(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押圧部は、前記第2の基板を押圧して前記第1の基板の一部と前記第2の基板の一部とを接触させるとともに、前記第1の基板と前記本体部の面とが接触しないように押圧力を制御する請求項1〜3のいずれか1つに記載の貼合装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施形態に係る貼合装置1を例示するための模式図である。
図1は、2枚の基板の貼り合わせ面同士を貼り合わせて1枚の基板を作成する貼合装置1を例示するものである。
貼合装置1は、例えば、2枚のシリコンウェーハを直接貼り合わせるものとすることができる。
図1に示すように、貼合装置1には、処理容器11、基板保持部12、基板支持部13、押圧部14、排気部15、測定部16、検出部17が設けられている。
【0009】
処理容器11は、気密構造となっており大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能となっている。処理容器11の側壁には、基板W1(第1の基板の一例に相当する)、基板W2(第2の基板の一例に相当する)の搬入搬出を行うための開口部11aが設けられ、開口部11aを気密に開閉可能な開閉扉11bが設けられている。また、処理容器11の底部には、処理容器11内の排気をするための開口部11cが設けられている。
【0010】
処理容器11の内部には、貼り合わされる一方の基板W1を保持する基板保持部12が設けられている。
基板保持部12は、基板W1を浮上させた状態で保持する。
基板保持部12には、本体部12a、ガス供給部12bが設けられている。
本体部12aは、円柱状を呈し、基板W1を保持する側の面12a1に開口するノズル12a2を有している。
図2は、ノズル12a2の配置を例示するための模式図である。
なお、
図2は、
図1におけるA−A矢視図である。
図2に示すように、ノズル12a2は、面12a1の基板W1の中央領域に対峙する領域12a1a、面12a1の基板W1の周縁領域に対峙する領域12a1b、面12a1の基板W1の中央領域と周縁領域との間の領域に対峙する領域12a1cにそれぞれ設けられている。
なお、ノズル12a2の配置や数は例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。例えば、基板W1の反りが発生しやすい領域や、基板W1を変形させることが必要な領域に集中してノズル12a2を配置することができる。
【0011】
また、
図1に示すように、ノズル12a2には、流路12a3の一方の端部が接続されている。流路12a3の他方の端部には、開閉弁12b4が接続されている。
なお、ノズル12a2の作用に関する詳細は後述する。
【0012】
ガス供給部12bは、ノズル12a2にガスを供給し、サイクロン効果およびベルヌーイ効果の少なくともいずれかを発現させて基板W1を吸引するとともに、基板W1を本体部12aの面12a1から離隔させる。すなわち、基板W1は本体部12aの面12a1に浮上吸着される。基板W1を本体部12aの面12a1から離隔させることができれば、面12a1の状態の影響を受けることがないので、基板W1を保持するとともに、基板W1が処理に適した形状となるようにすることができる。
【0013】
ガス供給部12bには、ガス供給源12b1、温度制御部12b2、流量制御部12b3、開閉弁12b4が設けられている。
ガス供給源12b1、温度制御部12b2、流量制御部12b3、開閉弁12b4は、領域12a1a〜12a1cに設けられた1群のノズル12a2毎にそれぞれ設けられている。そのため、領域12a1a〜12a1c毎にガスの温度、ガスの流量、ガスの供給と停止が制御できるようになっている。
【0014】
ガス供給源12b1は、例えば、高圧のガスを収納した圧力容器などとすることができる。ガス供給源12b1に収納されたガスは、温度制御部12b2、流量制御部12b3、開閉弁12b4を介してノズル12a2に供給され、ノズル12a2の開口から処理容器11内に放出される。そのため、ガス供給源12b1に収納されるガスは、基板の処理(基板の貼り合わせ)に対する影響が少ないものとされる。ガス供給源12b1に収納されるガスは、例えば、窒素ガスや、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの希ガスなどとすることができる。
【0015】
温度制御部12b2は、ガス供給源12b1のガスの流出側に接続されている。温度制御部12b2は、ガス供給源12b1からノズル12a2の内部に供給するガスの温度を制御する。温度制御部12b2は、例えば、ヒータや冷却器、あるいは、加熱と冷却を行える機器などとすることができる。
【0016】
基板W1の温度に面内分布があると基板W1が変形(例えば、反り)するおそれがある。
基板W1が当初から変形していない場合は、基板W1の面内温度が均一になるように領域12a1a〜12a1c毎にガスの温度を制御し、基板W1を変形させないようにすることができる。
また、基板W1が当初から変形している場合もある。この場合、基板W1の変形が小さい場合には、基板W1の温度の面内分布が小さくなるように領域12a1a〜12a1c毎にガスの温度を制御することができる。基板W1の変形が大きい場合には、基板W1の変形が小さくなるように領域12a1a〜12a1c毎にガスの温度を制御することができる。すなわち、基板W1が当初から変形している場合は、基板W1の面内温度を均一にして基板W1がさらに変形しないようにしたり、局部的に加熱あるいは冷却することで変形している基板W1を矯正したりすることができる。
【0017】
流量制御部12b3は、温度制御部12b2のガスの流出側に接続されている。流量制御部12b3は、ガス供給源12b1からノズル12a2の内部に供給するガスの流量を制御する。流量制御部12b3は、例えば、マスフローコントローラ(MFC:Mass Flow Controller)などとすることができる。
【0018】
後述するように、ノズル12a2の内部に供給するガスの流量を制御することで、基板W1を吸引する力を制御することができる。例えば、ノズル12a2の内部に供給するガスの流量を多くすれば基板W1を吸引する力を大きくすることができる。ノズル12a2の内部に供給するガスの流量を少なくすれば基板W1を吸引する力を小さくすることができる。
【0019】
この場合、基板W1の変形がない場合、もしくは基板W1の変形が小さい場合には、領域12a1a〜12a1cにおける吸引力が均一となるようにガスの流量を制御することができる。基板W1の変形が大きい場合には、基板W1の変形が小さくなるように領域12a1a〜12a1c毎にガスの流量を制御することができる。すなわち、基板W1を吸引する力を均一にして基板W1が変形しないようにしたり、基板W1を吸引する力を局部的に変化させて変形している基板W1を矯正したりすることができる。
なお、基板W1の変形状態は、後述する測定部16により測定することができる。
【0020】
すなわち、流量制御部12b3は、基板W1の形状に応じてガスの流量を制御する。
この場合、流量制御部12b3は、複数のノズル12a2毎、および複数のノズル12a2の一群毎の少なくともいずれかにおいてガスの流量を制御することもできる。
【0021】
またさらに、ノズル12a2の内部に供給するガスの流量やガスの温度を制御して、基板W1を処理に適した形状に変形させることもできる。例えば、基板W1の中央領域が上方(基板W2側)に突出したような形状に基板を変形させることもできる。その様な基板W1の形状とすれば、基板W1の中央領域に基板W2を接触させやすくなるので、貼り合わせが容易となる。
【0022】
開閉弁12b4は、流量制御部12b3のガスの流出側に接続されている。開閉弁12b4は、ガス供給源12b1からノズル12a2の内部に供給するガスの供給と停止を制御する。
開閉弁12b4のガスの流出側は、流路12a3を介してノズル12a2に接続されている。
【0023】
基板支持部13は、基板保持部12に保持された基板W1と所定の間隔をあけて対峙させた基板W2の周縁部を支持する。すなわち、基板支持部13は、基板W1に貼り合わされる基板W2の周縁部を支持する。
【0024】
基板支持部13には、支持爪13a、移動部13b、基部13c、位置合わせ部13d、位置合わせ部13eが設けられている。
支持爪13aは、基板W2の周縁部を支持する。そして、支持爪13aに基板W2を支持させることで、基板保持部12に保持された基板W1と対峙する所定の位置に基板W2が支持されるようになっている。
【0025】
移動部13bは、基板W2を支持する位置と、基板W2の径外方向に退避した位置との間で支持爪13aを移動させる。移動部13bは、例えば、サーボモータやパルスモータなどの制御モータを構成要素として含むものとすることができる。
【0026】
基部13cは、処理容器11の底面に設けられている。基部13cの上端部には、支持爪13a、移動部13bが設けられている。なお、支持爪13a、移動部13b毎に基部13cが設けられる場合を例示したがこれに限定されるわけではない。例えば、1つの基部13cに複数の支持爪13a、移動部13bが設けられるようにすることもできる。
【0027】
位置合わせ部13dは、後述する検出部17からの位置合わせに関する情報に基づいて、基板W1と基板W2との相対的な位置を変化させる。この場合、位置合わせ部13dは、基板W2の水平面内における位置を合わせる。
位置合わせ部13dは、例えば、基板保持部12に保持された基板W1に対する基板W2の位置合わせを行うものとすることができる。この場合、位置合わせ部13dとしては、支持爪13aに支持された基板W2の外周縁を水平方向に押して基板W2の位置合わせを行うものを例示することができる。位置合わせ部13dは、例えば、サーボモータやパルスモータなどの制御モータにより構成された図示しない移動部により動作するものとすることができる。
【0028】
位置合わせ部13eは、基板W2の回転方向の位置を合わせる。位置合わせ部13eは、例えば、基板W1の周縁に設けられたノッチにピンを挿入することで基板W2の回転方向の位置を合わせるものとすることができる。位置合わせ部13eは、基部13cに設けられ、例えば、サーボモータやパルスモータなどの制御モータにより構成された図示しない移動部により動作するものとすることができる。
【0029】
なお、支持爪13aの配設数には特に限定はないが、基板W2の周縁の3箇所以上に均等に割り付けられるようにすることが好ましい。その様にすれば基板W2の支持状態を安定させることができる。
【0030】
押圧部14は、支持爪13aに支持された基板W2の略中央部をパッド14cで押圧することにより基板W2を撓ませて、基板W1の貼り合わせ面の一部と基板W2の貼り合わせ面の一部とを接触させる。
押圧部14には、移動部14a、移動軸14b、パッド14cが設けられている。
押圧部14は、本体部12aの面12a1と対峙させて設けられている。また、押圧部14は、支持爪13aに支持された基板W2の略中央部をパッド14cにより押圧することができる様な位置に設けられている。
【0031】
移動部14aは、処理容器11の外部であって本体部12aの面12a1と対峙する位置に設けられている。移動部14aは、サーボモータやパルスモータなどの制御モータを構成要素として含むものとすることができる。また、圧力制御された流体により駆動される要素(例えば、エアシリンダなど)を構成要素として含むものとすることもできる。
移動軸14bは、処理容器11の壁面を貫通するようにして設けられ、一方の端部が移動部14aと接続されている。また、他方の端部にはパッド14cが取り付けられている。
【0032】
パッド14cの先端部分は略半球状を呈し、その基部は円柱状を呈している。パッド14cは、軟質の弾性体から形成され、押圧時に接触部分を点接触から面接触へと変化させることができるようになっている。そのため、押圧点(接合点)における応力を緩和させることができるので、基板W2の損傷を抑制することができる。また、ボイドの発生、割れや欠けの発生、擦り傷の発生、スリップなどによる位置ずれの発生などを抑制することもできる。パッド14cは、例えば、シリコンゴムやフッ素ゴムなどの軟質樹脂により形成することができる。この場合、パッド14cをシリコンゴムあるいはフッ素ゴムから形成すれば、基板W2が汚染されることを抑制することができる。
【0033】
また、移動部14a、移動軸14b、パッド14cの少なくともいずれかにロードセルなどの検出装置を設け、パッド14cによる押圧力を検出して、押圧力が所望の値となるように制御することができる。
そして、パッド14cによる押圧力を制御して、基板W1と基板W2とを貼り合わせる際に、本体部12aの面12a1に浮上吸着されている基板W1の裏面(基板W2と貼り合わせる面とは反対側の面)が本体部12aの面12a1と接触しないようにすることができる。
【0034】
すなわち、押圧部14は、基板W2を押圧して基板W1の一部と基板W2の一部とを接触させるとともに、基板W1の裏面と本体部12aの面12a1とが接触しないように押圧力を制御するものとすることができる。
基板W1の裏面と本体部12aの面12a1とが接触しないようにすることで、例えば、面12a1上にパーティクルが存在していても、基板W1の裏面にパーティクルを付着させずに清浄な状態を保ったまま貼り合わせを行うようにすることができる。
【0035】
排気部15は、配管15aを介して開口部11cに接続されている。排気部15は、処理容器11の内部を排気する。排気部15は、例えば、ドライポンプなどとすることができる。
この場合、ガス供給部12bにより処理容器11の内部にガスが供給されることになる。そのため、排気部15による排気量が、ガス供給部12bによるガスの供給量より多くなるようになっている。
なお、基板W1と基板W2との貼り合わせは、必ずしも減圧雰囲気下で行う必要はなく、例えば、大気圧雰囲気下で行うこともできる。基板W1と基板W2との貼り合わせを減圧雰囲気下で行わない場合には、排気部15を設ける必要はなく、また、処理容器11をパーティクルなどの侵入が抑制される程度の気密構造とすればよい。
【0036】
なお、処理容器11を設けずに、本体部12aの面12a1と対峙させて押圧部14を設けるための図示しない支持体を設けることもできる。図示しない支持体としては、例えば、略逆U字状を呈し、本体部12aと基板支持部13とを跨ぐようにして設けられるものを例示することができる。
ただし、基板W1と基板W2との貼り合わせを減圧雰囲気下で行うようにすれば、基板W1と基板W2との間に空気が巻き込まれることを抑制することができるので、ボイドの発生をより抑制することができる。
【0037】
測定部16は、基板W1の変形状態を測定する。
測定部16には、測定ヘッド16a、移動部16b、演算部16cが設けられている。 測定ヘッド16aは、基板W1の変形量を電気信号に変換するものとすることができる。測定ヘッド16aは、例えば、レーザ変位計などとすることができる。
移動部16bは、測定ヘッド16aと基板W1との相対的な位置を変化させる。移動部16bは、例えば、サーボモータやパルスモータなどの制御モータを構成要素として含むものとすることができる。
演算部16cは、測定ヘッド16aからの電気信号を基板W1の変形量に変換し、基板W1の変形状態を求める。
測定部16は、例えば
図1のように、処理容器11の天井部分に設けてもよいが、例えば本体部12aの内部に設けて、基板W1の裏面の変位を測定することで基板W1の変形状態を測定するようにしてもよい。
【0038】
検出部17は、基板W1および基板W2の周縁部を検出することで基板W1および基板W2の位置を検出する。すなわち、検出部17は、基板保持部12に保持された基板W1の周縁部と、基板支持部13に支持された基板W2の周縁部と、において、基板W1と基板W2との相対的な位置を検出する。
また、検出部17は、基板W1および基板W2の周縁にそれぞれ設けられたノッチの位置を検出する。
【0039】
検出部17には、検出ヘッド17a、演算部17bが設けられている。
検出ヘッド17aは、例えば、処理容器11の天井部分に設けることができる。
検出ヘッド17aは、例えば、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)などとすることができる。
検出ヘッド17aの配設数には特に限定はないが、複数の検出ヘッド17aを本体部12aの周辺に均等に割り付けるようにすれば、検出精度を向上させることができる。
【0040】
演算部17bは、検出ヘッド17aと電気的に接続されている。演算部17bは、検出ヘッド17aからの情報に基づいて、基板W1と基板W2との相対的な位置を演算し、位置合わせに関する情報を作成する。演算部17bは、例えば、画像処理装置とすることができる。位置合わせに関する情報は、基板支持部13に送られ、基板W1と基板W2との相対的な位置を変化させて位置合わせを行う際に用いられる。例えば、
図1に例示をしたものの場合には、基板保持部12に保持された基板W1に対する基板W2の位置合わせを行う際に用いられる。
【0041】
次に、ノズル12a2の作用に関してさらに例示をする。
図3は、ノズル12a2の作用を例示するための模式図である。
なお、
図3(a)はサイクロン効果を利用する場合、
図3(b)はベルヌーイ効果を利用する場合である。
【0042】
図3(a)に示すように、有底の円柱状の孔であるノズル12a2の側壁には流路12a3が接続されている。流路12a3からノズル12a2の内部に供給されたガスにより、ノズル12a2の内部側壁に沿うようにガスの流れが形成され、ノズル12a2の内部に旋回流が形成される。すると、サイクロン効果(ノズル12a2内部の中央部と周縁部との圧力差)により基板W1を吸引する力F1が発生する。一方、流路12a3からノズル12a2の内部に供給されたガスは、ノズル12a2の開口から流出し、本体部12aの面12a1と、基板W1との間を通り、処理容器11の内部に放出される。その結果、本体部12aの面12a1から基板W1を浮上させた状態で基板W1を保持することができる。すなわち、非接触で基板W1を保持することができる。
【0043】
図3(b)に示すように、有底の円柱状の孔であるノズル12a2の底面には流路12a3が接続されている。流路12a3からノズル12a2の内部に供給されたガスは、ノズル12a2の開口から流出し、本体部12aの面12a1と、基板W1との間を通り、処理容器11の内部に放出される。その際、本体部12aの面12a1と、基板W1との間の寸法が短いため、本体部12aの面12a1と、基板W1との間を流れるガスの流速が速くなる。すると、ベルヌーイ効果により基板W1を吸引する力F2が発生する。その結果、本体部12aの面12a1から基板W1を浮上させた状態で基板W1を保持することができる。すなわち、非接触で基板W1を保持することができる。
【0044】
また、ノズル12a2の内部に供給するガスの流量を制御することで、基板W1を吸引する力F1、F2の大きさを変化させることができる。例えば、ノズル12a2の内部に供給するガスの流量を多くすれば基板W1を吸引する力F1、F2を大きくすることができる。ノズル12a2の内部に供給するガスの流量を少なくすれば基板W1を吸引する力F1、F2を小さくすることができる。その結果、基板W1を吸引する力F1、F2を均一にして基板W1が変形しないようにしたり、基板W1を吸引する力F1、F2を例えば領域12a1a〜12a1cに設けられた1群のノズル12a2毎に変化させて変形している基板W1を矯正したりすることができる。
【0045】
またさらに、ノズル12a2の内部に供給するガスの流量を制御して、基板W1を処理に適した形状に変形させることもできる。例えば、基板W1の中央領域が上方に突出したような形状に基板を変形させることもできる。その様な基板W1の形状とすれば、基板W1の中央領域に基板W2を接触させやすくなるので、貼り合わせが容易となる。
また、基板W1の中央領域が上方に突出したような形状に基板を変形させるようにすれば、基板W2との距離を調整することで基板W2の中央領域を押圧部14によって押圧せずとも基板W1に接触させることもできる。この場合、押圧部14は設ける必要はない。
また、基板W1の周縁領域の一部分を上方に突出させてもよい。この場合は、基板W1が突出した部分に対峙する位置またはその周辺にある支持爪13aを、他の支持爪13aよりも先に水平方向に移動(退避)させて基板W2を自重によって基板W1に貼り合わせるようにすることができる。
【0046】
なお、サイクロン効果とベルヌーイ効果とに分けて例示をしたが、サイクロン効果とベルヌーイ効果とが発現する場合もある。また、サイクロン効果を発現するノズルと、ベルヌーイ効果を発現するノズルとを設けることもできる。そのため、サイクロン効果およびベルヌーイ効果の少なくともいずれかが発現するようにすればよい。
ただし、基板W1を浮上吸着することができるものであればよく、サイクロン効果やベルヌーイ効果を発現させることによって基板W1を浮上吸着するものに限定されるわけではない。
【0047】
次に、貼合装置1の作用とともに貼合処理方法について例示をする。
図4は、貼合装置1の作用について例示をするための模式工程図である。
なお、
図4(a)、(c)、(e)、(g)は側面図、
図4(b)は
図4(a)の平面図、
図4(d)は
図4(c)の平面図、
図4(f)は
図4(e)の平面図、
図4(h)は
図4(g)の平面図である。
図5も、貼合装置1の作用について例示をするための模式工程図である。
なお、
図5(a)、(b)は、
図4(g)、(h)に続く模式工程図である。
図5(a)、(c)は側面図、
図5(b)は
図5(a)の平面図、
図5(d)は
図5(c)の平面図である。
【0048】
まず、図示しない搬送装置により、基板W1を開口部11aから処理容器11の内部に搬入する。なお、開閉扉11bは図示しない駆動部により開かれている。
処理容器11の内部に搬入された基板W1は、本体部12aの面12a1上に載置される。
【0049】
次に、基板W1を浮上させた状態で保持する。
ガス供給部12bからガスをノズル12a2に供給し、サイクロン効果およびベルヌーイ効果の少なくともいずれかを利用して基板W1を浮上させた状態で保持する。
また、
図4(a)、(b)に示すように、測定部16により基板W1の変形状態を測定する。例えば、移動部16bにより測定ヘッド16aを移動させながら基板W1の表面の変位を測定し、基板W1の変形状態を測定する。
【0050】
そして、測定された基板W1の変形状態に基づいて、ノズル12a2の内部に供給するガスの流量やガスの温度を制御する。
例えば、ノズル12a2の内部に供給するガスの流量を制御することで、基板W1を吸引する力を均一にして基板W1が変形しないようにしたり、基板W1を吸引する力を例えば領域12a1a〜12a1cに設けられた一群のノズル12a2毎に変化させて変形している基板W1を矯正したりする。または、一群ではなく、複数のノズル12a2のうちいずれかを変化させて変形している基板W1を矯正したりする。
【0051】
また、温度制御部12b2により供給されるガスの温度を制御して、基板W1の面内温度を均一にして基板W1が変形しないようにしたり、局部的に加熱あるいは冷却することで変形している基板W1を矯正したりする。
【0052】
またさらに、基板W1を処理に適した形状に変形させることもできる。例えば、基板W1の中央領域が上方に突出したような形状に基板を変形させることもできる。その様な基板W1の形状とすれば、基板W1の中央領域に基板W2を接触させやすくなるので、貼り合わせが容易となる。
【0053】
すなわち、本実施の形態に係る貼合処理方法は、本体部12aの基板W1を保持する側の面12a1に開口するノズル12a2にガスを供給し、基板W1を吸引するとともに、基板W1を本体部12aの面12a1から離隔させる工程と、基板W1の形状に応じてガスの流量を制御する工程と、を備えている。
また、基板W1の形状に応じてガスの流量を制御する工程において、複数のノズル12a2毎、および領域12a1a〜12a1cに設けられた複数のノズル12a2の一群毎の少なくともいずれかにおいてガスの流量を制御することができる。
また、基板W1を吸引するとともに、基板W1を本体部12aの面12a1から離隔させる工程において、本体部12aの基板W1を保持する側の面12a1に開口するノズル12a2にガスを供給することで、サイクロン効果およびベルヌーイ効果の少なくともいずれかを発現させるようにすることができる。
また、基板W1および基板W2の少なくともいずれかはシリコンウェーハとすることができる。
【0054】
次に、
図4(c)、(d)に示すように、検出部17により基板W1のノッチW1aの位置を検出する。
次に、
図4(e)、(f)に示すように、基板W2を支持する位置に支持爪13aを移動させる。
【0055】
次に、図示しない搬送装置により、基板W2を開口部11aから処理容器11の内部に搬入する。
そして、
図4(g)、(h)に示すように、基板W2を支持爪13aの上に載置する。
続いて、位置合わせ部13dにより基板W2の水平面内における位置を合わせる。
続いて、基板W2の周縁に設けられたノッチW2aの位置を検出部17で検出する。その際、基板W1は基板W2のノッチW2aの位置の検出を行うのに邪魔にならない位置に水平方向に移動させておく。ノッチW2aの位置を検出した後、基板W1を水平移動させ、基板W2との水平位置に合わせる(
図4(g)の位置に戻す)。
続いて、位置合わせ部13eにより基板W1の回転方向の位置を合わせる。例えば、基板W1の周縁に設けられたノッチW1aにピンを挿入することで基板W1の回転方向の位置を基板W2の回転方向の位置に合わせる。
【0056】
次に、基板W1と基板W2とを貼り合わせる。
まず、開閉扉11bが閉じられ処理容器11が密閉される。そして、処理容器11内が排気される。
なお、大気中で貼り合わせを行う場合には、処理容器11内を排気する必要はない。
【0057】
次に、
図5(a)、(b)に示すように、支持爪13aに支持された基板W2の略中央部をパッド14cで押圧することにより基板W2を撓ませて、基板W1の貼り合わせ面の一部と基板W2の貼り合わせ面の一部とを接触させる。
【0058】
この際、貼り合わせの進行とともに支持爪13aを退避方向に徐々に移動させる。支持爪13aを退避方向に移動させると、支持爪13aにより支持される部分が基板W2の周縁部側に移動するので、基板W2の周縁部の高さ方向の位置が下がることになる。そのため、基板W1の貼り合わせ面と基板W2の貼り合わせ面とが接触する部分(貼り合わされた部分)が中央部から周縁部に向けて拡大して行くことになる。そして、基板W2の周縁部が支持爪13aから外れると基板W1の貼り合わせ面と基板W2の貼り合わせ面とが全面において接触することになる。すなわち、基板W1と基板W2とが貼り合わされて基板Wが形成される。
【0059】
また、貼り合わせの進行とともに位置合わせ部13d、13eによる位置合わせを解除する。
また、基板W2の略中央部をパッド14cで押圧する際に、本体部12aの面12a1に浮上吸着されている基板W1の裏面(基板W2と貼り合わせる面とは反対側の面)が本体部12aの面12a1と接触しないように、パッド14cによる押圧力が制御される。
【0060】
次に、
図5(c)、(d)に示すように、パッド14cを上昇させる。
貼り合わされた基板Wは、図示しない搬送装置により処理容器11の外部に搬出される。 以後、必要に応じて前述の手順を繰り返すことで基板W1、基板W2の貼り合わせを連続的に行うことができる。
【0061】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、貼合装置1などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した実施形態においては2枚のシリコンウェーハの直接貼り合わせを行う貼合装置を例に挙げて説明したが、シリコンウェーハと支持基板を接着層を介して貼り合わせる貼合装置や、シリコンウェーハ以外の基板(例えばガラス基板)を貼り合わせる貼合装置などにも適用することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。