(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188054
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ディスポーザ
(51)【国際特許分類】
B02C 18/00 20060101AFI20170821BHJP
E03C 1/266 20060101ALI20170821BHJP
B65F 1/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
B02C18/00 105Z
B65F1/00 102C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-56078(P2013-56078)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-180613(P2014-180613A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】593047552
【氏名又は名称】株式会社フロム工業
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100133592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 浩一
(72)【発明者】
【氏名】尾畑 宇喜雄
(72)【発明者】
【氏名】久保田 芳典
(72)【発明者】
【氏名】河津 樹典
【審査官】
岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−154338(JP,U)
【文献】
特開2006−097645(JP,A)
【文献】
特開2006−346614(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0278742(US,A1)
【文献】
実開昭57−074657(JP,U)
【文献】
実開昭57−068196(JP,U)
【文献】
特開2006−239606(JP,A)
【文献】
特開平10−216548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 18/00
B65F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口を有して、該開口を通して厨芥が投入される投入部と、
前記投入部の下方に連接された破砕室と、
前記破砕室の下部に配置された破砕機構と、
前記破砕室の下方に配置されて、前記破砕機構を駆動する電動機を備え、
前記電動機の回転軸が前記破砕室の底板を貫いて前記破砕室の内部に突出するディスポーザにおいて、
前記電動機の上面には、前記電動機の回転軸から離れた位置にあって、前記回転軸を環
状に取り囲む堰状部が形成され、
前記堰状部によって、前記回転軸の周りに、前記破砕室から漏出した漏水を一時的に貯留するポケットが構成されるとともに、
前記ポケットの内部には、漏水の存在を検出するセンサが配置されている
ことを特徴とするディスポーザ。
【請求項2】
前記センサが漏水の存在を検出した場合に、警報を表示又は送出する警報手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のディスポーザ。
【請求項3】
前記センサが漏水の存在を検出した場合に、前記ディスポーザの運転を停止する非常停
止手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のディスポーザ。
【請求項4】
前記ポケットの内部に、低位置において漏水の存在を検出する低位置センサと、前記低
位置センサよりも高い位置において漏水の存在を検出する高位置センサが配置されて、
前記低位置センサが漏水の存在を検出した場合に、警報を表示又は送出する警報手段と、
前記高位置センサが漏水の存在を検出した場合に、前記ディスポーザの運転を停止する
非常停止手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のディスポーザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨芥等を破砕してスラリーを生成するディスポーザに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスポーザは、例えば厨房のシンクの下に配置されて、厨芥等を破砕し、破砕された厨芥を水と混合してスラリーを生成し、生成されたスラリーを排出する装置である。また、一般に、ディスポーザは、上方に開口を有して該開口を通して厨芥が投入される投入部と、前記投入部の下方に連接された破砕室と、前記破砕室の下部に配置された破砕機構と、前記破砕室の下方に配置されて前記破砕機構を駆動する電動機を備える(例えば、特許文献1)。
【0003】
このようなディスポーザにおいては、電動機の回転軸は破砕室の底板を貫いて破砕室の内部に貫通しているので、底板の貫通穴と回転軸の間の隙間にシールを備えて、破砕室から電動機に向かう漏水を防いでいる。
【0004】
特許文献2には、破砕機構(回転刃板)の下面に下方が開口する筒体を設け、筒体の内部にアウタロータ型の電動機の回転子鉄心を設け、回転子鉄心の内側に固定子鉄心を配置するとともに、筒体と下部ケーシングの間の隙間にシールを備えるディスポーザが開示されている。このディスポーザにおいては、回転子鉄心と固定子鉄心の上に回転刃板と筒体を置いて、回転子鉄心と固定子鉄心が水を被るのを防ぎ、下部ケーシングへの浸水をシールで防いでいる。
【0005】
特許文献3には、電動機にロータケースを備えて、破砕室の底板の貫通穴と電動機の回転軸の間の隙間に配置されたシールが破れて漏水が生じた場合に、漏水をロータケースで受けて、漏水が電動機のロータ、ステータ及びベアリングに触れることなくモータケースの底部に落ちて、該底部に設けたドレン穴を通って外部に抜けるように構成されたディスポーザが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−157886号公報
【特許文献2】特開2002−263515号公報
【特許文献3】特開2003−80100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シールは消耗部品であって、時間の経過に伴って弾力を失なったり、変形あるいは破損して機能を失う。特許文献1に記載のディスポーザは、シールが機能を失って漏水が電動機に流れた場合に、漏水を検出する手段を備えないので、電動機に致命的な損傷が生じるまで、漏水が放置される虞がある。
【0008】
特許文献2に記載のディスポーザは、回転子鉄心と固定子鉄心を回転刃板と筒体で覆っているので、これらが直接に水を被ることはないが、このディスポーザも漏水を検出する手段を備えないので、やはり、シールの機能が損なわれて漏水が下部ケーシングに侵入しても、電動機に致命的な損傷が生じるまで、放置される虞がある。
【0009】
特許文献3に記載のディスポーザは、ロータケースとドレン穴を備えるので、シールが機能を失って漏水が生じても、漏水は電動機のロータ、ステータ及びベアリングに触れることなくドレン穴を通って外部に排出されるので、電動機がただちに損傷する危険は小さいが、シールの損傷が大きくなれば、いずれ致命的な損傷が生じる。
【0010】
本発明は、このような背景の下でなされたものであり、破砕室の底板の貫通穴と電動機の回転軸の間の隙間のシールが損傷して漏水が発生した場合に、漏水を速やかに検出して、電動機の致命的な損傷を防ぐことができるディスポーザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るディスポーザは、上方に開口を有して、該開
口を通して厨芥が投入される投入部と、前記投入部の下方に連接された破砕室と、前記破
砕室の下部に配置された破砕機構と、前記破砕室の下方に配置されて、前記破砕機構を駆
動する電動機を備え、前記電動機の回転軸が前記破砕室の底板を貫いて前記破砕室の内部
に突出するディスポーザにおいて、前記電動機の上面には、前記電動機の回転軸から離れ
た位置にあって、前記回転軸を環状に取り囲む堰状部
が形成され、前記堰状部によって、前記回転軸の周りに
、前記破砕室から漏出した漏水を一時的に貯留するポケットが
構成されるとともに、前記ポケットの内部に
は、漏水の存在を検出するセンサが配置されていることを特徴とする。
【0012】
前記センサが漏水の存在を検出した場合に、警報を表示又は送出する警報手段を備えるようにしてもよい。
【0013】
また、前記センサが漏水の存在を検出した場合に、前記ディスポーザの運転を停止する制御部を備えるようにしてもよい。
【0014】
また、前記ポケットの内部に、低位置において漏水の存在を検出する低位置センサと、前記低位置センサよりも高い位置において漏水の存在を検出する高位置センサが配置されて、前記低位置センサが漏水の存在を検出した場合に、警報を表示又は送出する警報手段と、前記高位置センサが漏水の存在を検出した場合に、前記ディスポーザの運転を停止する非常停止手段を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、回転軸を取り囲む堰状部が前記電動機のハウジングの上面に形成されて、回転軸と堰状部の間に、漏水の存在を検出するセンサを配置しているので、破砕室の底板の貫通穴と電動機の回転軸の間の隙間のシールが損傷して漏水が発生した場合に、漏水は回転軸と堰状部の間に溜まり、センサで検出されるので、初期の段階で漏水を検出できる。そのため、早期に修理を行なうことができるので、電動機の致命的な損傷を予防する効果がある。また、厨房の汚損を予防する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図1のA部の拡大図であり、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
【
図4】発停プログラムによる処理を示すフローチャートである。
【
図5】警報出力グラムによる処理を示すフローチャートである。
【
図6】非常停止プログラムによる処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明に係るディスポーザ1の断面図である。ディスポーザ1は厨芥を粉砕して水と混合してスラリーを生成し、下水等に排出する装置であり、本体2と制御部3とから構成される。
【0018】
ディスポーザ1の本体2は、
図1に示すように、投入部4、破砕室5、破砕機構6及び電動機7を備える。投入部4は本体2の最上部にあって、図示しないシンクの排水口に接続される部位である。投入部4の上方には開口8があって、前記シンクから投入された厨芥は、開口8を通って本体2の中に入る。破砕室5は、投入部4の下方に連接される部位であって、その下部には破砕機構6が配置される。破砕機構6は電動機7で回転駆動される回転円板9と、回転円板9に軸支されたスウィングハンマー10と、破砕室5に固定された固定刃11とから構成され、スウィングハンマー10で厨芥を固定刃11に押し付けて破砕する。また、破砕機構6によって破砕された厨芥は回転円板9の下方の空間12に落下し、水と一緒に排出管13から排出される。電動機7は破砕室5の下方に配置されて、電動機7の回転軸14は、破砕室5の底板15を貫いて破砕室5の内部に突出して、回転円板9に連結されている。また、底板15と回転軸14の間には軸シール16があって、底板15と回転軸14の間の隙間からの漏水を防いでいる。
【0019】
次に、
図1のA部の詳細な構造を、
図2を参照しながら説明する。電動機7のハウジング17の上面には、回転軸14から離れた位置にあって、回転軸14を環状に取り囲む堰状部18が形成されている。ここで、説明の便宜の為に、ハウジング17の上面の堰状部18で取り囲まれた窪みをポケット19と呼ぶことにする。ポケット19の内側のハウジング17の上面には、回転軸14に近接した位置にあって、回転軸14を環状に取り囲む内堰部20が隆起している。また、ハウジング17と回転軸14の間の隙間からの漏水の侵入を防ぐために、回転軸14にはVリング21が取り付けられていて、その先端は内堰部20の上面に接している。なお、内堰部20の上面は堰状部18の上面より高い位置にある。
【0020】
Vリング21は内堰部20の上面に軽く接触しているだけなので、Vリング21が内堰部20から受ける摩擦力は、軸シール16が回転軸14から受ける摩擦力に比べて小さい。そのため、軸シール16はVリング21に比べて消耗が早い。つまり、多くの場合、Vリング21より先に軸シール16が破れる。軸シール16が破れると、漏水が回転軸14を伝って下に流れ、Vリング21に達し、Vリング21に達した漏水は遠心力で弾かれて、ポケット19に流れ落ちる。このように構成されているので、軸シール16が破損して、底板15と回転軸14の間の隙間から水が漏れると、その水はポケット19に一時的に溜まる。
【0021】
ポケット19の内部には、第1及び第2の漏水センサ22,23を備える。第1及び第2の漏水センサ22,23はそれぞれ図示しない電極の組を備えて、該電極が接水した時に生じる電極間の電気抵抗の変化を測定して漏水の存在を検出する公知のセンサであり、その具体的な構成と検出原理は、既に良く知られているので、説明を省略する。必要ならば、例えば、特許第3112427号、特許第2669705号、特許第2573033号等を参照されたい。
【0022】
また、第1の漏水センサ22は第2の漏水センサ23よりも低位置に配置されていて、低い水位で漏水を検出する。つまり、初期の段階で漏水を検出する。更に漏水が続いて、ポケット19内の水位が高くなってなると、第2の漏水センサ23が接水して漏水を検出する。
【0023】
前述したように、内堰部20の上面は堰状部18の上面より高い位置にあるから、ポケット19に溜まった漏水が内堰部20を超えてハウジング17の中に侵入することはない。ポケット19に溜まった漏水は内堰部20を超える前に堰状部18の上面を超えて、堰状部18の外に溢れ出るが、その前に、第2の漏水センサ23で検出される。
【0024】
さて、制御部3は、概略、
図3に示すように構成される。すなわち、制御部3は、コンピュータ31と入出力インターフェイス32を備え、入出力インターフェイス32を介して、操作スイッチ33、表示ランプ34,35,36、リレー37及び第1及び第2の漏水センサ22,23に接続されている。操作スイッチ33はディスポーザ1に対して操作入力を行うスイッチ、例えば、ディスポーザ1の停止中に押すとディスポーザ1の運転が開始され、ディスポーザ1の運転中に押すとディスポーザ1の運転が停止される機能を有する押しボタンである。表示ランプ34,35,36はディスポーザ1の運転状態を表示するランプである。表示ランプ34は電動機7に通電されている場合に点灯する。表示ランプ35は、漏水を検出した場合に点灯する警告灯である。また、表示ランプ36は、前記漏水が続いて、電動機7に致命的な損傷が生じる危険が生じた場合に点灯するランプであって、表示ランプ36が点灯すると、以後、ディスポーザ1の運転が禁止される。リレー37は、電動機7へ電力を供給する電路(
図1,2において図示せず)を開閉する装置である。
【0025】
前述した機能は、コンピュータ31にインストールされた複数のプログラムによって実現される。
図4に示した発停プログラムは、かかるプログラムの一つであって、操作スイッチ33が操作されると実行される。発停プログラムが起動されると、まず、ディスポーザ1が運転中であるか否かを判断する(ステップ1)。ディスポーザ1が運転中であるか否かは、例えば、リレー37への出力信号の状態で判断する。コンピュータ31の内部に運転中を示すフラグを立てるようにして、そのフラグの状態で判断するようにしてもよい。ディスポーザ1が運転中であれば(ステップ1:YES)、運転停止の処理を行なう。具体的には、表示ランプ34を消灯し(ステップ2)、その後、リレー37を遮断する信号を出力して電動機7を停止させて(ステップ3)、処理を終了する。
【0026】
ディスポーザ1が停止中であれば(ステップ1:NO)、運転禁止フラグの状態を確認する(ステップ4)。なお、運転禁止フラグはコンピュータ31の不揮発性メモリに記憶される変数であって、初期状態においてOFFであり、第2の漏水センサ23が漏水を検出した時にONに書き替えられる変数である。運転禁止フラグを書き替える方法については、後述する。
【0027】
運転禁止フラグがONであれば、つまりディスポーザ1の運転が禁止されていれば(ステップ4:YES)、表示ランプ36を点灯して(ステップ5)、運転禁止状態であることを表示して、処理を終了する。そのため、運転禁止フラグがONにされていれば、操作スイッチ33が操作されても、ディスポーザ1は動かない。
【0028】
運転禁止フラグがOFFであれば、つまりディスポーザ1の運転が禁止されていなければ(ステップ4:NO)、運転開始の処理を行なう。具体的には、表示ランプ34を点灯して(ステップ6)、その後、リレー37を通電させる信号を出力して電動機7を回転させて(ステップ7)、処理を終了する。
【0029】
また、コンピュータ31には、
図5に示すような警報出力プログラムがインストールされていて、第1の漏水センサ22が漏水を検出した場合に起動される。つまり、第1の漏水センサ22が漏水を検出すると、表示ランプ35を点灯させる(ステップ11)。このように、第1の漏水センサ22が漏水を検出した場合、表示ランプ35を点灯するだけで、ディスポーザ1の運転を停止したり、禁止したりするような処理は行なわない。初期の漏水は量が少ないので、多くの場合、電動機7からの発熱で蒸発するので、またポケット19に溜まった漏水の水位が内堰部20より低い間は、電動機7への漏水の侵入は内堰部20によって防止されるので、電動機7に致命的な損害を与える危険は小さいからである。また、僅かな漏水を検出する度にディスポーザ1を停止させると、反って、使い勝手が悪くなるからである。そのため、初期の漏水については、表示ランプ35の点灯によって点検修理を促すだけに留めている。
【0030】
また、コンピュータ31には、
図6に示すような非常停止プログラムがインストールされていて、第2の漏水センサ23が漏水を検出した場合に起動される。つまり、第2の漏水センサ23が漏水を検出すると、表示ランプ36を点灯させ(ステップ21)、リレー37を遮断させる信号を出力して電動機7を停止させ(ステップ22)て、さらに、運転禁止フラグをONに書き替える(ステップ23)。また、表示ランプ34と表示ランプ35を消灯させて(ステップ24,25)、処理を終える。このように、第2の漏水センサ23が漏水を検出した場合、つまりポケット19内の水位が所定の高さを超えた場合には、ディスポーザ1を非常停止させ、さらに、その後の運転を禁止する。漏水量が増えると、電動機7に致命的な損傷が生じる危険が大きいからである。
【0031】
このように、ディスポーザ1は、ハウジング17の上面に堰状部18を備えて、ポケット19が形成され、漏水は必ずポケット19に必ず流入する。そして、ポケット19の内部に第1の漏水センサ22を備えるので、漏水を確実に検出することができる。そのため、初期の、僅かな漏水であっても検出することができる。
【0032】
また、第1の漏水センサ22だけが漏水を検出した場合には、警報ランプ(表示ランプ35)を点灯して警報するが、ディスポーザ1の運転は続けるので、初期の、つまり致命的な損傷に至る可能性が低い段階での頻繁な停止を避けることができる。
【0033】
また、ポケット19の第1の漏水センサ22より高い位置に、第2の漏水センサ23を備えて、第2の漏水センサ23が漏水を検出した場合に、ディスポーザ1を非常停止するので、ディスポーザ1、特に電動機7に致命的な損傷が生じるのを回避することができる。
【0034】
以上、本願発明の実施形態について説明したが、本願発明の技術的範囲は上記実施形態によっては限定されない。本願発明は特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲において、自由に応用、変形あるいは改良して、実施することができる。
【0035】
例えば、上記実施形態において、第1及び第2の漏水センサ22,23が漏水を検出した場合に、コンピュータ31が、表示ランプ35,36を点灯させ、ディポーザ1を非常停止させる例を示したが、本発明に係る警報手段、非常停止手段はこのように構成されたものには限定されない。警報手段、非常停止手段は専用のハードウェアで構成されていてもよいし、第1及び第2の漏水センサ22,23と警報手段、非常停止手段が直接に接続されていてもよい。例えば、第1の漏水センサ22の出力信号でリレー37を動作させて表示ランプ35を点灯するようにしてもよい。あるいは、ディスポーザ1と商用電源の間に電源遮断器を配置して、第2の漏水センサ23の出力信号で電源遮断器が動作するようにしてもよい。
【0036】
表示ランプ35を点灯することによって警報を表示する例を示した、表示ランプ35の代わりに、例えばディスプレイパネルに文字や図形を表示して警報してもよい。あるいは、ブザー等を備えて、音によって警報を送出するようにしてもよい。
【0037】
また、第1及び第2の漏水センサ22,23の具体例として、電極間の電気抵抗や電気容量の変化を検出する電気式のセンサを例示したが、本願発明の構成するセンサは電気式のセンサには限られない。ポケット19内の水の存在の有無を検出する機能を備えていれば、その構成や検出原理は限定されない。例えば、空気と水の透過率や屈折率の違いを利用する光学式のセンサであってもよい。
【0038】
また、センサの数は2個には限定されない。第1及び第2の漏水センサ22,23に加えて、第3の漏水センサを備えて、ポケット19内の水位を3段階で検出するようにしてもよい。あるいはセンサを1個だけ、つまり第1あるいは第2の漏水センサ22,23のいずれか一方だけ備えるようにしてもよい。
【0039】
あるいは、第1及び第2の漏水センサ22,23をそれぞれ複数個備えて、ポケット19の(同じ高さの)異なる位置で漏水を検出するようにしてもよい。
【0040】
また、上記実施形態においては、第2の漏水センサ23が漏水を検出した場合に非常停止を行なう例を示したが、第2の漏水センサ23を省いて、例えば、第1の漏水センサ22による漏水の検出頻度や累積検出回数をカウントして、頻度や回数が所定の閾値を超えた場合に、非常停止を行なうようにしてもよい。また、上記実施形態においては、ディスポーザ1だけを非常停止する例を示したが、これに加えて、水栓を非常閉鎖する機能を備えてもよい。つまり、例えば、ディスポーザ1を備えるシンクに注水する水栓に電動弁を備えて、該電動弁を制御部3の指令で動作するようにして、非常停止の際に注水も停止できるようにすれば、漏水による被害を最小化できる。
【0041】
また、上記実施形態において例示した制御部3の構成は、本願発明の説明に最低限必要な範囲において単純化、概念化したものであって、本願発明の構成は係る構成を備えるものには限定されない。例えば、制御部3に接続されるスイッチ類は1個には限定されない。複数のスイッチを備えてもよい。また、表示ランプ34〜36に変えて、ディスプレイ装置を備えて、文字や図形で警報を表示するようにしてもよい。例えば、第1の漏水センサ22が漏水を検出した場合に、ディスプレイ装置に「漏水注意」を表示するようにしてもよい。あるいはスピーカを備えて、音や音声で警報を発するようにしてもよい。また、
図1において、説明の便宜のために、本体2と制御部3を物理的に分離した状態で図示したが、制御部3の全部あるいは一部が本体2と一体に構成されてもよい。
【0042】
また、上記実施形態においては、1個の操作スイッチ33で運転と停止を行なう例を示したが、「運転」スイッチと「停止」スイッチを別個に備えてもよい。あるいは、制御部3にタイマーを備えて、運転開始後、所定時間が経過したら自動的に停止するようにプログラムしてもよい。あるいは電動機7に流れる電流を計測して、電流値が減少した場合に運転を自動的に停止するようにしてもよい。厨芥の粉砕が終了すれば電動機7の負荷が小さくなるが、負荷の低下は電流値の減少として検出できるからである。
【0043】
また、前述したように、運転禁止フラグは初期状態においてOFFであるが、制御部3に、ONに書き替えられた運転禁止フラグを再び初期状態に戻す手段を備えてもよい。例えば、制御部3にリセットボタンを備え、リセットボタンを操作すると、コンピュータ31が運転禁止フラグをOFFに書き替えるようにしてもよい。軸シール16を交換して、リセットボタンを操作すれば、正常な運転を再開できる。
【符号の説明】
【0044】
1 ディスポーザ
2 本体
3 制御部
4 投入部
5 破砕室
6 破砕機構
7 電動機
8 開口
9 回転円板
10 スウィングハンマー
11 固定刃
12 空間
13 排出管
14 回転軸
15 底板
16 軸シール
17 ハウジング
18 堰状部
19 ポケット
20 内堰部
21 Vリング
22 第1の漏水センサ
23 第2の漏水センサ
31 コンピュータ
32 入出力インターフェイス
33 操作スイッチ
34〜36 表示ランプ
37 リレー