(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188045
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】自動車用サスペンション構造
(51)【国際特許分類】
B60G 7/02 20060101AFI20170828BHJP
B60K 7/00 20060101ALI20170828BHJP
B60G 3/20 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
B60G7/02
B60K7/00
B60G3/20
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-513984(P2017-513984)
(86)(22)【出願日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】JP2016051323
(87)【国際公開番号】WO2016170807
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2017年5月31日
(31)【優先権主張番号】特願2015-85580(P2015-85580)
(32)【優先日】2015年4月20日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313017322
【氏名又は名称】株式会社FOMM
(74)【代理人】
【識別番号】100120178
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 康成
(72)【発明者】
【氏名】鶴巻 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】大隣 幸範
(72)【発明者】
【氏名】森田 隆之
【審査官】
岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−112724(JP,A)
【文献】
特開2012−144228(JP,A)
【文献】
特開平03−148315(JP,A)
【文献】
実開昭62−139814(JP,U)
【文献】
特表平07−508877(JP,A)
【文献】
特開2006−199107(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/112158(WO,A1)
【文献】
特開2000−351336(JP,A)
【文献】
特開2010−269665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 7/02
B60G 3/20
B60K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動中心となるピボット軸から車体の左右方向に延びるサスペンションアームと、
車輪が取り付けられてその車輪を駆動する車輪取付ユニットと、
前記車輪取付ユニットによって駆動される車輪の回転中心線と交差する位置に配置され、前記サスペンションアームに連結されるボールジョイントと、
を有し、
前記サスペンションアームの揺動中心となるピボット軸は、ラダーサイドフレームの上方に位置する、
自動車用サスペンション構造。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用サスペンション構造において、
前記車輪取付ユニットは、車体側に配置されたベアリング及び外側に配置されたベアリングの内輪に接して支持され、前記外側に配置されたベアリングよりも外方に突出した部分に、車輪を取り付けるハブがスプライン嵌合してナットで締結固定されるローター軸を含み、そのローター軸が回転することで、前記ハブに取り付けられた車輪を駆動する、
自動車用サスペンション構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の自動車用サスペンション構造において、
前記ボールジョイントは、前記車輪取付ユニットによって駆動される車輪の回転中心線であるローター軸の軸線と交差する位置に配置され、前記サスペンションアームに連結されてキングピン軸を構成する、
自動車用サスペンション構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の自動車用サスペンション構造において、
前記車輪取付ユニットは、前記車輪のロードホイールに配置されてその車輪を駆動するインホイールモーターで構成されている、
自動車用サスペンション構造。
【請求項5】
請求項4に記載の自動車用サスペンション構造において、
前記車輪取付ユニットは、前記車輪の回転中心線が通過する車体側の所定範囲が凹まされており、
前記インホイールモーターに接続されるモーターケーブルの接続部が前記車輪取付ユニットの凹み箇所に設けられる、
自動車用サスペンション構造。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の自動車用サスペンション構造において、
前記車輪取付ユニットは、前記車輪の回転中心線が通過する車体側の所定範囲が凹まされており、
前記ボールジョイントは、少なくとも一部が前記車輪取付ユニットの凹み箇所に配置される、
自動車用サスペンション構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の自動車用サスペンション構造において、
前記車輪取付ユニットには、前記ボールジョイントを、前記車輪の回転中心線と交差する位置に配置させるボールジョイント取付部が設けられている、
自動車用サスペンション構造。
【請求項8】
請求項2又は請求項3に記載の自動車用サスペンション構造において、
前記ローター軸は、複列ベアリング及び単列ベアリングで支持される、
自動車用サスペンション構造。
【請求項9】
請求項8に記載の自動車用サスペンション構造において、
前記複列ベアリングが外側に配置され、前記単列ベアリングが車体側に配置される、
自動車用サスペンション構造。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の自動車用サスペンション構造において、
前記複列ベアリングはブレーキユニットの内側に配置される、
自動車用サスペンション構造。
【請求項11】
請求項8から請求項10までのいずれか1項に記載の自動車用サスペンション構造において、
前記複列ベアリングは、タイヤ中心線と交差するように配置される、
自動車用サスペンション構造。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の自動車用サスペンション構造において、
前記サスペンションアームは、アッパーアーム及びロワアームを含むサスペンションのロワアームである、
自動車用サスペンション構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車用サスペンションの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまなタイプの自動車用サスペンションが知られている。
JP2007−126005Aにはダブルウィッシュボーンタイプのフロントサスペンションが記載されている。ダブルウィッシュボーンタイプでは、アッパーサスペンションアーム(以下適宜「アッパーアーム」と称す)及びロワサスペンションアーム(以下適宜「ロワアーム」と称す)がボールジョイントを介してナックル(車輪取付部材)を連結する。2つのボールジョイントを結んだキングピン軸が地面と交わる点とタイヤ接地中心との距離がスクラブ半径と呼ばれ(キングピンオフセットとも呼ばれる)、これが過大であると、ステアリング操舵荷重の増大、路面からのキックバックの増大といった問題が生ずる。
【0003】
そこで通常は、スクラブ半径が過大にならないようにするためにボールジョイントができるだけタイヤ中心線に近づくようにサスペンションジオメトリーを設計する。JP2007−126005Aでは、ロワボールジョイントをロードホイール内に配置することで、ボールジョイントができるだけタイヤ中心線に近づけている。
【0004】
ところで発明者らは、超小型電気自動車を開発中である。そしてできるだけ広い室内空間を確保すべくインホイールモーターを使用することを検討している。
【0005】
インホイールモーターを使用する場合でも、JP2003−300420AやJP2005−337355Aに示されているように、ロワボールジョイントをロードホイール内に配置することでボールジョイントをできるだけタイヤ中心線に近づけることが広く行われている。
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、発明者らが開発中の超小型電気自動車は、タイヤのサイズも小さく、その一方でモーター出力を確保するためにモーターサイズの小形化には限界があり、通常の設計では、ボールショイントがタイヤ中心線から離れてしまってスクラブ半径を低減することが困難であり、またサスペンションアームが路面と干渉するおそれもあった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされた。本発明の目的は、超小型自動車に好適な自動車用サスペンション構造を提供することである。
【0008】
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために明細書中に使用した符号を付するが、これに限定されるものではない。また符号を付して説明した構成は適宜代替しても改良してもよい。
【0009】
本発明による第1の形態は、揺動中心となるピボット軸(21)から車体の左右方向に延びるサスペンションアーム(20)と、車輪が取り付けられてその車輪を駆動する車輪取付ユニット(30)と、前記車輪取付ユニット(30)によって駆動される車輪の回転中心線と交差する位置に配置され、前記サスペンションアーム(20)に連結されるボールジョイント(22)と、を有し、前記サスペンションアーム(20)の揺動中心となるピボット軸(21)は、ラダーサイドフレーム(110)の上方に位置する、自動車用サスペンション構造である。
【0010】
本発明による第2の形態は、第1の形態において、車輪取付ユニット(30)は、車体側に配置されたベアリング(351)及び外側に配置されたベアリング(352)の内輪に接して支持され、前記外側に配置されたベアリング(352)よりも外方に突出した部分に、車輪を取り付けるハブ(324)がスプライン嵌合してナット(325)で締結固定されるローター軸(322)を含み、そのローター軸(322)が回転することで、前記ハブ(324)に取り付けられた車輪を駆動する、自動車用サスペンション構造である。
【0011】
本発明による第3の形態は、第1又は第2の形態において、前記ボールジョイント(22)は、前記車輪取付ユニット(30)によって駆動される車輪の回転中心線であるローター軸(322)の軸線と交差する位置に配置され、前記サスペンションアーム(20)に連結されてキングピン軸を構成する、自動車用サスペンション構造である。
【0012】
本発明による第4の形態は、第1から第3までのいずれかの形態において、前記車輪取付ユニット(30)は、前記車輪のロードホイール(210)に配置されてその車輪を駆動するインホイールモーターで構成されている、自動車用サスペンション構造である。
【0013】
本発明による第5の形態は、第4の形態において、前記車輪取付ユニット(30)は、前記車輪の回転中心線が通過する車体側の所定範囲(31c)が凹まされており、前記インホイールモーターに接続されるモーターケーブル(50)の接続部(36)が前記車輪取付ユニット(30)の凹み箇所(31c)に設けられる、自動車用サスペンション構造である。
【0014】
本発明による第6の形態は、第1から第4までのいずれかの形態において、前記車輪取付ユニット(30)は、前記車輪の回転中心線が通過する車体側の所定範囲(31c)が凹まされており、前記ボールジョイント(22)は、少なくとも一部が前記車輪取付ユニット(30)の凹み箇所(31c)に配置される、自動車用サスペンション構造である。
【0015】
本発明による第7の形態は、第1から第6までのいずれかの形態において、前記車輪取付ユニット(30)には、前記ボールジョイント(22)を、前記車輪の回転中心線と交差する位置に配置させるボールジョイント取付部(31b)が設けられている、自動車用サスペンション構造である。
【0016】
本発明による第8の形態は、第2又は第3の形態において、前記ローター軸(322)は、複列ベアリング(352)及び単列ベアリング(351)で支持される、自動車用サスペンション構造である。
【0017】
本発明による第9の形態は、第8の形態において、前記複列ベアリング(352)が外側に配置され、前記単列ベアリング(351)が車体側に配置
【0018】
本発明による第10の形態は、第8又は第9の形態において、前記複列ベアリング(352)はブレーキユニット(34)の内側に配置される、自動車用サスペンション構造である。
【0019】
本発明による第11の形態は、第8から第10までのいずれかの形態において、前記複列ベアリング(352)は、タイヤ中心線と交差するように配置される、自動車用サスペンション構造である。
【0020】
本発明による第12の形態は、第1から第11までのいずれかの形態において、前記サスペンションアーム(20)は、アッパーアーム(10)及びロワアーム(20)を含むサスペンションのロワアーム(20)である、自動車用サスペンション構造である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明による自動車用サスペンション構造の一実施形態を示すアイソメトリック図である。
【
図2】
図2は、実施形態における自動車用サスペンション構造の縦断面図である。
【
図3】
図3は、自動車用サスペンション構造の比較形態を示すアイソメトリック図である。
【
図4】
図4は、比較形態における自動車用サスペンション構造の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明による自動車用サスペンション構造の一実施形態を示すアイソメトリック図である。
【0024】
図1に例示されている自動車用サスペンション構造1は、ダブルウィッシュボーンタイプであり、アッパーアーム(アッパーサスペンションアーム)10と、ロワアーム(ロワサスペンションアーム)20と、車輪取付ユニット30とを含む。
【0025】
アッパーアーム10は、
図1に例示されているように略U状であり、ピボット軸11を介してサスペンション取付部材120に揺動自在に取り付けられている。このサスペンション取付部材120は、車両前後方向(車両縦断方向)に延設された車体フレーム(ラダーサイドフレーム)110の上に固設されている。アッパーアーム10は、揺動中心となるピボット軸11から車体の左右方向に延びている。
【0026】
ロワアーム20は、
図1に例示されているように略A状であり、ピボット軸21を介してサスペンション取付部材120に揺動自在に取り付けられている。ロワアーム20は、揺動中心となるピボット軸21から車体の左右方向に延びている。
【0027】
車輪取付ユニット30は、本実施形態では、インホイールモーターユニットであり、モーターハウジング31の所定箇所に、アッパーボールジョイント12を介してアッパーアーム10が連結されるとともに、ロワボールジョイント22を介してロワアーム20が連結される。
図1ではロードホイール210からモーターハウジング31が出っ張っている様子が示されており、この出っ張り部分の外観は、略短軸肉厚円筒状である。
【0028】
また車体100とロワアーム20との間には、路面からの衝撃を緩和すべくショックアブソーバー40が配置されている。
【0029】
続いて、
図2に示されている自動車用サスペンション構造の縦断面図を参照して、自動車用サスペンション構造1についてさらに説明する。
【0030】
上述したように、車両前後方向(車両縦断方向)には車体フレーム(ラダーサイドフレーム)110が延設されている。この車体フレーム110の上にサスペンション取付部材120が固設されている。
【0031】
そしてこのサスペンション取付部材120の下方部分に、ロワアーム20が、ピボット軸21を中心として揺動自在に取り付けられている。ロワアーム20の先端は、ロワボールジョイント22を介して、車輪取付ユニット30(モーターハウジング31)に連結されている。また、ロワアーム20には、ショックアブソーバー40が連結されている。このショックアブソーバー40によって、路面からの衝撃が緩和される。
【0032】
サスペンション取付部材120の上方部分には、アッパーアーム10が、ピボット軸11を中心として揺動自在に取り付けられている。そしてアッパーアーム10の先端は、アッパーボールジョイント12を介して、車輪取付ユニット30(モーターハウジング31)に連結されている。
【0033】
車輪取付ユニット30は、モーターハウジング31と、ローター32と、ステーター(ステーターコア)33と、ブレーキユニット34とを含む。
【0034】
モーターハウジング31は、ローター32及びステーター33を収装するケースである。モーターハウジング31には、アッパーボールジョイント取付部31a,ロワボールジョイント取付部31bが取り付けられている。なおアッパーボールジョイント取付部31a,ロワボールジョイント取付部31bがモーターハウジング31に一体形成されてもよい。
【0035】
ローター32は、ローターコア321と、ローター軸322と、結合部材323とを含む。ローターコア321は、短軸肉厚円筒状(ドーナツ状)であってモーターハウジング31のすぐ内側に配置されている。ローター軸322は、単列ベアリング351及び複列ベアリング352を介してモーターハウジング31に支持される。ローター軸322の先端はモーターハウジング31から突出する。この部分に、ハブ324がスプライン嵌合してナット325で締結固定されている。このような構造であるので、ハブ324はローター軸322と一体回転する。ハブ324からはハブボルト326が突出する。このハブボルト326にロードホイール210がホイールナット327で締結される。結合部材323は、ローターコア321にボルト締結されるとともにローター軸322にスプライン嵌合している。以上のような構造であるので、ローターコア321が回転すると、ローター軸322が一体的に回転して、車輪を駆動する。
【0036】
ステーター(ステーターコア)33は、短軸肉厚円筒状(ドーナツ状)であってローターコア321のすぐ内側に配置されて、モーターハウジング31に固定されている。
【0037】
ブレーキユニット34は、本実施形態ではドラムブレーキである。ブレーキユニット34は、バックプレート341及びブレーキドラム342の中にブレーキシリンダー,ブレーキシューなどが収装されている。バックプレート341はモーターハウジング31に固定されている。ブレーキドラム342はハブ324(ローター軸322)と一体回転する。ブレーキシリンダーの力によってブレーキシュー(ライニング)をブレーキドラム342の内周面に押しつけることで、ブレーキドラム342(ハブ324)の回転を制動する。
【0038】
ここで本実施形態の理解を容易にするために、比較形態を参照して、本実施形態が解決しようとする課題について説明する。ここで
図3は自動車用サスペンション構造の比較形態を示すアイソメトリック図、
図4は比較形態の縦断面図である。なお前述と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
【0039】
発明者らは、超小型電気自動車を開発中である。そしてできるだけ広い室内空間を確保すべくインホイールモーターを使用することを検討している。制動時には荷重が前方に移動するので、エネルギーを効率よく回生には、後輪ではなく前輪にインホイールモーターを内蔵することが好ましい。
【0040】
モーターの出力を確保するには、ローターやステーターをある程度以上の大きさにしなければならない。しかしながら、そのようにしては、インホイールモーターのサイズが大きくなる。
【0041】
インホイールモーターのサイズが大きいと特に厚さが厚いと、
図4から分かるように、サスペンションアーム10,20の連結場所であるボールジョイント12,22の位置がタイヤ中心から遠ざかる。すると、アッパーボールジョイント12及びロワボールジョイント22を結んだキングピン軸とタイヤ接地中心との距離であるスクラブ半径(キングピンオフセット)が大きくなる。その結果、ステアリング操舵荷重の増大、路面からのキックバックの増大という課題が発生する。
【0042】
またインホイールモーターのサイズが大きいと特に直径が大きいと、
図3及び
図4から分かるように、ロワアーム20の連結場所であるロワボールジョイント22の位置が低くなってしまう。その結果、ロードクリアランスが小さくなってしまい、ロワアーム20が路面に干渉するおそれが生ずる。
【0043】
そこで上述の課題を解決すべく、発明者らは以下のような自動車用サスペンション構造を提案する。これについて再び
図2を参照して説明する。
【0044】
まず車輪の回転中心線となるローター軸322の長さを短縮し、ローター軸(回転中心線)322を軸方向から透視したときに、そのローター軸(回転中心線)322と重なる位置にロワボールジョイント22が配置されるようにした。換言すれば、ローター軸322の長さを短縮し、ローター軸322の延長上にロワボールジョイント22が位置するようにしたのである。このようにすることで、ロワアーム20が高い位置に配置されることとなって、ロードクリアランスを拡大することができ、ロワアーム20が路面と干渉しにくくなる。
【0045】
またローター軸322の長さを短縮するのに合わせて、モーターハウジング31の裏側の所定範囲(ローター軸322の奥に位置しロワボールジョイント22を配置することが可能な範囲)31cを凹ませたのである。そして、ロワボールジョイント22の少なくとも一部がこの凹み箇所31cに位置するように、すなわちロワボールジョイント22の位置ができる限り車体外方になるようにしたのである。このようにすることで、
図2に示されているように、スクラブ半径を小さくすることができ、路面からのキックバックやステアリング操舵荷重を減少できたのである。またインホイールモーターに接続されるモーターケーブル50の接続部36を、この凹み箇所31cに配置したのである。駆動輪は石・砂利・泥水などを掻き上げるが、本実施形態では、モーターケーブル50の接続部36がモーターハウジング31の凹み箇所31cの奥まった場所に位置するので、駆動輪が掻き上げた石・砂利・泥水などが接続部36に当たりにくく、接続部36が保護される。
【0046】
またローター軸322の長さを短縮することで、ローター軸322を支持するピッチも小さくなり、単列ベアリング351及び複列ベアリング352でローター軸322を支持することが可能になる。特に実施形態では、複列ベアリング352ができる限り外側に位置するようにブレーキユニット34の内側に配置している。このようにすることで、複列ベアリング352がタイヤ中心線と交差するようになる。このようにすることで、路面からの入力に対して強くなり、インホイールモーターの耐久性能を向上させることができる。
【0047】
さらにロワアーム20の揺動中心となるピボット軸21は、車体フレーム(ラダーサイドフレーム)110の上方に位置するので、ロワアーム20が高い位置に配置されても、ロワアーム20が十分ストローク可能である。またピボット軸21が車体フレーム(ラダーサイドフレーム)110の上方に位置するということは、換言すれば、車体フレーム(ラダーサイドフレーム)110がピボット軸21よりも下方に位置するということである。このようにすることで、フロアを低くすることができ、車内空間を広くすることができるのである。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0049】
たとえば、車輪の回転中心線を軸方向から透視したときに、その回転中心線と重なる位置にロワボールジョイント22の少なくとも一部を配置するというアイデアは、上述したタイプ以外のインホイールモーターにも適用することができる。すなわち、上記説明においては、アウターに配置されたローターコア321と、センターに配置されたローター軸(車輪の回転中心線)322とを結合部材323で連結し、ローター軸322にハブ324を介してロードホイール210を取り付けるタイプのインホイールモーターを例示した。しかしながら、このようなインホイールモーターに限らず、アウターローターに直接ロードホイール210を接続するタイプのインホイールモーターにも適用することができる。このようなタイプのインホイールモーターにはローター軸が無いが、車輪の回転中心線と交差する位置にロワボールジョイント22を配置することで、ロワアーム20が高い位置に配置されることとなって、ロードクリアランスを拡大することができ、ロワアーム20が路面と干渉しにくくなる。またモーターハウジング31の裏側の所定範囲(車輪の回転中心線の奥であってロワボールジョイント22を配置することが可能な範囲)31cを凹ませて、この凹み箇所31cにロワボールジョイント22の少なくとも一部を配置するようにすれば、スクラブ半径を小さくすることができ、路面からのキックバックやステアリング操舵荷重を減少できる。
【0050】
また上記説明においては、ダブルウィッシュボーンタイプの自動車用サスペンション構造1を例示した。しかしながら、本発明の技術的範囲をダブルウィッシュボーンタイプに限定する趣旨ではない。たとえばストラットタイプ,マルチリンクタイプなどにも適用することができる。
【0051】
さらに上記説明においては、ブレーキユニットとしてドラムブレーキを例示したが、ディスクブレーキであってもよい。
【0052】
上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。