特許第6188113号(P6188113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6188113
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】足湯装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/022 20060101AFI20170821BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20170821BHJP
   A61H 35/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   A47K3/022
   A47K3/00 K
   A61H35/00 F
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-77994(P2017-77994)
(22)【出願日】2017年4月11日
【審査請求日】2017年4月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517105825
【氏名又は名称】株式会社TAMAYA
(74)【代理人】
【識別番号】100116296
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幹生
(72)【発明者】
【氏名】望月 真由美
(72)【発明者】
【氏名】吉弘 雄三
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3153202(JP,U)
【文献】 特開平10−155679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/062
A47K 3/00
A47K 3/022
A61H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯が注入される桶と、桶の中央底部に設けられた凹部に嵌め込まれて設置されるダストボックスとを備えた足湯装置であって、ダストボックスは、ダストボックス内の湯を吸い込んでポンプユニットに送る吸込口を備え、吸込口にはフィルターが装着されており、ポンプユニットに送られた湯はポンプユニットによって加圧されて桶に流入し、桶の内部でダストボックスの周囲を旋回する湯の流れが生成されることを特徴とする足湯装置。
【請求項2】
前記ダストボックスは上部を覆う上蓋を備え、側壁と底面部とを有する箱型形状であって、側壁の上方に空隙を隔てて、上蓋の外周端下方に、真下方向よりも内側に傾斜した板からなる返しが形成されていることを特徴とする請求項1記載の足湯装置。
【請求項3】
前記桶の凹部を形成する壁面は上端外周部に階段部を有し、前記ダストボックスは側壁の上端外周側に水平部を有しており、前記階段部の水平面と前記ダストボックスの水平部とが接して密着した状態で、前記凹部に前記ダストボックスが嵌めこまれることを特徴とする請求項2記載の足湯装置。
【請求項4】
前記ダストボックスの側壁と底面部は、砂を含有する樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項2または3記載の足湯装置。
【請求項5】
前記上蓋は、前記ダストボックスの上端に対してねじ止めにより取り付けられていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の足湯装置。
【請求項6】
前記桶の底面は、外周側から中心部方向に向かって下向きに傾斜していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の足湯装置。
【請求項7】
前記桶に湯を注入するタンクを備え、タンクから複数の桶に湯を供給するホースから桶への流路に対して湯圧ノズルが装着されて、複数の桶に湯を供給する際の湯の供給量と供給時間が湯圧ノズルによって調整されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の足湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は足湯装置に関し、特に、運搬によって移動して設置することができる可搬型の足湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温泉地においては、駅前や店舗の前のように、人が集まる場所に足湯が設置されているケースが多い。通常の足湯は、近くに温泉の源泉がある場合が多く、足湯が設置される場所はそれなりに制限される。
【0003】
その一方、近くに温泉の源泉が無いイベント会場において足湯を設置するためには、温泉の湯をタンクに積んで運搬し、可搬型の足湯槽に湯を供給して足湯を提供することが必要となる。
移動運搬が可能な足湯に関する技術の一例が、特許文献1に記載されている。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3124851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
足湯は、利用者が靴下をその場で脱いで足を湯に浸すため、足の皮膚に付着した靴下のカスが足湯の桶の中に溜まりやすい。その他、足の体毛等も足湯の桶の中に溜まりやすく、これらのごみは軽いため、桶の内部を浮遊しやすく、ごみが桶の内部に溜まった状態のままであると、衛生上好ましくない。そのため、これらのごみを簡便に除去する手段が求められている。
【0006】
また、可搬型の足湯の場合には、温泉の湯をタンクに積んで運搬し、タンクから足湯の桶に温泉の湯を注入するが、足湯の桶を複数設置する場合には、複数の桶に注入された湯の温度にばらつきが無いことが求められる。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、桶に滞留するごみを簡便に除去することが可能であり、タンクから複数の桶に注入された湯の温度にばらつきが生じることを抑制することが可能な足湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、本発明の足湯装置は、湯が注入される桶と、桶の中央底部に設けられた凹部に嵌め込まれて設置されるダストボックスとを備えた足湯装置であって、ダストボックスは、ダストボックス内の湯を吸い込んでポンプユニットに送る吸込口を備え、吸込口にはフィルターが装着されており、ポンプユニットに送られた湯はポンプユニットによって加圧されて桶に流入し、桶の内部でダストボックスの周囲を旋回する湯の流れが生成されることを特徴とする。
【0009】
ダストボックスの吸込口を経てポンプユニットに送られた湯は、ポンプユニットによって加圧されて桶に流入し、桶の内部でダストボックスの周囲を旋回する湯の流れが生成されることと、吸込口によってごみがダストボックス内に吸い寄せられる効果により、桶の内部のごみがダストボックス内へ集約される。そのため、桶の内部に滞留するごみを簡便な手法でダストボックス内へ集めることができる。吸込口にはフィルターが装着されているため、吸込口を通してダストボックス内のごみがポンプユニットを介して桶の内部に戻ることを防止できる。
【0010】
本発明の足湯装置においては、前記ダストボックスは上部を覆う上蓋を備え、側壁と底面部とを有する箱型形状であって、側壁の上方に空隙を隔てて、上蓋の外周端下方に、真下方向よりも内側に傾斜した板からなる返しが形成されている構造とすることができる。
【0011】
返しの下端と側壁の上端との間に形成される空隙を通って、ごみがダストボックスの内部空間に入り込むが、返しが形成されていることにより、ダストボックスに入ったごみが空隙を通って桶の内部に戻ることを防止でき、ごみをダストボックス内に留めることができる。
【0012】
本発明の足湯装置においては、前記桶の凹部を形成する壁面は上端外周部に階段部を有し、前記ダストボックスは側壁の上端外周側に水平部を有しており、前記階段部の水平面と前記ダストボックスの水平部とが接して密着した状態で、前記凹部に前記ダストボックスが嵌めこまれる構造とすることができる。
【0013】
階段部の水平面とダストボックスの水平部とは、湯圧によって隙間なく密着するため、ダストボックスの装着を強固にすることができる。
【0014】
本発明の足湯装置においては、前記ダストボックスの側壁と底面部は、砂を含有する樹脂によって形成されている構造とすることができる。
【0015】
ダストボックスの側壁と底面部を、砂を含有する樹脂によって形成することにより、ダストボックスを設置する際のウエイトとして機能するため、ダストボックスの設置の安定性が向上する。
【0016】
本発明の足湯装置においては、前記上蓋は、前記ダストボックスの上端に対してねじ止めにより取り付けられている構造とすることができる。
【0017】
ダストボックスの上部を覆う上蓋が、ダストボックスの上端に対してねじ止めにより取り付けられているため、ダストボックス内に溜まったごみを排除する際に、上蓋をダストボックスから取り外してごみを捨てることができ、ごみの排除を容易に行うことができる。
【0018】
本発明の足湯装置においては、前記桶の底面は、外周側から中心部方向に向かって下向きに傾斜している構造とすることができる。
【0019】
桶の底面が外周側から中心部方向に向かって下向きに傾斜していることにより、桶の底面に付着したごみは、桶の中央底部に取付けられたダストボックスに集約されやすくなる。
【0020】
本発明の足湯装置においては、前記桶に湯を注入するタンクを備え、タンクから複数の桶に湯を供給するホースから桶への流路に対して湯圧ノズルが装着されて、複数の桶に湯を供給する際の湯の供給量と供給時間が湯圧ノズルによって調整される構造とすることができる。
【0021】
複数の桶に湯を供給する際の湯の供給量と供給時間が湯圧ノズルによって調整されるため、複数の桶に注入された湯の温度にばらつきが生じることを抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、桶に滞留するごみを簡便に除去することが可能であり、タンクから複数の桶に注入された湯の温度にばらつきが生じることを抑制することが可能な足湯装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る足湯装置の全体図である。
図2】ダストボックスの拡大図である。
図3】ダストボックスを桶の凹部に嵌め込んだ状態と、ダストボックスを凹部から取り外した状態を示す図である。
図4】湯を供給するタンクと桶との連結構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の足湯装置を、その実施形態に基づいて説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る足湯装置の全体図を示す。図1(a)は、足湯装置の側面図であり、図1(b)はその平面図である。
【0025】
足湯装置1は、湯が注入される桶2と、桶2の中央底部に設けられた凹部3に嵌め込まれて設置されるダストボックス4とを備えており、ダストボックス4は、その上部を覆う上蓋5を備えている。桶2は注入口6と排出口7とを備えており、注入口6と排出口7にはそれぞれホースが接続されて、注入口6から湯が注入され、桶2でオーバーフローした湯は、排出口7から排出される。温泉の湯を用いる場合には、これにより源泉かけ流しの状態が維持される。図1は、桶2に湯が注入された状態を示しており、この状態においては、ダストボックス4は湯圧によって桶2の凹部3に動かない状態で安定して設置されている。
【0026】
ダストボックス4は、ダストボックス4内の湯を吸い込んで、ポンプユニット8に送る吸込口9を備えている。吸込口9にはフィルターが装着されており、ポンプユニット8に送られた湯はポンプユニット8によって加圧されて桶2に流入する。桶2の内部でダストボックス4の周囲を旋回する湯の流れが生成されることと、吸込口9の吸い寄せ効果によって、桶2の内部のごみがダストボックス4内へ集約される。
【0027】
桶2の底面10は、外周側から中心部方向に向かって下向きに傾斜している構造とすることにより、桶2の底面10に付着したごみは、桶2の中央底部に取付けられたダストボックス4に集約されやすくなる。
【0028】
図1において矢印で示すように、桶2の内部でダストボックス4の周囲を旋回する湯の流れが生成されることにより、桶2の内部のごみがダストボックス4内へ集約されるため、桶2の内部に滞留するごみを簡便な手法でダストボックス4内へ集めることができる。吸込口9にはフィルターが装着されているため、吸込口9を通してダストボックス4内のごみがポンプユニット4を介して桶2の内部に戻ることを防止できる。
【0029】
図2(a)は、ダストボックス全体の拡大図であり、図2(b)は、ダストボックスの吸込口部分の拡大図である。また、図3(a)は、ダストボックスを桶の凹部に嵌め込んだ状態を示す図であり、図3(b)は、ダストボックスの上端外周部の拡大図である。図3(c)は、ダストボックスにごみが集約される様子を示し、図3(d)は、ダストボックスを凹部から取り外した状態を示している。
【0030】
ダストボックス4は、その上部を覆う上蓋5を備え、側壁11と底面部12とを有する箱型形状であり、上蓋5の外周端14の下方には、側壁11の上方に空隙13を隔てた位置に、真下方向よりも内側に傾斜した板からなる返し15が形成されている。ここで内側に傾斜したとは、ダストボックス4の中心向きに傾斜していることを意味する。桶2内のごみは、上述した旋回する湯の流れと、吸込口9の吸い寄せ効果によって、返し15の下端と側壁11の上端との間に形成される空隙13を通って、ダストボックス4の内部空間に入り込む。ダストボックス4の内部空間に入り込んだごみは、返し15が形成されていることにより、空隙13を通って桶2の内部に戻ることが抑制され、ボックス4の内部空間に留まる。
【0031】
図3(d)に示すように、桶2の凹部3を形成する壁面16は、上端外周部に階段部17を有している。また、ダストボックス4は側壁11の上端外周側に水平部18を有している。階段部17の水平面19とダストボックス4の水平部18とが接して密着した状態で、凹部3にダストボックス4が嵌めこまれる。階段部17の水平面19とダストボックス4の水平部18とは、湯圧によって隙間なく密着するため、ダストボックス4の装着を強固にすることができる。
【0032】
ダストボックス4の側壁11と底面部12は、砂を含有する樹脂によって形成されている。これにより、ダストボックス4を凹部3内に設置する際のウエイトとして機能するため、ダストボックス4の設置の安定性が向上する。
【0033】
上蓋5は、ダストボックス4の上端に対してねじ20によるねじ止めにより取り付けられている。図3(c)に示すように、ダストボックス4の内部空間に溜まったごみは、図3(d)に示すように、ダストボックス4を凹部3から取り外して排除されるが、ダストボックス4の上部を覆う上蓋5が、ダストボックス4の上端に対してねじ止めにより取り付けられていることにより、ダストボックス4内に溜まったごみを排除する際に、上蓋5をダストボックス4から取り外してごみを捨てることができ、ごみの排除を容易に行うことができる。
【0034】
このように、桶2に湯が注入された状態においては、ダストボックス4は湯圧によって桶2の凹部3に動かない状態で安定して設置されているため、ごみの集約を確実に行うことができるとともに、桶2から湯を抜くと、ダストボックス4には湯圧は作用せず、簡単に取り外しが可能となって、ごみの取出しを容易に行うことができる。従って、本発明の足湯装置は、ごみの集約とごみの取出しとを簡便な手法により効率的に行うことができる点に大きな利点がある。
【0035】
図4に、湯を供給するタンクと桶との連結構造を示す。ここでは、移動式の足湯の場合について説明する。トラックの荷台に積まれたタンク21に給湯のためのホース22が接続され、分岐チーズ23によって湯が分岐されて複数の桶2a、2bに湯が供給される。分岐後の流路に対して、湯圧ノズル24が装着されている。湯圧ノズル24は、桶2に注入される湯の温度調整手段として機能するものであり、複数の桶2a、2bに湯を供給する際の湯の供給量と供給時間が湯圧ノズル24によって調整される。これにより、複数の桶2a、2bに注入された湯の温度にばらつきが生じることを抑制できる。桶2a、2b内でオーバーフローした湯は、分岐チーズ25を通って排出される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、桶に滞留するごみを簡便に除去することが可能であり、タンクから複数の桶に注入された湯の温度にばらつきが生じることを抑制することが可能な足湯装置として、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 足湯装置
2、2a、2b 桶
3 凹部
4 ダストボックス
5 上蓋
6 注入口
7 排出口
8 ポンプユニット
9 吸込口
10 底面
11 側壁
12 底面部
13 空隙
14 外周端
15 返し
16 壁面
17 階段部
18 水平部
19 水平面
20 ねじ
21 タンク
22 ホース
23 分岐チーズ
24 湯圧ノズル
25 分岐チーズ
【要約】
【課題】桶に滞留するごみを簡便に除去することが可能であり、タンクから複数の桶に注入された湯の温度にばらつきが生じることを抑制することが可能な足湯装置を提供する。
【解決手段】足湯装置1は、湯が注入される桶2と、桶2の中央底部に設けられた凹部3に嵌め込まれて設置されるダストボックス4とを備え、ダストボックス4は、その上部を覆う上蓋5を備えている。ダストボックス4は、ダストボックス4内の湯を吸い込んで、ポンプユニット8に送る吸込口9を備えている。吸込口9にはフィルターが装着されており、ポンプユニット8に送られた湯はポンプユニット8によって加圧されて桶2に流入する。桶2の内部でダストボックス4の周囲を旋回する湯の流れが生成されて、桶2の内部のごみがダストボックス4内へ集約される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4