特許第6188191号(P6188191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188191
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】紙葉類搬送部品の摩耗確認システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20170821BHJP
   B65H 5/02 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   G07D9/00 416C
   B65H5/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-44529(P2013-44529)
(22)【出願日】2013年3月6日
(65)【公開番号】特開2014-174624(P2014-174624A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】辻 雅裕
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−162276(JP,A)
【文献】 特開2000−132728(JP,A)
【文献】 実開平03−113466(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
B65H 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送用ベルトと、当該ベルトを駆動する搬送用ローラと、前記ベルトに対応して配置され、前記紙葉類をガイドする搬送用ガイド板と、を有し、前記紙葉類を搬送する搬送装置を備えたATM装置において、
前記搬送装置の搬送用ガイド板に、かつ前記ベルト対向して配置するICタグと、
前記搬送装置の使用頻度をカウントするカウンタ部と、
前記ICタグを駆動する電源部と、
前記ICタグを制御するICタグ制御部と、
前記ICタグの電波、又は電磁波を受信するアンテナを含み、電波、又は電磁波を受信したとき、前記ATM装置側に通報する通報機器と、有し、
前記ICタグ制御部は、前記カウンタ部が、予め設定した前記ベルトの利用頻度に達したことを検知したとき、前記電源部の電源を前記ICタグに供給し、当該ICタグが電波又は電磁波を発するように制御し、
前記電波、又は電磁波を前記アンテナで受信したとき、前記搬送用ベルトの交換時期を、前記通報機器を介して前記ATM装置側に予告する
ことを特徴とする紙葉類搬送部品の摩耗確認システム。
【請求項2】
請求項1に記載の紙葉類搬送部品の摩耗確認システムであって、
前記搬送用ベルトは、前記ICタグの電波を遮断する電波シールド材、又は電磁波を反射する電磁波シールド材を埋設し、
前記搬送用ベルトが磨耗し、更に前記電波シールド材が磨耗したとき、前記ICタグからの電波を前記アンテナで受信したとき、又は前記搬送用ベルトが磨耗し、前記電磁波シールド材が露出したとき、当該シールド材の反射波を受けたとき、前記搬送用ベルトの交換時期であることを、前記通報機器を介して前記ATM装置側に通報する
ことを特徴とする紙葉類搬送部品の摩耗確認システム。
【請求項3】
請求項1に記載の紙葉類搬送部品の摩耗確認システムであって、
前記カウンタ部は、前記ATM装置の印刷部の搬送路用カウンタを兼用していることを特徴とする紙葉類搬送部品の摩耗確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、紙幣等の紙葉類を搬送する搬送機構におけるベルト等の紙葉類搬送部品の摩耗確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2009−214773号公報(特許文献1)がある。この公報には、課題として、「車両のタイヤのトレッドにICタグを埋め込み、該ICタグとの通信状態に基づいてトレッドの摩耗状態を検出するようにして、タイヤのトレッドの摩耗状態を正確に把握することができ、車両の運転者に対してタイヤのトレッドの摩耗状態に関する警告を通報することができ、コストを低下させ、信頼性を向上させることができるようにする。」ことを挙げ、その解決手段として、「車両のタイヤ21のトレッド23に埋め込まれたICタグ11と、道路の表面又は表面近くの地中に配設された通信アンテナ31と、前記ICタグ11と前記通信アンテナ31との通信状態に基づいて前記トレッド23の摩耗状態を検出し、該摩耗状態に応じて警告を出力する検出ユニットとを有する。」との記載がある(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−214773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1には、タイヤの磨耗状態検出の仕組みが記載されている。しかし、特許文献1のタイヤ磨耗状態検出システムは、車両のタイヤのトレッドにICタグを埋め込み、トレッドの状態を検出するものであって、タイヤ側にICタグを配置することから、当該ICタグにタイヤを介して車両に負荷がかかり、破壊や故障を招き易いことが考えられる。また、車両の走行中に釘などが刺さると、ICタグも破壊され、誤検知を引き起こす問題がある。従って、これらの対策も考慮する必要があり、例えばタイヤ全周に亘ってICタグを配置するなどの工夫が必要である。
【0005】
そこで、本発明は、構成が簡単で、少ないICタグの使用でもって、誤検知が解消可能な磨耗確認システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の紙葉類搬送部品の摩耗確認システムは、
搬送用ベルトと、当該ベルトを駆動する搬送用ローラと、前記ベルトに対応して配置され、前記紙葉類をガイドする搬送用ガイド板と、を有し、前記紙葉類を搬送する搬送装置を備えたATM装置において、
前記搬送装置の搬送用ガイド板に、かつ前記ベルト対向して配置するICタグと、
前記搬送装置の使用頻度をカウントするカウンタ部と、
前記ICタグを駆動する電源部と、
前記ICタグを制御するICタグ制御部と、
前記ICタグの電波、又は電磁波を受信するアンテナを含み、電波、又は電磁波を受信したとき、前記ATM装置側に通報する通報機器と、有し、
前記ICタグ制御部は、前記カウンタ部が、予め設定した前記ベルトの利用頻度に達したことを検知したとき、前記電源部の電源を前記ICタグに供給し、当該ICタグが電波又は電磁波を発するように制御し、
前記電波、又は電磁波を前記アンテナで受信したとき、前記搬送用ベルトの交換時期を、前記通報機器を介して前記ATM装置側に予告する
ことを特徴とする。
【0007】
紙葉類搬送部品の摩耗確認システムは、
前記搬送用ベルトは、前記ICタグの電波を遮断する電波シールド材、又は電磁波を反射する電磁波シールド材を埋設し、
前記搬送用ベルトが磨耗し、更に前記電波シールド材が磨耗したとき、前記ICタグからの電波を前記アンテナで受信したとき、又は前記搬送用ベルトが磨耗し、前記電磁波シールド材が露出したとき、当該シールド材の反射波を受けたとき、前記搬送用ベルトの交換時期であることを、前記通報機器を介して前記ATM装置側に通報する
ことを特徴とする。
【0008】
紙葉類搬送部品の摩耗確認システムは、
前記カウンタ部は、前記ATM装置の印刷部の搬送路用カウンタを兼用していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ICタグの破壊を招くようなことが回避でき、ICタグや紙葉類磨耗部品の磨耗状態を簡単な構成により確認することができ、また紙葉、例えば通帳、カード、紙幣等を搬送する搬送用ベルトの磨耗を適切な時期に交換することが可能な紙葉類搬送部品の摩耗確認システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の紙葉類搬送部品の摩耗確認システムに適用される紙葉搬送用ガイドを含む搬送装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の紙葉類搬送部品の摩耗確認システム(電波方式)に適用される紙葉搬送用ガイドベルト(下ベルト)が正常状態にある様子を示す図である。
図3図2のベルト(下ベルト)が正常状態にあるときの電源の様子を示す図である。
図4図2のベルト(下ベルト)が磨耗した様子を示す図である。
図5図4のベルト(下ベルト)が異常状態にあるときの電源の様子を示す図である。
図6】本発明の紙葉類搬送部品の摩耗確認システム(電磁方式)に適用される紙葉搬送用ガイドを含む搬送装置の一部の構成を概略的に示す図である。の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態は、ATM装置の通帳、伝票や紙幣等の紙葉類を搬送するベルトを例にしている。
【0012】
図1は、本発明の紙葉類搬送部品の摩耗確認システムに適用される紙葉搬送用ガイドを含む搬送装置の概略構成を示す図である。
【0013】
同図において、搬送路装置10は、紙葉類部品20を搬送する装置であり、搬送用ベルト101、102、紙葉搬送用ガイド板103、104、搬送用ローラ105、106、を有する。
【0014】
搬送用ベルト101、102の内側には、ICタグ30、例えば電波タグ、又は電磁誘導方式タグを取り付けている。
【実施例1】
【0015】
図2は、本発明の紙葉類搬送部品の摩耗確認システム(電波方式)に適用される紙葉搬送用ガイドベルト(下ベルト)が正常状態にある様子を示す図である。
【0016】
図2において、ATM本体装置40は、搬送機器利用頻度カウンタ401、電源402、を有する。カウンタ401は、紙葉搬送用ガイドベルト1011、1102の利用頻度を示す利用回数をカウントする。例えば、印字部の搬送路への通帳セット回数、帳票セット回数、などをカウントするカウンタを利用する。
【0017】
電源402は、カウンタ401による利用頻度が所定回数をカウントしたとき、ICタグ制御回路403に電源を供給する。
【0018】
ICタグ制御回路403は、電源402の電源供給を受け、スイッチ404を制御するものであるが、カウンタ401のカウントが所定の利用頻度まで達していない場合には、スイッチ404は開状態にあり、ICタグ301には、電源が印加されることはない。
【0019】
図3は、図2のベルト(下ベルト)が正常状態にあるときの電源とICタグ30の電波レベルの様子を模式的に示す図である。
【0020】
同図において、ICタグ30には、電源が供給されないことから、当該ICタグ30からの電波のレベルは0にある。
【0021】
図4は、図2のベルト(下ベルト)が磨耗した様子を示す図である。同図において、ICタグ制御回路403は、ATM本体装置40の電源402の供給を受け、スイッチ404を閉じるように制御する。すると、ICタグ30には、電源が印加され、所望の電波を発信し、通報機器50の受信部(受信回路)501は、ICタグ301からの電波又は電磁波を受信する。
【0022】
このとき、紙葉搬送用ガイドベルト1011、1012の磨耗状態、例えば上下ベルト1011、1012間に介在した電波シールド材1013まで達していない場合には、仮にICタグ制御回路403が、カウンタ401のカウント状態に応じて電源402が供給されたとしても、電波シールド材1013の存在をもって、通報機器50の受信部501による受信レベルも低くなるように構成することにより、少なくとも紙葉搬送用ガイドベルトの一部(下レベル)1012が磨耗していることを識別することができ、その旨をATM本体装置40に通報する。
【0023】
また、紙葉搬送用ガイドベルトの上下ベルト1011、1012間に介在した電波シールド材1013も磨耗している場合には、受信部501による受信レベルが大きくなるように構成することにより、通報機器50は、紙葉搬送用ガイドベルト1011、1012を即交換する時期にあることを認識し、その旨をATM本体装置40に通報する。
【0024】
図5は、図4のベルト(下ベルト)1012が異常状態にあるときの電源の様子を示す図である。同図において、ICタグ30には、電源が供給されるから、当該ICタグ30からの電波のレベルは0以上(1)にある。
【実施例2】
【0025】
図6は、本発明の紙葉類搬送部品の摩耗確認システム(電磁方式)に適用される紙葉搬送用ガイドを含む搬送装置の一部の構成を概略的に示す図である。同図において、図2の実施例と相違する点は、ICタグ30に電磁誘導方式タグを使用し、紙葉搬送用ガイド102側に当該タグから発射され、電磁波反射材1013’による反射電磁波を受信する受信回路301を設けたことにある。
【0026】
以上述べたように本実施例によれば、ICタグの破壊を招くようなことが回避できるのみならず、ベルトの磨耗状態に応じて、事前に交換時期を識別し、管理者側に適切な交換時期を示唆することができ、しかもICタグや紙葉類磨耗部品の磨耗状態を簡単な構成することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 搬送路装置
101 紙葉搬送用ガイドベルト
103、104 紙葉搬送用ガイド板
105、106 搬送用ローラ
20 紙葉類部品
30 ICタグ
40 ATM本体装置
401 搬送機器利用頻度カウンタ
402 電源
403 ICタグ制御回路
404 スイッチ
50 通報機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6