(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188049
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】点火リード
(51)【国際特許分類】
F01D 19/02 20060101AFI20170821BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20170821BHJP
F02C 7/266 20060101ALI20170821BHJP
F02P 15/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
F01D19/02
F01D25/00 L
F02C7/266
F02P15/00 301L
【請求項の数】18
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-264825(P2012-264825)
(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2013-122244(P2013-122244A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2015年12月1日
(31)【優先権主張番号】13/316,852
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】309012096
【氏名又は名称】ユニゾン・インダストリーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・トーマス・ケンウォーシー
(72)【発明者】
【氏名】シェックハール・シュリパッド・カマット
【審査官】
佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−530435(JP,A)
【文献】
特表2009−516112(JP,A)
【文献】
米国特許第03634606(US,A)
【文献】
特公昭52−007154(JP,B1)
【文献】
特開2011−069272(JP,A)
【文献】
特公平06−064937(JP,B2)
【文献】
特開2010−186722(JP,A)
【文献】
特表2009−526371(JP,A)
【文献】
特表2007−502526(JP,A)
【文献】
英国特許出願公告第00677656(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 19/02
F01D 25/00
F02C 7/266
F02P 15/00
H01B 7/00、04、18、28、34
H01B 9/02
H01B 17/54
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励振器を点火器に結合するための点火リードであって、
前記励振器から前記点火器に高電圧を伝導する中心導体と、
前記中心導体を囲み且つ該中心導体を周囲環境から保護する導管と、
前記導管に貼り合わされた導電性材料の連続層を含む電気的リターンパスと、
を備え、
前記導管が第1の連続金属層を含み、前記連続層が第2の連続金属層を含む
点火リード。
【請求項2】
前記導管が、前記中心導体に対してエアギャップを形成する、請求項1に記載の点火リード。
【請求項3】
前記連続層が、前記導管の内面に取り付けられる、請求項1又は2に記載の点火リード。
【請求項4】
前記第2の連続金属層が、前記第1の連続金属層よりも導電性が高い、請求項3に記載の点火リード。
【請求項5】
前記第1の連続金属層が、前記第2の連続金属層よりも酸化性が低い、請求項4に記載の点火リード。
【請求項6】
前記第1の連続金属層が、少なくともニッケル及び鉄の組成物を含み、前記第2の連続金属層が、少なくとも銅を有する組成物を含む、請求項5に記載の点火リード。
【請求項7】
前記第1及び第2の連続層が、バイメタルストリップから形成される、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の点火リード。
【請求項8】
前記バイメタルストリップが巻線形である、請求項7に記載の点火リード。
【請求項9】
前記バイメタルストリップは、前記第1及び第2の連続金属層の第1組が、前記第1及び第2の連続金属層の第2の組に重なり、互いに接合されて渦巻き状に形成される、請求項7に記載の点火リード。
【請求項10】
前記バイメタルストリップが可撓性である、請求項9に記載の点火リード。
【請求項11】
前記中心導体を囲み且つ該中心導体を前記導管及び前記電気的リターンパスから電気的に絶縁する電気絶縁ジャケットを更に備える、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の点火リード。
【請求項12】
前記導管を囲む摩擦ガードを更に備える、請求項11に記載の点火リード。
【請求項13】
励振器を点火器に結合するための点火リードであって、
前記励振器から前記点火器に高電圧を伝導する中心導体と、
互いに貼り合わされた少なくとも第1の連続金属層及び第2の連続金属層を有する巻線形の多層ストリップから形成され、前記第1の連続金属層及び第2の連続金属層が異なる無線周波数シールド特性を有する導管と、
を備え、前記第1の連続金属層及び第2の連続金属層が、前記中心導体を囲み且つ該中心導体を周囲環境から保護し、前記第1の連続金属層及び第2の連続金属層のうちの一方が電気的リターンパスを提供する、点火リード。
【請求項14】
前記導管が、前記中心導体に対するエアギャップを形成する、請求項13に記載の点火リード。
【請求項15】
前記電気的リターンパスを提供する前記第1の連続金属層及び第2の連続金属層のうちの一方が、前記第1の連続金属層及び第2の連続金属層のうちの他方と前記中心導体との間に位置付けられる、請求項13又は14に記載の点火リード。
【請求項16】
前記第1及び第2の連続層が、バイメタルストリップから形成され、
前記バイメタルストリップは、前記第1及び第2の連続金属層の第1組が、前記第1及び第2の連続金属層の第2の組に重なり、互いに接合されて渦巻き状に形成される、請求項15に記載の点火リード。
【請求項17】
前記中心導体を囲み且つ該中心導体を前記導管及び前記電気的リターンパスから電気的に絶縁する電気絶縁ジャケットと、
前記導管を囲む摩擦ガードを更に備える、請求項16に記載の点火リード。
【請求項18】
前記第1の連続金属層が、最大40GHzまでの周波数をシールドし、前記第2の連続金属層が、10kHz〜10GHzの範囲の周波数をシールドする、請求項13に記載の点火リード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、励振器を点火器に結合するための点火リードに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の往復動及びガスタービン航空機エンジンは、大電流高電圧の点火パルスを励振器から点火器に伝導する点火リードを有する点火システムを含み、該点火器が、点火リードから受け取ったパルスを電気スパークに変換し、このスパークがエンジンの燃焼室内で燃料及び空気を点火させる。点火リードの導体又は内側リードワイヤは、保護、接地帰路、及び電磁干渉の保護のため1つ又はそれ以上の金属編み組スリーブ及び/又は密閉導管によって囲まれることが多い。編み組スリーブの設置及び取り付けは、大きな労働力を要する。編み組スリーブは、導管を通って点火器端子に送給される冷却空気流の妨げの原因となり、過酷な振動環境において持続的な機械損傷を生じる傾向となる可能性がある。更に、一部の空気冷却応用において、編み組スリーブはまた、デブリを捕捉することが知られており、最終的には意図した冷却供給空気を遮る場合もあり、編み組を支持し、明確に定められた冷却流路を維持するための設計特徴要素を追加することが必要となる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,637,094号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態において、励振器を点火器に結合するための点火リードは、励振器から点火器に高電圧を伝導する中心導体と、中心導体を囲み且つ該中心導体を周囲環境から保護する導管と、導管に取り付けられた導電性材料の連続層を含む電気的リターンパスと、を含む。
【0005】
別の実施形態において、励振器を点火器に結合するための点火リードは、励振器から点火器に高電圧を伝導する中心導体と、少なくとも第1の連続金属層及び第2の連続金属層を有する巻線形の多層ストリップから形成され、第1の連続金属層及び第2の連続金属層が異なる無線周波数シールド特性を有する導管と、を含む。ここで第1の連続金属層及び第2の連続金属層は、中心導体を囲み且つ該中心導体を周囲環境から保護し、第1の連続金属層及び第2の連続金属層のうちの一方が電気的リターンパスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】従来技術において公知の点火リードを有する点火システムの概略図。
【
図1C】例示の目的で部分的に切り欠き部が設けられた、
図1Aの点火リードの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1Aは、ガスタービンエンジン3と共に用いることができる例示的な点火システム2の概略図であり、該点火システムは、励振器4と、少なくとも1つの点火器5と、励振器4と点火器5との間に結合された少なくとも1つの点火リード6とを含むことができる。
図1Bに示すように、点火リード6は、一般に、電磁シールドの目的で同軸構造を含むことができる。内側部分は、点火パルスを提供するための中心導体7と、電気絶縁ジャケット8と、電流のリターンパスとして使用される低抵抗編組体9とを含むことができる。この電気絶縁ジャケット8は、エラストマー又はポリテトラフルオロエチレン(PTEE)ベースの材料を含む、あらゆる好適な材料から形成することができる。例えば、別の非限定的な例証として、電気絶縁ジャケット8を形成するためにシリコーンを用いてもよい。編組体9は、空気通路10により絶縁ジャケット8から間隔を置いて配置することができる。この内側部分は、非圧壊可能な可撓性金属導管12によって囲むことができ、該導管は、空気通路10を維持するために好適な構造的一体性を点火リード6に提供することができる。編組体9は、点火リード6の各端部にて導管12に編み組することができる。導管12を覆うニッケルベースの被覆編組体14を設けて、点火リード6の内部構成要素を摩耗及び他の損傷から保護すると共に、EMI保護を付加することができる。
【0008】
図1Cは、点火リード6の側面図を示し、点火リード6の内部を示すために部分的に切り欠いている。
図1Dにおいてより明確に示すように、導管12は、一連のストリップが巻かれてろう付けされた渦巻き部により形成することができる。代替として、場合によってはシーム溶接された又はシームレスの波状部を用いることもできる。導管12は、中心導体7に対して機械的及び環境的保護を提供することができるので、一般的には、良好な強度を有するが比較的不良導体の鉄基合金を使用することが必要とされる。不良導体は、低抵抗の編組体9を含めることにより対処され、該編組体9は、多くの場合、導管12を形成する渦巻き部に適用されて電流リターンパスとして機能する銅又は他の導電性金属から形成することができる。編組体9はまた、EMI保護を付加することができる。
【0009】
点火リード6の動作中、空気が空気通路10を通って流れることができ、これにより絶縁ジャケット8並びに点火器5及び点火リード6内の他のあらゆるポリマー材料を冷却するようになる。導管12は、編組体9を物理的損傷並びに電磁干渉から保護する助けとなることに起因して、編組体9を導管12内に位置付けることは有利とすることができる。時間の経過に伴って、振動及び他の条件により、編組体9の一体性の低下、圧壊、及び/又は集積化を引き起こし、この場合には、空気通路10が少なくとも部分的に閉鎖され、従って、空気流が空気通路10を通過するのを抑制し、高温化、並びに絶縁ジャケット8の及び熱及び/又は絶縁破壊につながる可能性がある。
【0010】
図2Aは、本発明の1つの実施形態による点火リード20を示している。点火リード20には、中心導体22、導管24、及び電気的リターンパス26を含めることができる。中心導体22は、上述のように、高電流及び高電圧を励振器から点火器に伝導することができる。絶縁ジャケット28は、中心導体22を囲むことができ、中心導体22を導管24及び電気的リターンパス26から電気的に絶縁することができる。
【0011】
導管24は、中心導体22を囲むように図示され、高振動及び最高最低気温を有する過酷な動作環境を含む可能性がある、ジェットエンジンがもたらす周囲環境から中心導体22を保護する。導管24は、中心導体22の周りに渦巻き状の金属管体を形成することができる。中心導体22を空気冷却できるように、エアギャップ30が中心導体22に対して導管24により形成される。電気的リターンパス26は、導管24に取り付けられた導電性材料の連続した層32を含むことができる。電気的リターンパス26を形成する連続層32は、導管24の内面34に取り付けられるように図示されているが、電気的リターンパス26を形成する連続層32は、導管24の外面36か又は内面34の何れか、或いは、内面34及び外面36の両方に同時に取り付けてもよい点は企図される。
【0012】
導管24が第1の連続金属層38を含むことができ、及び電気的リターンパス26を形成する連続層32が、第2の連続金属層を含むことができる点は企図される。このような場合、電気的リターンパス26を形成する第2の連続金属層は、導管24を形成する第1の連続金属層38よりも導電性を高くすることができ、第1の連続金属層38は、電気的リターンパス26を形成する第2の連続金属層よりも酸化性が低くすることができる。このようにして、導管は、周囲環境内で腐食及び錆を生じる可能性を低くすることができる。非限定的な例証として、導管24は、少なくともニッケル及び鉄の合金を含む組成により形成することができる。電気的リターンパス26を形成する第2の連続金属層は、非限定的な別の例証として、銅又は銅を有する組成物を含むことができる。
【0013】
摩擦ガード40を点火リード20内に含めることができ、該摩擦ガード40が導管24を囲むことができる。摩擦ガード40は、点火リード20に対する追加の機械的保護を提供するために含めてもよい。非限定的な例証として、摩擦ガード40は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)編組体の層、又はPTFE螺旋ラップの層から形成することができる。導管24を囲むニッケル編組体(図示せず)を含めることができ、また、摩擦ガード40をニッケル編組体に追加することができることも企図される。
【0014】
製造中、電気的リターンパス26を形成する連続層32は、あらゆる好適な方式で導管24に取り付け、又は付着させることができる。非限定的な例証として、連続層32は、銅又は銅を含む組成物のような連続金属層を第1の連続金属層38上にめっきすることによって得ることができる。非限定的な例証として、連続層は、電気めっき、ハイドロフォーミング、二層圧延、物理蒸着、化学蒸着、刷毛塗り、及び吹きつけ塗装を通じて達成することができる。
【0015】
非限定的な別の例証として、第1及び第2の連続層は、代替として、バイメタルストリップから形成してもよいことは企図される。このようなバイメタルストリップは、製造中に導管24及び電気的リターンパス26内に形成することができる。これは、非限定的な例証として、バイメタルストリップを螺旋状に巻いて導管24及び電気的リターンパス26を形成できること、及びバイメタルストリップを渦巻き状に形成できることを含む、あらゆる好適な方式で実施することができる。バイメタルストリップの一部は、ろう付けにより共に接合され、ろう付け継手42を形成できるようにすることができる。このようにして、導管24及び電気的リターンパス26は、第1の連続金属層及び第2の連続金属層を有する巻線形の多層ストリップから形成することができる。また、トライメタルストリップを使用することができ、摩擦ガードもこのようにしてトライメタルストリップを用いて形成できることも企図される。
【0016】
図2Bにおいてより明確に図示されるように、導管24は、波形構成を有し、可撓性であるように形成できることは企図される。電気的リターンパス26を形成する連続層32は、可撓性があり且つ導管24の屈曲を阻害しない程度に薄いことは企図される。これは、バイメタルストリップもまた可撓性とすることができることが企図されるので、導管24及び電気的リターンパス26を形成する方法に関係なく当てはまる。連続層32は、この例図では破断して見えるが、電気的リターンパス26を形成する連続した金属が螺旋状に巻かれて実際には連続したものであることは、理解されるであろう。
【0017】
第1及び第2の連続金属層は、異なるシールド特性を有して、点火リード20を保護するためのEMIシールド及びRFIシールドを強化することができる点は企図される。非限定的な例証として、第1及び第2の連続金属層は、異なる高周波シールド特性を有することができる。非限定的な例証として、当該連続層32は、磁場反射が良好とすることができ、第1の連続金属層38は、全周波数範囲にわたって吸収損失が良好とすることができる。追加の非限定的な例証として、第1の連続金属層は、最大40GHzまでの周波数をシールドすることができ、第2の連続金属層は、10kHz〜10GHzの範囲の周波数をシールドすることができる。
【0018】
上述の実施形態は、点火リードが可撓性であり、環境的にシールされ、あまり複雑でないシールド組立体とすることができることを含む、様々な追加の利点を提供する。上述の実施形態は、内側編組体が排除され、従来の絶縁チューブ、メッシュ、又は被覆編組体によって形成されるより線導体ではなく固体導体が使用されるので、様々な利点をもたらすことになる。例えば、編組体が比較的脆弱な設計要素であり、編組体内の何らかの開口又はシームなどが放射線放出のリークパスであるので、金属編組体に対して改善された機械的堅牢性及び優れたシールド性を実現することができる。編組体の排除及び薄い連続した導電層はまた、外被の低減及び重量軽減をもたらし、航空機の運転時に利点を提供することができる。
【0019】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0020】
2 点火システム
3 ガスタービンエンジン
4 励振器
5 点火器
6 点火リード
7 中心導体
8 絶縁ジャケット
9 編組体
10 空気通路
12 導管
14 被覆編組体
20 点火リード
22 中心導体
24 導管
26 電気的リターンパス
28 絶縁ジャケット
30 エアギャップ
32 連続層
34 内面
36 外面
38 第1の連続金属層
40 摩擦ガード
42 ろう付け継手