(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転方向に並んで配置された複数の色のカラーフィルターを備え、前記カラーフィルターに対応する複数の色の色光として回転に応じて入射光を出射するカラーホイールと、
前記カラーホイールの回転に応じて移動する識別部と、
前記識別部が移動する軌跡と交差するように所定の明るさの光を出射する発光素子と、
前記発光素子から出射された光が反射された反射光を受光する受光素子と、
前記受光素子が受光した光の明るさに対応する受光強度の変化に基づいて、前記発光素子の発光を制御する発光タイミングを決定し、前記決定した発光タイミングに基づく前記識別部を検出する検出期間を除く非検出期間において、前記発光素子の発光を減光させるまたは停止させる制御部と、を有することを特徴とするカラーホイールユニット。
回転方向に並んで配置された複数の色のカラーフィルターを備え、前記カラーフィルターに対応する複数の色の色光として回転に応じて入射光を出射するカラーホイールと、
前記カラーホイールの回転に応じて移動する識別部と、
前記識別部が移動する軌跡と交差するように所定の明るさの光を出射する発光素子と、
前記発光素子から出射された光が反射された反射光を受光する受光素子と、を有するカラーホイールユニットの制御方法であって、
前記受光素子が受光した光の明るさに対応する受光強度の変化に基づいて、前記発光素子の発光を制御する発光タイミングを決定し、前記決定した発光タイミングに基づく前記識別部を検出する検出期間を除く非検出期間において、前記発光素子の発光を減光させるまたは停止させることを特徴とするカラーホイールユニットの制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1Aは、本発明の一実施形態のカラーホイールユニットを有するプロジェクタの概略構成図である。
【0018】
まず、プロジェクタ100の構成について説明する。
【0019】
プロジェクタ100は、
図1Aに示すように、光源110と、カラーホイールユニット120と、光変調素子130と、投写部140とを有する。
【0020】
光源110は、白色光をカラーホイールユニット120に向かって出射する。
【0021】
カラーホイールユニット120は、光源110から出射された白色光を、複数の色の色光として出射する。
【0022】
光変調素子130は、カラーホイールから出射される複数の色の色光を、各色光に対応する映像信号の色成分に応じて変調する。
【0023】
投写部140は、光変調素子130により変調された光を、スクリーンに投写する。
【0024】
投写部140は、例えば、投写レンズや投写ミラーなどを含む。
【0025】
次に、カラーホイールユニット120の構成について、
図1Aおよび
図1Bを参照して説明する。なお、
図1Bは、
図1Aに示すカラーホイールユニット120を、光変調素子130側から見た図である。
【0026】
カラーホイールユニット120は、モーター121と、カラーホイール122と、フォトインタラプタ123とを有する。
【0027】
モーター121は、固定部であるステーター124と、ステーター124の外周に沿って回転する回転部であるローター125とを有する。
【0028】
ローター125の外周面の一部には、識別部126が設けられている。ローター125の外周面と識別部126とは、光の反射率が異なる。ここで、本実施形態においては、ローター125は、光の成分のほとんどを反射せず吸収する部材で構成され、識別部126は、光の成分のほとんどを反射する部材で構成されているものとする。つまり、発光素子の出射光に対する識別部126の反射率は、発光素子の出射光に対するローター125の表面の反射率よりも高い。
【0029】
カラーホイール122は、例えばローター125と一体的に構成され、ローター125とともに回転する。ここで、本実施形態においては、カラーホイール122とローター125とは、回転軸が同軸となるように配置されている。つまり、識別部126は、カラーホイール122の回転とともにカラーホイール122の所定の位置に対応してローター125の外周面に沿って移動し回転する。なお、識別部126は、カラーホイール122の回転に応じて移動すればよい。
【0030】
カラーホイール122は、
図1Bに示すように、カラーホイール122の回転方向に並んで配置された、赤色フィルター122R、緑色フィルター122G、および、青色フィルター122Bを有する。光源110から出射された白色光は、カラーホイール122の特定の部分に照射される。上述したように、カラーホイール122はローター125とともに回転するため、光源110から出射された白色光は、赤色フィルター122R、緑色フィルター122G、および、青色フィルター122Bを順に通過することにより、赤、緑、青の色光としてカラーホイール122から順に出射される。
【0031】
フォトインタラプタ123は、発光素子127と、受光素子128とを有する。
【0032】
発光素子127は、例えば、電圧が供給されると、ローター125に向けて、所定の明るさの光を出射する。つまり、発光素子127から出射された光は、識別部126が移動する回転軌道の軌跡と1個所で交差する。ただし、交差する位置は1個所に限られず、複数でも良い。
【0033】
受光素子128は、発光素子127から出射された光がローター125の外周面または識別部126において反射された反射光を受光し、受光した光の明るさに対応する強度である受光強度に応じた論理レベルの信号を出力する。以下では、受光素子128から出力される信号を回転検出信号と称する。
【0034】
ここで、本実施形態においては、例えば、発光素子127として赤外線LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)が用いられ、受光素子128としてフォトトランジスタが用いられるものとする。
【0035】
発光素子127が赤外線LEDである場合には、発光素子127に電圧が供給されると、発光素子127の発光強度は、徐々に増加し、一定時間経過後に飽和して所定の強度(明るさ)となる。以下では、発光素子127に電圧が供給されてから発光強度が飽和するまでの時間を、発光素子127の立ち上がり時間と称する。
【0036】
また、発光素子127への電圧の供給が停止されると、発光素子127の発光強度は、徐々に減少し、一定時間経過後にゼロとなる。以下では、発光素子127への電圧の供給が停止されてから発光強度がゼロになるまでの時間を、発光素子127の立ち下り時間と称する。
【0037】
次に、カラーホイールユニット120の回路構成について説明する。
【0038】
図2は、カラーホイールユニット120の回路構成を示す図である。なお、
図2において、
図1Aあるいは
図1Bと同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0039】
図2に示すように、カラーホイールユニット120は、モーター121と、フォトインタラプタ123と、抵抗201、202と、電圧生成IC( HYPERLINK "http://e-words.jp/w/IC.html" Integrated Circuit)203と、制御部204とを有する。なお、
図2においては、カラーホイール122についての記載を省略している。
【0040】
上述したように、本実施形態においては、フォトインタラプタ123の発光素子127として赤外線LEDが用いられ、フォトインタラプタ123の受光素子128としてフォトトランジスタが用いられている。
【0041】
発光ダイオードである発光素子127は、アノード(陽極)には、抵抗201の一端が接続され、カソード(陰極)は、接地されている。
【0042】
フォトトランジスタである受光素子128は、コレクタには、電圧生成IC203が接続され、エミッタには、抵抗202の一端が接続されるとともに、制御部204が接続され、ベースは、受光面となる。受光素子128は、受光面において受光すると、受光強度に応じた論理レベルの回転検出信号を制御部204に出力する。
【0043】
抵抗201は、一端には、発光素子127のアノードが接続され、他端には、電圧生成IC203が接続されている。
【0044】
抵抗202は、一端には、受光素子110のエミッタが接続され、他端は接地されている。
【0045】
電圧生成IC203は、駆動電圧VCC1が供給され、駆動電圧VCC1から電圧VCC2を生成し、制御部204による制御に応じて、電圧VCC2を、抵抗201を介して発光素子127に供給するとともに、電圧VCC2を、受光素子128に供給する。
【0046】
制御部204は、駆動電圧VCC3が供給され、電圧生成IC203による発光素子127および受光素子128への電圧VCC2の供給を制御する。具体的には、制御部204は、電圧生成IC203による発光素子127および受光素子128への電圧VCC2の供給を制御するイネーブル(enable)信号を、電圧生成IC203に出力する。なお、以下では、電圧生成IC203は、制御部204から出力されるイネーブル信号の論理レベルがHighである場合には、電圧VCC2を供給し、制御部204から出力されるイネーブル信号の論理レベルがLowである場合には、電圧VCC2を供給しないものとする。
【0047】
また、制御部204は、モーター121の回転や、映像信号に応じた光変調素子130の駆動などを制御する。例えば、映像信号に対応する同期信号(例えば垂直同期信号)と映像信号とに基づいて、制御部204は光変調素子130の駆動を制御する。また、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期するように、映像信号に対応する同期信号と回転検出信号とに基づいて、制御部204はモーター121の回転を調整する。つまり、この場合、制御部204は、投写する映像の映像信号のリフレッシュレート(垂直走査周波数)に応じた回転周波数でモーター121を回転させる。また、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期すると、制御部204は同期ロックフラグを例えば1とする。なお、同期していないと、制御部204は同期ロックフラグを例えば0とする。
【0048】
次に、フォトインタラプタ123の動作について、
図3Aおよび
図3Bを用いて説明する。
【0049】
図3Aは、発光素子127から出射された光が識別部126に照射されている状態を示す図である。また、
図3Bは、発光素子127から出射された光がローター125の外周面の識別部126以外の領域に照射されている状態を示す図である。
【0050】
図3Aに示すように、ローター125が回転し、識別部126が回転の基準とされる回転基準位置となり、発光素子127から出射された光が識別部126に照射されている状態では、発光素子127から出射された光は識別部126で反射され、その反射光が受光素子128により受光される。そのため、受光素子128における受光強度は大きくなり、受光素子128は、論理レベルがHighの回転検出信号を出力する。
【0051】
一方、
図3Bに示すように、発光素子127から出射された光がローター125の外周面の識別部126以外の領域に照射されている状態では、発光素子127から出射された光は、ローター125の外周面で吸収される。そのため、受光素子128における受光強度は小さくなり、受光素子128は、論理レベルがLowの回転検出信号を出力する。
【0052】
このように、発光素子127から出射された光が識別部126に照射され始めると、回転検出信号の論理レベルがLowからHighに立ち上がる。したがって、制御部204は、回転検出信号の論理レベルに基づいて、識別部126が、発光素子127から出射された光が照射される位置(回転基準位置)に到達したことを検出することができる。
【0053】
次に、制御部204の動作について説明する。
【0054】
制御部204は、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期するように、カラーホイール122の回転に関連する制御を行う。
【0055】
図4Aは、カラーホイール122の制御に関連する制御部204の動作を示すフローチャートである。
【0056】
例えば、制御部204は、映像の投写を開始するときや、映像信号のリフレッシュレート(垂直同期周波数)が切り替えられたときなどに、投写する映像の映像信号のリフレッシュレート(垂直同期周波数)に応じた回転周波数でモーター121を回転させる。上述したように、カラーホイール122は、モーター121のローター125とともに回転する。
【0057】
例えば、制御部204は映像の投写を開始すると、初期設定として、同期ロックフラグを0にするとともに、投写する映像の映像信号のリフレッシュレート(垂直同期周波数)に応じてモーター121の回転数を設定する(ステップS401)。ただし、このときに設定するモーター121の回転数は、映像信号のリフレッシュレート(垂直同期周波数)から算出される、計算誤差を含む計算値であり、必ずしも、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期しているとは限らない。また、このとき、制御部204は論理レベルがHighのイネーブル信号を電圧生成IC203に出力してもよい。
【0058】
次に、制御部204は、回転検出信号を検出する(ステップS402)。例えば、制御部204は、受光素子128から出力される回転検出信号の論理レベルに基づいて識別部126が回転基準位置へ到達するタイミングを検出する。
【0059】
次に、制御部204は、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期したか否かを判定する(ステップS403)。なお、電圧生成IC203が出力するイネーブル信号の論理レベルがLowの場合など、回転検出信号にHighの期間が含まれない場合は、同期していないと判定してもよい。この場合同期ロックフラグが0となり、後述する制御において、同期ロックフラグが0のときは、電圧生成IC203が出力するイネーブル信号の論理レベルがHighとなるので、回転検出信号にHighの期間が検出されるようになる。
【0060】
ステップS403において、制御部204は、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期していないと判定すると(ステップS403:No)、同期ロックフラグを0にして(ステップS404)、モーター121の回転を調整し(ステップS405)、ステップS402に戻る。例えば、制御部204は、ステップS402において検出した識別部126が回転基準位置に到達するタイミングと、投写する映像の映像信号に対応する同期信号のタイミングとに基づいて、モーター121の回転数または回転速度を制御する。
【0061】
ステップS403において、制御部204は、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期したと判定すると(ステップS403:Yes)、同期ロックフラグを1にして(ステップS406)、回転検出信号を検出する処理(ステップS402)に戻る。
【0062】
なお、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとのずれ量が所定の範囲内であるときに、制御部204は、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期していると判定し、所定の範囲内のずれ量に対しては、タイミングを検出するたびに、モーター121の回転を調整してもよい。
【0063】
また、制御部204は、カラーホイール122の回転に関連する制御と平行して、発光素子127の制御に関連する制御を行う。
【0064】
図4Bは、発光素子127の制御に関連する制御部204の動作を示すフローチャートである。
【0065】
まず、制御部204は、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期しているか否かを判定する。例えば、制御部204は、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期しているか否かを示す同期ロックフラグを検出して判定する(ステップS451)。検出した同期ロックフラグが、同期していないこと(0)を示していると判定した場合(ステップS451:No)、制御部204は、論理レベルがHighのイネーブル信号を電圧生成IC203に出力し(ステップS452)、ステップS451に戻る。
【0066】
論理レベルがHighのイネーブル信号が電圧生成IC203に出力されることで、電圧生成IC203から発光素子127および受光素子128に電圧VCC2が供給される。電圧VCC2の供給に応じて、発光素子127は、発光を開始する。また、電圧VCC2の供給に応じて、受光素子128は、発光素子127から出射された光がローター125の外周面または識別部126において反射された反射光を受光し、受光強度に応じた論理レベルの回転検出信号を出力する。
【0067】
カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期しておらず、大きくずれている場合も、この処理により、
図4Aの処理フローに基づいて同期するように制御することが可能となる。
【0068】
一方、制御部204は、検出した同期ロックフラグが、同期していること(1)を示していると判定した場合、つまり、カラーホイールが所定の回転周期で回転していると判定した場合には(ステップS451:Yes)、識別部126が回転基準位置に到達してから次に識別部126が回転基準位置に到達するまでの時間を計測してカラーホイール122の回転周期Tを求める(ステップS453)。なお、回転周期Tは、投写する映像の映像信号の例えばリフレッシュレート(垂直同期周波数)に基づいて算出されても良い。ただし、この場合、後述する回転検出信号の論理レベルがHighとなる時間Thおよびマージン時間は、リフレッシュレート(垂直同期周波数)に基づいて算出されるときの計算誤差を考慮して設定することが望ましい。
【0069】
次に、制御部204は、回転検出信号の論理レベルがHighとなる時間Th、および、発光素子127の立ち上がり時間Trを加算して検出期間である発光動作時間Tonを算出する。次に、カラーホイール122の回転周期Tから発光動作時間Tonを減じて、発光素子127の発光を停止する非検出期間である発光停止時間Toffを算出する(ステップS454)。
【0070】
なお、発光動作時間Tonは、回転検出信号の論理レベルがHighとなる時間Th、および、発光素子127の立ち上がり時間Trに、マージン時間をさらに加えた時間としてもよい。
【0071】
なお、制御部204は、発光素子127の立ち上がり時間Tr、および、マージン時間として、予め所定の時間を記憶しているものとする。また、回転検出信号の論理レベルがHighとなる時間Thは、ローター125の外周面の回転方向の長さに占める識別部126の回転方向の長さの割合、および、ローター125とともに回転するカラーホイール122の回転周期Tから求めることができる。
【0072】
なお、ステップS451において、連続してYesと判定される(安定して動作している)場合は、回転周期Tおよび発光停止時間Toffは、前回の値を用いてもよい。この場合、ステップS453およびステップS454の処理は、スキップしてもよい。
【0073】
制御部204は、発光停止時間Toffを算出した後、受光素子128から出力される回転検出信号をモニタして、回転検出信号の変化を検出する(ステップS455)。例えば、制御部204は、回転検出信号の論理レベルがHighからLowへ変化する立ち下り(回転検出信号に含まれるパルスの後側のエッジ)を検出したか否かを判定する。
【0074】
制御部204は、回転検出信号の論理レベルがHighからLowへ変化する立ち下りを検出していないと判定すると(ステップS455:No)、ステップ455に戻り、判定を繰り返す。なお、制御部204は、回転検出信号の論理レベルがHighからLowへ変化する立ち下りを検出していないと判定すると、立ち下りを検出していない時間の計測を開始し、計測した時間が所定の時間を超えると、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期していないと判定して、ステップS451に移行するようにしても良い。この場合、ステップS451の処理の後に、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと、光変調素子130の駆動タイミングとが同期しなくなった場合にも、正常に動作することができる。
【0075】
制御部204は、回転検出信号の論理レベルがHighからLowへ変化する立ち下りを検出したと判定すると(ステップS455:Yes)、イネーブル信号の論理レベルをHighからLowに変更する(ステップS456)。イネーブル信号の論理レベルがLowとなることで、電圧生成IC203から発光素子127および受光素子128への電圧VCC2の供給が停止される。
【0076】
電圧VCC2の供給の停止に応じて、発光素子123は、発光を停止する。また、電圧VCC2の供給の停止に応じて、受光素子128は、論理レベルがLowの回転検出信号を出力する。
【0077】
次に、制御部204は、イネーブル信号の論理レベルをLowにした時間tの測定を開始する(ステップS457)。
【0078】
次に、制御部204は、測定した時間tが発光停止時間Toff以上か否かを判定する(ステップS458)。
【0079】
制御部204は、測定した時間tが発光停止時間Toff以上でないと判定すると(ステップS458:No)、ステップ458に戻り、判定を繰り返す。
【0080】
制御部204は、測定した時間tが発光停止時間Toff以上と判定すると(ステップS458:Yes)、イネーブル信号の論理レベルをLowからHighに変更する(ステップS459)。このとき、時間tの測定を終了してもよい。つまり、制御部204は、測定した時間t≧発光停止時間Toffとなるタイミングを、発光素子127の発光を制御する発光タイミングとして決定して制御する。なお、発光タイミングは、発光素子127の発光を停止するタイミング、例えば、本実施形態の場合、回転検出信号の論理レベルがHighからLowへ変化する立ち下りのタイミングとしてもよい。イネーブル信号の論理レベルがHighとなることで、電圧生成IC203から発光素子127および受光素子128へ電圧VCC2が供給される。
【0081】
電圧VCC2の供給に応じて、発光素子127は、発光を開始する。また、電圧VCC2の供給に応じて、受光素子128は、発光素子127から出射された光がローター125の外周面または識別部126において反射された反射光を受光し、受光強度に応じた論理レベルの回転検出信号を出力する。
【0082】
なお、ステップS456とステップS457で行うイネーブル信号の制御と時間tの測定の開始とは、順番を入れ替えても良いし、同時に行ってもよい。
【0083】
制御部204は、ステップS459の処理を終えると、ステップS451の処理に戻る。
【0084】
このように、本実施形態における発光素子127は、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと光変調素子130の駆動タイミングとが同期していない場合には、常時発光し、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと光変調素子130の駆動タイミングとが同期すると、回転検出信号の論理レベルがHighからLowへ変化する立ち下りの後、発光停止時間Toffの間、発光を停止する。
【0085】
次に、本実施形態のカラーホイールユニット120における発光素子127の発光動作について説明する。比較のために、まず、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと光変調素子130の駆動タイミングとの同期の状態によらず、発光素子127を常時発光させる場合について、
図5を参照して説明する。つまり、
図5において、電圧生成IC203は、発光素子127および受光素子128に電圧を常時供給しているものとする。
【0086】
なお、発光素子127を常時発光させるカラーホイールユニットは、本実施形態のカラーホイールユニット120と略同様の構成を有しており、発光素子127および受光素子128に電圧を供給する電圧生成ICの動作が主に異なる。そのため、以下では、発光素子127を常時発光させるカラーホイールユニットと本実施形態のカラーホイールユニット120とで同等の構成については同じ符号を用いて説明する。
【0087】
まず、発光素子127を常時発光させるカラーホイールユニットにおける回転検出信号について
図5を参照して説明する。
【0088】
図5は、回転検出信号の論理レベル、および、発光素子127の発光強度の時間変化を示す図である。
【0089】
上述したように、発光素子127から出射された光が識別部126に照射されている状態では、受光素子128からは論理レベルがHighの回転検出信号が出力され、発光素子127から出射された光がローター125の外周面の識別部126以外の領域に照射されている状態では、受光素子128からは論理レベルがLowの回転検出信号が出力される。
【0090】
まず、時刻t51より前においては、識別部126は回転基準位置に到達していないものとする。発光素子127は常時発光するため、発光素子127からは一定の強度の光が出射されているが、識別部126は回転基準位置に到達しておらず、発光素子127から出射された光はローター125の外周面の識別部126以外の領域に照射されているので、回転検出信号の論理レベルはLowとなる。
【0091】
ローター125が回転し、時刻t51において、識別部126が回転基準位置に到達したとする。識別部126が回転基準位置に到達すると、発光素子127から出射された光が識別部126に照射され始めるため、回転検出信号の論理レベルはLowからHighに立ち上がる。
【0092】
さらに、ローター125が回転し、時刻t52において、識別部126が回転基準位置を通過したとする。識別部126が回転基準位置を通過すると、発光素子127から出射された光が識別部126に照射されなくなるため、回転検出信号の論理レベルはHighからLowに立ち下がる。
【0093】
その後、ローター125がさらに回転し、時刻t53において、識別部126が回転基準位置に到達したとする。識別部126が回転基準位置に到達すると、発光素子127から出射された光が識別部126に照射され始めるため、回転検出信号の論理レベルはLowからHighに立ち上がる。
【0094】
このように、回転検出信号の論理レベルは、識別部126が回転基準位置に到達する時刻t51から、識別部126が回転基準位置を通過する時刻t52までの時間Thの間だけHighとなり、その後、Lowとなる。また、回転検出信号の論理レベルは、識別部126が回転基準位置に到達する時刻t51において、LowからHighに立ち上がった後、時刻t51からカラーホイール122の回転周期Tが経過した時刻t53において、再び、LowからHighに立ち上がる。
【0095】
次に、本実施形態のカラーホイールユニット120における発光素子127の発光動作について
図6を参照して説明する。
【0096】
図6は、回転検出信号の論理レベル、イネーブル信号の論理レベル、および、発光素子127の発光強度の時間変化を示す図である。
【0097】
時刻t61において、制御部204は、論理レベルがHighのイネーブル信号を出力する。なお、時刻t61においては、識別部126は、回転基準位置に到達していないものとする。
【0098】
論理レベルがHighのイネーブル信号が出力されることで、電圧生成IC203から発光素子127および受光素子128に電圧VCC2が供給される。電圧VCC2の供給に応じて、発光素子127は、発光を開始する。また、電圧VCC2の供給に応じて、受光素子128は、発光素子127から出射された光がローター125の外周面において反射された反射光を受光し、受光強度に応じた論理レベルの回転検出信号を出力する。ここで、上述したように、時刻t61においては、識別部126が回転基準位置に到達していないため、発光素子127から出射された光はローター125の外周面の識別部126以外の領域に照射され、回転検出信号の論理レベルはLowとなる。
【0099】
電圧VCC2の供給に応じて発光素子127が発光を開始すると、発光素子127の発光強度は、徐々に増加し、時刻t61から発光素子127の立ち上がり時間Tr経過後の、時刻t62において、飽和する。
【0100】
次に、ローター125が回転し、時刻t63において、識別部126が回転基準位置に到達したとする。識別部126が回転基準位置に到達すると、発光素子127から出射された光が識別部126に照射され始めるため、回転検出信号の論理レベルはLowからHighに立ち上がる。
【0101】
次に、ローター125がさらに回転し、時刻t64において、識別部126が回転基準位置を通過したとする。識別部126が回転基準位置を通過すると、発光素子127から出射された光が識別部126に照射されなくなるため、回転検出信号の論理レベルがHighからLowに立ち下がる。
【0102】
なお、
図5におけるカラーホイール122の回転周期Tと
図6におけるカラーホイール122の回転周期Tとが同じであるとすると、
図5における回転検出信号の波形と、
図6における回転検出信号の波形とは同じとなる。
【0103】
制御部204は、回転検出信号の論理レベルがHighからLowへ変化する立ち下りを検出すると、イネーブル信号の論理レベルをHighからLowに変更する。イネーブル信号の論理レベルがLowとなることで、電圧生成IC203から発光素子127および受光素子128への電圧VCC2の供給が停止される。
【0104】
電圧VCC2の供給の停止に応じて、発光素子127は、発光を停止するため、発光素子127の発光強度は、時刻t64から徐々に減少し、発光素子127の立ち下り時間経過後に、ゼロとなる。また、電圧VCC2の供給の停止に応じて、受光素子128は、論理レベルがLowの回転検出信号を出力する。
【0105】
次に、時刻t64から発光停止時間Toff経過後の、時刻t65において、制御部204は、イネーブル信号の論理レベルをLowからHighに変更する。
【0106】
イネーブル信号の論理レベルがHighとなることで、電圧生成IC203から発光素子127および受光素子128への電圧VCC2が供給される。電圧VCC2の供給に応じて、発光素子127は、発光を開始する。また、電圧VCC2の供給に応じて、受光素子128は、発光素子127から出射された光がローター125の外周面において反射された反射光を受光し、受光強度に応じた論理レベルの回転検出信号を出力する。
【0107】
なお、時刻t65においては、識別部126が回転基準位置に到達した時刻t63からカラーホイール122の回転周期Tが経過していないため、識別部126は時刻t64において回転基準位置を通過した後、回転基準位置に到達していない。したがって、発光素子127から出射された光が識別部126に照射されておらず、回転検出信号の論理レベルはLowのままとなる。
【0108】
電圧VCC2の供給に応じて発光素子127が発光を開始すると、発光素子127の発光強度は、徐々に増加し、時刻t65から発光素子127の立ち上がり時間Tr経過後の、時刻t66において、飽和する。
【0109】
なお、時刻t66においても、識別部126が回転基準位置に到達した時刻t63から、カラーホイール122の回転周期Tが経過していないため、識別部126は回転基準位置に到達していない。したがって、発光素子127から出射された光が識別部126に照射されておらず、回転検出信号の論理レベルはLowのままとなる。
【0110】
次に、ローター125がさらに回転し、識別部126が回転基準位置に到達した時刻t63から、カラーホイール122の回転周期Tが経過した時刻t67において、識別部126は再び回転基準位置に到達する。識別部126が回転基準位置に到達すると、発光素子127から出射された光が識別部126に照射され始め、回転検出信号の論理レベルがLowからHighに立ち上がる。
【0111】
次に、ローター125がさらに回転し、時刻t68において、識別部126が回転基準位置を通過したとする。識別部126が回転基準位置を通過すると、発光素子127から出射された光が識別部126に照射されなくなるため、回転検出信号の論理レベルがHighからLowに立ち下がる。
【0112】
制御部204は、回転検出信号の論理レベルがHighからLowへ変化する立ち下りを検出すると、イネーブル信号の論理レベルをHighからLowに変更する。イネーブル信号の論理レベルがLowとなることで、電圧生成IC203から発光素子127および受光素子128への電圧VCC2の供給が停止される。
【0113】
電圧VCC2の供給の停止に応じて、発光素子127は発光を停止するため、発光素子127の発光強度は、時刻t68から徐々に減少し、発光素子127の立ち下り時間経過後に、ゼロとなる。また、電圧VCC2の供給の停止に応じて、受光素子128は、論理レベルがLowの回転検出信号を出力する。
【0114】
なお、時刻t62から時刻t63および時刻t66から時刻t67は、予め設定されるマージン時間に相当する。
【0115】
このように、識別部126が回転基準位置に到達した時刻と、回転周期Tから、次に識別部126が回転基準位置に到達する時刻を算出し、その識別部126の回転基準位置への到達時刻に基づき、発光素子127を発光させることで、回転検出信号の論理レベルに基づいて、識別部126が回転基準位置に到達するタイミングを検出することができるとともに、発光素子127の発光時間を短くし、発光素子127が寿命に達するまでの期間を長くすることができる。
【0116】
なお、本実施形態では、回転検出信号の論理レベルのHighからLowへの立ち下り(回転検出信号に含まれるパルスの後側のエッジ)を検出した時刻で、発光素子127の発光を停止させる例を用いて説明したが、これに限られない。回転検出信号の論理レベルのLowからHighへの立ち上がり(回転検出信号に含まれるパルスの前側のエッジ)を検出した時刻で、発光素子127の発光を停止させてもよい。こうすることで、発光停止時間Toffを回転検出信号の論理レベルがHighとなる時間Thだけさらに長くすることができる。なお、制御部126は、識別部126の回転基準位置への到達時刻よりも前記発光素子の立ち上がり時間Trだけ前の時点では、前記発光素子127の発光を再開させる必要がある。
【0117】
また、発光素子127の発光を停止させる時刻は、回転検出信号の論理レベルのHighからLowへの立ち下りを検出した時刻や回転検出信号の論理レベルのLowからHighへの立ち上がりを検出した時刻に限られない。上述したように、識別部126の回転基準位置への到達時刻の前後の所定の期間以外、発光素子127の発光を停止させればよい。こうすることで、カラーホイール122の回転中に識別部126が回転基準位置に到達する時刻の前後では、発光素子127が発光するため、回転検出信号の論理レベルに基づいて、識別部126の回転基準位置への到達を検出することができる。
【0118】
最後に、本実施形態のカラーホイールユニット120における、発光素子127の発光動作について説明する。なお、比較のために、カラーホイールユニット120において、発光素子127を常時発光させた場合の、発光素子127の発光動作についても説明する。
【0119】
図7Aは、発光素子127を常時発光させるカラーホイールユニットにおける、識別部126の位置と発光素子127の発光状態との関係を模式的に示した図である。また、
図7Bは、本実施形態のカラーホイールユニット120における、識別部126の位置と発光素子127の発光状態との関係を模式的に示した図である。
【0120】
図7A、
図7Bにおいては、発光素子127が発光しているか否かを、ローター125の外側に設けられた円701により示している。具体的には、ローター125の中心とローター125の外周上の特定の位置にある識別部126とを結ぶ直線の延長線と、円701との交点部分が実線で示されていれば、識別部126がその特定の位置にある状態においては、発光素子127が発光していることを示し、交点部分が点線で示されていれば、識別部126がその特定の位置にある状態においては、発光素子127が発光していないことを示す。
【0121】
発光素子127を常時発光させるカラーホイールユニットにおいては、
図7Aに示すように、識別部126の位置に関わらず、発光素子127は常時発光する。
【0122】
一方、本実施形態のカラーホイールユニット120においては、識別部126が回転基準位置に到達する時刻の前後でのみ、発光素子127は発光する。そのため、
図7Bに示すように、識別部126が回転基準位置に到達する時刻の前後でのみ、発光素子127は発光し、その他の時刻では、発光素子127は発光しない。
【0123】
このように、本実施形態のカラーホイールユニット120においては、カラーホイール122の回転周期Tのうち、識別部126が回転基準位置に到達する時刻の前後でだけ発光素子127を発光させるので、識別部126が回転基準位置に到達したことを検出できるとともに、プロジェクタの使用時間に対する、発光素子127の発光時間を短くし、プロジェクタの使用期間に対する、発光素子127が寿命に達するまでの期間を長くすることができる。
【0124】
また、本実施形態のカラーホイールユニット120においては、発光停止時間Toffに基づいて発光タイミングを制御しているので、回転検出信号の位置が、モーターの回転誤差に伴うずれが発生しても、このずれの影響を抑えて正確に動作させることができる。
【0125】
また、本実施形態のカラーホイールユニット120においては、カラーホイール122の回転周期Tが変化し、カラーホイールユニット120による色光の出射タイミングと光変調素子130の駆動タイミングとが同期しなくなると、再度、それらのタイミングを同期させた後、カラーホイール122の回転周期Tを求め、発光素子127の発光を停止する時間Toffを算出する。そのため、カラーホイール122の回転周期Tが大きく変化するときにも対応することができる。
【0126】
なお、プロジェクタが投写する映像の映像信号のリフレッシュレートが変更されると、カラーホイールの回転周波数が変化し、カラーホイール122の回転周期Tが変化する。また、3次元の映像を投写する場合には、右目用の映像と左目用の映像との2つの映像が交互に投写される。そのため、投写される映像が2次元の映像から3次元の映像に変更される場合には、リフレッシュレートが2倍になり、カラーホイール122の回転周期Tが変化する。
【0127】
また、本実施形態のカラーホイールユニット120は、発光素子127を常時発光させるカラーホイールユニットに対して、イネーブル信号の論理レベルの変化に応じて発光素子127および受光素子128への電圧VCC2の供給を制御するように、電圧生成IC203および制御部204の動作を変更するだけでよいため、既存のカラーホイールユニットからの設計の変更が少なくて済み、実装が容易である。
【0128】
また、本実施形態のカラーホイールユニット120と、発光素子127を常時発光させるカラーホイールユニットとは、
図5および
図6に示したように、回転検出信号は同じ波形となる。そのため、本実施形態のカラーホイールユニット120は、既存のシステムからの変更が少なくて済み、実装が容易である。
【0129】
なお、本実施形態においては、ローター125は、光を反射せず吸収する素材で構成されるものとし、識別部126は、光を反射する素材で構成されるものとしたが、これに限られない。ローター125は、光を反射する素材で構成され、識別部126は、光を反射せず吸収する素材で構成されるものとしてもよい。この場合、回転検出信号の論理レベルは反転するため、制御部204は、回転検出信号の論理レベルのHighからLowへの立ち下がりにより、識別部126の回転基準位置への到達を検出することができる。
【0130】
なお、本実施形態においては、ローター125上に他の領域とは反射率が異なる識別部126を形成するものとして説明したがこれに限定されるものではない。識別部126は、ローター125上に形成するのではなく、円弧状の部材の上に形成されるものとしてもよく、また、ピン状の部材のみを識別部126として形成することとしてもよい。
【0131】
なお、本実施形態においては、発光素子の発光を停止したが、減光しても良い。減光することにより、発光素子の寿命は延びる。
【0132】
なお、本実施形態においては、カラーホイール122の制御に関連する制御部204の動作と、発光素子127の制御に関連する制御部204の動作と、を平行して、行ったが、これに限定されない。例えば、
図4Aのフローに対し、例えば、ステップS406の次にステップS453からステップS458を実行し、ステップS458の次にステップS402に移行するようにしてもよい。なお、この場合、ステップS404にて電圧生成IC203が出力するイネーブル信号の論理レベルをHighとする(ステップS452)ことが望ましい。また、この場合、同期ロックフラグは使用しなくても良い。
【0133】
なお、本実施形態においては、カラーホイール122のフィルターは、赤色、緑色、青色として6つのフィルターに分割されて構成されたが、特に限定されない。フィルターの色は、白色や黄色のフィルターを用いてもよい。また、分割されるフィルターの数も、3つや4つ、それ以上でもよい。