(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188126
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】鏡餅容器
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20170821BHJP
B65D 65/42 20060101ALI20170821BHJP
B65D 1/26 20060101ALN20170821BHJP
【FI】
B65D85/50 A
B65D65/42 A
!B65D1/26
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-30237(P2013-30237)
(22)【出願日】2013年2月19日
(65)【公開番号】特開2014-159295(P2014-159295A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2016年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】514240482
【氏名又は名称】株式会社うさぎもち
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100067541
【弁理士】
【氏名又は名称】岸田 正行
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 聡
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特許第4570522(JP,B2)
【文献】
特許第4343998(JP,B1)
【文献】
特開平05−193686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 65/42
B65D 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡餅を模した形状に形成され、底部開口部がシート状部材若しくは蓋状部材によって閉塞される鏡餅容器であって、
該鏡餅容器は、
底部側の端部が正多角形状部、頂部側の端部が前記正多角形状部の頂点における内径と同一内径の円形状部によって形成された第3壁部と、
前記第3壁部の前記円形状部に連設し、内径が一定の第4壁部と、
前記第4壁部の頂部側の端部に連設し、頂部側の内径が底部側の内径よりも小さい第5壁部と、を有しており、
前記第3壁部、前記第4壁部及び前記第5壁部の少なくとも内面に、離型剤を含む離型層を形成したことを特徴とする鏡餅容器。
【請求項2】
前記正多角形状部は、正16角形であることを特徴とする請求項1に記載の鏡餅容器。
【請求項3】
鏡餅を模した形状に形成され、底部開口部がシート状部材若しくは蓋状部材によって閉塞される鏡餅容器であって、
該鏡餅容器は、
底部側の端部が弧形状部を仮想円上に連続的に並べた連続弧形状部であって、前記弧形状部の曲率半径が前記仮想円の曲率半径よりも小さい連続弧形状部、頂部側の端部が隣接する前記弧形状部の接点における内径と同一内径の円形状部によって形成された第6壁部と、
前記第6壁部の前記円形状部に連設し、内径が一定の第7壁部と、
前記第7壁部の頂部側の端部に連設し、頂部側の内径が底部側の内径よりも小さい第8壁部と、を有しており、
前記第6壁部、前記第7壁部及び前記第8壁部の少なくとも内面に、離型剤を含む離型層を形成したことを特徴とする鏡餅容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね鏡餅を模した形状の鏡餅容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
古来より我が国では正月に鏡餅を飾る風習があり、重ね鏡餅を模した形状の鏡餅容器内に餅を充填収納した飾り鏡餅が好評を博している。現在では、大きさ、種類等が多種多様であり、飾り鏡餅に橙を載せたり、飾り物を付したり、また、正月用に限らず、神棚用やその他祝い用にアレンジしたものも多数開発されている。飾り鏡餅は、飾り終わるとその中身の餅を例えば鏡開きの日に食するなど、そのまま捨てずに食する場合が多い。
【0003】
このように容器に餅を収納した飾り鏡餅は、取り扱い易く運搬や販売が容易で、しかも汚れやカビなども生じにくい容器収納構成でありながら、単なる鏡餅形の飾りものではなく、鏡餅容器の中に餅を収納してあくまで中は本物の餅が入った飾り鏡餅であり、飾った後は食べられるように構成しているものである。
【0004】
特許文献1は、鏡餅容器に凹凸を形成したり、鏡餅容器に高温処理若しくは低温処理を施すことにより、充填した餅の排出を容易化した飾り鏡餅を開示する。特許文献2は、鏡餅容器の開口から頂部に向かって凹溝を形成することにより、充填した餅の排出を容易化した飾り鏡餅を開示する。特許文献3は、蓋材を剥離後に、タブを持って横方向に引っ張ると、容器本体が容器コア層のシート流れ方向にそって引き裂かれる易切開性多層容器を開示する。特許文献4は、充填豆腐用容器の収容部の内側に離型剤を塗布すること、充填豆腐用容器を構成する樹脂シートに離型剤を含有させる技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4570522号明細書
【特許文献2】特許第4343998号明細書
【特許文献3】特許第4906662号明細書
【特許文献4】特開2012−232787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、高温処理、低温処理をしなければならないため、製造工程が煩雑であった。また、凹凸処理をシート成形により実施した場合に、内側と外側とが同じ模様となってしまうため、見栄えが悪かった。また、熱収縮率の高いポリプロピレン(PP:polypropylene)を容器の材料として用いた場合に、煮沸殺菌時に容器が収縮し、餅と容器が強固に密着してしまう。そのため、金型代が高く、1個当たりの製造時間が長い射出成形容器しか製造できなかった。
【0007】
特許文献2の構成では、空気が導通する凹溝を形成しなければならないため、見た目が悪くなる。さらに、凹溝を形成するだけでは、餅の取り出しが困難であり、力の強い人間に取り出してもらう必要があった。
【0008】
特許文献3の構成は、構造を脆弱化することにより開封時に切れやすくする構成であるため、輸送中に亀裂が入り不良品の発生率が高くなるおそれがある。
【0009】
特許文献4の構成は、そもそも技術分野が豆腐容器であり、鏡餅には、固化前に粘着性があって容器に貼りつく、加熱殺菌の際に膨張して更に容器に貼りつく、固化すると固くなるため、豆腐のように容器を大幅に変形させて空気を入れることはできない等、豆腐にはない様々な特殊性があるため、従来、豆腐容器の分野で使用されている技術を鏡餅の分野に導入することは全く考慮されていなかった。
【0010】
そこで、本願発明は、鏡餅の取り出しが容易な鏡餅容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明に係る鏡餅容器は、鏡餅を模した形状に形成され、底部開口部がシート状部材若しくは蓋状部材によって閉塞される鏡餅容器であって、該鏡餅容器は、内径を一定にした第1壁部と、底部側の内径が頂部側の内径よりも大きい第2壁部と、を有しており、前記第1壁部及び第2壁部の少なくとも内面に離型剤を含む離型層を形成したことを特徴とする。ここで、「前記第1壁部及び第2壁部の少なくとも内面に離型剤を含む離型層を形成する」の態様として、前記第1壁部及び前記第2壁部を離型剤及び樹脂を含む混合物から構成する態様、樹脂からなる前記第1壁部及び前記第2壁部の内面に離型剤を塗布する態様が考えられる。
【0012】
本願発明に係る鏡餅容器は、鏡餅を模した形状に形成され、底部開口部がシート状部材若しくは蓋状部材によって閉塞される鏡餅容器であって、該鏡餅容器は、底部側の端部が正多角形状部、頂部側の端部が前記正多角形状部の頂点における内径と同一内径の円形状部によって形成された第3壁部と、前記第3壁部の前記円形状部に連設し、内径が一定の第4壁部と、前記第4壁部の頂部側の端部に連設し、頂部側の内径が底部側の内径よりも小さい第5壁部と、を有しており、前記第3壁部、前記第4壁部及び前記第5壁部の少なくとも内面に、離型剤を含む離型層を形成したことを特徴とする。ここで、「前記第3壁部、前記第4壁部及び前記第5壁部の少なくとも内面に離型剤を含む離型層を形成する」の態様として、前記第3壁部、前記第4壁部及び前記第5壁部を離型剤及び樹脂を含む混合物から構成する態様、樹脂からなる前記第3壁部、前記第4壁部及び前記第5壁部の内面に離型剤を塗布する態様が考えられる。
【0013】
前記正多角形状部は、正16角形とするのが好ましい。
【0014】
本願発明に係る鏡餅容器は、鏡餅を模した形状に形成され、底部開口部がシート状部材若しくは蓋状部材によって閉塞される鏡餅容器であって、該鏡餅容器は、底部側の端部が弧形状部を仮想円上に連続的に並べた連続弧形状部であって、前記弧形状部の曲率半径が前記仮想円の曲率半径よりも小さい連続弧形状部、頂部側の端部が隣接する前記弧形状部の接点における内径と同一内径の円形状部によって形成された第6壁部と、前記第6壁部の前記円形状部に連設し、内径が一定の第7壁部と、前記第7壁部の頂部側の端部に連設し、頂部側の内径が底部側の内径よりも小さい第8壁部と、を有しており、前記第6壁部、前記第7壁部及び前記第8壁部の少なくとも内面に、離型剤を含む離型層を形成したことを特徴とする。ここで、「前記第6壁部、前記第7壁部及び前記第8壁部の少なくとも内面に、離型剤を含む離型層を形成する」の態様として、前記第6壁部、前記第7壁部及び前記第8壁部を離型剤及び樹脂を含む混合物から構成する態様、樹脂からなる前記第6壁部、前記第7壁部及び前記第8壁部の内面に離型剤を塗布する態様が考えられる。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、鏡餅の取り出しが容易な鏡餅容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】鏡餅容器のX1−X2断面図である(実施形態3)。
【
図6】鏡餅容器のX1−X2断面図である(実施形態4)。
【
図7】弧形状部が直線形状に変化する様子を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
図1は、鏡餅容器の断面図である。鏡餅容器100は、容器開口部(底部開口部に相当する)101を有し、この容器開口部101は鏡餅が充填された状態において蓋シール(シート状部材若しくは蓋状部材に相当する)102によって閉塞されている。鏡餅容器100は、第1壁部3、4と、第2壁部5、6を含む。なお、
図1の点線は、隣接する壁部の境界を示している。これらの壁部3〜6は、鏡餅容器100の底部側から頂部側に向かって、第1壁部3、第2壁部5、第1壁部4及び第2壁部6の順序で連設されている。すなわち、第1壁部3は、壁部3〜6のうち最も底部側に形成されており、内径R3が一定に形成されている。第2壁部5は、第1壁部3の頂部側端部に連設し、底部側の内径が頂部側の内径よりも大きく形成されている。つまり、第2壁部5は、内径R5が底部側から頂部側に向かって徐々に小さくなる漸減形状に形成されている。
【0018】
第1壁部4は、第2壁部5の頂部側端部に連設し、内径R4が一定(誤差を含む)に形成されている。第1壁部4の内径R4は、第1壁部3の内径R3よりも小さく、第2壁部5の頂部側端部の内径R5と同じである。第2壁部6の内径R6は、底部側の内径が頂部側の内径よりも大きく形成されている。つまり、第2壁部6は、内径R6が底部側から頂部側に向かって徐々に小さくなる漸減形状に形成されている。第2壁部6の底部側端部の内径R6は、第1壁部4の内径R4と同じであり、第2壁部6の頂部側端部の内径R6は0である。
【0019】
ここで、鏡餅容器100が、底部側から頂部側に向かって内径が徐々に大きくなる漸増形状部を有する場合、鏡餅を頂部側から底部側に向かって鏡餅容器100から型抜きする際に、漸増形状部に抗しながら鏡餅を押し込まなければならないため、抜き難くなる。これに対して、本実施形態の鏡餅容器100は、前記漸増形状部を有しないため、鏡餅が型抜きしやすくなる。
【0020】
鏡餅容器100は、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、若しくはポリエチレン(PE:polyethylene)からなる樹脂材料に離型剤を混合した(練り込んだ)混合材料をシート成形することにより成形することができる。ここで、シート成形とは、シート状の樹脂を加工可能な温度にまで加熱し、真空や圧空を掛けてシートを所望の形状に形成する成形方法のことである。シート成形を実施しても、特許文献1のように内側と外側に凹凸が形成されることはないため、見栄えが損なわれることはない。
【0021】
ここで、離型剤には、ステアロイル乳酸カルシウム、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルのうち少なくとも一種を用いることができる。離型剤が用いられることにより、鏡餅容器100の内壁面における摩擦抵抗が小さくなるため、鏡餅を取り出し易くすることができる。また、これらの離型剤は、衛生面、安全面においも優れているため、安全面を考慮しながら鏡餅の取り出しが容易な鏡餅容器100を提供することができる。
【0022】
また、鏡餅容器100を熱収縮率の高いポリプロピレン(PP:polypropylene )で形成した場合には、煮沸殺菌時に容器本体100が収縮して、餅と容器本体100が密着するが、上述の構成を採用することにより、鏡餅が取り出しにくくなる不具合を防止できる。また、特許文献1のように加熱処理、低温処理が不要となるため、製造工程を簡素化することができる。さらに、特許文献1の構成よりも金型代が安価となり、生産効率を向上させることができる。
【0023】
本実施形態では、特許文献3に開示されたような脆弱構造部を設ける必要がないため、輸送中に鏡餅容器100に亀裂が入る等の不具合を抑制することができる。
【0024】
(実施形態2)
図2は、鏡餅容器の断面図であり、
図1と共通する要素には同一符号を付している。本実施形態の鏡餅容器200は、実施形態1の鏡餅容器100と形状が同じであり、容器本体部201の内周面に離型層202を形成することにより構成されている。容器本体部201は、樹脂によって形成することができる。樹脂には、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、若しくはポリエチレン(PE:polyethylene)を用いることができる。
【0025】
離型層202は、容器本体部201の内周面に離型剤を塗布することにより形成することができる。離型剤には、ステアロイル乳酸カルシウム、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルのうち少なくとも一種を用いることができる。本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0026】
(実施形態3)
図3は、本実施形態の鏡餅容器の断面図である。鏡餅容器300は、容器開口部(底部開口部に相当する)301を有し、この容器開口部301は鏡餅が充填された状態において蓋シール(シート状部材若しくは蓋状部材に相当する)302によって閉塞されている。鏡餅容器300は、第3壁部303と、第4壁部304、305と、第5壁部306、307とを含む。これらの壁部303〜307は、鏡餅容器300の底部側から頂部側に向かって、第3壁部303、第4壁部304、第5壁部306、第4壁部305及び第5壁部307の順序で連設されている。すなわち、第3壁部303は、壁部303〜307のうち最も底部側に形成されている。
【0027】
図4は、第3壁部303をX1−X2断面で切断した内面の断面図であり、実線が第3壁部303の底部側端部の輪郭を示しており、点線は第3壁部303の頂部側端部を透視して図示したものである。第3壁部303の底部側端部は正16角形形状部303aによって形成されており、頂部側端部は円形状部303bによって形成されている。つまり、正16角形形状部303aの各辺は底部側から頂部側に近づくにしたがって徐々に曲率半径が小さくなり、正16角形から円形状に変化する。
【0028】
再び
図3を参照して、第4壁部304は、内径が一定(誤差を含む)に形成されている。第5壁部306は、第4壁部304の頂部側端部に連設しており、底部側の内径が頂部側の内径よりも大きく形成されている。つまり、第5壁部306は、内径が底部側から頂部側に向かって徐々に小さくなる漸減形状に形成されている。第4壁部305は、内径が一定(誤差を含む)に形成されている。第5壁部307は、第4壁部305の頂部側端部に連設しており、底部側の内径が頂部側の内径よりも大きく形成されている。つまり、第5壁部307は、内径が底部側から頂部側に向かって徐々に小さくなる漸減形状に形成されている。第5壁部307の頂部側端部の内径は0である。
【0029】
鏡餅容器300は、実施形態1と同様に、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、若しくはポリエチレン(PE:polyethylene)からなる樹脂材料に離型剤を混合した混合材料をシート成形することにより成形することができる。上述の構成によれば、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0030】
また、本実施形態では、鏡餅容器300の底部側端部に第3壁部303が形成されており、16角形状部の各頂点から頂部側に向かって空気層を形成することができる。これにより、餅と鏡餅容器300との間に隙間が形成されるため、餅をより抜きやすくすることができる。空気層は、正16角形形状部303aの各頂点に対応した非常に小さな領域に分割して形成されるため、見栄えを損なうことがなく、また、空気層を周方向に略均等に分散できるため、餅が剥離しにくくなる領域を少なくすることができる。
【0031】
ここで、第3壁部303の底部側端部は、正16角形以外の正多角形(例えば、正8角形、正32角形)で構成することもできる。ただし、見栄えと、餅の剥離性を考慮すると、正16角形とするのが最も好ましい。つまり、正多角形の角数が多くなるほど、円形に近くなり見栄えはよくなるが、頂点の数だけ空気が分散してしまうため、これらを両立する形状としては正16角形とするのが好ましい。
【0032】
本実施形態においても、実施形態2に記載したように、鏡餅容器300を樹脂からなる容器本体と、離型層とから構成することができる。
【0033】
(実施形態4)
図5は、本実施形態の鏡餅容器の断面図である。鏡餅容器400は、容器開口部(底部開口部に相当する)401を有し、この容器開口部401は鏡餅が充填された状態において蓋シール(シート状部材若しくは蓋状部材に相当する)402によって閉塞されている。鏡餅容器400は、第6壁部403と、第7壁部404、405と、第8壁部406、407とを含む。これらの壁部403〜407は、鏡餅容器400の底部側から頂部側に向かって、第6壁部403、第7壁部404、第8壁部406、第7壁部405及び第8壁部407の順序で連設されている。すなわち、第6壁部403は、壁部403〜407のうち最も底部側に形成されている。
【0034】
図6(a)は、第6壁部403をX1−X2断面で切断した内面の断面図であり、実線が第6壁部403の底部側端部の輪郭を示しており、点線で示す円403b(仮想円に相当する)は第6壁部403の頂部側端部の輪郭を透視して図示したものである。
第6壁部403の底部側端部は、弧形状部403aを円403b上に配列した連続弧形状に形成されている。弧形状部403aは、曲率半径が円403bよりも小さく形成されており、円403bの内径方向に屈曲している。各弧形状部403aは、底部側から頂部側に近づくにしたがって徐々に円403bに近づく方向に曲率が変化する。なお、各弧形状部403aは、互いに曲率半径が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0035】
再び、
図5を参照して、第7壁部404は、内径が一定(誤差を含む)に形成されている。第8壁部406は、第7壁部404の頂部側端部に連設しており、底部側の内径が頂部側の内径よりも大きく形成されている。つまり、第8壁部406は、内径が底部側から頂部側に向かって徐々に小さくなる漸減形状に形成されている。第7壁部405は、内径が一定(誤差を含む)に形成されている。第8壁部407は、第7壁部405の頂部側端部に連設しており、底部側の内径が頂部側の内径よりも大きく形成されている。つまり、第8壁部407は、内径が底部側から頂部側に向かって徐々に小さくなる漸減形状に形成されている。第8壁部407の頂部側端部の内径は0である。
【0036】
鏡餅容器400は、実施形態1と同様に、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、若しくはポリエチレン(PE:polyethylene)からなる樹脂材料に離型剤を混合した混合材料をシート成形することにより成形することができる。上述の構成によれば、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0037】
また、本実施形態では、鏡餅容器400の底部側端部に第6壁部403が形成されており、頂点(言い換えると、隣接する弧形状部403aの接続点)に沿って底部側から頂部側に向かって空気層を形成することができる。これにより、餅と鏡餅容器400との間に隙間が形成されるため、餅をより抜きやすくすることができる。空気層は、各頂点に対応した非常に小さな領域に分割して形成されるため、見栄えを損なうことがなく、また、空気層を周方向に略均等に分散できるため、餅が剥離しにくくなる領域を少なくすることができる。
【0038】
ただし、各弧形状部403aは、
図6(b)に図示するように、円403bの径方向外側方向に屈曲させることもできる。この場合、各弧形状部403aの頂点以外の辺の部分に沿って底部側から頂部側に空気層を形成することができる。これにより、餅と鏡餅容器400との間に隙間が形成されるため、餅をより抜きやすくすることができる。また、
図7に図示するように、餅を抜く際に、弧形状部403aを弧形状から直線形状に変形させ、隙間をより大きくすることにより、より餅を抜きやすくすることができる。
【0039】
本実施形態においても、実施形態2に記載したように、鏡餅容器400を樹脂からなる容器本体と、離型層とから構成することができる。
【0040】
(変形例1)
上述の構成では、鏡餅を二段重ねる構成について説明したが、本願発明は、一段又は三段以上鏡餅を重ねる場合にも適用することができる。例えば、実施形態1の構成において、第2壁部6の上部を、第1壁部及び第2壁部が連設する構造に変えることもできる。
【符号の説明】
【0041】
3、4・・・第1壁部
5、6・・・第2壁部
100、200、300、400・・・鏡餅容器
101、201、301、401・・・容器開口部
102、202、302、402・・・蓋シール
303・・・第3壁部
303a・・・正16角形形状部
303b・・・円形状部
304、305・・・第4壁部
306、307・・・第5壁部
403・・・第6壁部
403a・・・弧形状部
403b・・・円
404、405・・・第7壁部
406、407・・・第8壁部