(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、以下の説明中において適宜X方向、Y方向、およびZ方向をそれぞれ規定したが、本発明の権利範囲を意図的に限定又は減縮するものでない。なお以下で詳細に説明する特徴的な構造以外の構造については、例えば上述した特許文献1乃至3など他の公知の包装装置で用いられる構造を必要に応じて参照してもよい。
【0019】
<包装装置1の構成>
図1は本発明の実施形態にかかる包装装置1を示す模式図である。実施形態の包装装置1は、例えば延伸性の包装材を搭載して無限軌道内を周回して前記包装材を引き出しながら被包装材を包装する機能を備えている。
より具体的に本実施形態にかかる包装装置1は、少なくとも一部で開閉が可能な無限軌道2と、この無限軌道2上で周回可能なシャトル3と、このシャトル3に搭載されて包装材Lを供給する包装材供給装置4と、この包装材Lにより包装される被包装物Sを支持する支持装置5と、を含んで構成されている。
【0020】
また、
図1(b)に示されるように、本実施形態の包装装置1は、包装材Lの端末を処理するための第1クランプ装置60および第2クランプ装置70を含んで構成されている。なお、
図1では説明の便宜上、1つのシャトル3が描かれているが、これに限られず2つ以上の任意の数のシャトル3(及び包装材供給装置4)が無限軌道2上で周回される形態であってもよい。
【0021】
ここで、本実施形態で用いられる被包装物Sには特に制限はないが、好適な被包装物Sの例として例えば上記したロール状に巻かれた鋼板、金属線の束などの線材コイルが挙げられる。また、本実施形態でいう包装装置とは、フィルムや紙材で被包装物Sを巻き付けるための装置をいい、被包装物Sを結束するための結束装置をも含む概念である。
また、包装材Lは、上述した被包装物Sを拘束するための延伸性を具備した材料であれば種々のものを適用してもよく、例えば公知のストレッチ樹脂フィルムなどのフィルム材や拘束用途の弾性変形可能な紙材などが挙げられる。
【0022】
無限軌道2は、金属製の構造体であって、閉鎖経路を形成する環状軌道を有する。この無限軌道2は、上記した環状軌道に沿って配置されてシャトル3を駆動させるための種々の部材(後述する所定のピッチで夫々配置されて回転可能な複数のスプロケット21など)を備えている。換言すれば、本実施形態の無限軌道2は、少なくとも一部で開閉が可能であって、所定のピッチで各々配置されてその配置場所で回転可能な複数のスプロケットを備えている。
【0023】
シャトル3は、無限軌道2上を周回可能な構造体であって、例えば一般構造用圧延鋼材(SS400など)やアルミニウムなどの金属で形成されていてもよい。そしてシャトル3は無限軌道2内に設置された駆動部からの推力が伝達される従動チェーン33などを備えている。
包装材供給装置4は、ボルトやネジなどの公知の固定手段を介してシャトル3に搭載されるとともに、上述した包装材Lを回転可能に支持してシャトル3の周回に伴って包装材Lを引き出すことができる。
【0024】
また、包装材供給装置4は、シャトル3に搭載されるとともに、シャトル3の周回に伴って包装材Lを引き出す機能を有している。そして本実施形態の包装材供給装置4は、引き出される包装材Lの一部に生ずる張力が一定となるように維持する張力制御機構を備えている。この張力制御機構を備えた包装材供給装置4は、後に別途図面を用いて詳述される。
【0025】
支持装置5は、無限軌道2を支持する第1支持部51と、上述した被包装物Sを回転可能に支持する第2支持部52を備えた構造体であり、例えば一般構造用圧延鋼材(SS400など)や機械構造用炭素鋼(S45Cなど)等の金属からなるフレーム構造で構成されていてもよい。換言すれば、本実施形態の支持装置5は、少なくとも一部が無限軌道2に包囲される被包装物Sを支持する機能を有している。
【0026】
また、支持装置5には、後述する駆動チェーン22や開閉機構23、被包装物支持部52などを駆動するための不図示の制御装置53が搭載されている。そして作業者は、制御装置53に備えられたタッチパネル式表示部などを操作することにより、この駆動チェーン22や開閉機構23、被包装物支持部52を駆動制御してもよい。
【0027】
第1支持部51は、無限軌道2の下側の二箇所において、ネジなどの公知の締結部材を介して無限軌道2を固定している。また、第2支持部52は、被包装物Sを回転可能に支持する一対のローラーを含んで構成されている。一方、支持装置5内には電動モータ54が搭載され、上述した制御装置53の制御の下で電動モータ54を介して被包装物支持部52を回転させることにより、包装処理中に被包装物Sが順次回転して適切なラッピングが可能となっている。なお、この電動モータ54は不図示の商用電源と接続されて電力が適宜供給されるようになっている。
【0028】
第1クランプ装置60は、包装材Lの少なくとも一部をクランプハンドでクランプしながら当該包装材Lをカット機構で切断することが可能である。なお、クランプハンドとしては公知のロボットハンドを適用してもよい。また、カット機構としては、例えば物理的に鋭利な刃を用いてもよいし、熱を利用して焼き切るヒートカッティング機構を用いてもよい。
【0029】
本実施形態の第1クランプ装置60は、包装材Lの切断位置を基準とした場合に余剰材となる側の包装材Lをクランプハンドで把持することが可能となっている。また、この第1クランプ装置60は、Y方向に関して進退移動が可能であるとともに、Y軸周りに回転可能に構成されていてもよい。そして被包装材を包装する包装処理の際には、第1クランプ装置60は、Y方向に関して無限軌道2内の位置と無限軌道2内から離脱した位置との間で任意に移動が可能となっていてもよい。
【0030】
第2クランプ装置70は、第1クランプ装置60とは独立して移動制御されるとともに、第1クランプ装置60が包装材Lを把持する位置とは異なる位置で当該包装材Lの一部を把持可能である。具体的に本実施形態の第2クランプ装置70は、包装材Lの切断位置を基準とした場合に残余材となる側(包装材L本体の側)の包装材Lをクランプハンドで把持することが可能となっていてもよい。
【0031】
この第2クランプ装置70は、典型的には6自由度のロボットハンドの先端に設けられ、無限軌道2内外で任意の位置および姿勢を取ることが可能となっている。そして上記した包装処理の際には、第2クランプ装置70は、第1クランプ装置60と協働して包装材Lの端末処理を実行することが可能となっている。
【0032】
次に
図1および2を用いて、本実施形態に係る無限軌道2の詳細な構造について説明する。このうち
図2(a)は無限軌道2のうち直線部Dにおける部分斜視図を示し、
図2(b)は曲線部Cにおける部分斜視図を示している。
【0033】
本実施形態の無限軌道2は、構造躯体としてのフレーム20、フレーム20内で回転可能に接地される複数のスプロケット21、このスプロケット21を回転させるための駆動チェーン22、この無限軌道2の一部を開閉させるための開閉機構23、および駆動チェーン22を駆動させる電動モータ24などを含んで構成されている。
【0034】
フレーム20は、例えば一般構造用圧延鋼材(SS400など)や機械構造用炭素鋼(S45Cなど)等の金属で構成され、その内周側には複数のスプロケット21や駆動チェーン22などが設置される。
【0035】
スプロケット21は、例えば一般構造用圧延鋼材(SS400など)や機械構造用炭素鋼(S45Cなど)等の金属をプレス加工や切削加工などすることにより製造され、上述したとおり直線部D内で設置される第1スプロケット21a(
図2(a))と、曲線部C内に配置される第2スプロケット21b(
図2(b))とを含んで構成されている。換言すれば、本実施形態の第1スプロケット21aは、直線部Dに配置されるとともに第1従動チェーン(後述)に対応している。また、第2スプロケット21bは、曲線部Cに配置されるとともに第2従動チェーン(後述)に対応している。
【0036】
駆動チェーン22は、X方向に沿って複数設けられ、無限軌道2の上記した閉鎖経路に沿って千鳥状態で(一方の駆動チェーン22の始端と他方の駆動チェーン22の終端の一部とがY方向に関して互いに重複するように)配置されている。なお、この駆動チェーン22は、電動モータ24(
図1参照)からの動力を受けてスプロケット21を回転駆動させることが可能となっている。
【0037】
図2(a)や(b)に示されるように、駆動チェーン22は一対の駆動用スプロケット25と噛み合っており、この駆動用スプロケット25と同軸で一体となっているスプロケット21が駆動チェーン22の駆動により回転する仕組みとなっている。なお、この電動モータ24も上述した商用電源と接続されて電力が適宜供給されるようになっていてもよい。
【0038】
開閉機構23は、被包装物Sを無限軌道2に対して着脱する際に、開口端部E(
図1参照)を境にして無限軌道2の一部を不図示のモータを介して開閉させる機構である。このモータも、上記した商用電源と接続されていてもよい。なお、開閉機構23はモータを介さずに上記した無限軌道2の一部を開閉させてもよい。
【0039】
次に
図3を用いて、本実施形態に係るシャトル3の詳細な構造について説明する。
まず
図3(a)〜(c)に示されるように、本実施形態のシャトル3は、基台31と、基台31内に配置される従動チェーン33(33a、33b)を含んで構成されている。さらにシャトル3は、基台31上に公知の固定手段を介して包装材供給装置4を支持可能となっている。
【0040】
基台31は例えば一般構造用圧延鋼材(SS400など)やアルミニウムなどの金属で構成され、基台31の上面には不図示の締結部材を介して包装材供給装置4が固定される。また、基台31の下面にはチェーンマウンター32を介して一組の従動チェーン33が設置される。
【0041】
従動チェーン33は、第1の線R1上に配置されて第1スプロケット21aに連動する第1従動チェーン33aと、第1の線R1とは異なる第2の線R2上に配置されて第2スプロケット21bに連動する第2従動チェーン33bを含んでいる。換言すれば、第1の線R1は、Y方向に関して第2の線R2とは異なる位置に配置されていてもよい。したがって、第1スプロケット21aのY方向に関する位置も、第2スプロケット21bのY方向における位置とは異なるように配置されていてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、第1スプロケット21aは無限軌道2の直線部D(
図2(a)参照)に配置されているので、
図3(b)に示すように第1従動チェーン33aはその外形が直線状となっている。一方、第2スプロケット21bは無限軌道2の曲線部C(
図2(b)参照)に配置されているので、
図3(c)に示すように第2従動チェーン33bは曲線部Cに倣うようにその外形形状は曲線状となっている。
【0043】
なお、
図3(a)〜(c)に示されるように、本実施形態では、シャトル3の進行方向(X方向)に関し、第1従動チェーン33aのX方向における長さは、第2従動チェーン33bのX方向における長さよりも短くなっていてもよい。これによりシャトル3は直線部Dでは安定して直線移動ができるとともに、曲線部Cでは直線部Dからの切り替えがスムーズにガタ付き無く行うことが可能となる。なお、第1チェーンマウンター32aのX方向における長さは、第2チェーンマウンター32bのX方向における長さと同じにしてもよいし、第2チェーンマウンター32bのX方向における長さよりも長くしてもよい。
【0044】
また、本実施形態のチェーンマウンター32は、従動チェーン33に対応した形状を備えている。すなわちチェーンマウンター32は、第1従動チェーン33aを搭載する平板状(表面が平面状)の第1チェーンマウンター32aと、第2従動チェーン33bを搭載する蒲鉾状(スプロケット21に向けて凸状の表面を有し、この表面は上述した所定の曲率半径に対応する曲面である)の第2チェーンマウンター32bとを含んで構成されている。
【0045】
なお、本実施形態では隣り合う第2スプロケット21b間の距離P2(
図3(c)参照)は、第2従動チェーン33bの進行方向(X方向)における長さよりも短くなっていてもよい。従って、シャトル3が無限軌道2上を周回する際に推進力が途切れなく第2スプロケット21bを通じて伝達されることになっている。
【0046】
また、直線部Dにおいても、隣り合う第1スプロケット21a間の距離P1(
図3(b)参照)は、第1従動チェーン33aの進行方向(X方向)における長さよりも短くなっていてもよい。従って、シャトル3が無限軌道2上を周回する際に、直線部Dにおいても推進力が途切れなく第1スプロケット21aを通じて伝達されることになる。
【0047】
また、
図3(d)に示すように、本実施形態では、無限軌道2のうち曲線部Cにおいては、シャトル3側の第1従動チェーン33aはスプロケット21とは噛み合っておらず、フリーの状態となっていてもよい。一方で駆動チェーン22が駆動することで回転する第2スプロケット21bと第2従動チェーン33bとが噛み合っており、これによりシャトル3は進行方向への推力を得て無限軌道2上を周回可能となっていてもよい。
【0048】
次に
図4〜
図10を用いて本実施形態の包装材供給装置4の詳細を説明する。
まず
図4に、上記したシャトル3に搭載される包装材供給装置4の外観斜視図を示す。
上述したとおり、この包装材供給装置4は、公知の固定手段を介してシャトル3の基台31に搭載(固定)され、シャトル3が無限軌道2上を移動することによって包装材Lの一部が包装材供給装置4から引き出されて被包装物Sが包装される仕組みとなっている。
【0049】
具体的に本実施形態の包装材供給装置4は、フレーム40、支持部41、ロール部材42、第1スプリング部材43、非接触ブレーキ機構44、クラッチ機構45、および張力制御機構46を含んで構成されている。
【0050】
フレーム40は、例えば一般構造用圧延鋼材(SS400など)やアルミニウムなどの金属で構成され、後述する支持部41や差動歯車機構46cなどを搭載するボディとしての機能を有している。
支持部41は、フレーム40に搭載され、例えば中空又は中実の金属棒がベアリングなどの公知の軸受を介して回転可能に支持された構造となっている。そして支持部41は、ロール状の包装材Lを引き出し可能に支持する機能を備えている。
【0051】
ロール部材42は、例えば金属又は樹脂などの棒状部材であり、公知の軸受を介して回転可能にフレーム40に支持されている。そして本実施形態のロール部材42は、引き出された包装材Lと接触して回転する機能を備えている。なおロール部材42のうち包装材Lと接触する接触面は、機械又は薬品による研磨処理などの表面加工が施されており、この接触面における摩擦係数がμ
0となっている。
第1スプリング部材43は、フレーム40に搭載されており、ロール部材42を包装材Lに対して一定の力で押し付ける機能を有している。従って、包装処理時に包装材Lが使用されて半径が小さくなるときでも、この半径の減少に追従して継続してロール部材42を包装材Lに対して一定の力で押し付けることができるようになっている。なお、第1スプリング部材43の具体例としては、例えば公知のガススプリングや油圧スプリングなどを適用してもよい。
【0052】
非接触ブレーキ機構44は、ロール部材42の回転を減衰させる一定のトルクを当該ロール部材42に付与する機能を備えている。
図6などで後述されるように、本実施形態の非接触ブレーキ機構44は、アウトプットシャフト46b(後述)の回転に連動する第2軸J2に設置された金属板ディスク44aと、この金属板ディスク44aを挟むように固定配置された一対のマグネット板44bを含んで構成されている。
なお、非接触ブレーキ機構44としては、第2軸J2に一定のトルクを付与可能であれば上記構造に限られず、例えば特開平5−248453号公報、特開平7−14254号公報、特開平8−308209号公報および特開2011−141035号公報など公知の機構を随時参照してもよい。
【0053】
クラッチ機構45は、非接触ブレーキ44の駆動を停止させる機能を有している。本実施形態のクラッチ機構45は、
図8にも示されるとおり、筐体45a、挿入孔45b、ロックピン45c、ロック開放ピン45d、ロック開放アーム45e、及び押付バネ45fを含んで構成されている。
【0054】
筐体45aは、後述するロックピン45cなどを収容するフレームであり、例えばSUSやアルミニウムなどの金属から構成されている。
挿入孔45bは、筐体45aに形成される貫通孔であり、アウトプットシャフト46bに連動して回転する第2軸J2が挿入される。
【0055】
ロックピン45cは、挿入孔45bに配置されて、第2軸J2の回転を規制する機能を備えている。より具体的に例えば
図8(a)のごとく第2軸J2にロックピン45cが接触しているときは第2軸J2の回転を阻害するように構成されている。
ロック開放ピン45dは、ロックピン45cを移動させて第2軸J2の回転規制を解放する機能を備えている。本実施形態では、例えば
図8(b)のごとく、ロック開放ピン45dがロックピン45cを押し上げることで、第2軸J2からロックピン45cが離間して第2軸J2の回転が阻害されないようになる。
【0056】
ロック開放アーム45eは、第1軸J1に固定されてロック開放ピン45dを押圧する機能を備えている。より具体的には
図8(a)に示すように、ロック開放アーム45eは第1軸J1に固定されており、この第1軸J1の回転に追従して旋回することが可能となっている。
押付バネ45fは、ロックピン45cが第2軸J2と接触を維持するようにロックピン45cを押圧する機能を備えたバネ材である。
【0057】
本実施形態では、押付バネ45fによるロックピン45cの押付力は、ロック開放アーム45eがロック開放ピン45dを押し付ける力よりも弱く設定されているため、ロック開放アーム45eがロック開放ピン45dを押し上げることが可能となっている。
なお、クラッチ機構45の具体的な動作は、
図6〜9を用いて後述される。
【0058】
張力制御機構46は、包装材Lの引き出し方向に沿った張力が包装材Lに付与されているときクラッチ機構45のロックを解除して非接触ブレーキ機構44による上記したトルクをロール部材42に付与する機能を備えている。
より具体的に本実施形態の張力制御機構46は、インプットシャフト46a、アウトプットシャフト46b、差動歯車機構46c、巻戻機構46d、伝達チェーンC1、第1歯車Z1〜第9歯車Z9およびその他必要なシャフトを含んで構成されている。
【0059】
インプットシャフト46aは、伝達チェーンC1を介してロール部材42の回転が入力される軸である。よって、例えばシャトル3が無限軌道内を周回することで包装材Lが引き出された場合、引き出される包装材Lと接触するロール部材42が回転し、このロール部材42の回転が伝達チェーンC1を介してインプットシャフト46aの回転となるように伝達される。また、インプットシャフト46aの他端は後述する差動歯車機構46cの第1歯車(入力歯車)Z1と接続されており、インプットシャフト46aの回転によって第1歯車Z1も回転するように構成されている。
【0060】
アウトプットシャフト46bは、一端が差動歯車機構46cの第7歯車(出力歯車)Z7と接続されるとともに、他端が第8歯車Z8及び第9歯車Z9を介して第2軸J2と連結されている。従ってクラッチ機構45のロックが解除されているときには、インプットシャフト46aが回転すると、この回転は差動歯車機構46cを介してアウトプットシャフト46bに伝わり、さらにアウトプットシャフト46bと連結された第2軸J2の回転へと伝達されることとなる。
【0061】
差動歯車機構46cは、入力歯車、出力歯車、及び遊星歯車を含んで構成されている。
入力歯車は、本実施形態では上記した第1歯車Z1であり、
図7にも示されるとおり、ロール部材42の回転と連動するインプットシャフト46aに接続されている。
出力歯車は、本実施形態では上記した第7歯車Z7であり、
図7にも示されるとおり、非接触ブレーキ機構44の回転と連動するアウトプットシャフト46bに接続されている。
遊星歯車は、
図5及び
図6に示すとおり第3歯車Z3〜第6歯車Z6を介して第1軸J1と連結する第2歯車Z2であり、入力歯車Z1からの動力を受けて周回し、クラッチ機構45のロックを解除するロック開放アーム45eが設けられた第1軸J1を回転させる機能を備えている。
【0062】
このように本実施形態の張力制御機構46は、
図5に示す形態で配置される第1歯車Z1〜第9歯車Z9を搭載している。この第1歯車Z1〜第9歯車Z9における歯数の一例を表1に示す。なお、表1の歯数は一例であって、他の歯数の組み合わせで下記表1と異なるギア比を構成してもよい。
【0064】
また、
図4〜6などに示すように、本実施形態の張力制御機構46は、ロック開放アーム45eを逆旋回(ロック機構45のロックを解除するときと反対の方向に旋回)させる巻戻機構46dを更に有している。
この巻戻機構46dは、包装材Lの引き出し方向と反対側の方向に沿った力が包装材Lに付与されて包装材Lが弛んだときに、ロック開放アーム45eを逆旋回させてクラッチ機構45で非接触ブレーキ44の駆動を停止させる機能を有している。
【0065】
より具体的に、本実施形態の巻戻機構46dは、本体部46d
1、第2スプリング部材46d
2、および線材46d
3を含んで構成されている。
本体部46d
1は、第1軸J1と固定されて、この第1軸J1の回転に追従して回転が可能となっている。
第2スプリング部材46d
2は、張力制御機構46のフレーム40に固定されている。この第2スプリング部材46d
2の具体例としては、例えば公知のガススプリングや油圧スプリングなどを適用してもよい。
線材46d
3は、その一端が第2スプリング部材46d
2に固定されるとともに、他端が本体部46d
1と固定されている。この線材46d
3としては、特に制限はないが、例えば金属製や樹脂製のチェーンや紐などを適用してもよい。
【0066】
そして
図10に示すように、ロール部材42が回転して差動歯車機構46cの遊星歯車Z2が周回したときは、第1軸J1の回転とともに本体部46d
1も回転して本体部46d
1に線材46d
3の一部が巻き付くことになる。この状態では、第2スプリング部材46d
2は伸長した状態となっており、例えば包装材Lの弛みなどでロール部材42の回転が停止した際には、第2スプリング部材46d
2が初期状態に復元しようとする作用によって、線材46d
3を介して本体部46d
1は逆回転を行うこととなる。
【0067】
このように本体部46d
1が逆回転をすることで第1軸J1もその方向に回転するので、この第1軸J1に固定されたロック開放アーム45eも逆旋回することになり、これによりロック開放アーム45eによるロック開放ピン45dの押し上げは解除されることになる。
【0068】
<包装材供給装置4による張力制御の動作メカニズム>
次に、
図6、8〜10を用いて本実施形態における張力制御の動作メカニズムを説明する。
以下に説明するとおり、本実施形態における包装材Lの供給態様は、大別して3つのパターンを含んでいる。
すなわち、第1のパターンとして包装材Lが被包装材Sに向けて引き出し始めた初期引き出し段階、この第1のパターンの後に続く第2のパターンとして後期引き出し段階、および第3のパターンとして包装材Lが弛んだ際における巻戻し段階である。
【0069】
[第1のパターン]
図6および
図8は、上記した第1のパターンにおける動作を示している。なお
図6における点線はロール部材42の回転に伴う動力が伝達されていない態様を示し、実線はその動力が伝達されている態様を示している。
この第1のパターンは、例えば包装材Lが引き出され始めてから1000mm程度まで引き出されるまでの態様である。なお後述する第3のパターンでは第1のパターンの動作に対して反対(逆)の動作が行われるので、この第1のパターンは包装材Lが引き込み始めてから1000mm程度まで引き込まれるまでの態様とも言える。また、上記した1000mmは例示であり、ロック開放アーム45eの旋回幅(弧の大きさ)などで適宜調整可能である。
【0070】
まずシャトル3が無限軌道2内を周回し始めると、このシャトル3の周回に伴って包装材Lが包装材供給装置4から引き出される。すると、この包装材Lの引き出しに伴ってロール部材42が回転を始め、このロール部材42の回転は伝達チェーンC1を介してインプットシャフト46aの回転となる。
【0071】
インプットシャフト46aが回転を始めると、
図6に示すように、第1歯車Z1→第2歯車Z2→第3歯車Z3→第4歯車Z4→第5歯車Z5→第6歯車Z6→第1軸J1と回転が伝達される。これにより、第1軸J1に固定されたロック開放アーム45eおよび巻戻機構46dの本体部46d
1も回転して本体部46d
1に線材46d
3の一部が巻き付くことになる。
【0072】
一方で、
図8に示すとおり、ロック開放アーム45eは第1軸J1の回転に追従して回転するが、凡そ270°回転したときにロック開放ピン45dを押圧する。すると、押圧されたロック開放ピン45dは、押付バネ45gの押付力に抗してロックピン45cを押し上げる。そしてロックピン45cが第2軸J2から離間したときに、ロック開放ピン45dは筐体45aと接触してそれ以上押し上げられなくなる。ロック開放ピン45dが筐体45aに接触して押し上げが止まることで、ロック開放アーム45eも旋回することが停止される。
【0073】
このように、ロック開放アーム45eは、
図8(c)に示すように、旋回の開始から270°に至るまでは第2軸J2がロックピン45cによってロックされた状態が維持される。そしてロック開放アーム45eが270°に到達したときに、上記した動作によって第2軸J2のロックが開放される。換言すれば、本実施形態では、遊星歯車(第2歯車Z2)の周回に従ってロック開放アーム45eが移動してロック開放ピン45cを押し上げることでインプットシャフト46aからの動力が差動歯車機構46cを介してアウトプットシャフト46bへ伝達される。
なお、本実施形態ではロック開放アーム45eの旋回角度を0°〜270°としたが、ロック開放ピン45dを移動させることが可能であれば、例えば10°〜270°や、0°〜300°など上記と異なる旋回範囲に設定してもよい。
【0074】
この状態を経て、インプットシャフト46aの回転によって遊星歯車Z2が差動歯車機構46c内で周回しつつアウトプットシャフト46bは回転を停止している態様から、遊星歯車Z2が差動歯車機構46c内で周回を停止しつつインプットシャフト46aからアウトプットシャフト46bへと回転が伝達される形態(
図9)に切り替わることになる。
【0075】
[第2のパターン]
図9は、上記した第1のパターンに続く第2のパターンによる動作を示している。なお
図6と同様に、
図9における点線はロール部材42の回転に伴う動力が伝達されていない態様を示し、実線はその動力が伝達されている態様を示している。
この第2のパターンは、例えば包装材Lが1000mm程度引き出されてからの態様である。
【0076】
上記した第1のパターンによって第2軸J2のロックが開放されると、この第2軸J2と連動するアウトプット46bの回転が可能となる。したがって、ロール部材42の回転に伴って、
図9に示すように、第1歯車Z1→第2歯車Z2→第7歯車Z7→第8歯車Z8→第9歯車Z9→第2軸J2と回転が伝達される。そして第2軸J2は非接触ブレーキ機構44に連結されているため、第2軸J2の回転には一定の逆向きのトルクが常に付与されることになる。
換言すれば、シャトル3の周回によって引き出される包装材Lは、第2のパターンにおいては常に一定のブレーキ力(上記した逆向きのトルク)が付与されることになる。
【0077】
なお、詳しくは後述するが、本実施形態においては、このブレーキ力の大きさは、第2スプリング部材46d
2が線材46d
3を引く引戻力(第1軸J1の回転に抗して本体部46d
1を反対方向に回転させようとする力)と同等であることが望ましい。
このブレーキ力の大きさと第2スプリング部材46d
2の引戻力とをほぼ同じ値にすることで、シャトル3の周回によって引き出される包装材Lは、第1のパターンと第2のパターンの全期間において一定のブレーキ力が付与されることになる。
【0078】
なおこの第2のパターンにおいては、第2歯車Z2(遊星歯車)は差動歯車機構46c内で周回をしておらず、第1軸J1も回転しておらず、ロック開放ピン45dは筐体45aに接触して停止したままであり、本体部46d
1に線材46d
3の一部が巻き付いた状態であり、ロック開放アーム45eも270°付近の位置で旋回を停止した状態となっている。
【0079】
[第3のパターン]
上記した第1のパターン及び第2のパターンは、包装材Lが引き出される際の動作メカニズムであった。しかしながら包装材Lの包装処理では、特に無限軌道2のコーナー付近などにおいて、何らかの原因によって包装材Lの引き出しが弱まる(換言すれば弛む)ことがある。このような包装材Lの弛みに対しては、例えばルーパー機構などを用いてバッファ作用を得ることが従来では行われていた。
【0080】
しかしながら一般的にルーパー機構は大規模な機構であるので、包装材Lを新しい物に交換する時など作業が非常に煩雑となってしまい、例えば包装材Lの交換を自動化する大きな障害となっていた。
そこで本実施形態では、従来のルーパー機構を用いずとも、上記した包装材Lの弛みに対応できる第3のパターンを採用することとした。
【0081】
すなわち、この第3のパターンは、例えば包装材Lが何らかの原因で弛んだときに実行される態様である。
まず包装材Lが弛むと、支持部41に支持された包装材Lからの引き出しは停止することから、ロール部材42の回転も停止する。
すると、
図10のうち下側の状態にあった巻戻機構46は、巻戻し動作を開始する。より具体的には、第1軸J1を回転させようとする力が無くなったので、巻戻機構46の第2スプリング部材46d
2は、本体部46d
1を反対方向に回転させて線材46d
3を引き戻そうとする。この第2スプリング部材46d
2の引き戻しによって、第1軸J1は
図10の下側の状態から上側の状態へと遷移するように包装材Lの引き出し時とは逆方向に回転する。
【0082】
このように第1軸J1が包装材Lの引き出し時とは逆方向に回転するため、差動歯車機構46cを介してインプットシャフト46aも逆方向に回転し、このインプットシャフト46aの回転は伝達チェーンC1を介してロール部材42の回転へと伝達される。換言すれば、第1軸J1が包装材Lの引き出し時とは逆方向に回転することで、ロール部材42も逆方向に回転して包装材Lが引き込まれることになる。
なお、この包装材Lの引き込まれる長さは、上述のとおり本実施形態では1000mm程度となる。しかしながら引き込みに必要な長さは適宜調整可能であることは既述のとおりである。
【0083】
一方、包装材Lの引き込みと並行して第1軸J1に固定されたロック開放アーム45eも上記した逆方向に回転(旋回)することで、ロック開放ピン45dから離脱する。ロック開放ピン45dからロック開放アーム45eが離脱すると、押付バネ45fがロックピン45cを押し付け、これにより第2軸J2がロックピン45cによってロックされた状態となる。
【0084】
そしてロック開放アーム45eが逆方向に旋回して初期位置(0°の位置)まで到達すると、当該初期位置ではストッパ部材などが配置されているためこれ以上は旋回できなくなる。このようにロック開放アーム45eが逆方向への旋回を停止すると、巻戻機構46dの巻戻し動作も停止することになる。
なお、ロック開放アーム45eが逆方向に旋回する角度α(
図8参照)と、第2スプリング部材46d
2の引き戻しによって本体部46d
1を反対方向に回転させる角度β(
図10参照)は、互いにほぼ等しいことが望ましい。
【0085】
以上説明した本実施形態によれば、引き出される包装材Lにかかる張力を一定にすることができるので、ルーパー機構など大掛かりな機構を用いずとも包装材の緩みを抑制することができる。これにより、構造を複雑化させることなく引き出される包装材の緩みを有効に抑制することが可能となる。
【0086】
<包装材Lにかかる張力が一定となる原理>
次に
図11を用いて、本実施形態の張力制御機構46によって引き出される包装材Lに生ずる張力が一定となる原理について説明する。
まず上記で説明した第1のパターンや第2のパターンでは、以下の前提が成立している。
・包装材Lを支持する支持部材41は回転可能
・ロール部材42も回転が可能
・ロール部材42は第1スプリング部材43によって包装材L(支持部材)側へ常に押圧
・非接触ブレーキ機構44はロール部材42の回転に対して一定で逆向きのトルクを付与
【0087】
ここで
図11により模式的に力学関係を示すとおり、支持部41に支持された本体から引き出された部分の包装材Lにかかる張力を「T
2」、非接触ブレーキ機構44がロール部材42を介して包装材Lの本体に対して付与するトルクを「T
0」、包装材Lの本体における半径を「R」とした場合、釣り合いを考えると次の式(1)が成立する。
T
0=(T
2×R)・・・(1)
【0088】
そしてこの式(1)を変形すると式(2)となることから、通常は包装材Lの引き出しによって包装材Lの本体における径Rが小さくなると、これに伴ってT
2は変化することになる。
T
2=T
0/R ・・・(2)
【0089】
しかしながら本実施形態では、ロール部材42は第1スプリング部材43によって包装材Lに常時押し付けられていることから、ロール部材42はほとんど同じ外周位置P(
図11参照)で包装材Lと接触することになる。また、包装材Lのうちロール部材42と接触する最も先端Q(
図11参照)もほとんど位置が変化しないため、包装材Lがロール部材42と接触する長さ(位置P〜位置Q)は実質的に変わらないことになる。
【0090】
ここで、上述したとおり、ロール部材42は、非接触ブレーキ機構44によって一定のトルクT
0が付与されていることから、
図12のとおり包装材Lがロール部材42と接触する角度(位置P〜位置Qまでの角度)を「θ」とした場合、ロール部材42に着目した包装材Lの引き出しによる張力T
1は、アイテルワインの式から以下の式(3)となる。
T
1=e
μ0θ・T
2・・・(3)
【0091】
そして上述したとおり、本実施形態では第1スプリング部材43によってロール部材42が一定の力で包装材Lの最外周に接触することから、張力T
2の値は実質的に変化せずほぼ一定の値を取る。そして本実施形態のごとく上記した「θ」が一定の場合には、式(3)の右辺が一定となることから、その結果として張力T
1も一定となるのである。
【0092】
このように本実施形態では、スプリング部材43の作用によって、ロール部材42が包装材Lの最外周に常に接触しており「θ」がほぼ変化せず、且つ、ロール部材42が一定の力で包装材Lの最外周に接触することからアイテルワインの式を鑑みて張力T
1およびT
2の値は実質的に変化せずほぼ一定の値を取ることになる。なお、本実施形態では、非接触ブレーキ機構44によって一定のトルクでブレーキをかけているが、これにより上記した張力T
1と張力T
2の間で張力の差を得ることが可能となっている。
【0093】
以上説明した実施形態によれば、引き出される一部の包装材にかかる張力を一定にすることができるので、無限軌道を周回するシャトルの位置に関わらず包装材の緩みを抑制することができる。
なお、上記した実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0094】
例えば上記した実施形態では、差動歯車機構46cの入力歯車Z1と出力歯車Z7の歯数は同じとしたが、これに限られない。例えば出力歯車Z7の歯数が入力歯車Z1の歯数よりも大きくなるように設定してもよい。これにより、適切なギア比とすることでクラッチ機構45を省略することが可能となり、より低コストで包装装置1を実現することができる。
【解決手段】包装材供給装置は、引き出された前記包装材と接触して回転可能なロール部材と、前記ロール部材を一定の力で前記包装材に押し付ける第1スプリング部材と、前記ロール部材の回転を減衰させる一定のトルクを付与する非接触ブレーキ機構と、前記非接触ブレーキの駆動を停止させるクラッチ機構と、前記包装材の引き出し方向に沿った張力が前記包装材に付与されているとき前記クラッチ機構のロックを解除して前記非接触ブレーキ機構によって前記トルクを前記ロール部材に付与する張力制御機構と、を含む。