特許第6188180号(P6188180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6188180
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】靴下
(51)【国際特許分類】
   A41B 11/00 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   A41B11/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-74072(P2017-74072)
(22)【出願日】2017年4月3日
【審査請求日】2017年4月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399046924
【氏名又は名称】西垣靴下株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130144
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健一
(72)【発明者】
【氏名】西垣 和俊
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−069704(JP,A)
【文献】 特開2013−014865(JP,A)
【文献】 実開昭60−097708(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 11/00 − 11/14
D04B 1/00 − 1/28
21/00 − 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム系繊維糸がパイル糸とともにループ状に編み込まれた靴下であって、
足底土踏まず部後方で、ループ状に編み込まれた地糸からなる複数のループを、ゴム系繊維糸とウーリー加工糸が相互にフロートしながらループ状に編み込まれていることを特徴とする靴下。
【請求項2】
前記ゴム系繊維糸と前記ウーリー加工糸は、1ループ毎相互にフロートしながらループ状に編み込まれていることを特徴とする請求項1記載の靴下
【請求項3】
前記ウーリー加工糸は、フロートさせた部分の一部で切断されていることを特徴とする請求項2記載の靴下。
【請求項4】
前記ウーリー加工糸は、ウーリーナイロン糸またはポリエステル糸であることを特徴とする請求項1記載の靴下。
【請求項5】
前記ゴム系繊維糸は、ポリウレタン糸であることを特徴とする請求項1記載の靴下。
【請求項6】
足底内側足根小球部は、ゴム系繊維糸を用いて平編みされていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の靴下。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイル糸をゴム系繊維糸とともにループ状に編み込まれた靴下に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、パイル糸をゴム系繊維糸とともにループ状に編み込まれた靴下が知られている。この種の靴下として、地糸102の間に、パイル糸103およびポリウレタンベア糸104が図7の上方(靴下の内側)に向かってループを形成するように編成され、ポリウレタンベア糸104は靴下の外側にも長さHのループを形成するように編成された靴下があった。このように、靴下の内側に向かってパイル糸103およびポリウレタンベア糸104がループを形成するように編成されることにより、クッション性が向上するとともに、足と靴下との接触面積が増加し、足と靴下との間の摩擦抵抗が大きくなって靴下のズレが抑制されるという効果を有し、 また靴下の外側にポリウレタンベア糸104が突出することにより、靴や床面などとの滑りが格段に抑制されるという効果も有するものというものであった(例えば、特許文献1参照)。ここで、図7は従来の靴下の組織を示す図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−14865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の靴下は、靴下の外側にポリウレタンベア糸104が突出することにより、靴や床面などとの滑りが抑制することができるという有効な効果を有するものであったが、靴下の外側面からポリウレタンベア糸104が靴や床面などとの摩擦により引っ張り出されることがあり、靴下の外側面からポリウレタンベア糸104が引っ張り出されると靴や床面などとの滑りの抑制をさらに向上させることができるという効果を有する反面、見栄えが悪くなるという問題が生じるものであった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、靴下の外側にポリウレタンベア糸を突出させるようにしても、靴下の外側面からポリウレタンベア糸が引っ張り出されることを抑制することができる靴下を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、ゴム系繊維糸がパイル糸とともにループ状に編み込まれた靴下であって、足底土踏まず部後方で、ループ状に編み込まれた地糸からなる複数のループを、ゴム系繊維糸とウーリー加工糸が相互にフロートしながらループ状に編み込まれていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明によれば、足底土踏まず部後方で、ゴム系繊維糸がパイル糸とともにループ状に編み込まれているので、靴下の外側でゴム系繊維糸が突出することにより靴や床面などとの滑りを抑制することができるとともに、ゴム系繊維糸とウーリー加工糸が相互にフロートしながらループ状に編み込まれているので、ゴム系繊維糸が柔らかく伸縮性が大きいウーリー加工糸と絡み合い、ゴム系繊維糸が靴下の外側に引っ張り出されることを抑制することできる。
【0008】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係る靴下であって、ゴム系繊維糸とウーリー加工糸は、1ループ毎相互にフロートしながらループ状に編み込まれていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、ゴム系繊維糸とウーリー加工糸は1ループ毎相互にフロートしながらループ状に編み込まれているので、ゴム系繊維糸が柔らかく伸縮性が大きいウーリー加工糸と絡み合う度合いが大きくなり、ゴム系繊維糸が靴下の外側にさらに引っ張り出されることをより抑制することできる。
【0010】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1の態様に係る靴下であって、前記ウーリー加工糸は、フロートしている部分の一部で切断されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、ウーリー加工糸は、ゴム系繊維糸とウーリー加工糸が相互にフロートさせた部分の一部で切断させているので、ウーリー加工糸の伸縮性がより大きくかつ柔軟になり、ゴム系繊維糸とウーリー加工糸が相互とより絡み合い易くなり、ゴム系繊維糸が靴下の外側に引っ張り出されることをより抑制することできる。
【0012】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1の態様に係る靴下であって、ウーリー加工糸は、ウーリーナイロン糸またはポリエステル糸であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第1の態様に係る靴下であって、ゴム系繊維糸は、ポリウレタン糸であることを特徴とするものである。
【0014】
本発明のうち第6の態様に係るものは、第1の態様から第5の態様のいずれかの態様に係る靴下であって、足底内側足根小球部は、ゴム系繊維糸を用いて平編みされていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明によれば、靴下の足底内側足根小球部がゴム系繊維糸を用いて平編みされているので、靴下の外側面のゴム系繊維糸により、靴や床面などとの滑りを抑制することができるとともに、パイル糸と地糸のループがほぼ同一長さの平編みを用いているので、靴下の外側へのゴム系繊維糸の突出長さも長くならず見栄えが悪くならないようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、足底土踏まず部後方で、ゴム系繊維糸とウーリー加工糸が相互にフロートしながらループ状に編み込まれているので、ゴム系繊維糸が柔らかく伸縮性が大きいウーリー加工糸と絡み合い、ゴム系繊維糸が靴下の外側に引っ張り出されることを抑制することできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における靴下の上面右斜視図である。
図2】同靴下の下面左斜視図である。
図3】(a)同靴下の平編地の編目の拡大図を示す図である。 (b)同靴下のパイル編地の編目の拡大図を示す図である。
図4】本発明の一実施形態における靴下を製造する丸編み機の概説図である。
図5図4の丸編み機の平面図である。
図6】編糸を丸編み機に供給する概説図である。
図7】従来の靴下の組織を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の靴下の第1実施形態について図面を参照にしながら説明する。ここで、図1は本発明の一実施形態における靴下の上面右斜視図であり、図2は同靴下の下面左斜視図である。
【0019】
図1に示すように、靴下1は、脚部2と、足甲部3と、かかと部4(図2参照)と、土踏まず部5(図2参照)と、足底内側足根小球部6(図2参照)と、つま先部7などから構成され、つま先部7には親指を収納する親指袋7aとそれ以外指を収納する外指袋7bが形成されている。なお、本実施形態では、つま先部7に親指を収納する親指袋7aとそれ以外指を収納する外指袋7bを形成させたが、これに限らず、5本の指をそれぞれ別々に収納する指袋を形成してもよい。
【0020】
図2に示すように、かかと部4(足底土踏まず部後方)には滑り抑制後方部8が形成されている。ここで、図1および図2では、滑り抑制後方部8は、かかと部4前部の足周方向に形成されているが、足底の土踏まず部後方に形成されていればよい。この滑り抑制後方部8は、後述するように、地糸13aがループ状に編み込まれた複数のループを、パイル糸9aが巻き付けられたポリウレタン糸10aとウーリーナイロン糸11が相互にフロートしながらループ状に編み込まれている(図3(b)参照)。なお、本実施形態ではポリウレタン糸10aを用いたが、これに限らず、他のゴム系繊維糸であってもよい。また、本実施形態ではウーリー加工糸としてウーリーナイロン糸11を用いたが、これに限らず、ポリエステル糸などの他のウーリー加工糸であってもよい。また、滑り抑制後方部8は足底土踏まず部後方に有していればよく、本実施形態では、足底土踏まず部後方の一例としてかかと部4に滑り抑制後方部8を形成させている。ここで、かかと部4は、本実施形態では「かかと部4前部」に形成させているが「がかかと部4中部」などに形成するものであってもよい。また、滑り抑制効果を有する足底であれば足底内側足根小球部6などの足底に滑り抑制後方部8を形成してもよい。このように、足底内側足根小球部6に滑り抑制後方部8を形成させる場合は、文言上「後方部」ではなくなり「滑り抑制後方部8」は「滑り抑制部」となる。
【0021】
また、足底内側足根小球部6には滑り抑制前方部12が形成されている。ここで、図1および図2では、滑り抑制前方部12は、足底内側足根小球部6を含む足周方向に形成されているが、足底内側足根小球部6に形成されていればよい。この滑り抑制前方部12は、パイル糸9bが巻き付けられたポリウレタン糸10bを用いて平編みで編み込まれている(図3(a)参照)。ここで、本実施形態の滑り抑制前方部12ではウーリーナイロン糸11を用いていない。このように、足底内側足根小球部6の滑り抑制前方部12がポリウレタン糸10bを用いて平編みで編み込みされているのは、足底内側足根小球部6は靴や床面などとの摩擦が大きく、パイル糸9bが地糸よりもシンカーループの長さを長くしたループ編みで行うと靴下の外側面から引っ張り出されるポリウレタン糸10bの量が多くなると考えられるからである。なお、本実施形態ではポリウレタン糸10bを用いたが、これに限らず、他のゴム系繊維糸であってもよい。
【0022】
次に、本実施形態における靴下の編目について説明する。ここで、図3(a)は本発明の一実施形態における靴下の平編地の編目の拡大図を示す図である。図3(b)は同靴下のパイル編地の編目の拡大図を示す図である。ここで、図3(a)の平編地、図3(b)のパイル編地のループの横の列は「コース」と称されている。
【0023】
靴下1の足底内側足根小球部6の滑り抑制前方部12は、上述したように、ポリウレタン糸10bを用いて平編みで編み込まれている。ここで、平編みとは、パイル糸9bと地糸13bが一緒に編み込まれ、パイル糸9bと地糸13bのシンカーループの長さがほぼ同じ編み方のことである(図3(a)参照)。このように、靴下1の足底内側足根小球部6の滑り抑制前方部12は、パイル糸9bと地糸13bとが編み込まれた複数のループを、ポリウレタン糸10bもパイル糸9bと同一シンカーループ長さで編み込まれている。
【0024】
以上のように、靴下1の足底内側足根小球部6がポリウレタン糸10bを用いて平編みされているので、靴下の外側面のポリウレタン糸10bにより、靴や床面などとの滑りを抑制することができるとともに、パイル糸9bと地糸13bのシンカーループがほぼ同一長さの平編みを用いているので、靴下1の外側へのポリウレタン糸10bの突出長さも長くならず見栄えが悪くならないようにすることができる。
【0025】
靴下1の足底のかかと部4(土踏まず部後方)は、上述したように、パイル糸9aが巻き付けられたポリウレタン糸10aとウーリーナイロン糸11が相互にフロートしながらループ状にパイル編みされている。ここで、パイル編みとは、パイル糸9aと地糸13aが一緒に編み込まれ、パイル糸9aのシンカーループの長さが地糸13aのシンカーループの長さより長くなった編み方のことである。このように、靴下1の足底のかかと部4(土踏まず部後方)は、地糸13aがループ状に編み込まれた複数のループを、パイル糸9aが巻き付けられたポリウレタン糸10aとウーリーナイロン糸11が1ループ毎相互にフロートしながらループ状に編み込まれている(図3(b)参照)。なお、本実施形態では、パイル糸9aが巻き付けられたポリウレタン糸10aとウーリーナイロン糸11が1ループ毎相互にフロートしながらループ状に編み込まれているようにしたが、これに限らず、パイル糸9aが巻き付けられたポリウレタン糸とウーリーナイロン糸が2ループ(複数ループ)毎相互にフロートしながらループ状に編み込まれているようにしてもよく、また、パイル糸9aが巻き付けられたポリウレタン糸とウーリーナイロン糸が異なるループ毎相互にフロートしながらループ状に編み込まれているようにしてもよい。つまり、ポリウレタン糸とウーリーナイロン糸が相互にフロートしながらループ状に編み込まれるものであれば、ポリウレタン糸とウーリーナイロン糸が相互にフロートするループの数はいくつでもよい。また、ウーリーナイロン糸11は、パイル糸9aが巻き付けられたポリウレタン糸10aとウーリーナイロン糸11が相互にフロートさせ、そのフロートさせた部分の一部で切断(カット)させているが、これに限らず、上記のフロートさせた部分の一部で切断(カット)させなくてもよい。
【0026】
次に、本実施形態における靴下の編成方法について図4および図5を参照しながら説明する。ここで、図4は本発明の一実施形態における靴下を製造する丸編み機の概説図であり、図5図4の丸編み機の平面図である。
【0027】
丸編み機14には、円周状に等間隔で配置された複数のシンガー15と、各シンガー15間に配置された編み針16とが、円筒状の釜部材17にスライド可能に支持されている(図4参照)。そして、シンガー15は半径方向に往復スライドし、編み針16は上下方向に往復スライドする。そして、この編成機構部に糸が供給され、シンガー15の半径方向往復スライドと、編み針16の上下方向往復スライドとの組み合わせによって靴下1が編成される。
【0028】
具体的には、釜部材17の上面近傍にリング状金具のキャップ(図示略)が配置されており、このキャップの裏面に略円環溝状のシンガー道(図示略)が形成されている。また、釜部材17の側面近傍には、上げカムおよび下げカムを含むカム機構(図示略)が配置されている。釜部材17は駆動機構(図示略)により回動するが、上記のキャップおよびカム機構は回転しない。
【0029】
また、シンガー15の半径方向の外方端部に形成されたバット18が上記のキャップ裏面のシンガー道内に位置し、編み針16の下端部に形成されたバット19が釜部材17の側面から外部に露出して上記のカム機構と係合する。これにより、駆動機構(図示略)によって釜部材17が回転すると、各シンガー15はシンガー道に案内され、また各編み針16はカム機構に案内されて、それぞれ往復スライドする。
【0030】
このような丸編み機14によって靴下1は履き口12(図1参照)からつま先部7に向かって筒状に編成され、かかと部4およびつま先部7は丸編み機14の往復回転機能によって編成される。そして、つま先部7と足甲部3との間がリンキング又はロッソなどによって縫製される。
【0031】
足底のかかと部4(足底土踏まず部後方)の滑り抑制後方部8は、次のようにしてパイル編みされる。すなわち、図6に示すように、ポリウレタン糸10aと、ウーリーナイロン糸11と、パイル糸9aと、地糸13aとが各ロールから編成機構部にそれぞれ供給される。より詳細すると、ポリウレタン糸10aは、パイル糸9aが巻回されたロールの筒状芯材20内を通って外周にパイル糸9aが巻き付いた状態で糸道21aに送られ、シンガー15の第2受け部23に供給される。このとき、ポリウレタン糸10aに設定された意図的な張力はかかっていない。また、ウーリーナイロン糸11は、ロールから糸道21bを介してシンガー15の第3受け部24に供給される。一方、地糸13aはロールから糸道21aを介してシンガー15の第1受け部22に供給される。
【0032】
そして、上下動する編み針16がパイル糸9aが巻き付けられたポリウレタン糸10aと地糸13、ウーリーナイロン糸11と地糸13aをそれぞれかぎ取って、シンガー15が半径方向外方にスライドすることによって、地糸13aがループ形状になるとともに、パイル糸9aが巻き付けられたポリウレタン糸10aとウーリーナイロン糸11は、地糸13aのループを1ループ毎相互にフロートしながらループ状に編み込まれている。なお、パイル編みのシンカーループの長さは、第1受け部22と第2受け部23、第1受け部22と第3受け部24との間の距離によって決められる。
【0033】
また、ポリウレタン糸10aは弾性を有することから、パイル糸9aと同様にループを形成するが、ポリウレタン糸10aのシンカーループの長さはパイル糸9aのシンカーループの長さより小さくなる。また同時に、ポリウレタン糸10aは、ループが形成された面と反対側の面にも不規則なループを形成する。本実施形態における靴下1は、パイル糸9aのループが形成された面と反対側の面に形成されたポリウレタン糸10aのループを滑り止めに積極的に活用するものである。
【0034】
また、足底内側足根小球部6の滑り抑制前方部12は、次のようにして平編みされる。この足底内側足根小球部6の滑り抑制前方部12の平編みは上述した足底のかかと部4の滑り抑制後方部8のパイル編みから容易に理解できるので、平編みの説明は省略する。すなわち、足底内側足根小球部6の滑り抑制前方部12の平編みでは、ウーリーナイロン糸11を編み込まず、パイル糸9aが巻き付けられたパイル糸9bと地糸13bがすべてのループで一緒に編み込まれている。
【0035】
以上のように、足底のかかと部4(土踏まず部後方)をポリウレタン糸10aがパイル糸9aとともにループ状に編み込まれているので、靴下1の外側にポリウレタン糸10aが突出することにより靴や床面などとの滑りを抑制することができる。ここで、靴下1の足底のかかと部4の外側面におけるポリウレタン糸10aの表面から平均突出長さが70μm以上で、平均太さは70μm以上である。このような平均突出長さおよび太さのポリウレタン糸10aを用いることにより、靴下の滑り止めの性能が格段に向上する。また、ポリウレタン糸10aとウーリーナイロン糸11が相互にフロートしながらループ状に編み込まれているので、ポリウレタン糸10aが柔らかく伸縮性が大きいウーリーナイロン糸11と絡み合い、ポリウレタン糸10aが靴下1の外側に引っ張り出されることを抑制することできる。さらに、ウーリーナイロン糸11は、ポリウレタン糸10aとウーリーナイロン糸11が相互にフロートさせた部分の一部で切断(カット)させているので、ウーリーナイロン糸11の伸縮性がより大きくかつ柔軟になり、ポリウレタン糸10aがウーリーナイロン糸11とより絡み合い易くなり、ポリウレタン糸10aが靴下1の外側に引っ張り出されることをより抑制することできる。
【0036】
以上の開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
1 靴下
2 脚部
3 足甲部
4 かかと部
5 土踏まず部
6 足底内側足根小球部
7 つま先部
7a 親指袋
7b 外指袋
8 滑り抑制後方部
9a パイル糸
9b パイル糸
10a ポリウレタン糸(ゴム系繊維糸)
10b ポリウレタン糸(ゴム系繊維糸)
11 ウーリーナイロン糸(ウーリー加工糸)
12 滑り抑制前方部
13a 地糸
13b 地糸
14 丸編み機
15 シンガー
16 編み針
17 釜部材
18 バット
19 バット
20 筒状芯材
21 糸道
22 第1受け部
23 第2受け部
24 第3受け部
【要約】
【課題】 従来のパイル糸をポリウレタン糸とともにループ状に編み込まれた靴下は、靴下の外側面からポリウレタンベア糸104が靴や床面などとの摩擦により引っ張り出されることにより、見栄えが悪くなるという問題があった。
【解決手段】
足底土踏まず部後方で、ゴム系繊維糸10とウーリー加工糸11が相互にフロートしながらループ状に編み込まれているので、ゴム系繊維糸10が柔らかく伸縮性が大きいウーリー加工糸11と絡み合い、ゴム系繊維糸10が靴下の外側に引っ張り出されることを抑制することできる。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7