部184A同士を繋ぐウェブ部184Bとを含んで構成されている。このベース部材184は、その長手方向の寸法が、畳12の幅の2倍程度の寸法に設定されていると共に、そのウェブ部184Bに当該長手方向に沿う矩形状の貫通孔188が形成されており、当該貫通孔188はダストキャッチネット186で塞がれている。そして、フィルタ182は、一方のフランジ部184Aが第1板バネクリップ178の第2挟持部178Bに、他方のフランジ部184Aが第2板バネクリップ180の第2挟持部180Bにそれぞれ挟持されることで固定されている。
【0095】
また、積み上げられた畳12には、その上方側から畳12の幅方向に断熱シート190が被せられており、当該断熱シート190によって第1流路構成部材170、第2流路構成部材172及び第3流路構成部材174のそれぞれの幅方向の端部も覆われている。
【0096】
そして、本実施形態では、上記のように畳12、支持部材162、第1流路構成部材170、第2流路構成部材172及び第3流路構成部材174が配置されることで、給気口部192、排気口部194及び積み上げられた畳12間及び地面166と畳12との間に形成された流路部196を含んで流路168が構成されている。
【0097】
詳しくは、流路168の給気口部192は、断熱シート176が敷設された地面166、一段目の(最も下方側の)畳12及び支持部材162を含んで、支持部材162の長手方向他方側の端部162B側に構成されている。この給気口部192には、給気ダクト72の一端部72Aが、畳12と支持部材162との間や支持部材162と断熱シート176が敷設された地面166との間に挟持された状態で取り付けられている。
【0098】
また、流路168の排気口部194は、5段目の(最も上方側の)畳12及び支持部材162を含んで、支持部材162の端部162A側に構成されている。つまり、上述したフィルタ182は、流路168の排気口部194に取り付けられている。
【0099】
そして、上下方向に隣接する流路部196が第1流路構成部材170、第2流路構成部材172及び第3流路構成部材174を介して接続されることで、給気口部192から排気口部194へと繋がる単一の連続した流路168が構成されている。
【0100】
なお、本実施形態では、排気口部194が支持部材162の端部162A側に構成されているが、積み上げられる畳12の枚数によっては、支持部材162の端部162B側に排気口部194が配置される構成も取り得る。
【0101】
このような構成によれば、給気口部192から流路168に供給された熱風Wが、当該給気口部192から地面166に配置された支持部材162の長手方向一方側に流れていき、第1流路構成部材170でその向きが変えられて当該長手方向他方側に流れていく。そして、第1流路構成部材170でその向きが変えられた熱風Wは、第3流路構成部材174でその向きが変えられて支持部材162の長手方向一方側に流れていくと共に、第2流路構成部材172でその向きが変えられて当該長手方向他方側に流れていく。このため、本実施形態では、複数枚の畳12、第1流路構成部材170、第2流路構成部材172及び第3流路構成部材174で給気口部192から排気口部194へと繋がる単一の連続した流路168を形成して当該複数枚の畳12を乾燥させることができる。その結果、本実施形態では、屋外等の畳12を収容する設備が無い場所でも畳12を乾燥させることができる。そして、本実施形態では、以下に示される工程を経て畳12の乾燥が行われる。
【0102】
<乾燥方法>
以下、上述した乾燥装置160を例として挙げて、本発明の実施形態に係る「乾燥方法」の作業手順について示す。なお、この作業手順は一例であり、当該作業手順に限らず、適宜他の作業手順により行われてもよい。
【0103】
この乾燥方法では、まず、第1の工程として、平らな地面166に断熱シート176を敷設する。なお、そのまま用いることができる平らな地面166が無い場合には、地面166を適宜均して平らにしてもよい。
【0104】
次に、第2の工程として、支持部材162を用いて上述したように畳12をその厚さ方向を上下方向として積み上げ、畳12に第1板バネクリップ178及び第2板バネクリップ180を取り付ける。なお、畳12の移動には、適宜ハンドリフター等が用いられる。これは、上述した第1実施形態及び第2実施形態でも同様である。
【0105】
次に、第3の工程として、第1板バネクリップ178及び第2板バネクリップ180を用いて畳12に第1流路構成部材170、第2流路構成部材172及び第3流路構成部材174を取り付けると共に、積み上げられた畳12の上から断熱シート190を被せて、給気口部192から排気口部194へと繋がる単一の連続した流路168を構成する。
【0106】
次に、第4の工程として、給気口部192に給気ダクト72の一端部72Aを取り付けると共に、排気口部194にフィルタ182を取り付ける。
【0107】
次に、第5の工程として、ジェットヒーター22を駆動させて熱風Wを流路168に送り、畳12の内部の温度が60[℃]〜70[℃]になったのを確認したのち、畳12の内部の温度を上記温度に維持しつつ、40[分]〜60[分]の間流路168に熱風Wを供給し続ける。
【0108】
このような乾燥方法によれば、複数枚の畳12で単一の連続した流路168が形成されており、ジェットヒーター22からの熱風Wが当該流路168を構成する全ての畳12の表面に沿って流れていく。このため、熱風Wの流速が同じであれば、複数枚の畳12で複数の流路を構成する場合と比し、当該熱風Wが畳12に触れる時間を長くすることができ、ひいては当該熱風Wの持つ熱量を効率よく畳12に伝えることが可能となる。その結果、熱風Wの持つ熱量を効率よく利用することができる。
【0109】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、乾燥装置を畳12の乾燥に用いたが、着物等の衣類の乾燥に用いてもよい。例えば、着物を一対の金網等で挟持し、厚さが畳12と同じ厚さに設定されると共に切り込みが形成されたゴムブロックで当該金網の長手方向に延びる端部を挟持したものを畳12の代わりに配置するようにしてもよい。さらに、上述した第1実施形態及び第2実施形態において、荷室16の後室部62に排気口部からの排気を導き、後室部62内で衣類を乾燥させるようにしてもよい。
【0110】
(2) また、上述した第1実施形態では、外側支持部19を荷室16の側壁部26、28に直接取り付けたが、これに限らない。例えば、荷室16の構成に応じて、鋼製の角パイプ等を複数組み合わせて構成された支持フレームを側壁部26、28のそれぞれに沿うように配置し、当該支持フレームに外側支持部19を取り付けるような構成とすることも可能である。なお、支持フレームは、木製の角材で構成されていてもよい。
【0111】
(3) さらに、上述した第3実施形態では、第1流路構成部材170、第2流路構成部材172及び第3流路構成部材174を用いていたが、これらの部材の代わりに畳12を用いることも可能である。具体的には、奇数段目に配置された畳12と偶数段目に配置された畳12とをその長手方向に互いにずらして配置し、偶数段目の畳12の端部12Cのそれぞれに当接されるように畳12を配置すると共に、奇数段目の畳12の端部12Dのそれぞれに当接されるように畳12を配置するようにしてもよい。
【0112】
(4) 加えて、上述した第3実施形態では、乾燥装置160が屋外に配置されていたが、乾燥装置160を屋内に配置して、排気口部194に排気ダクトを取り付けると共に、当該排気ダクトを介して屋外側に排気する構成としてもよい。
【解決手段】複数枚の畳12で単一の連続した流路56が形成されており、ジェットヒーター22からの熱風Wが当該流路56を構成する全ての畳12の表面に沿って流れていく。このため、熱風Wの流速が同じであれば、複数枚の畳12で複数の流路を構成する場合と比し、当該熱風Wが畳12に触れる時間を長くすることができ、ひいては当該熱風Wの持つ熱量を効率よく畳12に伝えることが可能となる。