特許第6188148号(P6188148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188148
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】二輪車検出装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/015 20060101AFI20170821BHJP
   G08G 1/042 20060101ALI20170821BHJP
   G01V 3/10 20060101ALI20170821BHJP
   G07B 15/00 20110101ALN20170821BHJP
【FI】
   G08G1/015 C
   G08G1/042 B
   G01V3/10 D
   G01V3/10 E
   !G07B15/00 L
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-215154(P2013-215154)
(22)【出願日】2013年10月16日
(65)【公開番号】特開2015-79317(P2015-79317A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】501202107
【氏名又は名称】株式会社未来技研
(74)【代理人】
【識別番号】100116573
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 幸司
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】谷 正道
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−186676(JP,A)
【文献】 特開平10−021436(JP,A)
【文献】 特開2012−098914(JP,A)
【文献】 実公昭50−012307(JP,Y1)
【文献】 特開2003−288677(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0194111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/015
G01V 3/10
G08G 1/042
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号によって磁界を発生させる導電体が周回するループコイル部と、
前記ループコイル部を導電する電気信号の変化を検出する検出部と、を備え、
前記ループコイル部は、
検出する二輪車の前輪以外の部分に対して複数の向きから磁界を付与し、
前記二輪車の前輪に対して前記複数の向きのうちの一部のみの向きから磁界を付与する、二輪車検出装置。
【請求項2】
前記ループコイル部は、前記二輪車を検出する検出場所に対応する検出地面に平行な平行平面に沿った平面部と、前記検出地面に交差する交差平面に沿った交差部を有し、
前記平面部及び前記交差部は、前記二輪車の前輪以外の部分に対して磁界を付与し
前記平面部と前記交差部の一方は前記二輪車の前輪に対して磁界を付与し、他方は付与しない、請求項1記載の二輪車検出装置。
【請求項3】
前記ループコイル部は、1つのループにおいて前記平面部と前記交差部を有し、
前記二輪車が進行する向きに前記平面部が前記交差部よりも長いことにより前記平面部は前記二輪車の前輪に対して磁界を付与して前記交差部は付与せず、又は、
前記二輪車が進行する向きに前記交差部が前記平面部よりも長いことにより前記交差部は前記二輪車の前輪に対して磁界を付与して前記平面部は付与しない、請求項2記載の二輪車検出装置。
【請求項4】
前記ループコイル部を通電する電気信号とは異なる電気信号が通電する予備コイル部を備え、
前記予備コイル部は、前記二輪車の前輪に対して磁界を付与する、請求項1から3のいずれかに記載の二輪車検出装置。
【請求項5】
二輪車検出装置が備えるループコイル部が、検出する二輪車の前輪以外の部分に対して複数の向きから磁界を付与し、前記二輪車の前輪に対して前記複数の向きのうちの一部のみの向きから磁界を付与するステップと、
前記二輪車検出装置が備える検出部が、前記ループコイル部を導電する電気信号の変化を検出するステップを含む二輪車検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場や駐輪場の出入り口において、入庫したり出庫したりする車両の種類を判別しながら検出する二輪車検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駅の近辺、市街地、ビルの地下などの様々な場所に駐車場や駐輪場が設置されている。仕事やプライベートで多くの人が自動車や二輪車を移動手段として用いるからである。これらの自動車や二輪車は、短時間の用事のために目的地への移動手段として用いられることが多い。あるいは、通勤や通学に使用されることもある。特に、二輪車は、昨今の環境意識の高まりなどを受けて、その活用度合いが広がっている。
【0003】
例えば、買い物や知人を訪ねるなどのプライベートの用事で、二輪車(自転車、原動機付き自転車、小型バイク、中型バイク、大型バイクなど)が所定の目的地までの移動手段として使用されることがある。あるいは、二輪車は、自宅から最寄り駅まで使用されることもある。使用者は、その後公共交通機関で、職場や学校などの目的地に通勤する。
【0004】
このように、自動車だけでなく、近年は自転車やバイクを初めとした二輪車が、移動手段の一つとして多く活用されるようになってきている。特に、都市部では、その傾向が顕著である。
【0005】
自動車が、移動先において短時間であっても道路上に駐車されることは好ましくない。路上駐車は違法行為に当たることもある。このため、市街地はもちろんのこと、住宅地にも駐車場が設置されている。このような駐車場は、人件費の削減や営業時間の長時間化(例えば24時間営業)のために、常駐管理者のいない無人駐車場となっていることが多い。このため、無人駐車場は、駐車中の自動車の出入りを禁止するロック機構と会計機構を備えている。
【0006】
一方、上述の通り、二輪車の使用も増えている。しかしながら、二輪車は、歩道や車道の一部や、建物の前などに簡単に駐輪できることもあって、迷惑駐輪が問題となっている。行政が迷惑駐輪を取り締まることもあるが、迷惑駐輪の問題が解決することが少ない。違法駐輪や迷惑駐輪が、周囲に大きな迷惑を生じさせている。逆に、二輪車の使用者も、路上駐輪において盗難や破損の危険性を感じることに嫌悪感や不安感を持つこともある。
【0007】
このような状況において、自動車だけでなく、二輪車の駐輪場の設置が求められており、実際に設置が進んでいる。自動車の駐車場と同じく、二輪車の駐輪場も、常駐の管理者がいない無人駐車場であることもある。また、二輪車の駐輪場が必要となるのは、駅、バスターミナルなどの公共交通機関の拠点や、市街地(商業地域、オフィス街など)である。
【0008】
駐輪場は、柵などで囲まれた一定の敷地内部に、複数の二輪車が駐輪できるようになっている。駐輪場の入り口および出口には、ゲートが備えられており、入庫と出庫が、所定の操作で行えるようになっている。利用者は、進入ゲートから入庫し、退出ゲートから出庫する。複数の利用者が、同じ駐輪場の敷地内部に入り、複数の二輪車が、敷地内部に駐輪できる。このとき、駐輪場は、入庫する二輪車の種類(自転車、原動機付き自転車、小型バイク、中型バイク、大型バイクなど)および駐輪時間によって駐輪料金を請求する。
【0009】
この駐輪料金の算出を正確に行うことで、駐輪場は、利用者が二輪車を入庫させたり出庫させたりする際に、二輪車の通過を検出して、出庫や入庫を許可する。上述の進入ゲートおよび退出ゲートで、二輪車の種類や通過を検出することで、駐輪場への進入を許可したり、退出時(もしくは進入時)の駐輪料金の精算を行ったりする。このような、進入許可と退出許可(駐輪料金の精算に基づく)により、駐輪場は、人的な管理者を有さなくても、利用者に駐輪を提供することができる。
【0010】
このように、駐輪場(駐車場でも)は、敷地内に複数の二輪車を駐輪できるようになっており、二輪車の入庫および出庫を、進入ゲートと退出ゲートで管理する。この進入ゲートおよび退出ゲートでは、二輪車が到達したことを検出する必要がある。加えて、二輪車の種類を判別する必要がある。これは、駐車場における自動車の検出や種類の判別も同様である。
【0011】
例えば自動車の到達や種類を検出するために、検出したい場所において、ループコイルが埋設されていることがある。ループコイルには、所定の周波数を有する電気信号が流れており、この電気信号によってループコイルの周囲には、電流と垂直方向に磁界が発生する。ループコイルが発信する磁界の一部が駐停車中の車両によって吸収されることで、磁界が変化する。この磁界の変化は、ループコイルを流れる電気信号の周波数や電圧・電流を変化させる。車両検出装置は、この周波数や電圧・電流の変化を検出することで、自動車の有無の検出および種類判別を行なえる。
【0012】
しかしながら、ループコイルの発信する磁界の変化に基づいた車両検出を行うので、ループコイルの設置場所の特性によっては、磁界の変化の検出が困難となることもある。例えば、駐輪場の地面にループコイルが埋設される場合に、地中に鉄筋が設置されていることがある。鉄筋は、金属製であるので、ループコイルから発信される磁界を吸収するので、車両による磁界の変化の検出が難しくなる。
【0013】
あるいは、立体駐輪場にループコイルが設置される場合には、立体駐輪場の床面には鉄筋の骨格が埋め込まれているので、この骨格によって磁界が吸収されたり吸収されたりして、本来の磁界の大きさが狂ってしまい、車両による磁界変化が検出されにくくなってしまう。
【0014】
このような状況において、いくつかの技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−122519号公報
【特許文献2】特開2005−249669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1は、第1センサと第2センサとによる前車輪判別部と、第3センサと第4センサによって構成される車両フロント検知部とによって、四輪車と二輪車とを判別する車種判別装置を開示する。すなわち、特許文献1に開示される車種判別装置は、駐停車区画に進入する車両に対して、車輪が最初に検出されれば二輪車として判別し、車両ボディーが最初に検出されれば四輪車として判別する。すなわち、特許文献1の技術は、上述の問題その2を解決しようとしている。
【0017】
しかしながら、特許文献1に開示される車種判別装置は、二輪車の中でも、大型バイク、中型バイク、小型バイク、自転車などの分類を区別できない。また、車輪とボディーとを区別するために、多くのセンサを設ける必要があり、無人駐車場の駐停車区画毎に、車種判別装置を設置するのは困難である。もちろん、コスト面の問題もある。従来技術で説明した通り、駐車場には、様々な障害物があり、多くのセンサを機能するように配置することは難しいからである。
【0018】
特許文献2は、地面に埋設されている鉄筋を回避するように、ループコイルを埋設する技術を開示する。すなわち、特許文献2の技術は、上述の問題その1に対応しようとしている。
【0019】
しかしながら、特許文献2に開示される技術は、上述の問題その2を解決することができない。二輪車は、その構造や大きさが様々であり、ループコイルが生じさせる磁界が十分であるだけでは、二輪車の車種を判別することが難しいからである。
【0020】
このように、従来技術の技術は、周囲の構造や環境に対応しつつ、二輪車と四輪車の判別や、二輪車の種類の判別を十分にできない問題を有していた。
【0021】
特に、ループコイルを用いる車両検出装置の場合でも、ループコイルの発信する磁界の吸収や吸収を利用している際に、車両の大きさによっては、十分に検出できないことである。上述の通り、近年ではエコブームによって、二輪車の駐輪場も増えている。二輪車は、大型バイク、中型バイク、小型バイク、原動機付き自転車、自転車など、様々な形状、大きさを有している。
【0022】
ここで大型バイクと自転車では、形状も大きさも大きく異なる。加えて、磁界を吸収するのは金属であるが、大型バイクと自転車では、使用されている金属の体積も異なり、自転車では、十分な磁界変化が生じないこともある。磁界変化が不十分であると、車両検出装置は、自転車や大型バイクとを判別できないこともある。この車両検出装置における二輪車の判別の困難性は、自転車と大型バイクの判別だけでなく、自転車と小型バイクや自転車と原動機付き自転車との判別でも同様である。これらは、従来の車両検出装置の技術では、解決できない問題であった。
【0023】
このように、従来技術での車両検出装置は、二輪車の検出および種類の判別において、次のような問題を有していた。
【0024】
(問題1)自動車などの大型で形状の安定している車両と異なり、二輪車は、磁界が付与される金属の体積が小さいことで、ループコイルを用いた車両検出装置は、二輪車を検出できない問題を有している。
【0025】
(問題2)二輪車であっても、大型バイク、中型バイク、小型バイク、原動機付き自転車、自転車などの様々な種類があるが、いずれも金属部分の体積が小さいことで、高い精度での判別が困難である。
【0026】
(問題3)自転車は、前輪が折れ曲がって傾きやすい。この状態でループコイルを用いる車両検出装置は、傾いた前輪で周波数の変化を検出すると、自転車に合わせた変化とは異なる値を検出してしまう。結果として、車両検出装置は、自転車とバイクなどの二輪車における種類を判別できないことも生じる。
【0027】
本発明は、これらの課題に鑑み、問題1〜3を解決して、二輪車の種類の判別を高い精度で行える、二輪車検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記課題に鑑み、本発明の二輪車検出装置は、電気信号によって磁界を発生させる導電体が周回するループコイルと、
ループコイルを導電する電気信号の変化を検出する検出部と、を備え、
ループコイルは、二輪車を検出する検出場所に対応する検出地面に略平行な平行平面に沿った平面ループ部と、検出地面に交差する交差平面に沿った交差ループ部と、を有し、
検出部、平面ループ部および交差ループ部は、電気的に接続し、
平面ループ部は、二輪車の前輪と対向する位置において、平行平面に沿って屈曲する屈曲ループ部を有する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の二輪車検出装置は、3次元のループコイルによって、周囲の構造や環境の影響を最小限に抑えつつ高い精度で車両を検出できる。加えて、地面に対して交差する方向に延伸するループコイルからの磁界によって、二輪車のように、地面に対する占有面積の小さな車両でも、高い精度で検出できる。
【0030】
また、自転車のように前輪が折れ曲がって傾きやすい場合でも、前輪の折れ曲がりによる検出値の相違に引きずられることなく、自転車とバイクとを正確に判別できる。
【0031】
この二輪車の存在の検出および二輪車の種類の正確な判別により、駐輪場での入庫や出庫の許可を確実に行うことができると共に、正確な精算も行うことができる。これ等の結果、放置自転車や違法駐輪などの問題を解決する、24時間式の自動清算駐輪場が、様々な場所に建設されて、社会問題を解決できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の二輪検出装置が設置される駐輪場の一例を示す模式図である。
図2】本発明の実施の形態2における二輪車検出装置の模式図である。
図3】本発明の実施の形態1における二輪車検出装置の模式図である。
図4】本発明の実施の形態1における検出部での判別基準を示す模式図である。
図5】本発明の参考における二輪車検出装置の問題点を説明する説明図である。
図6】本発明の実施の形態1におけるループコイルと二輪車との位置関係を示す説明図である。
図7】本発明の実施の形態1におけるループコイル2の模式図である。
図8】本発明の実施の形態2における二輪車検出装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
【0034】
本発明の第1の発明に係る二輪車検出装置は、電気信号によって磁界を発生させる導電体が周回するループコイルと、
ループコイルを導電する電気信号の変化を検出する検出部と、を備え、
ループコイルは、二輪車を検出する検出場所に対応する検出地面に略平行な平行平面に沿った平面ループ部と、検出地面に交差する交差平面に沿った交差ループ部と、を有し、
検出部、平面ループ部および交差ループ部は、電気的に接続し、
平面ループ部は、二輪車の前輪と対向する位置において、平行平面に沿って屈曲する屈曲ループ部を有する。
【0035】
この構成により、二輪車検出装置は、二輪車の前輪の傾きなどが生じる場合でも、高い精度で二輪車の種類を判別できる。当然に、検出場所における二輪車の有無も検出できる。
【0036】
本発明の第2の発明に係る二輪車検出装置では、第1の発明に加えて、平面ループ部は検出地面に埋設されている埋設平面ループ部と、地面の上に露出している露出平面ループ部と、を有する。
【0037】
この構成により、ループコイルは、二輪車の走行を妨げることなく、二輪車の側面および垂直面に対して磁界を確実に付与できる。
【0038】
本発明の第3の発明に係る二輪車検出装置では、第1又は第2の発明に加えて、交差ループ部は検出地面から地上に露出している。
【0039】
この構成により、交差ループ部が、二輪車に磁界を確実に付与できる。
【0040】
本発明の第4の発明に係る二輪車検出装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、屈曲ループ部は、検出地面に埋設されている。
【0041】
この構成により、屈曲ループ部が、二輪車の走行を妨げない。
【0042】
本発明の第5の発明に係る二輪車検出装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、埋設平面ループ部は、二輪車の前輪側の前方埋設平面ループ部と、二輪車の後輪側の後方埋設平面ループ部と、を有すると共に、二輪車の本体方向に交差する方向に沿って地面に埋設され、
交差ループ部は、前方埋設平面ループ部の端部から上方に突出する前方交差ループ部と、後方埋設平面ループ部の端部から上方に突出する後方交差ループ部と、を有し、
露出平面ループ部は、前方交差ループ部と後方交差ループ部と、を接続し、
屈曲ループ部は、前方埋設平面ループ部に設けられる。
【0043】
この構成により、ループコイルは、周回しつつ、二輪車の全体を囲むようにして、二輪車の側面方向および垂直方向の全てに、磁界を付与できる。加えて、屈曲ループ部によって、前輪に対する磁界の付与を抑えることができ、前輪が傾く場合の影響を抑えることができる。
【0044】
本発明の第6の発明に係る二輪車検出装置では、第5の発明に加えて、屈曲ループ部は、前方埋設平面ループ部において、二輪車の前側に屈曲する。
【0045】
この構成により、非重複領域が容易に形成できる。
【0046】
本発明の第7の発明に係る二輪車検出装置では、第5の発明に加えて、屈曲ループ部は、前方埋設平面ループ部において、二輪車の後ろ側に屈曲する。
【0047】
この構成により、非重複領域が容易に形成できる。
【0048】
本発明の第8の発明に係る二輪車検出装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、平面ループ部は、検出場所で停止もしくは通過する二輪車の底部に対して磁界を付与し、
交差ループ部は、検出場所で停止もしくは通過する二輪車の側面に対して磁界を付与する。
【0049】
この構成により、ループコイルは、二輪車に満遍なく磁界を付与できる。
【0050】
本発明の第9の発明に係る二輪車検出装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、屈曲ループ部は、検出場所で停止する二輪車の前輪に重複しない非重複領域を形成可能である。
【0051】
この構成により、非重複領域によって、二輪車の前輪の傾きによるループコイルでの電気信号のあるべき状態ではない変化を検出することが減少する。
【0052】
本発明の第10の発明に係る二輪車検出装置では、第9の発明に加えて、非重複領域において、埋設平面ループ部は、二輪車へ磁界を付与しない。
【0053】
この構成により、二輪車の前輪の傾きによるループコイルでの電気信号のあるべき状態ではない変化を検出することが減少する。
【0054】
本発明の第11の発明に係る二輪車検出装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、検出部は、ループコイルを流れる電気信号の、電流値、電圧値、電力値および周波数の少なくとも一つを検出する。
【0055】
この構成により、検出部は、これらの検出に基づいて、二輪車の種類を判別する。
【0056】
本発明の第12の発明に係る二輪車検出装置では、第11の発明に加えて、検出部は、ループコイルを流れる電気信号の、電流値、電圧値、電力値および周波数の少なくとも一つの変化量に基づいて、検出場所で停止もしくは通過する二輪車の種類を判別する。
【0057】
この構成により、二輪車検出装置は、二輪車の有無の検出だけでなく、その種類を判別することもできる。
【0058】
本発明の第13の発明に係る二輪車検出装置では、第12の発明に加えて、二輪車の種類は、自転車、原動機付き自転車、小型バイク、中型バイクおよび大型バイクのいずれかである。
【0059】
この構成により、二輪車検出装置は、自転車、原動機付き自転車、小型バイク、中型バイクおよび大型バイクのいずれかを判別できる。
【0060】
本発明の第14の発明に係る二輪車検出装置では、第1から第13のいずれかの発明に加えて、非重複領域に、ループコイルと電気的に非接続の、予備コイルを更に備える。
【0061】
この構成により、二輪車の前輪の影響を他に与えずに、二輪車全体での磁界の吸収に基づいて、二輪車検出装置は、二輪車の種類を判別できる。なお、予備コイルは、非重複領域の地面に埋設されても良い。
【0062】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0063】
(駐輪場の概要)
本発明の二輪車検出装置は、複数台の二輪車を駐輪可能である敷地を有する駐輪場であって、当該駐輪場の入り口や出口に設けられる。図1は、本発明の二輪検出装置が設置される駐輪場の一例を示す模式図である。図1の駐輪場は、市街地や住宅地などに設けられ、多くの二輪車が一時利用や期間利用などを目的として駐輪する。
【0064】
駐輪場100は、周囲を囲い101によって囲まれており、囲い101によって囲まれた内部が敷地102となっている。この敷地102内に二輪車200が駐輪される。敷地102内は、複数の駐輪区画103を備えている。例えば、敷地102の地面に二輪車の幅に合わせた白線などが印されていることで、駐輪区画103が形成される。二輪車200は、この駐輪区画103毎に駐輪される。
【0065】
駐輪場100は、市街地や住宅地などにおいて設けられる。このとき、不特定多数や特定人が、一定の許可の下で、二輪車200を駐輪する。このため、駐輪場100は、所定の料金を徴収した上で駐輪を許可したり、料金とは別に利用者が有するIDなどを確認した上で駐輪を許可したりする。このため、駐輪場100は、入り口110と出口120を備えている。
【0066】
利用者は、二輪車200を、入り口110から入庫させる。入庫させた上で、利用者は二輪車200を駐輪区画103のいずれかに駐輪させる。更に、利用者は、二輪車200を駐輪場100から出庫する場合には、出口120から自転車200を外に出す。
【0067】
この入り口110および出口120のいずれかにおいて、二輪車200の入庫もしくは出庫が上述のように許可される。入り口110においては、二輪車200が駐輪可能であるかどうかを判断したり、二輪車の種類を判断したりして、入庫を許可する。一方、出口120には、精算機130が備わっており、出庫する二輪車200の駐輪料金を精算する。出口120は、この精算機130での精算に基づいて、二輪車200の出庫を許可する。このとき、精算機130は、二輪車200の種類を判別できないので、出口120が、二輪車200の種類を判別する必要がある。出口120は、二輪車200の種類を判別した上で、精算および出庫の許可を行う。
【0068】
このように、入り口110は入庫を許可するので、入り口110には、入庫ゲート111が設けられている。同様に、出口120は出庫を許可するので、出口120には、出庫ゲート121が設けられている。入庫ゲート111および出庫ゲート121は、出庫もしくは入庫が許可されることで初めて開く。入庫ゲート111、出庫ゲート121が開くことで、利用者は二輪車200を敷地101内に入庫させたり、敷地101から出庫させたりできる。
【0069】
ここで、上述の通り、入り口110は、二輪車200の有無を検出する必要がある。二輪車200が入り口110にあることを検出できなければ、入り口110は、入庫ゲート111を開閉することができないからである。加えて、入り口110は、入り口110にある二輪車200の種類を判別する必要を有する。二輪車200の種類(大型バイク、中型バイク、小型バイク、原動機付き自転車、自転車など)によって、入庫の許可が変わったり、入庫後の駐輪料金の加算が変わったりするからである。
【0070】
同様に、出口120も、二輪車200の有無を検出する必要がある。二輪車200が出口120にあることを検出できなければ、出口120は、出庫ゲート121を開閉できないからである。加えて、出口120は、二輪車200の種類を判別する必要がある。二輪車200の種類によって、精算する駐輪料金が変わるからである。この二輪車200の種類が判別されることで、精算機130が、二輪車200の種類に対応する適切な駐輪料金を精算できる。すなわち、出口120は、精算機130と連動した上で、二輪車200の種類を判別して駐輪料金を計算できる。
【0071】
この駐輪料金の計算を正確に行うには、当然に出口120で二輪車200の検出と種類の判別を行う必要がある。
【0072】
本発明の二輪車検出装置1は、これらの駐輪場100において入り口110および出口120の少なくとも一方に設置される。図1は、この入り口110と出口120に、二輪車検出装置1が設置されている状態を示している。二輪車検出装置1は、このように集合型の駐輪場100の入り口110、出口120に設置される。もちろん、駐輪場100内部の複数の駐輪区画103のそれぞれにおいて、個別に設置されても良い。この場合には、複数の駐輪区画103のそれぞれにおいて、精算機やゲートが、二輪車検出装置1と合わせて設置される。
【0073】
(実施の形態1)
【0074】
(全体概要)
実施の形態1における二輪車検出装置の全体概要を説明する。図2は、本発明の実施の形態2における二輪車検出装置の模式図である。二輪車検出装置1は、図1を用いて説明した駐輪場の入り口110や出口120に設置される。このような二輪車検出装置1が設置される場所は、二輪車200を検出する検出場所50である。検出場所50は、入庫ゲート111、出庫ゲート121の前などである。また、検出場所50に対応する地面を検出地面51と定義する。検出地面51は、いわゆる自然の地面だけでなく、コンクリートやアスファルトなどの人工の地面も含む。
【0075】
二輪車検出装置1は、導電体が周回したループコイル2と、検出部3と、を備える。また、必要に応じて、発信器4を備える。また、駐輪場に二輪車検出装置1が設置される際には、導電線であるループコイル2の形態維持と保護のために、管路に、ループコイル2が通されている状態でも良い。
【0076】
ループコイル2は、発信器4からの電気信号を導電させる。この電気信号の導電によって、ループコイル2は、磁界を発生させる。また、ループコイル2は、図2に示されるように、検出地面51に略平行な平行平面に沿った平面ループ部21と、検出地面51に交差する交差方向に沿った交差ループ部22を有する。また、平面ループ部21と交差ループ部22とは、連続した状態で電気的に接続する。ループコイル2は、平面ループ部21と交差ループ部22とが連続して一周すると、発信器4や検出部3に、それぞれの端部から接続する。このため、ループコイル2は、発信器4や検出部3を基点に、周回している部材である。
【0077】
また、平面ループ部21は、二輪車200の前輪と対向する位置において、検出地面51に沿った平行平面に沿って屈曲する屈曲ループ部23を備える。
【0078】
このように、実施の形態1におけるループコイル2は、検出場所50を通過もしくは到達する二輪車200の側面に沿って立設する交差ループ部22と、検出地面51に平行な平面ループ部21に加えて、前輪の位置に対応する屈曲ループ部23によって、構成される。この屈曲ループ部23により、二輪車200の前輪の状態に係らず、ループコイル2は、二輪車200に確実に磁界を付与することができる。
【0079】
なお、ループコイル2が発信器4や検出部3を基点に周回するとは、ループコイル2を形成する導電体が1周あるいは2〜3周にわたって周回され、周回の終わった端部が、発信器4や検出部3に最終的に接続されることである。例えば、検出部3に繋がる導電体の端部から導電体が周回し、複数周の周回をしてループコイル2を形成し、周回の終わった導電体のもう一方の端部が、検出部3に戻る状態である。導電体の周回数は、適宜定められればよい。
【0080】
この周回の途中において、駐停車面に略平行な平面ループ部21と駐停車面に交差する交差ループ部22と屈曲ループ部23とが存在することになる。このように、ループコイル2は、発信器4や検出部3を基点として、平面ループ部21、交差ループ部22、屈曲ループ部23とを経て、再び発信器4や検出部3に戻る周回の部材である。
【0081】
ここで、平面ループ部21は、図3に示されるように、検出地面51に埋設されている埋設平面ループ部211と検出地面51の上に露出している露出平面ループ部212とを有する。図3は、本発明の実施の形態1における二輪車検出装置の模式図である。このように、検出地面51に略平行な平行平面に沿っている平面ループ部21は、検出地面51に埋設している部分と検出地面51から露出している部分とを混在させている。
【0082】
また、交差ループ部22は、検出地面51から地上に露出している。屈曲ループ部23は、検出地面51に埋設されている。
【0083】
埋設平面ループ部211は、二輪車200の前輪側の前方埋設平面ループ部211Aと、二輪車200の後輪側の後方埋設平面ループ部211Bとを有する。また、埋設平面ループ部211は、図3に示されるように、二輪車200の本体方向に交差する方向に沿って検出地面51に埋設される。
【0084】
交差ループ部22は、前方埋設平面ループ部211Aの端部から上方に突出する前方交差ループ部22Aと、後方埋設平面ループ部211Bの端部から上方に突出する後方交差ループ部22Bと、を有する。露出平面ループ部212は、図3に示されるように、前方交差ループ部22Aと後方交差ループ部22Bとを、接続する。
【0085】
更に、屈曲ループ部23は、前方埋設平面ループ部211Aに接続して設けられる。これらの接続関係によって、平面ループ部21、交差ループ部22、屈曲ループ部23が、一連に接続されて周回した状態となる。もちろん、周回においては、発信器4および検出部3を基点としていればよい。
【0086】
このようなループコイル2は、二輪車200の側面に沿って平行な平面ループ部21、二輪車200の側面に沿って立設する交差ループ部22、二輪車200の前輪を避けるようにして埋設される屈曲ループ部23とを備える。この結果、ループコイル2が、二輪車200の側面や平面の全てに磁界を付与することができる。更には、屈曲ループ部23によって、二輪車200の前輪に強すぎる磁界が与えられない。このように、ループコイル2は、適切な磁界を二輪車200に付与できる。
【0087】
発信器4は、ループコイル2に所定の周波数の電気信号を出力する。ループコイル2は、導電性の部材であるので、発信器4からの電気信号は、ループコイル2を導電する。
【0088】
検出部3は、ループコイル2を導電する電気信号の変化を検出する。ループコイル2は、導電する電気信号によって、周囲に磁界を発生させる。この発生している磁界中に吸収物が存在すると、磁界の一部が吸収される。磁界の一部が吸収されることで、ループコイル2を導電する電気信号の種々の要素が変化する。例えば、電気信号の電流値、電圧値、電力値、周波数などの要素が変化する。このとき、吸収物の大きさによって、変化量は異なる。
【0089】
検出部3は、これらの変化や変化量に基づいて、吸収物の大きさを推定する。ここで、ループコイル2は、検出場所50に設けられるので、吸収物は、二輪車200である。また、二輪車200は、大型バイク、中型バイク、小型バイク、原動機付き自転車、自転車などの様々な種類を有している。これらの種類によって、磁界を吸収できる量が変わる。すなわち、磁界の吸収によって生じる電気信号の電流値、電圧値、電力値、周波数などの要素の変化量も異なる。
【0090】
検出部3は、発信器4から出力されてループコイル2を周回する電気信号における、電流値、電圧値、電力値などの要素の変化量を検出できる。ここで、図3を用いて説明した通り、ループコイル2は、平面ループ部21、交差ループ部22、屈曲ループ部23を備えることで、二輪車200の形態に適切に対応して、磁界を付与することができる。
【0091】
加えて、後述するように、二輪車200の前輪に対応する位置では、屈曲ループ部23が備わっている。この結果、自転車のように前輪が左右に傾きやすい構造であっても、本来の二輪車200の大きさと不整合な磁界の吸収が生じない。磁界の吸収は、ループコイル2を流れる電気信号の電流値、電圧値、電力値および周波数の少なくとも一つに変化量を生じさせる。検出部3は、この変化量に基づいて、二輪車200の種類を判別するので、屈曲ループ部23による不整合な磁界の吸収の抑制により、検出部3は、正確に種類を判別できる。
【0092】
このように、検出部3は、電気信号の変化や変化量に基づいて、(1)検出場所50において二輪車200が存在すること、(2)検出場所50に到達している二輪車200の種類を判別すること、を検出できる。二輪車検出装置1が駐輪場100の入り口110や出口120に設けられることで、二輪車検出装置1は、入り口110や出口120に停止(到達)や通過する二輪車200の有無および種類を判別できる。
【0093】
図4は、本発明の実施の形態1における検出部での判別基準を示す模式図である。
【0094】
検出部3は、ループコイル2を流れる電気信号の電流値、電圧値、電力値および周波数の少なくとも一つを検出できる。これらの少なくとも一つを、検出部3は、検出値として検出できる。この検出値は、電流値などの変化量に基づいている。
【0095】
ここで、ループコイル2は、検出地面51に沿った平面ループ部21と、検出地面51に交差する交差ループ部22を有している。平面ループ部21は、検出地面51の平面領域に対して磁界を発生させる。一方、交差ループ部22は、検出地面51の交差(垂直)領域に磁界を発生させる。このため、平面ループ部21が発する磁界は、二輪車200の平面領域の吸収状態の影響を受ける。一方、交差ループ部22が発する磁界は、二輪車200の垂直領域の吸収状態の影響を受ける。
【0096】
実施の形態1の二輪車検出装置1では、平面ループ部21は、検出場所50で停止もしくは検出場所50を通過する二輪車200の底部に対して磁界を付与する。一方、交差ループ部22は、検出場所50で停止もしくは検出場所50を通過する二輪車200の側面に対して磁界を付与する。
【0097】
屈曲ループ部23は、検出場所50で停止する二輪車200の前輪に重複しない非重複領域を形成可能である。図3に示されるように、二輪車200の前輪は、屈曲ループ部23によって形成される領域に対向している。この結果、二輪車200の前輪は、磁界の吸収にあまり寄与しないようになる。例えば、非重複領域においては、埋設平面ループ部211Aが、二輪車200に磁界を付与しないことによる。
【0098】
大型の二輪車200であるほど、平面領域や垂直領域で、磁界が吸収される。
【0099】
ループコイル2が発生させる磁界の吸収量が大きいほど、変化量は大きくなる。すなわち、検出値も大きくなる。吸収量が大きいのは、二輪車200でも大型バイクのように大型のものである。このため、図4に示されるように、検出値の大きさは、二輪車200の大きさに比例して区分される。
【0100】
検出部3は、図4に示されるような閾値に基づいて、二輪車200の種類を判別できる。例えば、検出値(変化量)がもっとも大きい範囲では、二輪車200が大型バイクであると判別される。その下の範囲での検出値では、二輪車200が中型バイクであると判別される。更に下の範囲での検出値では、二輪車200が小型バイクであると判別される。更に下の範囲での検出値では、二輪車200が原動機付き自転車であると判別される。最も下の範囲での検出値では、二輪車200が自転車であると判別される。
【0101】
このように、検出値の値と対応する閾値に基づいて、検出部3は、二輪車200の種類を判別できる。
【0102】
検出部3が、二輪車200の種類を判別できることで、入り口110や出口120は、入庫や出庫しようとしている二輪車200を判別した上で、入庫や出庫を許可できる。特に、出口120においては、二輪車200の種類を判別できることで、精算機130での駐輪料金を正確に精算できる。正確に精算できれば、二輪車200を駐輪する利用者も安心して駐輪場100を利用できる。
【0103】
(屈曲ループ部によるメリット)
ここで、実施の形態1における二輪車検出装置1のループコイル2は、屈曲ループ部23を備えている。屈曲ループ部23は、二輪車200の前輪に対応する位置に、前輪とループコイル2の導体が対向しない非重複領域を形成できる。この非重複領域が形成されることで、前輪に付与される磁界の量が減少する。付与される磁界の量が減少することで、前輪における磁界の吸収量の割合が、二輪車200全体において低減できる。
【0104】
これに対して、屈曲ループ部を有していないループコイルのみの二輪車検出装置では、二輪車200の種類によっては、誤った検出を行ってしまうことがある。
【0105】
図5は、本発明の参考における二輪車検出装置の問題点を説明する説明図である。
【0106】
ループコイル400は、平面ループ部および交差ループ部を有していても、上方から見た場合には、普通に周回する形状を有している。すなわち、ループコイル400は、屈曲ループ部を有していない。
【0107】
このようなループコイル400は、二輪車200の側面および底部に磁界を付与する。二輪車200は、側面の部材において磁界を吸収すると共に底部や上部の部材において磁界を吸収する。磁界の吸収によって生じる、ループコイル400を流れる電気信号の電流値、電圧値、電力値および周波数の変化量が、検出される。
【0108】
このとき、二輪車200が図5の左側のように、前輪201も含めてまっすぐの場合には、ループコイル400の前方であって前輪201と重なる部分での磁界の吸収は、二輪車200の他の部分と同じである。しかし、二輪車200が自転車である場合には、図5の右側のように前輪201が左右に傾きやすい。自転車は、その重さが軽く、前輪201が停止状態において簡単に傾いてしまうからである。
【0109】
このように、前輪201が左右に傾いた状態では、前輪201部分の見かけ上の幅が大きくなってしまい、磁界の吸収が大きくなってしまう。磁界の吸収が大きくなれば、検出部3が検出する電流値などの変化量が大きくなる。この変化量が大きくなってしまうと、二輪車200が自転車であるにもかかわらず、小型バイクや中型バイクなどのより大型の種類であると誤検出されてしまう可能性がある。
【0110】
これは、二輪車200の前輪201に対向する位置に、ループコイル400の一部が存在することにより、前輪201の前方と後方を結ぶ磁界が、幅をもつように傾いた前輪201で吸収されるからである。
【0111】
これに対して、実施の形態1における二輪車検出装置1のループコイル2の場合には、屈曲ループ部23によって、前輪201に付与される磁界を減らすことができる。図6は、本発明の実施の形態1におけるループコイルと二輪車との位置関係を示す説明図である。図5と同様に、ループコイル2と二輪車200を、上方から見た状態を表している。
【0112】
屈曲ループ部23によって、前方埋設平面ループ部211Aは、前輪201に重複しない。このため、前方埋設平面ループ部211Aが、発生させる磁界が、傾いた前輪201にあまり付与されない。このため、前輪201が傾くことによってその幅を広げる場合であっても、前輪201における前方埋設平面ループ部211からの磁界の吸収が抑えられる。
【0113】
更には、屈曲ループ部23も、前輪201に対して付与する磁界を強くしないで済む。これらの結果、実施の形態1における二輪車検出装置1は、前輪201が傾いたとしても、本来の磁界の吸収を上回る吸収が生じることはない。これらの結果、実施の形態1における二輪車検出装置1は、前輪201が傾きやすい自転車であっても、その種類を確実かつ正確に判別できる。
【0114】
以上のように、実施の形態1における二輪車検出装置1は、屈曲ループ部23を備えて二輪車200の前輪201での傾きの影響を防止して、より正確に二輪車200の種類を判別できる。
【0115】
(各部の詳細)
【0116】
(ループコイル)
ループコイル2は、平面ループ部21、交差ループ部22、屈曲ループ部23をそれぞれ周回形状で接続している。図3に示されるように、それぞれの部分が、検出地面51に埋設されていたり、露出していたりして、二輪車200の周囲を囲む。
【0117】
ループコイル2は、いずれの部分も導体であり、発信器4からの電気信号を導電できる。この電気信号の導電によって、ループコイル2の直進方向を軸とした円周状の磁界を発生できる。ループコイル2は、図3を用いて説明したお通り、様々な方向を持っており、それぞれの部分の方向に従って、磁界を発生できる。
【0118】
これらの磁界は、二輪車200の側面、上面、底面などにおいて吸収されて、二輪車200が検出場所50に存在しない場合での磁界と変化して、ループコイル2を流れる電気信号の電流値、電圧値、電力値および周波数の少なくとも一つが変化する。ループコイル2は、導体であることにより、このような電気信号の変化を生じさせることができる。
【0119】
(発信器)
発信器4は、所定の電流値等を有し、所定の周波数の電気信号を導体であるループコイル2に送り込む。発信器4は、一般的に用いられる信号発生装置が用いられればよい。発信器4は、ループコイル2と電気的に接続している。例えば、ループコイル2と直接的に接続されることで、電気的に接続されてもよい。
【0120】
あるいは、発信器4は、ループコイル2に無線通信で電気信号を伝達するように、間接的に接続されてもよい。
【0121】
(検出部)
検出部3は、上述の通り、ループコイル2を流れる電気信号の電流値、電圧値、電力値および周波数の少なくとも一つを検出する。このとき、電流値などの観測値を検出してもよいし、本来の値との差分値を検出してもよい。
【0122】
検出部3も、発信器4と同様に、ループコイル2に電気的に接続されている。
【0123】
検出部3は、図4で説明したように、予め設定された閾値や関数テーブルなどの参考値を有しておき、検出された変化量と参考値とを比較することで、二輪車200の種類を判別できる。この閾値や関数テーブルは、経験値や実験値によって予め定められれば良いし、事後的に変更可能であることも好適である。このため、検出部3は、書き換え可能なメモリを備えていることも好適である。
【0124】
(実施の形態2)
【0125】
次に実施の形態2について説明する。
【0126】
(屈曲ループ部の形状)
屈曲ループ部23は、図2図3に示されるように、二輪車200の前輪に重複しないように設けられる。このとき、屈曲ループ部23は、図2図3に示されるように、二輪車200の後ろ側に屈曲していてもよい。後ろ側に屈曲していることで、二輪車200の前輪に、ループコイル2の一部が重複しにくい(前方埋設平面ループ部211Aが、二輪車200の前輪に付与する磁界を抑える)。
【0127】
このように、屈曲ループ部23によって、ループコイル2の一部が、前輪に重複しにくくなり、前方埋設平面ループ部211Aによる前輪への磁界の付与が抑えられて、二輪車200の前輪が傾く場合でも、検出部3による誤った判別が生じにくくなる。
【0128】
一方、屈曲ループ部23は、二輪車200の前側に屈曲してもよい。図7は、本発明の実施の形態1におけるループコイル2の模式図である。図7のループコイル2では、屈曲ループ部23が、二輪車200の前側に屈曲している。言い換えれば、前側に突出している。この突出により、前方埋設平面ループ部211Aは、二輪車200の前輪の前方に延伸することになり、二輪車200の前輪へ付与される磁界が抑えられる。
【0129】
この抑制によって、二輪車200の前輪が傾いても、検出部3における判別に誤りは生じにくい。
【0130】
このように、屈曲ループ部23は、二輪車の後ろ側もしくは前側のいずれに突出していてもよい。
【0131】
(予備コイル)
実施の形態1で説明したように、屈曲ループ部23によって、二輪車200の前輪201と重複しない非重複領域が形成される。図8は、本発明の実施の形態2における二輪車検出装置の模式図である。図8に示されるように、屈曲ループ部23によって、前輪201と重複しない非重複領域52が形成される。この非重複領域の形成によって、二輪車200の前輪201が傾いても、本来の二輪車200によって生じる電気信号の変化量と大きく相違する変化量が生じない。
【0132】
一方で、この非重複領域52によって、二輪車200の前輪に付与される磁界が減少する。この減少によって、検出部3が検出するループコイル2を流れる電気信号の変化量は、変化前とで差が小さくなることもある。
【0133】
図8に示される二輪車検出装置1は、このような場合に対応するために、予備コイル70を備えている。予備コイル70は、ループコイル2とは独立した別の導体で形成される。また、図8には示していないが、予備コイル70にも、ループコイル2とは別に独立した発信器や検出部が設けられる。また、予備コイル70は、地面に埋設される。
【0134】
このように、予備コイル70は、ループコイル2と独立した別個の導体であるので、ループコイル2での電気信号の変化とは別個に予備コイル70での電気信号の変化が生じる。
【0135】
予備コイル70は、二輪車200の前輪201のみに対応して磁界の付与を行う。言い換えれば、予備コイル70からの磁界は、前輪201のみで吸収される。この吸収においては、前輪201が傾きを有していても、前輪201以外の部分の影響を受けない。このため、予備コイル70は、前輪201による電気信号の変化を確実に検出できる。前輪201のみに対応するので、前輪201が傾いたとしても、それによって生じる電気信号の変化量は、二輪車200の種類の判別に影響を与えにくいからである。
【0136】
一方、ループコイル2においては、屈曲ループ部23によって、前輪201の影響を受けにくい状態であるので、ループコイル2に対応する検出部3は、前輪201の影響を受けにくい状態で、二輪車200の種類を判別できる。一方、予備コイル70は、前輪201のみを中心として電気信号の変化を検出する。このため、予備コイル70に接続する検出部は、前輪201を中心とする電気信号の変化を検出できる。この結果、ループコイル2が検出しにくい前輪201での電気信号の変化を、予備コイル70が補うように検出できる。
【0137】
これらの検出によって、二輪車200の全てを活用しながら、二輪車検出装置1は、電気信号の変化量を検出できる。この全体を活用した検出によって、二輪車検出装置1は、検出場所50において二輪車200を、確実かつ正確に判別できる。
【0138】
なお、検出部3は、ループコイル2のみの検出結果と、予備コイル70での検出結果とをあわせた上で、最終的に二輪車200の種類を判別してもよい。この場合には、ループコイル2で検出される電気信号の変化に対する閾値と、予備コイル70で検出される電気信号の変化に対する閾値との両方の結果に基づいて、検出部3は、二輪車200の種類を判別する。
【0139】
以上のように、実施の形態2における二輪車検出装置1は、二輪車200の前輪201などの構造上の特性により適した状態で、二輪車200の種類をより確実に判別できる。
【0140】
なお、実施の形態1〜2で説明された二輪車検出装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0141】
1 二輪車検出装置
2 ループコイル
21 平面ループ部
22 交差ループ部
23 屈曲ループ部
3 検出部
4 発信器
50 検出場所
51 検出地面
52 非重複領域
70 予備コイル
100 駐輪場
110 入り口
120 出口
200 二輪車
201 前輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8