特許第6188073号(P6188073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188073
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】センサ・ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   A61B5/02
【請求項の数】23
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-530716(P2013-530716)
(86)(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公表番号】特表2013-544543(P2013-544543A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2011066864
(87)【国際公開番号】WO2012041905
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年2月10日
【審判番号】不服2015-21526(P2015-21526/J1)
【審判請求日】2015年12月3日
(31)【優先権主張番号】1051005-5
(32)【優先日】2010年9月29日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】61/387,695
(32)【優先日】2010年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315010190
【氏名又は名称】セント ジュード メディカル コーディネイション センター ベーファウベーアー
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100119208
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 勇二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】ヒルメルソン,マッツ
【合議体】
【審判長】 福島 浩司
【審判官】 信田 昌男
【審判官】 松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−538854(JP,A)
【文献】 特表2006−519062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位領域と、遠位センサ領域と、先端領域を有する、生体内における少なくとも1つの変数を血管内で測定するためのセンサ・ガイドワイヤであって、
前記遠位センサ領域に配置されたセンサ素子と、
長手軸を有し、主に前記先端領域に沿って延びる先端領域心線と、
前記先端領域に配置され、少なくとも部分的に前記先端領域心線を囲むコイルと、
半球状の遠位端を有する先端部と、を含むセンサ・ガイドワイヤにおいて、
前記先端領域心線の大部分は、前記長手軸に垂直な平面において円形断面を有し、
前記先端領域心線は、連続して一体に構成され遠位方向に向かって順に配置された近位部と、中間部と、位部を含み、
前記先端領域心線の前記遠位部は、前記先端領域心線の前記中間部の遠位端よりも大きな断面直径を有し、
前記先端領域心線の前記近位部は、前記先端領域心線の前記中間部の近位端よりも大きな断面直径を有し、
前記中間部の前記遠位端の直径は、前記中間部の前記近位端の直径よりも小さく、
前記中間部の直径が前記中間部の前記近位端から前記中間部の遠位端に向かって連続的に減少し、
前記先端領域心線の直径の最小部分は前記中間部の一点に位置し、
前記コイルの遠位端は、前記先端領域心線の前記遠位部の外周面に直接接触して固定され、前記コイルを前記先端領域心線に固定する遠位先端接合部を構成し、
前記先端領域心線の前記遠位部は、前記センサ・ガイドワイヤの長手軸に垂直であり前記先端部に直接接する平坦な端面を有することを特徴とするセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項2】
前記先端領域心線は、前記先端領域の全体において、前記長手軸に垂直な平面において円形断面を有する請求項1記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項3】
前記先端領域心線の前記大部分は、前記先端領域心線の全長の少なくとも75%である請求項1に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項4】
前記先端領域は、前記先端領域心線と、前記コイルと、前記先端部のみからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項5】
前記先端領域の長さは、25mm〜35mmである請求項1〜4のいずれか1項に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項6】
前記遠位部は、前記長手軸に垂直な平面において円形断面を有する請求項1記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項7】
前記遠位部の長さは、0〜5mmである請求項1又は6に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項8】
前記コイルの内径は、前記遠位部の外径に適合するよう構成された請求項6又は7に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項9】
前記遠位部の前記円形断面の前記直径は、0.10〜0.25mmである請求項8記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項10】
前記遠位部は、前記長手軸に沿って前記先端部の前記遠位端に向かって先細となっている請求項1、又は請求項7〜9のいずれか1項に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項11】
前記遠位部は、前記長手軸に沿って前記中間部に向かって先細となっている請求項1、又は請求項7〜10のいずれか1項に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項12】
前記近位部は、前記長手軸に垂直な平面において円形断面を有する請求項1、又は請求項7〜11のいずれか1項に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項13】
前記近位部の前記円形断面の前記外径は、0.10〜0.25mmである請求項12記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項14】
前記近位部の前記外径は、遠位側より近位側が大きい請求項13記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項15】
前記近位部は、前記長手軸に沿って遠位方向に先細となっている請求項1、又は請求項7〜14のいずれか1項に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項16】
前記センサ素子は、中空ジャケット内に配置される請求項1〜15のいずれか1項に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項17】
前記中空ジャケットは、前記長手軸に垂直な平面において円形断面を有する請求項16記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項18】
前記中空ジャケットの内径は、前記近位部の前記外径に適合するよう構成された請求項16〜17のいずれか1項に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項19】
前記中間部は、前記長手軸に垂直な平面において円形断面を有する請求項1、又は請求項7〜18のいずれか1項に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項20】
前記中間部の前記円形断面の前記外径は、0.035〜0.187mmである請求項19記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項21】
前記遠位先端接合部は、前記コイルの前記遠位端が前記先端領域心線の前記遠位の前記外周面に直接溶接される請求項1〜20のいずれか1項に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項22】
前記先端領域心線は、ニチノール製又はスチール製である請求項1〜21のいずれか1項に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【請求項23】
前記センサ・ガイドワイヤは、少なくとも部分的に前記センサ・ガイドワイヤに沿って延びて前記センサ素子に接続された、少なくとも1本のマイクロケーブルを更に含むことを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載のセンサ・ガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ・ガイドワイヤ、特に、独立請求項の前提部分によるセンサ・ガイドワイヤ先端における特別の設計に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療処置では、体腔内の様々な生理学的状態を監視する必要がある。これら生理学的状態とは、通常は圧力、温度、流体流速など本質的に身体的なものであり、医師又は医療技術者に患者の容体の状況に関する重要な情報を提供する。
【0003】
容体を監視するために広く用いられる装置の1つに、血圧センサがある。血圧センサは患者の血圧の高さを検知し、それを示す電気信号に変換して患者の体外へと送信する。
【0004】
ほとんどの用途において、センサに通電する必要がある。このため、信号及びエネルギー伝達の手段が必要であり、最も一般的には、マイクロケーブルとも称される極細電気ケーブルが、ガイドワイヤ内部に設けられる。このガイドワイヤはそれ自体が管状であり、多くは外径が0.35mmオーダーであり、多くはスチール製である。
【0005】
管状ガイドワイヤの曲げ強度を高めるために、管の内部に心線が配置されている。また、心線は、ガイドワイヤの「押し込み性」や「トルク伝達性」の改善にも貢献する。前述の電気ケーブルは、例えば、管腔内壁と心線の間の空間に配置される。
【0006】
ガイドワイヤの遠位端にセンサが搭載されたセンサ及びガイドワイヤ・アセンブリが知られている。本願の譲受人へ譲渡された米国再発行特許第RE35,648号には、かかるセンサ及びガイドワイヤ・アセンブリの一例が開示されており、センサ・ガイドは、センサ素子と、電子ユニットと、センサ素子を電子ユニットに接続する信号伝送ケーブルと、ケーブルとセンサ素子が内部に配置された可撓性管と、中実の金属ワイヤと、中実ワイヤの遠位端に取り付けられたコイルを備えている。センサ素子は感圧装置であり、通常、ホイートストン・ブリッジ型配置で接続されたピエゾ抵抗素子をその上に搭載した膜である。
【0007】
例えば、これも本願の譲受人へ譲渡された米国特許第6,167,763号に開示されるように、センサ素子を保護し、感圧装置が内部を貫通して周囲媒質に接触する開口部を備えた短いチューブ(通常、スリーブ又はジャケットと称される)内に、センサ素子を配置することができる。米国特許第6,167,763号は、第1のコイルをジャケットの遠位端に取り付け、同様の構成の第2のコイルをジャケットの近位端に取り付けてもよいことを更に示している。上記にも述べたように、当分野で通常は心線と称される中実の金属ワイヤは、ジャケット内部を通じて延びており、センサ素子の実装に適した拡径部を備えてもよい。
【0008】
本願の譲受人へ譲渡された国際公開第WO2009/054800Al号公報には、生体内の生理的変数を血管内で測定するためのセンサ・ガイドワイヤの別の例が開示されている。センサ・ガイドワイヤは、近位シャフト領域、可撓性領域及び遠位センサ領域を有する。一実施形態においては、センサ・ガイドワイヤは、先端心線を含む先端ワイヤを備えている。
【0009】
蛇行した血管内を通行する、例えば、複数の冠動脈内を通行する際に必要な様々な屈曲や回旋を行うためには、センサ・ガイドワイヤの先端が柔軟であると有利である。例えば、上述の米国再発行特許第RE35,648号に開示されるような、従来技術によるセンサ・ガイドワイヤでは、心線を研磨して寸法を小さくすることにより、センサ・ガイドワイヤの遠位先端部に更に可撓性を与えている。多くの場合、これも米国再発行特許第RE35,648号に開示されているが、先端を更に可撓にするため、心線を平坦化している。平坦化した心線の先端は、主に2方向において可撓性を有する。
【0010】
これは、例えば、センサ・ガイドワイヤの先端において平坦化された心線を備えるセンサ・ガイドワイヤを開示する米国特許出願公開第2007/0255145号にも説明されている。
【0011】
十分な可撓性を有することに加え、蛇行した血管内を通してセンサ・ガイドワイヤを操作する際にセンサ・ガイドワイヤの先端が応答することも重要である、即ち、センサ・ガイドワイヤの先端は十分な「操作応答性」も有さなければならない。「操作応答性」とは、センサ・ガイドワイヤの先端が非直線経路にある場合又は回転した場合の、センサ・ガイドワイヤの不規則挙動の尺度である。センサ・ガイドワイヤの先端の「操作応答性」は、遠位先端部の部品の一般的特性である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、センサ・ガイドワイヤ先端の可撓性、引張強度及び操作応答性に関する改善された特性が有利となるであろう、蛇行した血管内にセンサ・ガイドワイヤを適用した場合のいくつかの状況を発見した。
【0013】
したがって、本発明の目的は、十分な引張強度を有し、全ての方向において先端が可撓性を有し、血管内の様々な屈曲部や回旋部を通した場合の操作可能性も向上した、改善された先端を含む改良型センサ・ガイドワイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述の目的は、独立請求項に係る本発明によって達成される。
【0015】
好適な実施形態は、従属請求項に記載される。
【0016】
つまり、本発明によれば、より安価に製造され、可撓性が向上すると同時に十分な引張強度と操作応答性を有するセンサ・ガイドワイヤを提供することができる。
【0017】
これらの目的は、先端領域の大部分において円形断面を有する心線を備えたセンサ・ガイドワイヤにより達成される。
【0018】
本発明に係る、生体内における少なくとも1つの変数を血管内で測定するためのセンサ・ガイドワイヤは、近位領域と、遠位センサ領域と、先端領域を有する。センサ・ガイドワイヤは、センサ領域に配置されたセンサ素子と、長手軸を有し主に先端領域に沿って延びる先端領域心線と、先端領域に配置されたコイルを含む。コイルは少なくとも部分的に先端領域心線を囲み、遠位先端接合部は、コイルを先端領域心線に取り付けるためにセンサ・ガイドワイヤの遠位端に配置される。本発明によれば、先端領域心線の大部分が、長手軸に垂直な平面において円形断面を有する。
【0019】
本発明の先端領域心線は、先端領域心線の引張強度と操作応答性の所望の組み合わせを提供する。更に、本発明は、所望の操作応答性の先端領域を有するセンサ・ガイドワイヤを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明に係るセンサ・ガイドワイヤを示す。
図2a図2aは、本発明の一実施形態に係るセンサ・ガイドワイヤの先端領域を示し、先端領域心線が先端部において遠位側に先細となっている。
図2b図2bは、本発明の一実施形態に係るセンサ・ガイドワイヤの先端領域を示し、先端領域心線が先端部において遠位側で均一な直径を有している。
図3図3は、本発明に係る先端領域心線を示し、簡略化のためコイル及び遠位先端接合部は省略されている。
図4図4は、本発明に係る図3に示す先端領域心線の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願全体を通して、遠位という単語は、操作者に対して最も遠くに位置する部分を指し、近位という単語は、操作者に対して最も近くに位置する部分を指す。
【0022】
図1は、生体内における少なくとも1つの変数を血管内で測定するためのセンサ・ガイドワイヤ1を示し、センサ・ガイドワイヤ1は、近位領域2と、遠位センサ領域3と、先端領域4を有している。センサ・ガイドワイヤ1は、センサ領域3に配置されたセンサ素子(図示せず)と、長手軸6を有し、主に先端領域4に沿って延びる先端領域心線5と、先端領域4に配置されたコイル7を含む。コイル7は、少なくとも部分的に先端領域心線5を囲み、遠位先端接合部8は、コイル7を先端領域心線5に取り付けるためにセンサ・ガイドワイヤ1の遠位端9に配置される。
【0023】
図2a及び2bは、本発明に係るセンサ・ガイドワイヤ1の先端領域4を示している。先端領域心線5の大部分が、長手軸6に垂直な平面において円形断面を有する。先端領域心線5が円形断面であることによりセンサ・ガイドワイヤ1が先端領域4において全ての方向に可撓性を有し、これにより、センサ・ガイドワイヤ1の可撓性の向上が達成される。また、円形断面であることにより、先端領域心線5の引張強度を十分なものとしている。
【0024】
本発明によれば、測定変数は、例えば、圧力、流量又は温度などの生理学的変数であってもよく、或いは、例えば、外部で生じた電波又は磁気波などの別の変数であってもよい。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、先端領域心線5は、先端領域4の全体において長手軸6に垂直な平面において円形断面を有する。
【0026】
本発明の別の実施形態によれば、長手軸6に垂直な平面において円形断面を有する先端領域心線5の大部分とは、先端領域心線5の全長の少なくとも75%である。
【0027】
図2a及び2bに更に示すように、先端領域4は、先端領域心線5と、コイル7と、遠位先端接合部8からなる。先端領域心線5は、先端領域4においてセンサ・ガイドワイヤ1を更に補強する必要がないように、先端領域4における引張強度と可撓性の有利な組み合わせをセンサ・ガイドワイヤの先端に与えている。先端領域4の長さは、好ましくは25mm〜35mmであり、より好ましくは28mm〜32mmである。
【0028】
図2a及び2bは、先端領域心線5が、遠位部10と、中間部11と、近位部12を含むことを更に示している。先端領域心線5の遠位部10は、センサ・ガイドワイヤ1の遠位端9に最も近い部分であり、近位部12は、センサ領域3に最も近い部分である。更に、遠位部10は、長手軸6に垂直な平面において円形断面を有している。遠位部10の長さは0〜5mmであり、より好ましくは0.6〜1.6mmである。
【0029】
一実施形態においては、図2aに示すように、先端領域心線5の遠位部10は円形断面を有し、長手軸6に沿って遠位端9に向かって遠位側に先細となっている。別の実施形態によれば、図2bに示すように、先端領域心線5の遠位部10の直径Dは、長手軸6に沿って遠位端9の最も近くまで均一である。
【0030】
一実施形態において、コイル7を遠位部10に固定するために、コイル7の内径は遠位部10の外径Dに適合するように構成されている。遠位部10の円形断面の外径Dは、好ましくは0.10〜0.25mmであり、より好ましくは0.17〜0.20mmである。
【0031】
一実施形態によれば、中間部11は、長手軸6に垂直な平面において円形断面を有している。遠位部10は、中間部11の断面直径Dより大きな断面直径Dを有してもよい。中間部10の円形断面の直径Dは、0.035mm〜0.187mmであってもよく、より好ましくは0.048〜0.157mmである。
【0032】
一実施形態において、先端領域心線5はスチール製であり、中間部11の断面直径Dは0.065mm〜0.035mmである。
【0033】
更に別の実施形態によれば、先端領域心線5はニチノール製であり、中間部11の断面直径Dは0.085mm〜0.055mmである。
【0034】
更に、中間部11の直径Dは、長手軸6に沿って変化してもよい。好適な一実施形態においては、図3に示すように、中間部11が遠位部10に向かって先細になっている。更なる好適な一実施形態において、中間部11の近位半分は先細になっており、遠位半分は円筒状になっている。しかし、構造上明らかな変形例として、中間部11は、遠位部10の直径D以上の断面直径Dを有してもよく、或いは、中間部11は、近位部12に向かって先細になってもよい。
【0035】
図3において、遠位部10が、長手軸6に沿って遠位端9に向かって遠位側に先細となっていることが更に示されている。更に、遠位部10は、長手軸に沿って中間部11に向かって近位側に先細となっており、また中間部11は、長手軸6に沿って遠位部10に向かって遠位側に先細となっている。
【0036】
図2及び図3は、近位部12が、長手軸6に垂直な平面において円形断面を有していることも示している。近位部12の円形断面の外径Dは、好ましくは0.10〜0.25mmであり、より好ましくは0.17〜0.20mmである。図2及び図3に示す実施形態によれば、近位部12の外径Dは、遠位側より近位側が大きい。更に、近位部12は、長手軸6に沿って遠位方向に先細となっている。近位部12の長さは、好ましくは0.1mm〜0.6mmであり、より好ましくは0.2mm〜0.4mmである。
【0037】
図4は、図3に示す先端領域心線5の正面図を示している。遠位部10は、円形断面を有し、長手軸6に沿って遠位端9に向かって遠位側に先細となっている。また、図4は、好適な本実施形態によれば、近位部12が、遠位部10と同等の断面直径を有することも示している。
【0038】
一実施形態によれば、センサ素子は、中空ジャケット(図示せず)内に配置され、ジャケットは、長手軸6に垂直な平面において円形断面を有している。そして、管状ジャケットの内径は、近位部12の外径Dに適合するように構成されてもよい。
【0039】
本発明によれば、遠位先端接合部8は、コイル7を先端領域心線5に取り付ける。遠位先端接合部8は、好ましくは、はんだ付け又は溶接される。しかし、これに代えて、コイル7を先端領域心線5に固定するために、他の適切な技術を用いてもよい。コイル7の内径が遠位部10の外径Dに適合していることと遠位先端接合部8の組み合わせにより、センサ・ガイドワイヤ1の構造的完全性が向上する。
【0040】
背景技術において説明したように、センサ・ガイドワイヤは、主にセンサ・ガイドワイヤの全長に沿って延びる心線を有利に備えている。これは本発明に係るセンサ・ガイドワイヤにも適用され、相違点は、心線の遠位部、即ち、先端領域4における心線が本明細書に記載するように先端領域心線5である点である。
【0041】
一実施形態において、先端領域心線は、それ以外の心線の本体部と一体である。
【0042】
他の実施形態において、先端領域心線は、心線の本体部とは別体である。この実施形態において、先端領域心線5の近位部は、例えばジャケットに取り付けられていることが好ましい。
【0043】
また、上述したように、先端領域心線5は、ニチノール製又はスチール製であることが好ましいが、好適な材料特性を有する他の同様の材料を用いてもよい。
【0044】
センサ・ガイドワイヤ1は、少なくとも部分的にセンサ・ガイドワイヤ1に沿って延びてセンサ素子に接続された、少なくとも1本のマイクロケーブルを更に含んでもよい。
【0045】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。様々な代替例、変形例及び等価物を用いることができる。従って、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲を限定するものとして受け取られるべきではない。
図1
図2a
図2b
図3
図4