特許第6188096号(P6188096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188096
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】タービンエンジン用の潤滑システム
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/18 20060101AFI20170821BHJP
   F01D 25/20 20060101ALI20170821BHJP
   F02C 7/06 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   F01D25/18 B
   F01D25/18 A
   F01D25/20 B
   F02C7/06 E
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-95708(P2016-95708)
(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公開番号】特開2016-217352(P2016-217352A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2016年7月4日
(31)【優先権主張番号】14/715,717
(32)【優先日】2015年5月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ニン・チャールズ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・アルバート・ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】ガート・ジェイ・ヴァン・デル・メルウェ
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/123857(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0318939(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0121376(US,A1)
【文献】 特表2010−525234(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0030385(US,A1)
【文献】 特開平04−318230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/16−25/20
F02C 7/06
F01M 1/00− 9/12
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン(10)用の潤滑システム(100)であって、
潤滑剤を貯蔵するように構成されたタンク(114)と、
前記タンクから、前記ガスタービンエンジンの部品までの潤滑剤の流れを生成するための循環ポンプ(138)と、
前記循環ポンプによって生成された前記潤滑剤の流れと流体連通して、流れの入口(144、156)および流れの出口(146、148)を画定する弁(142)であって、前記弁は、前記ガスタービンエンジンの前記部品へと流れる前記潤滑剤の流量を制御するために、前記流れの入口と前記流れの出口との間の可変スループットをさらに定義する、弁と、
前記潤滑剤が前記部品に到達する前に前記潤滑剤の温度を制御するために、前記弁の下流の位置で、前記循環ポンプによって生成された前記潤滑剤の流れと熱連通して配置される熱交換器(152)とを備える、潤滑システム。
【請求項2】
前記弁が、前記循環ポンプによって生成された前記潤滑剤の流れの中で、前記循環ポンプの下流に配置される、請求項1に記載の潤滑システム。
【請求項3】
前記循環ポンプが、前記タンクから前記ガスタービンエンジンの動力ギアボックス(46)までの潤滑剤の流れを生成する、請求項1または2に記載の潤滑システム。
【請求項4】
前記循環ポンプが、前記ガスタービンエンジンのシャフト(34、36)によって駆動される、請求項1乃至3のいずれかに記載の潤滑システム。
【請求項5】
前記循環ポンプによって生成された前記潤滑剤の流れと流体連通し、入口(156)、第1の出口(158)、および第2の出口(160)を画定する熱交換バイパス弁(154)であって、前記第2の出口が、バイパスライン(162)と流体連通し、前記バイパスラインが、前記第2の出口と、前記熱交換器の下流の位置で、前記循環ポンプによって生成された前記潤滑剤の流れとの間に延びる、熱交換バイパス弁をさらに備える、請求項1乃至4のいずれかに記載の潤滑システム。
【請求項6】
前記循環ポンプが、前記部品専用の循環ポンプであり、前記潤滑システムが、
前記タンクから、前記ガスタービンエンジンの1つ以上の圧縮機部、および前記ガスタービンエンジンのタービン部へと流れる潤滑剤の流れを生成するための主循環ポンプ(124)をさらに備える、請求項1乃至5のいずれかに記載の潤滑システム。
【請求項7】
前記主循環ポンプの上流の位置で、前記主循環ポンプによって生成された前記潤滑剤の流れと熱連通して配置される、主熱交換器(122)をさらに備える、
請求項6に記載の潤滑システム。
【請求項8】
前記弁が、前記ガスタービンエンジンのコントローラ(80)と連動する、請求項1乃至7のいずれかに記載の潤滑システム。
【請求項9】
前記循環ポンプによって生成された前記潤滑剤の流れが、前記循環ポンプの下流で第1の流路と第2の流路とに分割され、前記第2の流路が、前記ガスタービンエンジンの前記部品に前記潤滑剤の流れを供給するように構成され、前記弁が、前記第2の流路と流体連通する、請求項1乃至8のいずれかに記載の潤滑システム。
【請求項10】
前記循環ポンプが、前記タンクから、前記第1の流路を通って、前記ガスタービンエンジンの1つ以上の圧縮機部、および前記ガスタービンエンジンのタービン部までの潤滑剤の流れを生成するようにさらに構成される、請求項9に記載の潤滑システム。
【請求項11】
ガスタービンエンジン(10)であって、
シャフト(34、36)を介して、圧縮機部に機械的に連結されたタービン部と、
動力ギアボックス(46)を介して、前記シャフトによって駆動されるファン(38)と、
潤滑システム(100)であって、
タンク(114)と、
前記タンクから前記動力ギアボックスまでの、潤滑剤の流れを生成するための循環ポンプ(138)と、
前記循環ポンプによって生成された前記潤滑剤の流れと流体連通して、入口(144)および出口(146)を画定する弁(142)であって、前記弁は、前記ガスタービンエンジンの前記動力ギアボックスへと流れる前記潤滑剤の流量を制御するために、前記入口と前記出口との間の可変スループットを定義する、弁と、
前記潤滑剤が前記動力ギアボックスに到達する前に前記潤滑剤の流れの温度を制御するために、前記弁の下流の位置で、前記循環ポンプによって生成された前記潤滑剤の流れと熱連通して配置される熱交換器(152)とを有する、
潤滑システムとを備える、
ガスタービンエンジン。
【請求項12】
前記循環ポンプが、前記動力ギアボックス専用の循環ポンプであり、前記潤滑システムが、
前記タンクから、前記ガスタービンエンジンの1つ以上の圧縮機部、および前記ガスタービンエンジンのタービン部までの潤滑剤の流れを生成するための、主循環ポンプ(124)をさらに備える、請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、一般に、ファンを有するガスタービンエンジンに関し、より詳細には、ファンを有するガスタービンエンジン用の潤滑システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、通常、互いに流体連通して配置される、ファンおよびコアを備える。さらに、ガスタービンエンジンのコアは、通常、流れの順に、圧縮機部、燃焼部、タービン部、および排気部を有する。運転時は、空気はファンから圧縮機部の入口に供給され、ここで、1つ以上の軸流圧縮機が、燃焼部に達するまで空気を徐々に圧縮する。燃料が圧縮空気と混合されて、燃焼ガスを供給するために、燃焼部内で燃やされる。燃焼ガスは、燃焼部からタービン部へと送られる。燃焼部を介した燃焼ガスの流れは、燃焼部を駆動させた後、排気部を介して、例えば大気へと送られる。特定の構成では、タービン部は、ガスタービンエンジンの軸線方向に沿って延びる1つ以上のシャフトによって、圧縮機部に機械的に連結される。
【0003】
ファンは、ガスタービンエンジンのコアよりも大きい半径を有する複数のブレードを備える。ファンおよび複数のブレードは、通常、シャフトの1つによって駆動される。しかしながら、効率的な理由のため、各シャフトが回転している速度より遅い速度で回転する、ファンの複数のブレードを有することが有利な場合がある。したがって、より遅く、かつより効率的な速度でファンが回転するのを可能にするような方法で、ファンを各シャフトに機械的に連結するために、いくつかのガスタービンエンジンには、動力ギアボックスが設けられる。
【0004】
ガスタービンエンジンは、コアの圧縮機およびタービン部、ならびに動力ギアボックス等の、ガスタービンエンジンの1つ以上の部分に潤滑剤を供給するための潤滑システムをさらに備える。一般的な潤滑システムは、常温で供用部分のそれぞれに供給される、潤滑剤の設定比率を有する。しかしながら、本開示の発明者は、一定の条件下では、動力ギアボックスその他の供用部分の効率を高めるために、動力ギアボックスその他の供用部分に供給される潤滑剤の量を増減させると有利な場合があることに気付いた。また、本開示の発明者は、一定の条件下では、動力ギアボックスその他の供用部分の効率をさらに高めるために、動力ギアボックスその他の供用部分に供給される潤滑剤の温度を増減させると有利な場合があることにも気付いた。
【0005】
したがって、動力ギアボックスその他の供用部分に供給される潤滑剤の、流量および温度等のいくつかの特徴を制御できるガスタービンエンジンは、特に有用であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8869940号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の態様および利点は、以下の説明である程度述べられ、この説明から明らかとなり、あるいは本発明の実施によって知ることができる。
【0008】
本開示の例示的な実施形態において、ガスタービンエンジン用の潤滑システムが提供される。この潤滑システムは、潤滑剤を貯蔵するように構成されたタンクと、タンクからガスタービンエンジンの部品へと流れる、潤滑剤の流れを生成するための循環ポンプとを備える。この潤滑システムは、循環ポンプによって生成された潤滑剤の流れと流体連通して、流れの入口および流れの出口を画定する弁をさらに備える。弁は、ガスタービンエンジンの部品へと流れる潤滑剤の流量を制御するために、流れの入口と流れの出口との間の可変スループットをさらに定義する。潤滑システムは、潤滑剤が部品に到達する前に潤滑剤の温度を制御するために、弁の下流の位置で、循環ポンプによって生成された潤滑剤の流れと熱連通して配置される、熱交換器をさらに備える。
【0009】
本開示の別の例示的な実施形態において、ガスタービンエンジン用の潤滑システムが提供される。この潤滑システムは、潤滑剤を貯蔵するように構成されたタンクと、タンクからガスタービンエンジンの1つ以上の第1の部品へと流れる、第1の潤滑剤の流れを生成するための第1の循環ポンプとを備える。この潤滑システムは、タンクからガスタービンエンジンの1つ以上の第2の部品へと流れる、第2の潤滑剤の流れを生成するための第2の循環ポンプをさらに備える。第2の潤滑剤の流れは、第1の潤滑剤の流れから分離され、1つ以上の第2の部品は、1つ以上の第1の部品とは異なる。この潤滑システムは、それぞれが第2の潤滑剤の流れと流体連通する、入口および出口を画定する弁をさらに備える。弁は、1つ以上の第2の部品へと流れる、第2の潤滑剤の流れの流量を制御するために、入口と出口との間の可変スループットを定義する。
【0010】
本開示のさらに別の例示的な実施形態において、ガスタービンエンジンが提供される。ガスタービンエンジンは、シャフトを介して圧縮機部に機械的に連結されたタービン部と、動力ギアボックスを介してシャフトによって駆動されるファンと、潤滑システムとを備える。潤滑システムは、タンクと、タンクから動力ギアボックスまでの潤滑剤の流れを生成するための循環ポンプと、弁とを備える。弁は、循環ポンプによって生成された潤滑剤の流れと流体連通し、入口および出口を画定する。弁は、ガスタービンエンジンの動力ギアボックスへと流れる潤滑剤の流量を制御するために、入口と出口との間の可変スループットをさらに定義する。潤滑システムは、潤滑剤が動力ギアボックスに到達する前に、潤滑剤の流れの温度を制御するために、弁の下流の位置で、循環ポンプによって生成された潤滑剤の流れと熱連通して配置される熱交換器をさらに備える。
【0011】
本発明のこれらその他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、および添付の特許請求の範囲を参照すれば、よりよく理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、明細書の記載と併せて、本発明の原理を説明するために供される。
【0012】
最良の態様を含み、当業者を対象とする、本発明の完全かつ実施可能な程度の開示が本明細書に記載され、以下の添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本主題の様々な実施形態による、例示的なガスタービンエンジンの概略断面図である。
図2】本開示の例示的な実施形態による潤滑システムを備える、図1の例示的なガスタービンエンジンの概略図である。
図3図2の例示的な潤滑システムの一部の拡大概略図である。
図4】本開示の別の例示的な実施形態による潤滑システムを備える、図1の例示的なガスタービンエンジンの概略図である。
図5】本開示のさらに別の例示的な実施形態による潤滑システムを備える、図1の例示的なガスタービンエンジンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、本発明の実施形態を詳しく参照し、その1つ以上の例を添付の図面に示す。この詳細な説明では、図面の特徴を参照するために、数字および文字による記号表示を使用する。図面および説明の同一または類似の記号表示は、本発明の同一または類似の部分を参照するために使用されている。本明細書で用いられる「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、1つの部品を別の部品と区別するために交換可能に使用することができ、個別の部品の位置または重要性を意味することは意図されていない。「上流」および「下流」という用語は、流体通路内の流体の流れに対する、相対的な方向のことを言う。例えば、「上流」は、ここから流体が流れる方向のことを言い、「下流」は、流体が流れてくる方向のことを言う。
【0015】
ここで図面を参照すると、全図面を通して同一の数字は同一の部品を示し、図1は、本開示の例示的な実施形態による、ガスタービンエンジンの概略断面図である。より詳細には、図1の実施形態の場合、ガスタービンエンジンは、高バイパスターボファンジェットエンジン10であり、本明細書では「ターボファンエンジン10」と呼ばれる。図1に示すように、ターボファンエンジン10は、(参照用に示された長手方向中心線12と平行に延びる)軸線方向A、および半径方向Rを画定する。通常、ターボファンエンジン10は、ファン部14、およびファン部14の下流に配置された、コアタービンエンジン16を備える。
【0016】
示されている例示的なコアタービンエンジン16は、通常、環状の入口20を画定する、ほぼ管状の外側ケーシング18を備える。外側ケーシング18は、流れの関係において、ブースタまたは低圧(LP)圧縮機22、および高圧(HP)圧縮機24を含む圧縮機部、燃焼部26、高圧(HP)タービン28、および低圧(LP)タービン30を含むタービン部、ならびにジェット排気ノズル部32を備える。高圧(HP)シャフトすなわちスプール34は、HPタービン28をHP圧縮機24に駆動連結している。低圧(LP)シャフトすなわちスプール36は、LPタービン30をLP圧縮機22に駆動連結している。
【0017】
示されている実施形態の場合、ファン部14は、離間されてディスク42に連結された複数のファンブレード40を有する、可変ピッチファン38を含む。示されているように、ファンブレード40は、ほぼ半径方向Rに沿って、ディスク42から外向きに延びる。各ファンブレード40は、ファンブレード40のピッチを一斉に変化させるように構成された、適当な作動部材44にファンブレード40が動作可能に連結されることによって、ピッチ軸線Pの周囲で、ディスク42に対して回転することができる。ファンブレード40、ディスク42、および作動部材44は、動力ギアボックス46を横切るLPシャフト36によって、長手方向軸線12の周囲で共に回転可能である。動力ギアボックス46は、LPシャフト36の回転速度を、より効率的な回転ファン速度まで降下させる複数のギアを含む。しかしながら、他の例示的な実施形態では、ファン38は可変ピッチファンではなく、固定ファンであってもよいことが理解されるべきである。例えば、他の例示的な実施形態では、ファンブレード40は、各ピッチ軸線Pの周囲で回転するように構成されなくてもよく、ファン部14は、作動部材44を含んでいなくてもよい。
【0018】
以下でさらに詳しく説明されるように、例示的なターボファンエンジン10は、1つ以上の圧縮機部(LP圧縮機22およびHP圧縮機24を含む)、タービン部(HPタービン28およびLPタービン30を含む)、HPスプール34、LPスプール36、動力ギアボックス46、作動部材44、および/またはディスク42に潤滑剤を供給するように構成された、潤滑システム100(図2)をさらに備える。潤滑剤は、このような部品の耐用寿命を延ばすことができ、かつ/あるいはこのような部品から一定量の熱を除去することができる。
【0019】
図1の例示的な実施形態をさらに参照すると、ディスク42は、複数のファンブレード40を通る空気流を促進するような空気力学的輪郭にされた、回転可能な前面スピナー48で覆われている。さらに、例示的なファン部14は、ファン38、および/またはコアタービンエンジン16の少なくとも一部の周囲を囲む、環状のファンケーシングまたは外側ナセル50を有する。ナセル50は、円周方向に離間された複数の出口ガイドベーン52によって、コアタービンエンジン16に対して支持されるように構成できることが、当業者には理解されよう。さらに、ナセル50の下流部54は、これとコアタービンエンジン16の外部との間にバイパス空気流通路56を画定するように、コアタービンエンジン16の外部を越えて延びていてもよい。
【0020】
ターボファンエンジン10の運転中は、空気58が、ナセル50および/またはファン部14の関連する入口60を通ってターボファンエンジン10に入る。空気58がファンブレード40を通過すると、矢印62で示す空気58の第1の部分が、バイパス空気流通路56の中へ導かれるかまたは送られ、矢印64で示す空気58の第2の部分が、LP圧縮機22の中へ導かれるかまたは送られる。空気の第1の部分62と空気の第2の部分64との比率は、通常、バイパス比として知られている。その後、空気の第2の部分64の圧力は、高圧(HP)圧縮機24を通って、燃焼部26の中へ送られるにつれて増加し、ここで空気は、燃焼ガス66を提供するために、燃料と混合されて燃やされる。
【0021】
燃焼ガス66は、HPタービン28を通って送られ、燃焼ガス66からの熱エネルギーおよび/または運動エネルギーの一部が、外側ケーシング18に連結されたHPタービン静翼68、およびHPシャフトすなわちスプール34に連結されたHPタービンロータブレード70の連続する段を介して取り出されて、HPシャフトすなわちスプール34を回転させることによって、HP圧縮機24の動作を補助する。次に、燃焼ガス66は、LPタービン30を通って送られ、熱エネルギーおよび運動エネルギーの第2の部分が、外側ケーシング18に連結されたLPタービン静翼72、およびLPシャフトすなわちスプール36に連結されたLPタービンロータブレード74の連続する段を介して燃焼ガス66から取り出されて、LPシャフトすなわちスプール36を回転させることによって、LP圧縮機22の動作、および/またはファン38の回転を補助する。
【0022】
燃焼ガス66は、その後、推進力をもたらすために、コアタービンエンジン16のジェット排気ノズル部32を介して送られる。同時に、空気の第1の部分62の圧力は、同様に推進力をもたらすターボファンエンジン10のファンノズル排気部76から排気される前に、空気の第1の部分62がバイパス空気流通路56を通って送られるにつれて、実質的に増加する。HPタービン28、LPタービン30、およびジェット排気ノズル部32は、コアタービンエンジン16を介して燃焼ガス66を導くための高温ガス経路78を、少なくとも部分的に画定する。
【0023】
示されていないが、ターボファンエンジン10の動作は、圧力および/または温度センサ等の、いくつかのセンサで監視することができ、例えば圧縮機部、タービン部、燃焼部26、および/または周囲環境の様々な状態を検知する。さらに、ターボファンエンジン10のいくつかの態様を制御するために、コントローラ80(図2に仮想線で示されている)を備えることができる。コントローラ80は、通常は、本明細書で説明されるようにタービンエンジンが制御され、かつ/あるいはこれを運転することを可能にする、当業者に知られている任意のタービンエンジン制御システムであってもよい。通常、コントローラ80は、ターボファンエンジン10を制御するために、様々なコンピュータ実装機能を実行するように構成された、1つ以上のプロセッサ、および関連するメモリ装置を有する、任意のコンピュータシステムを含むことができる。例えば、コントローラ80は、特定の航空機エンジンの制御に使用される、全デジタル電子式制御システム(full−authority digital electronic control、FADEC)を含むことができる。
【0024】
本明細書で用いる「プロセッサ」という用語は、当該技術分野においてコンピュータに含まれるものと言われている集積回路を指すのみならず、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路その他のプログラマブル回路を指すことが理解されるべきである。さらに、メモリ装置は、通常、これに限定されないが、(ランダムアクセスメモリ(RAM)等の)コンピュータ可読媒体、(フラッシュメモリ等の)コンピュータ可読不揮発性媒体、フロッピーディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、光磁気ディスク(MOD)、デジタル多目的ディスク(DVD)、および/または他の適切なメモリ部品を含む、メモリ部品を備える。メモリ装置は、プロセッサによって実行されたときに所望の機能を実行する、ソフトウェアその他の制御命令を含むことができる。
【0025】
ここで図2を参照すると、本開示の例示的な実施形態による潤滑システム100を備える、図1の例示的なターボファンエンジン10の概略図が示されている。図2に示され、かつ上述したように、例示的なターボファンエンジン10は、LP圧縮機22およびHP圧縮機24を含む圧縮機部、燃焼部26、ならびにHPタービン28およびLPタービン30を含むタービン部を備える。HP圧縮機24とHPタービン28とは、HPシャフト34によって機械的に連結され、LP圧縮機22は、LPシャフト36によってLPタービン30に機械的に連結される。さらに、ファン38は、動力ギアボックス46を横切るLPシャフト36によって回転可能である。
【0026】
同様に図式的に示されているように、このような部品のいくつかは、このような部品を配置および/または位置決めするため、ならびにこのような部品の軸線方向中心線12の周囲での回転を容易にするために、1つ以上の軸受を有する。例えば、LP圧縮機22は、複数のLP圧縮機軸受102を有し、HP圧縮機24は、複数のHP圧縮機軸受104を有し、HPタービン28は、複数のHPタービン軸受106を有し、LPタービン30は、複数のLPタービン軸受108を有し、ファン38は、複数のファン軸受110を有する。さらに、示されている実施形態の場合、例示的なターボファンエンジン10は、複数のシャフト軸受112を備える。しかしながら、他の例示的な実施形態では、ターボファンエンジン10は、部品を配置および/または位置決めするため、ならびにターボファンエンジン10の部品の回転を容易にするために、軸受の任意適当な配置および/または構成を有していてもよいことが理解されるべきである。
【0027】
示されている例示的な潤滑システム100は、ターボファンエンジン10の1つ以上の部品に、これらの部品の各軸受を含めて、潤滑剤を供給するように構成される。本明細書で使用される「潤滑剤」という用語は、相互接触している表面同士の間の摩擦の量を低減し、生成された熱を取り除くのに適した任意の物質を言う。例えば、いくつかの例示的な実施形態において、潤滑剤とは、油性の潤滑剤を指していてもよい。
【0028】
図2の例示的な潤滑システム100は、通常、潤滑剤を貯蔵するように構成されたタンク114、および第1の潤滑ユニット116、すなわち主潤滑ユニットを含む。第1の潤滑ユニット116は、第1の供給ライン118、すなわち主供給ライン、および戻りライン120を介してタンク114と流体連通する。第1の供給ライン118と熱連通して配置され、任意の潤滑剤が流れるのは、第1の熱交換器122すなわち主熱交換器である。示されている実施形態の第1の熱交換器122は、第1の潤滑ユニット116の上流に配置され、第1の供給ライン118内の潤滑剤から、このような潤滑剤が第1の潤滑ユニット116に到達する前に、熱を除去するように構成される。しかしながら、他の例示的な実施形態では、第1の熱交換器122は、あるいは戻りライン120と熱連通して配置されてもよい。このような構成は、一般に「蓄冷タンク構成」と呼ばれる場合がある。
【0029】
さらに、第1の潤滑ユニット116は、第1の供給ライン118を介して、タンク114からターボファンエンジン10の1つ以上の部分までの、第1の潤滑剤の流れを生成するための第1の循環ポンプ124、すなわち主循環ポンプを含む。第1の循環ポンプ124は、第1の循環ポンプ124の回転速度が各シャフト36、34の回転速度に対応するように、LPシャフト36またはHPシャフト34に機械的に連結して、LPシャフト36またはHPシャフト34によって駆動させることができる。例えば、示されている実施形態では、第1の循環ポンプ124は、第1の熱交換器122を介して、タンク114から、ファン38、LP圧縮機22、HP圧縮機24、HPタービン28、およびLPタービン30までの第1の潤滑剤の流れを常温で生成するように構成される。より詳細には、第1の循環ポンプ124は、第1の供給ライン118を介して、複数のファン軸受110、複数のシャフト軸受112、複数のLP圧縮機軸受102、複数のHP圧縮機軸受104、複数のHPタービン軸受106、および複数のLPタービン軸受108に直接、圧縮された潤滑剤の流れ(すなわち第1の潤滑剤の流れ)を、常温で供給するように構成される。本明細書で使用される「ライン」という用語は、潤滑剤の流れを運ぶことができる、各種の流体ラインまたは導管を、幅広く指していることが理解されよう。さらに、ラインは、潤滑剤の流れを運ぶことができる、複数の流体ラインまたは導管を指すことができる。例えば、図2に示すように、第1の供給ライン118は、ターボファンエンジン10の様々な部品へと延びる、複数の副供給ラインを含む。
【0030】
さらに、明確にするために仮想線で示されているが、ターボファンエンジン10は、上述の軸受、ならびに(シール、ギア等の)他の部品に供給された潤滑剤を集めるための、1つ以上の油溜めを備える。より詳細には、示されている実施形態の場合、ターボファンエンジン10は、ファン軸受110、シャフト軸受112、および/またはLP圧縮機軸受102に供給された潤滑剤を集めるためのエンジン油溜め126と、HP圧縮機軸受104に供給された潤滑剤を集めるための、HP圧縮機油溜め128と、HPタービン軸受106に供給された潤滑剤を集めるためのHPタービン油溜め130と、LPタービン軸受108に供給された潤滑剤を集めるためのLPタービン油溜め132とを備える。各油溜めは、複数の吸引ライン134(明確にするために仮想線で示す)を介して、第1の潤滑ユニット116と流体連通する。第1の潤滑ユニット116は、第1の潤滑ユニット116を介して潤滑剤を各油溜めから引き込み、戻りライン120を介してタンク114に戻すために、このような吸引ライン134に負圧をもたらす、1つ以上の吸引ポンプまたは還油ポンプ(図示せず)を含むことができる。しかしながら、本開示の他の実施形態では、ターボファンエンジン10は、他の任意適当な数の油溜めの構成を有していてもよいことが理解されるべきである。例えば、他の例示的なターボファンエンジンは、本明細書に記載されていない別の油溜めを有している場合がある。
【0031】
図2の例示的な実施形態をさらに参照すると、記載されている例示的な潤滑システム100は、第2の潤滑ユニット136、すなわち専用の潤滑ユニットをさらに含む。第2の潤滑ユニット136は、タンク114から第2の供給ライン140を介して、第2の潤滑剤の流れを生成するための、第2の循環ポンプ138、すなわち専用の循環ポンプを同様に備える。より詳細には、第2の循環ポンプ138は、タンク114から第2の供給ライン140を介して、第2の潤滑剤の圧力を生成する。しかしながら、他の例示的な実施形態では、潤滑システム100は、第2の潤滑ユニット136を含まず、代わりに第2の循環ポンプ138が、第1の潤滑ユニット116に配置されてもよいことが理解されるべきである。
【0032】
しかしながら、以下で述べるように、示されている実施形態の場合、第2の潤滑剤の流れおよび第2の供給ライン140は、第1の潤滑剤の流れおよび第1の供給ライン118から分離され、第1の潤滑剤の流れおよび第1の供給ライン118とは異なる温度および圧力であってもよい。さらに、第2の循環ポンプ138によって生成された第2の潤滑剤の流れは、第2の供給ライン140を介して、主にターボファンエンジン10の動力ギアボックス46に、あるいは示されている実施形態の場合は、動力ギアボックス46にのみ供給される。以下の説明に記載される通り、このような構成により、例えば動力ギアボックス46およびターボファンエンジン10の効率を高めるために、動力ギアボックス46に供給される潤滑剤の特定のパラメータを制御することが可能になる。
【0033】
しかしながら、他の例示的な実施形態では、第2の循環ポンプ138によって生成された第2の潤滑剤の流れは、さらにターボファンエンジン10の他の部品に供給されることが理解されるべきである。例えば、他の例示的な実施形態では、第2の循環ポンプ138によって生成された第2の潤滑剤の流れは、さらに、例えばHPタービン油溜め130、LPタービン油溜め132、または燃焼器油溜めに供給することができ、そのそれぞれが、潤滑剤の流れの流量および/または温度が低下していることから、利益を得ることができる。あるいは、さらに他の例示的な実施形態では、第2の循環ポンプ138によって生成された第2の潤滑剤の流れは、ターボファンエンジン10の1つ以上のその他の部品にのみ供給されることが理解されるべきである。
【0034】
第2の循環ポンプ138もまた、第2の循環ポンプ138の回転速度が各シャフト36、34の回転速度に対応するように、LPシャフト36またはHPシャフト34に機械的に連結して、LPシャフト36またはHPシャフト34によって駆動させることができる。したがって、別の制御機構を配置することなく、第2の循環ポンプ138によって動力ギアボックス46に供給される潤滑剤の量は、LPシャフト36またはHPシャフト34の回転速度に固定される。したがって、示されている実施形態の場合、例示的な潤滑システム100は、第2の循環ポンプ138によって生成された、第2の潤滑剤の流れ、および第2の供給ライン140と流体連通する、流量制御弁142を備える。流量制御弁142は、第2の循環ポンプ138によって生成された第2の潤滑剤の流れの中で、第2の循環ポンプ138の下流に配置される。
【0035】
ここで、図3に示す流量制御弁142の拡大図をさらに参照すると、示されている実施形態の場合、流量制御弁142は、流れの入口144、第1の出口146、および戻り出口148を画定する三方弁として構成されている。流量制御弁142は、第2の循環ポンプ138によって動力ギアボックス46に供給される潤滑剤の量(すなわち動力ギアボックス46に供給される潤滑剤の流量)を制御するために、流れの入口144と第1の出口146との間の可変スループットを定義する。例えば、流量制御弁142は、流れの入口144に供給された第2の潤滑剤の流れのほぼ全てが、続いて第1の出口146に供給される全開位置と、流れの入口144に供給された第2の潤滑剤の流れの少なくとも一部が、これに代えて戻り出口148に供給される、半開位置との間を移動することができる。例えば、いくつかの例示的な実施形態では、流量制御弁142が半開位置のときは、入口144に供給された潤滑剤の約30パーセントまで、約40パーセントまで、あるいは約50パーセントまでが、戻り出口148に供給されてもよい。本明細書で用いられる「約」という近似を表す用語は、10パーセントの誤差の範囲内であることが理解されるべきである。
【0036】
さらに、示されている実施形態の場合、潤滑システム100は、戻りライン150を含み、戻り出口148が、戻りライン150と流体連通する。戻りライン150は、第2の潤滑剤の流れの一部をタンク114に戻すために、戻り出口148から直接タンク114へと延びる。あるいは戻りライン150は、主潤滑ユニット116を通って還油しながらタンク114に戻るために、戻り出口148からエンジンアクセサリギアボックス(AGB)か、または別の油溜め126、128等へ延びていてもよい。
【0037】
さらに図2および図3を参照すると、例示的な潤滑システム100は、第2の熱交換器152、および第2の熱交換器152の上流に配置されたバイパス弁154をさらに含む。第2の熱交換器152、およびバイパス弁154は、第2の供給ライン140の第2の潤滑剤の流れと熱連通して配置され、その結果、このような第2の潤滑剤の流れから熱を除去する。示されている実施形態の場合、第2の熱交換器152は、第2の循環ポンプ138、および流量制御弁142の下流の位置にある、第2の潤滑剤の流れと熱連通して配置される。しかしながら、他の例示的な実施形態では、第2の熱交換器152は、これに代えて、第2の循環ポンプ138、および流量制御弁142のうちの1つまたは両方の上流に配置されてもよい。
【0038】
さらに、図2および図3の実施形態の場合、バイパス弁154は、入口156、第1の出口158、およびバイパス出口160を画定する、三方バイパス弁154である。バイパス弁154は、入口156と第1の出口158との間の可変スループットを定義する。例えば、バイパス弁154は、入口156に供給された第2の潤滑剤の流れのほぼ全てが、続いて第1の出口158に供給される全開位置と、入口156に供給された第2の潤滑剤の流れの少なくとも一部が、これに代えてバイパス出口160に供給される、半開位置との間を移動することができる。例えば、いくつかの例示的な実施形態では、バイパス弁154が半開位置のときは、入口156に供給された潤滑剤の約30パーセントまで、約40パーセントまで、あるいは約50パーセントまでが、バイパス出口160に供給されてもよい。
【0039】
したがって、示されている実施形態の場合、潤滑システム100は、バイパスライン162をさらに含み、バイパスライン162の第1の端部164で、バイパス出口160がバイパスライン162と流体連通する。さらに、バイパスライン162は、第1の端部164にあるバイパス出口160から、第2の熱交換器152の下流の位置にある、反対側の第2の端部166で、第2の潤滑剤の流れへと延びる。
【0040】
流量制御弁142およびバイパス弁154は、それぞれ、ターボファンエンジン10のコントローラ80と連動することができる。したがって、コントローラ80は、動力ギアボックス46に供給される潤滑剤の量(動力ギアボックス46に供給される潤滑剤の圧力および流量を含む)、および動力ギアボックス46に供給されるこのような潤滑剤の温度を制御することができる。
【0041】
一定の状況において、動力ギアボックス46に、比較的低温で、比較的多量の潤滑剤を供給することが有益な場合がある。例えば、ターボファンエンジン10を、比較的高温の周囲状況で、大きな推進力が必要となる条件下で運転しているときは、動力ギアボックス46に、低温で高流量の潤滑剤を供給することが望ましい場合がある。このような状況では、流量制御弁142は、入口144に供給されたほぼ全ての潤滑剤が、続いて第1の出口146に供給されるように、全開位置にすることができる。さらに、このような状況では、バイパス弁154もまた、入口156に供給された潤滑剤のほぼ全てが、続いて第1の出口158に供給されるように、全開位置にすることができる。
【0042】
しかしながら、他の状況では、動力ギアボックス46に、比較的高温で、比較的少量の潤滑剤を供給することが有益な場合がある。例えば、ターボファンエンジン10を、比較的低温の周囲状況で、巡航状態で運転しているときは、動力ギアボックス46に、高温で低流量の潤滑剤を供給することが望ましい場合がある。特に、潤滑剤を比較的高温で供給することにより、潤滑剤の粘性を低下させることができるため、動力ギアボックス46のより効率的な動作が可能になる。このような状況では、流量制御弁142は、入口144に供給された潤滑剤の少なくとも一部が、続いて戻り出口148に供給されて、戻りライン150を介してタンク114に戻るように、半開位置にすることができる。また、このような状況では、バイパス弁154もまた、入口156に供給された潤滑剤の少なくとも一部が、続いてバイパス出口160に供給されるように、半開位置にすることができる。特に、このような状況では、動力ギアボックス46に供給される潤滑剤の温度は、これが動力ギアボックス46内にある部品の安全動作温度を超えないことを確実にするために、同様に制御することができる。
【0043】
流量制御弁142およびバイパス弁154は、互いに単独で、選択的に動作できることは言うまでもない。したがって、さらに他の状況では、比較的低温で比較的少量の潤滑剤を、動力ギアボックス46に提供することができ、あるいは、比較的高温で比較的多量の潤滑剤を、動力ギアボックス46に提供することができる。
【0044】
流量制御弁142およびバイパス弁154は、任意適当な3ポート弁を含むことができる。例えば、いくつかの例示的な実施形態では、流量制御弁142およびバイパス弁154のうちの1つ、またはその両方が、三方ボール弁を含んでいてもよい。これに加えて、またはこれに代えて、流量制御弁142およびバイパス弁154のうちの1つ、またはその両方が、それぞれ、入口144、156と、出口148、158との間に可変スループットをもたらすことができる、他の任意適当な構造を含んでいてもよい。
【0045】
あるいは、他の例示的な実施形態において、例示的な潤滑システム100は、動力ギアボックス46へと流れる潤滑剤の流量、および/または動力ギアボックス46に供給される潤滑剤の温度を制御するための、他の任意適当な構成を有していてもよいことが理解されるべきである。
【0046】
例えば、ここで図4を参照すると、例示的な潤滑システム100が、本開示の別の例示的な実施形態に従って示されている。図4に示す例示的な潤滑システム100は、図2に示して上述した、例示的な潤滑システム100とほぼ同じように構成することができる。しかしながら、図4の例示的な実施形態の場合、流量制御弁142は、第2の潤滑ユニット136、および第2の循環ポンプ138の上流の位置で、第2の循環ポンプ138によって生成された第2の潤滑剤の流れの中に配置される。このような構成では、流量制御弁142は三方弁でなくてもよく、例示的な潤滑システム100は、流量制御弁142およびタンク114に流体連結する、別の戻りライン150を含んでいなくてもよい。その代わりに、流量制御弁142は、入口と出口との間の可変スループットを定義する、任意適当な弁であってもよい。
【0047】
あるいは、さらにここで図5を参照すると、例示的な潤滑システム100が、本開示のさらに別の例示的な実施形態に従って示されている。示されているように、図5の例示的な実施形態の場合、例示的な潤滑システム100は、第2の潤滑ユニット136、または第2の循環ポンプ138を含んでいない。その代わりに、(第1の潤滑ユニット116の)第1の循環ポンプ124によって生成された第1の潤滑剤の流れは、動力ギアボックス46に専用の潤滑剤の流れを供給するために、第1の循環ポンプ124の下流の接合部170で分割される。接合部170で、第1の供給ライン118の第1の潤滑剤の流れは、第1の潤滑剤の流れと、(第2の供給ライン140を介して動力ギアボックス46に提供される)第2の潤滑剤の流れとに分割される。
【0048】
示されているように、第2の潤滑剤の流れ、および第2の供給ライン140は、ターボファンエンジン10の動力ギアボックス46に直接潤滑剤を供給するように構成される。このような例示的な実施形態では、流量制御弁142およびバイパス弁154は、接合部170の下流の第2の潤滑剤の流れに流体連通して配置される。
【0049】
しかしながら、さらに他の例示的な実施形態が、他の任意適当な構成を含んでもよい。例えば、図5をさらに参照すると、他の例示的な実施形態では、流量制御弁142は、代わりに接合部170に配置されてもよく、ここで第1の潤滑剤の流れは、残りの第1の潤滑剤の流れと、第2の潤滑剤の流れとに分割される。このような例示的な実施形態では、流量制御弁142は、第1の供給ライン118と流体連通する入口、同様に第1の供給ライン118と流体連通する第1の出口、および第2の供給ライン140と流体連通する第2の出口を画定することができる。このような流量制御弁142は、動力ギアボックス46に供給される潤滑剤の量を制御するために、入口と第2の出口との間の可変スループットを定義することができる。
【0050】
ここに記載された説明は、最良の態様を含む本発明を開示するため、また、任意の装置またはシステムの作成および使用、ならびに任意の組み合わせられた方法の実行を含み、当業者が本発明を実施できるようにするために例を用いる。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつく他の例を含み得る。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構成要素を含む場合、または特許請求の範囲の文言とごくわずかしか異ならない同等の構成要素を含む場合は、特許請求の範囲内であることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
10 ターボファンジェットエンジン
12 長手方向中心線、軸線方向中心線、長手方向軸線
14 ファン部
16 コアタービンエンジン
18 外側ケーシング
20 入口
22 低圧(LP)圧縮機
24 高圧(HP)圧縮機
26 燃焼部
28 高圧(HP)タービン
30 低圧(LP)タービン
32 ジェット排気ノズル部
34 高圧(HP)シャフト、高圧(HP)スプール
36 低圧(LP)シャフト、低圧(LP)スプール
38 可変ピッチファン
40 ファンブレード
42 ディスク
44 作動部材
46 動力ギアボックス
48 前面スピナー
50 外側ナセル
52 出口ガイドベーン
54 下流部
56 バイパス空気流通路
58 空気
60 入口
62 空気の第1の部分
64 空気の第2の部分
66 燃焼ガス
68 HPタービン静翼
70 HPタービンロータブレード
72 LPタービン静翼
74 LPタービンロータブレード
76 ファンノズル排気部
78 高温ガス経路
80 コントローラ
100 潤滑システム
102 LP圧縮機軸受
104 HP圧縮機軸受
106 HPタービン軸受
108 LPタービン軸受
110 ファン軸受
112 シャフト軸受
114 タンク
116 第1の潤滑ユニット
118 第1の供給ライン
120 戻りライン
122 第1の熱交換器
124 第1の循環ポンプ
126 エンジン油溜め
128 圧縮機油溜め
130 HPタービン油溜め
132 LPタービン油溜め
134 吸引ライン
136 第2の潤滑ユニット
138 第2の循環ポンプ
140 第2の供給ライン
142 流量制御弁
144 入口
146 第1の出口
148 第2の出口、戻り出口
150 戻りライン
152 第2の熱交換器
154 バイパス弁
156 入口
158 第1の出口
160 第2の出口、バイパス出口
162 バイパスライン
164 バイパスラインの第1の端部
166 バイパスラインの第2の端部
170 接合部
A 軸線方向
P ピッチ軸線
R 半径方向
図1
図2
図3
図4
図5