【文献】
径,フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』,[online],2013年 9月28日,[平成29年6月2日検索],インターネット<URL:https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E5%BE%84&oldid=49247015>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサ部が測定する前記卵の高さまたは径は、前記卵の長軸方向を水平にしたときの高さまたは前記卵の長軸方向に直交する方向の径である、請求項1に記載の形状推定装置。
前記センサ部が測定する前記卵の長軸方向を水平にしたときの高さまたは前記卵の長軸方向に直交する方向の径は、前記卵の胴部分の高さまたは径である、請求項2に記載の形状推定装置。
前記投光部が前記卵にあてたスポット光のうち、前記卵の搬送方向に対して略直交する方向への反射光が受けられる位置に前記受光部が設けられている、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の形状推定装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の実施の形態に係る卵の形状推定装置について説明する。
図1ないし
図4に示すように、形状推定装置1は、卵選別装置2に設けられており、卵Eの長軸を水平かつ、卵Eの搬送方向に対して直交させた状態で搬送する搬送部である整列搬送部3と、整列搬送部3が搬送する卵Eの搬送路の略垂直方向から、搬送路の中央に対して投光し、卵Eの胴部分にスポット光5をあてる投光部6と、卵Eの胴部分にあてたスポット光5の反射光を受ける受光部7と、受光部7が受けた反射光に基づいて、卵Eの胴径を算出する算出部8とを備えている。なお、卵Eの胴部分とは、卵Eの長軸に直交する径がほぼ最大となる位置を指す。
【0016】
図1に示すように、整列搬送部3は、卵Eの長軸を水平かつ、卵Eの搬送方向である整列搬送方向Xに対して直交させた状態で搬送する搬送部であり、卵Eを6列で整列搬送方向Xへ搬送する。
図3に示すように、整列搬送部3は、ローラ軸9に所定の間隔で取り付けられた複数のつづみローラ10を有し、整列搬送方向Xに隣り合う一対のつづみローラ10は、卵の長軸を整列搬送方向Xと直交する水平方向に沿わせて1つの卵Eを保持し、整列搬送方向Xに移動する搬送部材である。複数のつづみローラ10は、整列搬送方向Xへ移動することにより卵Eの搬送路を形成する。
【0017】
図3は、6列ある整列搬送部3のうちの1列のみの斜視図であり、
図3に示すように、隣り合うつづみローラ10に保持された卵Eは、形状推定装置1に設けられたセンサ部13の下を搬送される。また、つづみローラ10はローラ軸9に固定されており、ローラ軸9の両端は、整列搬送部3に設けられた2本のチェーン(図示せず)に、回転可能に取り付けられている。
【0018】
整列搬送部3には、つづみローラ10が整列搬送方向Xに対して直交する方向へ動くことを規制するためのローラ規制部12が設けられており、
図4に示すように、規制することで、つづみローラ10が搬送幅方向(整列搬送方向Xに直交する水平方向)へ動くことによる測定誤差が生じないようにしている。なお、ローラ規制部12は、整列搬送部3の全体にわたってつづみローラ10の動きを規制する必要はなく、卵Eを正確に測定するために必要な位置に設けられていればよい。このようにすることで、隣り合うつづみローラ10によって保持される卵Eを正確に測定することができる。
【0019】
図5に示すように、ローラ規制部12は、ローラ軸9に接することで生じる摩擦力によってローラ軸9およびローラ軸9に固定されているつづみローラ10を回転させている。つづみローラ10は、ローラ軸9を回転軸として回転することで、隣り合うつづみローラ10によって保持される卵Eも回転する。
図3および
図4に示すように、つづみローラ10には斜面部分11が存在するため、つづみローラ10が回転すると、卵Eの胴部分が卵Eの搬送路の中央を通るように、卵Eの位置が調整される。このようにすることで、投光部6が卵Eの搬送路の略垂直方向から搬送路の中央に対して投光しているため、常に卵Eの胴部分を測定することができる。
【0020】
本実施の形態では、ローラ規制部12が直接つづみローラ10に接触することで、つづみローラ10が整列搬送方向Xに対して直交する方向へ動くことを規制しているが、これに限られず、たとえば、ローラ軸9が整列搬送方向Xに対して直交する方向へ動くことを規制することで、1本のローラ軸9に取り付けられている複数のつづみローラ10の動きを同時に規制してもよい。また、ローラ規制部12がローラ軸9に接するときに生じる摩擦力を大きくするために、ローラ規制部12と、ローラ軸9とが接する部分に摩擦係数が大きい材質の部材を設けてもよい。
【0021】
なお、本実施の形態では、整列搬送部3は、つづみローラ10を用いて卵Eを搬送しているが、これに限られず、卵Eの長軸を水平かつ、整列搬送方向Xに対して直交させた状態で搬送する機能を備えていればよい。さらに、整列搬送部3は、卵Eの胴部分が卵の搬送路の中央を通るように卵Eの位置を調整する機能を備えた搬送部であればよい。また、本実施の形態では卵Eを6列に整列させて搬送しているが、何列で搬送してもよく、たとえば、1列のみで搬送してもよい。
【0022】
次に、投光部6と、受光部7とを備えるセンサ部13について、詳しく説明する。本実施の形態に係るセンサ部13は反射型の距離センサであり、
図3ないし
図6に示すように、整列搬送部3が搬送する卵Eの搬送路の略垂直方向から、卵Eの搬送路の中央に対して投光することで、卵Eの搬送路の中央を通る卵Eの胴部分に対してスポット光5をあて、センサ部13と、卵Eとの距離を測定している。このとき測定される距離の逆数が、卵Eの長軸方向を水平にしたときの高さまたは卵Eの長軸方向に直交する方向の径である。
【0023】
次に、投光部6について、詳しく説明する。
図3ないし
図5に示すように、投光部6は、卵Eの長軸方向4の略垂直方向かつ、整列搬送方向Xの略垂直方向から、卵Eの搬送路の中央に対して投光するための発光素子(図示せず)を備えており、本実施の形態では、発光素子として赤外線LEDを利用している。また、投光部6は、赤外線LEDが発した光を集光し、スポット光5として卵Eの胴部分にあてるためのレンズ(図示せず)を備えている。なお、投光部6の位置は、卵Eの長軸方向の略垂直方向かつ、整列搬送方向Xの略垂直方向に限られず、卵Eの搬送路の略垂直方向から卵Eの胴部分にスポット光5をあてることができる位置であればよい。
【0024】
投光部6は、赤外線LEDとレンズの組み合わせに限られず、卵Eの胴部分にスポット光5をあてることができればよい。たとえば、レーザ光源であってもよいし、その他の光源であってもよい。レーザ光源の場合は別途レンズを設けなくとも指向性の高いスポット光を卵Eにあてることができる。また、本実施の形態では、発光素子として赤外光を発する赤外線LEDを用いているが、これに限られず、たとえば、可視光や紫外光を発する発光素子であってもよい。なお、
図3等に表されているスポット光5は、説明のために大きく強調して描かれているが、実際は、より小さなスポット光5があてられている。
【0025】
図4に示す軌跡15は、投光部6が卵Eの胴部分に対してあてたスポット光5の軌跡を仮想的に表したものである。なお、つづみローラ10上にもスポット光5はあてられているが、
図4では、つづみローラ10上のスポット光5の軌跡は省略している。
【0026】
本実施の形態では、形状推定装置1が動作している間は、投光部6が備える赤外線LEDが一定の間隔でパルス発光しているが、これに限られず、たとえば、卵Eの頂点が投光部6の直下に到来する一定時間だけパルス発光するようにしてもよい。これは、隣り合うつづみローラ10に保持される卵Eは、隣り合うつづみローラ10の中間部分に位置するため、つづみローラ10の位置を整列搬送部3に設けたエンコーダ等で検出すれば、卵Eの頂点が投光部6の直下に到来するタイミングを知り得ることによる。このようにすることで、投光部6の発熱が減り、センサ部13の故障発生率を低減することができる。
【0027】
次に、受光部7について詳しく説明する。
図3、
図4および
図6に示すように、受光部7は、投光部6が卵Eの胴部分にあてたスポット光5の反射光を受け、スポット光5が反射した位置(高さ)を検出するための受光素子(図示せず)を備えており、本実施の形態では、受光素子としてPSDセンサを利用している。また、受光部7は、反射光を結像するためのレンズ(図示せず)を含んでいる。
【0028】
受光部7は、PSDセンサとレンズの組み合わせに限られず、卵Eの胴部分にあてたスポット光5の反射光を受光して位置(高さ)を推定することができればよく、たとえば、CCDイメージセンサであってもよいし、複数のフォトダイオードであってもよい。
【0029】
また、受光部7は、投光部6が卵Eの胴部分にあてたスポット光5の反射光が受けられる位置に設けられている。また、本実施の形態では、センサ部13の測定精度を向上させるために卵Eの整列搬送方向Xに対して略直交する方向への反射光が受けられる位置に設けられている。このようにすることで、測定対象の卵Eの前後にある他の卵Eによってスポット光5の反射光が遮られることもなくなる。
【0030】
本実施の形態に係る受光部7は、
図6に示すように、スポット光5の反射角度が異なることを利用して、スポット光5が反射する高さに応じた電圧を出力している。
図6は、Lサイズの卵E1の胴部分にスポット光5をあてたときの反射角度αと、Sサイズの卵E2の胴部分にスポット光5をあてたときの反射角度βとを表しており、卵Eのサイズ(胴径)が大きいほど、反射角度は大きくなる。なお、本実施の形態では、反射角度が大きいほど、センサ部13が距離を識別できる範囲においては、センサ部13から出力される電圧も大きくなる。
【0031】
本実施の形態では、受光部7は、形状推定装置1が動作している間は、常に受光した反射光の位置に応じた電圧を出力しているが、これに限られず、たとえば、卵Eの頂点が投光部6の直下に来たタイミングで、反射光の高さに応じた電圧を出力するようにしてもよい。なお、受光部7の出力は、センサ部13からのセンサ出力として算出部8に入力される。センサ部13からのセンサ出力は、パラレル出力であってもよいし、通信出力や電圧出力、電流出力、パルス幅出力、パルス数出力等であってもよい。
【0032】
さらに、投光部6および受光部7を一本の搬送路に対して複数設けてもよく、たとえば、
図7に示すように、一本の搬送路に対してセンサ部13Aおよび、センサ部13Aが測定する胴部分とは異なる位置の胴部分が測定できるセンサ部13Bを設けてもよい。このようにすることで、卵Eの胴部分について2箇所の胴径を得ることができ、たとえば2箇所の胴径のうち、より大きな胴径をその卵Eの胴径であると決定するなどすれば、より高精度に卵Eの胴径を測定することができる。また、センサ部13の数を3個以上にすることで、精度をさらに高くすることができる。なお、複数のセンサ部13の間隔は、投光部6からの光が干渉しない程度に離れていればよく、
図7に示すセンサ部13A,Bの間隔に限られない。
【0033】
ここまでのセンサ部13の説明は、卵の長軸を水平にしたときの高さまたは卵の長軸方向に直交する方向の径を測定するための距離センサについて説明を行ったが、これに限られず、たとえば、センサ部13をラインセンサやカメラとして卵Eの長軸方向の径を測定するようにしてもよい。また、カップ状の搬送部材で卵Eの長軸方向を鉛直としたときの高さまたは長軸方向の径が測定できるように保持する搬送部によって卵Eを搬送し、センサ部13に卵Eの長軸方向の高さまたは径を測定するセンサを用いてもよい。
【0034】
次に、算出部8について詳しく説明する。
図2に示すように、算出部8は、形状推定装置1の内部に設けられており、センサ部13からのセンサ出力に基づいて卵Eの胴径を算出する装置である。算出部8が算出した卵Eの胴径は形状推定部17へ出力される。
図9は、縦軸を電圧、横軸を時間としたグラフであり、
図4および
図5に示す卵E1〜E4がセンサ部13の直下を通過した時のセンサ部13からの出力を示している。
【0035】
なお、本実施の形態に係るセンサ部13の出力は、センサ部13と、スポット光5の反射高さとの距離に応じて電圧を出力するように構成されている。つまり、センサ部13が距離を識別できる範囲においては、センサ部13と、スポット光5の反射高さとの距離が短いほど出力される電圧が高く、センサ部13と、スポット光5の反射高さとの距離が長いほど出力される電圧が低くなっている。
【0036】
算出部8は、センサ部13からの出力のピーク電圧を検出し、検出したピーク電圧を卵Eの胴径に換算して、出力する。このとき検出されるピーク電圧は、センサ部13と、卵Eとの距離に応じて出力されているので、ピーク電圧と、卵Eの胴径とは、通常は正比例の関係ではなく、補正が必要となってくる。本実施の形態では、センサ部13からの出力をリニアライズするリニアライズ補正と、高さ補正とが、算出部8によって行われることによって卵Eの胴径が算出される。なお、センサ部13に用いられる距離センサの種類や性能によっては、測定対象物との距離が長いほど出力される電圧が高くなるものや、リニアライズ補正が不要なものがあり、算出部8は、それらの特性に応じて補正を行えばよい。
【0037】
高さ補正は、
図6に示すように、卵Eのサイズによって、一点鎖線で示されたローラ軸9の中心に対する高さが異なることを加味する補正である。本実施の形態では、ローラ軸9の中心を基準として、センサ部13からの出力をリニアライズ補正し、卵E1を測定したときに得られたスポット光5の反射高さとローラ軸9との距離が46mmだった場合は、2mmマイナス補正して44mmが卵E1の胴径として算出部8から出力される。また、卵E2を測定したときに得られたスポット光5の反射高さとローラ軸9との距離が34mmだった場合は、6mmプラス補正して40mmが卵E2の胴径として算出部8から出力される。このように、スポット光5の反射高さとローラ軸9との距離に応じて所定の値を加えたり、減じたりする補正を行っている。なお、高さ補正は、これに限られず、別途設けたセンサで卵Eの最下点の高さを測定し、その測定値を利用して、センサ部13からの出力を補正するなどしてもよい。
【0038】
本実施の形態では、センサ部13は卵Eの胴部分の高さまたは径を測定しているが、これに限られず、さらに、別のセンサ部13を一本の搬送路に対して設けてもよい。たとえば、
図8に示すように、一点鎖線で示した搬送路の中央から卵Eの一の長軸方向4へ所定距離を置いた位置で、かつ、第1のセンサ部であるセンサ部13aとは異なる位置の卵Eの高さを測定する第2のセンサ部であるセンサ部13bと、一点鎖線で示した搬送路の中央から卵Eの他の長軸方向4へ所定距離を置いた位置で、かつ、第3のセンサ部であるセンサ部13cとは異なる位置の卵Eの高さを測定する第4のセンサ部であるセンサ部13dとを一本の搬送路に対して設けても良いし、さらに別のセンサ部13を設けてもよい。センサ部13の数を増やせば、それだけ卵Eの多くの位置について測定を行うことができるため、形状を推定する精度を高めることができる。
【0039】
図8に示す軌跡15は、センサ部13a〜dが備えるそれぞれの投光部6が卵Eに対して投光したスポット光5の軌跡を仮想的に表したものである。本実施の形態では、センサ部13aが備える投光部6が投光したスポット光5の軌跡15aは、一点鎖線で示した卵Eの搬送路の中央を通る卵Eの胴部分から卵Eの長軸方向へ20mm離れた位置にある。また、センサ部13dが備える投光部6が投光したスポット光5の軌跡15dは、一点鎖線で示した卵Eの搬送路の中央を通る卵Eの胴部分から、軌跡15aとは反対側の卵Eの長軸方向へ20mm離れた位置にあり、卵Eの胴部分および搬送路の中央を挟んで対称となる位置にある。なお、つづみローラ10上にもスポット光5は投光されているが、
図8では、つづみローラ10上のスポット光5の軌跡は省略している。
【0040】
また、センサ部13bが備える投光部6が投光したスポット光5の軌跡15bは、一点鎖線で示した卵Eの搬送路の中央を通る卵Eの胴部分から卵Eの長軸方向へ5mm離れた位置にある。さらに、センサ部13cが備える投光部6が投光したスポット光5の軌跡15cは、一点鎖線で示した卵Eの搬送路の中央を通る卵Eの胴部分から、軌跡15dとは反対側の卵Eの長軸方向へ5mm離れた位置にある。なお、つづみローラ10上にもスポット光5は投光されているが、
図6では、つづみローラ10上のスポット光5の軌跡は省略している。
【0041】
このように、一本の搬送路に対してセンサ部13a〜dを設けることで、卵Eのそれぞれの位置の高さを測定することができる。また、センサ部13の数をさらに増やすことで、精度ない程度に離れていればよく、
図8に示すセンサ部13a〜dの間隔に限られないし、一点鎖線で示した卵Eの搬送路の中央からセンサ部13a〜dのそれぞれに対する距離も
図8に示す距離に限られない。
【0042】
図9に示すように、本実施の形態に係る算出部8は、ピーク電圧の決定において、卵Eの胴部分で最大電圧を検出した後、最大電圧から5%電圧が低下した時点で、当該最大電圧をピーク電圧に決定している。なお、算出部8によるピーク電圧の決定はこれに限られず、たとえば、つづみローラ10の位置を整列搬送部3に設けたエンコーダ等で検出し、隣り合うつづみローラ10の中間部分がセンサ部13の直下に到来するタイミングでセンサ部13から出力される電圧をピーク電圧に決定してもよい。これは、隣り合うつづみローラ10に保持される卵Eは、隣り合うつづみローラ10の中間部分に位置するため、つづみローラ10の位置を整列搬送部3に設けたエンコーダ等で検出すれば、卵Eの頂点が投光部6の直下に到来するタイミングを知り得ることによる。
【0043】
図10は、
図9と同様のグラフであるが、
図9に示した胴径出力とは別の方法による胴径出力を示している。
図10の場合は、つづみローラ10の位置を検出したタイミングでエンコーダから出力されるエンコーダ出力と、算出部8が卵Eの胴径に応じたタイミングで出力する胴径出力とで卵Eの胴径を決定している。なお、
図10に示すように、卵E1の胴径出力は、卵E2の胴径が測定されている時に出力され、卵E2の胴径出力は、卵E3の胴径が測定されている時に出力されている。
【0044】
図11は、
図9および
図10とは別の例による胴径出力を示している。
図11の場合、センサ部13は、投光部6にレーザー光源等を用いてスポット光5を小さく絞り、スポット光5が反射された位置に応じた電圧を出力するのではなく、つづみローラ10よりもセンサ部13に近い位置でスポット光5が反射された場合はONとなり、つづみローラ10でスポット光5が反射された場合はOFFとなるようにしきい値を設けた、ON/OFF信号を出力している。これにより、スポット光5が卵Eに投光されている時はONとなるため、算出部8では、ON信号が出力されている時間から卵Eの胴径を算出している。なお、このときの胴径は、
図4に示す軌跡15の両端を結ぶ径となるため、センサ部13からの出力をリニアライズする補正や、
図6に示すように、卵Eのサイズによって、一点鎖線で示されたローラ軸9の中心に対する高さが異なることを加味した補正は必要ない。
【0045】
次に、計量部19について説明する。計量部19は、
図1および
図2に示すように、卵Eを計量するための計量装置である。計量部19は、従来よく知られた計量装置を利用することができる。たとえば、特開2008−68993号公報に記載されている装置を利用してもよい。本実施の形態に係る計量部19は、整列搬送部3によって6列で搬送されてきた卵Eを個別に計量し、卵の重量を形状推定部17へ出力するように構成されている。なお、計量部19の位置は
図1および
図2の位置に限られず、たとえば、センサ部13よりも整列搬送方向Xの上流側に設けてもよい。
【0046】
次に、形状推定部17について詳細に説明する。
図2に示すように、形状推定部17は、計量部19が計量した卵の重量と、センサ部13が測定した卵Eの高さまたは径とに基づいて卵E形状を推定する装置である。
図12はある鶏舎で産卵された複数の卵Eの重量(縦軸)と、その重量における胴部分の径の平均値(横軸)との関係をグラフにしたものである。
図12に示すように、卵Eの重量と胴部分の径との間には相関関係があるため、このグラフから大きく外れた範囲にある卵Eは長細い形状の卵Eや球に近い形状の卵Eとなる。
【0047】
本実施の形態に係る形状推定部17は、たとえば、重量が52gであるMSサイズの卵Eであれば胴部分の径の平均値は41mmとなるため、胴部分の径が平均値から4mm小さい37mm以下の卵Eは長細い形状であると推定し、胴部分の径が平均値から4mm大きい45mm以上の卵Eは球に近い形状であると推定している。なお、
図12のグラフはある推定の条件で測定された卵の重量と、胴部分の径の関係を表したグラフであるため、重量が52gのである卵の胴部分の径は41mmに限られず、また、形状を推定する基準となる値も平均値から4mm以上離れているものに限られず、任意の値を設定することができる。
【0048】
さらに、一本の搬送路に対してセンサ部13a〜dを設けている場合は、センサ部13a〜dのそれぞれから出力される電圧のうち、最大電圧を検出し、検出した最大電圧をそれぞれのセンサ部13の位置の卵Eの高さとして比較する。比較した結果することで、センサ部13a〜dからの最大電圧から卵Eの両端部の曲率を割り出し、曲率が大きい端部を鈍端とし、曲率が小さい端部を鋭端とすることもできる。なお、算出部8による方向の算出方法はこれに限られず、複数のセンサ部13からの出力に基づいて、卵Eの形状を推定することができる算出方法であればよいし、さらに複数のセンサ部13を増やして、それらからの出力を用いることで形状を推定する精度を高めることが可能となる。
【0049】
また、卵Eの重量と卵Eの胴部分の径との間に相関関係があるように、卵Eの重量と卵Eの長軸の径との間にも相関関係がある。したがって、センサ部13が卵Eの長軸方向の高さまたは径を測定するセンサである場合は、形状推定部17は、特定の重量に対する長軸の径の平均値と、センサ部13によって測定された長軸の径を比較して、卵Eの長軸の径が平均値よりも大きい場合は長細い形状であると推定し、卵Eの長軸の径が平均値よりも小さい場合は球に近い形状であると推定する。
【0050】
次に、制御部16について説明する。
図2に示すように、制御部16は、卵選別装置2の動作を制御する装置であり、形状推定部17からの出力に基づいて、卵選別装置2の動作を決定している。制御部16は、形状推定部17が推定した卵Eの形状に基づいて、後述する分配搬送部21等を制御している。なお、本実施の形態では、形状推定部17および制御部16は、独立して卵選別装置2に設けられているが、これに限られず、形状推定部17の機能を制御部16に持たせてもよいし、形状推定部17に制御部16の機能を持たせてもよい。さらに、形状推定装置1の内部に設けられている算出部8に同様の機能を持たせてもよいし、算出部8および形状推定部17、制御部16のすべての機能を含む1つの装置を別途備えるようにしてもよい。
【0051】
次に、本実施の形態に係る形状推定装置1が設けられた卵選別装置2について、詳細に説明する。
図1および
図2に示すように、卵選別装置2は、形状推定装置1のほかに、移替部20と、分配搬送部21と、所定範囲内集合部22と、所定範囲外集合部23と、強制排除部24とを備えている。
【0052】
次に、移替部20について説明する。移替部20は、整列搬送部3によって搬送されてきた卵Eを分配搬送部21へ卵Eを移し替えるための移替装置である。移替部20は、従来よく知られた移替装置を利用することができる。たとえば、特開2001−190175号公報に記載されている装置を利用してもよい。本実施の形態に係る移替部20は、整列搬送部3によって、長軸が水平にされた状態で搬送されている卵Eを長軸が鉛直になるように姿勢を変更しながら分配搬送部21のバケット25へ卵Eを移し替える。
【0053】
次に、分配搬送部21および所定範囲内集合部22について説明する。分配搬送部21は、移替部20によって整列搬送部3から移し替えられた卵Eを分配搬送方向Yへ搬送するための搬送部であり、所定範囲内集合部22は、分配搬送部21によって搬送される卵Eを等階級別かつ、形状が所定範囲内にある卵Eを集合させるための集合場所である。分配搬送部21および所定範囲内集合部22には、従来よく知られた分配搬送装置および集合装置を利用することができる。たとえば、特開2002−166912号公報に記載されている装置を利用してもよい。
【0054】
本実施の形態に係る分配搬送部21には、
図2に示すバケット25が設けられており、バケット25は、卵Eを保持した状態で分配搬送方向Yへ搬送するように構成されている。所定範囲内集合部22には、放出部26が設けられており、放出部26は、それぞれの所定範囲内集合部22に割り当てられているサイズかつ、所定範囲内の形状の卵Eを下方に設けられた容器搬送部27上の容器へ放出するように構成されている。容器搬送部27上の容器は、透明な合成樹脂製パックや、30個の卵Eを収容できるトレイ等であり、容器搬送方向Zの上流に設けられた容器供給部28から供給される。また、放出部26は、特定のサイズの卵Eのみを放出するだけでなく、様々なサイズかつ、所定範囲内の形状の卵Eを組み合わせて一定の重量(いわゆる定重量)となるように放出することもできる。
【0055】
次に、所定範囲外集合部23について説明する。所定範囲外集合部23は、所定範囲外の形状の卵Eを集合させるための集合部である。所定範囲外集合部23に設けられている放出部26は、農林水産省の「鶏卵の取引規格」に定められた6段階のサイズに該当するが、形状が設定された範囲より長細い形状の卵Eや球に近い形状の卵Eを下方に設けられた容器搬送部27上の容器へ放出するように構成されている。なお、所定範囲外集合部23には、農林水産省の「鶏卵の取引規格」に定められた6段階のサイズに該当しない卵E等を下方に設けられた容器搬送部27上の容器へ放出するように構成してもよい。
【0056】
次に、強制排除部24について説明する。強制排除部24は、所定範囲内集合部22に設けられた放出部26と、所定範囲外集合部23に設けられた放出部26のいずれからも放出されずに分配搬送部21の終端に到達した卵Eを分配搬送部21のバケット25から強制的に排除するための排除部である。なお、所定範囲外集合部23の代わりに形状が所定範囲外の卵Eを強制排除部24で排除するようにしてもよい。
【0057】
次に、本実施の形態に係る形状推定装置1を備えた卵選別装置2の動作について説明する。
【0058】
鶏舎にて産卵された卵Eは、整列搬送部3の上流で、洗浄工程等を経て、整列搬送部3によって、卵Eの長軸を水平かつ、整列搬送方向Xに対して直交させた状態で整列搬送方向Xへ6列で搬送される。形状推定装置1に到達した卵Eは、
図3ないし
図6に示すように、ローラ規制部12とローラ軸9とが接することで回転するつづみローラ10によって、卵Eの胴部分が搬送路の中央を通るように調整される。
【0059】
センサ部13に設けられた投光部6から卵Eの搬送路の中央に対して投光することで、卵Eの胴部分に対してスポット光5があてられ、卵Eの胴部分で反射したスポット光5は反射光としてセンサ部13に設けられた受光部7によって受光される。受光部7が反射光を受光すると、本実施の形態に係るセンサ部13では、反射光に応じた出力がされる。このときの出力がセンサ出力であり、スポット光5が反射する高さに応じたレベルで出力される。
【0060】
形状推定装置1に設けられている算出部8は、センサ出力に所定の補正を加えて卵Eの胴径を算出し、算出した卵Eの胴径を出力する。このときの出力が胴径出力であり、胴径出力は形状推定部17に入力される。その後、卵Eは計量部19によって計量され、卵Eの重量が形状推定部17に入力される。形状推定部17は、入力された卵Eの重量と、胴径から卵Eの形状を推定し、形状推定部17によって形状が推定された卵Eは、
図1および
図2に示すように、移替部20によって、水平にされた状態で搬送されていた卵Eの長軸を鉛直になるように姿勢を変更しながら、分配搬送部21のバケット25に移し替えられ、分配搬送方向Yへ搬送される。
【0061】
分配搬送部21のバケット25に移し替えられた卵Eは、分配搬送方向Yへ搬送され、それぞれのサイズごとに農林水産省の「鶏卵の取引規格」に定められた6段階のサイズかつ、形状推定部17によって推定された形状が所定範囲内にあるものが所定範囲内集合部22上で、放出部26によって容器搬送部27上の容器へ放出される。
【0062】
農林水産省の「鶏卵の取引規格」に定められた6段階のサイズに該当しない卵E、農林水産省の「鶏卵の取引規格」に定められた6段階のサイズに該当するものの、形状が所定範囲外である卵Eは所定範囲外集合部23に設けられた放出部26によって放出される。
【0063】
所定範囲外集合部23によって集合されるべき卵Eであるにもかかわらず、容器搬送部27上に容器が存在しないなどの理由で放出されなかった卵Eは、分配搬送部21の終端に設けられた強制排除部24によって強制的に分配搬送部21のバケット25から排除される。
【0064】
本実施の形態に係る形状推定装置1によれば、従来の卵の形状測定装置のように卵全体の形状を高解像度のカメラで撮像し、撮像した画像から卵のみを抜き出して形状を推定するための複雑な処理を必要とせず、簡単な処理で卵Eの形状を推定することができる。また、ローラ規制部12によって、つづみローラ10が整列搬送方向Xに対して直交する方向へ動くこと規制しつつ、つづみローラ10を回転させることにより、卵の胴部分が搬送路の中央を通るように調整されるので、センサ部13は常に卵Eの胴部分を測定することができる。また、長軸方向の高さまたは径を測定する場合は、卵Eの長軸の高さまたは径を測定することができる。さらに、卵Eの重量と、胴部分の径または長軸の径との組み合わせに限らず、卵Eの重量と、胴部分の径および長軸の径との組み合わせで卵Eの形状を特定してもよいし、胴部分または長軸の径に限られず、その他の径を組み合わせてもよい。
【0065】
本実施の形態に係る形状推定装置1を備える卵選別装置2であれば、卵の形状を推定することができるので、卵の形状を利用して長細い形状の卵や球に近い形状の卵を容易に選別することができ、そのような形状の卵Eが透明な合成樹脂製のパックに混在することを防ぐことができる。
【0066】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る形状推定装置について説明する。なお、上記第1の実施形態と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図13ないし
図15に示すように、本実施の形態に係る形状推定装置は、第1の実施の形態に係る整列搬送部3のつづみローラ10をキャリア30に代え、卵Eの長軸を水平かつ、卵Eの搬送方向に対して直交させた状態で搬送する搬送部としたものである。整列搬送方向Xに隣り合う一対のキャリア30は、卵の長軸を整列搬送方向Xと直交する水平方向に沿わせて1つの卵Eを保持し、整列搬送方向Xに移動する搬送部材である。
【0067】
本実施の形態に係るキャリア30を備えた整列搬送部3は、卵Eを1列で整列搬送方向Xへ搬送する。整列搬送部3は、整列搬送方向Xへ連なるように複数のキャリア30を有し、整列搬送方向Xに隣り合う一対のキャリア30は、卵の長軸を整列搬送方向Xと直交する水平方向に沿わせて1つの卵Eを保持し、整列搬送方向Xに移動することにより卵Eの搬送路を形成する。
【0068】
図13は、本実施の形態に係る整列搬送部3の斜視図であり、隣り合うキャリア30に保持された卵Eは、センサ部13の下を搬送される。キャリア30は、整列搬送部3に設けられた1本のチェーン(図示せず)の上に取り付けられており、キャリア30には、キャリア30が整列搬送方向Xに対して直交する方向へ動くことを規制するためのキャリア規制部32が設けられている。
【0069】
図14に示すように、キャリア規制部32は、キャリア30を搬送幅方向の両側から挟むようにして、キャリア30の動きを規制しているが、これに限られず、たとえば、キャリア30の内側にキャリア規制部32を設けてキャリアの動きを規制してもよい。
【0070】
また、
図13ないし
図15に示すように、キャリア規制部32には、隆起部分33が設けられており、卵Eが隆起部分33に乗り上げることで生じる摩擦力によって卵Eが回転する。キャリア規制部32の隆起部分33が卵Eに接するときに生じる摩擦力を大きくするために、キャリア規制部32の隆起部分33に摩擦係数が大きい材質の部材を設けてもよい。なお、このときの回転方向は、第1の実施の形態のつづみローラ10上の卵Eの回転とは逆方向になっている。
【0071】
キャリア30に設けられている突起部31は、隆起部分33に乗り上げている卵Eを整列搬送方向Xへ押すように構成されている。突起部31に押されることで卵Eが隆起部分33で回転し、卵の搬送路の中央を通るように卵Eの位置が調整される。
【0072】
なお、本実施の形態では、整列搬送部3は、キャリア30を用いて卵Eを搬送しているが、これに限られず、卵Eの長軸を水平かつ、整列搬送方向Xに対して直交させた状態で搬送する機能を有している搬送部であればよい。また、本実施の形態では卵Eを1列で搬送しているが、何列で搬送してもよく、たとえば、6列に整列させて搬送してもよい。
【0073】
本実施形態に係る算出部は、センサ部13からの出力のピーク電圧を検出し、検出したピーク電圧を卵Eの胴径に換算して、出力する。このとき検出されるピーク電圧は、センサ部13と、卵Eとの距離に応じて出力されているので、ピーク電圧と、卵Eの胴径とは正比例の関係ではなく、補正が必要となってくる。本実施の形態では、センサ部13からの出力をリニアライズする補正と、
図15に示すように、卵Eのサイズによって、高さが異なることを加味した補正とが、算出部によって行われる。
【0074】
本実施の形態に係るキャリア30で卵Eを搬送すると、第1の実施の形態に係るつづみローラ10で搬送する場合に比べて、卵Eのサイズによる高さの差は小さいが、キャリア30が卵Eを保持する部分を二点鎖線で表した形状にすれば、卵E5,E6のように、さらに卵Eのサイズによる高さの差を小さくすることができる。また、第1の実施の形態と同様に、ON/OFF信号を出力する場合は、高さが異なることを加味した補正は必要ない。なお、第1の実施の形態と同様に、センサ部13が卵Eの長軸方向の高さまたは径を測定するセンサを利用することができる。
【0075】
本実施の形態に係る形状推定装置を備える卵選別装置は、従来よく知られた卵選別装置の機構を利用することができる。たとえば、特開2012−30182号公報に記載されている鶏卵選別装置の放出部や、特開2012−93150号公報に記載されている計量部を利用することで、卵Eを隣り合うキャリア30で保持したまま計量する事や、キャリア30から直接、所定範囲内集合部22等へ卵Eを放出することができる。したがって、本実施の形態に係る形状推定装置を備える卵選別装置は、卵Eを他の搬送部へ移し替えるための移替装置などが不要になり、コンパクトかつ低コストで、制御が簡単な卵選別装置となる。
【0076】
上記説明では、対象物として卵を説明したが、卵は、鶏、アヒル、うずら等の種々の卵を含む。さらに、卵以外の対象物であっても重量と径を測定することで形状を推定することが可能である。
【0077】
今回開示された実施の形態および効果は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。