(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、燃料を加熱した蒸気を水で冷却した後、この蒸気を高温部品に供給しているため、燃料を加熱した蒸気の熱を有効に利用できず、ガスタービンプラント全体での熱効率があまりよくない、という問題点がる。
【0006】
そこで、本発明は、ガスタービンにおける高温部品を冷却しつつ、ガスタービンプラント全体での熱効率を高めることができるガスタービン用燃料の予熱装置、これを備えているガスタービンプラント、及びガスタービン用燃料の予熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための発明に係る一態様としてのガスタービン用燃料の予熱装置は、
蒸気と燃料とを熱交換させて、該燃料を予熱すると共に、該燃料の予熱で冷却された蒸気が冷却蒸気として流出する第一予熱器と、燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器、及び該燃焼ガスにより駆動するタービンのうちいずれかの部品であって前記燃焼ガスに接する高温部品に対して、
前記第一予熱器に接続され前記第一予熱器から流出した前記冷却蒸気を供給する冷却蒸気ラインと、前記高温部品を通過した前記冷却蒸気である過熱蒸気が通る過熱蒸気ラインと、前記過熱蒸気ラインから供給される前記過熱蒸気と燃料とを熱交換させて、該燃料を予熱する第二予熱器と、前記第一予熱器及び前記第二予熱器で予熱された前記燃料を前記燃焼器に供給する予熱燃料ラインと、を備えることを特徴とする。
【0008】
当該予熱装置では、高温部品に蒸気を供給して、この高温部品を冷却しているので、高温部品で燃焼ガスに接する面に沿ってガスタービンの圧縮機から抽気した空気を供給して、高温部品を冷却するよりも、高温部品の冷却効率及びガスタービンプラントの効率を高めることができる。
【0009】
具体的に、蒸気は、空気と比べて、熱伝導率が高い上に熱容量が大きいので、高温部品を効率的に冷却することができる。また、ガスタービンの圧縮機から圧縮された空気を抽気し、この空気を高温部品の冷却に利用した場合、ガスタービンの出力が低下すると共に排熱回収装置の出力も低下し、結果として、ガスタービンプラントの効率が低下する。一方、当該予熱装置において、排熱回収装置からの蒸気を高温部品の冷却に利用した場合、排熱回収装置の出力が低下するものの、ガスタービンの出力は低下しない。従って、排熱回収装置からの蒸気を高温部品の冷却に利用した方がガスタービンプラントの効率の低下を抑えることができる、言い換えると、ガスタービンプラントの効率を高めることができる。
【0010】
また、当該予熱装置では、蒸気と燃料とを第一予熱器で熱交換させ、この蒸気を冷却した後、冷却された蒸気を冷却蒸気として高温部品に供給しているので、この観点からも高温部品を効率的に冷却することができる。
【0011】
また、当該予熱装置では、高温部品の冷却により過熱された冷却蒸気である過熱蒸気と燃料とを第二予熱器で熱交換させ、燃料を加熱しているので、蒸気の熱、言い換えると、燃焼器の熱を有効に利用することができ、この観点からもガスタービンプラントの効率を高めることができる。
【0012】
ところで、特許文献1に記載の技術では、燃焼器の熱を排熱回収装置の蒸気中に戻し、排熱回収装置の効率を高めているが、ガスタービンの効率を高めることはできない。一方、当該予熱装置では、燃焼器の熱を燃料の予熱に利用しているので、ガスタービン及び排熱回収装置の双方の効率を高めることができ、特許文献1よりもガスタービンプラントの効率を高めることができる。
【0013】
また、当該予熱装置では、第一予熱器及び第二予熱器で燃料を予熱しているので、燃料の温度をより高くすることができる。
【0014】
ここで、前記一態様としての前記ガスタービン用燃料の予熱装置において、前記予熱燃料ラインは、前記第一予熱器で予熱された前記燃料を前記第二予熱器に供給する第一予熱燃料ラインと、前記第二予熱器でさらに予熱された前記燃料を前記燃焼器に供給する第二予熱燃料ラインと、を有してもよい。
【0015】
当該予熱装置では、第一予熱器及び第二予熱器が燃料にとって直列的に並んでいるため、高い温度の燃料を燃焼器に供給することができる。特に、第一予熱器に供給される蒸気の温度よりも、第二予熱器に供給される過熱蒸気の温度の方が高い場合には、効率的に燃料の温度を高めることができる。
【0016】
また、前記一態様としての前記ガスタービン用燃料の予熱装置において、前記予熱燃料ラインは、前記第一予熱器で予熱された前記燃料及び前記第二予熱器で予熱された前記燃料をそれぞれ受け入れて、前記燃焼器に供給する統合予熱燃料ラインを有してもよい。
【0017】
当該予熱装置では、第一予熱器及び第二予熱器が燃料によって並列的に並んでいる。このため、一基の予熱器に供給される燃料の流量が少なくなり、例えば、第一予熱器に供給される蒸気の温度と第二予熱器に供給される過熱蒸気の温度とがほぼ同じである場合には、燃料を効率的に加熱することができる。
【0018】
また、以上のいずれかの前記ガスタービン用燃料の予熱装置において、前記燃焼器に供給される前記燃料と予熱媒体とを熱交換させて、該燃料を予熱する第三予熱器を備えてもよい。
【0019】
当該予熱装置では、第三予熱器を備えているので、燃料により多くの熱を加えることができる。
【0020】
また、前記第一予熱燃料ライン及び前記第二予熱燃料ラインを有する前記ガスタービン用燃料の予熱装置において、前記燃焼器に供給される前記燃料と予熱媒体とを熱交換させて、該燃料を予熱する第三予熱器を備え、前記予熱燃料ラインは、前記第三予熱器で予熱された前記燃料を前記第一予熱器に供給する第三予熱燃料ラインを有してもよい。
【0021】
当該予熱装置では、三基の予熱器が燃料にとって直列的に並んでいるため、より高い温度の燃料を燃焼器に供給することができる。
【0022】
また、前記統合予熱燃料ラインを有する前記ガスタービン用燃料の予熱装置において、前記燃焼器に供給される燃料と予熱媒体とを熱交換させて、該燃料を予熱する第三予熱器を備え、前記予熱燃料ラインは、前記第三予熱器で予熱された前記燃料を前記第一予熱器及び前記第二予熱器のそれぞれに供給する第三予熱燃料ラインを有してもよい。
【0023】
当該予熱装置では、例えば、第三予熱器に供給される予熱媒体の温度が第一予熱器に供給される蒸気の温度及び第二予熱器に供給される過熱蒸気の温度よりも低く、且つ第一予熱器に供給される蒸気の温度と第二予熱器に供給される過熱蒸気の温度とがほぼ同じである場合には、燃料を効率的に加熱することができる。
【0024】
また、前記統合予熱燃料ラインを有する前記ガスタービン用燃料の予熱装置において、前記燃焼器に供給される燃料と予熱媒体とを熱交換させて、該燃料を予熱する第三予熱器を備え、前記統合予熱燃料ラインは、前記第一予熱器で予熱された前記燃料、及び前記第二予熱器で予熱された前記燃料と共に、前記第三予熱器で予熱された前記燃料を前記燃焼器に供給してもよい。
【0025】
当該予熱装置では、第一予熱器、第二予熱器及び第三予熱器が燃料によって並列的に並んでいる。このため、一基の予熱器に供給される燃料の流量が少なくなり、例えば、第一予熱器に供給される蒸気の温度と第二予熱器に供給される過熱蒸気の温度と第三予熱器に供給される予熱媒体の温度がほぼ同じである場合には、燃料を効率的に加熱することができる。
【0026】
上記問題点を解決するための発明に係る一態様としてのガスタービンプラントは、
以上のいずれかの前記ガスタービン用燃料の予熱装置と、前記燃焼器及び前記タービンを有するガスタービンと、前記タービンからの排気ガスの熱で蒸気を発生する排熱回収ボイラーを有する排熱回収装置と、を備え、前記予熱装置は、前記排熱回収装置中の蒸気を前記第一予熱器に供給する予熱媒体ラインを有することを特徴とする。
【0027】
当該ガスタービンプラントは、前記予熱装置を有しているので、ガスタービンの燃料を蒸気で効率的に冷却しつつ、蒸気の熱を有効利用し、ガスタービンプラントの効率を高めることができる。
【0028】
また、上記問題点を解決するための発明に係る他の態様としてのガスタービンプラントは、
第三予熱器を有する、いずれかの前記ガスタービン用燃料の予熱装置と、前記燃焼器及び前記タービンを有するガスタービンと、前記タービンからの排気ガスの熱で蒸気を発生する排熱回収ボイラーを有する排熱回収装置と、を備え、前記予熱装置は、前記排熱回収装置中の蒸気を前記第一予熱器に供給する第一予熱媒体ラインと、前記排熱回収装置中の蒸気又は水を前記第三予熱器に供給する第二予熱媒体ラインと、を有することを特徴とする。
【0029】
当該ガスタービンプラントでも、前記予熱装置を有しているので、ガスタービンの燃料を蒸気で効率的に冷却しつつ、蒸気の熱を有効利用し、ガスタービンプラントの効率を高めることができる。
【0030】
上記問題点を解決するための発明に係る一態様としてのガスタービン用燃料の予熱方法は、
蒸気と燃料とを熱交換させて、該燃料を予熱すると共に、該燃料の予熱で冷却された蒸気を冷却蒸気として流出させる第一予熱工程と、燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器、及び該燃焼ガスにより駆動するタービンのうちいずれかの部品であって前記燃焼ガスに接する高温部品に対して、前記冷却蒸気を供給する冷却蒸気供給工程と、前記高温部品を通過した前記冷却蒸気である過熱蒸気と前記燃焼器に供給される前記燃料とを熱交換させて、該燃料を予熱する第二予熱工程と、前記第一予熱工程及び前記第二予熱工程で予熱された前記燃料を前記燃焼器に供給する予熱燃料供給工程と、を実行することを特徴とする。
【0031】
当該予熱方法でも、前記予熱装置と同様に、高温部品に蒸気を供給して、この高温部品を冷却しているので、高温部品で燃焼ガスに接する面に沿ってガスタービンの圧縮機から抽気した空気を供給して、高温部品を冷却するよりも、高温部品の冷却効率及びガスタービンプラントの効率を高めることができる。また、当該予熱方法では、蒸気と燃料とを第一予熱工程で熱交換させ、この蒸気を冷却した後、冷却された蒸気を冷却蒸気として高温部品に供給しているので、この観点からも高温部品を効率的に冷却することができる。
【0032】
また、当該予熱方法では、高温部品の冷却により過熱された冷却蒸気である過熱蒸気と燃料とを第二予熱工程で熱交換させ、燃料を加熱しているので、蒸気の熱、言い換えると、燃焼器の熱を有効に利用することができ、ガスタービンプラントの効率を高めることができる。
【0033】
さらに、当該予熱方法では、第一予熱工程及び第二予熱工程で燃料を予熱しているので、燃料の温度をより高くすることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明では、ガスタービンにおける高温部品を冷却しつつ、蒸気の熱を有効利用してガスタービンプラント全体での熱効率を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係るガスタービンプラントの各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0037】
「第一実施形態」
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明に係るガスタービンプラントの第一実施形態について説明する。
【0038】
本実施形態のガスタービンプラントは、
図1に示すように、ガスタービン10と、ガスタービン10の駆動で発電する発電機15と、ガスタービン10から排気された排気ガスEGの熱で蒸気を発生させる排熱回収装置100と、排熱回収装置100を通過した排気ガスEGを大気に放出する煙突40と、ガスタービン10に供給する燃料Fを予熱する燃料予熱装置50と、を備えている。
【0039】
ガスタービン10は、空気を圧縮する圧縮機11と、圧縮機11で圧縮された空気中で燃料Fを燃焼させて燃焼ガスを生成する複数の燃焼器21と、高温高圧の燃焼ガスにより駆動するタービン31と、を備えている。タービン31のタービンロータと圧縮機11の圧縮機ロータとは、同一の軸線を中心として回転するもので、相互に連結されて、ガスタービンロータを成している。このガスタービンロータには、発電機15のロータが接続されている。
【0040】
燃焼器21は、
図2に示すように、圧縮機11からの空気A中で燃料Fが燃焼し、燃焼ガスが生成される燃焼筒(又は尾筒)23と、この燃焼筒23内に圧縮機11からの空気A及び燃料Fを噴射する噴射器22と、を有している。燃焼筒23を形成する部材には、この部材を冷却するために、蒸気が通る蒸気流路24が形成されている。
【0041】
タービン31は、複数の燃焼器21からの燃焼ガスにより、軸線Arを中心として回転するタービンロータ32と、このタービンロータ32を回転可能に覆うタービンケーシング35と、を有している。タービンロータ32は、軸線Arと平行な軸方向に延びるロータ本体33と、このロータ本体33の外周に固定されている複数の動翼34と、を有している。また、タービンケーシング35の内周面には、複数の静翼36が固定されている。タービンケーシング35の内周面とロータ本体33の外周面との間は、燃焼器21からの燃焼ガスが通る燃焼ガス流路37を成す。複数の燃焼器21は、軸線Arを中心として周方向に並んで、タービンケーシング35に固定されている。
【0042】
排熱回収装置100は、
図1に示すように、タービン31を駆動させた燃焼ガス、つまりガスタービン10から排気された排気ガスEGの熱で蒸気を発生させる排熱回収ボイラー110と、排熱回収ボイラー110で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン121a,121b,121cと、蒸気タービン121a,121b,121cの駆動で発電する発電機122と、蒸気タービン121aを駆動させた蒸気を水に戻す復水器123と、復水器123中の水を排熱回収ボイラー110に戻す給水ポンプ124と、を備えている。
【0043】
排熱回収装置100は、蒸気タービン121a,121b,121cとして、低圧蒸気タービン121a、中圧蒸気タービン121b、高圧蒸気タービン121cを有している。また、排熱回収ボイラー110は、低圧蒸気LSを発生する低圧蒸気発生部111aと、中圧蒸気ISを発生する中圧蒸気発生部111bと、高圧蒸気HSを発生する高圧蒸気発生部111cと、高圧蒸気タービン121cを駆動させた蒸気を再過熱する再熱部115と、を有している。なお、ここでは、低圧蒸気タービン121a、中圧蒸気タービン121b、高圧蒸気タービン121cの合計3基の蒸気タービンに対して、1基の発電機122を設けているが、各蒸気タービン121a,121b,121cに発電機を設けてもよい。
【0044】
低圧蒸気発生部111aは、水を加熱する低圧節炭器112aと、低圧節炭器112aで加熱された水を蒸気にする低圧蒸発器113aと、低圧蒸発器113aで発生した蒸気を過熱して低圧蒸気LSを生成する低圧過熱器114aと、を有している。
【0045】
中圧蒸気発生部111bは、低圧節炭器112aで加熱された水を昇圧する中圧ポンプ116bと、この中圧ポンプ116bで昇圧された水を加熱する中圧節炭器112bと、中圧節炭器112bで加熱された水を蒸気にする中圧蒸発器113bと、中圧蒸発器113bで発生した蒸気を過熱して中圧蒸気ISを生成する中圧過熱器114bと、を有している。
【0046】
高圧蒸気発生部111cは、低圧節炭器112aで加熱された水を昇圧する高圧ポンプ116cと、この高圧ポンプ116cで昇圧された水を加熱する第一高圧節炭器112cと、第一高圧節炭器112cで加熱された水をさらに加熱する第二高圧節炭器112dと、第二高圧節炭器112dで加熱された水を蒸気にする高圧蒸発器113cと、高圧蒸発器113cで発生した蒸気を過熱する第一高圧過熱器114cと、第一高圧過熱器114cで過熱された蒸気をさらに過熱して高圧蒸気HSを生成する第二高圧過熱器114dと、を有している。
【0047】
再熱部115は、高圧蒸気タービン121cを駆動させた蒸気を加熱する第一再熱器115aと、第一再熱器115aで過熱された蒸気をさらに過熱して再熱蒸気RHSを生成する第二再熱器115bと、有している。
【0048】
再熱部115、高圧蒸気発生部111c、中圧蒸気発生部111b、低圧蒸気発生部111aのそれぞれを構成する要素は、タービン31から煙突40に向かう排気ガスEGの下流側に向かって、第二再熱器115b及び第二高圧過熱器114d、第一再熱器115a、第一高圧過熱器114c、高圧蒸発器113c、第二高圧節炭器112d、中圧過熱器114b及び低圧過熱器114a、中圧蒸発器113b、第一高圧節炭器112c及び中圧節炭器112b、低圧蒸発器113a、低圧節炭器112aの順序で並んでいる。
【0049】
復水器123と低圧節炭器112aとは、給水ライン131で接続されている。この給水ライン131には、前述の給水ポンプ124が設けられている。低圧過熱器114aと低圧蒸気タービン121aの蒸気入口とは、低圧過熱器114aからの低圧蒸気LSを低圧蒸気タービン121aに送る低圧蒸気ライン132で接続されている。低圧蒸気タービン121aの蒸気出口と復水器123とは、低圧蒸気タービン121aを駆動させた低圧蒸気LSが復水器123に供給されるよう互いに接続されている。第一高圧過熱器114cと第二高圧過熱器114dとは、過熱器間蒸気ライン135で接続されている。第二高圧過熱器114dと高圧蒸気タービン121cの蒸気入口とは、第二高圧過熱器114dからの高圧蒸気HSを高圧蒸気タービン121cに送る高圧蒸気ライン138で接続されている。高圧蒸気タービン121cの蒸気出口と第一再熱器115aの蒸気入口とは、高圧蒸気タービン121cからの高圧蒸気HSを第一再熱器115aに送る高圧蒸気回収ライン139で接続されている。第二再熱器115bの蒸気出口と中圧蒸気タービン121bの蒸気入口とは、第二再熱器115bで過熱された蒸気を再熱蒸気RHSとして中圧蒸気タービン121bに送る再熱蒸気ライン136で接続されている。中圧蒸気タービン121bの蒸気出口には、中圧蒸気回収ライン137が接続されている。この中圧蒸気回収ライン137は、低圧蒸気ライン132に合流している。中圧過熱器114bの蒸気出口には、中圧蒸気ライン133が接続されている。この中圧蒸気ライン133は、高圧蒸気回収ライン139に合流している。
【0050】
燃料予熱装置50は、燃焼器21に供給する燃料Fを加熱する第一予熱器51及び第二予熱器52と、第一予熱器51、第二予熱器52及び燃焼器21を接続する予熱燃料ライン71と、第一予熱器51及び第二予熱器52に対して蒸気の吸排気を行う予熱媒体ライン60と、を有している。
【0051】
第一予熱器51及び第二予熱器52は、いずれも燃料Fと蒸気とを熱交換する熱交換器である。第一予熱器51の管内側又は管外側の入口には、燃料供給源から延びる燃料供給ライン70が接続されている。予熱燃料ライン71は、第一予熱器51の管内側又は管外側の出口と第二予熱器52の管内側又は管外側の入口とを接続する第一予熱燃料ライン73と、第二予熱器52の管内側又は管外側の出口と燃焼器21とを接続する第二予熱燃料ライン74と、を有している。予熱媒体ライン60は、高圧蒸気タービン121cの抽気ポート125と第一予熱器51の管外側又は管内側の入口とを接続する予熱蒸気供給ライン61と、第一予熱器51の管外側又は管内側の出口と燃焼器21とを接続する冷却蒸気ライン62と、燃焼器21と第二予熱器52の管外側又は管内側の入口とを接続する過熱蒸気ライン63と、第二予熱器52の管外側又は管内側の出口と高圧蒸気回収ライン139とを接続する予熱蒸気回収ライン64と、を有している。
【0052】
第二予熱燃料ライン74は、
図2に示すように、燃焼器21の噴射器22に接続されている。また、冷却蒸気ライン62は、燃焼器21の燃焼筒23における蒸気流路24の一端に接続され、過熱蒸気ライン63は、この蒸気流路24の他端に接続されている。
【0053】
次に、以上で説明した本実施形態のガスタービンプラントの動作について説明する。
【0054】
ガスタービン10の圧縮機11は、
図2に示すように、大気中の空気Aを圧縮し、圧縮した空気Aを燃焼器21に供給する。また、燃焼器21には、第二予熱燃料ライン74からの燃料Fも供給される。燃焼器21の燃焼筒23内では、圧縮された空気A中で燃料Fが燃焼して、高温高圧の燃焼ガスが生成される。この燃焼ガスは、燃焼筒23からタービン31の燃焼ガス流路37内に送られ、このタービン31のタービンロータ32を回転させる。このタービンロータ32の回転で、ガスタービン10に接続されている発電機15は発電する。
【0055】
タービン31のタービンロータ32を回転させた燃焼ガスは、排気ガスEGとしてガスタービン10から排気され、排熱回収ボイラー110を介して、煙突40から大気に放出される。排熱回収装置100は、ガスタービン10からの排気ガスEGが排熱回収ボイラー110を通る過程で、この排気ガスEGに含まれている熱を回収する。
【0056】
排熱回収ボイラー110中で、最も下流側(煙突40側)の低圧節炭器112aには、復水器123からの水が給水ライン131を介して供給される。低圧節炭器112aは、この水を排気ガスEGと熱交換させて加熱する。低圧節炭器112aで加熱された水の一部は、低圧蒸発器113aでさらに加熱されて蒸気になる。この蒸気は、低圧過熱器114aでさらに過熱されて低圧蒸気LSとして、低圧蒸気ライン132を介して低圧蒸気タービン121aに供給される。低圧蒸気タービン121aを駆動させた蒸気は、復水器123で水に戻る。この水は、復水器123から給水ライン131を介して再び低圧節炭器112aに供給される。
【0057】
低圧節炭器112aで加熱された水の他の一部は、中圧ポンプ116bで昇圧されて中圧節炭器112bに送られ、低圧節炭器112aで加熱された残りの水は、高圧ポンプ116cで昇圧されて第一高圧節炭器112cに送られる。
【0058】
第一高圧節炭器112cは、高圧ポンプ116cから送られてきた水を排気ガスEGと熱交換させて加熱する。第一高圧節炭器112cで加熱された水は、第二高圧節炭器112dでさらに過熱される。この水は、高圧蒸発器113cでさらに加熱されて蒸気になる。この蒸気は、第一高圧過熱器114c及び第二高圧過熱器114dでさらに過熱されて高圧蒸気HSとなる。この高圧蒸気HSは、高圧蒸気ライン138を介して高圧蒸気タービン121cに供給される。
【0059】
中圧節炭器112bは、中圧ポンプ116bから送られてきた水を排気ガスEGと熱交換させて加熱する。中圧節炭器112bで加熱された水は、中圧蒸発器113bでさらに加熱されて蒸気になる。この蒸気は、中圧過熱器114bでさらに過熱されて、中圧蒸気ISとなる。この中圧蒸気ISは、中圧蒸気ライン133を介して、高圧蒸気回収ライン139を流れる蒸気と合流し、第一再熱器115a及び第二再熱器115bで再過熱され、再熱蒸気RHSとなる。この再熱蒸気RHSは、再熱蒸気ライン136を介して、中圧蒸気タービン121bに供給される。
【0060】
中圧蒸気タービン121bを駆動させた再熱蒸気RHSは、中圧蒸気回収ライン137及び低圧蒸気ライン132を介して、低圧蒸気タービン121aに供給される。
【0061】
高圧蒸気タービン121cに供給された高圧蒸気HSの一部は、この高圧蒸気タービン121cの抽気ポート125から予熱蒸気供給ライン61を介して第一予熱器51の管外側又は管内側に供給される。一方、この第一予熱器51の管内側又は管外側には、燃料供給源からの燃料Fが燃料供給ライン70を介して供給される。このため、第一予熱器51内において、燃料供給源からの燃料Fと高圧蒸気タービン121cからの高圧蒸気HSとが熱交換し、燃料Fが加熱される一方で高圧蒸気HSが冷却される(第一予熱工程)。
【0062】
第一予熱器51で冷却された高圧蒸気HSは冷却蒸気CSとして、冷却蒸気ライン62を介して燃焼器21の蒸気流路24内に流入する(冷却蒸気供給工程)。この冷却蒸気CSは、この蒸気流路24を通る過程で、火炎及び燃焼ガスで加熱される燃焼筒23と熱交換し、燃焼筒23を冷却する。一方、冷却蒸気CSは、過熱されて過熱蒸気SSとなる。
【0063】
この過熱蒸気SSは、過熱蒸気ライン63を介して、第二予熱器52の管外側又は管内側に供給される。一方、第二予熱器52の管内側又は管外側には、第一予熱器51で加熱された燃料Fが第一予熱燃料ライン73を介して供給される。このため、第二予熱器52内において、第一予熱器51で加熱された燃料Fと燃焼筒23で過熱された冷却蒸気CSである過熱蒸気SSとが熱交換し、燃料Fがさらに加熱される一方で過熱蒸気SSが冷却される(第二予熱工程)。
【0064】
第二予熱器52でさらに加熱された燃料Fは、第二予熱燃料ライン74を介して、燃焼器21の噴射器22に供給される(予熱燃料供給工程)。また、第二予熱器52で冷却された過熱蒸気SSは、回収蒸気RSとして、予熱蒸気回収ライン64を介して、高圧蒸気回収ライン139に流入する。つまり、排熱回収装置100からの蒸気である高圧蒸気HSは排熱回収装置100に戻る。
【0065】
以上のように、本実施形態では、燃焼筒23の蒸気流路24に蒸気を供給して、この燃焼筒23を冷却しているので、燃焼筒23の内周面に沿ってガスタービン10の圧縮機11から抽気した空気を供給して、燃焼筒23を冷却するよりも、燃焼筒23の冷却効率及びガスタービンプラントの効率を高めることができると共に、NOxの発生を抑制することができる。
【0066】
具体的に、蒸気は、空気と比べて、熱伝導率が高い上に熱容量が大きいので、燃焼筒23を効率的に冷却することができる。また、ガスタービン10の圧縮機11から圧縮された空気を抽気し、この空気を燃焼筒23の冷却に利用した場合、ガスタービン10の出力が低下すると共に排熱回収装置100の出力も低下し、結果として、ガスタービンプラントの効率が低下する。一方、本実施形態のように、排熱回収装置100からの蒸気を燃焼筒23の冷却に利用した場合、排熱回収装置100の出力が低下するものの、ガスタービン10の出力は低下しない。従って、排熱回収装置100からの蒸気を燃焼筒23の冷却に利用した方がガスタービンプラントの効率の低下を抑えることができる、言い換えると、ガスタービンプラントの効率を高めることができる。また、燃焼器21の出口の平均温度、つまり燃焼筒23の出口の平均温度は、タービン31の耐熱性や効率の面から、一定温度に制御される。このため、燃焼筒23の内周面に沿って空気を流す場合、燃焼筒23の出口開口の中央部における温度を高くする必要性が生じ、燃焼ガスの最高温度が高くなり、サーマルNOxが増加する。一方、本実施形態のように、燃焼筒23の蒸気流路24中に蒸気を流す場合、燃焼ガス中に空気の流入がない分、燃焼ガスの最高温度を抑えることができ、サーマルNOxの発生を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態では、高圧蒸気タービン121cからの高圧蒸気HSと燃料供給源からの燃料Fとを第一予熱器51で熱交換させ、この高圧蒸気HSを冷却した後、冷却された高圧蒸気HSを冷却蒸気CSとして燃焼筒23に供給しているので、この観点からも燃焼筒23を効率的に冷却することができる。
【0068】
また、本実施形態では、燃焼器21の冷却により過熱された冷却蒸気CSである過熱蒸気SSと燃料Fとを第二予熱器52で熱交換させ、燃料Fを加熱しているので、蒸気の熱、言い換えると、燃焼器21の熱を有効に利用することができる。よって、本実施形態では、この観点からも、ガスタービンプラントの効率を高めることができる。
【0069】
ところで、特許文献1に記載の技術では、燃焼器の熱を排熱回収装置の蒸気中に戻し、排熱回収装置の効率を高めているが、ガスタービンの効率を高めることはできない。一方、本実施形態では、燃焼器21の熱を燃料Fの予熱に利用しているので、ガスタービン10及び排熱回収装置100の双方の効率を高めることができ、特許文献1よりもガスタービンプラントの効率を高めることができる。
【0070】
また、本実施形態では、第一予熱器51と第二予熱器52とが燃料Fにとって直列的に並んでいるので、燃料Fの温度を高くすることができる。特に、第一予熱器51に供給される高圧蒸気HSの温度よりも、第二予熱器52に供給される過熱蒸気SSの温度の方が高い場合には、燃料の温度をより効率的に高めることができる。
【0071】
さらに、本実施形態では、第二予熱器52で燃料Fとの熱交換で冷却された過熱蒸気SSを排熱回収装置100に戻しているため、特許文献1のように、高温部品の冷却で過熱された蒸気を排熱回収装置に戻るよりも、蒸気を排熱回収装置100へ戻す過程における放熱量を小さくすることができる。しかも、蒸気を排熱回収装置100へ戻す配管の耐熱性を低くすることができ、設備コストを抑えることができる。
【0072】
「第二実施形態」
次に、
図3を参照して、本発明に係るガスタービンプラントの第二実施形態について説明する。なお、以下で説明する第二実施形態、第三実施形態、及び第四実施形態は、いずれも、第一実施形態の燃料予熱装置50を変更したものであり、その他の構成は基本的に同じである。そこで、第二実施形態、第三実施形態、及び第四実施形態の説明では、燃料予熱装置について主として説明する。
【0073】
本実施形態の燃料予熱装置50aは、第一実施形態の燃料予熱装置50に、第三予熱器53を追加したものである。このため、本実施形態の予熱燃料ライン71a及び予熱媒体ライン60aは、第一実施形態と多少異なっている。
【0074】
第三予熱器53の管内側又は管外側の入口には、燃料供給源から延びる燃料供給ライン70が接続されている。本実施形態の予熱燃料ライン71aは、第一実施形態における第一予熱燃料ライン73及び第二予熱燃料ライン74の他に、第三予熱燃料ライン72を有している。この第三予熱燃料ライン72は、第三予熱器53の管内側又は管外側の出口と第一予熱器51の管内側又は管外側の入口とを接続している。
【0075】
本実施形態の予熱媒体ライン60aは、第一実施形態における予熱蒸気供給ライン(第一予熱媒体ライン)61、冷却蒸気ライン62、過熱蒸気ライン63、及び予熱蒸気回収ライン64の他に、予熱水供給ライン(第二予熱媒体ライン)65及び予熱水回収ライン66を有している。予熱水供給ライン65は、排熱回収ボイラー110の中圧節炭器112bと第三予熱器53の管外側又は管内側の入口とを接続している。また、予熱水回収ライン66は、第三予熱器53の管外側又は管内側の出口と排熱回収装置100の給水ライン131とを接続している。
【0076】
なお、本実施形態では、予熱水供給ライン65を介して第三予熱器53に供給される加熱水HW、予熱蒸気供給ライン61を介して第一予熱器51に供給される高圧蒸気HS、過熱蒸気ライン63を介して第二予熱器52に供給される過熱蒸気SSのうち、第三予熱器53に供給される加熱水HWの温度が最も低く、次に、第一予熱器51に供給される高圧蒸気HSの温度が低く、第二予熱器52に供給される過熱蒸気SSの温度が最も高いことを前提としている。
【0077】
本実施形態では、排熱回収ボイラー110の中圧節炭器112bで加熱された加熱水HWの一部が予熱水供給ライン65を介して第三予熱器53の管外側又は管内側に供給される。一方、この第三予熱器53の管内側又は管外側には、燃料供給源からの燃料Fが燃料供給ライン70を介して供給される。第三予熱器53では、燃料供給源からの燃料Fと中圧節炭器112bからの加熱水HWとが熱交換し、燃料Fが加熱される一方で中圧節炭器112bからの加熱水HWが冷却される。この冷却された加熱水HWは、予熱水回収ライン66を介して、給水ライン131中の給水ポンプ124の吐出側に戻る。
【0078】
第三予熱器53で加熱された燃料Fは、第一予熱器51により、中圧節炭器112bからの加熱水HWよりも温度の高い高圧蒸気HSで加熱される。第一予熱器51で加熱された燃料Fは、第二予熱器52で、高圧蒸気HSよりも温度の高い過熱蒸気SSでさらに加熱される。第二予熱器52で加熱された燃料Fは、燃焼器21に供給される。
【0079】
以上、本実施形態の燃料予熱装置50aは、第一実施形態の燃料予熱装置50を備えているので、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の燃料予熱装置50aは、第三予熱器53を備えているので、燃料Fの温度をより高めることができる。
【0080】
また、本実施形態では、温度の低い予熱媒体から温度の高い予熱媒体で順次燃料Fを加熱している。よって、本実施形態では、温度の高い予熱媒体から温度の低い予熱媒体で順次燃料Fを加熱する場合よりも、燃料Fをより高温に且つ効率的に加熱することができる。
【0081】
「第三実施形態」
次に、
図4を参照して、本発明に係るガスタービンプラントの第三実施形態について説明する。
【0082】
本実施形態の燃料予熱装置50bも、第一実施形態の燃料予熱装置50に、第三予熱器53を追加したものである。このため、本実施形態の予熱燃料ライン71b及び予熱媒体ライン60bも、第一実施形態と多少異なっている。
【0083】
第三予熱器53の管内側又は管外側の入口には、第二実施形態と同様に、燃料供給源から延びる燃料供給ライン70が接続されている。また、第三予熱器53の管外側又は管内側には、予熱水供給ライン65及び予熱水回収ライン66が接続されている。本実施形態の予熱燃料ライン71bは、第三予熱燃料ライン72bと、統合予熱燃料ライン75bとを有している。第三予熱燃料ライン72bは、第三予熱器53の管内側又は管外側の出口と、第一予熱器51及び第二予熱器52の管内側又は管外側の入口とを接続している。また、統合予熱燃料ライン75bは、第一予熱器51及び第二予熱器52の管内側又は管外側の出口と、燃焼器21とを接続している。
【0084】
なお、本実施形態では、予熱水供給ライン65を介して第三予熱器53に供給される加熱水HW、予熱蒸気供給ライン61を介して第一予熱器51に供給される高圧蒸気HS、過熱蒸気ライン63を介して第二予熱器52に供給される過熱蒸気SSのうち、第三予熱器53に供給される加熱水HWの温度が最も低く、第一予熱器51に供給される高圧蒸気HSの温度と第二予熱器52に供給される過熱蒸気SSの温度とはほぼ同じであることを前提としている。
【0085】
本実施形態では、第二実施形態と同様に、排熱回収ボイラー110の中圧節炭器112bからの加熱水HWの一部が予熱水供給ライン65を介して第三予熱器53の管外側又は管内側に供給される。また、この第三予熱器53の管内側又は管外側には、燃料供給源からの燃料Fが燃料供給ライン70を介して供給される。第三予熱器53では、燃料供給源からの燃料Fと中圧節炭器112bからの加熱水HWとが熱交換し、燃料Fが加熱される一方で中圧節炭器112bからの加熱水HWが冷却される。この冷却された加熱水HWは、予熱水回収ライン66を介して、給水ライン131中の給水ポンプ124の吐出側に戻る。
【0086】
第三予熱器53で加熱された燃料Fは、第三予熱燃料ライン72bを介して、第一予熱器51及び第二予熱器52のそれぞれに供給される。第三予熱器53で加熱された燃料Fの一部は、第一予熱器51で、中圧節炭器112bからの加熱水HWよりも温度の高い高圧蒸気HSで加熱される。また、第三予熱器53で加熱された燃料Fの残りの一部は、第二予熱器52で、中圧節炭器112bからの加熱水HWよりも温度が高く且つ高圧蒸気HSとほぼ同じ温度の過熱蒸気SSで加熱される。第一予熱器51及び第二予熱器52で加熱された燃料Fは、統合予熱燃料ライン75bを介して、燃焼器21に供給される。
【0087】
以上、本実施形態も、第一実施形態と同様に、第一予熱器51で燃料Fとの熱交換で冷却された蒸気である冷却蒸気CSが燃焼器21に供給され、この燃焼器21との熱交換で過熱された蒸気である過熱蒸気SSが第二予熱器52に供給されるので、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
また、本実施形態では、第一予熱器51に供給される高圧蒸気HSの温度と第二予熱器52に供給される過熱蒸気SSの温度とがほぼ同じであるので、第三予熱器53で予熱された燃料Fを第一予熱器51及び第二予熱器52に対して並列的に供給することで、燃料Fの予熱効率を高めることができる。
【0089】
「第四実施形態」
次に、
図5を参照して、本発明に係るガスタービンプラントの第四実施形態について説明する。
【0090】
本実施形態の燃料予熱装置50cも、第一実施形態の燃料予熱装置50に、第三予熱器53を追加したものである。このため、本実施形態の予熱燃料ライン71c及び予熱媒体ライン60cも、第一実施形態と多少異なっている。
【0091】
第一予熱器51、第二予熱器52及び第三予熱器53の管内側又は管外側の入口には、燃料供給源から延びる燃料供給ライン70cが分岐して、それぞれに接続されている。第三予熱器53の管外側又は管内側には、第二及び第三実施形態と同様に、予熱水供給ライン65及び予熱水回収ライン66が接続されている。本実施形態の予熱燃料ライン71cは、統合予熱燃料ライン75cを有している。この統合予熱燃料ライン75cは、第一予熱器51、第二予熱器52及び第三予熱器53の管内側又は管外側の出口と、燃焼器21とを接続している。
【0092】
なお、本実施形態では、予熱水供給ライン65を介して第三予熱器53に供給される加熱水HW、予熱蒸気供給ライン61を介して第一予熱器51に供給される高圧蒸気HS、過熱蒸気ライン63を介して第二予熱器52に供給される過熱蒸気SSの各温度は、ほぼ同じであることを前提としている。
【0093】
本実施形態では、排熱回収ボイラー110の中圧節炭器112bからの加熱水HWの一部が予熱水供給ライン65を介して第三予熱器53の管外側又は管内側に供給される。また、この第三予熱器53の管内側又は管外側には、燃料供給源からの燃料Fの一部が燃料供給ライン70cを介して供給される。第三予熱器53では、燃料供給源からの燃料Fと中圧節炭器112bからの加熱水HWとが熱交換し、燃料Fが加熱される一方で中圧節炭器112bからの加熱水HWが冷却される。
【0094】
第一予熱器51の管内側又は管外側にも、燃料供給源からの燃料Fの一部が燃料供給ライン70cを介して供給される。第一予熱器51では、中圧節炭器112bからの加熱水HWとほぼ同じ温度の高圧蒸気HSで燃料供給源からの燃料Fが加熱される。また、第二予熱器52の管内側又は管外側には、燃料供給源からの燃料Fの残り一部が燃料供給ライン70cを介して供給される。第二予熱器52では、中圧節炭器112bからの加熱水HWとほぼ同じ温度の過熱蒸気SSで燃料供給源からの燃料Fが加熱される。
【0095】
本実施形態も、以上の各実施形態と同様に、第一予熱器51で燃料Fとの熱交換で冷却された蒸気である冷却蒸気CSが燃焼器21に供給され、この燃焼器21との熱交換で過熱された蒸気である過熱蒸気SSが第二予熱器52に供給される。
【0096】
第一予熱器51、第二予熱器52及び第三予熱器53で加熱された燃料Fは、統合予熱燃料ライン75cを介して、燃焼器21に供給される。
【0097】
以上、本実施形態も、第一実施形態と同様に、第一予熱器51で燃料Fとの熱交換で冷却された蒸気である冷却蒸気CSが燃焼器21に供給され、この燃焼器21との熱交換で過熱された蒸気である過熱蒸気SSが第二予熱器52に供給されるので、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
また、本実施形態では、第一予熱器51に供給される高圧蒸気HSの温度と第二予熱器52に供給される過熱蒸気SSの温度と第三予熱器53に供給される加熱水HWの温度とがほぼ同じであるので、燃料供給源からの燃料Fを第一予熱器51、第二予熱器52及び第三予熱器53に対して並列的に供給することで、燃料Fの予熱効率を高めることができる。
【0099】
「第五実施形態」
次に、
図6を参照して、本発明に係るガスタービンプラントの第五実施形態について説明する。
【0100】
本実施形態のガスタービンプラントも、以上の実施形態と同様、ガスタービン10と、ガスタービン10の駆動で発電する発電機15と、ガスタービン10から排気された排気ガスEGの熱で蒸気を発生させる排熱回収装置100dと、排熱回収装置100dを通過した排気ガスEGを大気に放出する煙突40と、ガスタービン10に供給する燃料Fを予熱する燃料予熱装置50aと、を備えている。
【0101】
本実施形態のガスタービンプラントは、排熱回収装置100dを除いて、第二実施形態のガスタービンプラントと同じである。
【0102】
本実施形態の排熱回収装置100dは、ガスタービン10から排気された排気ガスEGの熱で蒸気を発生させる排熱回収ボイラー110dと、排熱回収ボイラー110dで発生した蒸気を各種蒸気利用機器150a,150cに送る蒸気供給ライン151a,151cと、各種蒸気利用機器150a,150cからの蒸気を水に戻す復水器153と、復水器153中の水を排熱回収ボイラー110dに戻す給水ポンプ124と、を備えている。
【0103】
排熱回収ボイラー110dは、低圧蒸気LSを発生する低圧蒸気発生部111aと、高圧蒸気HSを発生する高圧蒸気発生部111cと、を有している。
【0104】
低圧蒸気発生部111aは、水を加熱する低圧節炭器112aと、低圧節炭器112aで加熱された水を蒸気にする低圧蒸発器113aと、低圧蒸発器113aで発生した蒸気を過熱して低圧蒸気LSを生成する低圧過熱器114aと、を有している。
【0105】
高圧蒸気発生部111cは、低圧節炭器112aで加熱された水を昇圧する高圧ポンプ116cと、この高圧ポンプ116cで昇圧された水を加熱する高圧節炭器112cと、高圧節炭器112cで加熱された水を蒸気にする高圧蒸発器113cと、高圧蒸発器113cで発生した蒸気を過熱して高圧蒸気HSを生成する高圧過熱器114cと、を有している。
【0106】
各種蒸気利用機器150a,150cとしては、例えば、高圧蒸気HSを利用する高圧蒸気利用機器150cや、低圧蒸気LSを利用する低圧蒸気利用機器150aがある。高圧蒸気利用機器150cとしては、例えば、工場における材料等を高圧蒸気HSで加熱する加熱器や、工場における材料と高圧蒸気HSとを反応させる反応塔等がある。また、低圧蒸気利用機器150aとしては、例えば、給湯器、暖房機、吸収冷凍機等がある。
【0107】
復水器153と低圧節炭器112aとは、給水ライン131で接続されている。この給水ライン131には、給水ポンプ124が設けられている。低圧過熱器114aと低圧蒸気利用機器150aとは、低圧蒸気供給ライン151aで接続されている。また、高圧過熱器114cと高圧蒸気利用機器150cとは、高圧蒸気供給ライン151cで接続されている。低圧蒸気利用機器150aと復水器153とは、低圧蒸気回収ライン152aで接続されている。また、高圧蒸気利用機器150cと復水器153とは、高圧蒸気回収ライン152cで接続されている。
【0108】
本実施形態の燃料予熱装置50aにおける予熱蒸気供給ライン61は、高圧蒸気供給ライン151cに接続されている。予熱蒸気回収ライン64は、低圧蒸気発生部111aの低圧蒸発器113aと低圧過熱器114aと接続するラインに接続されている。予熱水供給ライン65は、高圧蒸気発生部111cの高圧節炭器112cと高圧蒸発器113cとを接続するラインに接続されている。予熱水回収ライン66は、第二実施形態と同様に給水ライン131に接続されている。
【0109】
以上、本実施形態のガスタービンプラントも、第二実施形態の燃料予熱装置50aを備えているので、基本的に第二実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0110】
このように、ガスタービンプラントの排熱回収装置は、蒸気発生部を有していれば、蒸気タービンを有していなくてもよい。したがって、第一実施形態、第三実施形態及び第四実施形態のガスタービンプラントの排熱回収装置100も、蒸気タービンを有していなくてもよい。
【0111】
また、本実施形態を含め以上の各実施形態の排熱回収ボイラー110,110dは、複数の蒸気発生部を有しているが、一つの蒸気発生部を有していればよい。一つの蒸気発生部のみを有している場合、例えば、この蒸気発生部の過熱器からの蒸気を第一予熱器51に供給し、この蒸気発生部の節炭器で加熱された水を第三予熱器53に供給してもよい。
【0112】
「各種変形例」
第一から第四実施形態の燃料予熱装置では、高圧蒸気タービン121cから抽気した高圧蒸気HSを第一予熱器51に供給し、第二予熱器52から排気された冷却後の過熱蒸気SSである回収蒸気RSを高圧蒸気回収ライン139に戻している。しかしながら、高圧蒸気ライン138中の高圧蒸気HSや、中圧蒸気ライン133中の中圧蒸気IS等を第一予熱器51に供給してもよい。また、第二予熱器52から排気された回収蒸気RSを、第一再熱器115aと第二再熱器115bとを接続するライン中等に戻してもよい。すなわち、排熱回収装置100の蒸気流路中で、第一予熱器51への供給蒸気としての圧力や温度条件等を満たせば如何なる箇所から、第一予熱器51に供給する蒸気を取得してもよい。また、同様に、排熱回収装置100の蒸気流路中で、第二予熱器52から排気された回収蒸気RSを戻す箇所としての圧力や温度条件等を満たせば如何なる箇所に、第二予熱器52から排気された回収蒸気RSを戻してもよい。
【0113】
また、第二から第五実施形態の燃料予熱装置では、第三予熱器53に加熱水HWを供給しているが、この加熱水HWの替わりに蒸気を供給してもよい。
【0114】
以上の各実施形態では、第二予熱器52では、燃料Fと過熱蒸気SSとの熱交換により、過熱蒸気SSが冷却されるものの、気体である蒸気のまま第二予熱器52から回収蒸気RSとして排気される。しかしながら、この第二予熱器52で、過熱蒸気SSを凝縮させてもよい。この場合、過熱蒸気SSが持っている熱を燃料Fの予熱に十分に利用することができる。さらに、この場合、過熱蒸気SSを燃料Fとの熱交換で凝縮させることで、過熱蒸気SSと燃料Fとの熱交換率が高まり、第二予熱器52の小型化を図ることができる。なお、過熱蒸気SSの凝縮で得られた水は、例えば、復水器123に戻すことになる。
【0115】
また、以上の各実施形態では、いずれも、ガスタービン10における燃焼器21の燃焼筒23を冷却蒸気CSで冷却する。しかしながら、ガスタービン10を構成する部品で、燃焼ガスに接する高温部品であれば、例えば、タービン31(
図2に示す)の動翼34、静翼36、さらにタービンケーシング35の内周面のうちで動翼34に対向する部分を構成する分割環等の高温部品を冷却蒸気CSで冷却してもよい。この場合、タービン31の動翼34又は静翼36等の高温部品に蒸気流路を形成し、この蒸気流路の一端に冷却蒸気ライン62を接続する。
【0116】
また、以上の各実施形態のガスタービンプラントは、排熱回収装置を備えている。しかしながら、ガスタービンプラントは、蒸気発生源を備えていればよく、排熱回収装置はなくてもよい。すなわち、ガスタービンプラントにおける蒸気発生源は、ガスタービン10からの排気ガスとは異なる熱源、例えば、別途、燃料を燃焼させて発生する熱で蒸気を発生するボイラーであってもよい。