(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188031
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】食品用粉付け装置
(51)【国際特許分類】
A21C 9/04 20060101AFI20170821BHJP
A23P 20/13 20160101ALI20170821BHJP
A21C 7/02 20060101ALN20170821BHJP
【FI】
A21C9/04
A23P20/13
!A21C7/02
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-45611(P2015-45611)
(22)【出願日】2015年3月9日
(65)【公開番号】特開2016-165229(P2016-165229A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2016年8月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第24回国際製パン製菓関連産業展 平成27年2月18日から2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】516245139
【氏名又は名称】株式会社工揮
(74)【代理人】
【識別番号】100114498
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】川上 信行
【審査官】
木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−038784(JP,U)
【文献】
独国特許出願公開第03328245(DE,A1)
【文献】
特開昭61−085181(JP,A)
【文献】
特開2008−295423(JP,A)
【文献】
特開2001−327850(JP,A)
【文献】
特開平1−108965(JP,A)
【文献】
実開昭60−185494(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 9/04
A23P 20/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玉状に成形された食品の表面に粉をまぶして次工程へ送り出す粉付け装置であって、
上方から粉体を降りかけられた食品玉を受け入れて、当該食品玉を下方に向けて転走させる傾斜通路を有し、
前記傾斜通路は、前記食品玉が中空部を転がる円筒状に形成されると共に周方向への回転が与えられた第一ドラムと、前記第一ドラムと直列に配置されると共に当該第一ドラムと逆向きの周方向回転が与えられ、前記第一ドラムを通過した食品玉が中空部を転がる円筒状に形成された第二ドラムと、を備え、
前記第一ドラム及び/又は第二ドラムの中空部内にはガイドバーが挿入されると共に、当該ガイドバーには前記第一ドラム及び第二ドラムと非接触となるようにバッフル部材が保持され、当該バッフル部材は前記第一ドラム及び/又は第二ドラムの中空部内において前記食品玉の転走経路を遮る位置に設けられていることを特徴とする食品用粉付け装置。
【請求項2】
前記バッフル部材は棒状に形成され、前記第一ドラム又は第二ドラムの中空部内での前記ガイドバーに対する固定位置及び前記第一ドラム及び第二ドラムの中心軸に対する傾斜角度を調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の食品用粉付け装置。
【請求項3】
前記第一ドラム及び第二ドラムの内周面には無数の凹凸が設けられると共に、当該内周面はフッ素樹脂の塗膜によって覆われていることを特徴とする請求項1又は2記載の食品用粉付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば業務用の製パン機械において、パン生地を小分けにした生地玉の表面に満遍なく打ち粉を付着させる際に使用する食品用粉付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製パン工程においては、混錬されたパン生地を分割機によって所定サイズの生地玉に小分けにした後、かかる分割で不整形となった生地玉を丸め機によって1個ずつ丸め直して表皮を形成し、焼成工程前の中間発酵へと工程を進めている。業務用の製パン機械は1時間当たりの生地玉の生産個数も多く、前記分割機及び丸め機はベルトコンベアで繋がれて、生地玉を連続的に生産している。
【0003】
前記丸め機から次々に排出される生地玉は1個ずつ搬送バケットに載せられ、次工程の中間発酵を担うオーバーヘッドプルファーに送られる。その際、生地玉が搬送バケットに粘着しないよう、個々の生地玉の表面に打ち粉を付着させることが必要となる。
【0004】
このため、従来から前記丸め機の生地排出口には粉付け装置が設けられている。この粉付け装置は、生地玉が転がり落ちる傾斜通路を有しており、この傾斜通路の入口には生地玉に対して上方から打ち粉を降りかける粉ふり器が設けられている。また、前記傾斜通路は周方向へ一定の速度で回転する円筒状のドラムから構成されており、生地玉は前記ドラムの上方開口から進入して当該ドラムの内周面を転がり、下方開口から排出される。
【0005】
このような従来の粉付け装置では、前記丸め機から排出された生地玉は降りかけられた打ち粉と一緒になって前記ドラムの内部へ進入し、当該ドラム内を転がり落ちて当該粉付け装置から排出される。前記ドラムは回転しているので、生地玉は前記ドラム内を蛇行しながら下方へ転がり落ち、その際に生地玉の表面に打ち粉が広く付着するようになっている。
【0006】
一方、製パン工程に限らず、食材一般に小麦粉、パン粉、香辛料などの粉体を連続的にまぶしつける自動粉付け装置としては、特許文献1や特許文献2に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−16338号公報
【特許文献2】特開2014−239654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の粉付け装置では、前記傾斜通路における生地玉の転走距離が短いと、当該生地玉の表面に対して満遍なく打ち粉を付着させることができず、前記ドラムの全長を短縮化して装置の小型化を図ることが困難であった。
【0009】
また、前記傾斜通路の入口に設けた粉ふり器から落とす打ち粉の量を増やせば、生地玉の表面に広く打ち粉を付着させることができるが、打ち粉が生地玉の表面に厚く付着し易くなり、中間発酵後の成形工程に影響が及ぶ他、焼きあがったパンの表面が白っぽくなり、商品価値が低下するといった課題がある。加えて、打ち粉の消費量が増加し、生産コストが嵩んでしまうといった課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、パンの生地玉のような玉状の食品の表面に対して粉体を薄く満遍なく付着させることができ、しかも小型化図ることが可能な食品用粉付け装置を提供することにある。
【0011】
すなわち、本発明は、玉状に成形された食品の表面に粉をまぶして次工程へ送り出す粉付け装置であって、上方から粉体を降りかけられた食品玉を受け入れて、当該食品玉を下方に向けて転走させる傾斜通路を有している。また、前記傾斜通路は、前記食品玉が中空部を転がる円筒状に形成されると共に周方向への回転が与えられた第一ドラムと、前記第一ドラムと直列に配置されると共に当該第一ドラムと逆向きの周方向回転が与えられ、前記第一ドラムを通過した食品玉が中空部を転がる円筒状に形成された第二ドラムと、を備えている。更に、前記第一ドラム及び/又は第二ドラム内にはバッフル部材が挿入されており、当該バッフル部材は前記食品玉の転走経路を遮る位置に設けられている。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明によれば、前記傾斜通路の入口において粉ふり器から粉体を降りかけられた食品玉は当該傾斜通路を下方へと転走するが、前記第一のドラムに進入すると、当該ドラムの周方向回転によって横方向の回転を与えられ、更に第一のドラムから第二のドラムに進入すると、第一ドラムの場合と逆向きの横方向回転が与えられる。これにより、食品玉は傾斜通路内を蛇行しながら転走し、当該食品玉の表面に広く粉体を付着させることが可能となる。
【0013】
また、前記バッフル部材が前記第一ドラム及び/又は前記第二ドラム内で食品玉の転走経路を遮る位置に設けられているので、かかる食品玉は傾斜通路を転がり落ちる際に前記バッフル部材に突き当ることになる。この際、前記第一ドラム及び第二ドラムは周方向へ回転していることから、食品玉はバッフル部材を迂回するように回転方向を変化させながら傾斜通路内を下ることになり、この点においても当該食品玉の表面に広く粉体を付着させることができる。
【0014】
これにより、食品玉の表面に対して効率よく粉体を付着させることができ、当該食品玉の表面に粉体を薄く満遍なく付着させることが可能となる他、前記傾斜通路を短縮化して粉付け装置の小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の食品用粉付け装置を装着可能なパン生地の丸め機の一例を示すものであり、当該丸め装置を正面左前方から観察した斜視図である。
【
図2】
図1の丸め機の排出樋に対して粉付け装置を装着した状態を示す図である。
【
図3】
図2に示した粉付け装置の装置ハウジングを解放した状態を示す平面図である。
【
図4】
図1の粉付け装置の内部における生地玉の転走状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明を適用した食品用粉付け装置の実施形態を説明する。
【0017】
図1は本発明の粉付け装置を適用可能なパン生地の丸め機の一例を示すものである。この丸め機は、パン生地の分割機(図示せず)と組み合わせて使用されるものであり、所定大きさに分割されて当該分割機からベルトコンベアで次々に排出される生地玉を受け入れ、これら生地玉に対して丸め工程を施した後に排出するように構成されている。
【0018】
前記丸め装置は、略矩形状に形成された装置フレーム1と、この装置フレーム1の中央に搭載されて所定の回転数が与えられる搬送ドラム2と、この搬送ドラム2の周囲に螺旋状の生地丸め溝3を形成する生地案内部材4とを備えている。前記装置フレーム1は4本の柱10を複数の梁11で結合したものであり、中心には前記搬送ドラム2が収められている。
【0019】
前記生地案内部材4は、前記装置フレーム1に固定された複数のボトムプレート5と、これらボトムプレート5に配置された複数のガイドプレート6とを備えている。前記ガイドプレート6は前記搬送ドラム2の側面20との間に断面略V字状の空間を形成しており、この空間が生地玉の走行する前記生地丸め溝3となっている。また、複数枚のガイドプレート6が配置された各ボトムプレート5は互いに隣接する2本の柱10の間に傾斜した状態で固定されており、装置フレーム1に対するこれらボトムプレート5の固定高さは前記搬送ドラム2の回転方向に沿って徐々に高くなっている。これにより、前記搬送ドラム2の周囲に螺旋状の生地丸め溝3が形成されている。
【0020】
前記器分割機からベルトコンベアで運ばれた生地玉は前記生地案内部材の最下端、すなわち前記搬送ドラム2の周囲に螺旋状に設けられた生地丸め溝3の最下端において、前記搬送ドラム2と前記ガイドプレート6との間に供給される。また、前記搬送ドラム2の回転方向はこの丸め機を上方から観察した場合に右回りとなるように設定されている。従って、前記生地丸め溝3内に生地玉が存在する状態で前記搬送ドラム2が回転すると、前記生地玉に対して搬送ドラム2と逆方向の回転が発生し、かかる生地玉は前記生地丸め溝3内を前記搬送ドラム2の回転方向と同一方向へ進行する。
【0021】
図1に示す丸め機では前記生地丸め溝3が前記搬送ドラム2の周囲を1+1/4周だけ巡っている。前記生地丸め溝3の入口は出口に比べて低い位置に存在しており、この丸め装置に供給された生地玉は前記搬送ドラム2の回転に伴って前記生地丸め溝3内を入口から出口に向かって登っていくことになる。分割機から排出されて不整形であった生地玉は、前記生地丸め溝3内を転がりながら進行することによって丸め直されて表皮が形成される。そして、当該生地丸め溝3の出口に到達すると、自重によって排出樋9から転がり出る。
【0022】
前記装置フレーム1の上部には打ち粉の収納ボックス90が設けられており、前記生地丸め溝3の出口付近には前記収納ボックス90から打ち粉が定量ずつ落とされ、当該出口から排出樋9に進入する生地玉に対して上方から打ち粉が降りかかるようになっている。また、前記生地丸め溝3の出口には生地玉の通過を検出するセンサ(図示せず)が設けられており、このセンサの検出結果に基づいて打ち粉の投下が制御されている。
【0023】
図2は、
図1に示した丸め機に対して本発明の粉付け装置7を装着した様子を示すものである。この粉付け装置7は、生地玉の表面に対して打ち粉を満遍なく付着させる目的で使用され、取付けブラケット12によって前記丸め機の装置フレーム1に取り付けられる。前記取付けブラケット12は長さ調節可能なコンロッド13を有しており、このコンロッド13の長さを調節することで、前記粉付け装置7の装置フレーム1に対しての傾斜角度を自在に変更することができるようになっている。
【0024】
前記粉付け装置7は生地玉が自重によって転がり落ちる傾斜通路を有しており、前記生地丸め溝3の出口において打ち粉が降りかけられた生地玉は、前記傾斜通路の内部で一定の処理がなされ、表面に打ち粉が満遍なく付着した状態で当該装置の下方から排出される。通常、前記丸め機による生地玉の丸め工程の次工程は中間発酵であり、前記粉付け装置7から排出された生地玉はオーバーヘッドプルファーの搬送バケットに収容される。
【0025】
前記粉付け装置7は、前記排出樋9から生地玉を受け入れる円筒状の第一ドラム70と、この第一ドラム70の外径よりもわずかに大きな内径を有して当該第一ドラム70と直列に配置された円筒状の第二ドラム71と、これら第一ドラム70及び第二ドラム71を保持すると共に前記取付けブラケット12に固定された装置ハウジング72と、前記第二ドラム71から転がり出た生地玉を受け止めて次工程へ送り出す案内プレート73とを備えている。生地玉は前記第一ドラム70及び第二ドラム71の中空部を転走し、前記案内プレート73に達する。また、前記第一ドラム70の長手方向の一端は前記第二ドラム71の中空部に挿入されており、当該第一ドラム70の内部を転走した生地玉が円滑に前記第二ドラム71に乗り移れるようになっている。
【0026】
前記装置ハウジング72は駆動部ケース72aと蓋部材72bとをヒンジを介して開閉自在に結合したものであり、これら駆動部ケース72aと蓋部材72bとの間に前記第一ドラム70及び第二ドラム71が保持されている。また、前記取付けブラケット12は前記駆動部ケース72aに固定されている。
【0027】
図3は、前記粉付け装置7を前記取付けブラケット12から取り外し、更に前記蓋部材72bを開いて、前記第一ドラム70及び第二ドラム71を露出させた状態を示す平面図である。前記駆動部ケース72aの内部には前記第一ドラム70及び第二ドラム71を回転自在に支承するローラ機構(図示せず)が設けられる一方、前記蓋部材72bには前記第一ドラム70及び第二ドラム71を前記ローラ機構に向けて押圧するピンチローラ74が設けられている。従って、前記蓋部材72bを前記駆動部ケース72aに対して閉塞すると、これら駆動部ケース72a及び蓋部材72bの間に前記第一ドラム70及び第二ドラム71が回転自在に保持された状態となる。
【0028】
前記第一ドラム70及び第二ドラム71のそれぞれの外周面には周方向に沿って従動ギヤ70a,71aが形成されており、前記駆動部ケース72aの内部にはこれら従動ギヤ70a,71aと噛合う駆動ギヤ70b,71bがそれぞれ設けられている。また、前記駆動部ケース72aの内部には駆動モータが収容されており、この駆動モータの回転が各駆動ギヤに伝達されている。従って、前記駆動モータを回転させると、前記第一ドラム70及び第二ドラム71が前記装置ハウジング72に保持された状態で周方向へ回転することになる。但し、前記第二ドラム71の回転方向は前記第一ドラム70の回転方向と逆向きに設定されており、
図3に示す装置では、前記案内プレート73の側から前記第一ドラム70及び第二ドラム71の内部を観察した場合に、前記第一ドラム70は左回り、前記第二ドラム71は右回りに設定されている。
【0029】
一方、前記第二ドラム71の中空部内には二個の棒状バッフル部材75a,75bが設けられている。これらバッフル部材75a,75bは前記第二ドラム71の中空部に挿入されたガイドバー76に保持されており、当該ガイドバー76の長手方向に間隔をおいて設けられている。また、前記ガイドバー76の一端は前記装置ハウジング72に固定された支持アーム77に取り付けられ、前記バッフル部材75a,75b及び前記ガイドバー76は前記第二ドラム71に対しては非接触で保持されている。
【0030】
各バッフル部材75a,75bは前記ガイドバー76に対する固定位置を自由に変更することが可能であり、また、前記第二ドラム71の回転軸に対する傾斜角度を自由に変更することが可能である。前記バッフル部材75a,75bは前記第二ドラム71の中空部内における生地玉の転走経路を突き出して当該転走経路を遮るように設けられているので、生地玉は第二ドラム71の内部を転がる際に各バッフル部材75a,75bに突き当たり、これを迂回するように蛇行しながら転走することになる。この際、二つのブッフル部材75a,75bの間隔、各バッフル部材75a,75bの配設角度を調節することにより、前記第二ドラム71内における生地玉の蛇行の度合いを任意に変更することができる。また、生地玉の大きさに応じて予め前記バッフル部材75a,75bの間隔や配設角度を調節しても良い。
【0031】
また、前記第一ドラム70及び第二ドラム71の内周面にはエンボス加工によって無数の凹凸が設けられている。打ち粉が降りかけられた生地玉が前記第一ドラム70及び第二ドラム71の内部を転がることにより、各ドラム70,71の中空部内には打ち粉が徐々に溜まっていく傾向にあるが、前記凹凸を設けることで各ドラム70,71の内周面の広い領域に打ち粉が保持し易くなる。このため、生地玉が各ドラム70,71内を蛇行しながら転走した際に、当該生地玉の表面の広い領域に打ち粉を付着させることが可能となっている。
【0032】
更に、前記第一ドラム70及び第二ドラム71の内周面はフッ素樹脂の塗膜によって覆われており、打ち粉がこれらドラムの内周面に塊となって固着するのを防止している。
【0033】
図4は、前記第一ドラム70及び第二ドラム71を回転中心に沿って半分に切断した状態を示す平面図であり、前記粉付け装置の内部における生地玉の動きを模式化して示している。
【0034】
前記丸め機の排出樋9から前記第一ドラム70に進入した生地玉8は当該第一ドラム70内を自重によって下方へと転走するが、かかる第一ドラム70の下半分は
図4中の矢線Aに示す方向へ回転しているので、生地玉8には横方向への回転も加えられ、当該生地玉8は一点鎖線の矢線で示すように蛇行しながら当該第一ドラム70内を転走する。この後、生地玉8は第一ドラム70から第二ドラム71へ乗り移る。
【0035】
前記第二ドラム71内での生地玉8の転走経路には前記バッフル部材75a,75bが存在しているので、当該第二ドラム71に進入した生地玉8は下方への転走を前記バッフル部材75a,75bによって遮られることになる。棒状に形成された前記バッフル部材75a,75bはその長手方向が生地玉8の自重による転走方向及び前記第二ドラム71の回転方向(
図4中の矢線B方向)に対して傾斜しているので、生地玉8は前記バッフル部材75a,75bに突き当たっても自ずと当該バッフル部材75a,75bを迂回しながら転走を続ける。これにより、前記第二ドラム71の内部では生地玉8は大きく蛇行しながら転走し、それによって生地玉8の表面には満遍なく打ち粉が付着することになる。また、生地玉8のバッフル部材75a,75bに対する衝突は、当該生地玉に厚く付着した余分な打ち粉を落とす役割も有している。
【0036】
そして、このようにして前記第二ドラム71の内部を転走した生地玉8は、その表面に満遍なく打ち粉が付着した状態で前記第二ドラム71から排出され、前記案内プレート73を経て次工程へと送られる。
【0037】
以上説明してきたように、本発明の粉付け装置によれば、打ち粉が降りかけられた生地玉が互いに逆向きに回転する第一ドラム70及び第二ドラム71を通過する際に、大きく蛇行しながら当該ドラム70,71内を転走するので、生地玉の表面に対して満遍なく且つ効率よく打ち粉を付着させることができる。
【0038】
また、生地玉の転走経路には前記バッフル部材75a,75bが突き出しているので、生地玉が当該バッフル部材75a,75bに突き当たることによって、生地玉に付着していた余分な打ち粉が振り落とされ、更に生地玉が前記バッフル部材75a,75bを回避するように蛇行することにより、生地玉の表面に薄く満遍なく打ち粉を付着させることが可能となる。これにより、生地玉の生産に使用する打ち粉の消費量を減じることが可能となる。
【0039】
更に、互いに逆向きに回転する前記第一ドラム70及び第二ドラム71、そして前記バッフル部材75a,75bの存在により、生地玉は大きく蛇行しながら粉付け装置の内部を転走するので、前記第一ドラム70及び第二ドラム71からなる傾斜通路の全長を短くしても、生地玉に打ち粉を満遍なく付着させることができ、当該傾斜通路を短縮化して粉付け装置の小型化を図ることも可能となる。
【0040】
尚、図を用いて説明してきた本発明の粉付け装置の具体例では、前記バッフル部材75a,75bが前記第二ドラム71の内部に設けられていたが、かかるバッフル部材75a,75bは前記第一ドラム70又は第二ドラム71のいずれの内部に設けても差し支えない。また、第一ドラム70と第二ドラム71の双方の内部に設けても差し支えない。但し、最終的に案内プレート73に排出される生地玉の表面に薄く打ち粉を付着させるという観点からすれば、少なくとも前記第二ドラム71の内部には前記バッフル部材75a,75bを設けるのが好ましい。
【0041】
また、前記具体例では、パンの生地玉に対して打ち粉をまぶす工程に本発明の粉付け装置を適用したが、玉状に成形されて傾斜通路内を自重で転走し得る食品であれば、これに限られるものではなく、例えば揚げ物の粉付けなどに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
70…第一ドラム、71…第二ドラム、75a,75b…バッフル部材