特許第6188023号(P6188023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188023
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】エレベータの加速度計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/00 20060101AFI20170821BHJP
   G01P 15/18 20130101ALI20170821BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20170821BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   G01P15/00 A
   G01P15/18
   B66B3/00 R
   B66B5/00 D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-34398(P2014-34398)
(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-158458(P2015-158458A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2016年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 健一
(72)【発明者】
【氏名】大西 友治
(72)【発明者】
【氏名】前田 大輔
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−315716(JP,A)
【文献】 特開平8−282937(JP,A)
【文献】 特開平5−24753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00−15/18
B66B 3/00− 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する第1平面と第2平面を外表面に備える筐体と、この筐体内に設けられ、互いに直交する第1〜第3軸の方向における加速度を検出可能な3軸加速度センサであって、前記第3軸の方向の検出精度が、前記第1,第2軸の方向の検出精度よりも低い前記3軸加速度センサと、前記筐体内に設けられ、前記第1〜第3軸のうちの第1,第2軸の方向において前記3軸加速度センサにより検出される加速度のみを扱う演算処理装置とを備え、
前記3軸加速度センサは、前記第1軸を前記第1平面に対し直交させ、かつ、前記第2軸を前記第2平面に対し直交させた姿勢を成し、
前記演算処理装置は、前記筐体が前記第1平面を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、前記第1,第2軸のうちの第1軸の方向において検出される加速度のみを計測値として処理し、前記筐体が前記第2平面を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、前記第1,第2軸のうちの前記第2軸の方向において検出される加速度を計測値として処理する
ことを特徴とするエレベータの加速度計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータの加速度計測装置において、
前記3軸加速度センサを2個備え、これら2個の3軸加速度センサは互いの検出値の正負が逆向きになる姿勢を成し、
前記演算処理装置は、前記筐体が前記第1平面を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、前記2個の3軸加速度センサのうちの一方により前記第1軸の方向において検出される加速度の絶対値と、他方により前記第1軸の方向において検出される加速度の絶対値との平均値を算出し、この平均値を加速度の計測値の大きさとして処理し、前記筐体が前記第2平面を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、前記2個の3軸加速度センサのうちの一方により前記第2軸の方向において検出される加速度の絶対値と、他方により前記第2軸の方向において検出される加速度の絶対値との平均値を算出し、この平均値を加速度の計測値の大きさとして処理する
ことを特徴とするエレベータの加速度計測装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエレベータの加速度計測装置において、
前記演算処理装置に接続可能な情報機器を備え、
この情報機器は、前記演算処理装置により計測された加速度に基づき、乗かごの速度を算出する
ことを特徴とするエレベータの加速度計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの乗かごの加速度を計測するエレベータの加速度計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗かごの走行中、その乗かごには、上下方向の加速度が発生する。乗かごの急激な加速および減速は、乗かごの乗客に不安を感じさせたり不快を感じさせたりすることになるので、そのようなことがないように乗かごの速度は制御される。エレベータに対する保守点検作業には、乗かごの走行方向(上下方向)の加速度の計測が含まれる。
【0003】
エレベータの乗かごの加速度を計測する装置としては、例えば特許文献1で2種類の装置が開示されている。1つ目の装置は、上下方向、前後方向、左右方向の3方向の加速度を同時に検出する3個の加速度センサを備えるものである。2つ目の装置は、1つの加速度センサと、この加速度センサを収容した容器とを備え、3方向の加速度の計測を、計測対象とする加速度の方向に応じて容器の姿勢を変えることにより行うことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3518964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、加速度センサには、半導体技術とマイクロマシニング技術を利用して作製される小型の3軸加速度センサが存在する。この種の3軸加速度センサは、加速度が作用したことに伴う重錘体の変位量を電気回路により電気信号に変換することで検出するものである。この種の3軸加速度センサは、携帯型電子機器の普及に伴い大量生産されているため、1軸加速度センサおよび2軸加速度センサよりも安価になっている。しかし、小型で安価な3軸加速度センサには、重錘体と、この重錘体の変位量を電気信号に変換する電気回路との位置関係上、3軸のうちの1軸の方向に関して、他の2軸の方向よりも加速度の検出精度が低くなりがちであるという欠点がある。
【0006】
本発明は前述の事情を考慮してなされたものであり、その目的は、小型で安価な3軸加速度センサを利用することと、乗かごの加速度の計測精度の向上に貢献することとを両立させることができるエレベータの加速度計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するために、本発明に係るエレベータの加速度計測装置は、互いに直交する第1平面と第2平面を外表面に備える筐体と、この筐体内に設けられ、互いに直交する第1〜第3軸の方向における加速度を検出可能な3軸加速度センサであって、前記第3軸の方向の検出精度が、前記第1,第2軸の方向の検出精度よりも低い前記3軸加速度センサと、前記筐体内に設けられ、前記第1〜第3軸のうちの第1,第2軸の方向において前記3軸加速度センサにより検出される加速度のみを扱う演算処理装置とを備え、前記3軸加速度センサは、前記第1軸を前記第1平面に対し直交させ、かつ、前記第2軸を前記第2平面に対し直交させた姿勢を成し、前記演算処理装置は、前記筐体が前記第1平面を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、前記第1,第2軸のうちの第1軸の方向において検出される加速度のみを計測値として処理し、前記筐体が前記第2平面を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、前記第1,第2軸のうちの前記第2軸の方向において検出される加速度を計測値として処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るエレベータの加速度計測装置において、演算処理装置は、3軸加速度センサにより検出可能な第1〜第3軸の方向における加速度のうち第1,第2軸の方向において検出される加速度のみを扱う。これにより、本発明に係るエレベータの加速度計測装置は、3軸のうちの1軸の方向に関して、他の2軸の方向よりも加速度の検出精度が低くなりがちであるという欠点のある小型で安価な3軸加速度センサを、検出精度の低い軸の方向を除いて利用することができる。
【0009】
また、本発明に係るエレベータの加速度計測装置は、筐体が第1平面を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、第1,第2軸のうちの第1軸の方向において検出される加速度のみを計測値として処理し、筐体が第2平面を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、第1,第2軸のうちの第2軸の方向において検出される加速度のみを計測値として処理する。したがって、本発明に係るエレベータの加速度計測装置によれば、加速度の計測者は、第1軸の方向での加速度の計測値と第2軸の方向での加速度の計測値との平均値を算出したり、両計測値の差が大きい場合に計測し直したりして、計測誤差のバラツキを抑えることができる。つまり、本発明に係るエレベータの加速度計測装置は、乗かごの加速度の計測精度の向上に貢献することができる。
【0010】
これらのことから、本発明に係るエレベータの加速度計測装置は、小型で安価な3軸加速度センサを利用することと、乗かごの加速度の計測精度の向上に貢献することとを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るエレベータの加速度計測装置を示す図であって、「(a)」は上面図であり、「(b)」は正面図であり、「(c)」は下面図であり、「(d)」は側面図である。
図2図1に示した加速度計測装置に備えられる3軸加速度センサ内部の構成の概略図であって、「(a)」は第3軸の方向から見た状態の図であり、「(b)」は第1軸の方向から見た状態の図である。
図3図1に示した加速度計測装置に備えられる筐体内部における2個の3軸加速度センサの配置および姿勢を示す図である。
図4図1に示した加速度計測装置が油圧式エレベータに用いられている様子の概略図である。
図5図1に示した加速度計測装置を用いた作業の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係るエレベータの加速度計測装置について図を用いて説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1は、互いに直交する第1平面11と第2平面12を外表面に備える直方体状の筐体10と、この筐体10内に設けられ、互いに直交する第1〜第3軸の方向における加速度を検出可能な2個の3軸加速度センサ20A,20Bと、筐体10内に設けられ、第1〜第3軸のうちの第1,第2軸の方向のみにおいて3軸加速度センサ20A,20Bにより検出される加速度を扱う演算処理装置40と、演算処理装置40の電源となるバッテリ(図示省略)とを備える。
【0014】
筐体10は、第1平面11に突出して設けられた3個の脚部11aと、第2平面12に突出して設けられた3個の脚部12aとを備える。つまり、筐体10は、第1平面11を下向きにして乗かごの床に設置される場合に3個の脚部11aにより3点で支持され、第2平面12を下向きにして乗かごの床に設置される場合に3個の脚部12aにより3点で支持される。
【0015】
第1平面11および第2平面12以外の箇所、例えば第1平面11と平行に位置する筐体10の面には、操作盤50が設けられている。この操作盤50は、演算処理装置40を起動させるボタンスイッチである起動操作部51と、演算処理装置40に加速度の計測に係る処理を開始させるボタンスイッチである計測開始操作部52と、演算処理装置40に加速度の計測に係る処理を終了させるボタンスイッチである計測終了操作部53とを備える。
【0016】
図2に示すように、3軸加速度センサ20Aは、加速度に応じて変位する重錘体25と、第1軸の方向における重錘体25の変位量を重錘体25に作用した加速度として検出し、電気信号に変換して出力する第1軸用検出回路22と、第2軸の方向における重錘体25の変位量を重錘体25に作用した加速度として検出し、電気信号に変換して出力する第2軸用検出回路23と、第3軸の方向における重錘体25の変位量を重錘体25に作用した加速度として検出し、電気信号に変換して出力する第3軸用検出回路24と、重錘体25および第1〜第3軸用検出回路22〜24を収容するハウジング21とを備える。
【0017】
第1軸用検出回路22と第2軸用検出回路23は、第1,第2軸を含む同一平面上に位置し、この平面上おける重錘体25の変位量を加速度として検出するものである。第3軸用検出回路24は、第1軸用検出回路22と第2軸用検出回路23とが位置する平面上から外れて位置し、その平面に直交する方向(第3軸の方向)における重錘体25の変位量を加速度として検出するものである。このように第3軸用検出回路24は、第1,第2軸用検出回路23とは異なる平面上において重錘体25の変位量を検出するものであるため、第1,第2軸用検出回路23よりも重錘体25の変位量(加速度)の検出精度が低いものになりやすい。
【0018】
3軸加速度センサ20Bも3軸加速度センサ20Aと同じく構成されている。
【0019】
図3に示すように、筐体10内には、筐体10に対して2個の3軸加速度センサ20A,20Bを固定するためのベース部材30が設けられている。このベース部材30は、第1平面11の裏面側に固定されていて、筐体10内において立上った立上り部31を備える。2個の3軸加速度センサ20A,20Bはそれぞれ、第1軸を第1平面11に対し直交させ、かつ、第2軸を第2平面12に対し直交させた姿勢を成す。また、2個の3軸加速度センサ20A,20Bは互いの検出値の正負が逆向きになる姿勢を成す。また、2個の3軸加速度センサ20A,20Bはベース部材30の立上り部31に固定されている。
【0020】
演算処理装置40は、筐体10が第1平面11を下向きにしてエレベータの乗かごの床に設置された場合に、第1,第2軸のうちの第1軸の方向において検出される加速度のみを計測値として処理し、筐体10が第2平面12を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、第1,第2軸のうちの第2軸の方向において検出される加速度のみを計測値として処理する。
【0021】
より詳細には、演算処理装置40は、筐体10が第1平面11を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、2個の3軸加速度センサ20A,20Bのうちの一方である3軸加速度センサ20Aにより第1軸の方向において検出される加速度の絶対値と、他方である3軸加速度センサ20Bにより第1軸の方向において検出される加速度の絶対値との平均値を算出し、この平均値を加速度の計測値の大きさとして処理する。また、演算処理装置40は、筐体10が第2平面12を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、2個の3軸加速度センサ20A,20Bのうちの一方である3軸加速度センサ20Aにより第2軸の方向において検出される加速度の絶対値と、他方である3軸加速度センサ20Bにより第2軸の方向において検出される加速度の絶対値との平均値を算出し、この平均値を加速度の計測値の大きさとして処理する。
【0022】
また、本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1は、演算処理装置40に接続可能な情報機器61(図4に示す)を備える。筐体10の第2平面12には、その情報機器61を演算処理装置40に接続するためのポート60が設けられている。情報機器61は、演算処理装置40により保存された加速度の計測値に基づき乗かごの速度を算出する速度計算ソフトが予めインストールされたものである。
【0023】
このように構成された本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1は、例えば図4に示す油圧式エレベータ100の乗かご103の加速度の計測に用いられる。
【0024】
油圧式エレベータ100は、昇降路101と、機械室102と、昇降路101内に配置された乗かご103と、昇降路101内に立ち上がって設けられた油圧ジャッキ104と、機械室102に設けられ油圧ジャッキ104を伸長または収縮させる作動油の流れを生じさせる油圧ユニット105と、油圧ジャッキ104の上端部に設けられた綱車106と、昇降路101の底部に対して一端が固定され、他端が乗かご103に対して固定され、中間部を綱車106に掛け回されたロープ107とを備える。油圧ジャッキ104が伸長することで乗かご103が上昇し、油圧ジャッキ104が収縮することで乗かご103が下降する。油圧式エレベータ100において乗かご103の速度の制御は、油圧ジャッキ104に供給される作動油の流量を制御して行われることであるので、ロープ式エレベータよりも難しく、保守点検時に乗かごの加速度および速度の計測を行、これら加速度および速度が適正な値であるかを確認することが重要である。
【0025】
本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1を用いた作業の流れを、図5を用いて説明する。
【0026】
図5に示すように、はじめに、油圧式エレベータの保守点検作業を行う作業者200は、加速度計測装置1の操作盤50における起動操作部51を押す(ステップS1)。これにより、演算処理装置40が起動する。次に作業者200は、加速度計測装置1のポート60に、信号ケーブル(図示してない)を介して情報機器61を接続する(ステップS2)。次に作業者200は、情報機器61において速度計算ソフトを立ち上げる(ステップS3)。次に作業者200は、情報機器61に保守点検作業を行う現場の情報を入力する(ステップS4)。次に作業者200は、加速度計測装置1の演算処理装置40に保存された過去の加速度の計測値をクリアする(ステップS5)。
【0027】
次に作業者200は、情報機器61において速度計算ソフトで3軸加速度センサ20A,20Bの第1軸または第2軸の方向における加速度の0点を補正する(ステップS6)。具体的には、速度計算ソフトは、筐体10が第1平面11を下向きにして乗かご103の床に設置された状態において、2個の3軸加速度センサ20A,20Bのうちの一方である3軸加速度センサ20Aにより第1軸の方向における加速度として+1Gが計測されると、この+1Gを0Gに補正し、他方である3軸加速度センサ20Aにより第1軸の方向における加速度として−1Gが計測されると、この−1Gを0Gに補正する。また、速度計算ソフトは、筐体10が第2平面12を下向きにして乗かご103の床に設置された状態において、2個の3軸加速度センサ20A,20Bのうちの一方である3軸加速度センサ20Aにより第2軸の方向における加速度として−1Gが計測されると、この−1Gを0Gに補正し、他方である3軸加速度センサ20Aにより第2軸の方向における加速度として+1Gが計測されると、この+1Gを0Gに補正する。
【0028】
次に作業者200は、加速度計測装置1から情報機器61を切り離す(ステップS7)。次に作業者200は、ステップS6で第1軸の方向における加速度に対して0点補正を行った場合に筐体10の第1平面11を下向きにして加速度計測装置1を乗かご103の床に設置し、ステップS6で第2軸の方向における加速度に対して0点補正を行った場合に第2平面12を下向きにして加速度計測装置1を乗かご103の床に設置する(ステップS8)。次に作業者200は計測開始操作部52を押す(ステップS9)。乗かご103に昇降路101内を任意の階床間で、例えば最下階300から最上階301までの間で往復させる(ステップS10)。
【0029】
次に作業者200は、計測終了操作部53を押す(ステップS11)。次に作業者200は、加速度計測装置1のポート60に信号ケーブルを介して情報機器61を接続する(ステップS12)。次に作業者200は、加速度の計測値を加速度計測装置1の演算処理装置40から情報機器61に取り込む(ステップS13)。次に作業者200は、情報機器61において速度計算ソフトで加速度の推移と速度の推移を算出させ、これらの推移のグラフ表示を行わせる(ステップS14)。
【0030】
本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1は次の効果を奏する。
【0031】
本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1において、演算処理装置40は、3軸加速度センサ20A,20Bにより検出可能な第1〜第3軸の方向における加速度のうち第1,第2軸の方向において検出される加速度のみを扱う。これにより、本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1は、3軸のうちの1軸の方向に関して、他の2軸の方向よりも加速度の検出精度が低いという欠点のある小型で安価な3軸加速度センサを、検出精度の低い軸の方向を除いて利用することができる。また、本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1において、演算処理装置40は、筐体10が第1平面11を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、第1,第2軸のうちの第1軸の方向において検出される加速度のみを計測値として処理し、筐体10が第2平面12を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、第1,第2軸のうちの第2軸の方向において検出される加速度のみを計測値として処理する。したがって、本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1によれば、加速度の計測者は、第1軸の方向での加速度の計測値と第2軸の方向での加速度の計測値との平均値を算出したり、両計測値の差が大きい場合に計測し直したりして、計測誤差のバラツキを抑えることができる。つまり、本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1は、乗かごの加速度の計測精度の向上に貢献することができる。これらのことから、本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1は、小型で安価な3軸加速度センサを利用することと、乗かごの加速度の計測精度の向上に貢献することとを両立させることができる。
【0032】
本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1において、演算処理装置40は、筐体10が第1平面11を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、2個の3軸加速度センサ20A,20Bのうちの一方である3軸加速度センサ20Aにより第1軸の方向において検出される加速度の絶対値と、他方である3軸加速度センサ20Bにより第1軸の方向において検出される加速度の絶対値との平均値を算出し、この平均値を加速度の計測値の大きさとして処理する。また、演算処理装置40は、筐体10が第2平面12を下向きにして乗かごの床に設置された場合に、2個の3軸加速度センサ20A,20Bのうちの一方である3軸加速度センサ20Aにより第2軸の方向において検出される加速度の絶対値と、他方である3軸加速度センサ20Bにより第2軸の方向において検出される加速度の絶対値との平均値を算出し、この平均値を加速度の計測値の大きさとして処理する。これらによっても、本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1は、乗かごの加速度の計測精度の向上に貢献することができる。
【0033】
本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1は、情報機器61によって加速度の計測値に基づき乗かごの速度を算出することができる。
【0034】
本実施形態に係るエレベータの加速度計測装置1は、筐体10に対して情報機器61が着脱可能であるので、加速度を計測する装置側(筐体10側)と、速度を算出する装置側(情報機器61側)とを個別に交換することができる。したがって、加速度を計測する装置側(筐体10側)と、速度を算出する装置側(情報機器61側)とのいずれか一方に改良が施されたり故障が生じたりした場合に、その一方のみを交換することができ、加速度を計測する装置側(筐体10側)と速度を算出する装置側(情報機器61側)とが分離不能である場合よりも安価に故障等に対応することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 加速度計測装置
10 筐体
11 第1平面
12 第2平面
20A,20B 3軸加速度センサ
21 ハウジング
22 第1軸用検出回路
23 第2軸用検出回路
24 第3軸用検出回路
25 重錘体
30 ベース部材
31 立上り部
40 演算処理装置
50 操作盤
51 起動操作部
52 計測開始操作部
53 計測終了操作部
60 ポート
61 情報機器
100 油圧式エレベータ
図1
図2
図3
図4
図5