(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記始動装置が、ロータ速度が正になった後に前記ロータが自由に回転する表示を出力し、該表示を出力した後にターボ機械を再始動するよう構成されている、請求項1に記載のターボ機械。
前記トルク発生装置と前記ロータとの間に接続され、前記トルク発生装置から前記ロータにトルクを伝達するよう構成された回転伝達組立体を更に備える、請求項1から3のいずれかに記載のターボ機械。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械の冷却プロセスは、ターボ機械が停止すると直ぐに開始される。通常、ターボ機械の外側部分は、ターボ機械のロータが位置付けられる中央部よりも迅速に冷却されるので、冷却プロセスは一様ではない。従って、ロータがロックされ、自由に回転することができなくなる場合がある。ロックは過渡的なものであり、冷却が完了すると解消される。しかしながら、場合によっては、冷却の完了を待たずにオペレータがターボ機械を再始動することが必要となることがあり、これは高温再始動として知られる状況である。
【0003】
図1には、従来のターボ機械1が示されている。ターボ機械1において、軸流圧縮機10及びタービン20内部のロータは、入口ギアボックス30により受け取られるトルクによって回転することができる。入口ボックス30は、トランスファーギアボックス40からトルクを受け取るよう構成され、該トランスファーギアボックス40は、更にアクセサリギアボックス50に接続されている。アクセサリギアボックス50は、保守パッド60から、又はオーバーランニングクラッチ70を介してスタータ80からトルクを受け取ることができる。
【0004】
ロータが自由に回転できることを確実にし、これによりロータ又はターボ機械1の他の構成要素への損傷を回避するために、従来は、高温再始動の前にロータが自由に回転できるかどうかをオペレータが手動で試験していた。これを可能にするために、オペレータは、ターボ機械のエンクロージャ(図示せず)に入り、保守パッド60のカバーを取り外すことによって該保守パッド60にアクセスする。次いで、オペレータは、動力測定ツールを用いて、最大で所定トルク値までの値を有するトルクをロータに印加する。印加トルクは、アクセサリギアボックス50から、トランスファーギアボックス40及び入口ギアボックス30を介してターボ機械1のロータに伝達される。ロータが回転した場合、試験は成功したとみなされる。そうでなかった場合、ターボ機械が更に冷却されてロータが自由に回転できるようになるまで、高温再始動は実施することができない。試験が成功した場合、オペレータは、保守パッド60のカバーを組立直し、ターボ機械のエンクロージャから離れる。
【0005】
このような手動の試験は比較的長い時間を要する。加えて、試験完了後且つターボ機械の再始動の前には、冷却が継続することに起因してロータがロックする可能性がある。
【0006】
従って、上述の問題及び欠点を回避するシステム及び方法を提供することが望ましいことになる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に組み込まれ且つその一部を構成する添付図面は、1つ又はそれ以上の実施形態を例証しており、本明細書と共にこれらの実施形態を説明する。
【0012】
例示的な実施形態の以下の説明は、添付図面を参照する。異なる図面における同じ参照符号は同じ又は同様の要素を指している。以下の詳細な説明は、本発明の実施形態を限定するものではない。むしろ、本発明の実施形態の範囲は、添付の請求項によって定義される。以下の実施形態は、簡単にするために、ロータを含むターボ機械の用語を用いて且つその構造に関して説明している。しかしながら、以下で検討する実施形態は、これらのシステムに限定されるものではなく、高温再始動の前にロータが自由に回転できるかどうかを試験する必要がある他のシステムにも適用することができる。
【0013】
本明細書を通して「1つの実施形態」又は「実施形態」として言及することは、実施形態に関連して説明される具体的な特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて様々な箇所で表現「1つの実施形態では」又は「ある実施形態では」が出現するが、必ずしも同じ実施形態について言及している訳ではない。更に、具体的な特徴、構造、又は特性は、1つ又はそれ以上の実施形態においてあらゆる好適な様態で組み合わせてもよい。
【0014】
図2は、例示的な実施形態によるターボ機械100の概略図である。ターボ機械100において、圧縮機110及びタービン120内部に位置付けられたロータは、入口ギアボックス130、トランスファーギアボックス140、及びクラッチ170を介してスタータ180から受け取ったトルクによって回転することができる。高温再始動前の自動試験は、様々なターボ機械に適用できることは、当業者であれば理解されるであろう。
【0015】
図3に示す別の実施形態では、ターボ機械200において、圧縮機210及びタービン230内部のロータは、クラッチ270を介してスタータ280から受け取ったトルクによって回転することができる。
【0016】
図4は、圧縮機285及びタービン290を含むシステム201を示している。ロータ295は、圧縮機285内部のインペラと、タービン290内部のロータブレードとを有する単一部品とすることができる。単一シャフト上に配置されたインペラ及びロータブレードは同時に回転し、これにより、タービン290内部で燃料空気混合気の燃焼により生成されるエネルギーを使用して、圧縮機285内部の流体流圧力を増大させることができる。
【0017】
スタータ180及び280は、低トルク低速試験を構成する作業手順によってターボ機械100及び200をそれぞれ制御するよう構成される。低トルク低速試験に基づいて、ターボ機械のロータが自由に回転できるかどうかが判定される。ロータが自由に移動できることを低トルク低速試験が示した場合、高温再始動を開始することができる。
【0018】
図5は、例示的な実施形態による低トルク低速試験を自動的に実施する方法300のフロー図を示している。ターボ機械に接続された始動装置(スタータ180又はスタータ280の何れかのような)は、トルク発生装置及びコントローラを含むことができる。コントローラは、ロータに伝達されるトルクを出力するようにトルク発生装置を制御するよう構成される。しかしながら、コントローラは、始動装置の外部に置くこともできる(すなわち、トルク発生装置及びコントローラは別々の位置に装置を分けることができる)。ステップS310において、トルク発生装置が作動しロータにトルクを出力する。
【0019】
ステップS320において、コントローラは、ロータに伝達されるトルクの出力を増大するようトルク発生装置を制御する。トルク値は、最大で所定トルク値τ
limitまで漸次的に増大する。所定トルク値τ
limitは、通常動作中に生じるトルクよりも実質的に小さい値である。τ
limitよりも小さい値を有するトルクがロータに伝達されると、ロータは、通常動作速度よりも実質的に低い低速度で回転する。すなわち、通常動作と比べて、試験は低トルク且つ低速度で実施される。従って、ロータがロックした場合、当該試験により、ロータ及びロータの周囲又はロータに結合された構成要素は、通常動作範囲でロータを作動させることができなかった場合に発生するはずの応力量よりも小さな応力に曝される。
【0020】
トルクの増大は、段階的に、又は所定のトルク増大率にすることができる。液圧スタータでは、トルク増大は、油圧の増大の結果として生じることができる。油圧が増大し始める時点とトルクが増大し始める時点との間には遅延が生じる可能性がある。油圧は、段階的に、又は一定の割合で増大することができ、均一ではないが漸次的なトルク増大をもたらすことができる。トルク増大がシステムの段階的作動方法の結果である場合、ステップS320に続くステップS330及びS350は、油圧の1回の段階的増大の後に、又は油圧の段階的増大の所定数につき1回実施することができる。トルクが均一に又は不均一に増大すると、S320、S330、及びS350は、コマンドのループ手順として1つずつ順に実施することができる。或いは、S320、S330、及びS350は、平行して(図示せず)実行してもよく、次いで、S330又はS350での「はい」の結果でトルク増大を終了することになる。
【0021】
S330において、トルクを所定トルク値τ
limitと比較する。トルクが所定トルク値τ
limitを上回る(S330で「はい」分岐である)場合、試験結果は、ロータがロックしていることであり、ターボ機械に損傷を及ぼすことなく回転することはできない。次いで、S340において、トルク発生装置が停止し、コントローラは、ロータがロックしている旨の表示を出力する。
【0022】
トルクが所定トルク値τ
limitを上回らなかった場合、例えば、ロータに近接して位置付けられたセンサから取得されたロータ回転速度を「ゼロ」速度値と比較する。「ゼロ」速度値は、誤判定を防ぐために速度測定値の精度を考慮に入れることができる。誤判定結果を防ぐ別の方法は、所定の間隔で又は最大で所定速度値まで速度を増大し続けることである。
【0023】
ロータの回転速度が正(S350にて「はい」分岐)である場合、試験の結果は、ロータが自由に移動できることである。次いで、S360において、トルク発生装置が停止し、コントローラは、ロータが自由であり、これにより機械が高温再始動する準備ができている旨の表示を出力する。
【0024】
S340及びS360における表示の出力は、後続の作動をトリガする信号、オペレータが見ることができるメッセージ、その他とすることができる。表示のうちの1つの出力の後、コントローラは、トルク出力を停止するようトルク発生装置を制御する。しかしながら、表示が、ロータが自由であることである場合、コントローラは、ターボ機械の通常動作又は高温再始動に対するトルクを出力するようトルク発生装置を制御することができる。
【0025】
ロータの回転速度が正でない(S350にて「いいえ」分岐である)場合、S320が続き、すなわち、ロータに印加されることになるトルクを増大させる。
【0026】
図6A及び6Bは、それぞれ不成功及び成功した低速度低トルク試験を示すトルク及びロータ速度(任意の単位)と時間とのグラフである。
【0027】
図6Aでは、ロータがロックされて回転できないと判定される。直線370は、ロータ速度を表し、直線375で表されるトルクの増大にもかかわらず、低トルク低速度試験全体を通じて(すなわち、最大でt
1まで)ゼロのままである。トルクがτ
limitに達すると、試験は成功せず、従って高温再始動ができないことを示し、試験が終了する。
【0028】
図6Bにおいて、ロータは、自由に回転できると判定される。直線375は、増大するトルクを表す。ロータ速度(直線380)は、t
1にて正になる。ロータ速度(直線380)が正になった後、トルクの増大は、所定時間の間、又はロータ速度が所定速度値に達するまで継続し、試験の誤判定結果を避けるようにすることができる。ロータ速度が所定時間中に正のままである場合、又は所定速度値に達した場合には、トルクの増大は、t
2でのトルクがτ
limitよりも小さい場合でもt
2にて終了する。高温再始動は、低トルク低速度試験に続いてロータが完全停止になる前にt
3にて開始することができる。コントローラは、所定時間間隔t
3−t
2の後で通常動作においてトルク値を上昇させるようトルク発生装置を自動的に制御することができ、或いは、オペレータが、低トルク低速度試験が成功した旨の表示を受け取ったときに通常動作コマンドを送出することができる。
【0029】
低トルク低速度試験の終わりに、ロータに印加されるトルクは所定の割合で低減することができる。
図6Bにおいて、t
2(低トルク低速度試験の終わり)と、t
3(通常動作値に向けた印加トルクの上昇の始まり)との間のトルクはゼロで示されているが、このゼロの値は限定ではなく、非ゼロの小さな値又はトルクの低下がt
2とt
3の間で生じることができる点は当業者であれば理解されるであろう。
【0030】
低トルク低速度試験の成功の後で且つロータ停止の前に通常動作のためにターボ機械を再始動することは、試験と再始動との間のロータのロックを防ぐ利点がある。
【0031】
高温再始動中に印加されるトルク(
図6Bにおいてt
3後の直線385)は、試験(直線375)中よりも実質的に高い割合でτ
limitよりも実質的に大きいトルク値まで増大する。高温再始動中のロータ速度(
図6Bの直線390)は、試験中よりも実質的に高い速度値まで実質的により迅速に増大する。
【0032】
図5に示す方法と類似した方法を実施するスタータ180及び280(すなわち、トルク発生装置)は、液圧スタータシステム、膨張スタータシステム(加圧ガス又は空気を使用)、又は電気始動システムを含むことができる。
【0033】
例示的な実施形態による液圧スタータシステム400が
図7に示される。液圧スタータシステム400によるトルク出力のトルク値は、油送管405内の油圧によって決まる。コントローラ410は、ロータの速度(V
rotor)及び油送管405内の油圧に関する情報を受け取るよう構成される。
【0034】
油送管405に沿って油供給部407と油戻り部409との間には、電気モータ430により駆動される液圧ポンプ420が配置されている。液圧ポンプ420により圧送される油の量及び圧力は、ポンプストロークアクチュエータ440の状態と、オープンダンプ弁450の領域の固定流とによって決まる(すなわち、液圧ポンプ420の流れの増大により、油送管内の圧力が増大する)。コントローラ410は、ポンプストロークアクチュエータ440及びオープンダンプ弁450を制御し、低トルク低速度試験を自動的に実施するよう構成される。
【0035】
液圧ポンプ420から下流側で排油管425に向かう分岐パイプ423上にあるダンプ弁450は、液圧スタータシステム400が停止しているときには開放することができる。圧力センサ460は、クラッチ480に接続できる液圧スタータ470に入力された油圧を測定する。クラッチ480は、
図2及び
図3それぞれにおいてクラッチ170又は270に対応することができる。液圧スタータ470から出る油は、油戻り部409に向けてパイプ輸送される。
【0036】
図8は、液圧スタータシステム(例えば、
図7の液圧スタータシステム400)を用いて低トルク低速度試験を自動的に実施する方法500のフロー図を示す。方法500は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせによって実施することができる。
【0037】
ステップS510において、回転チェック(すなわち、低トルク低速度試験の実施)が必要であるかどうかを判定する。例えば、高温再始動が意図されたときには、試験の実施が必要となる。オペレータはまた、例えば、ターボ機械の設置直後の通常起動順序の前に、低トルク低速度試験を実施するコマンドを送出することができる。試験が必要ではないとみなされた場合(S510において「いいえ」分岐)、S520において通常起動手順を開始することができる。
【0038】
試験が必要であるとみなされた場合(S510において「はい」分岐)、S530において、ポンプモータ(例えば、
図7の430)が作動して、ダンプ弁(例えば、
図7の450)が開放され、所定遅延DLY1の後、ストロークアクチュエータ(例えば、
図7の440)をストローク増大率SART1で第1のストローク値SASP1まで増大させることによって油圧が増大する(例えば、
図7のセンサ460によって測定される)。例えば、所定遅延DLY1は17sとすることができ、第1のストローク値SASP1は15%とすることができ、ストローク増大率SART1は0.625%/sとすることができる。これら及び他のストロークに関連する値は、最大ストローク値のパーセンテージを表している。
図8のフロー図を説明する際に記載されるこれら及び他の値は、液圧スタータシステムの構成要素の特異性によって決まり、液圧スタータにおいて低トルク低速度試験の適用範囲を限定するものではない点は当業者であれば理解されるであろう。
【0039】
S540において、ロータ速度AC(例えば、ロータ付近に位置付けられたセンサにより測定される)が所定時間DLY2における所定速度値ACSPよりも大きいかどうかに関する判定を実施する。例えば、所定速度値ACSPは120rpmとすることができ、DLY2は10sとすることができる。低トルク低速度試験は、ロータ速度がDLY2においてACSPよりも大きい場合に成功する。
【0040】
S540における判定の結果が肯定である(S5540の「はい」分岐)場合、試験は成功である。次いで、S550において、ストロークアクチュエータを割合SART2でSAP2まで低下させることによって圧力が減少し、遅延DLY4の後、ダンプ弁が閉鎖される。例えば、SAP2は0%とすることができ、SART2は15%とすることができ、DLY4は1sとすることができる。S550に続くS560において、スタータシステムは、試験が成功した旨の信号を送信し、S570において高温再始動を起こすことができる。
【0041】
S540における判定の結果が否定(すなわち、S540の「いいえ」分岐)である場合、S580において、油圧(例えば、
図7のセンサ460によって測定される)が時間期間DLY3において基準圧力値PTS1よりも大きいかどうかに関する判定を実施する。例えば、PTS1は90バーゲージ(91.013バー絶対に相当)とすることができ、DKY3は10sとすることができる。時間期間DKY3において基準圧力値PTS1よりも大きい油圧は、オーバーランニングクラッチ(例えば、
図7における480)を介して印加されるトルクが限界値に達したことを示している
S580における判定の結果が肯定である(すなわち、S580の「はい」分岐)場合、低トルク低速度試験は不成功である。次いで、S590において、ストロークアクチュエータが割合SART2でSAP2まで低下し、これにより圧力が減少し、遅延DLY5の後にポンプモータが停止する。例えば、DLY5は15sとすることができる。S590に続くS600において、スタータシステムは、試験が不成功であったことを示す。
【0042】
S580における判定の結果が否定であった(S580の「いいえ」分岐)場合、S610において、油圧を所定圧力値PTSP2と比較する。例えば、PTSP2は、10バーゲージ(11.013バー絶対に相当)とすることができる。油圧がPTSP2よりも大きい(すなわち、S610の「はい」分岐)場合、S620において、ストロークアクチュエータ変化率はSART3に設定される。油圧がPTSP2よりも大きくない(すなわち、S610の「いいえ」分岐)場合、トロークアクチュエータ変化率はSART4に設定される。従って、ストロークアクチュエータの変化率は油圧によって決まる。油圧がPTSP2を下回った場合、アクチュエータの変化率はSART4であり、そうでない場合、アクチュエータの変化率は、油圧変動を避けるためにSART3である。例えば、SART3は0.0625%とすることができ、SART4は0.625%とすることができる。
【0043】
S620又はS630に続くS640において、遅延DLY6を観察して油圧を安定化することができるようにし、圧力は、ストロークアクチュエータ設定点の変化率を値SASP3のステップで上昇させることによって増大させる。例えば、SASP3は1.25%とすることができ、DLY6は5sとすることができる。
【0044】
次いで、S650において、ストロークアクチュエータ位置が設定点にあるかどうかに関する判定を実施する。ストロークアクチュエータが設定点(すなわち、S650の分岐「はい」)にある場合、ストロークアクチュエータはS660において現在位置に維持され、次いで、再度S540を実施する。
【0045】
ストロークアクチュエータ位置が設定点(すなわち、S650の分岐「いいえ」)を下回った場合、S670において油圧をPTSP1と比較する。油圧がPTSP1よりも大きいことをこの比較が示した場合(すなわち、S670の分岐「はい」)、S660を実施する。油圧がPTSP1よりも大きくないことをこの比較が示した場合(すなわち、S670の分岐「いいえ」)、S680において、ストロークアクチュエータは設定点に向けて上昇され、再度S650を実施する。
【0046】
図9は、コントローラ410を含む液圧スタータシステム490の代替の実施形態を示し、コントローラ410は、排油管に向かうパイプ上に位置付けられたスロットルバルブ495により油圧を制御する上での代替の影響力を有する。液圧ポンプ420により圧送される油量は、ポンプストロークアクチュエータ440の状態と、スロットルバルブ495の可変流れ面積による圧力とによって決まる(すなわち、固定液圧ポンプ420の流れを設定し、バルブ495の流れ面積を低減することによって、油圧を増大させるようにする)。
【0047】
別の実施形態によれば、自動低トルク低速度試験はまた、
図10に示すように膨張始動装置700を用いて実施することができる。膨張始動装置700において、圧力制御弁710、圧力センサ720、及び膨張スタータ730は、加圧ガス735供給とベント737との間のパイプ732上に配置される。膨張スタータ730は、クラッチ740(オーバーランニングクラッチ180及び280に相当することができる)にトルクを提供する。トルク値は、膨張スタータ730に達する加圧空気の流れ及び/又は圧力によって決まる。コントローラ750は、ロータの速度(V
rotor)及び圧力センサ720から膨張スタータ730に達する加圧空気の圧力に関する情報を受け取るように構成される。コントローラ750はまた、低トルク低速度試験を実施するために圧力値710を制御する(例えば、
図5の300)よう構成される。
【0048】
別の実施形態によれば、自動低トルク低速度試験は、
図11に示すような電気始動装置を用いて実施することができる。伝記始動装置800において、ロータ速度(V
rotor)に関する情報を受け取るコントローラ840は、電気スタータ820に電力を供給する電源810を制御することができる。電気スタータ820は、低トルク低速度試験(例えば、
図5における300)を実施するために、クラッチ830(
図2及び3それぞれにおけるクラッチ180又は280に相当することができる)を介してロータに提供されることになるトルクを生成する。
【0049】
図12は、別の例示的な実施形態による低トルク低速度試験を自動的に実施する方法900のフロー図である。方法900は、S910において、最大で所定トルク値まで漸次的に増大するトルクをロータに自動的に印加する段階を含む。更に、本方法は、S920において、トルクが漸次的に増大している間、ロータの速度を監視する段階を含む。次いで、方法900は、S930において、ロータ速度が正になった後にロータが自由に回転する旨の表示を出力する段階、又はロータ速度がゼロのままであり且つ印加トルクが所定トルク値に達したときにロータがロックしている旨の表示を出力する段階を含む。
【0050】
実施形態の一部は、ターボ機械のロータが自由に回転するかどうかを判定するのに必要な時間が短縮されるという利点を有する。低トルク低速度試験を自動的に実施することにより、ロータがロックされている間、高温再始動の試行に関連した損傷のリスクが低くなる。
【0051】
開示される例示的な実施形態は、ターボ機械のロータが自由に回転するかどうかを判定するために低トルク低速度試験を自動的に実施するシステム、装置、及び方法を提供する。本明細書は、本発明の実施形態を限定することを意図するものではない点は理解されたい。逆に、例示的な実施形態は、添付の請求項によって定義される本発明の技術的思想及び範囲に含まれる、代替形態、修正形態、及び均等形態を保護するものとする。更に、例示的な実施形態の詳細な説明において、請求項に記載された本発明を包括的に理解するために多数の具体的な詳細事項が記載されている。しかしながら、種々の実施形態はこのような具体的な詳細事項がなくとも実施できる点は当業者であれば理解されるであろう。
【0052】
本発明の例示的な実施形態の特徴及び要素は、特定の組み合わせで実施形態において説明したが、各特徴又は要素は、実施形態の他の特徴及び要素を伴わず単独で、或いは本明細書で開示される他の特徴及び要素の有無に関わりなく種々の組み合わせで用いることができる。
【0053】
本明細書は、開示される主題の実施例を用いて、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること及びあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の範囲内にあるものとする。