(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内側の半導体領域の底面及び側面を該半導体領域と導電型の異なる半導体領域が取り囲むように、半導体基板の上部の一部に埋め込まれて積層された複数の半導体領域をそれぞれ有する第1及び第2の太陽電池と、
前記第1の太陽電池と前記第2の太陽電池にそれぞれ構成されるpn接合を電気的に接続するように前記第1の太陽電池と前記第2の太陽電池間の電気的な接続状態を制御する制御素子と
を備え、
前記第1及び第2の太陽電池のいずれか一方が前記制御素子と接続する領域と、前記制御素子の主電極領域の周囲に配置されたウェル領域とが電気的に接続され、
前記第1及び第2の太陽電池の他方が前記制御素子と接続する領域と、前記制御素子の前記ウェル領域を前記制御素子の形成された半導体基板から絶縁分離する領域とが電気的に接続されている
ことを特徴とする半導体装置。
前記制御素子を複数備え、前記制御素子をそれぞれ制御することによって、前記第1及び第2の太陽電池に構成される前記pn接合間の電気的な接続について、設定可能な複数の接続状態から任意の接続状態を選択的に設定することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
前記第1及び第2の太陽電池と前記制御素子とが形成された前記半導体基板と並列に、前記基板間接続素子が接続されていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
前記第1及び第2の太陽電池から電力を供給される半導体集積回路が、前記第1及び第2の太陽電池が形成された前記半導体基板上に形成されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
前記制御素子がトランジスタであり、前記制御素子がオン状態の場合に前記第1の太陽電池と前記第2の太陽電池間が電気的に接続されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
前記第1の太陽電池の前記複数の半導体領域から選択された1の半導体領域と、選択された前記半導体領域と導電型の異なる第2の太陽電池の1の半導体領域とが前記制御素子によって電気的に接続されて、前記第1の太陽電池と前記第2の太陽電池が直列接続されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
前記第2の太陽電池の前記複数の半導体領域のうちの前記半導体基板と導電型が異なる1の半導体領域と前記半導体基板とが前記制御素子によって電気的に接続され、前記第1の太陽電池と前記第2の太陽電池とが前記半導体基板を介して直列接続されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
前記第1の太陽電池の前記複数の半導体領域のうちの最内側の第1の半導体領域に隣接する第2の半導体領域と、前記第2の半導体領域の外側に隣接する第3の半導体領域とが前記制御素子によって電気的に接続されていることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
前記第1の太陽電池の前記複数の半導体領域から選択された半導体領域と、選択された前記半導体領域と導電型が同じ第2の太陽電池の所定の半導体領域とが前記制御素子によって電気的に接続されて、前記第1の太陽電池と前記第2の太陽電池が並列接続されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
前記基板間接続素子がトランジスタであり、前記基板間接続素子がオン状態の場合に前記太陽電池間が電気的に接続されることを特徴とする請求項15又は16に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0011】
また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置1は、
図1に示すように、半導体基板100にそれぞれ形成された半導体集積回路40、第1の太陽電池10及び第2の太陽電池20、制御素子50を備える。制御素子50によって、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20間の電気的な接続状態が制御される。
【0013】
具体的には、制御素子50の導通状態、即ちオン・オフによって、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20間の電気的な接続状態が設定される。したがって、制御素子50には、制御素子50のオン状態及びオフ状態を外部からの信号によって任意に切り替えられる自己消弧素子を採用可能である。例えば、制御素子50にトランジスタやサイリスタなどを使用できる。
【0014】
図1に示した例では、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20にそれぞれ構成されるpn接合が、制御素子50がオン状態の時に直列接続される。
【0015】
制御素子50を介して第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とを接続した構成を、以下において「太陽電池列30」という。太陽電池列30は、半導体集積回路40に電力を供給する。なお、
図1では半導体集積回路40の構造の図示を省略しているが、半導体集積回路40は一般的な半導体製造プロセスで製造される発振回路、演算回路、メモリ回路、無線送受信回路、光電力制御回路などを含む。
【0016】
制御素子50は、半導体集積回路40と同時に製造可能である。例えば半導体集積回路40がMOS集積回路であれば、制御素子50にMOSトランジスタを採用可能であり、半導体集積回路40がバイポーラ集積回路であれば、制御素子50にバイポーラトランジスタを採用可能である。
【0017】
第1の太陽電池10と第2の太陽電池20のそれぞれは、内側の半導体領域の底面及び側面をその半導体領域と導電型の異なる半導体領域が取り囲むように積層された複数の半導体領域11〜15、21〜25を備える。半導体領域11〜15、21〜25は、
図1に示すように半導体基板100の上部の一部に埋め込まれている。
【0018】
なお、第1導電型と第2導電型とは互いに反対導電型である。すなわち、第1導電型がp型であれば第2導電型はn型であり、また、第1導電型がn型であれば第2導電型はp型である。以下では、第1導電型がp型、第2導電型がn型である場合について、例示的に説明する。
【0019】
図1に示した第1の太陽電池10、第2の太陽電池20、制御素子50の構造を、以下に説明する。
【0020】
第1の太陽電池10及び第2の太陽電池20のそれぞれは、p型の半導体基板100の上面の一部に形成された凹部に埋め込まれた、上面の一部に凹部が形成されたn型の第1ウェル領域11、21と、第1ウェル領域11、21の凹部に埋め込まれた、上面の一部に凹部が形成されたp型の第2ウェル領域12、22と、第2ウェル領域12、22の凹部に埋め込まれたn型の不純物拡散領域15、25とを備える。ただし、他の領域と電気的に接続しない場合は、不純物拡散領域15、25は省略してもよい。
【0021】
図1に示した例では、第1ウェル領域11、21のそれぞれは、半導体基板100に埋め込まれたn型の埋め込み領域111、211と、第2ウェル領域12、22を取り囲むように埋め込み領域111、211上に配置されたn型の側壁領域112、212からなる。
【0022】
なお、表面から膜厚方向に沿って順次低くなるように、複数の半導体領域11〜15、21〜25の不純物濃度が設定されている。例えば半導体基板100の不純物密度は10
16cm
-2程度、第1ウェル領域11、21の不純物密度は10
17cm
-2程度、第2ウェル領域12、22の不純物密度は10
18cm
-2程度、不純物拡散領域15、25の不純物密度は10
19〜10
20cm
-2程度である。
【0023】
図1に示した半導体装置1では、n型の第1ウェル領域11、21によってp型の第2ウェル領域12、22がp型の半導体基板100から絶縁分離されるため、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とを直列接続することができる。例えば、第1の太陽電池10の複数の半導体領域から選択された1の半導体領域と、選択された半導体領域と導電型の異なる第2の太陽電池20の1の半導体領域とを制御素子50を介して電気的に接続することにより、第1の太陽電池10と第2の太陽電池とを直列接続できる。
【0024】
図1では、制御素子50が、n型チャネルMOS(以下において、「nMOS」という。)トランジスタである例を示している。制御素子50のソース領域510及びドレイン領域520は、pウェル領域52の上面に互いに離間して配置されたn型領域として形成されている。pウェル領域52は、半導体基板100に埋め込まれたn型の埋め込み領域511と埋め込み領域511の外周部上に配置されたn型の側壁領域512からなるnウェル領域51によって、p型の半導体基板100から絶縁分離されている。ゲート電極530は、ソース領域510とドレイン領域520間で、ゲート絶縁膜540を介してpウェル領域52上に配置されている。
【0025】
なお、オーミック抵抗を低くするために、他の半導体領域と電気的に接続される領域の不純物濃度を周囲よりも高くすることが有効である。以下において、周囲よりも不純物濃度の高い領域を「接続領域」という。例えば、
図1では第1の太陽電池10の第2ウェル領域12内に、周囲よりも不純物濃度の高い接続領域121を設けている。また、制御素子50のpウェル領域52内に、周囲よりも不純物濃度の高い接続領域521が設けられている。
【0026】
図1は、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20が、オン状態の制御素子50を介して直列接続される例を示している。即ち、制御素子50を導通することにより、第1の太陽電池10の第2ウェル領域12と第2の太陽電池20の第1ウェル領域21とが電気的に接続される。
【0027】
具体的には、ソース領域510が第1の太陽電池10の第2ウェル領域12と接続領域121を介して電気的に接続され、ドレイン領域520が第2の太陽電池20の第1ウェル領域21と電気的に接続されている。そして、外部からの電気信号をゲート電極530に入力することによって制御素子50がオン状態となり、第1の太陽電池10と第2の太陽電池とが直列接続される。
【0028】
その結果、太陽電池列30の出力電圧を上昇させることができる。これにより、例えば第1の太陽電池10及び第2の太陽電池20に照射される光が減少した場合に、半導体集積回路40の負荷駆動力を維持することができる。また、半導体集積回路40の負荷が増大した場合に、半導体集積回路40の負荷駆動力を増大させることができる。
【0029】
ところで、第1の太陽電池10の不純物拡散領域15と第1ウェル領域11とはほぼ同一電位であるため、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とを直列接続した太陽電池列30のマイナス側電極31は、第1の太陽電池10の不純物拡散領域15と第1ウェル領域11のいずれを使用してもよい。この太陽電池列30のプラス側電極32は、第2の太陽電池20の第2ウェル領域22である。
図1に示した例では、オーミック抵抗を低くするために、第2の太陽電池20の第2ウェル領域22内に、周囲よりも不純物濃度の高い接続領域221を設けている。この接続領域221が太陽電池列のプラス側電極32として使用される。
【0030】
したがって、オン状態の制御素子50を介して直列接続された太陽電池列30の電流経路は、「第1の太陽電池10の不純物拡散領域15と第1ウェル領域11のいずれか」−「第1の太陽電池10の第2ウェル領域12」−制御素子50−「第2の太陽電池20の第1ウェル領域21」−「第2の太陽電池20の第2ウェル領域22」である。「第1の太陽電池10の不純物拡散領域15と第1ウェル領域11のいずれか」と「第1の太陽電池10の第2ウェル領域12」間のpn接合、及び「第2の太陽電池20の第1ウェル領域21」と「第2の太陽電池20の第2ウェル領域22」間のpn接合で、それぞれ電圧が発生する。1つのpn接合で発生する電圧は0.5V程度であり、
図1に示した半導体装置1では1.0V近くの電圧が発生する。
【0031】
制御素子50がnMOSトランジスタの場合には、しきい値電圧以上のゲート電圧、例えば0.8Vをゲート電極530に印加することにより、制御素子50をオンさせることができる。
【0032】
一方、ゲート電圧が0Vであれば、制御素子50はオフ状態であり、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20は直接接続とはならない。即ち、制御素子50がオフ状態の時には、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20間には半導体基板100を介して電流が流れる。このとき、出力電圧は0.5V程度である。
【0033】
制御素子50のソース領域510及びドレイン領域520をフローティング状態にせずに電位を安定させるために、これらの領域を第1の太陽電池10や第2の太陽電池20の所定の領域と電気的に接続させてもよい。
図1では、制御素子50の側壁領域512を第1の太陽電池10の接続領域121に接続し、制御素子50の接続領域521を第2の太陽電池20の側壁領域212に接続した例を示した。或いは、制御素子50の側壁領域512を第2の太陽電池20の側壁領域212に接続し、制御素子50の接続領域521を第1の太陽電池10の接続領域121に接続してもよい。
【0034】
図1に示した半導体装置1を半導体集積回路40と接続した例を、
図2に示す。
図2に示した半導体集積回路40の例は、ソース電極S1、ドレイン電極D1及びゲート電極G1を有してnウェル領域410に形成されたp型チャネルMOS(以下において、「pMOS」という。)トランジスタ401と、ソース電極S2、ドレイン電極D2及びゲート電極G2を有してpウェル領域420に形成されたnMOSトランジスタ402とで構成されたCMOSトランジスタ回路である。pウェル領域420は、半導体基板100に埋め込まれたn型の埋め込み領域411と、埋め込み領域411上に配置されたn型の側壁領域412によってp型の半導体基板100から絶縁分離されている。
【0035】
図2に示したように、太陽電池列30のプラス側電極32をpMOSトランジスタ401のV
DD電極に接続し、マイナス側電極31をnMOSトランジスタ402のV
SS電極に接続することで、0.9V程度の電圧を半導体集積回路40に印加することができる。
【0036】
上記のように、半導体装置1は、隣接する半導体領域の導電型が互いに異なるように3層重ねたトリプルウェル構造を有する。つまり、第1の太陽電池10の第2ウェル領域12が第1ウェル領域11によって半導体基板100から絶縁分離され、第2の太陽電池20の第2ウェル領域22が第1ウェル領域21によって半導体基板100から絶縁分離される。このため、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20にそれぞれ構成されるpn接合が直列に接続されるように第1の太陽電池10と第2の太陽電池20を直列接続することによって、1.0V程度の電圧が発生する。また、半導体集積回路40においてp型のウェル領域がp型の半導体基板100から絶縁分離されるので、半導体基板100とは独立した電位をp型のウェル領域に印加することができる。これにより、半導体集積回路40の回路動作に悪影響を与えずに、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20からなる太陽電池列30の高電圧を半導体集積回路40に印加することができる。
【0037】
制御素子50がpMOSトランジスタである場合を、
図3に示す。制御素子50は、半導体基板100に埋め込まれたn型の埋め込み領域511上に配置されたn型のnウェル領域53に形成されている。ソース領域510及びドレイン領域520は、nウェル領域53の上面に互いに離間して配置されたp型領域として形成されている。ゲート電極530は、ソース領域510とドレイン領域520間でゲート絶縁膜540を介してnウェル領域53上に配置されている。ソース領域510と第1の太陽電池10の第2ウェル領域12とが接続領域121を介して電気的に接続され、ドレイン領域520と第2の太陽電池20の第1ウェル領域21とが電気的に接続されている。
【0038】
しきい値電圧以下の、例えば−0.8Vのゲート電圧をゲート電極530に印加することにより制御素子50がオン状態となって、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とが直列接続される。一方、ゲート電圧が0Vであれば、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とは直列接続とならず、出力電圧は0.5V程度である。
【0039】
制御素子50のソース領域510及びドレイン領域520の電位を安定させるために、
図3では、制御素子50のnウェル領域53を第1の太陽電池10の接続領域121と接続し、nウェル領域53の接続領域531を第2の太陽電池20の側壁領域212に接続した例を示した。或いは、制御素子50のnウェル領域53を第2の太陽電池20の側壁領域212に接続し、制御素子50の接続領域531を第1の太陽電池10の接続領域121に接続してもよい。
【0040】
図4に、トリプルウェル構造の第1の太陽電池10と第2の太陽電池20を、制御素子50を介して直列接続する他の例を示す。
図4に示した例は、第2の太陽電池20の複数の半導体領域のうちで半導体基板100と導電型が異なる1の半導体領域と、半導体基板100とが電気的に接続される。これにより、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とが半導体基板100を介して直列接続されている。具体的には、第2の太陽電池20の第1ウェル領域21と半導体基板100とが、オン状態の制御素子50を介して電気的に接続される。なお、
図4に示すように半導体基板100の上面に、制御素子50とのコンタクト用に不純物濃度が高い接続領域101が形成されている。
【0041】
制御素子50には、
図4に示したようにnMOSトランジスタを使用してもよいし、
図3に示したpMOSトランジスタを使用してもよい。
【0042】
図4に示した半導体装置1の太陽電池列の電流経路は、「第1の太陽電池10の第1ウェル領域11」−「半導体基板100」−制御素子50−「第2の太陽電池20の第1ウェル領域21」−「第2の太陽電池20の第2ウェル領域22」である。「第1の太陽電池10の第1ウェル領域11」と「半導体基板100」間のpn接合、及び「第2の太陽電池20の第1ウェル領域21」と「第2の太陽電池20の第2ウェル領域22」間のpn接合で、それぞれ電圧が発生する。したがって、
図4に示した太陽電池列においても1.0V近くの電圧が発生する。なお、第1の太陽電池10の第1ウェル領域11が太陽電池列30のマイナス側電極31として使用され、第2の太陽電池20の第2ウェル領域22が太陽電池列30のプラス側電極32として使用される。
【0043】
不純物拡散領域15と第1ウェル領域11とはほぼ同一電位であるため、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とを直列接続した太陽電池列30のマイナス側電極31は、第1の太陽電池10の不純物拡散領域15と第1ウェル領域11のいずれを使用してもよい。なお、不純物拡散領域15、25を電流経路に含まない場合には、これらの形成を省略してもよい。
【0044】
図5に、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20からなる太陽電池列30によって更に高電圧を発生させる例を示す。
図5では、制御素子50の図示を省略している。
図5に示した例は、
図4に示した太陽電池列30について、更に、第1の太陽電池10の複数の半導体領域のうちの最内側の第1の半導体領域である不純物拡散領域15に接する第2の半導体領域と、第2の半導体領域に隣接する第3の半導体領域とを電気的に接続した構造である。具体的には、第2の太陽電池20の第1ウェル領域21と半導体基板100とが電気的に接続され、且つ、第1の太陽電池10の第1ウェル領域11と第2ウェル領域12とが電気的に接続されている。
【0045】
図5に示した半導体装置1の太陽電池列30の電流経路は、「第1の太陽電池10の不純物拡散領域15」−「第1の太陽電池10の第2ウェル領域12」−「第1の太陽電池10の第1ウェル領域11」−「半導体基板100(接続領域101)」−「第2の太陽電池20の第1ウェル領域21」−「第2の太陽電池20の第2ウェル領域22」である。「第1の太陽電池10の不純物拡散領域15」と「第1の太陽電池10の第2ウェル領域12」間のpn接合、「第1の太陽電池10の第1ウェル領域11」と「半導体基板100」間のpn接合、及び「第2の太陽電池20の第1ウェル領域21」と「第2の太陽電池20の第2ウェル領域22」間のpn接合で、それぞれ電圧が発生する。したがって、
図5に示した太陽電池列においては1.3V程度の電圧が発生する。なお、第1の太陽電池10の不純物拡散領域15が太陽電池列30のマイナス側電極31として使用され、第2の太陽電池20の第2ウェル領域22の接続領域221が太陽電池列30のプラス側電極32として使用される。不純物拡散領域25は形成を省略してもよい。
【0046】
制御素子50にトランジスタを使用して
図5に示した太陽電池列30を実現する例を、
図6に示す。即ち、第1の太陽電池10の第1ウェル領域11がnMOSトランジスタ50Aのソース領域510に接続され、第2ウェル領域12がnMOSトランジスタ50Aのドレイン領域520に接続されている。また、第2の太陽電池20の第1ウェル領域21がpMOSトランジスタ50Bのドレイン領域520に接続され、半導体基板100の接続領域101がpMOSトランジスタ50Bのソース領域510に接続されている。
【0047】
例えば、
図6に示したnMOSトランジスタ50Aのゲート電極530には、半導体基板100に形成された他の1組の太陽電池列30を
図5に示したように接続してプラス側電極32に発生させた1.3Vの電圧を印加する。pMOSトランジスタ50Bのゲート電極530には、マイナス側電極31に発生させた0Vを印加する。
【0048】
その結果、第2の太陽電池20の第1ウェル領域21と半導体基板100とがオン状態のpMOSトランジスタ50Bによって電気的に接続され、且つ、第1の太陽電池10の第1ウェル領域11と第2ウェル領域12とがオン状態のnMOSトランジスタ50Aによって電気的に接続される。
【0049】
図7に示すように、半導体装置1を更に多層ウェル構造とすることで、より高い電圧を発生することができる。
図7に示した半導体装置1では、第1の太陽電池10及び第2の太陽電池20は以下の構造を有する。即ち、p型の半導体基板100の上面の一部に形成された凹部に埋め込まれた、上面の一部に凹部が形成されたn型の第1ウェル領域11、21と、第1ウェル領域11、21の凹部に埋め込まれた、上面の一部に凹部が形成されたp型の第2ウェル領域12、22と、第2ウェル領域12、22の凹部に埋め込まれた、上面の一部に凹部が形成されたn型の第3ウェル領域13、23と、第3ウェル領域13、23の凹部に埋め込まれた、上面の一部に凹部が形成されたp型の第4ウェル領域14、24と、第4ウェル領域14、24の凹部に埋め込まれたn型の不純物拡散領域15、25とを備える。
図7に示した例では、第1ウェル領域11、21は、半導体基板100に埋め込まれた埋め込み領域111、211と、内側の第2ウェル領域12、22を取り囲むように埋め込み領域111、211上に配置された側壁領域112、212とから構成されている。また、第3ウェル領域13、23は、第2ウェル領域12、22に埋め込まれた埋め込み領域131、231と、内側の第4ウェル領域14、24を取り囲むように埋め込み領域131、231上に配置された側壁領域132、232とから構成されている。
【0050】
図7に示したように多層ウェル構造では、第1の太陽電池10及び第2の太陽電池20において、複数の半導体領域のうちの隣接する導電型が互いに異なる一組の半導体領域が電気的に接続され、且つ、各組の半導体領域に含まれるいずれの半導体領域も他の隣接する半導体領域と電気的に接続されていない。
【0051】
具体的には、第1の太陽電池10では、第1ウェル領域11と第2ウェル領域12とが符号T2で示した制御素子50によって電気的に接続され、第3ウェル領域13と第4ウェル領域14の接続領域141とが符号T1で示した制御素子50によって電気的に接続されている。また、第2の太陽電池20では、半導体基板100と第1ウェル領域21とが符号T4で示した制御素子50によって電気的に接続され、第2ウェル領域22と第3ウェル領域23とが符号T3で示した制御素子50によって電気的に接続されている。そして、第1の太陽電池10の不純物拡散領域15が太陽電池列30のマイナス側電極31として使用され、第2の太陽電池20の第4ウェル領域24の接続領域241が太陽電池列30のプラス側電極32として使用される。
【0052】
図7に示した半導体装置1の太陽電池列30の電流経路は、「第1の太陽電池10の不純物拡散領域15」−「第1の太陽電池10の第4ウェル領域14」−「第1の太陽電池10の第3ウェル領域13」−「第1の太陽電池10の第2ウェル領域12」−「第1の太陽電池10の第1ウェル領域11」−「半導体基板100」−「第2の太陽電池20の第1ウェル領域21」−「第2の太陽電池20の第2ウェル領域22」−「第2の太陽電池20の第3ウェル領域23」−「第2の太陽電池20の第4ウェル領域24」である。
【0053】
図7に示した太陽電池列30では、「第1の太陽電池10の不純物拡散領域15」と「第1の太陽電池10の第4ウェル領域14」間のpn接合、「第1の太陽電池10の第3ウェル領域13」と「第1の太陽電池10の第2ウェル領域12」間のpn接合、「第1の太陽電池10の第1ウェル領域11」と「半導体基板100」間のpn接合、「第2の太陽電池20の第1ウェル領域21」と「第2の太陽電池20の第2ウェル領域22」間のpn接合、及び「第2の太陽電池20の第3ウェル領域23」と「第2の太陽電池20の第4ウェル領域24」間のpn接合で、それぞれ電圧が発生する。
【0054】
ここでは4重ウェル構造までの例を示したが、5重以上の多重にウェル構成を行い、トリプルウェル構造や4重ウェル構造と同様に、隣り合うp型の半導体領域とn型の半導体領域を1つ置きに接続することで、高電圧を発生させることが可能である。つまり、第1の太陽電池10及び第2の太陽電池20の一方或いは両方に、直列接続された複数のpn接合を構成することによって、高電圧を発生させることができる。
【0055】
なお、上記に説明したそれぞれの半導体装置1において、太陽電池列30のマイナス電位を発生させる第1の太陽電池10とプラス電位を発生させる第2の太陽電池20のそれぞれの面積は同一にする必要はなく、それぞれの駆動電流の能力に応じて面積を可変することができる。例えばp型の半導体基板100を使用する場合に、約1.0V出力時には第2の太陽電池20を第1の太陽電池10に対して2倍程度の面積にすることによって、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とで同程度の大きさの電流を発生させることができる。また、約1.3V出力時には、第1の太陽電池10の面積を第2の太陽電池20の面積に対して2倍程度とすることにより、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とで同程度の大きさの電流を発生させることができる。
【0056】
太陽電池列30から電源が供給される半導体集積回路40は、半導体基板100上に形成したSOI構造の回路でもよい。或いは、トリプルウェル構造、ツインウェル構造、シングルウェル構造でもよい。また、半導体集積回路40の回路ブロックごとに太陽電池を分散配置し、必要な回路の近くで太陽電池を配置することにより、長い電源配線を避けることができる。電源配線を短くすることによって、電圧降下やノイズの発生を避けることができる。
【0057】
以上に説明したように、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置1では、バルクCMOSプロセスなどの半導体製造プロセスで製造される太陽電池列が、半導体集積回路40と同一の半導体基板100上に形成される。そして、外部からの信号によって導通状態が制御可能な制御素子50によって、太陽電池間の回路接続が設定される。このため、半導体装置1の製造後に、太陽電池間の回路接続の変更によって太陽電池から半導体集積回路40に供給される電力を容易に変化させることができる。なお、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20を直列接続することが可能であるため、単一の太陽電池の開放電圧を超える電圧を発生することができる。例えば、半導体集積回路の電源電圧として一般的な1.0V〜1.5V程度の電圧を発生することができる。
【0058】
同一の半導体基板100に太陽電池と制御素子50を集積することにより、半導体装置1では負荷容量や配線抵抗の影響が小さい。このため、制御素子50の導通状態を制御することで、照明条件や負荷条件に合わせて回路接続を変更する場合に、瞬時に応答することができる。また、半導体集積回路40の構成要素として使用される素子と同様の構造のトランジスタなどを制御素子50に使用できる。このため、太陽電池と同一の半導体基板100に制御素子50を容易に形成することができ、制御素子50のサイズを小さくできる。
【0059】
(変形例)
上記では、第1の太陽電池10、第2の太陽電池20及び制御素子50が同一の半導体基板100上に形成される例を示した。しかし、第1の太陽電池10、第2の太陽電池20及び制御素子50のいずれか、或いはすべてを異なる半導体基板上に形成してもよい。
【0060】
例えば
図8に示すように、第1の太陽電池10を半導体基板100Aに形成し、第2の太陽電池20を半導体基板100Bに形成し、制御素子50を半導体基板100Cに形成する。或いは、第1の太陽電池10、第2の太陽電池20及び半導体集積回路40を同一の半導体基板に形成し、制御素子50を他の半導体基板に形成するなどの他の構成方法も可能である。
【0061】
異なる複数の半導体基板にそれぞれ形成された太陽電池を制御素子50によって電気的に接続することにより、例えば異なる製造方法で製造された複数の太陽電池を接続したり、特性が劣化した太陽電池を他の太陽電池と接続することによって所望の出力を得たりすることができる。
【0062】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とを直列接続する例を説明した。以下では、p型の半導体基板100に形成された第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とを並列接続する例を説明する。以下に具体例を示すように、第1の太陽電池10の複数の半導体領域から選択された半導体領域と、この選択された半導体領域と導電型が同じ第2の太陽電池20の所定の半導体領域とが制御素子50によって電気的に接続されて、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20が並列接続される
図9に示した第2の実施形態に係る半導体装置1では、第1の太陽電池10のp型の第2ウェル領域12に埋め込まれたn型の不純物拡散領域15と、第2の太陽電池20のp型の第2ウェル領域22に埋め込まれたn型の不純物拡散領域25とを電気的に接続する。この接続点をマイナス側電極31とし、第2の太陽電池20の第2ウェル領域22内に形成された接続領域221をプラス側電極32とすることにより、太陽電池が1つの場合と比べての2倍の出力電流を取り出すことができる。
【0063】
図9では、第1の太陽電池10の不純物拡散領域15と第2の太陽電池20の不純物拡散領域25との接続に、nMOSトランジスタを制御素子50として使用する例を示した。しかし、
図3と同様にpMOSトランジスタを制御素子50として使用してもよい。
【0064】
上記のように、制御素子50をオン状態にして第1の太陽電池10と第2の太陽電池20にそれぞれ構成されるpn接合が並列接続される。これにより、太陽電池列30から半導体集積回路40に供給される電流を増大させることができる。
【0065】
第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とを並列接続する他の例を
図10に示す。制御素子50であるnMOSトランジスタを介して、第1の太陽電池10のn型の第1ウェル領域11と第2の太陽電池20のn型の第1ウェル領域21とを電気的に接続する。第1の太陽電池10の不純物拡散領域15をマイナス側電極31とし、第2の太陽電池20の第2ウェル領域22をプラス側電極32とすることにより、太陽電池が1つの場合の2倍の出力電流を取り出すことができる。制御素子50としてnMOSトランジスタの代わりにpMOSトランジスタを使用してもよいことはもちろんである。
【0066】
図11に、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とを並列接続する更に他の例を示す。即ち、第1の太陽電池10のn型の不純物拡散領域15と第2の太陽電池20のn型の不純物拡散領域25とを電気的に接続(接続点P1)し、第1の太陽電池10のn型の第1ウェル領域11と第2の太陽電池20のn型の第1ウェル領域21とを電気的に接続(接続点P2)し、更に、第1の太陽電池10のp型の第2ウェル領域12に形成された接続領域121と第2の太陽電池20のp型の第2ウェル領域22に形成された接続領域221とを電気的に接続(接続点P3)する。
図11の接続点P1、P2、P3に、それぞれ図示を省略した制御素子50が配置される。接続点P1、P2、P3をそれぞれ制御素子50をオン状態にして接続することで第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とが並列接続されて、太陽電池が1つの場合の2倍の出力電流を取り出すことができる。このとき、不純物拡散領域15と不純物拡散領域25との接続点がマイナス側電極31であり、接続領域121と接続領域221との接続点がプラス側電極32である。
図11に示した例でも、制御素子50としてnMOSトランジスタとpMOSトランジスタのいずれを使用してもよい。
【0067】
上記では、2つの太陽電池を並列接続する例を示した。しかし、3つ以上の太陽電池を並列接続してもよい。並列接続する太陽電池の個数を増やすことによって、半導体集積回路40に供給する電流量を増加させることができる。このとき、太陽電池間を接続する各制御素子50の導通状態を個別に設定することによって、並列接続させる太陽電池の数を任意に選択できる。これにより、半導体集積回路40に供給する電力を必要に応じて設定することができる。
【0068】
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置1では、外部からの信号によって導通状態が制御可能な制御素子50によって、製造後の太陽電池間を容易に並列接続することができる。
【0069】
なお、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20の面積の和と同じ面積の単一の太陽電池を比較すると、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20を並列接続することによって同一の電力を出力させることができる。したがって、単一の太陽電池に対して面積が1/2の太陽電池を使用する場合にも、これらの太陽電池を並列接続により出力電力を同等にすることができる。
【0070】
(変形例)
上記では、第1の太陽電池10、第2の太陽電池20及び制御素子50が同一の半導体基板100上に形成される例を示した。しかし、第1の太陽電池10、第2の太陽電池20及び制御素子50のいずれか、或いはすべてを異なる半導体基板上に形成してもよい。
【0071】
例えば
図12に示すように、第1の太陽電池10を半導体基板100Aに形成し、第2の太陽電池20を半導体基板100Bに形成し、制御素子50を半導体基板100Cに形成する。或いは、第1の太陽電池10、第2の太陽電池20及び半導体集積回路40を同一の半導体基板に形成し、制御素子50を他の半導体基板に形成するなどの他の構成方法も可能である。
【0072】
(第3の実施形態)
複数の制御素子50をそれぞれ個別に制御することによって、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20にそれぞれ構成されるpn接合について、設定可能な複数の電気的な接続状態から任意の接続状態を選択的に設定することができる。これにより、設定可能な複数の出力電圧や出力電流の中から、所望の出力電圧や出力電流を選択することができる。
【0073】
図13に示した太陽電池列30の例では、第1の太陽電池10のn型の不純物拡散領域15と第2の太陽電池20のn型の不純物拡散領域25間にnMOSトランジスタ561を接続し、nMOSトランジスタ561のゲート電極に信号V1を入力する。p型の半導体基板100と第2の太陽電池20のn型の第1ウェル領域21間にnMOSトランジスタ562とpMOSトランジスタ563を並列に接続し、nMOSトランジスタ562のゲート電極とpMOSトランジスタ563のゲート電極に信号V2を入力する。第1の太陽電池10のn型の第1ウェル領域11とp型の第2ウェル領域12間にnMOSトランジスタ564を接続し、nMOSトランジスタ564のゲート電極に信号V3を入力する。マイナス側電極V
SSは第1の太陽電池10の不純物拡散領域15に接続され、プラス側電極V
DDは第2の太陽電池20の第2ウェル領域22に接続されている。なお、
図13に示した電源記号は、電源記号と並列にダイオードの記号で示されたpn接合の発生する電圧を示す。
【0074】
信号V1〜信号V3の電圧を
図14に示すように組み合わせて設定することによって、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20からなる太陽電池列30の出力電圧と出力電流を制御することができる。出力電圧、出力電流は、プラス側電極V
DDでの値である。なお、
図14において、「L」は0V、「H」は1.3Vを示す。なお、信号V1〜信号V3を0Vとすることにより、1つのpn接合分の出力電圧として0.5V、出力電流として13μAを出力できるとする。
【0075】
この場合に、信号V1の電圧を1.3V程度とし、信号V2と信号V3の電圧を0Vとすることによって、nMOSトランジスタ561がオンし、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とが並列接続される。このため、太陽電池列30は0.5Vの出力電圧、26μAの出力電流を発生する。
【0076】
信号V2の電圧を1.3V程度とし、信号V1と信号V3の電圧を0Vとすることによって、nMOSトランジスタ562がオンして、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とが直列接続される。このとき、nMOSトランジスタ561、pMOSトランジスタ563及びnMOSトランジスタ564はオフ状態である。このため、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とが接続されない場合と比較して、太陽電池列30の出力電圧は略2倍の0.9Vであり、出力電流は略半分の7μAである。
【0077】
信号V3を1.3V程度の電圧とし、信号V1と信号V2を0Vとすることによって、nMOSトランジスタ564がオンする。このとき、信号V2の入力としてマイナス側電極V
SSの出力を使用することにより、pMOSトランジスタ563がオンする。これは、nMOSトランジスタ564がオンすることによってマイナス側電極V
SSの電位が基板100に対して−1V程度になるためである。その結果、第1の太陽電池10と第2の太陽電池20とが直列接続され、太陽電池列30は1.3Vの出力電圧、3μAの出力電流を発生する。
【0078】
上記の接続は、nMOSトランジスタ561、nMOSトランジスタ562、pMOSトランジスタ563及びnMOSトランジスタ564のゲート電極に電圧を印加する信号V1〜信号V3を設定するだけで制御できる。つまり、マイナス側電極V
SSやプラス側電極V
DDの接続を変更する必要がない。
【0079】
信号V1〜信号V3として使用される1.3V程度の電圧として、例えば
図5に示した回路接続を金属配線を用いて行った太陽電池列30を半導体基板100に別に形成しておき、この太陽電池列30の出力電圧を使用することができる。この太陽電池列30はゲート電極に印加する電圧を供給するだけなので、電流はほとんど流れない。このため、小面積の太陽電池で十分であり、半導体装置1の面積の増大は抑制される。
【0080】
<変形例>
図13に示した半導体装置1を複数用意し、これらの半導体装置1同士を直列接続して全体の出力電圧を増大させたり、並列接続して全体の出力電流を増大させたりすることができる。
【0081】
例えば
図15に示すように、それぞれが
図13に示した太陽電池列30である太陽電池列30A〜太陽電池列30Cを、基板間接続素子60の制御によって直列接続させることができる。これにより、出力電圧を増大させることができる。基板間接続素子60には、制御素子50と同様にトランジスタなどの自己消弧素子が採用可能である。
【0082】
或いは、
図16に示すように、太陽電池列30A〜太陽電池列30Cを、それぞれが基板間接続素子60である基板間接続素子61〜64の制御によって並列接続させることができる。例えば基板間接続素子61〜62をオン状態にすることによって、太陽電池列30Aと太陽電池列30Bとを並列接続できる。また、基板間接続素子63〜64をオン状態にすることによって、太陽電池列30Bと太陽電池列30Cとを並列接続できる。或いは、基板間接続素子61〜64をオン状態にすることによって、太陽電池列30A、太陽電池列30B及び太陽電池列30Cを並列接続できる。これにより、出力電流を増大させることができる。
【0083】
なお、
図15、
図16では3つの太陽電池列30を図示しているが、2つ或いは4つ以上の太陽電池列30を相互に接続してもよいことはもちろんである。
【0084】
また、
図17に示すように、直列接続された太陽電池列30〜太陽電池列30Cにおいて、太陽電池列30と並列に基板間接続素子60を接続してもよい。例えば太陽電池列30Bが故障したり表面に光が当たらずに太陽光発電ができなくなったりした場合に、直列接続された太陽電池列30A〜太陽電池列30Cの全体に電流が流れなくなってしまう。しかし、基板間接続素子60をオン状態にすることによって、太陽電池列30Aと太陽電池列30Cとを直列接続させて太陽電池列30Bを電流経路から外すことができる。これにより出力電圧はやや減少するものの、出力電流を流し続けることが可能である。
【0085】
なお、
図15〜
図17に示した太陽電池列30が、
図13に示したような太陽電池列30でなく、直列接続されただけの太陽電池列が形成された半導体基板や、並列接続されただけの太陽電池列が形成された半導体基板であってもよい。或いは、
図15〜
図17に示した太陽電池列30が1つの太陽電池を形成された半導体基板であってもよい。これらの場合においても、各半導体基板に形成された太陽電池を基板間接続素子60によって直列接続や並列接続させることによって、出力電圧を増大させたり出力電流を増大させたりすることができる。或いは、不具合が生じた太陽電池が形成された半導体基板を電流経路から外すために、前後の半導体基板間を
図17に示すように短絡させてもよい。
【0086】
上記のように、複数の太陽電池列30を必要に応じて基板間接続素子60によって直列接続したり並列接続したりすることによって、出力電圧や出力電流を変更することができる。また、基板間接続素子60によって不良の太陽電池を切り離すこともできる。
【0087】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0088】
例えば、上記では第1導電型がp型、第2導電型がn型である場合について説明したが、第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合についても同様の効果が得られる。つまり、上記の説明ではp型の半導体基板100を採用した例を示したが、n型の半導体基板100を採用した場合も、第1の太陽電池10及び第2の太陽電池20に含まれる半導体領域の導電型を逆にし、電圧も逆にすることで、p型の半導体基板100を採用した場合と同様に考えることができる。
【0089】
また、制御素子50としてMOSFETを使用する例を説明したが、他のタイプのトランジスタなどを使用してもよいことはもちろんである。例えばMESFETなどを使用可能である。
【0090】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。