特許第6188064号(P6188064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188064
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】簡易屋根構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   E04B1/343 U
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-147279(P2013-147279)
(22)【出願日】2013年7月16日
(65)【公開番号】特開2015-21221(P2015-21221A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】花牟禮 大
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−279875(JP,A)
【文献】 実公昭58−012962(JP,Y2)
【文献】 米国特許第04796391(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04B 1/00
E04H 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に立設された複数の支柱と、前記支柱の上端部に設けられた連結部材と、前記連結部材の上部に設けられた梁載置部に載置されて前後方向に延びる梁と、前記梁上に配置されて左右方向に延びる母屋と、前記母屋上に配置された屋根材とを備え、
前記梁載置部は、梁が載置される底部と前記底部の左右両端部に設けられて梁の左右を覆う側壁部とを備えるとともに、下方に貫通する貫通部が設けられた中央部を間にして、前記底部と前記側壁部とからなる前側梁載置部と後側梁載置部とが前後に間隔をあけて設けられ、
前記中央部の下方に前記貫通部に連通する空間部が前記支柱との間に設けられ、前記梁と該梁上に配置された母屋とを上下に貫通して固定する固定部材の固定端部が、前記貫通部を介して空間部に配置されるようになされていることを特徴とする簡易屋根構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車置場、カーポート、バス停留所、シェルターなどに用いられる組立式の簡易屋根構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車置場、カーポート、バス停留所、シェルターなどの簡易屋根構造物については、例えば特許文献1には、地面に複数本立設された円筒状支柱の上端部を、一対の挟着片にて挟着し、この一対の挟着片に梁を連結する駐輪場の屋根部連結構造であって、上記挟着片が、上記支柱の上端部の外周面に当接する半円状挟着壁部を有し、上記一対の挟着片を上記支柱の上端部に固着し、かつ、門型の断面形状に形成した上記梁を、上記一対の挟着片に被せて載置状に取付けた駐輪場の屋根部連結構造である簡易屋根構造物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−67711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の簡易屋根構造物においては、梁上に母屋を配置して屋根を支持する際、支柱と梁とが交差する箇所に母屋を取付けることが困難なため、母屋と挟着片とが干渉しないように、挟着片から母屋を離して取付ける必要があり、これによって組立作業や取付作業の順序が制限され、また取付位置の調整が難しくなることがあり、施工性の点で問題が生じる場合があった。
【0005】
本発明は、前記の如き問題点を解消し、支柱と梁とが交差する箇所であっても、その上に母屋を取付けることが可能であって、施工作業に優れた簡易屋根構造物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわちこの発明に係る簡易屋根構造物は、左右に立設された複数の支柱と、前記支柱の上端部に設けられた連結部材と、前記連結部材の上部に設けられた梁載置部に載置されて前後方向に延びる梁と、前記梁上に配置されて左右方向に延びる母屋と、前記母屋上に配置された屋根材とを備え、前記梁載置部は、梁が載置される底部と前記底部の左右両端部に設けられて梁の左右を覆う側壁部とを備えるとともに、下方に貫通する貫通部が設けられた中央部を間にして、前記底部と前記側壁部とからなる前側梁載置部と後側梁載置部とが前後に間隔をあけて設けられ、前記中央部の下方に前記貫通部に連通する空間部が前記支柱との間に設けられ、前記梁と該梁上に配置された母屋とを上下に貫通して固定する固定部材の固定端部が、前記貫通部を介して空間部に配置されるようになされていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、支柱の上端部に設けられて梁載置部に梁が載置される連結部材は、下方に空間部が設けられて、前記梁を前記梁載置部に固定する固定部材の固定端部が前記空間部に配置されるようになされているので、平面視において梁と支柱とが重なる位置に母屋を取付けるに際して、支柱に干渉されることなく、梁を梁載置部に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る簡易屋根構造物の実施の一形態を示す説明図である。
図2図1の支柱の上端付近の拡大図である。
図3図1の支柱の上部付近の側面図である。
図4図3のA−A部の要部断面図である。
図5図1の梁付近の拡大正面図である。
図6図3のB−B部の要部断面図である。
図7図5のC−C部の断面図である。
図8図7のD−D部の要部拡大断面図である。
図9図1の平面図である。
図10図9のE−E部の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0010】
図1は、本発明に係る簡易屋根構造物の実施の一形態を示す説明図である。支柱1は円筒状の鋼管を適宜長さに切断して作製され、下端部が設置面に埋設されて立設されており、本形態では、左右方向に間隔をあけて三個立設されている。支柱1は、強度的に安定しておりコストの安い鋼管が好適に用いられるが、鋼管に限るものではなく、アルミニウム合金型材、ステンレス鋼管でもよい。
【0011】
梁2は、支柱1と同様に円筒状の鋼管を適宜長さに切断して作製され、支柱1の上方に取付けられており、本形態では、前記三個の支柱1の上方にそれぞれ前後方向に沿って取付けられている。梁2は、支柱1と同様に強度的に安定しておりコストの安い鋼管が好適に用いられるが、鋼管に限るものではなく、アルミニウム合金型材、ステンレス鋼管でもよい。
【0012】
次に、支柱1と梁2との取付構造について、詳しく説明する。図1に示すように、支柱1と梁2とは、連結部材3を介して取付けられている。連結部材3は、本形態では、左右勝手違いの2個の板材を備えたものであるが、一体に形成したものでもよい。
【0013】
まず、支柱1と連結部材3との関係について、詳しく説明する。図2図1の支柱の上部付近の拡大図、図3図1の支柱の上部付近の側面図、図4図3のA−A部の主要部の断面図である。連結部材3は、支柱1の上端部に取付けられる支柱取付部31と、梁2が取付けられる梁載置部32とを備えている。支柱取付部31は、図4に示すように、上下方向に形成されて支柱の上端部に筒状を呈するようにして外嵌されて取付けられる支柱受け部33と、該支柱受け部33の上端部に設けられて支柱受け部33の上部開口を塞いで設けられた係止部34とを備えている。これにより、支柱1の上端部で連結部材3を支えるようになされている。
【0014】
本形態では、図4に示すように、ボルトB1が、筒状を呈するようにして外嵌された支柱受け部33及び支柱1に設けられた貫通孔を前後に貫通して、そのねじ先端部に螺着されるナットN1によって支柱受け部33が支柱1の上端部に締結され、これによって、連結部材3が支柱1に取付けられる。
【0015】
続いて、梁2と連結部材3との関係について、詳しく説明する。図5図1の梁付近の拡大正面図、図6図3のB−B部の要部断面図、図7図5のC−C部の断面図、図8図7のD−D部の要部拡大断面図である。連結部材3は、上部に梁載置部32が設けられ、前記梁載置部32は、図5、6に示すように、梁2が載置される底部35と、前記底部35の左右両端部に設けられて梁2の左右を覆う側壁部36とを備えた前側梁載置部32aと、後側梁載置部32bと、その間に形成された底部35に下方に貫通する貫通部35aが設けられた中央部32cとから形成されている。そして前記前側梁載置部32a及び後側梁載置部32bの底部35上に載置された梁2と前記両側壁部36とを前後に貫通するボルトB2の前後に貫通され、ねじ先端部に螺着されるナットN2によって両側壁部36間に梁2が挟持されることによって、梁2が連結部材3に取付けられる。なお、前記貫通部35aは、本形態では、底部35自体を無くして、当該底部35に該当する箇所を貫通部35aとしている。
【0016】
本形態では、前側梁載置部32a、後側梁載置部32bはU字状となされて、上部は開口37されており、上方から前記開口37を通って、梁2を載置することができる。加えて、中央部32cは梁の側部を覆う。従来の連結部材3としては、例えば、支柱1を受ける半円筒状部と梁を受ける半円筒状部を備えた左右勝手違いの2個の板材で、支柱1と梁2とを左右から挟んで連結する形態があり、この場合は、支柱1と梁2とを一度に連結する必要があるため、現地の作業が困難であり、予め連結して設置現場まで輸送する場合では嵩高い状態であるため輸送効率が悪いものであった。それに対して、本形態では、支柱1に連結部材3を取付けた後、該連結部材3の梁載置部32に梁2を仮置きして、位置調整をした後、連結部材3に梁2を取付けることができる。これにより、出荷時に組み立てておく必要がないため、輸送効率がよく、また現場作業も容易となり好ましい。
【0017】
次に、梁2に対する母屋4の取付構造について、詳しく説明する。図3、7に示すように、母屋4は、梁2上に載置されると共に、固定部材によって固定されている。本形態では、母屋4の角筒状の下壁部41と、該母屋4が載置される梁2に設けられた貫通孔を上下に貫通するボルトB3と、そのねじ部に螺着されるナットN3とからなる固定部材によって梁2に締結される。前記母屋4は、支柱の上方に配置される母屋と、その前後に配置される母屋とからなり、前後に間隔をあけて3列配置されている。そして、支柱の上方に配置される母屋については、後記するように、連結部材3に空間部38が設けられて、梁2に固定するためのボルトB3のねじ先端部やナットN3と干渉を避けるようになされている。
【0018】
すなわち、連結部材3において、梁2が載置される梁載置部32は、前記中央部32cを間にして前後に前側梁載置部32aと後側梁載置部32bとが間隔をあけて設けられ、支柱取付部31と梁載置部32とは、連結部39によって上下に間隔をあけて設けられて、支柱取付部31と中央部32cとの間に左右方向に通じる側面視逆三角形状の空間部38が形成されている。したがって、中央部32cにボルトB3が位置するように梁2を載置することによって、固定部材の固定端部、すなわち前記梁2と該梁2上に配置された母屋4とを上下に貫通したボルトB3のねじ先端部とナットN3とが空間部38に配置されることとなり、ナットN3を締め付ける際、その締付用の治具で作業するための作業空間を確保して、支柱1、連結部材3との干渉が生じるような不具合を抑えることができる。なお、前記固定部材の固定端部とは、梁2と母屋4とを固定する固定部材の両端部のうちの一端部であり、本形態においては、空間部38に配置されたボルトB3のねじ先端部とナットN3である。
【0019】
これによって、梁2上に母屋4を取付ける際、前記ボルトB3とナットN3により仮止めすることが可能となり、ナットN3の仮止め時や、締結時に、平面視において、支柱1と梁2とが重合する位置である連結部材3に対して、更に母屋4とが重合する位置であっても、前記のように締付作業に伴う不具合を抑えることができる。
【0020】
本形態では、前記ボルトB3の頭部が母屋4の内部に配置されており、ネジ先端部が連結部材3の空間部38に配置されるものであるが、ボルトB3の頭部を空間部38に配置し、該空間部38が母屋4に螺着されるように、母屋4の内部にバーリング加工やナットの取付等によって、雌ねじ部を設けたものでもよい。
なお、この場合に前記固定部材の固定端部は、空間部38に配置されたボルトB3の頭部である。
【0021】
母屋4は、角筒状の鋼管を適宜長さに切断して作製され、梁2の間に取付けられており、本形態では、前後に間隔をあけて3列配置されている。母屋4は、支柱1と同様に強度的に安定しておりコストの安い鋼管が好適に用いられるが、鋼管に限るものではなく、アルミニウム合金型材、ステンレス鋼管でもよい。
【0022】
屋根材5は、図9、10に示すように、前後方向に長い平面視略長方形状であって、前後3列配置された母屋上に架け渡されており、上方よりビスB4とシール材Sとによって母屋4上に固定されている。
【0023】
屋根材5は、左右に隣合う屋根材の側端部同士が重合されている。屋根材5の両側端部には、長手方向に延びる断面逆U字状の大突条51が形成されており、大突条51同士が上下に重合されている。本形態では、屋根材5の両端部の大突条51は、一方がやや高く、他方がやや低く形成されており、隣合う屋根材の大突条同士を重合させやすい。本形態では、屋根材5に水切り勾配を設けるために、梁2は後方へ下がる傾斜が設けられるように、梁取付部32の載置部35も後方へ下がる傾斜が設けられている。
【0024】
以上、本発明の簡易屋根構造物について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、自転車置場、カーポート、バス停留所、シェルターなどに用いられる簡易屋根構造物として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 支柱
2 梁
3 連結部材
31 支柱取付部
32 梁載置部
32a 前側梁載置部
32b 後側梁載置部
32c 中央部
33 支柱受け部
34 係止部
35 底部
35a 貫通部
36 側壁部
37 開口
38 空間部
39 連結部
4 母屋
41 下壁部
5 屋根材
51 大突条
B1、B2、B3 ボルト
B4 ビス
N1、N2、N3 ナット
P 簡易屋根構造物
S シール材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10